【課題】半導体発光素子の側面から出る光を効率よく取り出すことができ、輝度を向上させることができる発光素子ユニットおよびその製造方法、当該発光素子を備える発光素子パッケージおよび照明装置を提供すること。
【解決手段】表面4、裏面5(光取出し面)および側面6を有するLEDチップ2を、底壁72および側壁73によって区画された凹部74が形成され、底面75に対して角度θで傾斜し、光反射膜80が形成された第1傾斜面77および第2傾斜面78を有するSiサブマウント3に対して、裏面5を上方に向けたフェイスダウン姿勢で搭載する。
平面視において一対の長辺および一対の短辺を有する長方形状に形成され、底壁および前記長辺に沿った側壁を有するサブマウントであって、前記底壁および前記側壁によって区画され、前記短辺側が開放された凹部を有するサブマウントと、
表面、裏面および側面を有し、当該表面または当該裏面が内部で発生する光が出射される光取り出し面であり、前記サブマウントの凹部において前記光取出し面を上方に向けた姿勢で前記底壁により支持された半導体発光素子と、
前記サブマウントの前記側壁において前記長辺に沿って形成され、前記半導体発光素子を挟んで互いに対向する第1傾斜面および第2傾斜面と、
前記第1傾斜面上に形成され、前記半導体発光素子のアノードに電気的に接続されたアノード側反射膜、および前記第2傾斜面上に形成され、前記半導体発光素子のカソードに電気的に接続されたカソード側反射膜を含む光反射膜と、
前記サブマウントの前記側壁上の端部において、前記アノード側反射膜上に形成されたアノード端子部と、
平面視において前記アノード端子部と対角関係にある前記サブマウントの反対側の前記側壁上の端部において、前記カソード側反射膜上に形成されたカソード端子部とを含む、発光素子ユニット。
前記半導体発光素子は、前記裏面が光取出し面であり、前記表面を下方に向けたフェイスダウン姿勢で前記サブマウントに支持されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の発光素子ユニット。
前記半導体発光素子は、前記表面が光取出し面であり、当該表面を上方に向けたフェイスアップ姿勢で前記サブマウントに支持されている、請求項1〜16のいずれか一項に記載の発光素子ユニット。
前記凹部の形成後、前記Si基板の表面全域に、光を反射し得る導電材料層を形成し、当該導電材料層をパターニングすることによって、前記アノード側反射膜および前記カソード側反射膜を同時に形成する、 、請求項21に記載の発光素子ユニットの製造方法。
前記凹部の形成後、前記アノード側反射膜および前記カソード側反射膜の形成に先立って、前記Si基板の表面全域に、熱酸化によって絶縁膜を形成する工程をさらに含む、請求項21または22に記載の発光素子ユニットの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、マウント部は、発光素子と共に、当該発光素子を支持する大型なツェナーダイオードも設置できるように設計されている。そのため、発光素子の周面からの光を反射させるマウント部の側壁の位置が、ツェナーダイオードに対して間隔を空けた位置に制約される。
発光素子の周面とマウント部の側壁との距離は、本来、発光素子から出た光の反射だけを考慮すれば短くて済むものであるが、マウント部の側壁の位置の制約により、必要以上に長くなっている。そのため、発光素子から出た光が、マウント部の側壁に到達するまでに減衰するので、反射光を取り出すまでのロスが多いという不具合がある。
【0006】
本発明の目的は、半導体発光素子の側面から出る光を効率よく取り出すことができ、輝度を向上させることができる発光素子ユニットおよびその製造方法、当該発光素子を備える発光素子パッケージおよび照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための発光素子ユニットは、表面、裏面および側面を有し、当該表面または当該裏面が内部で発生する光が出射される光取り出し面である半導体発光素子と、底壁および側壁を有し、当該底壁および当該側壁によって区画された凹部が形成され、当該凹部において前記光取出し面を上方に向けた姿勢で前記底壁により前記半導体発光素子を支持しており、前記側壁が前記底壁に対して所定の角度で傾斜した傾斜面を前記半導体発光素子の前記側面に面して有しているサブマウントと、前記サブマウントの前記傾斜面に形成された光反射膜とを含んでいてもよい。
【0008】
この構成によれば、サブマウントの凹部において、半導体発光素子の側面に面し、光反射膜が形成された傾斜面が形成されている。この傾斜面(光反射膜)により、半導体発光素子の側面から出た光を、光取出し面からの光の出射方向と同じ方向へ反射させることができる。その結果、反射光を、半導体発光素子の輝度に寄与する光として取り出すことができる。
【0009】
さらに、傾斜面が、半導体発光素子を支持するサブマウントの側壁に形成されているので、半導体発光素子の側面と傾斜面との距離Dを、半導体発光素子の大きさに合わせて設計することができる。そのため、当該距離Dを適切な大きさに定めておけば、半導体発光素子の側面から出た光が減衰する前に、当該光を傾斜面(光反射膜)で反射させることができる。その結果、反射光を取り出すまでのロスが少なくて済み、半導体発光素子の側面からの光を効率よく取り出すことができる。よって、半導体発光素子の輝度を向上させることができる。
【0010】
また、前記サブマウントは、前記側壁が前記底壁を取り囲む平面視環状に形成された器状に形成されており、前記傾斜面は、前記半導体発光素子を取り囲むように形成されており、前記光反射膜は、前記傾斜面の周方向に沿って形成されていてもよい。
この構成によれば、光反射膜が、半導体発光素子を取り囲む傾斜面の周方向に沿って形成されている。そのため、半導体発光素子の側面から出る光を満遍なく取り出すことができる。その結果、半導体発光素子の輝度を一層向上させることができる。
【0011】
また、前記発光素子ユニットは、前記光反射膜上に形成された絶縁膜と、光を反射し得る導電材料からなり、前記サブマウントの前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨るように前記絶縁膜上に形成され、前記底壁上の部分が前記半導体発光素子のアノードおよびカソードにそれぞれ電気的に接続されたアノード配線およびカソード配線とをさらに含んでいてもよい。
【0012】
この構成によれば、アノード配線およびカソード配線が、光を反射し得る導電材料を用いて傾斜面に沿って敷設され、サブマウントの側壁の頂部まで引き出されている。これにより、半導体発光素子のアノードおよびカソードに電力を供給するワイヤ等をサブマウントの頂部において接続することができる。そのため、半導体発光素子の側面からの光が傾斜面(光反射膜)に到達するまでに、ワイヤ等の障害物に衝突することを防止することができる。その結果、障害物への衝突によるロスを低減することができるので、半導体発光素子の側面からの光を一層効率よく取り出すことができる。しかも、アノード配線およびカソード配線が光を反射し得る導電材料からなるので、これらの配線に当った光を、光取出し面からの光の出射方向と同じ方向へ反射させることもできる。
【0013】
また、前記発光素子ユニットでは、前記光反射膜が前記凹部内に露出していてもよく、その場合、前記光反射膜と同一材料からなり、露出した前記光反射膜から分離されて前記サブマントの前記底壁に形成され、前記半導体発光素子のアノードおよびカソードにそれぞれ電気的に接続されたアノードパッドおよびカソードパッドをさらに含むことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、光反射膜が凹部内に露出しているので、半導体発光素子の側面からの光を、光反射膜に直接当てることができる。そのため、光の反射率を向上させることができる。また、アノードパッドおよびカソードパッドが光反射膜と同一の材料からなるので、発光素子ユニットの製造工程において、フォトリソグラフィ技術等の公知の半導体装置製造技術の利用することにより、光反射膜と、アノードパッドおよびカソードパッドとを同時に簡単に作製することができる。
【0015】
また、前記サブマウントは、前記側壁が前記底壁を挟んで互いに対向する側面視凹状に形成された半筒状に形成されており、前記傾斜面は、前記半導体発光素子を介して互いに対向する一対の第1傾斜面および第2傾斜面を含み、前記光反射膜は、前記サブマウントの前記底壁、前記第1傾斜面および前記側壁の頂部に跨って前記凹部内に露出するように形成され、前記第1傾斜面上に形成された第1反射部と、前記底壁上に形成され、前記半導体発光素子のアノードに電気的に接続されたアノード接続部とを一体的に有するアノード側反射膜と、前記サブマウントの前記底壁、前記第2傾斜面および前記側壁の頂部に跨って前記凹部内に露出するように形成され、前記第2傾斜面上に形成された第2反射部と、前記底壁上に形成され、前記半導体発光素子のカソードに電気的に接続されたカソード接続部とを一体的に有し、前記アノード側反射膜から分離されたカソード側反射膜とを含んでいてもよい。
【0016】
この構成によれば、アノード側反射膜の第1反射部およびカソード側反射膜の第2反射部が傾斜面に沿って露出しているので、半導体発光素子の側面からの光を、これらの反射膜に直接当てることができる。そのため、光の反射率を向上させることができる。
さらに、アノード側反射膜は、第1反射部と一体的にアノード接続部を有するとともに、第1反射部を利用してサブマウントの側壁の頂部まで引き出されている。また、カソード側反射膜は、第2反射部と一体的にカソード接続部を有するとともに、第2反射部を利用してサブマウントの側壁の頂部まで引き出されている。これにより、半導体発光素子のアノードおよびカソードに電力を供給するワイヤ等をサブマウントの頂部において接続することができる。そのため、半導体発光素子の側面からの光が傾斜面(光反射膜)に到達するまでに、ワイヤ等の障害物に衝突することを防止することができる。その結果、障害物への衝突によるロスを低減することができるので、半導体発光素子の側面からの光を一層効率よく取り出すことができる。
【0017】
すなわち、この構成によれば、凹部内に露出するアノード側反射膜およびカソード側反射膜が、それぞれアノード配線およびカソード配線としての役割を兼ねている。これにより、反射膜の露出による反射率の向上効果と、サブマウントの底壁から側壁の頂部に至る配線敷設による光のロスの低減効果とを同時に達成することができる。したがって、上記したサブマウントとは異なり、光反射膜が半導体発光素子を取り囲むように形成されていなくても、光を効率よく取り出すことができる。
【0018】
また、前記発光素子ユニットでは、前記半導体発光素子が平面視長方形状に形成されていてもよく、その場合、前記アノードおよび前記カソードは、前記半導体発光素子の長手方向に沿って互いに隣接して前記半導体発光素子に形成されており、前記アノード接続部および前記カソード接続部は、半筒状の前記サブマウントの軸方向に沿って互いに間隔を空けて隣接して形成されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、アノード側反射膜の第1反射部およびカソード反射膜の第2反射部がいずれも、半導体発光素子の長手方向に沿う側面に面することとなる。これにより、半導体発光素子の幅方向に沿う側面に比べて、相対的に出射量の多い長手方向に沿う側面からの光を反射させることができる。そのため、側面からの光の取り出し量(絶対量)を増やすことができる。
【0020】
また、前記サブマウントの前記底壁に対する前記傾斜面の傾斜角度は、たとえば、30°〜80°であり、好ましくは、40°〜70°であり、さらに好ましくは、45°〜65°であり、とりわけ好ましくは、50°〜60°であり、最も好ましくは、53°〜57°である。
また、前記凹部には、樹脂蛍光体が充填されていてもよい。すなわち、前記発光素子ユニットによれば、凹部に樹脂蛍光体が充填されており、当該樹脂蛍光体により若干の光の減衰が懸念される場合でも、サブマウントの傾斜面に形成された光反射膜の反射効果により、光の取出し量の低下を抑えることができる。
【0021】
また、前記光反射膜は、アルミニウム(Al)からなっていてもよい。
また、前記光反射膜は、銀(Ag)、白金族金属および銅(Cu)を含む合金からなっていてもよい。その場合、前記白金族金属は、白金(Pt)またはパラジウム(Pd)であることが好ましい。
前記半導体発光素子は、前記裏面が光取出し面であり、前記表面を下方に向けたフェイスダウン姿勢で前記サブマウントに支持されていてもよい。また、前記半導体発光素子は、前記表面が光取出し面であり、当該表面を上方に向けたフェイスアップ姿勢で前記サブマウントに支持されていてもよい。
【0022】
また、上記目的を達成するための発光素子パッケージは、前記発光素子ユニットと、前記発光素子ユニットを支持するベース基板と、前記ベース基板上に形成され、前記発光素子ユニットを取り囲む樹脂ケースとを含んでいてもよい。
この構成によれば、前記発光素子ユニットが用いられており、半導体発光素子からの光の取出し効率が高いので、高輝度の発光素子パッケージを提供することができる。
【0023】
また、上記目的を達成するための照明装置は、細長い支持バーと、前記支持バーの長手方向に沿って配列された前記発光素子ユニットとを含んでいてもよい。
この構成によれば、前記発光素子ユニットが用いられており、半導体発光素子からの光の取出し効率が高いので、高輝度の照明装置を提供することができる。
また、上記目的を達成するための発光素子ユニットの製造方法は、表面および裏面を有するSi基板を当該表面側から選択的にウエットエッチングすることにより凹部を形成し、同時に、当該凹部を前記裏面側から区画する底壁に対して所定の角度で傾斜した傾斜面を、当該凹部を横側から区画する側壁における当該凹部側に形成する工程と、前記傾斜面に光反射膜を形成する工程と、表面、裏面および側面を有し、当該表面または当該裏面が内部で発生する光が出射される光取り出し面である半導体発光素子を、前記光取出し面が上方に向くように、かつ、前記側面が前記傾斜面に面するように、前記Si基板の前記底壁に設置する工程とを含んでいてもよい。
【0024】
この方法によれば、Si基板のウエットエッチングにより凹部が形成されるので、凹部の形成に際してはSi結晶が異方性にエッチングされる。これにより、凹部を横側から区画するSi基板の側壁に、傾斜面を簡単に形成することができる。
また、前記凹部を形成する工程は、前記Si基板の周縁部に沿って、前記表面に平面視環状の第1マスクを形成する工程と、前記第1マスクから露出する前記Si基板の前記表面からウエットエッチングすることにより、前記側壁が前記底壁を取り囲む平面視環状に形成されるように、前記Si基板を器状に加工する工程とを含んでいてもよい。
【0025】
この方法によれば、傾斜面が凹部を取り囲むように形成されるので、光反射膜を傾斜面の周方向に沿って形成することができる。これにより、半導体発光素子の側面から出る光を満遍なく取り出すことができる上記発光素子ユニットを簡単に製造することができる。
また、前記Si基板が平面視四角形状の場合、前記凹部を形成する工程は、前記Si基板の互いに対向する周縁部に沿って、前記表面に第2マスクを形成する工程と、前記第2マスクから露出する前記Si基板の前記表面からウエットエッチングすることにより、前記側壁が前記底壁を挟んで互いに対向するように、前記Si基板を側面視凹状の半筒状に加工する工程とを含んでいてもよい。
【0026】
また、前記光反射膜を形成する工程は、光を反射し得る導電材料を、前記Si基板の前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨るように形成する工程と、前記Si基板上の前記導電材料をパターニングすることにより、前記Si基板の前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨る第1反射膜を形成し、同時に、当該第1反射膜から分離され、前記Si基板の前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨る第2反射膜を形成する工程とを含んでいてもよい。
【0027】
この方法によれば、第1反射部およびアノード接続部を一体的に有するアノード側反射膜(たとえば、第1反射膜)と、第2反射部およびカソード接続部を一体的に有するカソード側反射膜(たとえば、第2反射膜)とを有する上記発光素子ユニットを製造することができる。さらに、第1反射膜および第2反射膜が同時に形成されるので、製造工程を簡略化することができる。
【0028】
また、前記発光素子ユニットの製造方法は、前記光反射膜上に絶縁膜を形成する工程と、前記Si基板の前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨るように、光を反射し得る導電材料を前記絶縁膜上に形成することにより、互いに分離された第1配線および第2配線を同時に形成する工程とをさらに含んでいてもよい。
この方法によれば、アノード配線(たとえば、第1配線)およびカソード配線(たとえば、第2配線)を光反射膜とは別に有する上記発光素子ユニットを製造することができる。さらに、第1配線および第2配線が同時に形成されるので、製造工程を簡略化することができる。
【0029】
また、前記光反射膜を形成する工程は、光を反射し得る導電材料を、前記Si基板の前記底壁、前記傾斜面および前記側壁の頂部に跨るように形成する工程と、前記Si基板上の前記導電材料をパターニングすることにより、前記傾斜面上に前記光反射膜を形成し、同時に、前記Si基板の前記底壁上に当該光反射膜から分離され、かつ互いに分離された第1パッドおよび第2パッドを形成する工程とを含んでいてもよい。
【0030】
この方法によれば、アノードパッド(たとえば、第1パッド)およびカソードパッド(たとえば、第2パッド)を有する上記発光素子ユニットを製造することができる。さらに、光反射膜、第1パッドおよび第2パッドが同時に形成されるので、製造工程を簡略化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施の形態および参考例を、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1参考例>
図1は、本発明の第1参考例に係るLED素子ユニットの模式的な平面図である。
図2は、
図1に示すLED素子ユニットの断面図であって、
図1の切断線A−Aでの切断面を示す。
【0033】
発光素子ユニットとしてのLED素子ユニット1は、半導体発光素子としてのLEDチップ2と、LEDチップ2を支持するSiサブマウント3とを備えている。
LEDチップ2は、表面4、裏面5および側面6を有する多面体形状(
図1および
図2では、直方体形状)に形成されており、たとえば、透明基板としてのサファイア基板の表面側にIII族窒化物半導体層からなる発光ダイオード構造を形成したものである。LEDチップ2の内部で発生した光は、裏面5を形成するサファイア基板を透過して出射される。つまり、このLEDチップ2では、裏面5が光取出し面である。
【0034】
LEDチップ2の表面4には、アノード電極7およびカソード電極8が互いに隣接して設けられている。アノード電極7およびカソード電極8は、たとえば、銀(Ag)、チタン(Ti)もしくは白金(Pt)またはこれらの合金からなる。また、アノード電極7およびカソード電極8は、半田またはAuSnからなってもよい。平面視において、アノード電極7は、たとえば、略E字形状であり、カソード電極8は、略I字形状である。
【0035】
Siサブマウント3は、(100)面を主面とするSi基板29を用いて形成されており、平面視長方形状である。このSiサブマウント3は、底壁9と、当該底壁9を取り囲む平面視四角環状の側壁10と有し、底壁9および側壁10で取り囲まれる部分に凹部11が形成された器状に形成されている。つまり、凹部11は、Siサブマウント3の底壁9および側壁10により区画されている。また、底壁9における凹部11に臨む面(Siサブマウント3の底面12)は、(100)面である。
【0036】
Siサブマウント3の側壁10における凹部11に臨む面は、平面視において側壁10の一対の長辺および一対の短辺を形成する4つの頂面13それぞれと一辺を共有する4つの平面により形成されている。これら4つの平面は、互いに対向する2平面間の距離が底壁9へ向かって狭まる傾斜面14(テーパ面)とされている。隣り合う傾斜面14の間には、側壁10の4つの角に延びる稜線15が形成されている。
【0037】
各傾斜面14は、Siサブマウント3の底面12に対して、角度θで傾斜している。角度θは、たとえば、30°〜80°であり、好ましくは、40°〜70°であり、さらに好ましくは、45°〜65°であり、とりわけ好ましくは、50°〜60°であり、最も好ましくは、53°〜57°である。
Siサブマウント3の表面には、SiO
2からなる絶縁膜16(酸化膜)が形成されている。絶縁膜16は、Siサブマウント3の底面12および傾斜面14の全域を一体的に覆うように、底面12、傾斜面14および側壁10の頂面13に跨って形成されている。
【0038】
この絶縁膜16上には、光反射膜17、アノードパッド18およびカソードパッド19が互いに分離して形成されている。光反射膜17、アノードパッド18およびカソードパッド19は、同一材料からなり、具体的には、光を反射し得る導電材料としてのアルミニウム(Al)からなる。
なお、光反射膜17、アノードパッド18およびカソードパッド19は、銀(Ag)と白金(Pt)族金属と銅(Cu)とを含む合金からなっていてもよい。当該白金族金属として、白金(Pt)やパラジウム(Pd)を用いることができる。各金属の配合比率は、Agが98%程度であり、白金族金属およびCuのそれぞれが1%程度である。
【0039】
光反射膜17は、傾斜面14の周方向(底面12の周縁に沿う方向)に沿って、4つの傾斜面14に跨るように一体的に形成されている。当該光反射膜17は、Siサブマウント3の底面12と傾斜面14とが交って形成される平面視四角環状の交差部20を露出させ、側壁10の頂面13における凹部11の周縁部を被覆するように形成されている。つまり、光反射膜17の下端は、傾斜面14の下端よりもやや上側に位置することになる。なお、光反射膜17は、交差部20を被覆するように、底面12の周縁部、傾斜面14および側壁10の頂面13に跨って形成されていてもよい。
【0040】
アノードパッド18およびカソードパッド19は、絶縁膜16における底壁9上の部分に形成されている。アノードパッド18およびカソードパッド19は、Siサブマウント3の長手方向に沿って隣接して配置されている。アノードパッド18およびカソードパッド19は、平面視四角形状である。
アノードパッド18上には、アノード接合層21が形成され、カソードパッド19上には、カソード接合層22が形成されている。アノード接合層21およびカソード接合層22は、底面12側から順に積層されたTi層およびAu層の2層構造(Ti/Au)を有している。平面視において、アノード接合層21は、たとえば、アノード電極7よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略E字形状であり、カソード接合層22は、たとえば、カソード電極8よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略I字形状である。
【0041】
そして、LEDチップ2は、略E字形状同士のアノード電極7とアノード接合層21、および略I字形状同士のカソード電極8とカソード接合層22がそれぞれ接合されることにより、LEDチップ2の表面4を下方に向けたフェイスダウン姿勢でSiサブマウント3に下方から支持されている。これにより、LEDチップ2およびSiサブマウント3の積層構造からなるLED素子ユニット1が構成されている。当該積層構造において、アノード電極7よりも幅広なアノード接合層21は、カソード接合層22とは反対側に引き出されたアノード引出し部23を有している。また、カソード電極8よりも幅広なカソード接合層22は、アノード接合層21とは反対側に引き出されたカソード引出し部24を有している。これらのアノード引出し部23およびカソード引出し部24にはそれぞれ、LEDチップ2のアノードおよびカソードに電力を供給するためのボンディングワイヤ25が接続されることとなる。
【0042】
また、Siサブマウント3の凹部11には、樹脂蛍光体26が充填されている(
図1では省略)。樹脂蛍光体26は、LEDチップ2が出射する光の波長を変化させる物質であり、これにより、LED素子ユニット1は、LEDチップ2が出射する光の色とは異なる色の光を取り出すことができる。たとえば、LEDチップ2が青色光(波長:450nm程度)を発光する場合、当該青色光は樹脂蛍光体26によって白色光に変換され、その白色光が取り出される。
【0043】
図3A〜
図3Jは、
図2に示すLED素子ユニットの製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
図1に示すLED素子ユニット1を製造するには、たとえば、まず、
図3Aに示すように、表面27((100)面)および裏面28を有するウエハ状態のSi基板29(たとえば、400μm厚)が用意される。
【0044】
次に、
図3Bに示すように、たとえば、熱酸化法により、Si基板29の表面27が第1マスクとしての酸化膜30(たとえば、1000nm厚)が形成される。次に、公知のフォトリソグラフィ技術によって、この酸化膜30が、平面視四角環状の形状にパターニングされる。これにより、Si基板29の表面27において、酸化膜30に取り囲まれる中央部が露出することとなる。
【0045】
次に、
図3Cに示すように、Si基板29の中央部を露出させる酸化膜30を介して、Si基板29の表面27にエッチャントが供給される(たとえば、5時間程度の供給)。エッチャントとしては、たとえば、水酸化カリウム(KOH)水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液等が用いられる。エッチャントの供給により、Si基板29がその表面27((100)面)側からウェットエッチング(異方性エッチング)される。これにより、Si基板29に凹部11が形成され、角度θで傾斜した傾斜面14を有する器状のSiサブマウント3が形成される。
【0046】
次に、
図3Dに示すように、たとえば、LL−BHF(Buffered Hydrogen Fluoride:バッファードフッ酸)処理により、Siサブマウント3から酸化膜30が除去される。
次に、
図3Eに示すように、たとえば、熱酸化法により、Siサブマウント3の表面全域に絶縁膜16が形成される。
次に、
図3Fに示すように、たとえば、スパッタ法により、光を反射し得る導電材料としてのAl堆積層31が、絶縁膜16の全域を覆うように形成される。
【0047】
次に、
図3Gに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により、Al堆積層31がパターニングされる。これにより、互いに分離された光反射膜17、第1パッドとしてのアノードパッド18および第2パッドとしてのカソードパッド19が同時に形成される。
次に、
図3Hに示すように、Siサブマウント3の表面全域にネガ型のフォトレジスト(図示せず)が塗布され、当該ネガ型のフォトレジストが、アノード接合層21およびカソード接合層22を形成すべき領域に開口を有するようにパターニングされる。そして、たとえば、スパッタ法により、ネガ型のフォトレジスト上からTi層およびAu層が順に堆積される。その後、ネガ型のフォトレジストとともに、Ti層およびAu層の不要部分がリフトオフされる。これにより、アノード接合層21およびカソード接合層22が形成される。
【0048】
次に、
図3Iに示すように、光反射膜17および絶縁膜16におけるSiサブマウント3の頂面13に設定されたダイシングライン上の部分が、選択的に除去される。その後、当該ダイシングライン上でSiサブマウント3が切断される。これにより、ウエハが各Siサブマウント3に個片化される。
次に、
図3Jに示すように、個片化された各Siサブマウント3のアノード接合層21およびカソード接合層22に対して、LEDチップ2のアノード電極7およびカソード電極8が1対1で接合される。この後、Siサブマウント3の凹部11に樹脂蛍光体26が充填される。
【0049】
以上の工程を経ることにより、
図1に示すLED素子ユニット1が得られる。
以上のように、このLED素子ユニット1によれば、Siサブマウント3の凹部11において、LEDチップ2の側面6に面し、光反射膜17が形成された傾斜面14が形成されている。この傾斜面14(光反射膜17)により、LEDチップ2の側面6から出た光を、光取出し面(LEDチップ2の裏面5)からの光の出射方向と同じ方向へ反射させることができる。その結果、反射光を、LEDチップ2の輝度に寄与する光として取り出すことができる。
【0050】
さらに、傾斜面14が、Siサブマウント3の側壁10に形成されているので、LEDチップ2の側面6と傾斜面14との距離Dを、LEDチップ2の大きさに合わせて設計することができる。そのため、当該距離Dを適切な大きさに定めておけば、LEDチップ2の側面6から出た光が減衰する前に、当該光を傾斜面14(光反射膜17)で反射させることができる。その結果、反射光を取り出すまでのロスが少なくて済み、LEDチップ2の側面6からの光を効率よく取り出すことができる。よって、LEDチップ2の輝度を向上させることができる。
【0051】
そして、傾斜面14の傾斜角度θは、(100)面を主面(表面27)とするSi基板29を主面側からウエットエッチングして、Si結晶を異方性にエッチングすることにより、簡単に形成することができる(
図3Cの工程)。
また、光反射膜17が、LEDチップ2を取り囲む傾斜面14の周方向に沿って形成されている。そのため、LEDチップ2の側面6から出る光を満遍なく取り出すことができる。その結果、LEDチップ2の輝度を一層向上させることができる。
【0052】
また、光反射膜17が凹部11内に露出しているので、LEDチップ2の側面6からの光を、光反射膜17に直接当てることができる。そのため、光の反射率を向上させることができる。
また、アノードパッド18およびカソードパッド19が光反射膜17と同一の材料からなるので、LED素子ユニット1の製造工程において、フォトリソグラフィ技術等の公知の半導体装置製造技術の利用することにより、光反射膜17と、アノードパッド18およびカソードパッド19とを同時に簡単に作製することができる(
図3Gの工程)。
【0053】
また、このLED素子ユニット1によれば、
図2に示すように凹部11に樹脂蛍光体26が充填されており、当該樹脂蛍光体26により若干の光の減衰が懸念される場合でも、Siサブマウント3の傾斜面14に形成された光反射膜17の反射効果により、光の取出し量の低下を抑えることができる。
そして、第1参考例のLED素子ユニット1は、各種LEDパッケージに利用することができる。
【0054】
図4は、
図1に示すLED素子ユニットを備えるLEDパッケージの模式的な斜視図である。
LEDパッケージ32は、たとえば、信号機、電光掲示板、液晶ディスプレイのバックライト、自動車および自転車のランプ等の各種照明、電子写真式プリンタの感光用光源等に用いられる。
【0055】
LEDパッケージ32は、ベース基板33と、ベース基板33上に取り付けられた樹脂ケース34とを備えている。
ベース基板33は、端部に凸条35を有する絶縁性基板36の凸条35に対して、凹条37,38が形成された金属製のアノード端子39およびカソード端子40を嵌合させることにより、全体として長方形板状に形成したものである。アノード端子39およびカソード端子40はそれぞれ、ベース基板33の長手方向の各端部を形成している。
【0056】
樹脂ケース34は、ベース基板33の中央部を取り囲むように、ベース基板33の周縁に沿う四角環を形成する壁状に形成されている。
そして、樹脂ケース34に取り囲まれたベース基板33の中央部に、上記したLED素子ユニット1が搭載されている。LED素子ユニット1のアノード引出し部23とアノード端子39とは、ボンディングワイヤ41で接続され、LED素子ユニット1のカソード引出し部24とカソード端子40とは、ボンディングワイヤ42で接続される。
【0057】
LED素子ユニット1で発生した光は、樹脂パッケージの開放面43(ベース基板33とは反対側の面)から放射される。
このLEDパッケージ32によれば、前述のLED素子ユニット1が用いられており、LEDチップ2からの光の取出し効率が高いので、高輝度のLEDパッケージ32を提供することができる。
【0058】
また、第1参考例のLED素子ユニット1は、LEDチップ2の側面6からの光を反射させる構成として、LED素子ユニット1を取り囲む樹脂パッケージ(たとえば、
図4に示す樹脂パッケージ等)を必要としないので、そのまま各種LED照明に利用することができる。
図5は、
図1に示すLED素子ユニットを備えるLEDバーライトの模式的な斜視図である。
【0059】
照明装置としてのLEDバーライト44は、細長い支持バー45と、当該支持バー45の長手方向に沿って互いに平行に形成されたアノード配線46およびカソード配線47とを備えている。
アノード配線46は、支持バー45の一端からアノード端子48として露出している。また、カソード配線47は、支持バー45の他端(アノード端子48の反対側の端部)からカソード端子49として露出している。
【0060】
そして、アノード配線46とカソード配線47との間の領域に、支持バー45の長手方向に沿って複数(
図5では、10個)のLED素子ユニット1が配列されている。各LED素子ユニット1は、アノード側がアノード配線46と向かい合うように、かつカソード側がカソード配線47と向かい合うように設置されている。LED素子ユニット1のアノード引出し部23とアノード配線46とは、ボンディングワイヤ50で接続され、LED素子ユニット1のカソード引出し部24とカソード配線47とは、ボンディングワイヤ51で接続される。
【0061】
このLEDバーライト44によれば、前述のLED素子ユニット1が用いられており、LEDチップ2からの光の取出し効率が高いので、高輝度のLED照明を提供することができる。
<第2参考例>
図6は、本発明の第2参考例に係るLED素子ユニットの模式的な平面図である。
図7は、
図6に示すLED素子ユニットの断面図であって、
図6の切断線B−Bでの切断面を示す。
図6および
図7において、
図1および
図2に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、
図6および
図7に示す構造について、
図1および
図2に示す構造との相違点のみを説明し、同一の参照符号を付した各部の説明を省略する。
【0062】
この第2参考例のLED素子ユニット61では、絶縁膜16上に、光反射膜62が一体的に形成されている。光反射膜62は、前述の光反射膜17と同一の材料(たとえば、Al)からなる。光反射膜62は、絶縁膜16の全域を一体的に覆うように、Siサブマウント3の底面12、傾斜面14および側壁10の頂面13に跨って形成されている。
また、光反射膜62上には、SiO2からなる第2絶縁膜63(酸化膜)が形成されている。第2絶縁膜63は、光反射膜62の全域を一体的に覆うように、Siサブマウント3の底面12、傾斜面14および側壁10の頂面13に跨って形成されている。
【0063】
そして、第2絶縁膜63上には、アノード配線64およびカソード配線65が形成されている。アノード配線64およびカソード配線65は、光を反射し得る導電材料からなり、たとえば、光反射膜62と同一材料からなる。
アノード配線64は、Siサブマウント3の長手方向に沿って、底面12から側壁10の一対の短辺を形成する一方の頂面13まで傾斜面14に沿って引き出されており、底面12、傾斜面14および頂面13に跨って形成されている。
【0064】
カソード配線65は、Siサブマウント3の長手方向に沿って、底面12から側壁10の一対の短辺を形成する他方の頂面13まで傾斜面14に沿って引き出されており、底面12、傾斜面14および頂面13に跨って形成されている。
すなわち、アノード配線64およびカソード配線65は、Siサブマウント3の長手方向に沿って全体として直線状に配列されており、第2絶縁膜63における底壁9上の部分において互いに分離されている。
【0065】
アノード配線64における底面12上の部分には、アノード接合層66が形成されており、頂面13上の部分には、アノード端子層67が形成されている。アノード接合層66およびアノード端子層67は、底面12側から順に積層されたTi層およびAu層の2層構造(Ti/Au)を有している。平面視において、アノード接合層66は、たとえば、アノード電極7よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略E字形状であり、アノード端子層67は、たとえば、略I字形状である。
【0066】
カソード配線65における底面12上の部分には、カソード接合層68が形成されており、頂面13上の部分には、カソード端子層69が形成されている。カソード接合層68およびカソード端子層69は、底面12側から順に積層されたTi層およびAu層の2層構造(Ti/Au)を有している。平面視において、カソード接合層68は、たとえば、カソード電極8よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略I字形状であり、カソード端子層69は、たとえば、略I字形状である。
【0067】
そして、LEDチップ2は、略E字形状同士のアノード電極7とアノード接合層66、および略I字形状同士のカソード電極8とカソード接合層68がそれぞれ接合されることにより、LEDチップ2の表面4を下方に向けたフェイスダウン姿勢でSiサブマウント3に下方から支持されている。これにより、LEDチップ2およびSiサブマウント3の積層構造からなるLED素子ユニット61が構成されている。アノード端子層67およびカソード端子層69にはそれぞれ、LEDチップ2のアノードおよびカソードに電力を供給するためのボンディングワイヤ25が接続されることとなる。
【0068】
図8A〜
図8Eは、
図7に示すLED素子ユニットの製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
図7に示すLED素子ユニット61を製造するには、たとえば、
図3A〜
図3Fに示す工程が行われて、凹部11が形成されたSiサブマウント3が形成され、このSiサブマウント3に絶縁膜16およびAl堆積層31(光反射膜62)が順に形成される。
【0069】
次に、
図8Aに示すように、たとえば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第2絶縁膜63が、光反射膜62の全域を覆うように形成される。
次に、
図8Bに示すように、Siサブマウント3の表面全域にネガ型のフォトレジスト(図示せず)が塗布され、当該ネガ型のフォトレジストが、アノード配線64およびカソード配線65を形成すべき領域に開口を有するようにパターニングされる。そして、たとえば、スパッタ法により、ネガ型のフォトレジスト上からAl層が堆積される。その後、ネガ型のフォトレジストとともに、Al層の不要部分がリフトオフされる。これにより、第1配線としてのアノード配線64および第2配線としてのカソード配線65が同時に形成される。
【0070】
次に、
図8Cに示すように、
図8Bに示したリフトオフ法と同様の方法により、アノード接合層66、アノード端子層67、カソード接合層68およびカソード端子層69が同時に形成される。
次に、
図8Dに示すように、アノード端子層67、カソード端子層69、アノード配線64、カソード配線65、第2絶縁膜63、光反射膜62および絶縁膜16におけるSiサブマウント3の頂面13に設定されたダイシングライン上の部分が、選択的に除去される。その後、当該ダイシングライン上でSiサブマウント3が切断される。これにより、ウエハが各Siサブマウント3に個片化される。
【0071】
次に、
図8Eに示すように、個片化された各Siサブマウント3のアノード接合層66およびカソード接合層68に対して、LEDチップ2のアノード電極7およびカソード電極8が1対1で接合される。この後、Siサブマウント3の凹部11に樹脂蛍光体26が充填される。
以上の工程を経ることにより、
図7に示すLED素子ユニット61が得られる。
【0072】
この第2参考例のLED素子ユニット61によっても、第1参考例のLED素子ユニット1と同様の作用効果を発現することができる。
さらに、このLED素子ユニット61によれば、アノード配線64およびカソード配線65が、光を反射し得る導電材料を用いて傾斜面14に沿って敷設され、Siサブマウント3の側壁10の頂面13まで引き出されている。これにより、LEDチップ2のアノードおよびカソードに電力を供給するボンディングワイヤ25をSiサブマウント3の頂面13(アノード端子層67およびカソード端子層69)において接続することができる。そのため、LEDチップ2の側面6からの光が傾斜面14(光反射膜62、アノード配線64およびカソード配線65)に到達するまでに、ワイヤ等の障害物に衝突することを防止することができる。その結果、障害物への衝突によるロスを低減することができるので、LEDチップ2の側面6からの光を一層効率よく取り出すことができる。
【0073】
また、アノード配線64およびカソード配線65が光を反射し得る導電材料からなるので、これらの配線に当った光を、光取出し面からの光の出射方向と同じ方向へ反射させることもできる。しかも、アノード配線64およびカソード配線65が、Siサブマウントの長手方向に沿って形成されている。したがって、当該長手方向に交差するLEDチップ2の側面6からの光はアノード配線64およびカソード配線65により反射させ、一方、当該長手方向に沿うLEDチップ2の側面6からの光は、第2絶縁膜63を通過して光反射膜62で反射させることができる。そのため、互いに対向する傾斜面14で反射する光の量をほぼ同じ量にすることができる。その結果、取り出される光の偏りを少なくすることができる。
【0074】
そして、この第2参考例のLED素子ユニット61も、第1参考例のLED素子ユニット1と同様に、各種LEDパッケージおよび各種LED照明に利用することができる。
<本発明の実施形態>
図9は、本発明の一実施形態に係るLED素子ユニットの模式的な平面図である。
図10は、
図9に示すLED素子ユニットの側面図であって、
図9の方向Cへ観察したときの側面を示す。
図9および
図10において、
図1および
図2に示す各部に相当する部分には、それらの各部に付した参照符号と同一の参照符号を付している。そして、以下では、
図9および
図10に示す構造について、
図1および
図2に示す構造との相違点のみを説明し、同一の参照符号を付した各部の説明を省略する。
【0075】
この実施形態のLED素子ユニット71では、Siサブマウント3は、底壁72と、当該底壁72を挟んでSiサブマウント3の幅方向に沿って互いに対向する側壁73とを有し、底壁72および側壁73で取り囲まれる部分に凹部74が形成された側面視凹状の半筒状に形成されている。つまり、凹部74は、Siサブマウント3の底壁72および側壁73により区画されている。また、底壁72における凹部74に臨む面(Siサブマウント3の底面75)は、(100)面である。
【0076】
Siサブマウント3の側壁73における凹部74に臨む面は、平面視において側壁73の一対の辺を形成する2つの頂面76それぞれと一辺を共有する2つの平面により形成されている。これら2つの平面は、これらの間の距離が底壁72へ向かって狭まる第1傾斜面77および第2傾斜面78(テーパ面)とされている。
各傾斜面77,78は、Siサブマウント3の底面75に対して、角度θで傾斜している。角度θは、たとえば、30°〜80°であり、好ましくは、40°〜70°であり、さらに好ましくは、45°〜65°であり、とりわけ好ましくは、50°〜60°であり、最も好ましくは、53°〜57°である。
【0077】
Siサブマウント3の表面には、SiO
2からなる絶縁膜79(酸化膜)が形成されている。絶縁膜79は、Siサブマウント3の底面75および第1および第2傾斜面78の全域を一体的に覆うように、底面75、第1および第2傾斜面78および側壁73の頂面76に跨って形成されている。
この絶縁膜79上には、光反射膜80が形成されている。光反射膜80は、前述の光反射膜17と同一の材料(たとえば、Al)からなる。
【0078】
光反射膜80は、Siサブマウントの凹部74内に露出するように形成され、互いに分離されたアノード側反射膜81およびカソード側反射膜82を含んでいる。
アノード側反射膜81は、第1反射部83と、アノード接続部84とを一体的に有している。
第1反射部83は、Siサブマウントの長手方向一端から他端に至るまで、Siサブマウントの底面75と第1傾斜面77とが交わって形成された第1交差部85、第1傾斜面77および側壁73の頂面76に跨って形成されている。
【0079】
アノード接続部84は、第1反射部83におけるSiサブマウントの長手方向一端部から第2傾斜面78側へ底面75に沿って引き出された引出し部である。
カソード側反射膜82は、第2反射部86と、カソード接続部87とを一体的に有している。
第2反射部86は、Siサブマウントの長手方向一端から他端に至るまで、Siサブマウントの底面75と第2傾斜面78とが交わって形成された第2交差部88、第2傾斜面78および側壁73の頂面76に跨って形成されている。
【0080】
カソード接続部87は、第2反射部86におけるSiサブマウントの長手方向他端部(アノード接続部84とは反対側の端部)から第1傾斜面77側へ底面75に引き出された引出し部である。これにより、アノード接続部84およびカソード接続部87は、半筒状のSiサブマウントの長手方向(軸方向)に沿って互いに間隔を空けて隣接して配置されており、Siサブマウント3の底面75上の部分に、アノード側反射膜81およびカソード側反射膜82によって区画されたクランク状のトレンチ89が形成されることとなる。
【0081】
アノード接続部84上には、アノード接合層90が形成され、カソード接続部87上には、カソード接合層91が形成されている。アノード接合層90およびカソード接合層91は、底面75側から順に積層されたTi層およびAu層の2層構造(Ti/Au)を有している。平面視において、アノード接合層90は、たとえば、アノード電極7よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略E字形状であり、カソード接合層91は、たとえば、カソード電極8よりもSiサブマウント3の長手方向に沿って幅広な略I字形状である。
【0082】
また、第1反射部83における頂面76上の部分には、アノード端子層92が形成されている。アノード端子層92は、アノード接合層90と同一材料からなる。アノード端子層92は、Si基板96の長手方向の中央に対してアノード接続部84側の端部に配置されている。一方、第2反射部86における頂面76上の部分には、カソード端子層93が形成されている。カソード端子層93は、カソード接合層91と同一材料からなる。カソード端子層93は、Si基板96の長手方向の中央に対してカソード接続部87側の端部に配置されている。すなわち、アノード端子層92およびカソード端子層93は、Siサブマウントの平面視において、互いに対角関係に配置されている。
【0083】
そして、LEDチップ2は、略E字形状同士のアノード電極7とアノード接合層90、および略I字形状同士のカソード電極8とカソード接合層91がそれぞれ接合されることにより、LEDチップ2の表面4を下方に向けたフェイスダウン姿勢でSiサブマウント3に下方から支持されている。これにより、LEDチップ2およびSiサブマウント3の積層構造からなるLED素子ユニット71が構成されている。アノード端子層92およびカソード端子層93にはそれぞれ、LEDチップ2のアノードおよびカソードに電力を供給するためのボンディングワイヤ25が接続されることとなる。
【0084】
図11A〜
図11Jは、
図10に示すLED素子ユニットの製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
図10に示すLED素子ユニット71を製造するには、たとえば、まず、
図11Aに示すように、表面94((100)面)および裏面95を有するウエハ状態のSi基板96(たとえば、400μm厚)が用意される。
【0085】
次に、
図11Bに示すように、たとえば、熱酸化法により、Si基板96の表面94が第2マスクとしての酸化膜97(たとえば、1000nm厚)が形成される。次に、公知のフォトリソグラフィ技術によって、この酸化膜97が、平面視平行直線状の形状にパターニングされる。これにより、Si基板96の表面94において、一対の酸化膜97で挟まれる中央部が露出することとなる。
【0086】
次に、
図11Cに示すように、Si基板96の中央部を露出させる酸化膜97を介して、Si基板96の表面94にエッチャントが供給される(たとえば、5時間程度の供給)。エッチャントとしては、たとえば、水酸化カリウム(KOH)水溶液、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液等が用いられる。エッチャントの供給により、Si基板96がその表面94((100)面)側からウェットエッチング(異方性エッチング)される。これにより、Si基板96に凹部74が形成され、角度θで傾斜した第1傾斜面77および第2傾斜面78を有する半筒状のSiサブマウント3が形成される。
【0087】
次に、
図11Dに示すように、たとえば、LL−BHF(Buffered Hydrogen Fluoride:バッファードフッ酸)処理により、Siサブマウント3から酸化膜97が除去される。
次に、
図11Eに示すように、たとえば、熱酸化法により、Siサブマウント3の表面全域に絶縁膜79が形成される。
次に、
図11Fに示すように、たとえば、スパッタ法により、光を反射し得る導電材料としてのAl堆積層98が、絶縁膜79の全域を覆うように形成される。
【0088】
次に、
図11Gに示すように、公知のフォトリソグラフィ技術により、Al堆積層98がパターニングされる。これにより、互いに分離された第1反射膜としてのアノード側反射膜81および第2反射膜としてのカソード側反射膜82が同時に形成される。
次に、
図11Hに示すように、Siサブマウント3の表面全域にネガ型のフォトレジスト(図示せず)が塗布され、当該ネガ型のフォトレジストが、アノード接合層90、アノード端子層92、カソード接合層91およびカソード端子層93を形成すべき領域に開口を有するようにパターニングされる。そして、たとえば、スパッタ法により、ネガ型のフォトレジスト上からTi層およびAu層が順に堆積される。その後、ネガ型のフォトレジストとともに、Ti層およびAu層の不要部分がリフトオフされる。これにより、アノード接合層90、アノード端子層92、カソード接合層91およびカソード端子層93が同時に形成される。
【0089】
次に、
図11Iに示すように、アノード側反射膜81、カソード側反射膜82および絶縁膜79におけるSiサブマウント3の頂面76に設定されたダイシングライン上の部分が、選択的に除去される。その後、当該ダイシングライン上でSiサブマウント3が切断される。これにより、ウエハが各Siサブマウント3に個片化される。
次に、
図11Jに示すように、個片化された各Siサブマウント3のアノード接合層90およびカソード接合層91に対して、LEDチップ2のアノード電極7およびカソード電極8が1対1で接合される。この後、Siサブマウント3の凹部74に樹脂蛍光体26が充填される。
【0090】
以上の工程を経ることにより、
図10に示すLED素子ユニット71が得られる。
この実施形態のLED素子ユニット71によっても、第1参考例のLED素子ユニット1と同様の作用効果を発現することができる。
さらに、このLED素子ユニット71によれば、アノード側反射膜81の第1反射部83およびカソード側反射膜82の第2反射部86が傾斜面77,78に沿って露出しているので、LEDチップ2の側面6からの光を、これらの反射膜81,82に直接当てることができる。そのため、光の反射率を向上させることができる。
【0091】
さらに、アノード側反射膜81は、第1反射部83と一体的にアノード接続部84を有するとともに、第1反射部83を利用してサブマウントの側壁73の頂面76まで引き出されている。また、カソード側反射膜82は、第2反射部86と一体的にカソード接続部87を有するとともに、第2反射部86を利用してサブマウントの側壁73の頂面76まで引き出されている。これにより、LEDチップ2のアノードおよびカソードに電力を供給するボンディングワイヤ25をSiサブマウント3の頂面76(アノード端子層92およびカソード端子層93)において接続することができる。そのため、LEDチップ2の側面6からの光が傾斜面77,78(アノード側反射膜81およびカソード側反射膜82)に到達するまでに、ワイヤ等の障害物に衝突することを防止することができる。その結果、障害物への衝突によるロスを低減することができるので、LEDチップ2の側面6からの光を一層効率よく取り出すことができる。
【0092】
すなわち、このLED素子ユニット71によれば、凹部74内に露出するアノード側反射膜81およびカソード側反射膜82が、それぞれアノード配線およびカソード配線としての役割を兼ねている。これにより、反射膜81,82の露出による反射率の向上効果と、Siサブマウント3の底面75から側壁73の頂面76に至る配線敷設による光のロスの低減効果とを同時に達成することができる。したがって、第1参考例および第2参考例のSiサブマウント3とは異なり、光反射膜80がLEDチップ2を取り囲むように形成されていなくても、光を効率よく取り出すことができる。
【0093】
また、アノード端子層92およびカソード端子層93が、互いに対角関係となるように、それぞれの電気的な接続対象(アノード端子層92の対象はアノード接合層90であり、カソード端子層93の対象はカソード接合層91である。)に近い位置に配置されている。そのため、ボンディングワイヤ25から供給された電力がLEDチップ2のアノードおよびカソードに到達するまでの電圧降下を小さくすることができる。
【0094】
そして、この実施形態のLED素子ユニット71も、第1参考例のLED素子ユニット1と同様に、各種LEDパッケージおよび各種LED照明に利用することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、LEDチップ2は、表面4が光取出し面とされ、当該表面4(光取出し面)を上方に向けたフェイスアップ姿勢でSiサブマウント3に支持されるものであってもよい。
【0095】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。