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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-159637(P2015-159637A)
(43)【公開日】2015年9月3日
(54)【発明の名称】電力制御器
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/10 20060101AFI20150807BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20150807BHJP
【FI】
   H02J1/10
   H02J7/35 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-32144(P2014-32144)
(22)【出願日】2014年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】503361400
【氏名又は名称】国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】艸分 宏昌
【テーマコード(参考)】
5G065
5G503
【Fターム(参考)】
5G065CA01
5G065CA04
5G065DA01
5G065KA01
5G065KA04
5G503AA06
5G503CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】追加の太陽電池や余剰電力を消費するための負荷の発熱処理に必要な熱対策を不要とする電力制御器を提供する。
【解決手段】複数の電源SA1〜SA4と前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子D1〜D4各々が直列に接続され、複数の電源各々はそれぞれに対応する複数の逆流防止素子を介してバスキャパシタCに並列に接続され、複数のシャントスイッチ部SSW1〜SSW4は対応する複数の電源各々に並列に接続され、シャントスイッチと該シャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチSW1−1〜SW1−4を含み、シャントスイッチのいずれかにオン故障を検出した場合、制御部は第1のスイッチに対してオン故障が検出されたシャントスイッチに供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又はオン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチをオフする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電源と、
前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子と、
前記複数の電源にそれぞれ対応する複数のシャントスイッチ部と、
バスキャパシタと、
制御部と、
を備え、
前記複数の電源の各々と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々は、直列に接続され、
前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して前記バスキャパシタに並列に接続され、
前記複数のシャントスイッチ部の各々は、対応する前記複数の電源の各々に並列に接続され、
前記複数のシャントスイッチ部の各々は、シャントスイッチと、該シャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチを含み、
前記制御部は、前記シャントスイッチ及び前記第1のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かついずれの前記シャントスイッチにオン故障が発生しているかを検出可能であり、
前記シャントスイッチのいずれかにオン故障を検出した場合、オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチに対して、前記オン故障が検出されたシャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又は前記オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチをオフする、
電力制御器。
【請求項2】
前記バスキャパシタに並列に接続される第2のスイッチを更に備え、
前記制御部は更に、前記第2のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつオフ故障が発生した前記シャントスイッチ又は前記第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいか否かを検出可能であり、
前記制御部は、前記オフ故障が発生した前記シャントスイッチ又は前記第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給する、
請求項1に記載の電力制御器。
【請求項3】
前記第2のスイッチと直列に接続された過電流遮断器を更に備える、
請求項2に記載の電力制御器。
【請求項4】
前記第2のスイッチに直列に接続される第3のスイッチを更に備え、
前記制御部は更に、前記第3のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記第2のスイッチのオン故障を検出可能であり、
前記制御部は、前記第2のスイッチのオン故障を検出した場合、前記第3のスイッチに対して、前記第2のスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給する、
請求項2に記載の電力制御器。
【請求項5】
複数の電源と、
前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子と、
前記複数の電源にそれぞれ対応する複数のシャントスイッチ部と、
バスキャパシタと、
前記バスキャパシタに並列に接続される第2のスイッチと、
制御部と、
を備え、
前記複数の電源の各々と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々は、直列に接続され、
前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して前記バスキャパシタに並列に接続され、
前記複数のシャントスイッチ部の各々は、対応する前記複数の電源の各々に並列に接続され、
前記複数のシャントスイッチ部の各々は、シャントスイッチを含み、
前記制御部は、前記シャントスイッチ及び前記第2のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつオフ故障が発生したシャントスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいか否かを検出可能であり、
前記オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給する、
電力制御器。
【請求項6】
前記第2のスイッチと直列に接続される第4のスイッチをさらに備え、
前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して第2のスイッチに並列に接続され、
前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々及び前記第4のスイッチを介して前記バスキャパシタに並列に接続され、
直列に接続される前記第2のスイッチと前記第4のスイッチは、前記バスキャパシタに並列に接続され、
前記制御部は更に、前記第4のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記オフ故障が発生したシャントスイッチ又は第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給し、前記第2のスイッチと前記第4のスイッチに対して排他的なスイッチ制御信号を供給する、
請求項2〜5のいずれか1項に記載の電力制御器。
【請求項7】
前記複数のシャントスイッチ部の各々は更に、直列に接続される前記シャントスイッチ及び第1のスイッチに並列に接続される、直列に接続される第5のスイッチ及び第6のスイッチを含み、
前記制御部は更に、前記第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、前記第5のスイッチに対して、前記シャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給し、かついずれの前記シャントスイッチ及び前記第5のスイッチにオン故障が発生しているかを検出可能であり、
前記シャントスイッチ及び前記第5のスイッチのいずれかにオン故障を検出した場合、オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される前記第6のスイッチに対して、前記オン故障が検出されたシャントスイッチ又は第5のスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又は前記オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される前記第6のスイッチをオフする、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力制御器。
【請求項8】
前記複数のシャントスイッチ部の各々は更に、直列に接続される前記シャントスイッチ及び第1のスイッチに並列に接続される、直列に接続される第5のスイッチ及び第6のスイッチを含み、
前記制御部は更に、前記第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記第1のスイッチ、第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに対して、前記シャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給する、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力制御器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に供給される電力を安定化させるための電力制御器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
衛星のバス電圧制御にはシャント制御(特許文献1、特許文献2参照)が用いられることが多い。シャント制御とは、複数の太陽電池にそれぞれ対応して設けられた複数のシャントスイッチに対し、個別にオン(太陽電池出力を短絡)/オフ(太陽電池出力を供給)/スイッチング(オン・オフを繰り返すことにより、太陽電池出力の一部を供給)の状態を設定することにより、衛星に必要な電力のみを供給し、バス電圧を一定レベルに安定化させる制御である。
【0003】
図7は、負荷に接続された従来の電力制御器10を示す図である。図7において、SA1〜SA5は電源であり、人工衛星などの宇宙機に搭載する場合には、これらは太陽電池アレイとして構成される。太陽電池SA1〜SA5の各々は、それぞれ対応する逆流防止素子であるダイオードD1〜D5と直列に接続され、ダイオードD1〜D5を介して負荷Lに並列に接続されている。太陽電池SA1〜SA5の各々から出力される電力は、逆流防止素子であるダイオードD1〜D5を介して負荷Lに供給される。また、バスキャパシタCが、負荷Lに並列に接続されている。すなわち、各太陽電池SA1〜SA5は、ダイオードD1〜D5を介してバスキャパシタCと並列に接続されている。
【0004】
太陽電池SA1〜SA5の各々に対して、それぞれ対応するシャントスイッチSSW1〜SSW5が並列に接続されている。これらのシャントスイッチSSW1〜SSW5を個別にオン、オフ、又はスイッチング(オン・オフの繰り返し)のいずれかの動作を行わせることにより、負荷に必要な電力のみを供給し、バス電圧を一定レベルに安定化させる。
【0005】
例えば、負荷Lでの消費電力を上回る電力が太陽電池SA1〜SA5で発生した場合、いずれかのシャントスイッチをオンすることによってそのシャントスイッチに対応する太陽電池からの電力が負荷に供給されないようにしたり、いずれかのシャントスイッチをスイッチングすることによってそのシャントスイッチに対応する太陽電池からの電力の大きさを調整することによって、バス電圧を一定レベルに安定化させることができる。
【0006】
この場合、負荷Lでの消費電力を上回る電力(負荷電力)が太陽電池SA1〜SA5で発生した場合、余剰電力はコンデンサバンクCに蓄積され、コンデンサバンクCの電圧、すなわちバス電圧を上昇させる。よって、バス電圧を検出することによって、負荷電力が太陽電池SA1〜SA5で発生しているか否かを判定することができる。そして、負荷電力が太陽電池SA1〜SA5で発生していると判定された場合、上述のようにシャント制御が行われ、バス電圧を一定レベルに安定化させることができる。
【0007】
一般に、人工衛星には一故障許容設計が求められるが、シャントスイッチの故障に対して、従来は下記の方法が用いられてきた。
(1)スイッチをオフするように制御しているにも関わらずオン状態が維持されるオン故障に対しては、太陽電池1つ分の電力が供給不可能となることを考慮し、太陽電池を含め、追加のシャント系統11を一つ設ける方法
(2)スイッチをオンするように制御しているにも関わらずオフ状態が維持されるオフ故障に対しては、太陽電池1つ分の余剰電力が負荷に供給されることを考慮し、太陽電池1つ分の電力以上を衛星が消費できるように設計するか、又はその設計が困難な場合には、余剰電力を消費するための負荷12を追加する方法。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−19365号公報
【特許文献2】特許第4834842号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の(1)及び(2)の方法のいずれも、衛星システムとしての耐故障性は確保しているが、故障時には1つのシャントの電力供給制御機能を失うことを前提とした設計であり、図7の追加のシャント系統11や余剰電力を消費するための負荷12といった正常時には不要なハードウェアを搭載している。衛星を大電力化していく場合には、シャント系統1段当たりの電力を増加させる必要がある。よって、従来技術を踏襲した場合は、そのような正常時には不要なハードウェアは、衛星設計に大きなインパクトとなることが推定される。特に、追加の太陽電池SA5による質量の増加、余剰電力を消費するための負荷12での発熱処理に必要な熱対策のインパクトが大きい。
【0010】
本発明は、このような状況のもとになされたものであり、従来必要とされていた、追加の太陽電池や余剰電力を消費するための負荷の発熱処理に必要な熱対策を不要とする電力制御器を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の1つの態様は、複数の電源と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数のシャントスイッチ部と、バスキャパシタと、制御部と、を備え、前記複数の電源の各々と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々は、直列に接続され、前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して前記バスキャパシタに並列に接続され、前記複数のシャントスイッチ部の各々は、対応する前記複数の電源の各々に並列に接続され、前記複数のシャントスイッチ部の各々は、シャントスイッチと、該シャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチを含み、前記制御部は、前記シャントスイッチ及び前記第1のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かついずれの前記シャントスイッチにオフ故障が発生しているかを検出可能であり、前記シャントスイッチのいずれかにオン故障を検出した場合、オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチに対して、前記オン故障が検出されたシャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又は前記オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチをオフする、電力制御器を提供するものである。
【0012】
好ましくは、前記バスキャパシタに並列に接続される第2のスイッチを更に備え、前記制御部は更に、前記第2のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつオフ故障が発生した前記シャントスイッチ又は前記第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいか否かを検出可能であり、前記制御部は、前記オフ故障が発生した前記シャントスイッチ又は前記第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給する。
【0013】
好ましくは、前記第2のスイッチと直列に接続された過電流遮断器を更に備える。
【0014】
好ましくは、前記第2のスイッチに直列に接続される第3のスイッチを更に備え、前記制御部は更に、前記第3のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記第2のスイッチのオン故障を検出可能であり、前記制御部は、前記第2のスイッチのオン故障を検出した場合、前記第3のスイッチに対して、前記第2のスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給する。
【0015】
本発明の別の態様は、複数の電源と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数のシャントスイッチ部と、バスキャパシタと、前記バスキャパシタに並列に接続される第2のスイッチと、制御部と、を備え、前記複数の電源の各々と、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々は、直列に接続され、前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して前記バスキャパシタに並列に接続され、前記複数のシャントスイッチ部の各々は、対応する前記複数の電源の各々に並列に接続され、前記複数のシャントスイッチ部の各々は、シャントスイッチを含み、前記制御部は、前記シャントスイッチ及び前記第2のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつオフ故障が発生したシャントスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいか否かを検出可能であり、前記オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給する、電力制御器を提供するものである。
【0016】
好ましくは、前記第2のスイッチと直列に接続される第4のスイッチをさらに備え、前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々を介して第2のスイッチに並列に接続され、前記複数の電源の各々は、前記複数の電源にそれぞれ対応する複数の逆流防止素子の各々及び前記第4のスイッチを介して前記バスキャパシタに並列に接続され、直列に接続される前記第2のスイッチと前記第4のスイッチは、前記バスキャパシタに並列に接続され、前記制御部は更に、前記第4のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記オフ故障が発生したシャントスイッチ又は第1のスイッチに対応する前記電源の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出した場合、前記バスキャパシタの電圧が所定の電圧となるように前記第2のスイッチをスイッチングさせるスイッチ制御信号を前記第2のスイッチに対して供給し、前記第2のスイッチと前記第4のスイッチに対して排他的なスイッチ制御信号を供給する。
【0017】
好ましくは、前記複数のシャントスイッチ部の各々は更に、直列に接続される前記シャントスイッチ及び第1のスイッチに並列に接続される、直列に接続される第5のスイッチ及び第6のスイッチを含み、前記制御部は更に、前記第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、前記第5のスイッチに対して、前記シャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給し、かついずれの前記シャントスイッチ及び前記第5のスイッチにオン故障が発生しているかを検出可能であり、前記シャントスイッチ及び前記第5のスイッチのいずれかにオン故障を検出した場合、オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される前記第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される前記第6のスイッチに対して、前記オン故障が検出されたシャントスイッチ又は第5のスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又は前記オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される前記第6のスイッチをオフする。
【0018】
好ましくは、前記複数のシャントスイッチ部の各々は更に、直列に接続される前記シャントスイッチ及び第1のスイッチに並列に接続される、直列に接続される第5のスイッチ及び第6のスイッチを含み、前記制御部は更に、前記第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給し、かつ前記第1のスイッチ、第5のスイッチ及び前記第6のスイッチに対して、前記シャントスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給する。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲において、「スイッチXに対して供給されるべきスイッチ制御信号」とは、スイッチXに対して供給されるスイッチ制御信号が正常である場合の、スイッチXに対して供給されるスイッチ制御信号を指す。すなわち、「スイッチXに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給する」とは、スイッチXに対して供給されるスイッチ制御信号に異常がある場合には、その異常がない場合の正常なスイッチ制御信号と同様のスイッチ制御信号を供給することを意味する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る電力制御器によれば、従来必要とされていた、追加の太陽電池や余剰電力を消費するための負荷の発熱処理に必要な熱対策が不要となり、衛星システムの質量低減及び構造の簡単化に寄与する。特に、シャント系統1段当たりの電力が大きくなる大電力衛星への寄与が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力制御器の回路図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係る電力制御器の回路図である。
図3】本発明の第2の実施形態の変形例に係る電力制御器の回路図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る電力制御器の回路図である。
図5】本発明の第3の実施形態における、第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4の排他的な開閉動作制御の一例を示す図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係る電力制御器の回路図である。
図7】従来の電力制御器の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態のいくつかについて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る電力制御器1の回路図である。図1において、SA1〜SA4は電源である太陽電池である。人工衛星などの宇宙機に搭載する場合には、これらは太陽電池アレイとして構成される。太陽電池SA1〜SA4の各々は、それぞれ対応する逆流防止素子であるダイオードD1〜D4と直列に接続され、ダイオードD1〜D4を介して負荷Lに並列に接続されている。太陽電池SA1〜SA4の各々から出力される電力は、逆流防止素子であるダイオードD1〜D4を介して負荷Lに供給される。また、バスキャパシタCが、負荷Lに並列に接続されている。すなわち、各太陽電池SA1〜SA4は、ダイオードD1〜D4を介してバスキャパシタCと並列に接続されている。
【0024】
太陽電池SA1〜SA4の各々に対して、それぞれ対応するシャントスイッチSSW1〜SSW4が並列に接続されている。上記の従来の電力制御器と同様にして、これらのシャントスイッチSSW1〜SSW4を個別にオン、オフ、又はスイッチング(オン・オフの繰り返し)のいずれかの動作を行わせることにより、負荷に必要な電力のみを供給し、上述のように、バス電圧を一定レベルに安定化させる。
【0025】
シャントスイッチSSW1〜SSW4に対しては、それぞれ対応する第1のスイッチSW1−1〜SW1−4が、シャントスイッチSSW1〜SSW4と直列に接続されている。直列に接続されたシャントスイッチSSW1〜SSW4と第1のスイッチSW1−1〜SW1−4は、電源SA1〜SA4に並列に接続されている。
【0026】
また、第2のスイッチSW2が、バスキャパシタCと並列に接続されている。
【0027】
また、各スイッチに、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を生成し、各スイッチに供給する制御部2が設けられている。制御部2はまた、各スイッチのオン故障及びオフ故障を検出する機能も有している。
【0028】
続いて、図1に示した本実施形態の電力制御器の動作について説明する。
【0029】
(1)シャントスイッチが正常に動作している場合
制御部によって、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4はオンされ、第2のスイッチSW2はオフされる。これによって、電力制御器は、上述の従来の電力制御器の動作と同様の動作を行う。
【0030】
(2)シャントスイッチにオン故障が発生している場合
シャントスイッチにオン故障が発生すると、そのシャントスイッチに対応する電源が短絡されるため、その電源から負荷に電力が供給されなくなる。
【0031】
制御部によって、いずれかのシャントスイッチにオン故障が発生していると検出されると、例えばシャントスイッチSSW1にオン故障が検出されたとすると、オン故障が検出されたシャントスイッチであるシャントスイッチSSW1に対応する、シャントスイッチSSW1に直列に接続された第1のスイッチSW1−1に対して、シャントスイッチSSW1に対して供給されるべきスイッチ制御信号が供給される。ここで、「シャントスイッチSSW1に対して供給されるべきスイッチ制御信号」とは、シャントスイッチSSW1に対して供給されるスイッチ制御信号が正常である場合の、シャントスイッチSSW1に対して供給されるスイッチ制御信号である。すなわち、シャントスイッチSSW1に対して供給されるスイッチ制御信号に異常がある場合には、その異常がない場合の正常なスイッチ制御信号と同様のスイッチ制御信号が供給される。
【0032】
ここで、シャントスイッチのオン故障検出は、シャントスイッチの制御と関係なく各太陽電池SA1〜SA4の電圧がほぼ0Vとなること、負荷への供給電流がほぼゼロとなること、シャントスイッチに流れる電流が所定の閾値を超えること等を検出することによって行うことができることは明らかであろう。
【0033】
これによって、シャントスイッチSSW1は短絡されているものの、第1のスイッチSW1−1が、本来のシャントスイッチSSW1の動作と同じ動作を行うので、電力制御器は、本来の動作を行うことができる。
【0034】
また、上記のようにオン故障が検出されたシャントスイッチに対応する第1のスイッチに対して、オン故障が検出されたシャントスイッチに対して供給されるべきシャントスイッチ制御信号を供給する構成に換えて、制御器によって第1のスイッチSW1−1をオフしてもよい。この場合、太陽電池SA1から負荷Lに電力が供給されるが、太陽電池SA1の発生電力が負荷電力よりも大きい場合には、後述するシャントスイッチ又は第1のスイッチのオフ故障対策である第2のスイッチSW2のスイッチングにより、バス電圧が一定レベルに安定化される。
【0035】
なお、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4をシャントスイッチSSW1〜SSW4と常時並列に開閉動作させることによっても、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4が、本来のシャントスイッチSSW1〜SSW4の動作と同じ動作を行うので、電力制御器は、本来の動作を行うことができる。
【0036】
(3)シャントスイッチにオフ故障が発生している場合
シャントスイッチにオフ故障が発生すると、そのシャントスイッチに対応する太陽電池からの電力供給量を制御できなくなる。オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力以下である場合、他のシャント系統についてシャント制御が行われ、バス電圧を一定レベルに安定化させることができる。しかしながら、オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力よりも大きい場合、他のシャント系統のシャントスイッチをすべてオンにしても余剰電力が発生するので、バス電圧を一定レベルに安定化させることができない。
【0037】
本実施形態においては、制御部2によって、オフ故障が発生したシャントスイッチ又は第1のスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出された場合、制御部2によって、バスキャパシタCに並列に接続された第2のスイッチSW2に対して、バス電圧が所定の電圧となるように第2のスイッチSW2をスイッチングさせるスイッチ制御信号が供給される。
【0038】
ここで、オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力よりも大きいことを検出する構成としては、シャント制御によりすべてのシャントスイッチSSW1〜SSW4に対してスイッチをオフにする制御信号が供給される状態が一定時間続くことを検出する構成が考えられる。上述のように、シャント制御は、検出されたバス電圧に基づいて行われる。バス電圧が所定の値よりも大きくなると、バス電圧が所定の値に下がるまで順次シャントスイッチをオンするように制御される。そして、すべてのシャントスイッチがオンされて一定時間経過した後もバス電圧が所定の値まで下がらない場合は、シャントスイッチにオフ故障が発生しているシャント系統からの余剰電力がコンデンサバンクCに蓄積されていることを意味するので、上記のような構成によって、オフ故障が発生したシャントスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力よりも大きいことを検出することができる。
【0039】
また、すべてのシャントスイッチSSW1〜SSW4に対してスイッチをオフにする制御信号が供給される状態が一定時間続くことを検出する構成に換えて、すべてのシャントスイッチSSW1〜SSW4に対してスイッチをオフにする制御信号が供給された後に、バス電圧が所定の閾値以上であることを検出する構成としてもよい。
【0040】
上記の実施形態においては、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4と第2のスイッチSW2の両方が設けられているが、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4のみ、又は第2のスイッチSW2のみを設ける構成としてもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
第1の実施形態において第1のスイッチSW1−1〜SW1−4にオン故障及びオフ故障が発生した場合の対策については、一故障許容設計を前提とすれば特に故障対策は必要ない。すなわち、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4にオン故障が発生した場合は、上記の従来の電力制御器と同様の構成となる。また、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4にオフ故障が発生した場合は、シャントスイッチSSW1〜SSW4にオフ故障が発生した場合と同様の動作を電力制御器が行うようにすればよい。
【0042】
これに対して、第1の実施形態における第2のスイッチSW2にオン故障が発生すると、バスラインが短絡され、バス電圧がゼロとなってしまう。このような事態を回避するため、第2の実施形態は、第1の実施形態における第2のスイッチSW2のオン故障対策の手段が追加されたものである。よって、第1の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0043】
図2は本発明の第2の実施形態に係る電力制御器の回路図である。本実施形態においては、第2のスイッチSW2のオン故障対策の手段として、過電流遮断器である遮断機能付きカレントリミッタCLが、第2のスイッチSW2と直列に接続されている。そして、直列に接続された第2のスイッチSW2とカレントリミッタCLは、バスキャパシタCに並列に接続されている。
【0044】
このような構成において、第2のスイッチSW2にオン故障が発生すると、バスラインが短絡されるため、カレントリミッタCLに過電流が流れ、回路が遮断され、第2のスイッチSW2がバスラインから分離される。
【0045】
過電流遮断器として、上記の構成では遮断機能付きカレントリミッタを用いたが、過電流遮断器は、ヒューズや、過電流を検知して回路を遮断する回路等の過電流が流れた場合に回路を遮断するものであれば、任意の構成を用いることができる。
【0046】
上記のように過電流遮断器を第2のスイッチと直列に接続する構成に換えて、図3に示すように、第3のスイッチSW3を第2のスイッチSW2に直列に設けてもよい。この場合、制御部2は更に、第3のスイッチSW3に、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給する。制御部2によって、第2のスイッチにオン故障が検出されると、制御部によって、第3のスイッチSW3に対して、第2のスイッチSW2に対して供給されるべき制御信号が供給される。これによって、第2のスイッチSW2は短絡されているものの、第3のスイッチSW3が、本来の第2のスイッチSW2の動作と同じ動作を行うので、電力制御器は、本来の動作を行うことができる。
【0047】
なお、この場合、第2のスイッチSW2のオン故障の原因が、制御部から供給される第2のスイッチSW2に対してオンを指示する制御信号が供給され続けることにある場合、第3のスイッチSW3に対しても同様にオンを指示する制御信号が供給され続けることがないような対策をしてもよい。例えば、第2のスイッチに対する制御信号と第3のスイッチに対する制御信号は別個に生成する構成とすることが考えられる。また、第2のスイッチに対する制御信号と第3のスイッチに対する制御信号を共通に生成する構成とする場合は、多数決回路を用いて生成することが考えられる。その他、任意の構成を用いることができる。
【0048】
なお、第2のスイッチSW2にオフ故障が発生した場合は、第2のスイッチSW2が設けられていない構成、すなわち第1の実施形態の変形例の第1のスイッチSW1−1〜SW1−4のみを設ける構成と同様の構成となるので、一故障許容設計を前提とすれば特に故障対策は必要ない。
【0049】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態において、第2のスイッチSW2をオンした際に、バス電圧が急激に低下し、バス電圧を制御することができない可能性がある。第3の実施形態は、このような事態を回避するための手段が追加されたものである。よって、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の部分の説明は省略する。
【0050】
図4は本発明の第3の実施形態に係る電力制御器の回路図である。本実施形態においては、第2のスイッチSW2をオンした際に、バス電圧が急激に低下し、バス電圧を制御することができない事態を防止する手段として、第4のスイッチSW4が、第2のスイッチSW2と直列に接続されている。そして、直列に接続された第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4は、バスキャパシタCに並列に接続されている。また、各太陽電池SA1〜SA4は、ダイオードD1〜D4を介して第2のスイッチSW2と並列に接続されている。そして、各太陽電池SA1〜SA4は、ダイオードD1〜D4及び第4のスイッチSW4を介してバスキャパシタCと並列に接続されている。制御部2は更に、第4のスイッチSW4に、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給する。
【0051】
このような構成において、シャントスイッチ又は第1のスイッチのオフ故障が発生していない場合及びスイッチのオフ故障が発生していても、オフ故障が発生したシャントスイッチ又は第1のスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力以下の場合は、第2のスイッチSW2がオフされ、第4のスイッチSW4がオンされ、第2のスイッチSW2及び第4のスイッチSW4が設けられていない構成と同様の構成となるように、制御部2によって制御される。
【0052】
制御部2によって、オフ故障が発生したシャントスイッチ又は第1のスイッチに対応する太陽電池の発生電力が、負荷電力よりも大きいと検出された場合、上述のように、制御部2によって、第2のスイッチSW2に対して、バス電圧が所定の電圧となるように第2のスイッチSW2をスイッチングさせるスイッチ制御信号が供給されるが、本実施形態においては、第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4は排他的にその開閉動作が制御される。第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4の排他的な開閉動作は、制御部2によって、第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4に排他的なスイッチ制御信号が供給されることによって実現される。
【0053】
第2のスイッチSW2がスイッチングにおいてオンされた場合、第4のスイッチSW4は排他的なスイッチ制御によりオフされ、バスライン間は開放されるので、バス電圧が急激に低下することを防止できる。図5は、第2のスイッチSW2と第4のスイッチSW4の排他的なスイッチング制御の例を示している。
【0054】
なお、第4のスイッチSW4にオン故障が発生した場合は、第1の実施形態又は第2の実施形態の構成と同様の構成となるので、第4のスイッチSW4にオン故障が発生した場合の対策については、一故障許容設計を前提とすれば特に故障対策は必要ない。また、第4のスイッチSW4にオフ故障が発生した場合の対策としては、第4のスイッチを並列冗長構成とすることが考えられる。
【0055】
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、上述の従来の電力制御器におけるシャントスイッチを直並列冗長構成とするものである。よって、上述の従来の電力制御器と同様の部分の説明は省略する。
【0056】
図4は本発明の第4の実施形態に係る電力制御器の回路図である。本実施形態においては、シャントスイッチSSW1〜SSW4に対して、それぞれ対応する第1のスイッチSW1−1〜SW1−4、第5のスイッチSW5−1〜SW−4、第6のスイッチSW6−1〜SW6−4が直並列に接続されている。制御部2は更に、第5のスイッチSW5−1〜SW−4及び第6のスイッチSW6−1〜SW6−4に、オン、オフ、及びスイッチングのいずれかの動作を行うよう指示するスイッチ制御信号を供給する。
【0057】
このような構成において、シャントスイッチSSW1〜SSW4及び第5のスイッチSW5−1〜SW−4は、常時並列に開閉動作される。そして、シャントスイッチSSW1〜SSW4及び第5のスイッチSW5−1〜SW−4が正常に動作している場合には、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4及び第6のスイッチSW6−1〜SW6−4は、制御部によってオンされる。すなわち、制御部によって、第5のスイッチSW5−1〜SW−4に対して、シャントスイッチSSW1〜SSW4に対して供給されるべき制御信号が供給される。
【0058】
このような構成によれば、一故障許容設計を前提とすれば、いずれかのスイッチにオフ故障が発生しても、特に故障対策は必要ない。また、第1のスイッチSW1−1〜SW1−4及び第6のスイッチSW6−1〜SW6−4のいずれかにオン故障が発生した場合は、上記の従来の電力制御器と同様の構成となる。
【0059】
シャントスイッチSSW1〜SSW4及び第5のスイッチSW5−1〜SW−4のいずれかにオン故障が発生し、制御部2によって検出された場合は、第1の実施形態のオン故障対策と同様にして、制御部2によって、オン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される第6のスイッチに対して、オン故障が検出されたシャントスイッチ又は第5のスイッチに対して供給されるべきスイッチ制御信号を供給するか、又はオン故障が検出されたシャントスイッチに直列に接続される第1のスイッチ又は第5のスイッチに直列に接続される第6のスイッチをオフする構成とすればよい。
【0060】
上記のような構成に換えて、直並列に接続されたシャントスイッチ、第1のスイッチ、第5のスイッチ、第6のスイッチを、常時並列に開閉動作させてもよい。この場合、制御部によって、シャントスイッチSSW1〜SSW4にそれぞれ対応する第1のスイッチSW1−1〜SW1−4、第5のスイッチSW5−1〜SW−4、及び第6のスイッチSW6−1〜SW6−4に対して、シャントスイッチSSW1〜SSW4に対して供給されるべき制御信号が供給される。
【0061】
このような構成によれば、一故障許容設計を前提とすれば、いずれかのスイッチにオン故障又はオフ故障が発生しても、特に故障対策は必要ない。
【0062】
なお、いずれかのスイッチのオン故障の原因が、制御部から供給される当該スイッチに対する制御信号がオンを指示する信号が供給され続けることにある場合、第2の実施形態の第2のスイッチと第3のスイッチについて上述したと同様に、他のスイッチに対しても同様にオンを指示する制御信号が供給され続けることがないような対策をしてもよい。例えば、各スイッチに対する制御信号は別個に生成する構成とすることが考えられる。また、複数のスイッチに対する制御信号を共通に生成する構成とする場合は、多数決回路を用いて生成することが考えられる。
【0063】
上記実施形態では、複数の電源として4つの太陽電池を例として説明したが、1つ又はそれ以上の任意の数の他の任意の電源を用いることができる。
【0064】
上記実施形態では、逆流防止素子としてダイオードを例として説明したが、他の任意の逆流防止機能を有する素子を用いることができる。
【0065】
以上、本発明について、例示のためにいくつかの実施例に関して説明してきたが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、形態及び詳細について、様々な変形及び修正を行うことができることは、当業者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0066】
1 電力制御器
2 制御部
10 電力制御器
11 追加のシャント系統
12 余剰電力を消費するための負荷
C バスキャパシタ
L 負荷
SA1〜SA4 太陽電池
D1〜D4 ダイオード
SSW1〜SSW4 シャントスイッチ
SW1−1〜SW1−4 第1のスイッチ
SW2 第2のスイッチ
SW3 第3のスイッチ
SW4 第4のスイッチ
SW5−1〜SW5−4 第5のスイッチ
SW6−1〜SW6−4 第6のスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7