(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-159761(P2015-159761A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】魚介類用輸送容器
(51)【国際特許分類】
A01K 63/02 20060101AFI20150811BHJP
【FI】
A01K63/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-37035(P2014-37035)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506069505
【氏名又は名称】株式会社積水化成品四国
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】田島 一雄
(72)【発明者】
【氏名】上田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】島袋 出
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104BA16
2B104CA09
2B104CB01
2B104CB17
2B104CB22
2B104CB34
2B104EB05
2B104EB19
2B104EC01
2B104EC20
(57)【要約】
【課題】魚介類の生存率を上げることができる魚介類用輸送容器を提供する。
【解決手段】底壁4と底壁4から高さ方向に立ち上げられた本体用側壁5とを備えた容器本体2と、蓋体とを備え、容器本体2に、水と魚介類を収容する魚介類収容部とエアポンプ14を収容するエアポンプ収容部11とを区分けするための縦壁12を備え、エアポンプ14にエアチューブを介して接続されるエア分散器からのエアを魚介類収容部内の水に供給し、エアポンプ収容部11と隣り合うように本体用側壁5と縦壁12との間に形成され、かつ、縦壁12に形成された開口12Kにより魚介類収容部10に連通される氷収容部13を備え、氷収容部13に収容された氷の融水が開口12Kを通して魚介類収容部10へ移動する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡性合成樹脂で形成され、底壁と底壁から高さ方向に立ち上げられた本体用側壁とを備えた容器本体と、該容器本体の開口を閉じる蓋体とを備え、前記容器本体に、水と魚介類を収容する魚介類収容部とエアポンプを収容するエアポンプ収容部とを区分けするための縦壁を備え、前記エアポンプにエアチューブを介して接続されるエア分散器からのエアを前記魚介類収容部内の水に供給するように構成されている魚介類用輸送容器であって、
前記エアポンプ収容部と隣り合うように前記本体用側壁と前記縦壁との間に形成され、かつ、該縦壁に形成された開口により前記魚介類収容部に連通される氷収容部を備え、該氷収容部に収容された氷の融水が前記開口を通して前記魚介類収容部へ移動することを特徴とする魚介類用輸送容器。
【請求項2】
前記開口は、前記縦壁の下端部から上端部まで形成される上下方向に長いスリット形状であることを特徴とする請求項1に記載の魚介類用輸送容器。
【請求項3】
前記底壁が矩形状であり、前記本体用側壁が該底壁の外周縁から立ち上げられた4つの側壁を備え、前記縦壁が、該対向する一対の側壁の一端部同士を連結してなり、前記魚介類収容部が、前記底壁と前記縦壁と前記3つの側壁とで構成され、前記縦壁の内面が、凹凸のない滑らかな面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚介類用輸送容器。
【請求項4】
前記エア分散器を係止するための凹部が、前記底壁に形成されており、該凹部が、前記開口近傍に位置していることを特徴とする請求項3に記載の魚介類用輸送容器。
【請求項5】
前記エアポンプ収容部が2つ設けられ、2つのエアポンプ収容部の間に前記氷収容部が配置されて、該2つのエアポンプ収容部と該氷収容部とが一列状に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の魚介類用輸送容器。
【請求項6】
前記魚介類収容部を構成する4つの壁の角部の内面が、R加工され、前記4つの角部の内面のうちの縦壁側に位置する2つの角部の内面の曲率半径の大きさが、残る2つの角部の内面の曲率半径よりも大きくしていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の魚介類用輸送容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類を活性状態で輸送するための魚介類用輸送容器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる魚介類用輸送容器は、発泡性合成樹脂で形成され、水と魚介類を収容する魚介類収容部とポンプを収容するエアポンプ収容部とが縦壁により区分けされた容器本体と蓋体とを備え、ポンプにエアチューブを介して接続されているエア分散器から魚介類収容部内の水にエアを供給するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の魚介類用輸送容器は、エア分散器からエアを供給することによって魚介類収容部内の水の溶存酸素量を増加させながら、魚介類を輸送している。しかしながら、夏場の暑い日に輸送していると、魚介類収容部内の水温が急激に上昇してしまう。水温が急激に上昇してしまうと、魚介類収容部内の水が魚介類からの排出物で急激に淀んでしまう。しかも、水温が高くなると、魚介類が必要とする溶存酸素量も低温時に比べて低下してしまうため、魚介類の活性が非常に悪くなってしまい、魚介類の生存率が非常に低くなるという不都合があった。
【0004】
上記のような水温の上昇を抑制するものとして、容器本体の上端部に氷を載置可能な中蓋を備え、その中蓋に形成されている通気孔から氷の冷気を下方の水へ供給するものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−195537号公報
【特許文献2】特開2004−173584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2の魚介類用輸送容器は、氷の冷気によって魚介類収容部内の水を間接的に冷やす構成であるため、魚介類収容部内の水の温度が急激に低下することがないものの、理想とする水温まで下げることが難しい。そのため、魚介類の生存率を所望通り上げることができず、改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、魚介類の生存率を上げることができる魚介類用輸送容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る魚介類用輸送容器は、発泡性合成樹脂で形成され、底壁と底壁から高さ方向に立ち上げられた本体用側壁とを備えた容器本体と、該容器本体の開口を閉じる蓋体とを備え、前記容器本体に、水と魚介類を収容する魚介類収容部とエアポンプを収容するエアポンプ収容部とを区分けするための縦壁を備え、前記エアポンプにエアチューブを介して接続されるエア分散器からのエアを前記魚介類収容部内の水に供給するように構成されている魚介類用輸送容器であって、前記エアポンプ収容部と隣り合うように前記本体用側壁と前記縦壁との間に形成され、かつ、該縦壁に形成された開口により前記魚介類収容部に連通される氷収容部を備え、該氷収容部に収容された氷の融水が前記開口を通して前記魚介類収容部へ移動することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、氷収容部内に収容された氷が融け、その融けた水(融水)が氷収容部から開口を通して魚介類収容部へ移動する。これによって、魚介類収容部内の水温を徐々に下げることができながら、理想とする水温まで下げることができる。因みに、魚介類収容部に氷を直接入れた場合には、魚介類収容部内の水温が急激に下がり過ぎてしまい、魚介類の活性が逆に悪くなるという不都合が発生するが、本発明では、このような不都合が発生しない。
【0010】
また、本発明に係る魚介類用輸送容器においては、前記開口が、前記縦壁の下端部から上端部まで形成される上下方向に長いスリット形状に構成されていることが好ましい。
【0011】
上記のように、開口を上下方向に長いスリット形状に構成しておけば、氷収容部内に収容された氷の融水が魚介類収容部内へ移動する移動量を的確に制限して、魚介類収容部内の水温を徐々に下げることができるだけでなく、氷の融水を上下方向の広い範囲に亘って均等に移動させることができる。
【0012】
また、本発明に係る魚介類用輸送容器においては、前記底壁が矩形状であり、前記本体用側壁が該底壁の外周縁から立ち上げられた4つの側壁を備え、前記縦壁が、該対向する一対の側壁の一端部同士を連結してなり、前記魚介類収容部が、前記底壁と前記縦壁と前記3つの側壁とで構成され、前記縦壁の内面が、凹凸のない滑らかな面に形成されていることが好ましい。
【0013】
上記のように、魚介類収容部を構成する1つの壁を縦壁で構成し、その縦壁を凹凸のない滑らかな面に形成しておけば、縦壁の開口から移動してきた水を魚介類収容部内でスムーズに移動させることができる。例えば、縦壁が1つの側壁の周方向の一部分から魚介類収容部内へ突出する構成である場合に、縦壁と側壁との間に水が滞留する角部が形成されるため、その角部に水が滞留して淀んでしまうという不都合があるが、本発明ではそのような不都合を抑制できる。
【0014】
また、本発明に係る魚介類用輸送容器においては、前記エア分散器を係止するための凹部が、前記底壁に形成されており、該凹部が、前記開口近傍に位置していることが好ましい。
【0015】
上記のように、開口近傍に位置する凹部にエア分散器を係止していれば、開口から魚介類収容部内へ移動してくる融水をエア分散器からのエアによって開口から遠ざかる側へ効率よく移動させることができる。
【0016】
また、本発明に係る魚介類用輸送容器においては、前記エアポンプ収容部が2つ設けられ、2つのエアポンプ収容部の間に前記氷収容部が配置されて、該2つのエアポンプ収容部と該氷収容部とが一列状に配置することが好ましい。
【0017】
上記のように、2つのエアポンプ収容部と氷収容部とが一列状に配置されていれば、それら3つの収容部を一箇所に纏めて効率よく配置することができる。
【0018】
また、本発明に係る魚介類用輸送容器においては、前記魚介類収容部を構成する4つの壁の角部の内面が、R加工され、前記4つの角部の内面のうちの縦壁側に位置する2つの角部の内面の曲率半径の大きさが、残る2つの角部の内面の曲率半径よりも大きくすることが好ましい。
【0019】
上記のように、4つの角部の内面のうちの縦壁側の2つの角部の内面の曲率半径の大きさを、残る2つの角部の内面の曲率半径よりも大きくしていれば、縦壁側の角部の強度アップを図ることができるだけでなく、魚介類収容部内における縦壁側の水の移動をスムーズに行うことができ、水が滞留して魚介類収容部内の水が淀むといったことをより一層抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
以上の如く、本発明によれば、融水が氷収容部から開口を通して魚介類収容部へ移動することによって、魚介類収容部内の水温を徐々に下げることができ、例えば急激に水温を下げ過ぎて魚介類の活性が非常に悪くなるといったことを回避することができながらも、理想とする水温まで確実に下げることができる。従って、魚介類の生存率を上げることができる魚介類用輸送容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る魚介類用輸送容器の側面図を示し、蓋体を容器本体に嵌合する直前の状態を示している。
【
図2】同実施形態に係る魚介類用輸送容器を構成する容器本体の平面図である。
【
図3】同実施形態に係る魚介類用輸送容器を構成する容器本体を示し、(a)は正面図、(b)は
図2におけるA−A線断面図、(c)は
図2におけるB−B線断面図である。
【
図4】同実施形態に係る魚介類用輸送容器を構成する容器本体を示し、(a)は
図2におけるC−C線断面図、(b)は
図2におけるD−D線断面図、(c)は
図2におけるE−E線断面図である。
【
図5】(a)は容器本体内を2枚の仕切板により3つの空間に仕切った状態を示す容器本体の平面図、(b)は容器本体内を1枚の仕切板により2つの空間に仕切った状態を示す容器本体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る魚介類用輸送容器の実施形態について、
図1〜
図5に基づいて説明する。
【0023】
図1に、魚介類用輸送容器1を示している。
図1では、容器本体2に蓋体3を嵌合する直前の状態を示している。この魚介類用輸送容器1は、魚類、貝類、海老や蟹等の甲殻類、蛸やイカ等の軟体動物等の魚介類を、活性状態のまま輸送するのに好適な容器である。
【0024】
魚介類用輸送容器1は、水及び魚介類を上端に形成された開口部2Aから収容することができる箱型状の発泡合成樹脂でなる容器本体2と、この容器本体2の開口部2Aを閉じて密閉状態にするための発泡合成樹脂でなる蓋体3とから構成されている。尚、発泡合成樹脂としては、特に限定されないが、例えば発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の各種発泡合成樹脂が利用できる。発泡倍率としては、20倍〜90倍の範囲の任意の値に設定することができる。ここでいう水は、塩分を含んだ水、海水、淡水等を含み、収容する魚介類等に応じて適宜選択して使用することになる。
【0025】
容器本体2は、
図1〜
図4に示すように、平面視略長方形状に形成され、魚介類を載置する載置面4Aを備えた底壁4と、底壁4から高さ方向に立ち上げられた本体用側壁5とを備えている。
【0026】
本体用側壁5は、底壁4の4辺のうちの一対の長辺である左右の縁部に上方に向けて立設された左右の側壁6,7と、底壁4の一対の短辺である前後の縁部から上方に向けて立設された前後の側壁8,9とを備えている。そして、これら4つの側壁6,7,8,9の上部に水と魚介類を出し入れするための前記開口部2Aが形成されている。また、前後の側壁8,9の左右中央には、内側に凹んだ切欠きKが形成されており、切欠きKの上面に指を引っ掛けて魚介類用輸送容器1を持ち上げることができる。
【0027】
また、容器本体2に、水と魚介類を収容する魚介類収容部10とエアポンプ(図示せず)を収容するための2つのエアポンプ収容部11,11とを区分けするための縦壁12が形成されている。つまり、前側壁8と縦壁12との間に2つのエアポンプ収容部11,11が形成されている。そして、2つのエアポンプ収容部11,11が左右方向両端に配置され、それら2つのエアポンプ収容部11,11間の左右方向中央部に氷を収容する氷収容部13を配置することによって、2つのエアポンプ収容部11,11と氷収容部13とが左右方向に一列状に並んで配置されている。このように、2つのエアポンプ収容部11,11と氷収容部13とが左右方向に一列状に配置されていれば、それら3つの収容部11,11,13を一箇所に纏めて効率よく配置することができる。
【0028】
縦壁12は、対向する左右の側壁6,7の一端部(前側端部)同士を連結する長さに設定され、魚介類収容部10が、底壁4と縦壁12と3つの側壁である左右の側壁6,7と後側壁9とで構成されている。縦壁12の内面12Aが、凹凸のない滑らかなフラット面に形成されている。このように、縦壁12を凹凸のない滑らかな面に形成しておけば、縦壁12の開口12Kから移動してきた水を魚介類収容部10内でスムーズに移動させることができる。
【0029】
縦壁12の左右方向中央には、魚介類収容部10と氷収容部13とを連通させるための開口12Kが形成されている。この開口12Kは、縦壁12の下端部(底壁4の上面4Aよりも上方位置)から上端まで形成される上下方向に長いスリット形状に構成されている。開口12Kを上下方向に長いスリット形状に構成することによって、氷収容部13内に収容された氷の融水が魚介類収容部10内へ移動する移動量を的確に制限して、魚介類収容部10内の水温を徐々に下げることができるだけでなく、氷の融水を上下方向の広い範囲に亘って均等に移動させることができる。
【0030】
氷収容部13は、平面視において左右方向に長い長方形状で、かつ、上下方向にも長い縦長形状になっている。この氷収容部13の体積は、500g前後の直方体形状の1個の氷を収容することができるように氷よりも僅かに大きな寸法に設定されている。尚、氷の重量は、魚介類収容部10に入れる水の重量の1%以上でかつ10%以下の範囲の任意の重量に設定されており、その範囲の重量の氷が入る大きさに氷収容部13の大きさを設定する。氷収容部13に1個の直方体形状の氷を入れることによって、小さな多数の氷(総重量が500g)を入れる場合に比べて、氷が完全に解けるまでの時間を長く維持することができ、魚介類収容部10内の水の温度を徐々に下げることができながらも、最適温度を持続する時間を長くすることができる。
【0031】
各エアポンプ収容部11は、平面視において長方形状の開口を有し、下方に向って開口が次第に小さくなっている。このように構成することによって、エアポンプ14を下方に位置する程、エアポンプ収容部11の側壁にエアポンプが食い込んで固定できるようになっている。2つのエアポンプ収容部11,11のそれぞれに、エアポンプ14を収容して、2台のエアポンプ14,14を使用することもできるし、1台のエアポンプ14を2つのエアポンプ収容部11,11のうちのいずれか一方に収容して使用することもできる。
図2では、前方から見て右側のエアポンプ収容部11にエアポンプ14を収容した場合を示している。また、前側壁8のエアポンプ収容部11,11の下部前方に矩形状(
図3(a)では正方形状)の開口が形成されており、エアポンプ収容部11,11内に入り込んだ水を直ちに容器外部へ排出することができるようにしている。
【0032】
エアポンプ14としては、ケーシング内に乾電池(二次電池でもよい)及び乾電池により駆動されるポンプを収容してなるものを使用する。また、エアポンプには、エアチューブの一端が接続され、エアチューブの他端には、エア分散器が接続され、このエア分散器からのエアを魚介類収容部10内の水に供給している。エア分散器は、底壁4に形成されている2つの凹部15,16のうちの一方に係止して(嵌め込まれて)固定される。各凹部15又は16の近傍には、エアチューブを係止保持するための一対の係止突起17,17が形成されている。また、底壁4及び本体用側壁5には、エアチューブを嵌め込んで固定するための溝Mが形成されている。右側のエアポンプ収容部11に収容したエアポンプ14のエア分散器(図示せず)を開口12K近傍に位置する凹部15に係止することによって、開口12Kから魚介類収容部10内へ移動してくる融水をエア分散器からのエアによって開口12Kから遠ざかる側へ効率よく移動させることができる。
【0033】
魚介類収容部10を構成する4つの壁6,7,9,12の角部の内面18,19,20,21が、R加工され、4つの角部の内面18,19,20,21のうちの縦壁12側に位置する2つの角部の内面18,19の曲率半径の大きさが、残る2つの角部の内面20,21の曲率半径よりも大きくしている。具体的には、縦壁12側に位置する2つの角部の内面18,19の曲率半径R1を50mmとし、残る2つの角部の内面20,21の曲率半径R2を50mmの半分の25mmとしている。このように設定することによって、縦壁12側の角部の強度アップを図ることができるだけでなく、魚介類収容部10内における縦壁12側の水の移動をスムーズに行うことができ、水が滞留して魚介類収容部10内の水が淀むといったことをより一層抑制できる。
【0034】
図1及び
図2に示すように、左右の側壁6,7及び前後の側壁8,9の上端面、即ち、本体用側壁5の上端面には、上向きに突出する環状の嵌合用凸条2Tが設けられている。この嵌合用凸条2Tに嵌合する環状の凹部(図示せず)が蓋体3の底部に形成されている。
【0035】
図2及び
図5(a),(b)に示すように、互いに対向する縦壁12と後側壁9とに、魚介類収容部10内の空間を仕切るための仕切板22を係止して固定するための2組の係止部としての縦溝23,24,25,26が形成されている。従って、
図5(a)に示すように、2枚の仕切板22,22の前後端部を前後一対の縦溝23,24,25,26に上方から差し込むことによって、仕切板22,22を左右方向において所定間隔を置いて略平行にセットすることができる。これによって、魚介類収容部10を3つの収容空間27,28,29に仕切ることができ、魚介類を3つの収容空間27,28,29に区分けして収容することができる。例えば各収容空間27又は28又は29に魚を魚の口が縦壁12側に向いた状態で収容した状態にした場合に、エアポンプ14を右側のエアポンプ収容部11に収容し、そのエアポンプ14のエア分散器(図示せず)を開口12K近傍に位置する凹部15に係止することによって、魚の口にエア分散器(図示せず)から噴出するエアが届き易いため、活性状態を維持する上において有利になる。尚、各縦溝23又は24又は25又は26は、上端から下端に向うほど幅が狭くなるテーパー面を備えている。このような構成を備えることによって、仕切板22,22を各縦溝23又は24又は25又は26の上端から入れやすくしながらも、下端部の狭くなった部分で仕切板22の下端部を確実に挟持することで、セットされた仕切板22が水の浮力を受けて浮き上がることを抑制できる。
【0036】
また、
図5(b)に示すように、1枚の仕切板22が斜めになるように、仕切板22を前側で右側の縦溝25(前側で左側の縦溝23でもよい)と後側で左側の縦溝24(後側で右側の縦溝26でもよい)とに上方から差し込むこともできる。これによって、魚介類収容部10を2つの収容空間30,31に仕切ることができ、魚介類を2つの収容空間30,31に区分けして収容することができる。ここでは、魚介類収容部10を最大で3つの収容空間27,28,29に仕切ることができる場合を示したが、魚介類収容部10を4つ以上の収容空間に仕切ることができるように構成してもよいし、縦溝23,24,25,26を省略して魚介類収容部10を仕切ることができない構成であってもよい。
【0037】
また、
図4(c)に示すように、仕切板22,22の下端22A,22Aと底壁4の上面(載置面)4Aとの間には、隙間S1が形成されており、その隙間S1を通して3つの収容空間27,28,29同士間を魚介類収容部10内の水が移動できるようになっている。例えば、隙間S1を、20mm〜40mmの任意の値に設定することが好ましい。また、水面Wよりも仕切板22の上端22Bを低くして、仕切板22の上端22Bから水面Wまでの隙間S2を形成しており、隙間S2を通して3つの収容空間27,28,29同士間を魚介類収容部10内の水が移動できるようになっている。この場合も、隙間S2を20mm〜40mmの任意の値に設定することが好ましい。このように隙間S1,S2を形成することによって、水の移動がスムーズになり、水が淀むことを解消しやすい。
【0038】
尚、本発明に係る保冷容器は、実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0039】
前記実施形態では、平面視において長方形状の魚介類用輸送容器を示したが、平面視において正方形状の魚介類用輸送容器であってもよいし、円形や多角形の魚介類用輸送容器であってもよい。
【0040】
また、前記実施形態では、2つのエアポンプ収容部を設けた場合を示したが、1つ又は3つ以上のエアポンプ収容部を設けて実施してもよい。
【0041】
また、前記実施形態では、縦壁12に形成した開口12Kをスリット形状に構成したが、多数の円形状又は角形状の小孔を間隔を置いて形成して開口12Kとしてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、魚介類収容部内の水温を下げるための冷媒として氷を用いたが、プラスチック製の容器又は袋にゲル剤を充填している蓄冷剤を用いてもよい。蓄冷剤は、蓄冷剤を収容可能な冷媒収容部に収容され、蓄冷剤の大きさは、魚介類収容部内の水温が所定温度まで低げることができる容量を有する大きさのものに設定される。
【符号の説明】
【0043】
1…魚介類用輸送容器、2…容器本体、2A…開口部、2T…嵌合用凸条、3…蓋体、4…底壁、4A…載置面(上面)、5…本体用側壁、6,7…左右の側壁、8,9…前後の側壁、10…魚介類収容部、11…エアポンプ収容部、12…縦壁、12A…内面、12K…開口、13…氷収容部、14…エアポンプ、15,16…凹部、17…係止突起、18,19,20,21…角部の内面、22…仕切板、22A…下端、22B…上端、23,24,25,26…縦溝、27,28,29,30,31…収容空間、M…溝、S1,S2…隙間、W…水面