特開2015-159848(P2015-159848A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-159848ボールを用いた競技の練習乃至プレイに用いるボール及びそのボールの使用方法の説明のための模型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-159848(P2015-159848A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】ボールを用いた競技の練習乃至プレイに用いるボール及びそのボールの使用方法の説明のための模型
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20150811BHJP
   A63B 69/36 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   A63B69/00 504D
   A63B69/36 504Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-35025(P2014-35025)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】594110114
【氏名又は名称】大森 信正
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】大森 信正
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボールを用いた競技の練習乃至競技において、視覚によるイメージを通じて、プレイヤーにボールを打つべき方向とボールに与えるべき回転の方向とを認識させ、正確にボールを目標方向に移動させるようにプレイヤーの体を動かせるようにするボールを提供する。
【解決手段】透明なボール100の内部にボールを運動させたい方向を示す第1の矢印130と当該ボールに与えるべき回転方向を示す輪状の第2の矢印150とを設け、若しくは、不透明なボール又は透明なボールの表面に前記第1の矢印と前記第2の矢印とをボール表面上に投影した表示を設けると共に、これらのボールの使用法を説明するために、透明の球殻の内部に、第1の矢印とこれを取り囲む輪状の第2の矢印とを設け、当該第2の矢印を設けた透明板の第1の矢印に対する傾斜を可変とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを用いた競技の練習乃至競技に用いるボールであって、透明に形成したボール内部の中心部分に、前記ボールの中心を通る第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示の周囲を取り囲むように形成し前記ボールの中心を輪の中心とした輪状の第2の方向を示す表示とを設け、
前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、前記第2の方向を示す表示は前記ボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする透明に形成したボール。
【請求項2】
ボールを用いた競技の練習乃至競技に用いるボールであって、不透明又は透明のボールの表面に第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示に直交又は斜交する輪状の第2の方向を示す表示とを設け、前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、
前記第2の方向を示す表示はボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする不透明又は透明なボール。
【請求項3】
請求項1に記載したボールの使用方法を説明するための模型であって、
前記模型は、透明な球殻と、前記透明な球殻の中心部分に、前記球殻の中心を通る第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示の周囲を取り囲むように形成し前記球殻の中心を輪の中心とした輪状の第2の方向を示す表示とを設け、
前記第2の方向を示す表示が構成する輪が属する平面の、前記第1の方向を示す表示の方向に対する傾斜角を可変とし、
前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、前記第2の方向を示す表示は前記ボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする透明に形成したボールの使用方法を示す模型。
【請求項4】
前記方向を示す表示が矢印である請求項1又は2に記載した透明なボール又は不透明なボール若しくは請求項3に記載した模型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボールを用いた競技の練習乃至競技(プレイ)に用いるボール及びそのボールの使用方法を説明するための模型に関し、更に詳細には、球技の練習乃至プレイのために内部に表示を設けた透明のボール、及び、球技の練習乃至プレイのために表面に表示を設けた不透明又は透明のボール、並びに、前記表示を設けたボールの使用方法を説明するための模型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフなどのボールを用いた競技では、競技者(プレイヤー)による打撃操作により、ボールを正確に狙った方向に飛ばすことが重要である。そのため、プレイヤーがボールに対して打撃操作を行う場合には、打撃によりボールを打ち出す方向が正確に目標方向に向いている必要がある。
【0003】
また、ボールの飛距離を増大させたり、風向きなどを考慮してボールの軌道に変化を生じさせたり、或いは、着地の際の停止距離を短縮したい場合などには、ボールに適宜回転を加えて、ボールの運動を制御する必要がある。
【0004】
一般的に、プレイヤーが、こうしたボールに対する打撃操作を修得するためには、相当程度の練習が必要となり、練習の際には、指導者に師事する場合もある。そして、そのような指導者による指導においては、プレイヤーが指導者の指示乃至命令に基づいて、打撃操作の際に最適な体の姿勢をとったり、同様に、最適な体の動きの制御を行ったりすべく、プレイヤーへの指示乃至命令がなされる。そして、そうした指示乃至命令に基づいてプレイヤーが体を動かし、その結果としてボールに対する打撃操作が行われる。
【0005】
しかし、従来のこのような指導法では、プレイヤーに対する視覚を通じて生起される心理的な効果が必ずしも有効に利用されていなかった。
【0006】
すなわち、従来の指導法では、その殆どが、指導者の指示乃至命令に基づいて、プレイヤーが自身の体を意識的に動かすものが主となっている。そのため、上記従来の指導法では、視覚を通じた刺激に基づいて、プレイヤーが直感的にボールを進行させるべき方向や回転させるべき方向をイメージして、当該イメージに基づいて体が動かされるようなものではなく、また、プレイヤーの体が視覚を通じたイメージに反応して採る無意識的な視覚誘導性運動を考慮したものでもなかった。
【0007】
また、特許文献1では、ボールを運動させたい方向を視覚的にプレイヤーに示す手段として、ボールの表面にボールを進行させたい方向を示す表示を設けた考案が開示されている。
【0008】
しかし、上記考案においては、ボールを進行させたい方向(打撃方向)が示されてはいるものの、ボールを回転させたい方向については、何らの考慮もなされておらず、プレイヤーに何らのイメージを想起させるようなものでもなかった。
【0009】
また、実際の競技において、ボールを飛ばしたい目標方向と、ボール自体の相対的位置関係とを認識し、これを通じて、ボール自体を運動させるべき方向と自転させるべき方向とを視覚的に認識できれば、ボールの運動をさらに正確に制御できることが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平5−18554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の指導法で行われているような、直接的な指導により意識的にプレイヤーの動作を制御する手法に代え、若しくは、これに加えて、プレイヤーに、ボールを運動させるべき方向と回転させるべき方向とを視覚を通じて示すことで、プレイヤーにイメージを想起させ、これを通じて、指導者の直接の指示乃至命令に依らずに、ボールの打撃操作等に必要な動作を想起させ、内発的な動きを生起させるとともに、当該視覚によるイメージを通じて、プレイヤーに無意識的に生起される体の動きの制御を行うことが可能な球技練習のためのボールの提供と、その使用方法を示す模型を提供することにある。
【0012】
また、実際の競技において、ボールを飛ばしたい目標方向と、ボール自体の相対的位置関係とを認識し、これを通じて、ボール自体を運動させるべき方向と自転させるべき方向とを決定し、ボールの運動をさらに正確に制御するために、これらの方向についての視認性を向上させたボールと、その使用方法を示す模型とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、透明に形成したボール内部の中心部分に、前記ボールの中心を通る第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示の周囲を取り囲むように形成し前記ボールの中心を輪の中心とした輪状の第2の方向を示す表示とを設け、前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、前記第2の方向を示す表示は前記ボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする透明に形成したボールを提供する。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明は、不透明又は透明のボールの表面に第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示に直交又は斜交する輪状の第2の方向を示す表示とを設け、前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、前記第2の方向を示す表示はボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする不透明又は透明なボールを提供する。
【0015】
さらに、上記課題を解決するために本発明は、前記透明なボール内部の中心部分に前記第1の方向を示す表示及び輪状の第2の方向を示す表示を設けた前記透明なボールの使用方法を示す模型であって、前記模型は、透明な球殻と、前記透明な球殻の中心部分に、前記球殻の中心を通る第1の方向を示す表示と、前記第1の方向を示す表示の周囲を取り囲むように形成し前記球殻の中心を輪の中心とした輪状の第2の方向を示す表示とを設け、前記第2の方向を示す表示が構成する輪が属する平面の、前記第1の方向を示す表示の方向に対する傾斜角を可変とし、前記第1の方向を示す表示は、前記ボールを運動させたい方向を示し、前記第2の方向を示す表示は前記ボールを回転させたい方向を示していることを特徴とする透明に形成したボールの使用方法を示す模型を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の球技の練習乃至プレイに用いるボールによれば、透明に形成したボールの内部、又は、不透明又は透明なボールの表面に、当該ボールを打ち出したい方向並びに回転させたい方向を矢印等で記した方向を示す表示が用いられていることにより、プレイヤーは当該ボールを打ち出すべき方向と、回転させるべき方向とを視覚を通じて直感的に理解することが可能である。
【0017】
そのため、指導者は当該ボールを通じて、直ちに、当該ボールを運動させるべき方向とその回転させるべき方向とをプレイヤーに明示することが可能であるため、プレイヤーに対する指導を更に明確に行うことが可能である。
【0018】
また、実際の競技において、ボールを打ち出したい方向並びに回転させたい方向を矢印等で記した方向を示す表示が用いられていることにより、プレイヤーは、あらかじめ目標とボールとの相対的位置関係を認識し、これに合わせて当該ボールをセットすることで、ボールを所定の方向に自転させて打ち出すための視覚的なイメージを得ることが可能となり、ボールに対する打撃制御等をより適切に行うことが可能となる。
【0019】
また、本発明の上記球技の練習乃至プレイに用いるボールの使用方法を説明するための模型によれば、上記球技の練習乃至プレイに用いるボールを使用するに当たり、その実際の使用法を極めて簡単に理解することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態であるボール100を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態であるボール100の別の態様を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態の矢印部分の形態を説明するための斜視図である。
図4】本発明の実施形態の矢印部分を上面側から見た図である。
図5】本発明の実施形態であるボール200の上面図である。
図6】本発明の模型の概念を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面の記載に関しては、重複する部分や、左右対称又は上下対称に表される部分等の構成要素の一部についての表記や説明については、適宜省略する場合がある。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の厚みや平面寸法との関係、各構成要素相互間の縮尺や比率などについては、実際のものとは異なる場合がある。
【0022】
図1は、本発明の請求項1に記載した発明に係る、球技乃至その練習に用いる透明なボールの実施形態であるボール100を示す斜視図である。
【0023】
本ボール100は、図1に記載したように、輪郭を点線で示した透明な外表面110を有する、内部を透明に形成したボールであり、前記ボール100の中心Cの周辺領域を外部から透して見ることができるものであれば、単層構造のワンピースボールであっても、その他の多層構造のボールであっても構わない。また、上記ボールの用途は、ゴルフボールとして用いられるものであっても、ゲートボール又はサッカーボールやバレーボール等の各種ボールを用いた競技に用いられるものであっても良く、特に限定を設けるものではない。
【0024】
そして、前記ボール100の内部の中心部分には、方向を示す表示として、前記中心Cを通る第1の矢印130が設けられている。前記第1の矢印130は、図1では、先端を細く形成した頭部131と軸部133とから構成されており、前記矢印130の頭部131の先端から軸部133の末端までの長さの中間部分に、前記ボール100の中心Cが来るように配設されている。
【0025】
なお、本実施形態では、前記第1の矢印130は上記のような形態を有しているが、その形態は方向を示す表示であれば、どのようなものであっても良い。そのため、例えば、図2(A)に記載した斜視図で示したように、前記矢印130の頭部131を円錐型の形状としてその底面部に軸体133を接続したものでも良く、また、図2(B)に記載した斜視図で示したように、全体が板状のものでもかまわない。
【0026】
また、図1に戻って説明を続けると、前記第1の矢印130の軸部133の周囲には、前記第1の矢印130の前記軸部133を取り囲むように、方向を示す表示として第2の矢印150が形成されている。
【0027】
当該第2の矢印150は、前記第1の矢印130の中間部分でありボール100の中心でもあるCを輪の中心とした、全体として輪状に形成した矢印であり、前記輪状の部分には適宜方向を示すための頭部151が設けられている。当該頭部151は、図1においては、全体として輪状に形成される前記第2の矢印150に4つが設けられているが、方向を示すことが可能であれば、その数は特に限定を設けるものではない。また、前記第2の矢印150の示す方向は、前記第1の矢印130上から当該矢印130の示す方向へ見た場合には時計回りの方向を示しているが、前記第1の矢印との関係でボールを自転させたい方向を示す必要に応じて、反時計回りの方向を示すものであっても良い。
【0028】
また、方向を示す表示として構成例を示した前記第2の矢印の形態は、上記に限定されるものではなく、前記第1の矢印を取り巻く輪状であれば、例えば、図2(A)に記載した斜視図で示したように上記頭部151として適宜方向を示す切り欠き等を設けた、全体としてベルト型の形状でも良く、また、図2(B)に記載した斜視図で示したように、上記頭部151として方向を示す円錐部を設けた、全体として円環状のものでもかまわない。
【0029】
なお、上記図2(A)に記載したように、上記ベルト型の形状の厚さ(前記球殻の中心Cから径方向へ見た距離)及び上記ベルト型の形状の幅(前記球殻の中心Cを通る前記第1の矢印の軸方向と平行な方向への距離)は、見やすいように適宜決定することが可能であり、上記図2(B)に記載したような、上記円環形状を構成する円環の小円(前記円環を構成する回転体の断面の円)及び大円(前記小円の中心がなす円(中心曲線))の大きさも、同様に任意に決定することが可能である。
【0030】
また、前記第2の矢印150の輪が構成する平面Sは、前記ボールを運動させたい方向を示す第1の矢印に対して、前記ボール自体を回転させたい方向を示す第2の矢印が属する平面であるため、前記第1の矢印130に対してどのように傾斜したものでも良い。そのため、前記第2の矢印150は、前記平面Sに沿って、前記ボール100自体を回転させたい方向を示すものとして、あらかじめ任意の方向を表示しておくことが可能である。
【0031】
なお、上記平面Sは、図2(A)に示したように、前記第2の矢印がベルト状の場合には、前記ベルトの幅方向の中間の位置で上記ベルトを構成する円と上記第1の矢印の中点Cとが属する面となり、図2(B)のように、前記第2の矢印150が円環状の場合には、前記円環の中心曲線と上記第1の矢印の中点Cとが属する面となる。
【0032】
また、上記平面Sについて更に説明すると、例えば、図3は、三次元座標系上で、上記ボールの中心Cを原点として、前記第1の矢印130をZ軸上に沿っておいた場合に、X軸とY軸とからなる平面上に前記第2の矢印150が属する平面Sが構成された例を斜視図を用いて示した説明図である。
【0033】
ここで、上記平面Sは、前記X軸を中心に回転させた任意の位置及び、前記Y軸を中心に回転させた任意の位置に設定することが可能である。したがって、本ボール100を上方(図3のY軸のプラス側)から見た場合には、前記第1の矢印130と第2の矢印150とは、例えば、図4(a)〜(f)に示すように、上記平面Sと第2の矢印150との向きをどの方向にとるかによって、多種類の組み合わせが可能である。そして、上記平面Sの傾き方向によって、上記第2の矢印150は、円や楕円の形態を採ることになり、第2の矢印150の指す方向も、上記第1の矢印130に対して、時計回りや反時計回りの方向を表示することになる。
【0034】
また、上記第1の矢印130と第2の矢印150の大きさとは特に限定を設けるものではなく、色彩についても特に限定を設けるものではないが、本発明の趣旨からは、視認性を高めることが重要であるため、視覚を通じた認識が高まるような配色及び、大きさが必要であり、競技が行われる環境や競技の種類によって、適宜これらを決定することが望ましい。
【0035】
以上のように構成した透明なボール100においては、以上に記述したように、上記第1の矢印130は、前記ボール100を運動させたい方向を示す矢印であり、前記輪状の第2の矢印150はボール100自体を自転させたい方向を示す矢印として形成されている。そのため、上記ボール100は次のように使用される。
【0036】
例えば、上記ボール100をゴルフボールに適用する場合には、上記第1の矢印130と輪状の第2の矢印150とは透明な素材が充填されたゴルフボールの内部に形成され、前記第1の矢印130に対して、前記第2の矢印150が属する平面Sの傾斜角や、前記第2の矢印150の示す方向が異なるものが数種類提供される。
【0037】
そして、上記ボール100を用いてゴルフの練習乃至指導を行う場合、ゴルフの指導者は、ゴルフコース上などにおいて、被指導者(プレイヤー)に対して、当該ボールを飛ばすべき方向と当該ボールに与えるべき回転の方向を指示するにあたって、当該飛ばすべき方向を示す第1の矢印と、当該ボールに与えるべき回転の方向を示す第2の矢印とが、プレイヤーに指示したい方向と合致するボールを選択する。
【0038】
その後、上記指導者は当該選択したボールをセットし、プレイヤーはそのボールに表示された第1の矢印と第2の矢印とに合わせてアドレスし、ボールにスイングにより打撃操作を加えることになる。
【0039】
ここで、ゴルフの上記スイング(クラブの振り方)は、クラブを上げて振り下ろすタテの力と、遠心力を大きくするヨコの力とから成り立っているとすると、上記の動きから打ち出されるボールには、タテ・ヨコの複雑な力がかかり複雑なスピンによって目標に打ち出されることになる。これに対して、上記透明なボールに付された直線方向を示す第1の矢印と、回転方向を示す第2の矢印とは、前記第1の矢印が、目標に向かって打ち出すタテの力と、前記第2の矢印が目標まで飛ばすヨコの力とを同時に働かせる為にイメージするものとなる。そして、こうした視覚的イメージにより、プレイヤーの動作が誘引されて、目標に対して上記ボールを飛ばすための打撃操作が行われることになり、上記ボールを目標方向に必要な回転を加えつつ飛ばすことが可能となる。
【0040】
また、本発明は、上記の練習等の場合のみならず、ボールを打ち出したい方向並びに回転させたい方向を矢印で記した表示が用いられていることにより、プレイヤーは、あらかじめ目標とボールとの相対的位置関係を認識し、これに合わせて当該ボールをセットすることで、ボールを所定の方向に自転させて打ち出すための視覚的なイメージを得ることが可能である。そのため、実際の競技においても、ボールに対する打撃等の制御をより適切に行うことが可能となる。
【0041】
次に、本願の請求項2に記載した発明に係る球技ないしその練習に用いる不透明又は透明なボールの実施形態を説明する。
【0042】
図5は、本発明のボールを用いた競技ないしその練習に用いるボールの第2実施形態のボール200を示す平面図である。
【0043】
上記第2実施形態のボール200は、前記ボール100の場合とは異なり、ボール内部に矢印等を設けるものではなく、不透明又は透明のボールの表面に、方向を示す表示として第1の矢印230と、前記第1の矢印230に直交乃至斜交する輪状の方向を示す表示である第2の矢印250とを表示して設けるものであり、その表示方法は、刻印によるものでも印刷によるもの等でも構わない。なお、ここで上記直交乃至斜交とは、上記輪状の矢印を上面側(すなわち上記第1の矢印の軸に対して垂直な方向)から見た場合には楕円となるため、当該楕円を形成する長軸乃至短軸が前記第1の矢印に対して直交乃至斜交していることを指している。
【0044】
そして、前記第1の矢印230は、前記ボール200を運動させたい方向を示し、前記輪状の第2の矢印250はボール200を回転させたい方向を示していることを特徴としている。
【0045】
前記ボール200における第1の矢印230と第2の矢印250との基本的な目的は前記ボール100におけるものと同様である。しかし、本ボール200では、上記第1の矢印230と第2の矢印250とは、前記ボール200を構成する球面状の表面に表示するものであるため、前記ボール100における第1の矢印130と第2の矢印150とにおける立体的な表示を前記ボール200の球面上に2次元的に投影したものと同様となる。
【0046】
したがって、上記ボール200では、上記第1の矢印230と第2の矢印250の表示が、ボール200の表面に、例えば図4に例示したものと同様に表示されることになり、当該表示により、プレイヤーはボール200を打ち出すべき方向と、ボール200を回転させるべき方向とを視覚的に認識することが可能となる。そして、上記ボール200を競技乃至その練習に用いることで、プレイヤーはボールの運動をさらに正確に制御することが可能となる。
【0047】
次に、本発明の請求項3に記載した発明に係る、請求項1に記載したボールの使用方法を説明するための模型の実施形態を説明する。
【0048】
図6は、本発明のボールの使用方法を説明するための模型500の例を示した斜視図である。
【0049】
上記模型500は、請求項1に記載した透明なボールの内部の中心部分に、方向を示す表示として第1の矢印と第2の矢印とを設けたものの使用方法を説明するためのものである。
【0050】
そして、その基本的な構成は、透明な球殻510と、前記透明な球殻510の中心部分に、前記球殻510の中心C‘を軸の中点が通る方向を示す表示として設けた第1の矢印530と、前記第1の矢印530の軸の周囲を取り囲むように形成され前記球殻510の中心C‘を輪の中心とした輪状の方向を示す表示である第2の矢印550とからなっている。
【0051】
ここで、上記透明な球殻510は、上半球部分と下半球部分とに分割可能に設けられており、下半球部分は、支持台600上に立設された支柱610上にベアリング630を介して、水平面上に回動可能に設けられている。
【0052】
また、前記第1の矢印530は、当該矢印の先端及び後端の延長線上において、上記球殻510の下半球部分に接続されており、前記球殻の運動に連動して水平面上に回動可能に接続され、更に、前記第1の矢印の方向に対して前記第2の輪状の矢印が反時計回りになる場合と時計回りになる場合とを考慮して、矢印の方向が反転可能となるように取り付けられている。
【0053】
また、前記輪状の第2の矢印550が構成する輪は、円形に形成した透明板570に形成されており、前記透明板570は、中心部に前記第1の矢印530を貫通させるための領域として空隙580を設けた全体としてはリング状の外形をしている。そして、前記透明板570の外周は前記透明な球殻510の下半球部分の縁の内側で、前記球殻の中心C‘を挟むように設けられた半円形のフレーム650の2つの端部670に接続されており、当該2つの端部670を軸として回動可能に設けられている。また、前記半円形のフレーム650は、前記球殻510の下半球の部分の内側にある接続部690で、前記支柱610に前記支柱610を軸として回動可能に設けられている。
【0054】
上記のように構成される模型500は、前記球殻510の上半球部分を外すことにより、前記支柱610の軸を中心にして透明球殻510の下半球部分とフレーム650とを個別に回動させることが可能であり、更に前記フレーム650は前記2つの端部670を軸として、前記2つの端部に接続された透明板570を回動させることが可能である。
【0055】
そのため、請求項1に記載した透明なボール内部の中心部分に方向を示す表示として第1の矢印と第2の矢印とを設けたものの使用方法の説明を通じて、例えばゴルフにおけるボールの打撃方法等を指導するにあたって、指導者は、第1の矢印と第2の矢印とを時計回りの関係にすべきか反時計回りの関係にすべきかについて決定し、上記模型500の第1の矢印の方向を調整してから上記透明板570を稼働することにより、当該透明板570に表示された輪状の第2の矢印550を前記第1の矢印に対して任意の方向に傾斜して表示させることが可能である。
【0056】
したがって、上記模型500を通じて、上記表示が設けられたボールを用いた適切なボールの打撃方法等を指導することが可能である。
【0057】
また、実際の競技においても、あらかじめ、上記模型500を通じて、上記ボールの特性を知っておき、上記ボールを用いた上記競技に備えておくことが可能である。
【符号の説明】
【0058】
100 200 ボール
110 透明な外表面

130 230 530 第1の矢印
131 第1の矢印の頭部
133 第1の矢印の軸部

150 250 550 第2の矢印
151 第2の矢印の頭部

500 模型
510 透明な球殻
570 透明板
580 透明板の空隙

600 支持台
610 支柱
630 ベアリング
650 半円形フレーム
670 半円形フレームの端部
690 半円形フレームと支柱の接続部

C ボールの中心
C‘ 球殻の中心
S 第2の矢印が属する平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6