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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-159923(P2015-159923A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】フレキシブル・スライダ
(51)【国際特許分類】
   A63B 21/005 20060101AFI20150811BHJP
   A63B 22/10 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   A63B21/005
   A63B22/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-36260(P2014-36260)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000224123
【氏名又は名称】藤倉化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】安齊 秀伸
(72)【発明者】
【氏名】桜井 宏治
(72)【発明者】
【氏名】三井 和幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】全体として可撓性を有しながら可動側と固定側との間で抵抗を与えることが可能なフレキシブル・スライダを提供する。
【解決手段】電気絶縁性を有する中空状の可撓性のベース部3と、ベース部3の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して両端部5a,5bがベース部3外に引き出された可撓性のスライダ本体5と、ベース部3内に固定されてベース部3の撓みを許容すると共にスライダ本体5に摺接する摺接面33a,33bを有し、電圧の印加に応じてスライダ本体5のベース部3に対するスライド移動に摺接面33a,33bによって抵抗を与える抵抗付与部とを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性を有する中空状の可撓性のベース部と、
該ベース部の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して少なくとも一端部が前記ベース部外に引き出された可撓性のスライダ本体と、
前記ベース部内に固定されて前記ベース部の撓みを許容すると共に前記スライダ本体に摺接する摺接面を有し、電圧の印加に応じて前記スライダ本体の前記ベース部に対するスライド移動に前記摺接面によって抵抗を与える抵抗付与部と、
を備えたことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブル・スライダであって、
前記スライダ本体は、可撓性の導電性材料及び電気レオロジー材料の一方からなり、
前記抵抗付与部は、前記導電性材料及び電気レオロジー材料の他方からなり、
前記スライダ本体及び前記抵抗付与部間への前記電圧の印加に応じて前記摺接面に前記スライダ本体を吸着する、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項3】
請求項1記載のフレキシブル・スライダであって、
前記抵抗付与部は、可撓性の電気レオロジー材料からなり、前記摺接面に対する反対側面に少なくとも一対の電極を有し、前記一対の電極間に前記電圧を印加することで前記摺接面に前記スライダ本体を吸着する、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のフレキシブル・スライダであって、
前記抵抗付与部は、前記スライダ本体のスライド移動方向に対する交差方向に沿って延設されたシート状である、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のフレキシブル・スライダであって、
前記抵抗付与部は、前記摺接面をそれぞれ有する複数の摺接片に分割形成され、
該複数の摺接片は、前記スライダ本体のスライド移動方向に相互に間隔をあけて配置された、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項6】
請求項5記載のフレキシブル・スライダであって、
前記複数の摺接片は、前記スライダ本体を挟んで対向する前記ベース部の内面の一方側に位置する第1摺接片と、前記ベース部の内面の他方側に位置する第2摺接片とを含み、
前記第1及び第2摺接片の摺接面が、前記スライダ本体に両側から摺接する、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項7】
請求項6記載のフレキシブル・スライダであって、
前記第1及び第2摺接片は、前記スライド移動方向で位置ずれして交互に配置されている、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項8】
請求項7記載のフレキシブル・スライダであって、
前記スライダ本体は、前記ベース部内において前記可撓性により前記スライド移動方向でウェーブ状に湾曲したシート状であり、
前記第1及び第2摺接片は、前記スライダ本体のウェーブ状の溝内に位置する、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載のフレキシブル・スライダであって、
前記スライダ本体は、複数のスライダ片に分割形成され、
該複数のスライダ片は、前記スライダ本体のスライド移動方向に対する交差方向において相互間に隙間をあけて配置された、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項10】
請求項9記載のフレキシブル・スライダであって、
前記ベース部は、隣接するスライダ片間において前記スライド移動方向に沿って相互に縫合された一対のベース・シートからなる、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載のフレキシブル・スライダであって、
前記ベース部は、少なくとも前記スライド移動方向の一端側に肉厚を貫通する挿通孔を有し、
前記スライダ本体の前記一端は、それぞれ撓みにより前記挿通孔を湾曲した状態で挿通して外部に引き出される、
ことを特徴とするフレキシブル・スライダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの部材間に抵抗を与えて動きを規制する、筋力のトレーニング装置等に適用可能なフレキシブル・スライダに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の筋力のトレーニング装置としては、例えば特許文献1のように、電気的な制御によって負荷を変更可能な多層EAMブレーキデバイスを利用した装身装置として構成されたものがある。
【0003】
図16は、多層EAMブレーキデバイスを示す断面図である。
【0004】
多層EAMブレーキ・デバイス101は、ケース103に対して軸105がボール・ベアリング107,109により回転自在に支持され、ケース103及び軸105間に抵抗付与部111が設けられている。抵抗付与部111は、電圧印加に応じて軸105の回転に抵抗を与えるものである。
【0005】
この多層EAMブレーキ・デバイス101をトレーニング装置に用いる場合は、多層EAMブレーキ・デバイス101によって与えられる抵抗により上肢等の筋力トレーニングを可能とする。
【0006】
具体的には、多層EAMブレーキ・デバイス101をトレーニング装置のベースに取り付け、多層EAMブレーキデバイス101の軸105にトレーニング装置のレバーの一端を結合し、レバーの他端に握り部を設ける。
【0007】
トレーニングの際は、ベースを人の上腕側に取り付けて多層EAMブレーキ・デバイス101を腕の肘部に配置し、レバーを前腕に沿って延設配置する。この状態で、握り部を握ってレバーを回転操作すると、多層EAMブレーキ・デバイス101の抵抗に応じた負荷で筋力トレーニングを行わせることができる。
【0008】
しかしながら、従来の多層EAMブレーキ・デバイス101では、可動側の軸105の回転に対して固定側のケース103との間で抵抗を与えるので、軸105及びケース103を含む全体を剛体で構成する必要があった。
【0009】
このため、多層EAMブレーキ・デバイス101は、構造の複雑化、大型化、或いは重量増を招く等の問題があり、また、トレーニング装置等の装身装置に適用する場合に装身可能な部位が限定される等の問題もあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】多層EAMブレーキデバイスを用いた装身型トレーニング装置の開発(01−05−5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、可動側と固定側との間で抵抗を与えるために全体として剛体で構成する必要があった点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のフレキシブル・スライダは、全体として可撓性を有しながら可動側と固定側との間で抵抗を与えることを可能とするため、電気絶縁性を有する中空状の可撓性のベース部と、該ベース部の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して少なくとも一端部が前記ベース部外に引き出された可撓性のスライダ本体と、前記ベース部内に固定されて前記ベース部の撓みを許容すると共に前記スライダ本体に摺接する摺接面を有し、電圧の印加に応じて前記スライダ本体の前記ベース部に対するスライド移動に前記摺接面によって抵抗を与える抵抗付与部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフレキシブル・スライダでは、全体として可撓性を有しながら、相対的な固定側であるベース部に対する相対的な可動側であるスライダ本体のスライド移動に抵抗付与部による抵抗を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フレキシブル・スライダの概略構成を示す斜視図である(実施例1)。
図2図1のフレキシブル・スライダのスライダ本体及び抵抗付与部を示す斜視図である(実施例1)。
図3図1のフレキシブル・スライダの平面図である(実施例1)。
図4図3のIV−IV線矢視に係る断面図である(実施例1)。
図5図3のV−V線矢視に係る断面図である(実施例1)。
図6図1のスライダ本体を示す断面図である(実施例1)。
図7図1の抵抗付与部の第1及び第2摺接片の具体構造をスライダ本体と共に示す概念図であり、図7(A)は、電圧が印可されていない状態、図7(B)は、電圧が印可された状態である(実施例1)。
図8】変形例に係る抵抗付与部の第1及び第2摺接片の具体構造をスライダ本体と共に示す概念図であり、図8(A)は、電圧が印可されていない状態、図8(B)は、電圧が印可された状態である(実施例1)。
図9】他の変形例に係る抵抗付与部の第1及び第2摺接片の具体構造をスライダ本体と共に示す概念図であり、図9(A)は、電圧が印可されていない状態、図9(B)は、電圧が印可された状態である(実施例1)。
図10】更に他の変形例に係るフレキシブル・スライダの断面図である(実施例1)。
図11】フレキシブル・スライダの概略構成を示す斜視図である(実施例2)。
図12図11のフレキシブル・スライダのスライダ本体及び抵抗付与部を示す斜視図である(実施例2)。
図13図11のフレキシブル・スライダの平面図である(実施例2)。
図14図13のXIV−XIV線矢視に係る断面図である(実施例2)。
図15図13のXV−XV線矢視に係る断面図である(実施例2)。
図16】多層EAMブレーキデバイスを示す断面図である(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
全体として可撓性を有しながら可動側と固定側との間で抵抗を与えることを可能とするという目的を、中空状の可撓性のベース部を挿通する可撓性のスライダ本体のスライド移動に対し、ベース部内に固定されてベース部の撓みを許容する抵抗付与部によって抵抗を与えるフレキシブル・スライダにより実現した。
【0016】
具体的には、フレキシブル・スライダは、電気絶縁性を有する中空状の可撓性のベース部と、該ベース部の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して少なくとも一端部がベース部外に引き出された可撓性のスライダ本体と、ベース部内に固定されてベース部の撓みを許容すると共にスライダ本体に摺接する摺接面を有し、電圧の印加に応じてスライダ本体のベース部に対するスライド移動に摺接面によって抵抗を与える抵抗付与部とを備える。
【0017】
抵抗付与部によるスライダ本体のスライド移動に対する抵抗付与には、電気レオロジー材料を利用することができる。
【0018】
かかるフレキシブル・スライダは、電気的な制御によって負荷を変更可能な装身器具としてのリハビリ装置やトレーニング装置等に適用できる他、二つの部材間に抵抗を与えて動きを規制する留め具等としても適用することができる。
【0019】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
[フレキシブル・スライダの構成]
図1は、実施例1に係るフレキシブル・スライダの概略構成を示す斜視図、図2は、図1のフレキシブル・スライダのスライダ本体及び抵抗付与部を示す斜視図、図3は、図1のフレキシブル・スライダの平面図、図4は、図3のIV−IV線矢視に係る断面図、図5は、図3のV−V線矢視に係る断面図である。
【0021】
フレキシブル・スライダ1は、図1図5のように、相対的な固定側であるベース部3と、相対的な可動側であるスライダ本体5と、抵抗付与部7とを備えている。本実施例のフレキシブル・スライダ1は、全体として可撓性を有し、ベース部3に対するスライダ本体5のスライド移動に対し、電圧の印加に応じて抵抗付与部7による抵抗を与えるものである。
【0022】
ベース部3は、例えばポリプロピレンやポリエチレン等の電気絶縁性及び可撓性を有する材料からなり、平面矩形の中空状に形成されている(図4及び図5参照)。
【0023】
本実施例のベース部3は、一対の平面矩形のベース・シート9,11を幅方向の両側で相互に結合して、ベース・シート9,11の幅方向の中間部で中空状となっており、且つ長手方向の両側が開口する形状になっている。
【0024】
なお、「長手方向」は、スライダ本体5のスライド移動方向に対応し、「幅方向」は、スライダ本体5のスライド移動方向に対する交差方向に対応する。以下の説明においても同様である。
【0025】
ベース・シート9,11の結合は、本実施例において締結具としてのリベット13により行われている。ただし、ベース・シート9,11の結合には、各種の結合方法を採用することができ、例えば溶着や接着等を採用してもよい。
【0026】
一方のベース・シート9には、スライド移動方向の両端側に肉厚を貫通する挿通孔としてのスリット15a,15bが形成されている。
【0027】
スライダ本体5は、例えばカーボンや金属等をポリプロピレンやポリエチレン等に分散させた可撓性のある導電性材料からなり、ベース部3よりも幅方向に狭い平面矩形のシート状に形成されている。
【0028】
図6は、スライダ本体5の具体構造を示す断面図である。
【0029】
本実施例のスライダ本体5は、一対のスライダ・シート21,23間に芯材シート25を挟んだ一体的な積層構造を有し、スライダ・シート21,23が上述の導電性及び可撓性を有する材料で構成されている。芯材シート25は、ポリプロピレンやポリエチレン等の電気絶縁性及び可撓性を有する材料で構成されている。なお、スライダ本体5は、単一のシート状に構成することも可能である。
【0030】
このスライダ本体5は、図1図5のように、ベース部3の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して、両端部5a,5bがベース部3外に引き出されている。
【0031】
両端部5a,5bの外部への引出は、スライダ本体5の可撓性によって、ベース部3のベース・シート9のスリット15a,15bを湾曲した状態で挿通することで行われている(図4参照)。
【0032】
これにより、スライダ本体5の両端部5a,5bは、スリット15a,15bに弾性的に係合し、平常時においてベース部3に対するスライド位置が保持される。
【0033】
なお、スライダ本体5は、少なくとも端部5a,5bの一方、つまり一端部がベース部3の外部に引き出されていればよい。この場合、スライダ本体5の他端部は、ベース部3内に配置されることになる。
【0034】
外部に引き出されたスライダ本体5の両端部5a,5bには、それぞれ銅等の導電性金属からなる電極27a,27bが取り付けられている。本実施例の電極27a,27bは、スライダ本体5の幅方向の両縁部にわたって帯状に設けられ、板厚の設定等によって可撓性を有している。これら電極27a,27bは、スライダ本体5(本実施例ではスライダ・シート21,23)に導通すると共に接地されている(図7参照)。
【0035】
抵抗付与部7は、複数の第1摺接片29a及び第2摺接片29bを備えている。
【0036】
第1及び第2摺接片29a,29bは、詳細について後述するが、可撓性の電気レオロジー材料で構成された平面矩形のシート状となっている。なお、第1及び第2摺接片29a,29bは、導電性材料で構成することも可能である。この場合は、スライダ本体5が電気レオロジー材料で構成される。
【0037】
第1及び第2摺接片29a,29bは、裏面側が後述する電極31a,31bに取り付けられ、電極31a,31bを介してベース部3に固定されている。第1摺接片29aは、スライダ本体5を挟んで対向するベース部3の一方の内面3a(内面3a,3bの一方)側に位置している。第2摺接片29bは、ベース部3の他方の内面3b(内面3a,3bの他方)側に位置している(図4及び図5参照)。
【0038】
これにより、第1及び第2摺接片29a,29bの表面は、それぞれスライダ本体5の表裏面に両側から摺接する摺接面33a,33bを構成する。従って、抵抗付与部7は、摺接面33a,33bをそれぞれ有する複数の第1及び第2摺接片29a,29bに分割形成されたものとなっている。
【0039】
第1及び第2摺接片29a,29bは、電極31a,31bの中央部でスライダ本体5の幅方向に沿って延設され、両側がスライダ本体5の幅方向の両側から突出している。このため、第1及び第2摺接片29a,29bの摺接面33a,33bは、スライダ本体5に対して幅方向全体で摺接する。
【0040】
第1摺接片29aと第2摺接片29bとは、ベース部3の長手方向で相互に位置ずれして対向しないように交互に配置されている。これにより、第1及び第2摺接片29a,29bは、全体としてベース部3の長手方向に相互に間隔あけて平行に隣接配置されている。
【0041】
また、第1摺接片29aと第2摺接片29bとは、隣接する第2摺接片29b間に第1摺接片29aを厚み方向で入れ込むと共に隣接する第1摺接片29a間に第2摺接片を厚み方向で入れ込むように配置されている(図4及び図5参照)。
【0042】
この結果、スライダ本体5は、ベース部3内において可撓性により長手方向でウェーブ状に湾曲し、第1及び第2摺接片29a,29bは、スライダ本体5のウェーブ状の溝内に位置する。
【0043】
第1及び第2摺接片29a,29bの電極31a,31bは、可撓性を有する平面矩形の導電性のシートで構成されている。電極31a,31bは、ベース部3の幅方向に沿って延設され、ベース部3の幅方向の両側においてベース・シート9,11間に挟持された状態でリベット13により締結固定されている。
【0044】
電極31a,31bの両端部は、ベース部3の幅方向の両側から外部に引き出されている。なお、電極31a,31bの両端部は、ベース部3の幅方向の両側から外部に引き出さずに、ベース部3内に位置させる構成とすることも可能である。
【0045】
これらの電極31a,31bは、共通電極35に接続されている。共通電極35は、可撓性を有する平面矩形の導電性のシートで構成され、ベース部3の長手方向に沿って延設されている。共通電極35は、ベース部3の幅方向の一側において、全ての電極31a,31bに交差した状態で接触して導通している。電極31a,31bに接触する部分おいては、それぞれ共通電極35がリベット13により電極31a,31bと共にベース・シート9,11間に挟持された状態で締結されている。
【0046】
共通電極35の長手方向の両端部は、ベース部3の長手方向の両側から外部へ引き出されている。なお、共通電極35は、少なくとも一方の端部が外部へ引き出されていればよい。共通電極35の一方の端部35aには、電圧源37が接続され、結果として、電極31a,31bは、共通電極35を介して電圧源37に接続される(図7参照)。
【0047】
これにより、電圧源37は、第1及び第2摺接片29a,29bとスライダ本体5との間に対し、スイッチ39を通じて電圧の印加及びその解除が切り替え可能となっている。
【0048】
なお、共通電極35を省略して、電極31a,31bをそれぞれ電圧源37に接続する構成としてもよい。この場合は、ベース部3から外部に引き出されている電極31a,31bの各一方の端部を電圧源37に接続すればよい。
[第1及び第2摺接片の詳細]
図7は、抵抗付与部7の第1及び第2摺接片29a,29bの具体構造をスライダ本体5と共に示す概念図であり、図7(A)は、第1及び第2摺接片29a,29bとスライダ本体5との間で電圧が印可されていない状態、図7(B)は、同電圧が印可された状態である。
【0049】
第1及び第2摺接片29a,29bは、上述のように、電気レオロジー材料からなっている。具体的には、図7(A)のように、電気絶縁媒体41に複数の電気レオロジー粒子43を分散させて、第1及び第2摺接片29a,29bが形成されている。
【0050】
電気絶縁媒体41は、例えば粘着性のないフッ素系樹脂やシリコン樹脂等からなり、電気レオロジー粒子43は、例えばシリカゲルやカーボン等の固体粒子からなる。
【0051】
第1及び第2摺接片29a,29bの摺接面33a,33bでは、電気レオロジー粒子43の断面からなる吸着面45が外部に露出している。吸着面45は、摺接面33a,33bと面一となっている。この吸着面45は、図7(B)のように、第1及び第2摺接片29a,29bとスライダ本体5との間の電圧の印加時にも摺接面33a,33b上で外部に露出して保持され、電気力によってスライダ本体5に対する吸着力を発生する。
【0052】
具体的には、第1及び第2摺接片29a,29bの電極31a,31bとスライダ本体5との間で生じる電気力線により、第1及び第2摺接片29a,29bの吸着面45に電気力によってスライダ本体5に対する吸着力が生じる。かかる吸着力は、マクスウェル応力によって生じていると考えられる。
【0053】
電圧が印可されていない平常状態においては、図7(A)のように、吸着面45による吸着力が生じず、吸着面45を含む摺接面33a,33bがスライダ本体5の自由なスライド移動を許容する。
[フレキシブル・スライダの作用]
本実施例のフレキシブル・スライダ1は、例えば、人の上肢に対する装身型のトレーニング装置として用いることができる。トレーニング装置として用いる場合は、例えば、フレキシブル・スライダ1を全体として人の上肢に沿って位置させ、ベース部3を人の上腕側に取り付け、スライダ本体5の一方の端部5aを人の下腕側に取り付ける。このとき、フレキシブル・スライダ1は、全体として撓むので、上肢に対する確実な取り付けが可能となる。
【0054】
この状態で、上腕に対して下腕を動かすと、スライダ本体5がベース部3に対して長手方向にスライド移動しつつ、フレキシブル・スライダ1全体又はスライダ本体5のみが撓んで上肢の動きに追従する。
【0055】
このとき、抵抗付与部7とスライダ本体5との間に電圧を印加することで、ベース部3に対するスライダ本体5のスライド移動に抵抗を与え、その抵抗に応じた負荷で筋力トレーニングを行わせることができる。
【0056】
具体的には、上腕に対して下腕を曲げる際に、スライダ本体5がベース部3から引き出される(突出する)ようにスライド移動し、このときに抵抗付与部7とスライダ本体5との間に電圧が印可されてスライダ本体5のスライド移動に抵抗を与える。結果として、フレキシブル・スライダ1は、上肢の筋力トレーニングを行わせることができる。
【0057】
スライダ本体5のスライド移動に対する抵抗の付与は、図7(B)のように、抵抗付与部7の第1及び第2摺接片29a,29bの摺動面33a,33bが、吸着面45の電気力に基づく吸着力によってスライダ本体5を吸着することで行われる。なお、印加電圧を変化させることで、吸着力及びそれによるスライダ本体5のスライド移動に対する抵抗を変化させることができる。
【0058】
上腕に対して下腕を伸ばす際には、ベース部3内に没入するようにスライダ本体5がスライド移動する。このときは、抵抗付与部7とスライダ本体5との間の電圧印可が解除されて吸着面45の吸着力が消失し、スライダ本体5のスライド移動を円滑に行わせることができる。
【0059】
なお、電圧の印加及びその解除は、図示しないコントローラーによってスイッチ39を制御することで実現できる。
[実施例1の効果]
本実施例のフレキシブル・スライダ1は、電気絶縁性を有する中空状の可撓性のベース部3と、ベース部3の中空状の内部をスライド移動自在に挿通して両端部5a,5bがベース部3外に引き出された可撓性のスライダ本体5と、ベース部3内に固定されてベース部3の撓みを許容すると共にスライダ本体5に摺接する摺接面33a,33bを有し、電圧の印加に応じてスライダ本体5のベース部3に対するスライド移動に摺接面33a,33bによって抵抗を与える抵抗付与部7とを備えている。
【0060】
従って、本実施例では、フレキシブル・スライダ1が全体として可撓性を有しながら、相対的な固定側であるベース部3に対する相対的な可動側であるスライダ本体5のスライド移動に抵抗付与部7による抵抗を与えることができる。
【0061】
結果として、本実施例では、フレキシブル・スライダ1の構造の簡素化、小型化、軽量化等を図ることができる。
【0062】
しかも、フレキシブル・スライダ1は、トレーニング装置等の装身装置に適用する場合に、剛体では装身不能な部位であっても、撓ませることによって装身が可能となる。従って、本実施例では、装身可能な部位が限定されることを防止できる。さらに、装身装置に適用する場合には、フレキシブル・スライダ1が撓むことによって、各部位に対応することが可能となり、専用品として用意する必要がなく、汎用性を拡大することができる。
【0063】
本実施例のフレキシブル・スライダ1は、スライダ本体5が可撓性の導電性材料及び電気レオロジー材料の一方からなり、抵抗付与部7が導電性材料及び電気レオロジー材料の他方からなり、スライダ本体5及び抵抗付与部7間への電圧の印加に応じて摺接面33a,33bにスライダ本体5を吸着する。
【0064】
従って、本実施例では、抵抗付与部7及びスライダ本体5が確実に可撓性を有することができると共にスライダ本体5のスライド移動に対する抵抗を確実に与えることができる。
【0065】
また、本実施例では、抵抗付与部7及びスライダ本体5の構造を簡素化、小型化、軽量化等を図ることができ、結果としてフレキシブル・スライダ1全体としての構造の簡素化、小型化、軽量化等を確実に図ることができる。
【0066】
抵抗付与部7は、スライダ本体5のベース部3の幅方向に沿って延設されたシート状であるので、抵抗付与部7ひいてはフレキシブル・スライダ1の構造を簡素化、小型化、軽量化等を確実に図ることができる。
【0067】
本実施例の抵抗付与部7は、摺接面33a,33bをそれぞれ有する複数の第1及び第2摺接片29a,29bに分割形成され、複数の第1及び第2摺接片29a,29bがベース部3の長手方向に相互に間隔をあけて配置されている。
【0068】
従って、本実施例では、第1及び第2摺接片29a,29b間の間隔により、第1及び第2摺接片29a,29bが可撓性を有さない場合でもベース部3の撓みを許容することができる。このため、本実施例では、抵抗付与部7である第1及び第2摺接片29a,29bの材料の選択の幅を拡げることができる。
【0069】
また、第1及び第2摺接片29a,29bが可撓性を有する場合は、抵抗付与部7全体の可撓性を向上させることができ、ベース部3を撓み易くすることができる。さらに、第1及び第2摺接片29a,29bが可撓性を有する場合は、第1及び第2摺接片29a,29bがベース部3と共に撓む前に、第1及び第2摺接片29a,29b間においてベース部3を先行して撓ませることができる。このため、第1及び第2摺接片29a,29bを必要な場合にのみ撓ませ、第1及び第2摺接片29a,29bの耐久性の向上を図ることができる。
【0070】
複数の第1及び第2摺接片29a,29bは、スライダ本体5を挟んで対向するベース部3の内面3a,3bの一方側に第1摺接片29aが位置し、ベース部3の内面3a,3bの他方側に第2摺接片29bが位置し、第1及び第2摺接片29a,29bの摺接面33a,33bがスライダ本体5に両側から摺接する。
【0071】
従って、本実施例では、スライダ本体5の両側からスライド移動に対する抵抗を確実に付与することができる。
【0072】
また、第1及び第2摺接片29a,29bを別々に制御すれば、スライダ本体5のスライド移動に対する抵抗の細かい制御が可能となる。
【0073】
第1及び第2摺接片29a,29bは、ベース部3の長手方向で位置ずれして交互に配置されているので、スライダ本体5に対する抵抗を長手方向でバランス良く与えることができ、動作の安定性や確実性を向上できる。
【0074】
本実施例では、スライダ本体5がベース部3内において可撓性によりベース部3の長手方向でウェーブ状に湾曲したシート状であり、第1及び第2摺接片29a,29bがスライダ本体5のウェーブ状の溝内に位置する。
【0075】
従って、本実施例では、フレキシブル・スライダ1の厚み方向の寸法を小さくして、より確実に小型化を図ることができる。
【0076】
また、ベース部3は、長手方向の両側に肉厚を貫通するスリット15a,15bを有し、スライダ本体5の両端部5a,5bは、それぞれ可撓性により湾曲した状態でスリット15a,15bを挿通して外部に引き出される。
【0077】
従って、本実施例では、スライダ本体5の両端部5a,5bがスリット15a,15bに弾性的に係合し、平常状態においてベース部3に対するスライダ本体5のスライド位置を保持することができる。
[変形例]
図8は、実施例1の変形例に係り、抵抗付与部7の第1及び第2摺接片29a,29bの具体構造をスライダ本体5と共に示す概念図であり、図8(A)は、第1及び第2摺接片29a,29bとスライダ本体5との間で電圧が印可されていない状態、図8(B)は、同電圧が印可された状態である。
【0078】
本変形例では、抵抗付与部7である第1及び第2摺接片29a,29bが可撓性の電気レオロジー材料からなり、摺接面33a,33bに対する反対側面にそれぞれ一対の電極31a1,31a2,31b1,31b2を有し、一対の電極31a1,31a2,31b1,31b2間に電圧を印加することで摺接面33a,33bにスライダ本体5を吸着する。
【0079】
かかる変形例では、実施例1と同様の作用効果を奏することができるのに加え、スライダ本体5を接地する必要がなく、構成を簡素化することができる。
【0080】
図9は、実施例1の他の変形例に係り、抵抗付与部7の第1及び第2摺接片29a,29bの具体構造をスライダ本体5と共に示す概念図であり、図9(A)は、第1及び第2摺接片29a,29bとスライダ本体5との間で電圧が印可されていない状態、図9(B)は、同電圧が印可された状態である。
【0081】
変形例に係るフレキシブル・スライダ1では、図9(A)及び(B)のように、抵抗付与部7の電気レオロジー粒子43が電圧の印加に応じて第1及び第2摺接片29a,29bの摺接面33a,33bに出没する構成となっている。
【0082】
第1及び第2摺接片29a,29bは、粘着性及び弾性を有する電気絶縁媒体41に複数の電気レオロジー粒子43を分散させて形成されている。
【0083】
電気レオロジー粒子43は、第1及び第2摺接片29a,29bの摺接面33a,33bから突出した状態で保持され、電気レオロジー効果によって、電圧の印加時に第1及び第2摺接片29a,29bの内部に相対的に没入する。
【0084】
この没入により、第1及び第2摺接片29a,29bは、その粘着性によって摺接面33a,33bにスライダ本体5に対する物理的な吸着力を生じさせる。
【0085】
かかる変形例でも、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0086】
図10は、実施例1の更に他の変形例に係るフレキシブル・スライダの断面図である。なお、図10は、実施例1の図5に対応する。
【0087】
本変形例のフレキシブル・スライダ1は、実施例1に対して第1及び第2摺接片29a,29bの一方を省略したものである。図10の例では、第2摺接片29bを省略し、第1摺接片29aのみを設けている。
【0088】
かかる変形例でも、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
[その他]
実施例1のフレキシブル・スライダ1は、装身装置であるトレーニング装置として用いていたが、装身装置以外でも二つの部材間に抵抗を与えて動きを規制するものであれば広く適用することができる。
【0089】
例えば、二つの部材間の留め具等としても用いることができる。この場合、一方の部材にベース部3を取り付け、他方の部材にスライダ本体5を取り付け、スライダ本体5のベース部3に対するスライド移動を抵抗によって防止すればよい。
【0090】
これにより、フレキシブル・スライダ1は、電気的に制御可能な面ファスナーやベルトのバックルのような役割を果たすことができる。
【0091】
また、フレキシブル・スライダ1は、装身装置であるリハビリ装置等としても適用することができる。例えば、フレキシブル・スライダ1は、歩行補助のために人の下肢に取り付けて用いることができる。
【0092】
この場合は、人の大腿部にベース部3を取り付け、下腿部にスライダ本体5の一方の端部5aを取り付ける。歩行時には、スライダ本体5のスライド移動を自由に行わせて、歩行停止時には、スライダ本体5のスライド移動を規制して下肢の立ち姿勢を補助できる。
【0093】
他にも、自動車等のシートの背もたれの固さを調整する機構等としても、適用することができる。
【実施例2】
【0094】
[フレキシブル・スライダの構成]
図11は、実施例2に係るフレキシブル・スライダの概略構成を示す斜視図、図12は、図11のフレキシブル・スライダのスライダ本体及び抵抗付与部を示す斜視図、図13は、図11のフレキシブル・スライダの平面図、図14は、図13のXIV−XIV線矢視に係る断面図、図15は、図13のXV−XV線矢視に係る断面図である。
【0095】
なお、実施例2では、実施例1と対応する構成部分について、同符号又は同符号にAを付した符号を用いて重複した説明を省略する。また、図11及び図12図13図15とでは、抵抗付与部7Aの第1及び第2摺接片29aA,29bAの数が異なるが、基本的に同一構造である。
【0096】
本実施例のフレキシブル・スライダ1Aは、図11図15のように、スライダ本体5Aを複数のスライダ片47に分割形成したものである。
【0097】
複数のスライダ片47は、スライダ本体5Aのスライド移動方向に対する交差方向であるベース部3Aの幅方向において相互間に隙間をあけて配置されている。本実施例では、隣接するスライダ片47の間隔が等間隔となっている。
【0098】
スライダ片47の両端部47a,47bには、全てのスライダ片47に交差した状態で取り付けられた共通電極49a,49bが設けられている。また、スライダ片47の両端部47a,47bにおいては、共通電極49a,49bの上から結合用のテープ51が巻かれて相互に結合されている。共通電極49a,49bの一部は、テープ51から外部に引き出されて露出し、接地されている(図14参照)。
【0099】
ベース部3Aは、実施例1と基本的に同一構成であるが、一対の平面矩形のベース・シート9A,11Aが幅方向の両側で一体に形成された中空の袋状となっており、ベース・シート9A,11Aの長手方向の両側が溶着等によって相互に結合されている(図14及び図15参照)。
【0100】
また、ベース部3Aのベース・シート9A,11Aは、スライダ本体5Aの隣接するスライダ片47間において、長手方向に沿って相互に縫合されている。これにより、ベース部3Aの幅方向中間部において、ベース・シート9A,11Aが離間するように膨らむことを防止し、第1及び第2摺接片29aA,29bAの摺接面33aA,33bAをスライダ本体5Aに対して確実に摺接させることが可能となっている。
【0101】
ベース・シート9A,11Aの縫合は、電気絶縁性を有する索状体53によって行われている。索状体53は、両端部が長手方向の両側でベース・シート9A,11A間に挟持されている(図13及び図14参照)。
【0102】
索状体53は、両端部から中間部へ向けてベース・シート9Aのスリット15aA,15bAを介してベース・シート9A側の外部に引き出され、第1摺接片29aAの手前でベース・シート9A,11A間を厚み方向で挿通してベース・シート11A側で外部に引き出される。次いで、索状体53は、ベース・シート11Aに沿って第1摺接片29aAを越えるように延び、第2摺接片29bAの手前でベース・シート9A,11A間を厚み方向で挿通してベース・シート9A側で外部に引き出される。以下、同様にして、索状体53は、ベース・シート9A,11A間を縫合している。
【0103】
抵抗付与部7Aは、実施例1と基本的に同一構成であるが、第1及び第2摺接片29aA,29bAの電極31aA,31bAがベース部3Aのベース・シート9A,11Aの内面3aA,3bAに接着等により固定されている。
【0104】
電極31aA,31bAの両端部は、ベース部3A内に位置し、ベース部3Aの幅方向の両側から外部に引き出されていない。共通電極35Aは、ベース部3Aの幅方向の一側において、全ての電極31aA,31bAに交差した状態で接触して導通している。電極31aA,31bAと共通電極35Aとの間は、導電性の接着剤等によって接着するのが好ましい。
【0105】
共通電極35Aの長手方向の一方の端部35aAは、ベース部3Aの長手方向の一方の端部側において屈曲し、ベース部3Aの幅方向で外部に引き出されている。この共通電極35Aの一方の端部35aAには、電圧源37(図示せず)が接続される。
【0106】
なお、実施例2の構造に、実施例1の変形例の構造を適用することも可能である。
[実施例2の効果]
本実施例においても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【0107】
加えて、本実施例では、スライダ本体5Aが複数のスライダ片47に分割形成され、複数のスライダ片47がスライダ本体5Aのスライド移動方向に対する交差方向であるベース部3の幅方向において相互間に隙間をあけて配置されている。
【0108】
従って、本実施例では、スライダ本体5A全体の可撓性を向上させることができ、スライダ本体5A自体やスライダ本体5Aを内部に位置させるベース部3Aを撓み易くすることができる。さらに、スライダ本体5Aは、スライダ片47間において先行して撓ませることができ、スライダ片47自体を必要な場合にのみ撓ませ、スライダ片47の耐久性の向上を図ることができる。
【0109】
さらに、本実施例では、ベース部3Aが隣接するスライダ片47間において長手方向に沿って相互に縫合された一対のベース・シート9A,11Aからなる。
【0110】
従って、本実施例では、ベース部3Aの幅方向中間部において、ベース・シート9A,11Aが離間するように膨らむことを防止し、第1及び第2摺接片29aA,29bAの摺接面33aA,33bAをスライダ本体5Aに対して確実に摺接させることが可能となる。結果として、フレキシブル・スライダ1Aの動作の安定性や確実性を向上できる。
【0111】
なお、実施例2のフレキシブル・スライダ1Aも、実施例1同様に、送信装置であるトレーニング装置やリハビリ装置等の他、二つの部材間に抵抗を与えて動きを規制するものに広く適用することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 フレキシブル・スライダ
3 ベース部
3a,3b 内面(ベース部)
5 スライダ本体
7 抵抗付与部
9,11 ベース・シート
15a,15b スリット
5a,5b 端部(スライダ本体)
29a 第1摺接片
29b 第2摺接片
31a,31b 電極
33a,33b 摺接面
47 スライダ片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16