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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-160158(P2015-160158A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】集塵装置の運転方法及び集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/68 20060101AFI20150811BHJP
   B01D 50/00 20060101ALI20150811BHJP
   B03C 3/155 20060101ALI20150811BHJP
   B03C 3/76 20060101ALI20150811BHJP
   B01D 46/04 20060101ALI20150811BHJP
   B03C 3/019 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   B03C3/68 Z
   B01D50/00 501C
   B01D50/00 501Q
   B03C3/14 A
   B03C3/76
   B01D46/04 103
   B03C3/019
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-35730(P2014-35730)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】富松 一隆
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】久保園 晴英
【テーマコード(参考)】
4D054
4D058
【Fターム(参考)】
4D054AA02
4D054BA09
4D054CA20
4D054DA02
4D054DA11
4D054DA15
4D054DA18
4D054EA09
4D054EA22
4D058JA04
4D058MA15
4D058MA51
4D058QA01
4D058QA05
4D058QA13
4D058RA01
(57)【要約】
【課題】バグフィルタの目詰まりを防止し、粒子の堆積によって生じるバグフィルタの圧力損失を低減させることを目的とする。
【解決手段】集塵装置11の運転方法は、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機16と、電気集塵機16よりもガス流れの下流側に設置されるバグフィルタ15と、バグフィルタ15に対してガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部22とを備える集塵装置11の運転方法であって、電気集塵機16にガスを流通させたまま、電気集塵機16における荷電を停止するステップと、電気集塵機16が無荷電の期間において、バグフィルタの逆洗を開始し終了するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、
前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、
前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部と、
を備える集塵装置の運転方法であって、
前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止するステップと、
前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始し終了するステップと、
を含む集塵装置の運転方法。
【請求項2】
前記集塵装置が、前記電気集塵機を槌打する槌打部を更に備え、
前記電気集塵機が前記無荷電の期間において、前記電気集塵機を槌打するステップを更に含む請求項1に記載の集塵装置の運転方法。
【請求項3】
前記バグフィルタを逆洗する直前に前記電気集塵機を槌打する請求項2に記載の集塵装置の運転方法。
【請求項4】
ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、
前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、
前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部と、
前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止させ、前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始させ終了させる制御部と、
を備える集塵装置。
【請求項5】
縦形のケーシングと、
前記ケーシング内の下部にて、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、
前記ケーシング内の上部にて、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、
前記電気集塵機及び前記バグフィルタから除去された粒子を受ける一つのホッパと、
前記バグフィルタの下部と前記ホッパを結び前記バグフィルタから除去された粒子が内面側を通過し、前記電気集塵機を流れるガスが外面側を通過するダクトと、
を備える集塵装置。
【請求項6】
前記電気集塵機を通過したガス流れは、前記バグフィルタの側面側から導入される請求項5に記載の集塵装置。
【請求項7】
横形のケーシングと、
前記ケーシング内にて、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、
前記ケーシング内にて、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、
前記電気集塵機及び前記バグフィルタから除去された粒子を受ける一つのホッパと、
を備え、
前記電気集塵機を通過したガス流れは、前記バグフィルタの側面側から導入される集塵装置。
【請求項8】
前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部と、
前記集塵装置が、前記電気集塵機を槌打する槌打部と
を更に備え、
前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止するステップと、
前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始し終了するステップと、
前記電気集塵機が前記無荷電の期間において、前記電気集塵機を槌打するステップと
を含み、
前記バグフィルタの逆洗と前記電気集塵機の槌打の時間間隔は、槌打される前記電気集塵機と逆洗される前記バグフィルタの距離に応じて決定されている集塵装置の運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気集塵機及びバグフィルタを備える集塵装置の運転方法及び集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排ガス中の固体粒子又は液体粒子を捕集する集塵装置として、上流側に電気集塵機(EP:Electrostatic Precipitator)を設け、下流側に濾過式集塵機(例えばバグフィルタ)を設けるものがある。この電気集塵機とバグフィルタを組み合わせた集塵装置は、電気集塵機で排ガス中の大部分の粒子(ダスト)を捕集し、バグフィルタで残りの微細な粒子を捕集する。これにより、下流側のバグフィルタの負荷を低減できる。また、粒子が電気集塵機を通過することで帯電することから、粒子はフィルタ(濾布)表面上に粗く堆積して捕集されるため、バグフィルタ単体で捕集する場合に比べて、圧力損失を低減できる。
特許文献1には、電気集塵機とバグフィルタを備える集塵装置の発明であって、装置の小型化及び低コスト化を図ると共に集塵処理効率の向上を図り、また、クリーニング処理の適正化を図るための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−62338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気集塵機とバグフィルタを組み合わせた集塵装置では、バグフィルタに対して定期的に逆洗処理を行い、図10に示すように、粒子の堆積により上昇した濾布の圧力損失を低減させている。しかし、濾布は微細な粒子によって目詰まりするため、図10に示すように、逆洗処理を行っても完全に元の圧力損失に戻らず、長期的に見るとバグフィルタの濾布の平均圧力損失及びベース圧力損失は徐々に上昇する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、バグフィルタの目詰まりを防止し、粒子の堆積によって生じるバグフィルタの圧力損失を低減させることが可能な集塵装置の運転方法及び集塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の集塵装置の運転方法及び集塵装置は以下の手段を採用する。
本発明に係る集塵装置の運転方法は、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部とを備える集塵装置の運転方法であって、前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止するステップと、前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始し終了するステップとを含む。
【0007】
この構成によれば、電気集塵機にガスを流通させたままであるため、電気集塵機が無荷電の期間は、荷電時に電気集塵機で捕集されているはずの比較的粒径が粗い粒子も下流側のバグフィルタへ流れる。したがって、逆洗された直後のバグフィルタの濾布表面上には粗い粒子も堆積する。その結果、微細な粒子が濾布内へ侵入することを抑制でき、濾布の目詰まりを防止できる。また、電気集塵機の荷電を再開した後に微細な粒子のみがバグフィルタに到達するようになるが、微細な粒子のみがバグフィルタに到達する前の短時間の間に、バグフィルタの濾布表面上に粗い粒子を含む層がすでに形成されている。そのため、微細な粒子のみの層が形成される場合に比べて、長期的な目詰まりを抑制でき、その結果、圧力損失を低減できる。
【0008】
上記発明において、前記集塵装置が、前記電気集塵機を槌打する槌打部を更に備え、前記電気集塵機が前記無荷電の期間において、前記電気集塵機を槌打するステップを更に含んでもよい。
【0009】
この構成によれば、電気集塵機にガスを流通させたままであるため、電気集塵機が無荷電の期間に槌打が行われることによって、粒径が粗い粒子が下流側のバグフィルタへ流れる。したがって、逆洗された直後のバグフィルタの濾布表面上には、槌打によって飛散した粗い粒子が堆積し、バグフィルタの濾布表面上に粗い粒子を含む層が形成される。
【0010】
上記発明において、前記バグフィルタを逆洗する直前に前記電気集塵機を槌打してもよい。
【0011】
この構成によれば、槌打によって飛散した粒径が粗い粒子を含むガスが、逆洗の期間にバグフィルタへ到達する。その結果、濾布の表面上に粗い粒子が堆積しやすくなる。
【0012】
本発明に係る集塵装置は、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部と、前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止させ、前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始させ終了させる制御部とを備える。
【0013】
本発明に係る集塵装置は、縦形のケーシングと、前記ケーシング内の下部にて、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、前記ケーシング内の上部にて、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、前記電気集塵機及び前記バグフィルタから除去された粒子を受ける一つのホッパと、前記バグフィルタの下部と前記ホッパを結び前記バグフィルタから除去された粒子が内面側を通過し、前記電気集塵機を流れるガスが外面側を通過するダクトとを備える。
【0014】
この構成によれば、ケーシング内に導入されたガスは、まず電気集塵機を通過してガスに含まれる粒子が捕集され、その後、バグフィルタを通過して更にガスに含まれる粒子が捕集される。バグフィルタで捕集された粒子は、ダクトの内面側を通過して、ホッパに集められる。一方、電気集塵機をガスが通過する際、そのガスはダクトの外面側を通過することから、縦形のケーシング内でバグフィルタと電気集塵機が上下に配置されていても、バグフィルタから除去された粒子が電気集塵機に直接落下することが無い。
【0015】
上記発明において、前記電気集塵機を通過したガス流れは、前記バグフィルタの側面側から導入されてもよい。
【0016】
この構成によれば、バグフィルタの底面側からガス流れが導入される場合に比べて、バグフィルタに付着した粒子の剥離が生じにくい。
【0017】
本発明に係る集塵装置は、横形のケーシングと、前記ケーシング内にて、ガス流れの上流側に設置され、ガスに含まれる粒子を捕集する電気集塵機と、前記ケーシング内にて、前記電気集塵機よりも前記ガス流れの下流側に設置されるバグフィルタと、前記電気集塵機及び前記バグフィルタから除去された粒子を受ける一つのホッパとを備え、前記電気集塵機を通過したガス流れは、前記バグフィルタの側面側から導入される。
【0018】
この構成によれば、ガス流れが電気集塵機を通過することによって整流化されるため、ケーシングのガス導入口に設けられる絞りダクトを簡素化できる。また、一つのホッパで電気集塵機とバグフィルタから除去された粒子を受けることができるため、装置全体が簡略化される。
【0019】
本発明に係る集塵装置の運転方法は、前記バグフィルタに対して前記ガス流れの反対方向から空気を噴射する逆洗部と、前記集塵装置が、前記電気集塵機を槌打する槌打部と
を更に備え、前記電気集塵機に前記ガスを流通させたまま、前記電気集塵機における荷電を停止するステップと、前記電気集塵機が無荷電の期間において、前記バグフィルタの逆洗を開始し終了するステップと、前記電気集塵機が前記無荷電の期間において、前記電気集塵機を槌打するステップとを含み、前記バグフィルタの逆洗と前記電気集塵機の槌打の時間間隔は、槌打される前記電気集塵機と逆洗される前記バグフィルタの距離に応じて決定されている。
【0020】
この構成によれば、例えば、電気集塵機に近い領域では、電気集塵機への槌打を実施した後、すぐに逆洗を開始してもよいが、電気集塵機から離れた領域では、電気集塵機への槌打を実施した後、しばらく時間を置いてから、逆洗を開始することが望ましい。これにより、バグフィルタの表面上に比較的粗い粒子を適切に堆積させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、バグフィルタの目詰まりを防止し、粒子の堆積によって生じるバグフィルタの圧力損失を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態に係る集塵装置を示す概略縦断面図である。
図2図1のA−A線で切断した横断面図である。
図3図1のB−B線で切断した横断面図である。
図4図1のC−C線で切断した横断面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る集塵装置の運転方法の一例を示すタイムチャートである。
図6】本発明の第1実施形態に係る集塵装置の運転方法の他の例を示すタイムチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る集塵装置を示す概略縦断面図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る集塵装置を示す横断面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る集塵装置の運転方法の一例を示すタイムチャートである。
図10】バグフィルタにおける圧力損失と時間の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る集塵装置11について、図1から図4を用いて説明する。
集塵装置11は、ガス導入口12とガス排出口13が外面に形成された縦形ケーシング14内に、バグフィルタ15と電気集塵機16が上下に配置されており、濾過集塵作用と電気集塵作用が得られる。集塵装置11は、例えばボイラ等から排出される排ガスの集塵処理に適用される。
【0024】
縦形ケーシング14は、例えば略四角筒形状を有する。
ガス導入口12は、バグフィルタ15の下方かつ電気集塵機16の上方の高さに形成される。ガス排出口13は、バグフィルタ15の上方に形成される。ガス導入口12はガス導入通路19の下流端部と連結され、ガス排出口13はガス排出通路20の上流端部と連結される。これにより、排ガスは、ガス導入通路19からガス導入口12を通って縦形ケーシング14内に入り、電気集塵機16、バグフィルタ15の順に通過して集塵処理が行われる。集塵処理によって生成された清浄ガスは、ガス排出口13を通ってガス排出通路20に排出される。
【0025】
バグフィルタ15は、縦形ケーシング14内の上部に配置される。バグフィルタ15は、濾布が円筒形状に形成された複数本のフィルタ21から構成される。集塵時、排ガスは、バグフィルタ15のフィルタ21の外周側から内周側に向けて通過する。バグフィルタ15の上部には、各フィルタ21の外面側の濾布表面に付着した粒子を払い落とす逆洗装置22が設けられている。逆洗装置22は、円筒形状のフィルタ21の内面側に圧縮空気を噴射させ、濾布を通過した空気が濾布に付着した粒子を払い落とす。
【0026】
電気集塵機16は、縦形ケーシング14内の下部に配置される。電気集塵機16は、集塵電極、放電極、放電極に接続された荷電装置29を備える。荷電装置29は、高圧変圧整流器を有し、放電極に対して電圧を印加する。放電極に電圧が印加されることによって、排ガス中の粒子が集塵電極に付着する。電気集塵機16には、集塵電極に付着した粒子を剥離する槌打装置30が設けられている。槌打装置30はハンマ(図示せず。)を有しており、ハンマが集塵電極を槌打することで、表面に付着した粒子を振動によって剥離除去する。
【0027】
縦形ケーシング14の下部にはホッパ31が取付けられる。ホッパ31は、バクフィルタ15のフィルタ21から払い落とされた粒子や、槌打等によって電気集塵機16の集塵電極から剥離した粒子を受け止める。ホッパ31には溜まった粒子を排出する粒子排出装置が設けられる。
【0028】
制御装置35は、集塵装置11をコントロールするものであって、逆洗装置22、荷電装置29や槌打装置30の駆動制御を行う。
【0029】
電気集塵機16を運転させる場合、制御装置35は荷電装置29を駆動して放電極に電圧を印加する。集塵電極と放電極との間に高電圧が作用することでイオンが発生し、ガス中の帯電した粒子(ダスト)が静電気力によって対向する集塵電極へ引きつけられ、排ガス中の粒子が集塵電極の表面上に付着し捕集される。電気集塵機16では、排ガス中の粗粒子が主に捕集される。
【0030】
そして、電気集塵機16を通過した排ガスは、バグフィルタ15にて多数のフィルタ21を通過する。電気集塵機16を運転させる場合、排ガス中の微粒子、例えば、電気集塵機16で捕集されなかったミクロン単位の微小の粒子がバグフィルタ15で捕集される。
【0031】
電気集塵機16を運転させない場合、荷電装置29を停止し、無荷電の状態とする。この場合、排ガス中の比較的粗い粒子もバグフィルタ15まで到達し、バグフィルタ15で捕集される。そして、電気集塵機16及びバグフィルタ15を通過したガスは、ガス排出口13を通ってガス排出通路20に排出される。
【0032】
集塵装置11を継続して運転すると、電気集塵機16及びバグフィルタ15に粒子が堆積するため、所定時間ごと、複数の領域ごとに電気集塵機16を槌打しバグフィルタ15を逆洗する。図5図6それぞれに集塵装置11の運転方法の例を示すタイムチャートを示している。図2,4,5,6では、電気集塵機16とバグフィルタ15をそれぞれ4つの領域に分割した例を示している。
【0033】
集塵装置11の洗浄時、制御装置35は、洗浄対象となる領域(EPゾーン)に配置された電気集塵機16の荷電装置29の運転を停止する。このとき、縦形ケーシング14内への排ガスの導入は停止させない。したがって、洗浄対象となっていない領域に配置された電気集塵機16のみによる排ガスの電気集塵作用と、バグフィルタ15による排ガスの濾過集塵作用によって、集塵処理を行う。
【0034】
そして、制御装置35は、槌打装置30を作動してハンマにより集塵電極に付着した粒子を剥離させる。その後、制御装置35は、洗浄対象となる領域(バグゾーン)に配置されたバグフィルタ15にて、逆洗装置22を作動し、フィルタ21内へ圧縮空気を噴射させる。これにより、フィルタ21の濾布の外表面に付着した粒子が払い落とされる。これにより、電気集塵機16及びバクフィルタ15から除去された粒子はホッパ31に溜まり、粒子排出装置によって外部に排出される。
【0035】
一の領域の電気集塵機16及びバグフィルタ15の洗浄処理が完了すると、荷電装置29の駆動を開始し、全ての領域の電気集塵機16によって集塵処理を行う。そして、所定時間経過後、さきほど洗浄対象としたものと異なる領域の電気集塵機16及びバグフィルタ15の洗浄を実施する。集塵装置11の運転時、これらの動作を繰り返す。
【0036】
以上、本実施形態によれば、洗浄対象となる領域(EPゾーン)に配置された電気集塵機16が無荷電の期間も、集塵装置11に排ガスを流通させたままであるため、荷電時において電気集塵機16で捕集されている比較的粒径が粗い粒子や、槌打によって飛散した粒径が粗い粒子も下流側のバグフィルタ15へ流れる。したがって、逆洗された直後のバグフィルタ15の濾布表面上には粗い粒子も堆積する。その結果、微細な粒子がフィルタ21の濾布内へ侵入することを抑制でき、濾布の目詰まりを防止できる。
【0037】
また、電気集塵機16の荷電を再開すると、微細な粒子のみがバグフィルタ15に到達するようになる。微細な粒子のみがバグフィルタ15に到達する前の短時間の間に、バグフィルタ15の濾布表面上に粗い粒子を含む層がすでに形成されることから、微細な粒子のみの層が形成される場合に比べて、長期的な目詰まりを抑制でき、その結果、圧力損失を低減できる。このことは、粒径が細かい充填層を流れる層流のほうが粒径が粗い充填層に比べて圧力損失が高いというコゼニーカルマンの式からも自明である。
【0038】
無荷電期間の槌打は、1回/数分程度の頻度で行われる。これよりも無荷電期間の槌打頻度を少なくする(例えば1回/日)と、集塵電極上の粒子の堆積量が多くなるため、槌打の際、一時的にバグフィルタ15に飛来する粒子量が増加してバグフィルタ15における圧力損失も上昇する。一方、本実施形態のように、無荷電期間の槌打を1回/数分程度の頻度で行う場合は、集塵電極の粒子の堆積量が比較的少ないため、バグフィルタ15の圧力損失を上昇させないという利点を有する。
【0039】
なお、図5では、電気集塵機16をEPゾーンごとに無荷電にして槌打する場合について説明したが、図6に示すように、電気集塵機16の全領域を無荷電とし、ある一つのEPゾーン又は1枚の集塵電極を槌打するとしてもよい。また、図5では、EPゾーンの槌打とバグゾーンの逆洗を1対1対応させている場合について説明したが、図6に示すように、1回の無荷電槌打の際に複数のバグゾーンの逆洗を実施してもよい。これは、EPゾーンごとに無荷電とする場合も同様である。さらに、EPゾーンとバグゾーンの位置関係は必ずしも近距離同士に限定されない。このように、EPゾーンとバグゾーンが1対1対応で実施されない場合や、位置関係が近距離ではない場合であっても、バグフィルタ15は逆洗が実施されると圧力損失が一時的に低下するため、ガス流れをそのバグフィルタ15に集中させることができる。したがって、これらの場合でも粗い粒子を逆洗されたバグフィルタ15に飛来させることができる。
【0040】
また、図5及び図6で示した例では、電気集塵機16とバグフィルタ15の間にも物理的な距離があり、槌打後の粒子の到達時間遅れがあるため、電気集塵機16の槌打とバグフィルタ15の逆洗のタイミングに時間差を設けている。ただし、このタイミングチャートは一例であり、電気集塵機16の槌打とバグフィルタ15の逆洗のタイミングに時間差を設けなくてもよい。
【0041】
さらに、図5及び図6に示すように、電気集塵機16の荷電on及び荷電offを切り替える際、電圧低下及び電圧上昇に時間遅れが生じる。したがって、図5及び図6に示すように、確実に電圧が低下した段階で槌打を実施することが望ましい。なお、通常の電気集塵機の場合、長時間にわたって荷電offとしない限り、電気集塵機の電圧は、コロナ放電開始電圧までしか下がらない特性があることから、図5及び図6では荷電offの期間の電圧は0になっていない。
【0042】
なお、上述した実施形態では、電気集塵機16の無荷電時に槌打を行う場合について説明したが、本発明はこの例に限定されない。すなわち、槌打を行わない場合でも、逆洗のタイミングを電気集塵機16の無荷電時に行うことによって、粒径が粗い粒子をバグフィルタ15の濾布表面上に堆積させることができる。その結果、濾布の目詰まりを防止でき、圧力損失の低減を図ることができる。
【0043】
次に、図1から図4を参照して、本実施形態に係る集塵装置11の構造について説明する。
集塵装置11の縦形ケーシング14内部には、バグフィルタ15の下部とホッパ31の上部とを結ぶダクト23が形成される。ダクト23上部はテーパー形状であり、ダクト23の下部は角筒形状である。ダクト23の下部は、電気集塵機16が配置されている高さに相当する。ダクト23の内側は、逆洗によってバグフィルタ15から払い落とされた粒子がホッパ31に向かって通過する。一方、ダクト23の外側は、縦形ケーシング14内に導入され、電気集塵機16を通過する排ガスが流れる。電気集塵機16を通過した後の排ガスは、ダクト23の外側を通って、バグフィルタ15へ向かって上昇する。そして、排ガスがダクト23の上部に形成された開口部24からバグフィルタ15へ導入される。バグフィルタ15へ導入される排ガスは、バグフィルタ15の底部からではなく、側面から導入される。従来のようにバグフィルタの底部から排ガスを導入する場合、ガス流れが上昇流になるため、濾布逆洗時の脱落粒子は、上昇流により巻き上げられ、濾布に再付着しやすい。そして、再付着した脱落粒子は、バグフィルタの圧損上昇の原因となる。一方、本実施形態のようにバグフィルタ15の側面から排ガスを導入する場合、ガス流れが下降流になるため、濾布逆洗時の脱落粒子は、濾布に再付着することなく下降流によってホッパ31に導入されやすくなり、バグフィルタ15の圧損低減の効果が得られやすくなる。
【0044】
[第2実施形態]
次に、図7及び図8を参照して、本発明の第2実施形態に係る集塵装置41について説明する。
本実施形態に係る集塵装置41は、上述した第1実施形態と異なり、横型ケーシング44内に、バグフィルタ15と電気集塵機16が水平方向の位置関係で配置されてもよい。このとき、バグフィルタ15と電気集塵機16は、一つの横形ケーシング内に配置される。
【0045】
ガス導入口12は、横形ケーシング44の一側面に形成される。電気集塵機16は、横形ケーシング44のガス導入口12側に配置される。ガス排出口13は、バグフィルタ15の上方かつ横形ケーシング44の上面に形成される。ガス導入口12はガス導入通路19の下流端部と連結され、ガス排出口13はガス排出通路20の上流端部と連結される。これにより、排ガスは、ガス導入通路19からガス分散板45によって拡散された後、ガス導入口12を通って横形ケーシング44内に入り、電気集塵機16及びバグフィルタ15を通過して集塵処理が行われる。集塵処理によって生成された清浄ガスは、ガス排出口13を通ってガス排出通路20に排出される。
【0046】
本実施形態と異なり、電気集塵機単独で集塵する場合において、例えば石炭焚き火力発電所の排ガスのように煤塵濃度が高い条件では、電気集塵機の捕集効率は99%程度が必要である。一方、本実施形態においては、バグフィルタ15による捕集を考慮すると、電気集塵機16による捕集効率を例えば70%から80%に低減することが可能であり、その結果、電気集塵機16を大幅に小型化することができる。その結果、集塵装置41全体をコンパクトにすることができる。この場合、電気集塵機16とバグフィルタ15それぞれにホッパを設けるのではなく、横形ケーシング44の下部にはホッパ31が一つのみ取付けられるだけでよい。これにより,集塵装置41全体が簡略化される。
【0047】
また、バグフィルタ15へ導入される排ガスは、バグフィルタ15の底部からではなく、側面から導入される。従来のようにバグフィルタの底部から排ガスを導入する場合、ガス流れが上昇流になるため、濾布逆洗時の脱落粒子は、上昇流により巻き上げられ、濾布に再付着しやすい。そして、再付着した脱落粒子は、バグフィルタの圧損上昇の原因となる。一方、本実施形態のようにバグフィルタ15の側面から排ガスを導入する場合、ガス流れが下降流になるため、濾布逆洗時の脱落粒子は、濾布に再付着することなく下降流によってホッパ31に導入されやすくなり、バグフィルタ15の圧損低減の効果が得られやすくなる。さらに、電気集塵機16によってバグフィルタ15に導入される前のガスが整流されるため、集塵装置41のガス導入口12に設けられる絞りダクトを簡素化することができる。
【0048】
横形ケーシング41の場合、図8に示すように、流れ方向に沿ってバグフィルタ15を複数の領域に分割する。電気集塵機16に近い領域では、電気集塵機16を無荷電にしたり、電気集塵機16への槌打を実施した後、すぐに逆洗を開始してもよいが、電気集塵機16から離れた領域では、電気集塵機16を無荷電したり、電気集塵機16への槌打を実施した後、しばらく時間を置いてから、逆洗を開始することが望ましい。これにより、バグフィルタ15の濾布表面上に比較的粗い粒子を堆積させることができる。図9には集塵装置41の運転方法の例を示すタイムチャートを示している。図8及び図9では、バグフィルタ15を20領域に分割した例を示している。
【0049】
電気集塵機16は、流れ方向に対して垂直方向に複数の領域に分割される。そして、各領域をランダムな順番で槌打することが望ましい。これにより、流れ方向に対して垂直方向において、バグフィルタ15上に堆積する粒子が均等になる。また、電気集塵機16への槌打は、電気集塵機16を無荷電にした状態で行うとよい。これにより、高抵抗粒子の遊電離対策を図ることができ、かつ、効率の良い粒子の剥離が可能となる。
【符号の説明】
【0050】
11,41 集塵装置
14 縦形ケーシング
15 バグフィルタ
16 電気集塵機
22 逆洗装置(逆洗部)
23 ダクト
29 荷電装置
30 槌打装置(槌打部)
31 ホッパ
35 制御装置(制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10