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特開2015-160173アスベスト処理方法及びアスベスト処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-160173(P2015-160173A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】アスベスト処理方法及びアスベスト処理装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20150811BHJP
   A62D 3/40 20070101ALI20150811BHJP
   A62D 101/41 20070101ALN20150811BHJP
【FI】
   B09B3/00 303A
   B09B3/00 301J
   A62D3/40ZAB
   A62D101:41
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-36590(P2014-36590)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】314000844
【氏名又は名称】阿光 均
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】奥保 多聞
(72)【発明者】
【氏名】谷村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】町野 豊
(72)【発明者】
【氏名】宮武 和孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA17
4D004AC05
4D004AC07
4D004CA03
4D004CA15
4D004CA30
4D004CB15
4D004CB28
4D004CB33
4D004CB41
4D004CC20
(57)【要約】
【課題】小型化とアスベストの処理効率の向上とを両立し、かつオンサイトでのアスベストの無害化処理が可能なアスベスト処理方法を提供すること。
【解決手段】アスベスト処理方法であって、アスベスト含有材を分割して所定量ずつ加圧処理を施すことによりアスベスト含有材を含む複数の加圧成形体(C)を生成する工程と、導体からなる筒体(54)及び誘導加熱コイル(55)を用いて各加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する工程とを含み、アスベストを無害化する工程では、加熱用空間内に加圧成形体を挿入する操作と、誘導加熱コイルの通電により筒体を誘導加熱してその輻射熱で加圧成形体を焼成することにより加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する操作と、焼成した後の加圧成形体を加熱用空間内から取り出す操作と、が複数の加圧成形体のそれぞれについて順次繰り返されること。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アスベストを焼成により無害化処理するアスベスト処理方法であって、
前記アスベストを含有するアスベスト含有材を分割して所定量ずつ加圧処理を施すことにより当該アスベスト含有材を含む複数の加圧成形体を生成する工程と、
前記各加圧成形体が挿入可能な加熱用空間を囲む導体からなる筒体及びこの筒体の周囲に巻回された誘導加熱コイルであって当該誘導加熱コイルの通電により前記筒体を誘導加熱することが可能なものを用いて前記各加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する工程と、を含み、
前記アスベストを無害化する工程では、前記加熱用空間内に前記加圧成形体を挿入する操作と、前記誘導加熱コイルの通電により前記筒体を誘導加熱してその輻射熱で前記加圧成形体を焼成することにより当該加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する操作と、焼成した後の加圧成形体を前記加熱用空間内から取り出す操作と、が前記複数の加圧成形体のそれぞれについて順次繰り返されることにより、これら加圧成形体に含まれるアスベストの無害化処理が行われるアスベスト処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載のアスベスト処理方法において、
前記複数の加圧成形体を生成する工程の前に前記アスベスト含有材を結合剤とともに混練する混練工程をさらに備え、
前記複数の加圧成形体を生成する工程では、前記混練工程で形成された混練物から前記複数の加圧成形体を生成するアスベスト処理方法。
【請求項3】
請求項2に記載のアスベスト処理方法において、
前記複数の加圧成形体を生成する工程では、前記複数の加圧成形体がそれぞれ円柱状となるように前記混練物を加圧処理し、
前記アスベストを無害化する工程では、前記筒体として円筒状のものを用い、前記加圧成形体の中心軸と前記筒体の中心軸とが一致するように前記加圧成形体を前記加熱用空間内に保持した状態で当該加圧成形体を焼成する操作を行うアスベスト処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のアスベスト処理方法において、
前記アスベストを無害化する工程では、前記筒体の中心軸と平行な方向について前記筒体の一方側の開口の外側の位置と前記筒体の他方側の開口の外側の位置との間を当該筒体内を通って変位可能な送り部を用い、前記筒体の一方側の開口から前記筒体内に向かって前記送り部によって前記加圧成形体を押圧することで当該加圧成形体を前記筒体内に供給する操作を行い、前記加圧成形体の焼成後に前記筒体内から前記筒体の他方側の開口に向かって前記送り部によって前記焼成した後の加圧成形体を押圧することで当該焼成した後の加圧成形体を前記筒体内から取り出す操作を行うアスベスト処理方法。
【請求項5】
アスベストを焼成により無害化処理するアスベスト処理装置であって、
前記アスベストを含有するアスベスト含有材を分割して所定量ずつ加圧処理を施すことにより当該アスベスト含有材を含む複数の加圧成形体を生成する加圧処理部と、
誘導加熱コイルと、
前記誘導加熱コイルの内側に配置され、かつ前記各加圧成形体が挿入可能な加熱用空間を囲む導体からなる筒体であって、前記誘導加熱コイルの通電により誘導加熱されるものと、
前記筒体からの輻射熱で前記加圧成形体が加熱されて当該加圧成形体が焼成することによりこの加圧成形体中の前記アスベストが無害化されるようにこの加圧成形体を前記筒体内の前記加熱用空間に保持する保持体と、
前記各加圧成形体を前記筒体内の前記保持体に供給する操作と焼成した後の加圧成形体を前記筒体内から取り出す操作とを順次繰り返す送り部と、を備えるアスベスト処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアスベスト処理装置において、
前記アスベスト含有材を結合剤とともに混練する混練部をさらに備え、
前記加圧処理部は、前記混練部で混練された混練物から前記複数の加圧成形体を生成するアスベスト処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載のアスベスト処理装置において、
前記筒体は、円筒状であり、
前記加圧処理部は、前記複数の加圧成形体のそれぞれが円柱状となるように前記混練物を加圧処理し、
前記保持体は、前記加圧成形体の中心軸と前記筒体の中心軸とが一致するように前記加圧成形体を前記加熱用空間内に保持可能な形状を有するアスベスト処理装置。
【請求項8】
請求項5ないし7のいずれかに記載のアスベスト処理装置において、
前記保持体は、前記筒体の中心軸と平行な送り方向に沿って前記筒体の一方側の開口から当該筒体内に向かって前記加圧成形体が送られるのを許容するとともに当該加圧成形体を前記筒体内で保持し、かつ前記送り方向に沿って前記筒体内から当該筒体の他方側の開口に向かって前記焼成した後の加圧成形体が送り出されるのを許容する形状を有し、
前記送り部は、前記加圧成形体が前記筒体の一方側に位置するときに当該加圧成形体に対して前記筒体と反対側から当接可能な第一位置、前記加圧成形体を前記筒体内の前記保持体に保持させることが可能な第二位置及び前記焼成した後の加圧成形体を前記筒体の他方側に位置させる第三位置の間で前記送り方向に沿って変位可能であるアスベスト処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベスト含有材に含まれるアスベストの無害化処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に使用されているアスベスト含有材は、建築物の解体時に回収され、所定の処理場へ運搬されている。具体的に、建築物の解体時に壁面等から回収されたアスベスト含有材は、解体現場において規定の袋に詰められた後、所定の処理場へ搬送される。すなわち、従来のアスベスト含有材の処理には、アスベスト含有材の回収後に袋詰めする工程や、さらにそれを解体現場から所定の処理場へ運搬する工程が必要であり、処理工数が多く処理コストも高くなる。このため、解体現場で、すなわちオンサイトでアスベスト含有材を無害化処理することが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、坩堝内でアスベスト含有材を加熱する誘導加熱炉を用いることにより、オンサイトでアスベストの無害化処理を行うことが開示されている。具体的に、前記誘導加熱炉は、上向きに開口する金属からなる坩堝と、この坩堝の周囲に巻回された誘導加熱コイルと、坩堝及び誘導加熱コイルを保持する有底円筒状の炉本体と、炉本体及び坩堝の開口を塞ぐ炉蓋体と、を有している。
【0004】
この誘導加熱炉では、次のようにしてアスベスト含有材の無害化処理が行われる。まず、坩堝内にアスベスト含有材とともにアスベストの融点を下げるための融剤が供給され、坩堝及び炉本体の開口が炉蓋体で塞がれる。そして、誘導加熱コイルに電流が供給される。これにより、坩堝に渦電流が発生し、坩堝がジュール熱で自己発熱する。この坩堝からの熱伝達により、アスベスト含有材が加熱されて溶融する。これにより、アスベスト含有材中のアスベストが無害化される。その後、炉蓋体が取り外され、坩堝の開口から坩堝内の溶融物が流出するように炉本体が傾倒され、坩堝から流出した溶融物が受皿に移される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−016054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の誘導加熱炉を用いたアスベスト含有材の処理方法では、アスベストの処理効率を高めるためには坩堝の大型化が避けられない。具体的に、前記処理方法では、アスベスト含有材を坩堝内で溶融させた後、炉本体を傾けることによってその溶融物を流し出す工程が必要である。この工程では、その溶融物を漏れなく受皿で受けるために非常に正確な作業が求められる。換言すれば、そのような工程を経ない限り、新規のアスベスト含有材を溶融する工程に移ることができない。このため、通常、アスベスト含有材を1度に処理する量(溶融させる量)をより多くすることによって処理効率の向上が図られる。すなわち、特許文献1に記載されるような処理方法では、アスベスト含有材を多量に収容可能な大型の坩堝が用いられる。よって、その坩堝に巻回される誘導加熱コイルも大型化し、誘導加熱炉全体が大型のものになる。
【0007】
本発明の目的は、小型化とアスベストの処理効率の向上とを両立し、かつオンサイトでのアスベストの無害化処理が可能なアスベスト処理方法及びアスベスト処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する手段として、本発明は、アスベストを焼成により無害化処理するアスベスト処理方法を提供する。この方法は、前記アスベストを含有するアスベスト含有材を分割して所定量ずつ加圧処理を施すことにより当該アスベスト含有材を含む複数の加圧成形体を生成する工程と、前記各加圧成形体が挿入可能な加熱用空間を囲む導体からなる筒体及びこの筒体の周囲に巻回された誘導加熱コイルであって当該誘導加熱コイルの通電により前記筒体を誘導加熱することが可能なものを用いて前記各加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する工程と、を含み、前記アスベストを無害化する工程では、前記加熱用空間内に前記加圧成形体を挿入する操作と、前記誘導加熱コイルの通電により前記筒体を誘導加熱してその輻射熱で前記加圧成形体を焼成することにより当該加圧成形体に含まれるアスベストを無害化する操作と、焼成した後の加圧成形体を前記加熱用空間内から取り出す操作と、が前記複数の加圧成形体のそれぞれについて順次繰り返されることにより、これら加圧成形体に含まれるアスベストの無害化処理が行われる。
【0009】
この方法では、アスベスト含有材が加圧処理によって体積の小さい複数の加圧成形体に分割され、これらの加圧成形体がそれぞれ誘導加熱コイル及び筒体の内側の加熱用空間内で加熱されて焼成されることにより、当該加圧成形体に含まれるアスベストが無害化処理されるので、当該誘導加熱コイル及び筒体には小規模のもの、つまり、前記のようにアスベスト含有材から分割されて加圧成形された体積の小さい加圧成形体が挿入可能な加熱用空間を囲むだけの大きさを有すればよいもの、を用いながら、これらの加圧成形体のそれぞれについて誘導加熱による焼成処理を順次行うことで、前記アスベスト含有材に含まれるアスベストの無害化処理を効率よく行うことができる。
【0010】
例えば、従来のようにアスベスト含有材を坩堝に入れて加熱することによりこれを溶融処理するものでは、その溶融のための時間を要するのに加え、当該坩堝を傾けて溶融したアスベスト含有物を別の受皿に流し込む操作が必要であるため、1回の処理時間が長く、よって効率の良い処理を行うためには大きな坩堝を用意してこれに大量のアスベスト含有材を投入しなければならない。また、溶融したアスベスト含有材の取扱いは煩雑となる。これに対し、本処理方法では、アスベスト含有材から複数の小さな固形状の加圧成形体が生成され、これらの加圧成形体が順次筒体の内側の加熱用空間に挿入されることによって各加圧成形体に含まれるアスベストの無害化が進められるため、小型の筒体及び誘導加熱コイルを用いながら、アスベスト含有材をオンサイトで効率よく無害化処理することができる。
【0011】
この場合において、前記複数の加圧成形体を生成する工程の前に前記アスベスト含有材を結合剤とともに混練する混練工程をさらに備え、前記複数の加圧成形体を生成する工程では、前記混練工程で形成された混練物から前記複数の加圧成形体を生成することが好ましい。
【0012】
このようにすれば、焼成操作の前後において加圧成形体の形状が良好に維持されるので、前記アスベストを無害化する工程における加圧成形体の筒体内への供給操作と焼成した後の加圧成形体の筒体内からの取り出し操作との双方が容易になる。よって、アスベスト含有材の処理効率がさらに向上する。
【0013】
具体的に、前記複数の加圧成形体を生成する工程では、前記複数の加圧成形体がそれぞれ円柱状となるように前記混練物を加圧処理し、前記アスベストを無害化する工程では、前記筒体として円筒状のものを用い、前記加圧成形体の中心軸と前記筒体の中心軸とが一致するように前記加圧成形体を前記加熱用空間内に保持した状態で当該加圧成形体を焼成する操作を行うことが好ましい。
【0014】
このようにすれば、加圧成形体は、その表面から中心に向かってほぼ均一に加熱されるので、当該加圧成形体中のアスベストを効率よく無害化することができる。
【0015】
この場合において、前記アスベストを無害化する工程では、前記筒体の中心軸と平行な方向について前記筒体の一方側の開口の外側の位置と前記筒体の他方側の開口の外側の位置との間を当該筒体内を通って変位可能な送り部を用い、前記筒体の一方側の開口から前記筒体内に向かって前記送り部によって前記加圧成形体を押圧することで当該加圧成形体を前記筒体内に供給する操作を行い、前記加圧成形体の焼成後に前記筒体内から前記筒体の他方側の開口に向かって前記送り部によって前記焼成した後の加圧成形体を押圧することで当該焼成した後の加圧成形体を前記筒体内から取り出す操作を行うことが好ましい。
【0016】
このようにすれば、送り部を筒体の一方側の開口の外側の位置と他方側の開口の外側の位置との間で変位させるだけで加圧成形体の筒体内への供給と焼成した後の加圧成形体の筒体内からの取り出しとの双方を行うことができる。具体的に、筒体の一方側の開口から筒体内に加圧成形体を押圧するだけで当該加圧成形体を筒体内に位置させることができ、さらに、加圧成形体の焼成操作後においても、焼成した後の加圧成形体を同じ方向に押圧するだけでこれを筒体の外へ送り出すことができる。
【0017】
また、本発明は、アスベストを焼成により無害化処理するアスベスト処理装置を提供する。この装置は、前記アスベストを含有するアスベスト含有材を分割して所定量ずつ加圧処理を施すことにより当該アスベスト含有材を含む複数の加圧成形体を生成する加圧処理部と、誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルの内側に配置され、かつ前記各加圧成形体が挿入可能な加熱用空間を囲む導体からなる筒体であって、前記誘導加熱コイルの通電により誘導加熱されるものと、前記筒体からの輻射熱で前記加圧成形体が加熱されて当該加圧成形体が焼成することによりこの加圧成形体中の前記アスベストが無害化されるようにこの加圧成形体を前記筒体内の前記加熱用空間に保持する保持体と、前記各加圧成形体を前記筒体内の前記保持体に供給する操作と焼成した後の加圧成形体を前記筒体内から取り出す操作とを順次繰り返す送り部と、を備える。
【0018】
本アスベスト処理装置では、アスベスト含有材から複数の小さな固形状の加圧成形体が生成され、これらの加圧成形体が送り部により順次筒体の内側の加熱用空間に挿入されることによって各加圧成形体に含まれるアスベストの無害化が進められるため、小型の筒体及び誘導加熱コイルを用いながら、アスベスト含有材をオンサイトで効率よく無害化処理することができる。
【0019】
この場合において、前記アスベスト含有材を結合剤とともに混練する混練部をさらに備え、前記加圧処理部は、前記混練部で混練された混練物から前記複数の加圧成形体を生成することが好ましい。
【0020】
このようにすれば、焼成操作の前後において加圧成形体の形状が良好に維持されるので、送り部による当該加圧成形体の供給操作及び取り出し操作が容易になる。よって、アスベスト含有材の処理効率がさらに向上する。
【0021】
具体的に、前記筒体は、円筒状であり、前記加圧処理部は、前記複数の加圧成形体のそれぞれが円柱状となるように前記混練物を加圧処理し、前記保持体は、前記加圧成形体の中心軸と前記筒体の中心軸とが一致するように前記加圧成形体を前記加熱用空間内に保持可能な形状を有することが好ましい。
【0022】
このようにすれば、筒体の内周面から加圧成形体の外周面までの距離が加圧成形体の周方向の全域にわたって実質的に等しくなるため、加圧成形体は、その表面から中心に向かってほぼ均一に加熱される。よって、加圧成形体中のアスベストを効率よく無害化することができる。
【0023】
この場合において、前記保持体は、前記筒体の中心軸と平行な送り方向に沿って前記筒体の一方側の開口から当該筒体内に向かって前記加圧成形体が送られるのを許容するとともに当該加圧成形体を前記筒体内で保持し、かつ前記送り方向に沿って前記筒体内から当該筒体の他方側の開口に向かって前記焼成した後の加圧成形体が送り出されるのを許容する形状を有し、前記送り部は、前記加圧成形体が前記筒体の一方側に位置するときに当該加圧成形体に対して前記筒体と反対側から当接可能な第一位置、前記加圧成形体を前記筒体内の前記保持体に保持させることが可能な第二位置及び前記焼成した後の加圧成形体を前記筒体の他方側に位置させる第三位置の間で前記送り方向に沿って変位可能であることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、第一位置、第二位置及び第三位置の間を変位可能な送り部を用いるだけで、筒体内への加圧成形体の供給と当該筒体内からの焼成した後の加圧成形体の取り出しとの双方が可能となる。具体的に、加圧成形体が筒体の一方側に位置する状態で送り部を第一位置から第二位置まで変位させることで当該加圧成形体を筒体内の保持体に保持させることができ、しかも、加圧成形体の無害化処理後、送り部を第二位置から第三位置まで変位させることで容易に焼成した後の加圧成形体を筒体内から取り出すことができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、小型化とアスベストの処理効率の向上とを両立し、かつオンサイトでのアスベストの無害化処理が可能なアスベスト処理方法及びアスベスト処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態のアスベスト処理装置の前処理ユニットの平面図である。
図2図1に示す前処理ユニットの正面図である。
図3】加圧処理部がアスベスト含有材を加圧成形する前の状態を示す図である。
図4】加圧処理部がアスベスト含有材を加圧成形している途中の状態を示す図である。
図5】加圧処理部がアスベスト含有材を加圧成形した後の状態を示す図である。
図6】アスベスト処理装置の加熱ユニットの平面図である。
図7図6に示す加熱ユニットの正面図である。
図8図6に示す加熱ユニットの右側面図である。
図9図8に示す誘導加熱炉の拡大図である。
図10】誘導加熱炉の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態のアスベスト処理装置について、図1図9を参照しながら説明する。
【0028】
本アスベスト処理装置は、前処理ユニット1と、加熱ユニット2と、を備えている。
【0029】
図1図5に示されるように、前処理ユニット1は、アスベスト含有材を結合剤とともに混練する混練部10と、混練部10で形成された混練物Aから複数の加圧成形体Cを生成する加圧処理部14(図2を参照)と、を有する。
【0030】
混練部10は、筐体11と、スクリュー12とを有する。筐体11には、当該筐体11内にアスベスト含有材を投入するための投入口11aと、筐体11内に結合剤を供給するための供給口11bとが形成されている。結合剤は、アスベスト含有材の成形性(保形性)を向上させるためのものである。スクリュー12は、回転しながらアスベスト含有材と結合剤とを筐体11内で混練する。混練部10で混練された混練物Aは、筐体11に接続されているタンク13を経由して当該タンク13の下方に設けられた加圧処理部14へ送られる。
【0031】
加圧処理部14は、混練物Aを所定量ずつ分割して圧送する分割圧送部16(図2を参照)と、所定量の混練物Aを特定形状に加圧成形する成形部20と、を有する。図1には、成形部20が2つ並置されたものが示されている。ただし、成形部20は、1つでもよい。
【0032】
分割圧送部16は、タンク13から落下してくる混練物Aを所定量ずつホース18を通じて成形部20に圧送する。
【0033】
成形部20は、分割圧送部16から圧送されてきた所定量の混練物Aを加圧処理することで加圧成形体Cを生成する。具体的に、図3図5に示されるように、成形部20は、混練物Aを特定形状に成形するための型材21と、型材21の一方側に配置された第一シリンダ22及び第一ロッド23と、型材21の他方側に配置された第二シリンダ24及び第二ロッド25と、を有する。
【0034】
型材21は、円筒状に形成されている。型材21には、ホース18の端部と接続可能な接続口21aが形成されている。この接続口21aを通じてホース18内の混練物Aが型材21内に供給される。
【0035】
第一シリンダ22及び第一ロッド23は、その中心軸が型材21の中心軸と一致するように配置されている。第一ロッド23は、型材21の内径よりも大きな外径を有する先端部23aを有する。第一ロッド23は、先端部23aが型材21の一方側の端部21bに当接した当接位置(図3及び図4の位置)と先端部23aが前記端部21bから離間した離間位置(図5の位置)との間で第一シリンダ22に対して軸方向に相対変位可能になっている。
【0036】
第二シリンダ24及び第二ロッド25は、その中心軸が型材21の中心軸と一致するように配置されている。第二ロッド25は、型材21の内径よりもわずかに小さな外径を有し、かつその軸方向の寸法が型材21の軸方向の寸法よりも大きな押込部25aを有する。第二ロッド25は、押込部25aの先端部25bが型材21の他方側の端部21cと接続口21aとの間に位置する初期位置(図3の位置)と前記先端部25bが型材21の一方側の端部21bから突出する突出位置(図5の位置)との間で第二シリンダ24に対して軸方向に相対変位可能になっている。
【0037】
次に、図3図5を参照しながら、加圧処理部14が混練物Aを加圧処理する工程について説明する。
【0038】
まず、図3に示されるように、第一ロッド23の先端部23aが当接位置にあり、かつ押込部25aの先端部25bが初期位置にある状態で分割圧送部16から所定量の混練物Aが型材21内に供給される。
【0039】
次に、図4に示されるように、第二ロッド25の押込部25aが第一ロッド23の先端部23aに近づくように軸方向に変位することで混練物Aを加圧する。これにより、円柱状の加圧成形体Cが成形される。
【0040】
そして、図5に示されるように、第一ロッド23の先端部23aが離間位置まで変位するとともに押込部25aの先端部25bが突出位置まで変位することで加圧成形体Cが型材21から押し出される。型材21から押し出された加圧成形体Cは、後述の搬送部30上に載置される。
【0041】
その後、第一ロッド23の先端部23aは当接位置に戻るとともに、第二ロッド25の先端部25bは初期位置に戻り、型材21内に再び分割圧送部16から所定量の混練物Aが供給される。
【0042】
以上の操作を繰り返すことにより、加圧処理部14は、混練物Aから複数の加圧成形体Cを連続的に成形する。
【0043】
次に、図6図9を参照しながら、加熱ユニット2について説明する。加熱ユニット2は、ユニットケース3と、加圧成形体Cを搬送する搬送部30と、加圧成形体Cを送る送り部40と、誘導加熱炉50と、冷却部60と、搬出部70と、を備えている。
【0044】
搬送部30は、加圧処理部14で成形された複数の加圧成形体Cをユニットケース3内の誘導加熱炉50に向かって順次搬送する。具体的に、搬送部30は、コンベア32と、複数の台34とを有する。
【0045】
コンベア32は、搬送方向の一端及び他端に設けられた軸部回りに回転する。図6に示されるように、コンベア32の一端32aは、ユニットケース3から突出して前処理ユニット1内の成形部20の下方に位置し、コンベア32の他端32bは、誘導加熱炉50の側方に位置する。
【0046】
各台34は、図8に示されるように、円柱状の加圧成形体Cを当該加圧成形体Cの軸方向と直交する方向の両側から受ける形状を有する。
【0047】
送り部40は、送りシリンダ42と、送りロッド44とを有する。送りシリンダ42は、送りロッド44の変位方向がコンベア32の搬送方向と直交するとともに水平と平行な送り方向となるように配置されている。送りシリンダ42は、送りロッド44が前記送り方向に変位したときに当該送りロッド44が台34上に位置する加圧成形体Cを誘導加熱炉50に向かって押すことが可能な高さ位置に設けられている。つまり、送りロッド44は、台34上に位置する加圧成形体Cを前記送り方向に沿って押圧することによりこれを誘導加熱炉50内に供給する操作を行う。
【0048】
誘導加熱炉50は、耐熱性を有する炉本体51及び蓋体52と、加圧成形体Cを保持する保持体53と、導体からなる筒体54と、誘導加熱コイル55と、給電端子56と、を有する。
【0049】
保持体53は、加圧成形体Cの外径よりも大きな内径を有する円筒状に形成されている。保持体53は、その中心軸が前記送り方向と平行で、かつ送りロッド44で前記送り方向に押圧された加圧成形体Cを一方側(図6及び図7左側)の開口から受け入れ可能な高さ位置に設けられている。保持体53は、炉本体51を前記送り方向に貫通する状態で炉本体51に支持されている。本実施形態では、保持体53は、石英により形成されている。
【0050】
筒体54は、加圧成形体Cが挿入可能な加熱用空間S(図9を参照)を囲む形状を有する。本実施形態では、筒体54は、保持体53よりも一回り大きな円筒状に形成されており、保持体53を囲むように配置されている。筒体54の軸方向の寸法は、当該筒体54が炉本体51内に収まる大きさに設定されている。図9に示されるように、筒体54は、当該筒体54の中心軸と保持体53に保持された加圧成形体Cの中心軸とが一致するように保持体53の周囲に配置されている。換言すれば、保持体53は、筒体54の中心軸と加圧成形体Cの中心軸とが一致する高さ位置で当該加圧成形体Cを加熱用空間S内に保持している。本実施形態では、筒体54は、炭素により形成されている。このため、炉本体51内は、窒素等の不活性ガスが充填されている。
【0051】
誘導加熱コイル55は、筒体54の周囲に巻回されており、その両端が炉本体51外に導出されている。
【0052】
給電端子56は、誘導加熱コイル55の両端に設けられており、当該誘導加熱コイル55に給電するための端子である。この給電端子56を通じて誘導加熱コイル55に交流電流が供給されると、筒体54が誘導加熱されることで加熱用空間Sが加熱される。具体的に、誘導加熱コイル55の通電により筒体54に渦電流が生じ、これにより筒体54が自己発熱する。この筒体54からの輻射熱により加熱用空間S内が加熱される。この加熱用空間S内が加熱された状態で加圧成形体Cが保持体53に保持されると、当該加圧成形体Cは前記輻射熱によって焼成されて無害化される。例えば、この加圧成形体Cの焼成操作では、加圧成形体Cは、1000℃〜1200℃程度に加熱される。
【0053】
加圧成形体Cが加熱用空間S内で焼成した後の加圧成形体Cの取り出し操作は、前記送り部40によって行われる。具体的に、送りロッド44は、加圧成形体Cが保持体53の一方側の開口から当該保持体53の内側を通って保持体53の他方側の開口に至るように当該加圧成形体Cを送ることが可能な長さを有している。送りロッド44は、加圧成形体Cの焼成後、前記送り方向に沿って焼成した後の加圧成形体Cを押圧することで当該加圧成形体Cを誘導加熱炉50外に送り出す。
【0054】
その後、送りロッド44は、台34上の加圧成形体Cに対して誘導加熱炉50と反対側から当接可能な位置(図6及び図7の位置)に戻り、再び前記送り方向に沿って台34上の加圧成形体Cを加熱用空間S内の保持体53に供給する操作を行う。つまり、誘導加熱炉50で加圧成形体Cに含まれるアスベストを無害化する工程では、送りロッド44によって加圧成形体Cを加熱用空間S内に供給する操作と、誘導加熱コイル55へ給電して筒体54を誘導加熱することによりその輻射熱で加圧成形体Cを焼成する操作と、焼成した後の加圧成形体Cを送りロッド44によって加熱用空間S内から取り出す操作と、が順次繰り返される。
【0055】
冷却部60は、焼成した後の加圧成形体Cを冷却するための冷却水62と、これを収容する水槽64と、を有する。水槽64は、送りロッド44によって誘導加熱炉50から送り出された焼成した後の加圧成形体Cを受けることが可能な位置に設けられている。具体的に、水槽64は、保持体53の前記送り方向の先端側(図6の右側)の端部の下方に設けられている。
【0056】
搬出部70は、冷却水62で冷却された後の加圧成形体Cをユニットケース3外に搬出する。具体的に、搬出部70の一端70aは、保持体53の前記送り方向の先端側の下方でかつ冷却水62中に位置しており、搬出部70の他端70bは、ユニットケース3外に位置している。なお、冷却水62で冷却された後の加圧成形体Cは、搬出部70の他端70bに至る途中に乾燥する。
【0057】
以上説明したように、本アスベスト処理装置を用いた処理方法では、アスベスト含有材が加圧処理によって体積の小さい複数の加圧成形体Cに分割され、これらの加圧成形体Cがそれぞれ誘導加熱コイル55及び筒体54の内側の加熱用空間S内で加熱されて焼成されることにより、当該加圧成形体Cに含まれるアスベストが無害化処理されるので、誘導加熱コイル55及び筒体54には小規模のもの、つまり、前記のようにアスベスト含有材から分割されて加圧成形された体積の小さい加圧成形体Cが挿入可能な加熱用空間Sを囲むだけの大きさを有すればよいもの、を用いながら、これらの加圧成形体Cのそれぞれについて誘導加熱による焼成処理を順次行うことで、前記アスベスト含有材に含まれるアスベストの無害化処理を効率よく行うことができる。
【0058】
例えば、従来のようにアスベスト含有材を坩堝に入れて加熱することによりこれを溶融処理するものでは、その溶融のための時間を要するのに加え、当該坩堝を傾けて溶融したアスベスト含有物を別の受皿に流し込む操作が必要であるため、1回の処理時間が長く、よって効率の良い処理を行うためには大きな坩堝を用意してこれに大量のアスベスト含有材を投入しなければならない。また、溶融したアスベスト含有材の取扱いは煩雑となる。これに対し、本処理方法のアスベストを無害化する工程では、加圧成形体Cを溶融ではなく焼成するので、つまり加圧成形体Cが加熱後においても固形に維持されるので、従来のように炉自体を傾けることなく、筒体54内に加圧成形体Cを供給するときの方向と同じ方向(筒体54の中心軸と平行な方向)に沿って筒体54内から焼成した後の加圧成形体Cを取り出すことが可能となる。よって、アスベスト含有材を含む混練物Aから複数の小さな固形状の加圧成形体Cが生成され、これらの加圧成形体Cの加熱用空間S内への供給操作、加圧成形体Cの焼成操作及び焼成した後の加圧成形体Cの加熱用空間S内からの取り出し操作、が順次繰り返されることにより、小型の筒体54及び誘導加熱コイル55を用いながら、アスベスト含有材をオンサイトで効率よく無害化処理することができる。
【0059】
また、本実施形態では、アスベスト含有材に結合剤を混練したものから加圧成形体Cを成形するので、焼成操作の前後において加圧成形体Cの形状が良好に維持される。このため、前記アスベストを無害化する工程における加圧成形体Cの筒体54内への供給操作と焼成した後の加圧成形体Cの筒体54内からの取り出し操作との双方が容易になる。よって、アスベスト含有材の処理効率がさらに向上する。
【0060】
さらに、本実施形態では、加圧成形体Cの中心軸と筒体54の中心軸とが一致するように加圧成形体Cが加熱用空間S内に保持された状態で当該加圧成形体Cの焼成操作が行われるので、加圧成形体Cは、その表面から中心に向かってほぼ均一に加熱される。よって、加圧成形体C中のアスベストを効率よく無害化することができる。
【0061】
また、本実施形態では、送りロッド44を前記送り方向に沿って変位させるだけで加圧成形体Cの供給操作と焼成した後の加圧成形体Cの取り出し操作とを行うことができる。
【0062】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0063】
例えば、上記実施形態では、加圧処理部14は、混練物Aから複数の加圧成形体Cを連続的に成形する例が示されたが、複数の加圧成形体Cを成形可能な金型を用いて混練物Aから一度に複数の加圧成形体Cを成形し、これらを適宜保管しておいてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、成形部20が円柱状の加圧成形体Cを成形する例が示されたが、加圧成形体Cの形状は円柱状に限られない。例えば、型材21として多角筒状のものを用いることにより、多角筒状の加圧成形体を成形してもよい。
【0065】
また、加熱用空間S内に筒体54の軸方向に沿って複数の加圧成形体Cを配置し、これらをまとめて焼成処理してもよい。
【0066】
また、図10に示されるように、誘導加熱炉50が2本の保持体53を有し、筒体54が両保持体53をまとめて包囲する形状であってもよい。このようにすれば、より効率よくアスベストの無害化処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1 前処理ユニット
2 加熱ユニット
3 ユニットケース
10 混練部
14 加圧処理部
16 分割圧送部
20 成形部
21 型材
30 搬送部
40 送り部
44 送りロッド
50 誘導加熱炉
51 炉本体
52 蓋体
53 保持体
54 筒体
55 誘導加熱コイル
56 給電端子
60 冷却部
70 排出部
A 混練物
C 加圧成形体
S 加熱用空間
図3
図4
図5
図6
図7
図1
図2
図8
図9
図10