特開2015-160219(P2015-160219A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-160219枠付き上下鋳型の枠合せ装置及び枠合せ方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-160219(P2015-160219A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】枠付き上下鋳型の枠合せ装置及び枠合せ方法
(51)【国際特許分類】
   B22C 23/00 20060101AFI20150811BHJP
   B22D 47/02 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   B22C23/00 H
   B22D47/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-36099(P2014-36099)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩司
【テーマコード(参考)】
4E094
【Fターム(参考)】
4E094CC17
(57)【要約】
【課題】 枠合せされた後に、上下鋳型の合せ面の状態や、中子と上下鋳型の干渉の有無などを実際に確認することができ、製品の不良を減らすことができる枠付き上下鋳型の枠合せ装置及び枠合せ方法を提供する。
【解決手段】 鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ装置であって、前記上枠付き上鋳型を昇降させる昇降手段と、前記上枠付き上鋳型が上昇端にあるときの前記上枠の下方に配設され、前記上枠が落下するのを防止する上枠落下防止手段と、前記下枠の上方に配設され、前記下枠が浮き上るのを防止する下枠浮き上り防止手段と、を具備する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ装置であって、前記上枠付き上鋳型を昇降させる昇降手段と、前記上枠付き上鋳型が上昇端にあるときの前記上枠の下方に配設され、前記上枠が落下するのを防止する上枠落下防止手段と、前記下枠の上方に配設され、前記下枠が浮き上るのを防止する下枠浮き上り防止手段と、を具備することを特徴とする枠付き上下鋳型の枠合せ装置。
【請求項2】
前記上枠にはクランプ部材が回動可能に装着されると共に前記下枠には前記クランプ部材が係合されるピン部材が装着され、前記枠合せした際には前記クランプ部材が前記ピン部材に係合して前記上枠と前記下枠が連結されるようになっており、前記クランプ部材を回動させる回動手段を備えること特徴とする請求項1記載の枠付き上下鋳型の枠合せ装置。
【請求項3】
鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ方法であって、前記上枠付き上鋳型を搬入する工程と、該搬入された前記上枠付き上鋳型を上昇させる工程と、該上昇された前記上枠付き上鋳型の下方に前記下枠付き下鋳型を搬入する工程と、前記上枠付き上鋳型を下降させ、該上枠付き上鋳型と前記下枠付き下鋳型を枠合せする工程と、該枠合せをした後、前記上枠付き上鋳型を再度上昇させ、該上枠付き上鋳型と前記下枠付き下鋳型を枠分離する工程と、を有することを特徴とする枠付き上下鋳型の枠合せ方法。
【請求項4】
前記枠合せをした後、下枠浮き上り防止手段により前記下枠が浮き上るのを防止した状態で前記枠分離をし、該枠分離をした後、上枠落下防止手段により前記上枠が落下するのを防止することを特徴とする請求項3記載の枠付き上下鋳型の枠合せ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型造型機により造型された枠付き上下鋳型の枠合せ装置及び枠合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鋳型造型機により造型された枠付き上鋳型と枠付き下鋳型は、ローラーコンベアに交互に配置して搬送され、この搬送途中に枠付き上鋳型を反転させたのち、該枠付きの上下鋳型を枠合せして注湯機により注湯される。そして、この枠付き上下鋳型を枠合せする装置は、例えば、特許文献1により公知にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭58−61347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置では、枠合せされた上下鋳型を、すぐさまトラバーサの走行台車で枠合せ装置の外に搬出し、注湯ライン上に送り出すようにしている。したがって、枠合せされた後、上下鋳型の合せ面の状態や、中子と上下鋳型の干渉の有無などを実際に確認することはできなかった。このため、枠合せされた後の上下鋳型の合せ面に不良があった場合や、中子と上下鋳型の干渉による不良があった場合でも、上下鋳型に注湯せざるを得ず、製品の不良が増えてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みて成されたもので、枠合せされた後に、上下鋳型の合せ面の状態や、中子と上下鋳型の干渉の有無などを実際に確認することができ、製品の不良を減らすことができる枠付き上下鋳型の枠合せ装置及び枠合せ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために本発明の枠付き上下鋳型の枠合せ装置は、鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ装置であって、前記上枠付き上鋳型を昇降させる昇降手段と、前記上枠付き上鋳型が上昇端にあるときの前記上枠の下方に配設され、前記上枠が落下するのを防止する上枠落下防止手段と、前記下枠の上方に配設され、前記下枠が浮き上るのを防止する下枠浮き上り防止手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
また本発明の枠付き上下鋳型の枠合せ装置は、前記上枠にはクランプ部材が回動可能に装着されると共に前記下枠には前記クランプ部材が係合されるピン部材が装着され、前記枠合せした際には前記クランプ部材が前記ピン部材に係合して前記上枠と前記下枠が連結されるようになっており、前記クランプ部材を回動させる回動手段を備えること特徴とする。
【0008】
また上記の目的を達成するために本発明の枠付き上下鋳型の枠合せ方法は、鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ方法であって、前記上枠付き上鋳型を搬入する工程と、該搬入された前記上枠付き上鋳型を上昇させる工程と、該上昇された前記上枠付き上鋳型の下方に前記下枠付き下鋳型を搬入する工程と、前記上枠付き上鋳型を下降させ、該上枠付き上鋳型と前記下枠付き下鋳型を枠合せする工程と、該枠合せをした後、前記上枠付き上鋳型を再度上昇させ、該上枠付き上鋳型と前記下枠付き下鋳型を枠分離する工程と、を有することを特徴とする。
【0009】
また本発明の枠付き上下鋳型の枠合せ方法は、前記枠合せをした後、下枠浮き上り防止手段により前記下枠が浮き上るのを防止した状態で前記枠分離をし、該枠分離をした後、上枠落下防止手段により前記上枠が落下するのを防止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型と下枠付き下鋳型を枠合せする枠付き上下鋳型の枠合せ装置であって、前記上枠付き上鋳型を昇降させる昇降手段と、前記上枠付き上鋳型が上昇端にあるときの前記上枠の下方に配設され、前記上枠が落下するのを防止する上枠落下防止手段と、前記下枠の上方に配設され、前記下枠が浮き上るのを防止する下枠浮き上り防止手段と、を具備するようにしたから、枠合せされた後に、上下鋳型の合せ面の状態や、中子と上下鋳型の干渉の有無などを実際に確認することができ、製品の不良を減らすことができる等種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示す正面図である。
図2図1におけるA−A矢視図である。
図3図1におけるB−B矢視図である。
図4図1におけるC−C矢視図である。
図5】ハッカー式の上下鋳枠の一例を示す正面図であって、上下鋳枠を枠合せしてハッカーで連結させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。図1に示すように、図示されない鋳型造型機により造型された上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2は、ローラコンベヤ3に交互に配置され、図示されない搬送手段(プッシャー装置及びクッション装置)により1ピッチ分(1鋳型分)ずつ、矢印Y1の方向に間欠搬送されるようになっている。なお前記下枠付き下鋳型2は定盤台車J上に載置されて搬送されるようになっており、該定盤台車Jはレール4上を走行するようになっている。また前記上枠付き上鋳型1は、枠合せ装置5の上流に配設された図示されない反転機で反転されるようになっている。
【0013】
次に、枠合せ装置5について説明する。床上に立設した複数(本実施形態では4本)の支柱6の上部には固定フレーム7が連結されている。そして、前記支柱6間には、前記上枠付き上鋳型1が搬入される際に該上枠付き上鋳型1を受ける複数の受けローラ8が装着された一対のローラフレーム9が配設されている。そして、該ローラフレーム9の一方には位置決めクランプ10が装着されている(図3参照)。該位置決めクランプ10は、クランプシリンダ10aと、該クランプシリンダ10aの先端に固定された楔部材10bと、で構成されている。該クランプシリンダ10aの作動により、上枠W1の側面に装着されたライナ25間に該楔部材10bが打ち込まれる(挿入される)ことによって、前記受けローラ8上の前記上枠付き上鋳型1が位置決めされて固定されるようになっている。
【0014】
そして、前記一対のローラフレーム9の上方にはアーム開閉部11が配設されている。ここで該アーム開閉部11について説明する。図2に示すように、一対のアーム12の下位部は前記一対のローラフレーム9の外側に固定されている。そして、該アーム12は上端にホルダ12aを備えており、該ホルダ12a内はガイドロッド13が摺動可能に貫通されている。そして、該ガイドロッド13の両端には該ホルダ12aのストッパーになるナット14が螺着されている。なお符号15(図1参照)は該ホルダ12a同士を繋ぐ繋ぎ部材である。そして、該繋ぎ部材15間には開閉シリンダ16が配設されており、該開閉シリンダ16の作動によって前記アーム12が開閉されるようになっている。
【0015】
また前記アーム開閉部11の上部には中間フレーム17が連結されている。そして、該中間フレーム17の上方には昇降フレーム18が配設されている。そして、該昇降フレーム18と前記中間フレーム17は複数(本実施形態では4本)のフリー機構19を介して連結されている。該フリー機構19は軸部材19aの両端に球面滑り軸受19bを螺着したものである。なお、上端の球面滑り軸受19bは前記昇降フレーム18に連結され、下端の球面滑り軸受19bは前記中間フレーム17に連結されている。
【0016】
また前記固定フレーム7の中央上部には、前記上枠付き上鋳型1を昇降させる昇降手段としての昇降シリンダ20が装着されており、該昇降シリンダ20のピストンロッドの先端は前記昇降フレーム18に連結されている。そして、前記固定フレーム7の上部における前記昇降シリンダ20の両外側にはホルダ21が装着されており、該ホルダ21内はガイドロッド22が摺動可能に貫通されている。該ガイドロッド22の先端は前記昇降フレーム18に連結されている。
【0017】
また前記支柱6には、前記上枠付き上鋳型1が上昇端にあるときの上枠W1の下方に配設され、該上枠W1が落下するのを防止する上枠落下防止手段23が装着されている。本実施形態では図3に示すように、該上枠落下防止手段23が平面視で対角に二つ装着されている。該上枠落下防止手段23は、第1回動軸23aを中心にして回動される第1回動部材23bと、先端が該第1回動部材23bに連結されて該第1回動部材23bを回動させる第1回動シリンダ23cと、該第1回動シリンダ23cが連結されると共に前記支柱6に装着された第1支持部材23dと、で構成されている。
【0018】
また前記支柱6には、下枠W2の上方に配設され、該下枠W2が浮き上るのを防止する下枠浮き上り防止手段24が装着されている。本実施形態では図4に示すように、該下枠浮き上り防止手段24が平面視で対角に二つ装着されている。該下枠浮き上り防止手段24は、第2回動軸24aを中心にして回動される第2回動部材24bと、先端が該第2回動部材24bに連結されて該第2回動部材24bを回動させる第2回動シリンダ24cと、該第2回動シリンダ24cが連結されると共に前記支柱6に装着された第2支持部材24dと、で構成されている。
【0019】
また図1における前記支柱6間の下位部には、枠合せされた前記上枠付き上鋳型1と前記下枠付き下鋳型2を前記枠合せ装置5の外側に搬送するトラバーサ30が配設されている。ここで該トラバーサ30について説明する。図1において、基台31の両端上にはレール32が固定されており、該レール32上を走行台車33が走行するようになっている。なお、該走行台車33はレール32上を走行するための車輪33aを備えており、具体的には該車輪33aがレール32上を走行する。そして、該走行台車33上には、前記定盤台車Jが走行するためのレール34が固定されている。また該走行台車33上にはさらに、前記定盤台車Jを該レール34上で保持する保持手段35が装着されている。
【0020】
このように構成されたものの作動について説明する。まず、昇降シリンダ20が伸長作動され、一対のローラフレーム9が下降される。この下降は受けローラ8のローラレベルが、ローラコンベヤ3のローラ3aのローラレベルと同一になるまで行われる。次に、開閉シリンダ16が収縮作動され、一対のアーム12及びローラフレーム9が閉じられる。
【0021】
次に、ローラコンベヤ3に交互に配置された上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が、図示されない搬送手段(プッシャー装置及びクッション装置)により1ピッチ分(1鋳型分)、矢印Y1の方向に搬送される。これにより、上枠付き上鋳型1が枠合せ装置5内に搬入される。詳述すると、上枠付き上鋳型1が受けローラ8上に載置された状態になる。次に、位置決めクランプ10のクランプシリンダ10aを伸長作動させる。これにより、前記ライナ25間に楔部材10bが打ち込まれ、受けローラ8上の上枠付き上鋳型1が位置決めされて固定される。
【0022】
次に、昇降シリンダ20が収縮作動され、枠合せ装置5内に搬入された上枠付き上鋳型1が上昇される。次に、ローラコンベヤ3に交互に配置された上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が再度、前記搬送手段により1ピッチ分、矢印Y1の方向に搬送される。これにより、上昇された上枠付き上鋳型1の下方に下枠付き下鋳型2が搬入される(図1の状態にされる)。なお、下枠付き下鋳型2は定盤台車Jとともに搬入される。
【0023】
次に、昇降シリンダ20が伸長作動される。これにより、上枠付き上鋳型1が下降され、上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が枠合せされる。通常の枠合せであれば、ここまでであるが、本発明ではこの後、実際に枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面の状態や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉の有無などを実際に確認するために、一度枠合せした上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2を枠分離するようになっている。この点につき、引き続き説明する。
【0024】
上述の枠合せをした後、下枠浮き上り防止手段24における第2回動シリンダ24cが伸長作動される。これにより、第2回動部材24bが回動されて該第2回動部材24bの先端が下枠W2の平面視隅部の上方(詳しくは下枠W2の上方で上枠W1との間)に位置される(図4の状態にされる)。これにより、下枠W2が浮き上るのを防止した状態になる。
【0025】
この状態で昇降シリンダ20が収縮作動される。これにより、上枠付き上鋳型1が再度上昇され、上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が枠分離される。その後、上枠落下防止手段23における第1回動シリンダ23cが伸長作動される。これにより、第1回動部材23bが回動されて該第1回動部材23bの先端が上枠W1の下方に位置される。これにより、上枠W1が落下するのを防止した状態になる。
【0026】
この状態で作業者が、実際に枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面の状態や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉の有無などを実際に確認する。その結果、例えば、上下鋳型M1、M2同士の干渉による鋳型の一部の破損や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉による中子又は鋳型の一部の破損などの不良が発見された場合は、その上下鋳型M1、M2は不良鋳型であると特定する。そして、その後の上下鋳型M1、M2への注湯工程で該特定された不良鋳型には注湯しないようにする。これにより、使用する溶湯の量を減らすことができると共に無駄な不良製品の発生を防止することができる。
【0027】
なお上述の不良鋳型の特定は、該不良を発見した作業者が、例えば、上鋳型M1の上面に目印を付けるようにすればよい。上下鋳型M1、M2への注湯が作業者による注湯であるならば、これでよい。また上下鋳型M1、M2への注湯が注湯機による自動注湯であるならば、該不良を発見した作業者が、例えば、押しボタン等を押すことにより電気的に制御盤に信号を送る。そして、その信号に基づいて、該特定された不良鋳型には、注湯機による自動注湯を行わないようにする。
【0028】
次に、作業者が上述の確認をした後の作動について説明する。該確認をした後、上枠落下防止手段23における第1回動シリンダ23cが収縮作動される。これにより、上枠W1の落下防止が解除される。次に、昇降シリンダ20が伸長作動される。これにより、上枠付き上鋳型1が再度下降され、上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が再度枠合せされる。
【0029】
次に、下枠浮き上り防止手段24における第2回動シリンダ24cが収縮作動される。これにより、下枠W2の浮き上り防止が解除される。次に、位置決めクランプ10のクランプシリンダ10aを収縮作動させる。これにより、前記ライナ25間から楔部材10bが抜き出され、受けローラ8上の上枠付き上鋳型1の位置決めが解除される。次に、開閉シリンダ16が伸長作動され、一対のアーム12及びローラフレーム9が開かれる。
【0030】
次に、昇降シリンダ20が収縮作動される。これにより、一対のアーム12及びローラフレーム9が上昇される。次に、トラバーサ30が図示されない駆動手段により正作動され、枠合せされた上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2が定盤台車Jと共に走行台車33で枠合せ装置5の外側に搬送される。次に、該搬送された上枠付き上鋳型1、下枠付き下鋳型2及び定盤台車Jは、図示されない搬送手段(プッシャー装置及びクッション装置)により後工程に搬送される。次に、トラバーサ30が前記駆動手段により逆作動され、空の走行台車33が枠合せ装置5内に搬送される。そして、上記の作動が繰り返される。
【0031】
なお本発明は、上述の実施形態で示した上下鋳枠W1、W2のみならず、ハッカーと呼ばれるクランプ部材を備えた上下鋳枠(いわゆる、ハッカー式の上下鋳枠)の枠合せにも適用することができる。該ハッカー式の上下鋳枠W3、W4について説明する。
【0032】
図5に示すように、上枠W3には、ハッカーと呼ばれるクランプ部材26が軸27によって回動可能に装着されている。このクランプ部材26は下位部に溝部28を形成したフック状の部材であり、図5に示されるように下枠W4に装着されたピン部材29と係合できるようになっている。そして、枠合せした際にはクランプ部材26がピン部材29に係合して上枠W3と下枠W4が連結されるようになっている。なお、このクランプ部材26は、本実施形態では、図5における手前側と向う側(図示せず)の2ヶ所に設けられている。
【0033】
このようなハッカー式の上下鋳枠W3、W4を用いる場合の枠合せでは、枠合せ装置が、クランプ部材26を回動させる回動手段(図示せず)を備えるようにすればよい。この場合、昇降シリンダ20が伸長作動されて上枠付き上鋳型1が下降される前に、即ち、枠合せされる前に該回動手段によりクランプ部材26を外すことになる。また、昇降シリンダ20が収縮作動されて上枠付き上鋳型1が再度上昇される前に、即ち、枠分離される前に該回動手段によりクランプ部材26を外すことになる。
【0034】
なおクランプ部材26を外すとは、該回動手段によりクランプ部材26を外す方向(図5における反時計回り方向)に回動させて、クランプ部材26とピン部材29の係合を解くことである。また該回動手段としては例えば、シリンダの先端に回動可能なアームを取り付けた構成のものが挙げられる。この場合、シリンダの作動によって該アームでクランプ部材26を外す方向に回動させることになる。
【0035】
なお本発明では、一度枠合せをした後、上枠付き上鋳型1を再度上昇させ、該一度枠合せした上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2を枠分離するようにしている。本構成によれば、実際に枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面の状態や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉の有無などを作業者が実際に確認することができる。このため、枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面に不良があった場合や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉による不良があった場合は、該不良があった上下鋳型M1、M2への注湯をやめることができ、製品の不良を減らすことができるという利点がある。
【0036】
また本発明では、一度枠合せをした後、下枠浮き上り防止手段24により下枠W2が浮き上るのを防止した状態で枠分離をするようにしている。本構成によれば、枠分離の際、上枠W1と一緒に下枠W2が上昇してしまうのを防止することができ、安全を確保できるという利点がある。
【0037】
さらに本発明では、枠分離をした後、上枠落下防止手段23により上枠W1が落下するのを防止するようにしている。本構成によれば、枠分離をした後に、実際に枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面の状態や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉の有無などを作業者が実際に確認する際、上枠W1が落下するのを確実に防止することができ、作業者の安全を確保できるという利点がある。
【0038】
なお本発明の実施形態では上述したように、一度枠合せをした後、上枠付き上鋳型1を再度上昇させ、該一度枠合せした上枠付き上鋳型1と下枠付き下鋳型2を枠分離している。そして、その後、実際に枠合せされた後の上下鋳型M1、M2の合せ面の状態や、中子と上下鋳型M1、M2の干渉の有無などを作業者が実際に確認するようにしている。この枠分離及び確認は、鋳型造型ラインの1サイクル毎に毎回行ってもよいが、該毎回に限定されるものではない。鋳型造型ラインの複数サイクルに一度、該枠分離及び確認を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 上枠付き上鋳型
2 下枠付き下鋳型
5 枠合せ装置
20 昇降手段
23 上枠落下防止手段
24 下枠浮き上り防止手段
26 クランプ部材
29 ピン部材
W1 W3 上枠
W2 W4 下枠
図1
図2
図3
図4
図5