特開2015-160542(P2015-160542A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-160542(P2015-160542A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】車内灯制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/02 20060101AFI20150811BHJP
【FI】
   B60Q3/02 B
   B60Q3/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-37382(P2014-37382)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 慎二
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA01
3K040CA04
3K040CA05
3K040DA05
3K040EB02
3K040GA02
3K040GA04
3K040GB01
3K040GB02
3K040GB08
3K040GC01
3K040GC04
3K040GC06
(57)【要約】
【課題】運転者によるブレーキ操作の程度を車両の乗員が容易に知ることができる車内灯制御装置を提供する。
【解決手段】車両Cに設けられた車内灯の点灯を制御する車内灯制御装置1は、前記車両Cのブレーキに対する操作速度又は操作量を取得する取得部と、該取得部が取得した前記操作速度又は操作量に応じて異なる点灯態様で前記車内灯の点灯を制御する制御部とを備える。従って、車内灯制御装置1は、当該操作速度又は操作量に応じた点灯態様を車両Cの乗員に確認させることができるため、運転者によるブレーキ操作の程度を容易に知らせることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車内灯の点灯を制御する車内灯制御装置において、
前記車両のブレーキに対する操作速度又は操作量を取得する取得部と、
該取得部が取得した前記操作速度又は操作量に応じて異なる点灯態様で前記車内灯の点灯を制御する制御部と
を備えることを特徴とする車内灯制御装置。
【請求項2】
前記点灯態様は、前記車内灯の点灯色又は明るさを含むこと
を特徴とする請求項1に記載の車内灯制御装置。
【請求項3】
前記点灯態様は、所定時間内に前記車内灯が点灯及び消灯を行うタイミングを含むこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の車内灯制御装置。
【請求項4】
前記点灯態様の入力を受け付ける点灯態様受付部を備え、
前記制御部は、前記点灯態様受付部が受け付けた点灯態様で前記車内灯の点灯を制御可能に構成してあること
を特徴とする請求項1から3までの何れか一つに記載の車内灯制御装置。
【請求項5】
前記車両の車速を取得する車速取得部を備え、
前記制御部は、前記車速取得部が取得した車速と、前記取得部が取得した前記操作速度又は操作量とに応じて異なる点灯態様で前記車内灯の点灯を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1から4までの何れか一つに記載の車内灯制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記車速取得部が取得した車速が所定速度以上のとき、前記車内灯の点灯を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項5に記載の車内灯制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、複数の前記車内灯を制御可能に構成してあり、
前記制御部に制御させる車内灯の入力を受け付ける制御対象受付部を備え、
前記制御部は更に、前記取得部が取得した前記操作速度又は操作量に応じて前記制御対象受付部が受け付けた車内灯の点灯を制御するようにしてあること
を特徴とする請求項1から6までの何れか一つに記載の車内灯制御装置。
【請求項8】
前記車内灯は電飾用であること
を特徴とする請求項1から7までの何れか一つに記載の車内灯制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられた車内灯の点灯制御を行う車内灯制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のブレーキの作動を検出したか否かにより当該車両に設けられた車内灯を点灯させる車内灯制御装置が知られている。特許文献1に記載の車内灯制御装置は、ブレーキの作動を検出した場合、ルームミラー近傍に設けられた車内灯を点灯させ、ルームミラーへの注視を運転者に促す。注視を促された運転者は、ルームミラーを確認することで自身のブレーキ操作によって運転車両後方から追突される危険の有無を確認することができ、当該危険に対して事前に対応することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−164958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、運転者は自身でブレーキ操作を行うため、当該操作の程度を知ることは容易にできる。一方、運転者以外の車両の乗員は自身がブレーキの操作を行っていないため、当該操作の程度を知ることが難しい。そのため、例えば運転者により急ブレーキとなるブレーキ操作が行われた場合、当該運転者は当該ブレーキ操作に対して事前に身構えることができるが、当該運転者以外の乗員は、当該ブレーキ操作に対して事前に身構えることが難しい。従って、運転者以外の乗員が当該運転手によるブレーキ操作の程度を知り得ることが望まれる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のような車内灯制御装置は、運転者にルームミラーへの注視を促すために車内灯を点灯させ、運転者以外の乗員に対してブレーキ操作があったことを知らせるために当該車内灯を点灯させていない。また、特許文献1に記載のような車内灯制御装置は、当該車内灯を点灯させることで、ブレーキ操作があったことを運転者以外の乗員に知らせることができたとしても、当該操作の程度を知らせることができない。
【0006】
また、急ブレーキとなるブレーキ操作を繰り返す等の危険な運転を運転者が意図せず行っていた場合、当該運転者の意図によらず事故等が生じる虞がある。そのため、車両の運転者自身がブレーキ操作の程度を客観的に知り得ることが望まれる。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、運転者によるブレーキ操作の程度を車両の乗員が容易に知ることができる車内灯制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車内灯制御装置は、車両に設けられた車内灯の点灯を制御する車内灯制御装置において、前記車両のブレーキに対する操作速度又は操作量を取得する取得部と、該取得部が取得した前記操作速度又は操作量に応じて異なる点灯態様で前記車内灯の点灯を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、取得部は車両のブレーキに対する操作速度又は操作量を取得する。制御部は、取得部が取得したブレーキに対する操作速度又は操作量に応じて異なる点灯態様で車内灯の点灯を制御する。従って、車内灯制御装置は、当該操作速度又は操作量に応じた点灯態様を車両の乗員に確認させることができるため、運転者によるブレーキ操作の程度を容易に知らせることができる。
【0010】
本発明の車内灯制御装置は、前記点灯態様は、前記車内灯の点灯色又は明るさを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、車内灯の点灯色又は明るさが点灯態様に含まれる。従って、車内灯制御装置は、ブレーキに対する操作速度又は操作量に応じた点灯色を車両の乗員に確認させることができるため、運転者によるブレーキ操作の程度を容易に知らせることができる。
【0012】
本発明の車内灯制御装置は、前記点灯態様は、所定時間内に前記車内灯が点灯及び消灯を行うタイミングを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、所定時間内に車内灯が点灯及び消灯を行うタイミングが点灯態様に含まれる。従って、車内灯制御装置は、ブレーキに対する操作速度又は操作量に応じた車内灯の点灯及び消灯を行うタイミングを車両の乗員に確認させることができるため、運転者によるブレーキ操作の程度を容易に知らせることができる。
【0014】
本発明の車内灯制御装置は、前記点灯態様の入力を受け付ける点灯態様受付部を備え、前記制御部は、前記点灯態様受付部が受け付けた点灯態様で前記車内灯の点灯を制御可能に構成してあることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、点灯態様受付部は、制御部が車内灯を点灯させ得る点灯態様の入力を受け付ける。制御部は、点灯態様受付部が受け付けた点灯態様で車内灯の点灯を制御することが可能である。従って、車内灯制御装置は、使用者が入力した点灯態様により車内灯を点灯させることができるため、利便性が向上する。
【0016】
本発明の車内灯制御装置は、前記車両の車速を取得する車速取得部を備え、前記制御部は、前記車速取得部が取得した車速と、前記取得部が取得した前記操作速度又は操作量とに応じて異なる点灯態様で前記車内灯の点灯を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、車速取得部は車両の車速を取得する。制御部は、車速取得部が取得した車速と、取得部が取得したブレーキに対する操作速度又は操作量とに応じて異なる点灯態様で車内灯の点灯を制御する。従って、車内灯制御装置は例えば、車速に応じて車内灯の点灯態様を変える等を行うことができ、車速に応じて車両の乗員に知らせる程度を変えることができる。
【0018】
本発明の車内灯制御装置は、前記制御部は、前記車速取得部が取得した車速が所定速度以上のとき、前記車内灯の点灯を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
制御部は車速取得部が取得した車速が所定速度以上のときに車内灯の点灯を制御するに従って、運転者によるブレーキ操作の程度を車両の乗員へ知らせる必要がない場合に、車内灯の不要な点灯を防ぐことができる。
【0020】
本発明の車内灯制御装置は、前記制御部は、複数の前記車内灯を制御可能に構成してあり、前記制御部に制御させる車内灯の入力を受け付ける制御対象受付部を備え、前記制御部は更に、前記取得部が取得した前記操作速度又は操作量に応じて前記制御対象受付部が受け付けた車内灯の点灯を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明にあっては、制御部は車両に設けられた複数の車内灯を制御可能に構成してある。制御対象受付部は、制御部に制御させる車内灯の入力を受け付ける。また制御部は、取得部が取得した操作速度又は操作量に応じて制御対象受付部が受け付けた車内灯の点灯を制御する。従って、車内灯制御装置は、使用者が入力した車内灯を点灯させることができるため、利便性が向上する。
【0022】
本発明の車内灯制御装置は、前記車内灯は電飾用であることを特徴とする。
【0023】
本発明にあっては、車内灯は、電飾用である。従って、車内灯制御装置は、一又は複数の点灯色で点灯する車内灯の点灯を制御することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、運転者によるブレーキ操作の程度を車両の乗員が容易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施の形態1における車内灯制御システムを示す模式図である。
図2】車内灯制御システムの各構成を示すブロック図である。
図3】電飾灯テーブルの具体例を示す説明図である。
図4】電飾灯の点灯に係る設定が登録されるときにおける車内灯制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図5】制御対象選択画面の具体例を示す説明図である。
図6】点灯パターン選択画面の具体例を示す説明図である。
図7】ブレーキが操作されたときにおける車内灯制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2における車内灯制御システムの各構成を示すブロック図である。
図9】ブレーキが操作されたときにおける車内灯制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明をその実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における車内灯制御システムを示す模式図である。車内灯制御システムは、車内灯制御装置1、電飾灯2、及びブレーキECU3を備える。車内灯制御装置1、電飾灯2、及びブレーキECU3は夫々車両Cに設けられている。電飾灯2は、電飾用の白熱電球、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される。電飾灯2は、一又は複数の点灯色で点灯する。このとき電飾灯2は、一の光源であってもよく、複数の光源であってもよい。実施の形態1では、電飾灯2は例えば、足元電飾灯21、ドア電飾灯22、インパネ電飾灯23、ピラー電飾灯24、及びルーフ電飾灯25であり、車両Cの車室内の複数箇所に設けられている。また、ルームランプ、ドームランプ、又はマップランプが、一又は複数の点灯色で点灯する電飾灯2として構成されてもよい。以下では、足元電飾灯21、ドア電飾灯22、インパネ電飾灯23、ピラー電飾灯24、又はルーフ電飾灯25を適宜、電飾灯2と称する。
【0028】
足元電飾灯21は、車室内における各座席前方の床面を照らすことができる位置に設けられている。ドア電飾灯22は、車両Cにおける各ドアの車室内側に設けられたドアトリムに設けられている。ドアトリムは、ドアの内側面に設けられ、車室内からドアを開くドアハンドルと、収納空間を表すドアポケットとを備える。ドア電飾灯22は、ドアハンドル近傍と、ドアポケットの内部とを照らす。インパネ電飾灯23は、車両Cのインストルメントパネルに設けられている。ピラー電飾灯24は、車両Cにおけるピラーの車室内側に取り付けられたガーニッシュに設けられ、例えば、車両Cの天井面を照らす。ルーフ電飾灯25は、車室内の天井面に設けられている。
【0029】
ブレーキECU3は、車両Cのブレーキに対する操作速度及び操作量に基づいて当該ブレーキの制御を行う制御装置である。
【0030】
車内灯制御装置1は、車内灯の点灯の制御を行う制御装置であり、運転者のブレーキ操作に応じて異なる点灯態様となるように、電飾灯2の点灯の制御を行う。
【0031】
図2は、車内灯制御システムの各構成を示すブロック図である。車内灯制御装置1は、制御部11を備える。制御部11は、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU等により構成される。また車内灯制御装置1は、バスを介して制御部11に接続されている、記憶部12、一時記憶部13、通信部14、及び入出力部15を備える。制御部11は、後述の記憶部12に記憶されている制御プログラム12a等を読み出し、各部を制御する。
【0032】
記憶部12は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部12には、制御部11が処理を行うための制御プログラム12aが記憶されている。制御プログラム12aは、車内灯制御装置1が備える各部を、制御部11が制御する処理内容が記述されたプログラムである。また、記憶部12には、電飾灯テーブル12bが記憶されている。電飾灯テーブル12bは、制御部11が電飾灯2を制御するときに参照するテーブルであり、詳細は後述する。更に、記憶部12には、点灯パターン12cが記憶されている。点灯パターン12cには、制御部11がブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて電飾灯2を点灯させ得る点灯態様が記憶されている。点灯態様は例えば、当該操作速度及び操作量に応じて電飾灯2の点灯色の色相が段階的に変化する態様である。また、点灯態様は例えば、当該操作速度及び操作量に応じて電飾灯2が所定時間内に点灯及び消灯を行うタイミングが段階的に変化する態様である。
【0033】
一時記憶部13は、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリである。一時記憶部13は、制御部11が制御プログラム12aを実行することによって生ずる各種データを一時記憶する。
【0034】
通信部14は、通信線を介してブレーキECU3に接続されており、CAN(Controller Area Network)プロトコル等の車載LAN(Local Area Network)で用いられる通信プロトコルに従って、ブレーキECU3と情報の送受信を行う。ブレーキECU3には、ストロークセンサ4及び圧力センサ5が接続されている。ストロークセンサ4は、例えば、車両Cに設けられたブレーキペダルにおける単位時間当たりの変位量、即ちブレーキに対する操作速度を検出し、検出した操作速度をブレーキECU3に出力する。圧力センサ5は、ブレーキペダルの踏み込み量、即ちブレーキに対する操作量を検出し、検出した操作量をブレーキECU3に出力する。ブレーキECU3は、ストロークセンサ4及び圧力センサ5から出力されたブレーキに対する操作速度及び操作量に基づいて、ディスクブレーキ、ドラムブレーキ等の車両Cに設けられた制動装置を制御する。
【0035】
ここで、当該操作速度が遅く、かつ操作量が少ないとき、例えば運転者によってブレーキ操作が開始されたことを表す。当該操作速度が遅くかつ操作量が多いとき、例えば運転者によって車両Cの停止前、停止中、発進前に行われるブレーキ操作を表す。車両Cの停止前に行われるブレーキ操作とは、ブレーキ操作によって減速した車両Cを停止させるために運転者によってブレーキペダルが踏み込まれた操作である。車両Cの停止中に行われるブレーキ操作とは、車両Cが停止した状態を維持するために運転者によってブレーキペダルが踏み込まれている操作である。車両Cの発進前に行われるブレーキ操作とは、車両Cを発進させるために運転者によって踏み込んだブレーキペダルから足を離す操作である。当該操作速度が速く、かつ操作量が多いとき、例えば運転者によって急ブレーキとなるブレーキ操作が行われたことを表す。当該操作速度が速くかつ操作量が少ないとき、例えば運転者によって急ブレーキとなるブレーキ操作が行われる前に行われるブレーキ操作を表す。
【0036】
入出力部15には、操作パネル6及び電飾灯2が接続されている。操作パネル6は、各種の操作画面等の画像を表示する液晶パネルなどの表示部と、表示された操作画面等への入力を受け付けるためのボタン又はタッチパネル等とを備えた装置である。操作パネル6は、例えばカーナビゲーション装置と共用のものであってよい。操作パネル6は、受け付けた操作を車内灯制御装置1へ出力すると共に、車内灯制御装置1の制御に応じて当該操作画面等の表示を行う。
【0037】
図3は、電飾灯テーブル12bの具体例を示す説明図である。電飾灯テーブル12bには、点灯箇所毎に点灯パターンが記憶されている。点灯箇所は、車両Cの各場所に設けられた電飾灯2を表す。点灯箇所の列の「足元」は足元電飾灯21を表す。また、当該列の「ドアハンドル」と「ドアポケット」とは夫々、ドア電飾灯22におけるドアハンドル近傍を照らす電飾灯2とドアポケットを照らす電飾灯2とを表す。更に、当該列の「インパネ」、「ピラー」、及び「ルーフ」は夫々、インパネ電飾灯23、ピラー電飾灯24、及びルーフ電飾灯25を表す。
【0038】
また、点灯パターンは点灯パターン12cに記憶された点灯態様である。例えば、点灯パターンの列の「グラデーションA」では、ブレーキに対する操作速度が遅く、かつ操作量が少なくなるように、運転者によってブレーキ操作が行われたとき、制御部11は点灯色がマゼンタとなるように対応する電飾灯2を制御する。また、「グラデーションA」では、当該操作速度が速く、かつ操作量が多くなるように運転者によってブレーキ操作が行われたとき、制御部11は、点灯色が赤となるように対応する電飾灯2を制御する。制御部11が「グラデーションA」の点灯態様となるように対応する電飾灯2の点灯を制御することによって、車両Cの乗員は当該点灯態様を確認することができる。そのため、車両Cの乗員は、運転者がブレーキ操作の開始後、急ブレーキとなるブレーキ操作を行ったことを知ることができる。
【0039】
なお、電飾灯テーブル12bには、「グラデーションA」以外の点灯態様が記憶されていてもよい。例えば、当該操作速度が速く、かつ操作量が少ないときから、当該操作速度が速く、かつ操作量が多くなるにつれて、色相が変わる点灯態様が記憶されていてもよい。制御部11が当該点灯態様となるように対応する電飾灯2の点灯を制御することによって、車両Cの乗員は、運転者によって急ブレーキ操作が行われることを事前に知ることができる。また例えば、当該操作速度が遅く、かつ操作量が多いときに青等の所定の点灯色で点灯する点灯態様が記憶されていてもよい。制御部11が当該点灯態様となるように対応する電飾灯2の点灯を制御することによって、車両Cの乗員は、運転者によってブレーキが踏み込まれているかどうかを知ることができる。
【0040】
このように構成された車内灯制御システムにおいて、車内灯制御装置1の制御部11は、電飾灯テーブル12b及び点灯パターン12cを参照し、通信部14を介して取得したブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて異なる点灯態様で電飾灯2の点灯を制御する。ここで、制御部11は、操作パネル6を介して使用者から当該操作速度及び操作量に応じて点灯させるべき電飾灯2の点灯箇所及び点灯パターンの入力を受け付ける。以下、制御部11が当該入力を受け付けるときに行う処理について説明する。
【0041】
図4は、電飾灯2の点灯に係る設定が登録されるときにおける車内灯制御装置1の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、設定操作要求を受け付けたか否かを判定する(ステップS11)。設定操作要求とは、ブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて点灯させるべき電飾灯2と、当該電飾灯2に点灯させる点灯パターンとの入力を受け付けるための要求である。当該設定操作要求は、操作パネル6を介して行われる使用者の設定操作により、制御部11に出力される。設定操作要求を受け付けていないと判定した場合(S11:NO)、制御部11は設定操作要求を受け付けるまで待機する。
【0042】
設定操作要求を受け付けたと判定した場合(S11:YES)、制御部11は、操作パネル6が備える表示部に制御対象選択画面を表示する(ステップS12)。制御対象選択画面は、車内灯制御装置1が運転者のブレーキ操作に応じて点灯させるべき電飾灯2の入力を受け付ける操作画面である。図5は、制御対象選択画面の具体例を示す説明図である。図5には、制御対象選択画面が表示されたときの操作パネル6の表示部が模式的に示されている。制御対象選択画面には、制御対象となり得る電飾灯2を表す表示と、チェックボックス、ラジオボタン等の制御対象として選択されたか否かが識別可能な表示とが含まれている。図5の制御対象選択画面においては、ピラー電飾灯24が制御対象として選択されていることが表されている。
【0043】
その後、制御部11は、制御対象選択画面からの入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS13)。入力を受け付けていないと判定した場合(S13:NO)、制御部11は、入力を受け付けるまで待機する。なお、制御部11は、ステップS13において制御プログラム12aを実行することにより、本発明の制御対象受付部として機能する。
【0044】
入力を受け付けたと判定した場合(S13:YES)、制御部11は、受け付けた入力内容を一時記憶部13に記憶する(ステップS14)。受け付けた入力内容とは、制御対象選択画面にて入力された制御対象となる電飾灯2の情報であり、例えば、ピラー電飾灯24の情報である。
【0045】
次いで、制御部11は、操作パネル6が備える表示部に点灯パターン選択画面を表示する(ステップS15)。点灯パターン選択画面は、車内灯制御装置1が運転者のブレーキ操作に応じて点灯させる電飾灯2の点灯態様の入力を受け付ける操作画面である。図6は、点灯パターン選択画面の具体例を示す説明図である。図6には、点灯パターン選択画面が表示されたときの操作パネル6の表示部が模式的に示されている。点灯パターン選択画面には、電飾灯2に点灯させ得る点灯パターンを表す表示と、チェックボックス、ラジオボタン等の点灯パターンとして選択されたか否かが識別可能な表示とが含まれている。図6の制御対象選択画面においては、「グラデーションA」が選択されていることが表されている。
【0046】
その後、制御部11は、点灯パターン選択画面からの入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS16)。入力を受け付けていないと判定した場合(S16:NO)、制御部11は、入力を受け付けるまで待機する。なお、制御部11は、ステップS16において制御プログラム12aを実行することにより、本発明の点灯態様受付部として機能する。
【0047】
入力を受け付けたと判定した場合(S16:YES)、制御部11は、受け付けた点灯態様と、ステップS14で一時記憶部13に記憶した点灯させるべき電飾灯2とを対応付けて、電飾灯テーブル12bに記憶し(ステップS17)、処理を終える。例えば、制御対象選択画面にてピラー電飾灯24が制御対象として選択され、点灯パターン選択画面にてグラデーションAが選択された場合、制御部11は、図3に示した電飾灯テーブル12bを記憶部12に記憶する。
【0048】
以上の処理を車内灯制御装置1が行うことによって、使用者は、図5及び図6で説明した設定画面を介して、ブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて点灯させるべき制御対象と、当該制御対象に点灯させるべき点灯パターンとを選択することができる。
【0049】
図7は、ブレーキが操作されたときにおける車内灯制御装置1の処理手順を示すフローチャートである。制御部11は、ブレーキECU3と通信をすべき通信タイミングにあるか否かを判定する(ステップS21)。制御部11は例えば、所定時間毎にブレーキECU3と通信を行うように通信部14に指令を出すように構成されており、所定時間が経過する都度、ブレーキECU3と通信をすべき通信タイミングにあると判定する。所定時間は例えば0.1秒である。通信タイミングにないと判定した場合(S21:NO)、制御部11は通信タイミングになるまで待機する。
【0050】
通信タイミングにあると判定した場合(S21:YES)、制御部11は、ブレーキECU3からブレーキに対する操作速度及び操作量を取得する(ステップS22)。なお、制御部11はステップS22において制御プログラム12aを実行することにより、本発明の取得部として機能する。
【0051】
次いで、制御部11は、取得したブレーキに対する操作速度又は操作量が0より大きいか否かを判定する(ステップS23)。ここで、ブレーキに対する操作速度又は操作量が0とは、当該ブレーキが運転者によって操作されていない状態、即ちブレーキが未作動であることを表す。操作速度又は操作量が0より大きくないと判定した場合(S23:NO)、制御部11は、ステップS21に処理を戻す。
【0052】
操作速度又は操作量が0より大きいと判定した場合(S23:YES)、制御部11は、電飾灯2から点灯を制御すべき制御対象を決定する(ステップS24)。具体的には、制御部11は、電飾灯テーブル12bを参照し、点灯パターンが対応付けて記憶されている点灯箇所を制御対象として決定する。例えば、図3の電飾灯テーブル12bにおいては、制御部11はピラー電飾灯24を制御対象として決定する。
【0053】
次いで、制御部11は、ステップS24で決定した制御対象の点灯を制御すべき点灯態様を決定する(ステップS25)。具体的には、制御部11は、電飾灯テーブル12bと、点灯パターン12cと、ステップS22で取得したブレーキに対する操作速度及び操作量とに基づいて決定する。例えば、ステップS22で制御部11に取得されたブレーキに対する操作速度が速く、操作量が多かった場合、電飾灯テーブル12bに記憶されている「グラデーションA」においては、点灯態様は赤の点灯色と決定される。
【0054】
その後、制御部11は、ステップS25で決定した点灯態様となるように、ステップS24で決定した制御対象の点灯制御を行う(ステップS26)。次いで、制御部11は、操作パネル6を介して終了操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS27)。終了操作とは、制御部11が運転者のブレーキの操作に応じて電飾灯2の点灯を制御する処理を終了するための操作であり、例えば運転者が操作パネル6を介して当該操作を入力する。
【0055】
終了操作を受け付けていないと判定した場合(S27:NO)、制御部11は、ステップS21に処理を戻し、終了操作を受け付けたと判定した場合(S27:YES)、制御部11は、処理を終える。
【0056】
以上の構成及び処理によって、車内灯制御装置1は、ブレーキECU3よりブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて異なる点灯態様となるように電飾灯2の点灯を制御することができる。そのため、車両Cの乗員に運転者によるブレーキ操作の程度を容易に知らせることができる。
【0057】
(実施の形態2)
実施の形態2では、車内灯制御装置1が更に、車両Cの走行速度に応じて電飾灯2を制御する例を説明する。なお、以下で説明する構成及び作用を除くその他の構成及び作用は上述の実施の形態1と同様であるため、同様の構成に関する詳細な説明及びその作用効果の説明は簡潔のため省略する。
【0058】
図8は、実施の形態2における車内灯制御システムの各構成を示すブロック図である。実施の形態2におけるブレーキECU3には、車速センサ7が接続されている。車速センサ7は、車両Cの車速を検出し、検出した車速の情報をブレーキECU3に出力する。
【0059】
図9は、ブレーキが操作されたときにおける車内灯制御装置1の処理手順を示すフローチャートである。なお、ステップS31、ステップS33、及びステップS35〜ステップS38は、図7中のステップS21、ステップS23、及びステップS24〜ステップS27までの処理と夫々同様であるため説明を省略する。
【0060】
制御部11は、ステップS31において通信タイミングであると判定した場合(S31:YES)、ブレーキECU3からブレーキに対する操作速度及び操作量と、車速とを取得し(ステップS32)、ステップS33に処理を進める。なお、制御部11は、ステップS32において、ブレーキECU3からブレーキに対する操作速度及び操作量を取得するとき、制御プログラム12aを実行することによって本発明の取得部として機能する。また、制御部11は、ステップS32において、ブレーキECU3から車速を取得するとき、制御プログラム12aを実行することによって本発明の車速取得部として機能する。
【0061】
その後、ステップS33において、操作速度又は操作量が0より大きいと判定した場合(S33:YES)、制御部11は、ステップS32で取得した車速が所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS34)。所定速度とは、例えば時速5kmである。所定速度以上でないと判定した場合(S34:NO)、制御部11はステップS31に処理を戻す。一方、所定速度以上であると判定した場合(S34:YES)、制御部11はステップS35以降に処理を進める。
【0062】
以上の構成及び処理によって、車内灯制御装置1は、ブレーキECU3から取得した車速が所定速度以上の場合に電飾灯2の点灯を制御することができる。そのため、運転者によるブレーキ操作の程度を車両Cの乗員へ知らせる必要がない場合に、車内灯の不要な点灯を防ぐことができる。
【0063】
なお、実施の形態2においては、制御部11は、車速センサ7が検出した車両Cの車速を取得することを説明したが、例えば、車両Cのホイルの回転速度等を検出する車輪速センサが検出した値に基づいて、車両Cの車速を取得してもよい。
【0064】
また、実施の形態2においては、制御部11は、車速が所定速度以上であると判定した場合に制御対象となる電飾灯2の点灯制御を行うことを説明したが、更に、当該車速に応じて点灯パターンにおける点灯態様を変えてもよい。このとき、点灯パターン12cには、車速に応じて態様を変えるような点灯態様が記憶されていることで実現される。当該点灯態様は例えば、ブレーキに対する操作速度及び操作量に応じて電飾灯2の点灯色の色相が段階的に変化し、かつ、車速に応じて所定時間内に点灯及び消灯を行うタイミングが段階的に変化する態様である。
【0065】
また、実施の形態1及び2においては、制御部11は、ブレーキに対する操作速度及び操作量に基づいて、電飾用に構成された電飾灯2を制御することを説明したが、車内灯であれば電飾用でなくてもよい。また、当該車内灯は、複数であっても、単数であってもよい。
【0066】
また、実施の形態1及び2においては、制御部11は、ブレーキに対する操作速度及び操作量の双方に基づいて電飾灯2を制御することを説明したが、当該操作速度又は操作量のどちらか一方に基づいて電飾灯2を制御してもよい。
【0067】
また、実施の形態1及び2においては、点灯パターン12cが記憶する点灯態様が、色相が段階的に変化する態様又は所定時間内に点灯及び消灯を行うタイミングが段階的に変化することを説明したが、それ以外であってもよい。例えば、当該点灯態様は、当該色相及びタイミングが共に段階的に変化する態様であってもよいし、点灯色の濃淡が段階的に変化する態様であってもよい。また例えば、当該点灯態様は、電飾灯2の明るさが段階的に変化する態様であってもよい。
【0068】
また、実施の形態1及び2においては、制御部11が、ブレーキに対する操作速度及び操作量に応じてピラー電飾灯24の点灯を制御することを説明したが、加えて、制御部11にその他の電飾灯2の点灯を制御部11に制御させてもよい。このとき、制御部11は、操作パネル6の表示部に表示された制御対象選択画面において複数の制御対象の選択を受け付け、点灯パターン選択画面を介して受け付けた点灯パターンと共に、電飾灯テーブル12bに記憶する。また、このとき、制御対象別に、点灯パターンが異なっていてもよいし、同じであってもよい。
【0069】
また、実施の形態1及び2においては、点灯パターン12cは予め記憶されていることを説明したが、操作パネル6等を介して点灯パターン12cの入力を受け付けてもよい。
【0070】
更に、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0071】
1 車内灯制御装置
2 電飾灯
3 ブレーキECU
4 ストロークセンサ
5 圧力センサ
6 操作パネル
7 車速センサ
11 制御部(取得部、点灯態様受付部、制御対象受付部、車速取得部)
12 記憶部
13 一時記憶部
14 通信部
15 入出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9