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特開2015-160847小分子のキサンチンオキシダーゼ阻害剤および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-160847(P2015-160847A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】小分子のキサンチンオキシダーゼ阻害剤および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/11 20060101AFI20150811BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/255 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20150811BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20150811BHJP
   A61K 31/4152 20060101ALI20150811BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   A61K31/11
   A61P19/06
   A61K31/255
   A61K45/00
   A61P43/00 121
   A61K31/519
   A61K31/352
   A61K31/165
   A61K31/192
   A61K31/4152
   A61P43/00 111
   A61P39/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-39122(P2014-39122)
(22)【出願日】2014年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チャンイー チェン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ミン ルー
(72)【発明者】
【氏名】チージ ヤオ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA51
4C084ZC20
4C084ZC31
4C084ZC37
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA03
4C086BC36
4C086CB06
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086MA08
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZC20
4C086ZC31
4C086ZC37
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA02
4C206GA30
4C206JA13
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA96
4C206ZC20
4C206ZC31
4C206ZC37
4C206ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】通風又は高尿酸血症の処置に使用する為の、キサンチンオキシダーゼ阻害剤及び使用方法の提供。
【解決手段】

(R〜Rは、H、ヒドロキシル、ニトロ、フルオロ、スルホニル、アルデヒド等)、及び

から選択される化合物又は薬学的に許容される塩。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の
【化11】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、および
【化12】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、通風又は高尿酸血症の処置に使用するための組成物。
【請求項2】
前記化合物が、
【化13】
からなる群から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
さらに、第2の治療剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
前記第2の治療剤が、抗通風薬である、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記抗通風薬が、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、プロべネシドおよびスルフィンピラゾンからなる群から選択される、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の治療剤が、抗炎症剤である、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
前記第2の治療剤が、抗酸化剤である、請求項3記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物が、経口投与に適している、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
有効量の
【化14】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化15】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、尿酸生成又は活性酸素種生成の低下に使用するための組成物。
【請求項10】
前記化合物が、
【化16】
からなる群から選択される、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
有効量の
【化17】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化18】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、細胞におけるキサンチンオキシダーゼ活性を阻害するための組成物であって、該組成物は細胞と接触されることを特徴とする、組成物。
【請求項12】
前記化合物が、
【化19】
からなる群から選択される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記接触が、in vivoで行われることを特徴とする、請求項11記載の組成物。
【請求項14】
前記接触が、in vitroで行われることを特徴とする、請求項11記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
通風は、高尿酸血症、すなわち、血液中における異常に高いレベルの尿酸により引き起こされる。通風は、通常、急性の炎症性関節炎および通風結節、腎臓結石又は通風腎症として表れる。通風は、先進国における成人の1−2%に悪影響を及ぼし、男性における炎症性関節症の最も一般的な症状を示す。米国では、通風性関節症が、毎年、数百万の外来患者の訪問を占める。さらに、通風および高尿酸血症は、慢性疾患、例えば、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームならびに腎臓および心血管の疾患に関連する。
【0002】
キサンチンオキシダーゼ(XO)は、モリブドフラビンタンパク質型のキサンチン酸化還元酵素(XOR)である。前記XOは、ヒトにおけるプリンの異化において重要な役割を果たす。前記XOは、ヒポキサンチンのキサンチンへの酸化を触媒し、ついで、キサンチンの尿酸への酸化を触媒する。その一方で、活性酸素種(ROS)、例えば、スーパーオキシドおよびHは、このプロセス中に産生される。尿酸は、ROSによる高分子の傷害を防止するための抗酸化剤としての役割を果たす。しかしながら、尿酸の過剰産生は、高尿酸血症の原因となり、通風および他の疾患をもたらし得る。このため、正常なレベルで尿酸を維持することは、通風および関連の障害の予防のための重要な治療目的を意味する。初期の通風を有するほとんどの患者に関して、尿酸の過剰産生は、高尿酸血症の第一の要因である。
【0003】
現在、2つ薬剤が、通風を処置するために開発されている。アロプリノールは、慢性通風に最も一般的に使用される治療であり、40年以上の間、臨床で使用されてきている。アロプリノールは、XO活性を阻害することにより、尿酸産生を低下させ、第一選択の尿酸低下薬物療法として使用される。ヒポキサンチンの構造異性体であるアロプリノールは、XOにより、オキシプリノールにヒドロキシル化される。前記オキシプリノールは、天然の酵素のMo−OH基と置き換わって、還元型のモリブデン中心に密接に配位する。残念なことに、まれではあるが、アロプリノールは、20%に近い死亡率の、生命を脅かす副作用、例えば、発熱、皮膚発疹、好酸球増加症、肝炎および腎毒性からなる過敏症候群を有する。アロプリノールは、2つの生命を脅かす皮膚病変である、スティーブンス−ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮剥離症(TENS)の原因にもなる。非プリンのキサンチンオキシダーゼ阻害剤であるフェブキソスタットは、欧州および米国において、通風の管理に関して承認されてきた。フェブキソスタット治療に関連する副作用としては、血清肝臓酵素の上昇、吐き気、下痢、関節痛、頭痛および発疹があげられる。高尿酸血症および通風の処置および予防に利用可能な薬剤は、限られたままである。従って、安全で効果的なキサンチンオキシダーゼ阻害剤が必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願明細書において、小分子のキサンチンオキシダーゼ阻害剤が提供される。通風又は高尿酸血症の処置のその使用のための方法も提供される。本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の種類としては、下記化学構造:
【化1】
の化合物およびその薬学的に許容され得る塩があげられる。これらの化合物において、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択される。R、R、R、RおよびRは、同時に水素ではなく、ならびに、RがOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである、その場合、RおよびRが、同時に水素ではない。本願明細書に記載の適切なキサンチンオキシダーゼ阻害剤としては、例えば、下記化合物:
【化2】
があげられる。
【0005】
本願明細書に記載の方法に適したキサンチンオキシダーゼ阻害剤としては、下記化合物:
【化3】
およびその薬学的に許容され得る塩もあげられる。
【0006】
本願明細書において、対象における通風又は高尿酸血症を処置するための方法も提供される。対象における通風又は高尿酸血症を処置する方法は、有効量の、本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を、前記対象に投与することを含む。場合により、対象における通風又は高尿酸血症を処置するための方法は、さらに、第2の治療剤、例えば、抗通風薬(例えば、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、プロべネシド又はスルフィンピラゾン)、抗炎症剤又は抗酸化剤を、前記対象に投与することを含むことが出来る。場合により、前記化合物は、前記対象に経口で投与される。
【0007】
本願明細書では、さらに、対象における尿酸産生および/又は活性酸素種産生を低下させるための方法が提供される。前記方法は、有効量の、本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤を、前記対象に投与することを含む。場合により、前記尿酸産生および/又は活性酸素種産生を低下させるための方法は、さらに、通風又は高尿酸血症を有する対象を選択することを含む。
【0008】
本願明細書では、細胞におけるキサンチンオキシダーゼ活性を阻害する方法も提供される。前記方法は、有効量の本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤と、細胞を接触させることを含む。場合により、前記接触は、in vivoで行われる。場合により、前記接触は、in vitroで行われる。前記方法は、さらに、前記化合物とキサンチンオキシダーゼとを、一定期間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間又は1時間から20時間)、プレインキュベートすることを含むことが出来る。場合により、前記プレインキュベートは、室温で行われることが出来る。場合により、前記プレインキュベート工程は、前記細胞を前記化合物と接触させる前に行われる。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
有効量の
【化11】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、および
【化12】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、通風又は高尿酸血症の処置に使用するための組成物。
(項目2)
前記化合物が、
【化13】
からなる群から選択される、上記項目に記載の組成物。
(項目3)
さらに、第2の治療剤を含む、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目4)
前記第2の治療剤が、抗通風薬である、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目5)
前記抗通風薬が、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、プロべネシドおよびスルフィンピラゾンからなる群から選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目6)
前記第2の治療剤が、抗炎症剤である、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目7)
前記第2の治療剤が、抗酸化剤である、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目8)
前記化合物が、経口投与に適している、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目9)
有効量の
【化14】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化15】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、尿酸生成又は活性酸素種生成の低下に使用するための組成物。
(項目10)
前記化合物が、
【化16】
からなる群から選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目11)
有効量の
【化17】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化18】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物と、細胞を接触させることを含む、細胞におけるキサンチンオキシダーゼ活性を阻害する方法。
(項目12)
前記化合物が、
【化19】
からなる群から選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目13)
前記接触が、in vivoで行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目14)
前記接触が、in vitroで行われる、上記項目のうちのいずれかに記載の方法。
(項目11A)
有効量の
【化17】
(式中、
、R、R、RおよびRが、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒドから選択され、
、R、R、RおよびRが、同時に水素ではなく、ならびに、
がOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである場合、RおよびRが、同時に水素ではない)又はその薬学的に許容され得る塩、ならびに
【化18】
又はその薬学的に許容され得る塩からなる群から選択される化合物を含む、細胞におけるキサンチンオキシダーゼ活性を阻害するための組成物であって、該組成物は細胞と接触されることを特徴とする、組成物。
(項目12A)
前記化合物が、
【化19】
からなる群から選択される、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目13A)
前記接触が、in vivoで行われることを特徴とする、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
(項目14A)
前記接触が、in vitroで行われることを特徴とする、上記項目のうちのいずれかに記載の組成物。
【0009】
(摘要)
小分子のキサンチンオキシダーゼ阻害剤および通風又は高尿酸血症の処置にそれを使用するための方法が提供される。
1つ以上の実施態様の詳細は、以下の図面および記載において説明される。他の特徴、目的および利点は、前記記載および図面ならびに特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、尿酸形成の初速度を測定することによるXO活性についての、DNSAの阻害作用を示すグラフである。
図2図2は、尿酸形成の初速度を測定することによるXO活性についての、NHBAの阻害作用を示すグラフである。
図3図3は、尿酸形成の初速度を測定することによるXO活性についての、HNBAの阻害作用を示すグラフである。
図4図4は、尿酸形成の初速度を測定することによるXO活性についての、DNHBAの阻害作用を示すグラフである。
図5図5は、20μMの濃度で、本願明細書に記載の化合物のキサンチンオキシダーゼ阻害作用を比較するグラフである。コントロールは、添加された阻害剤が存在しない。
図6図6は、XO活性についての、DNSAとXOとのプレインキュベートの影響を説明するグラフである。
図7図7は、阻害剤であるDNSAおよびDHNBと20時間、プレインキュベートした後の、XO活性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
本願明細書では、小分子のキサンチンオキシダーゼ阻害剤および、対象における通風又は高尿酸血症の処置のその使用のための方法が提供される。前記キサンチンオキシダーゼ阻害剤は、対象における通風又は高尿酸血症を処置するのに有効な量で投与される。
【0012】
I. 化合物
本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤の種類は、式I:
【化4】
およびその薬学的に許容され得る塩で表される。
【0013】
式Iにおいて、R、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチル、スルホニルおよびアルデヒド(すなわち、−CHO)から選択される。場合により、前記スルホニルは、メチルスルホニル又はスルホン酸である。
【0014】
又は、式Iにおいて、R、R、R、RおよびRは、同時に水素ではない。
【0015】
さらに、式Iにおいて、RがOHであり、RがOHであり、および、Rがニトロである、その場合、RおよびRが、同時に水素ではない(すなわち、前記式Iの化合物は、3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(DHNB)ではない。)。
【0016】
式Iとしては、例えば、下記化合物:
【化5-1】
【化5-2】
があげられる。
【0017】
本願明細書に記載の方法に有用な、更なるキサンチンオキシダーゼ阻害剤としては、下記化合物:
【化6】
およびその薬学的に許容され得る塩があげられる。
【0018】
II. 薬学的組成物
本願明細書に記載の化合物又はその誘導体は、薬学的組成物に提供されることが出来る。意図される投与形式に応じて、前記薬学的組成物は、固体状、半固体状又は液状の剤形の形態、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、カプセル剤、粉末、液体又は懸濁液、好ましくは、正確な用量の単独投与に適した単位の剤形であることが出来る。前記組成物は、治療的に有効量の、本願明細書に記載の化合物又はその誘導体を、薬学的に許容され得るキャリアとの組み合わせで含むであろう。さらに、前記組成物は、他の薬剤、医薬品、キャリア又は希釈剤を含むことが出来る。薬学的に許容され得るは、生物学的に又は他に望ましくなくない材料を意味する。前記材料は、許容し得ない生物学的作用を引き起こすことなく、又は、前記薬学的組成物に含まれる他の成分と有害な方法で相互作用することなく、前記選択された化合物と共に、個体に投与されることが出来る。
【0019】
本願明細書で使用する時、前記キャリアの用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填材、塩、バッファー、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤又は、薬剤配合での使用に関する分野において周知の他の材料を包含する。組成物での使用についてのキャリアの選択は、前記組成物に関する、意図される投与経路により決まるであろう。薬学的に許容され得るキャリアの調製およびこれらの材料を含む配合は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 21st Edition, ed. University of the Sciences in Philadelphia, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia Pa., 2005に記載されている。生理的に許容され得るキャリアとしては、例えば、バッファー、例えば、リン酸バッファー、クエン酸バッファーおよび他の有機酸によるバッファー;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジン;単糖類、二糖類および他の炭化水素、例えば、グルコース、マンノースもしくはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖アルコール、例えば、マンニトールもしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;ならびに/又は、非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)(ICI, Inc.;Bridgewater、New Jersey)、ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)(BASF;Florham Park、NJ)があげられる。
【0020】
注射剤に適した、本願明細書に記載の化合物又はその誘導体を含む組成物は、生理的に許容され得る無菌の水溶液もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョンならびに無菌の注射可能な溶液もしくは分散液内に再構成するための無菌の粉末を含むことが出来る。適切な水性および非水性のキャリア、希釈剤、溶媒又は媒体としては、例えば、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの適切な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能な有機エステル、例えば、オレイン酸エチルがあげられる。適切な流動性が、例えば、コーティング、例えば、レシチンの使用により、分散液の場合には必要な粒径の維持により、および、界面活性剤の使用により、維持されることが出来る。
【0021】
これらの組成物は、補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤を含むことも出来る。微生物の活動の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等により促進されることが出来る。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム等が含まれることも出来る。注射可能な剤形の持続性吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用により、およそもたらされることが出来る。
【0022】
本願明細書に記載の化合物又はその誘導体の経口投与に関する固体状の剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末および顆粒があげられる。このような固体状の剤形では、本願明細書に記載の化合物又はその誘導体は、少なくとも1つの不活性な慣例の賦形剤(又はキャリア)、例えば、クエン酸ナトリウム、第二リン酸カルシウム又は(a)充填材もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、(b)バインダー、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアカシア、(c)湿潤剤、例えば、グリセロール、(d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定の複雑ケイ酸塩および炭酸ナトリウム、(e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、(f)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、(g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、(h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイトならびに(i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体状のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合には、前記剤形は、緩衝剤を含むことも出来る。
【0023】
類似の種類の固体状の組成物は、賦形剤、例えば、ラクトース又は乳糖および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟充填ゼラチンカプセルおよび硬充填ゼラチンカプセルにおける充填剤として使用されることも出来る。
【0024】
固体状の剤形、例えば、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび当該分野において公知の他のものにより調製されることが出来る。前記剤形は、乳白剤を含むことができ、遅延性の方法で腸管の特定部分に、活性な化合物または組成物を放出する、このような組成物であることも出来る。使用されることが出来る埋め込み組成物は、例えば、ポリマー性物質およびワックスである。前記活性な化合物は、マイクロ−被包性の形態であることもでき、適切な場合、1つ以上の上記賦形剤を含む。
【0025】
本願明細書に記載の化合物又はその誘導体の経口投与に関する液体状の剤形としては、薬学的に許容され得るエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤があげられる。前記活性な化合物に加えて、前記液体状の剤形は、当該分野において一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば、水もしくは他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル、具体的には、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ひまし油、ゴマ油、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル又はこれらの物質の混合物等を含むことが出来る。
【0026】
このような不活性な希釈剤に加えて、前記組成物は、更なる薬剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤又は芳香剤を含むことも出来る。
【0027】
懸濁液は、前記活性な化合物に加えて、更なる薬剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、aluminum metahydroxide、ベントナイト、寒天、トラガント又はこれらの物質の混合物等を含むことが出来る。
【0028】
直腸投与に関する、本願明細書に記載の化合物又はその誘導体の組成物は、場合により、坐剤である。前記坐剤は、前記化合物を、適切な非刺激性の賦形剤又はキャリア、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールもしくは坐剤ワックスと混合することにより調製されることが出来る。前記坐剤ワックスは、常温で固体状であるが、体温では液体状であるため、直腸又は膣腔において溶け、前記活性な化合物を放出する。
【0029】
本願明細書に記載の化合物又はその誘導体の局所投与に関する剤形としては、軟膏、粉末、スプレーおよび吸入剤があげられる。本願明細書に記載の化合物又はその誘導体は、必要とされ得る場合、生理的に許容され得るキャリアおよび任意の保存剤、バッファー又は噴射剤と、無菌条件下で混合される。点眼剤、軟膏、粉末および溶液も、前記組成物の範囲内であると検討される。
【0030】
前記組成物は、1つ以上の本願明細書に記載の化合物と、薬学的に許容され得るキャリアとを含むことが出来る。本願明細書で使用する時、薬学的に許容され得る塩の用語は、正当な医療判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしに、対象の組織との接触に使用するのに適しており、妥当な利益/リスク比と釣り合っており、ならびに、本願明細書に記載の化合物、可能であれば、両性イオン型のその意図された用途に有効である、本願明細書に記載の化合物又はその誘導体のそれらの塩を意味する。前記塩の用語は、本願明細書に記載の化合物の、比較的に非毒性の無機および有機の酸付加塩を意味する。これらの塩は、前記化合物の単離および精製中に、又は、その遊離塩基型における精製化合物を、適切な有機もしくは無機酸と別々に反応させ、これにより形成された塩を単離することにより、in situで調製されることが出来る。典型的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリル酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、メタンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩等があげられる。これらは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等および非毒性のアンモニウム、四級アンモニウムに基づくカチオンならびにアミンカチオン、例えば、制限されず、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むことが出来る。少なくとも本願明細書に教示の組成物に関して、参照により組み込まれる、S.M. Barge et al., J. Pharm. Sci.(1977)66, 1を参照のこと。
【0031】
本願明細書に記載の化合物および組成物又はその薬学的に許容され得る塩の投与は、治療的に有効量の、本願明細書に記載の化合物および組成物又は本願明細書に記載のその薬学的に許容され得る塩を使用して、障害の処置に有効な期間に行われることが出来る。本願明細書に記載の化合物および組成物又は本願明細書に記載のその薬学的に許容され得る塩の有効量は、当業者により決定されることができ、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から約200mg/kgの、哺乳類についての典型的な投与量を含み、1回の投与又は個々の分割された用量、例えば、1日あたり1から4回の形式で投与されることが出来る。又は、前記投与量は、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から約150mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から100mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から約75mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から約50mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約0.5から約25mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約1から約20mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約1から約10mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約20mg/kg、1日あたりに活性な化合物の体重あたり約10mg/kg又は1日あたりに活性な化合物の体重あたり約5mg/kgであることが出来る。任意の具体的な対象に関する具体的な用量レベルおよび投与頻度は、変動されることができ、各種の要因、例えば、使用される具体的な化合物の活性、その化合物の代謝安定性および活性の長さ、対象の人種、年齢、体重、全体的な健康、性別および食事、投与の方式およびタイミング、排出速度、薬剤の組み合わせならびに具体的な症状の重症度によるであろうことを、当業者は理解するであろう。
【0032】
III. 前記化合物の製造方法
本願明細書に記載の化合物は、有機合成の当業者に公知の各種の方法又は当業者に理解されるそれらのバリエーションで調製されることが出来る。本願明細書に記載の化合物は、容易に入手できる開始材料から調製されることが出来る。最適な反応条件は、使用される具体的な反応物質又は溶媒により変動し得るが、このような条件は、当業者により決定されることが出来る。
【0033】
本願明細書に記載の式Iおよび前記化合物のバリエーションは、各化合物に関して記載される種々の組成の追加、削除又は移動を含む。同様に、1つ以上のキラル中心が分子に存在する場合、前記分子のキラリティーは、変化されることが出来る。さらに、化合物合成は、種々の化学基の保護および脱保護に影響を与えることが出来る。前記保護および脱保護の使用ならびに適切な保護基の選択は、当業者により決定されることが出来る。前記保護基の化学的性質は、例えば、参照により組み込まれる、Wuts and Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed., Wiley & Sons, 2006に見出されることが出来る。
【0034】
本願明細書に記載の化合物を産生する反応は、溶媒において行われることが出来る。前記溶媒は、有機合成の当業者により選択されることが出来る。溶媒は、前記開始材料(反応物質)、中間体又は生成物と、前記反応が行われる条件、すなわち、温度および圧力下において、実質的に非反応性であることが出来る。反応は、1つの溶媒において、又は、2つ以上の溶媒の混合物で行われることが出来る。生成物又は中間体の形成は、当該分野において公知の任意の適切な方法に基づいてモニターされることが出来る。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば、各磁気共鳴分光測定法(例えば、Hもしくは13C)、赤外分光測定法、分光法(例えば、UV−可視)又は質量分析により、又は、クロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)もしくは薄層クロマトグラフィーによりモニターされることが出来る。
場合により、本願明細書に記載の化合物は、商業的な供給元から取得されることが出来る。前記化合物は、例えば、Sigma Chemical Co.(St. Louis、MO)、VWR International(Radnor、PA)又はOakwood Products, Inc.(West Columbia、SC)から取得されることが出来る。
【0035】
IV. 使用方法
対象における通風および高尿酸血症を処置又は予防をする方法が提供される。前記方法は、有効量の、本願明細書に記載の1つ以上の化合物又は組成物又はその薬学的に許容され得る塩を、前記対象に投与することを含む。前記「有効量」の表現は、方法における化合物の量を説明するのに使用される場合、所望の薬理的効果又は他の効果を達成する化合物の量、例えば、尿酸産生減少をもたらす量を意味する。本願明細書に記載の化合物および組成物又はその薬学的に許容され得る塩は、ヒト、例えば、制限されず、小児および老人の集合ならびに動物、例えば、獣医用途において、通風又は高尿酸血症を処置するのに有用である。場合により、前記方法は、上昇した尿酸レベルに関連する症状、例えば、慢性通風性関節症、急性の炎症性関節症、尿酸腎症、腎臓結石又は通風結節を処置するのに使用されることが出来る。
【0036】
本願明細書では、さらに、対象における尿酸産生および/又は活性酸素種産生を低下させる方法が記載される。前記方法は、本願明細書に記載の1つ以上の化合物又を、前記対象に投与することを含む。場合により、前記方法は、さらに、通風又は高尿酸血症を有する対象を選択することを含むことが出来る。
【0037】
本願明細書に記載の方法は、さらに、第2の治療剤を前記対象に投与することを含むことが出来る。このため、前記提供された組成物および方法は、1つ以上の更なる薬剤を含むことが出来る。前記1つ以上の更なる薬剤および本願明細書に記載の化合物又はその薬学的に許容され得る塩は、任意の順序、例えば、付随して、同時又は連続しての投与で投与されることが出来る。連続的な投与は、数日間隔以下の単位で、時間的に間隔をあけられることが出来る。前記方法は、前記1つ以上の更なる薬剤および/または本願明細書に記載の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグの1回より多い投与を含むことも出来る。前記1つ以上の更なる薬剤および本願明細書に記載の化合物もしくは薬学的に許容され得る塩もしくはそのプロドラッグの投与は、同一又は異なる経路および同時又は連続的によることが出来る。
【0038】
治療剤としては、制限されず、抗通風薬があげられる。例えば、前記抗通風薬は、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、プロべネシド又はスルフィンピラゾンであることが出来る。治療剤としては、抗炎症剤もあげられる。適切な抗炎症剤の例としては、例えば、ステロイドおよび非ステロイドの抗炎症剤(例えば、イブプロフェンおよびプレドニゾン)があげられる。前記治療剤は、例えば、抗酸化剤であることも出来る。適切な抗酸化剤の例としては、例えば、α−トコフェロール、β−カロテン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、カフェ酸、ルテイン、リコピン、セレン、tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、ビタミンA、ビタミンCおよびビタミンEがあげられる。適切な抗酸化剤の更なる例としては、推定抗酸化植物、例えば、ブドウ種子、緑茶、コガネバナ、アメリカ人参、イチョウ等があげられる。
【0039】
前述の治療剤のいずれかが、本願明細書に記載の組成物との任意の組み合わせで使用されることが出来る。組み合わせは、付随して(例えば、混合物)、別々にであるが同時に(例えば、同じ対象における別々の静脈ラインによる)又は連続して(例えば、まず、前記化合物又は薬剤の1つが与えられ、続けて第2のものが与えられる。)のいずれかで投与される。このため、前記組み合わせの用語は、2つ以上の薬剤の、付随して、同時又は連続しての投与を意味するのに使用される。
【0040】
本願明細書に記載の方法および化合物は、予防的および治療的処置の両方に有用である。予防的使用に関して、治療的に有効量の、本願明細書に記載の化合物および組成物又はその薬学的に許容され得る塩は、通風又は高尿酸血症の発病前(例えば、通風又は高尿酸血症の明確なサインの前)、初期の発病中(例えば、通風又は高尿酸血症の初期サインおよび兆候に基づく)又は進行後に、対象に投与される。予防的な投与は、通風又は高尿酸血症の兆候が表れる前の数日から数年間起こることが出来る。治療的処置は、通風又は高尿酸血症が診断された後に、治療的に有効量の、本願明細書に記載の化合物および組成物又はその薬学的に許容され得る塩を、対象に投与することを含む。
【0041】
本願明細書に記載の方法および化合物は、細胞におけるキサンチンオキシダーゼ活性を阻害するのにも有用である。前記方法は、有効量の本願明細書に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤と、細胞を接触させることを含む。場合により、前記接触は、in vivoで行われる。場合により、前記接触は、in vitroで行われる。
【0042】
前記方法は、さらに、前記化合物とキサンチンオキシダーゼとを、一定期間(例えば、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間又は1時間から20時間)、プレインキュベートすることを含むことが出来る。場合により、前記プレインキュベートは、室温で行われることが出来る。場合により、前記プレインキュベート工程は、前記細胞を前記化合物と接触させる前に行われる(すなわち、前記化合物とキサンチンオキシダーゼとが共にインキュベートされる。)。
【0043】
V. キット
対象における通風又は高尿酸血症を処置又は予防をするためのキットも提供される。キットは、本願明細書に記載の化合物又は組成物のいずれかを含むことが出来る。例えば、キットは、本願明細書に記載の式Iの化合物又は前記化合物のいずれかを含むことが出来る。キットは、さらに、1つ以上の更なる薬剤、例えば、抗通風薬(例えば、アロプリノール、ベンズブロマロン、コルヒチン、プロべネシド又はスルフィンピラゾン)、抗炎症剤又は抗酸化剤を含むことが出来る。キットは、本願明細書に記載の化合物又は組成物のいずれかの経口製剤を含むことが出来る。さらに、キットは、前記キットの使用のための指示書(例えば、対象を処置するための説明書)、容器、前記化合物もしくは組成物を投与するための手段および/またはキャリアを含む。
【0044】
本願明細書で使用する時、処置、処置する又は処置することの用語は、疾患又は症状の1つ以上の兆候を低下させる方法を意味する。このため、本開示の方法では、処置は、前記疾患又は症状の1つ以上の兆候の重症度の、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%の低下を意味することが出来る。例えば、疾患を処置するための方法は、コントロールと比較して、対象における前記疾患の1つ以上の兆候又はサインの10%の低下がある場合、処置であると見なされる。本願明細書で使用する時、コントロールは、未処置の症状を意味する。このため、前記低下は、自然又はコントロールのレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%又は、10%と100%との間の任意のパーセントの低下であることが出来る。処置は、前記疾患、症状又は、前記疾患もしくは症状の兆候の治癒または完全な除去を必ずしも意味しないことが理解される。
【0045】
本願明細書で使用する時、疾患又は障害を予防する、予防することおよび予防の用語は、対象が前記疾患又は障害の1つ以上の兆候を示し始める前又は、同兆候を示し始めるのとほぼ同時に起こす行動、例えば、組成物又は治療剤の投与を意味する。前記行動は、前記疾患又は障害の1つ以上の兆候の開始又は重症度の阻害又は遅延をする。
【0046】
本願明細書で使用する時、減少、低下又は阻害への言及としては、コントロールのレベルと比較して、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上の変化があげられる。このような用語は、完全な除去を含むことが出来るが、必ずしも含む必要はない。
【0047】
本願明細書で使用する時、対象は、哺乳類および非哺乳類の両方を意味する。哺乳類としては、例えば、ヒト;非ヒトの霊長類、例えば、類人猿およびサル;ウシ;ウマ;ヒツジ;ラット;マウス;ブタ;およびヤギがあげられる。非哺乳類としては、例えば、魚類および鳥類があげられる。
【0048】
この出願全体を通して、種々の刊行物が参照されている。これらの刊行物の開示は、その内容において、参照によりこの出願に組み込まれる。
【実施例】
【0049】
下記の実施例は、本開示の主題に基づく方法および結果を説明するために、以下に説明される。これらの実施例は、本願明細書に開示の主題の全ての態様を含むことを意図しておらず、むしろ典型的な方法および結果を説明する。これらの実施例は、当業者に明らかな、本願明細書に記載の主題の均等物およびバリエーションを除くことを意図していない。
【0050】
努力は、数値(例えば、量、温度等)に関する正確さを確保するのになされたが、一部のエラーおよび偏差が、構成されるであろう。特に断らない限り、部は、重量部であり、温度は、℃であるか、又は、室温であり、圧力は、大気圧であるか、又は、大気圧付近である。反応条件、例えば、成分の濃度、温度、圧力ならびに、本記載の方法から取得される生成物の純度および収量を最適化するのに使用されることが出来る他の反応範囲および条件の数多くのバリエーションおよび組み合わせが存在する。合理的でルーチンな実験のみが、このようなプロセス条件を最適化するのに必要であろう。
【0051】
牛乳由来のキサンチンオキシダーゼ、キサンチン、アロプリノール、3−ニトロベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−ニトロベンズアルデヒド、イソフタルアルデヒド(すなわち、m−ベンジルジアルデヒド)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液、硝酸カリウム(KNO)、ポリエチレングリコール400、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)タングストリン酸ナトリウム水和物、二酸化マンガン(MnO)、ジエチレン−トリアミン−ペンタ酢酸(DTPA)、EDTA、硫酸第一鉄アンモニウム、過酸化水素(H)、次亜塩素酸ナトリウム、DPPH、5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、ホウ化水素ナトリウム、過硫酸カリウム、アスコルビン酸および(±)−α−トコフェロールは、Sigma Chemical Co.(Saint Louis、MO)から取得された。アラントキサンアミド(HPLCによる純度>98%)は、Nanjing Chemlin Chemical Industry Co., Ltd.(Nanjing、China)から取得された。3,5−ジニトロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドは、INDOFINE Chemical Company, Inc.(Hillsborough、NJ)から取得された。3,5−ジニトロサリチルアルデヒドおよびフタルジアルデヒドは、Alfa Aesar(Ward Hill、MA)から取得された。3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(DHNB)は、VWR Inc(Radnor、PA)から取得された。
【0052】
データは、ネガティブコントロールと比較して、平均±標準偏差(SD)として表される。統計的有意差は、スチューデントt−検定(両側)により決定された。P<0.05の値が、有意であると見なされた。
【0053】
実施例1:XO阻害アッセイ
DNSA、NHBA、HNBA、DNHBA、3−ニトロベンズアルデヒド、m−ベンジルジアルデヒド、p−ベンジルジアルデヒドおよびDHNBのキサンチンオキシダーゼ活性が、連続的な分光光度速度測定を使用して測定された。反応混合物は、67mM リン酸バッファー(pH7.4)における尿酸および5mU/mLの活性を有する20nM XOを含み、本願明細書に記載の化合物を含むか、又は、含まないことで調製された。前記化合物とXOとの、25℃で10分間のプレインキュベート後、尿酸の形成を開始するために、50μM キサンチンが添加された。295nmでの尿酸の吸収の増加が、モニターされた。アロプリノールが、ポジティブコントロールとして使用された。前記酵素の動態解析に関して、比較的低い濃度のキサンチンが使用された。全ての化合物、例えば、アロプリノールは、水又は水溶液に溶解された。水が、ネガティブコントロールとして使用された。
【0054】
DNSAは、無細胞系において効果的にXO活性を阻害する
20nM XOが、増加する濃度のDNSA、DNHBA、HNBAおよびNHBAと混合された場合、前記尿酸形成の初速度は、濃度依存が、XO活性の低下を反映して、前記コントロールと比較して低下することを示した(図1−4)。DNSAは、約2.5μMのIC50値でXO活性を、有意に阻害した。NHBAに関するIC50値は、XO活性の強力な阻害を示す、5μMであった。HNBAおよびDNHBAに関するIC50値は、それぞれ、17μMおよび20μMであった。
【0055】
DNSAおよび関連する化合物は、XO阻害の構造−活性関係を示す
複数の他の化合物によるXO活性の阻害も、測定された。試験された化合物は、2つのニトロ基又は2つのアルデヒド基(−CHO)を有する。20μMの濃度において、XOを阻害するための各化合物の能力が、アロプリノールおよび3,4−ジヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(DHNB)のそれと比較された(図5)。これらの化合物は、類似の構造を有するが、XOを阻害するためのその能力は異なった。1つ以上のニトロ基を有する化合物、例えば、HNBA、NHBA、DNSAおよびDNHBAは、XOについて強力な阻害作用を有する。前記ジニトロ化合物であるDNSAは、前記アッセイにおいて、XOについて、アロプリノールよりさらに強力な阻害作用を示した。
【0056】
実施例2:時間−依存性阻害
DNSAとXOとの動的反作用は、分光光度法により測定された。前記DNSAの減衰は、リン酸バッファーにおける20nM XOと20μM DNSAとを含む系において、366nmでモニターされた。366nmでのDNSAの減衰係数は、12,830M−1cm−1と測定された。質量分析およびHPLCによる生成物分析用の試料は、1mLのリン酸バッファー(pH7.4)において、0.3U XOと4mgのDNSAとを3日間混合することにより調製された。前記DNSA/XO試料は、40%のアセトニトリル/水の移動相による、250×4.6mm、5ミクロンのPhenomenex C−18(2)Lunaカラムを備える、HPLC(Bio−Rad BioLogic DuoFlow、Hercules、CA)により分析した。
【0057】
DNSAは、短期間の経時変化研究において、XOを不可逆的に阻害する
DNSAは、アロプリノールのそれと類似する、XO活性の時間−依存性阻害を示した。DNASがXOと、25℃で、0、2、5又は10分間プレインキュベートされた後、50μM キサンチンが、前記反応混合物に添加され、XO活性が3分間記録された。XO活性についてのDNSAの阻害作用は、プレインキュベート時間の増加とともに向上した。図6に示されるように、20μM DNSAは、プレインキュベートなしで10%のXO活性を阻害した。しかしながら、DNSAとXOとの2分のプレインキュベートは、50%のXO活性を阻害するDNSAをもたらした。DNSAとXOとの10分間のプレインキュベート後に、XO活性は、ほとんど完全に阻害された(おおよそ95%の阻害)。加えて、プレインキュベートは、他の化合物、例えば、DNHBA、HNBAおよびNHBAのXO活性についての、XO活性阻害作用を向上した。
【0058】
DHNBは、例えば、20時間のインキュベート後に、XO活性の回復(すなわち、阻害作用の損失)をもたらす、そのカルボン酸に経時的に変換される。しかしながら、DNSAとXOとの室温での20時間のプレインキュベート後には、DNSAは、カルボン酸に変換されなかった。図7に示されるように、プレインキュベートされたXO/DNSA(5μM又は10μM)試料は、XO活性を示さず、HPLC分析は、新たな成分を示さなかった。これらの結果は、DNSAが変換されないため、そのキサンチンオキシダーゼ阻害作用を維持されたことを示す。しかしながら、XO/DHNB試料に関して、DHNBは、DHNB−COOHに完全に変換されたため、XO活性の回復(すなわち、阻害作用の損失)をもたらした。
【0059】
実施例3:マウスにおける急性毒性アッセイ
C57BL/6マウスは、群あたりに3匹のマウスを含む群にランダム化された。前記群は、PEG400の経口媒体溶液、200mg/kgの前記試験化合物又はアロプリノール(200mg/kg)を受けた。各マウスは、28日間毎日、全身の健康状態をモニターされ、マウスの死亡率、体重および挙動が、記録された。マウスは、処置群内で繁殖もされた。その子孫は、健康状態、例えば、毛生に関して観察された。
【0060】
前記マウスの群(3匹のマウス/群)は、200mg/kg用量のDNSA、NHBA、HNBA、DNHBAおよびアロプリノールを、マウスにおけるこれらの化合物の潜在的な毒性を決定するために、経口強制飼育により処置された。コントロールのマウスは、前記媒体溶液を受けた。前記動物は、3日間毎日観察された。前記処置されたマウスは、一般毒性の何らの兆候も示さなかった。
【0061】
添付の特許請求の範囲の化合物および方法は、本願明細書に記載の特定の化合物および方法による範囲に限定されない。本願明細書に記載の特定の化合物および方法は、前記特許請求の範囲の少しの態様の説明として意図している。機能的に同等の任意の化合物および方法は、この開示の範囲内である。本願明細書に示され、記載されたものに加えて、前記化合物および方法の種々の修飾は、前記添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。さらに、ある典型的な化合物、方法ならびにこれらの化合物および方法の態様のみが、具体的に記載されているが、具体的に言及されない場合でも、他の化合物および方法ならびに前記化合物および方法の種々の特徴の組み合わせは、前記添付の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。このため、工程、要素、成分又は組成の組み合わせは、本願明細書に明確に言及されていることが出来る。ただし、明確に記載されていなくとも、工程、要素、成分および組成の全ての他の組み合わせが含まれる。
図1
図2
図3
図4
図6
図5
図7