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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161034(P2015-161034A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】衣料用パットとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41C 3/14 20060101AFI20150811BHJP
   A41D 27/26 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   A41C3/14 A
   A41D27/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-34971(P2014-34971)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫
(72)【発明者】
【氏名】酒井 千夏
【テーマコード(参考)】
3B035
3B131
【Fターム(参考)】
3B035AA05
3B035AA21
3B035AB03
3B035AB17
3B035AC03
3B035AC09
3B035AD09
3B035AD10
3B131AA17
3B131BA17
3B131BA21
3B131BA22
3B131BA41
3B131BB08
3B131CA22
3B131DA11
(57)【要約】
【課題】触感が良好で、内面側については弾性及び硬さがあり、装着感及び通気性も良好なブラパット等として好適な衣料用パットの提供を目的とする。
【解決手段】内面側に凹凸17の形成された弾性発泡体11からなる衣料用パット10において、弾性発泡体11は、外側層19の内面側に凹凸17が形成され、凹凸17の凸部13を外側層19に積層された中心層21と、中心層21に積層された内側層23とで構成し、凸部13間の凹部15の底部151では外側層19が露出し、かつ中心層21を外側層19及び内側層23よりも硬度の高いものとし、硬度の低い外側層19と内側層23でパットの触感を良好とし、外側層19及び内側層23よりも硬度の高い中心層21によって、パットの内面側が弾性と硬さを有し、パットの装着感を良好なものとした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面側に凹凸の形成された弾性発泡体からなる衣料用パットにおいて、
前記弾性発泡体は、外側層の内面側に前記凹凸が形成され、前記凹凸の凸部が前記外側層に積層された中心層と、前記中心層に積層された内側層とで構成され、前記凸部間の凹部の底部では前記外側層が露出し、かつ前記中心層が前記外側層及び前記内側層よりも硬度の高いことを特徴とする衣料用パット。
【請求項2】
前記中心層と前記外側層及び内側層との硬度差が230N以下であることを特徴とする請求項1に記載の衣料用パット。
【請求項3】
内面側とされる片面に凹凸の形成された弾性発泡体を賦形用型に挟んで熱圧縮成形により賦形する衣料用パットの製造方法において、
前記弾性発泡体は、外側層の内面側に前記凹凸が形成され、前記凹凸の凸部が前記外側層に積層された中心層と、前記中心層に積層された内側層とで構成され、前記凸部間の凹部の底部では前記外側層が露出し、かつ前記中心層が前記外側層及び前記内側層よりも硬度の高いものからなり、
前記熱圧縮成形は、前記外側層の外面を150〜260℃に加熱する一方、前記凹凸側表面については常温〜40℃にして行うことを特徴とする衣料用パットの製造方法。
【請求項4】
前記中心層と前記外側層及び内側層との硬度差が230N以下であることを特徴とする請求項3に記載の衣料用パットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラパット等に使用される衣料用パットとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラパット(ブラジャーのカップ用パット)、衣服の肩パット、衣服の肘当てパット等に用いられる衣料用パットには、賦形用型に弾性発泡体を挟んで熱圧縮成形することにより賦形したものがある。また、使用部位に応じたパットの使用感を高め、かつ蒸れを低減させるため、使用時に身体側となる内側の面を凹凸形状とした弾性発泡体を熱圧縮成形したパットがある。
【0003】
また、衣料用パットは、使用者が触れる表面の触感が良好である一方、胸などと接する内面側については胸などを支えるために弾性及び硬さのあるものが好まれている。
しかしながら、従来の衣料用パットは一種類の弾性発泡体からなるため、改良できる性能に限度があり、上記のような外面側の触感が良好であることと、身体と接する内面側が弾性及び硬さのあることの両方を満たすことは困難であった。
なお、求められる性能を得るために別の素材を後から部分的に付けたりすることは可能であるが、その場合にはパットの構造が複雑になり、かつ製造工程が複雑になってコストが嵩むため、実現性に乏しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−127905号公報
【特許文献2】特開2011−231435号公報
【特許文献3】特開2013−60672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、触感が良好で、内面側については弾性及び硬さがあり、装着感及び通気性が良好な衣料用パットとその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、内面側に凹凸の形成された弾性発泡体からなる衣料用パットにおいて、前記弾性発泡体は、外側層の内面側に前記凹凸が形成され、前記凹凸の凸部が前記外側層に積層された中心層と、前記中心層に積層された内側層とで構成され、前記凸部間の凹部の底部では前記外側層が露出し、かつ前記中心層が前記外側層及び前記内側層よりも硬度の高いことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記中心層と前記外側層及び内側層との硬度差が230N以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、内面側とされる片面に凹凸の形成された弾性発泡体を賦形用型に挟んで熱圧縮成形により賦形する衣料用パットの製造方法において、前記弾性発泡体は、外側層の内面側に前記凹凸が形成され、前記凹凸の凸部が前記外側層に積層された中心層と、前記中心層に積層された内側層とで構成され、前記凸部間の凹部の底部では前記外側層が露出し、かつ前記中心層が前記外側層及び前記内側層よりも硬度の高いものからなり、前記熱圧縮成形は、前記外側層の外面を150〜260℃に加熱する一方、前記凹凸側表面については常温〜40℃にして行うことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は請求項3において、前記中心層と前記外側層及び内側層との硬度差が230N以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、衣料用パットは、外側層が凸部の中心層よりも硬度の低いものからなるため、外側層の外面は柔らかく、触感が良好となる。また、請求項1の発明の衣料用パットは、内面(内側層の表面)側の凹凸の凸部が、前記外側層に積層された中心層と、前記中心層に積層された内側層とで構成され、かつ前記中心層が前記外側層及び前記内側層よりも硬度の高いものであるため、身体の当接側となる凸部の頂部が前記内側層によって硬度の低いものとなり、触感が良好となる。しかも凸部の基部側が硬度の高い中心層で構成されているため、凸部は硬度の高い基部側の中心層と硬度の低い頂部側の内側層とにより弾性と硬さを有するものとなり、衣料用パットの装着部位(例えばブラカップにおいては胸部)を効果的に支持(サポート)することができ、装着感が良好になる。さらに、請求項1の発明の衣料用パットは、凸部間の凹部の底部で外側層が露出しているため、隣り合う凸部同士は中心層の部分で分離しており、個々の凸部が隣の凸部に影響を受けること無く使用部位に応じて独立して弾性変形し易くなり、装着部位に対する支持(サポート)性及び装着感が良好になる。しかも、凹凸の凹部によって通気性も良好となる。
【0011】
請求項2の発明によれば、中心層と外側層及び内側層との硬度差が230N以下であるため、衣料用パットはより良好な触感、装着感が得られる。
【0012】
請求項3の発明によれば、外側の触感が良好で、内面側については弾性及び硬さがあり、装着部位に対する支持(サポート)性、装着感及び通気性が良好な衣料用パットを成形性よく製造することができる。特に、熱圧縮成形時に、外側層の外面を150〜260℃に加熱する一方、凹凸側表面については常温〜40℃とするため、温度の高い型面による加熱圧縮で凹凸の凸部が潰れることを防ぐことができ、凸部の高さを維持して良好な通気性を確保できると共に、内側層による弾性が損なわれることを効率よく防ぐことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、中心層と外側層及び内側層との硬度差が230N以下であるため、衣料用パットはより良好な触感、装着感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るブラパットの平面図である。
図2図1の2−2断面図である。
図3図2の3A部を拡大して示す断面図である。
図4】賦形前の弾性発泡体の斜視図である。
図5】賦形前の弾性発泡体のプロファイル加工を示す図である。
図6】ブラパットの製造に使用する賦形用型の概略断面図である。
図7】ブラパットの製造における加熱圧縮成形時の概略断面図である。
図8】実施例及び比較例の構成と触感及び装着感等の結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、ブラパットを例にして本発明の衣料用パットとその製造方法の実施形態を説明する。
図1及び図2に示すパット10は、右胸用のブラパットであり、内面に凹凸17が形成されてカップ状(お椀状)に賦形された弾性発泡体17からなる。符号13は前記凹凸17の凸部(山部)、15は凹部(谷部)である。なお、前記凹凸17とは反対側の外面12は、前記凸部13及び凹部15のない略平滑面になっている。前記パット10は、両面が布等の表面材で覆われてブラジャーのカップにされる。
【0016】
前記弾性発泡体11は、図2の3A部を拡大して示す図3のように、外側層19の内面側に中心層21が積層され、さらに前記中心層21に内側層23が積層された三層構造からなる。
前記外側層19は、外表面が前記パット10の外面12側を構成し、前記外側層19の内面に前記凹凸17が前記中心層21と前記内側層23で形成されている。前記凹凸17の凸部13は、前記外側層19の内面側に積層された中心層21と、前記中心層21に積層された前記内側層23とで構成されている。前記凸部13間の凹部15の底部151では前記外側層19の内面側が露出している。図示の例では前記凹部15の底部151は、前記外側層19の内面を窪ませて形成されている。
【0017】
前記中心層21は、前記凸部13の基部側(底部側)を構成し、前記外側層19及び内側層23よりも硬度の高い材質で構成されている。すなわち、前記外側層19及び内側層23が前記中心層21よりも硬度の低い材質で構成されている。また、前記凸部13間の凹部15の底部151で前記外側層19の内面側が露出しているため、前記中心層21は、隣り合う凸部13間で分離した状態となっている。
前記内側層23は、前記凸部13の頂部側を構成し、前記中心層21よりも硬度の低い材質で構成されている。
【0018】
前記弾性発泡体17を構成する前記中心層21と前記外側層19及び前記内側層23との硬度差は、230N以下(JIS K−6400−2 6.7 D法準拠)が好ましく、より好ましくは20〜220N(JIS K−6400−2 6.7 D法準拠)である。前記硬度差とすることにより、前記パット10はより良好な触感、装着感が得られる。さらに、前記外側層19と前記内側層23自体の硬度は20〜90N(JIS K−6400−2 6.7 D法準拠)が好ましい。前記外側層19と前記内側層23の硬度は同一である。一方、前記中心層21自体の硬度は90〜230N(JIS K−6400−2 6.7 D法準拠)が好ましい。
【0019】
前記弾性発泡体17を構成する各層の材質の種類は限定されないが、軟質ポリウレタン発泡体がより好ましい。さらに、前記外側層19と前記内側層23については、セル膜の除去された軟質ポリウレタン発泡体が好ましい。セル膜の除去された軟質ポリウレタン発泡体は、通常の軟質ポリウレタン発泡体よりも通気性が高いため、前記パット10の通気性が高くなって蒸れを効果的に抑えることができる。
また、前記外側層19と前記中心層21及び前記内側層23の各厚みは、限定されるものではないが、好ましい範囲は、前記外側層19が5〜20mm、前記中心層21が3〜15mm、前記内側層23が3〜12mmである。
前記凸部13の数は、限定されるものではないが、好ましくは、9個/100cm〜100個/100cmである。
【0020】
前記構成からなるパット10は、前記外側層19が前記凸部13の中心層21よりも硬度の低いものからなるため、前記外側層19の外面、すなわちパット10の外面12は柔らかくなり、触感が良好なものとなる。また、前記パット10は、前記凹凸17の凸部13が、前記外側層19よりも硬度の高い前記中心層21と、前記中心層21に積層された硬度の低い前記内側層23とで構成され、身体の当接側となる前記凸部13の頂部が前記内側層23によって硬度が低くなっているため、身体に当接する内面側については前記内側層23により触感が良好となり、かつ前記中心層21と前記内側層23とによって弾性及び硬さがあり、前記パット10の装着部位(例えばブラカップにおいては胸部)を効果的に支持(サポート)することができる。さらに、前記パット10は、前記凸部13間の凹部15の底部151で前記外側層19が露出し、隣り合う凸部13同士が、該凸部13の基部側を構成する前記中心層21の部分で分離しており、個々の凸部13が隣の凸部13に影響を受けること無く使用部位に応じて独立して弾性変形し易いため、装着部位に対して支持(サポート)性及び装着感が良好になる。さらに、前記パット10は、前記凹凸17の凹部15によって通気性が良好となる。
【0021】
前記パット10の製造方法について説明する。前記パット10の製造は、図4に示すように片面に前記凹凸17が形成された賦形前の弾性発泡体11Aを熱圧縮成形することにより行われる。
前記賦形前の弾性発泡体11Aは、前記外側層19の内面側に前記凹凸17が形成され、前記凹凸17の凸部13が前記外側層19に積層された前記中心層21と、前記中心層21に積層された前記内側層23とで構成され、前記凸部13間の凹部15の底部151で前記外側層19が露出し、かつ前記中心層21が前記外側層19及び前記内側層23よりも硬度の高いものからなる。前記外側層19、前記中心層21、前記内側層23及び前記凹凸17の詳細は、前記パット10の説明で記載したとおりである。
【0022】
前記片面に凹凸17が形成された賦形前の弾性発泡体11Aは、図5に示すように、両側層41、43間に中間層42を挟んだ三層構造の弾性発泡体シート11Bを公知のプロファイル加工することによって得られる。前記両側層41、43は前記外側層19と前記内側層23の材質で構成される一方、前記中間層42は前記中心層21の材質で構成される。前記プロファイル加工では、外周面に凹凸が形成されたプロファイル加工用回転ロール31、33間に前記三層構造の弾性発泡体シート11Bを通して圧縮し、該圧縮部における前記回転ロール31、33間の中心位置で前記弾性発泡体シート11Bを切断刃35で切断して二分することにより、前記片面に凹凸17が形成された賦形前の弾性発泡体11Aを同時に二枚得ることができる。前記中間層42からは前記中心層21が形成され、前記両側層41、43からは前記外側層19と前記内側層23が形成される。なお、前記回転ロール31、33は、前記両面が略平滑な三層構造の弾性発泡体シート11Bを圧縮する際に、一方の回転ロール31の外周の凸部が、他方の回転ロール33の外周の凹部と組み合わされるようになっている。
【0023】
熱圧縮成形では、まず、図6に示すように、賦形用型50の雄型51と雌型55間に前記片面に凹凸17が形成された賦形前の弾性発泡体11Aを配置する。その際、前記凹凸17の形成されている側を雄型51の型面52へ向けると共に、前記凹凸17の形成されていない面12Aを雌型55の型面56へ向けて配置する。
【0024】
前記雄型51は、前記パット10における身体側の面を賦形する分割型であり、前記パット10の身体側に応じた膨出面からなる前記型面52と、その周囲のパーティング面53とからなり、前記型面52が本実施例では略球面の一部で構成されている。前記雄型51の型面52は非加熱面とされ、前記型面52を加熱するための加熱手段が雄型51には設けられていない。なお、前記雄型51の型面52は、加熱手段で加熱しなくても、前記賦形用型50を用いて加熱圧縮成形を繰り返すことによって温度上昇することもあるが、その場合でも前記雄型51の型面52は40℃以下が好ましい。
【0025】
一方、前記雌型55は、前記パット10における身体側とは反対の外面を賦形する分割型であり、前記パット10の外面に応じた凹面からなる前記型面56と、その周囲のパーティング面57とからなり、前記型面56が本実施例では、お椀形状に窪んだ面となっている。前記雌型55には、加熱手段が設けられ、前記型面56を150〜260℃に、より好ましくは180℃〜210℃に加熱可能となっている。前記型面56の加熱は、電気ヒータによる加熱や、オイル等の熱媒による加熱が挙げられる。なお、熱媒による加熱の場合には、外部の熱媒供給装置と接続された熱媒循環パイプが前記雌型55に埋設される。
【0026】
次に、図7に示すように、前記賦形用型50の雄型51と雌型55を接近させて、前記賦形前の弾性発泡体11Aを前記雄型51の加熱されていない型面52と前記雌型55の加熱されている型面56で挟んで加熱圧縮し、前記型面52、56形状に賦形する。前記雄型51の型面52と雌型55の型面56間の間隔は、前記賦形前の弾性発泡体11Aの厚みと略等しくする等、適宜設定される。
【0027】
前記加熱圧縮によって前記片面に凹凸17が形成された賦形前の弾性発泡体11Aは、前記凹凸の形成されていない面12Aのみが、前記雌型55の加熱された型面56によって加熱されながら押圧され、前記弾性発泡体11Aが型面形状に賦形される。その際、反対側の凹凸17が形成されている側は、前記雄型51の加熱されていない型面52で圧縮され、前記凸部13が熱によって塑性変形しないため、前記凹凸17が明確に残る。
【0028】
その後、前記賦形用型50の雄型51と雌型55間を拡げ、成形品を取り出してトリミングを施し、不要部分を除去すれば、前記パット10が得られる。
【実施例】
【0029】
前記外側層19と前記中心層21及び前記内側層23を、図8の表に示す軟質ポリウレタン発泡体で構成し、片面に凹凸が形成された賦形前の前記弾性発泡体シート11Bをプロファイル加工で形成し、その後に前記熱圧縮成形によって各実施例及び各比較例のブラパットを製造した。使用した軟質ポリウレタン発泡体は、何れも株式会社イノアックコーポレーション製である。また、硬度はJIS K−6400−2 6.7 D法準拠、通気性はJIS K−6400−7 B法準拠、密度はJIS K−7222にしたがって測定した値である。
熱圧縮成形は、図5及び図6に示す賦形用型を用いて行い、外側層を賦形する前記雌型55の型面温度は190℃、内側層を賦形する前記雄型51の型面は常温で開始し、成形中に40℃まで上昇した。
【0030】
各実施例及び各比較例に対して以下の項目を調べ、その結果を図8の表に併記した。
・プロファイル凹凸加工性
プロファイル加工後の凹凸が明瞭か不明瞭かを目視で確認し、明瞭な場合に〇、不明瞭な場合に△とした。
・熱圧縮成形加工性
熱圧縮成形後の賦形状態が良好な場合に〇、少し甘い(少し不良)場合に△、甘い(不良)場合に×とした。
・パットの触感・装着性
製造したパットについて触感と装着感を調べた。触感は手でパットの外面と内面を触って確かめ、触感が良好な場合に〇、少し硬い場合に△、硬くて触感が大きく劣る場合に×とした。一方、装着感は、パットをブラジャーにセットして実際に着用して確認し、装着感が良好な場合に○、装着感が柔らか過ぎたり、通気性が悪かったりした場合にはその程度が少し劣る場合に△、大きく劣る場合に×とした。
図8の表に示すように、各実施例のパットは、触感も装着性も両項なものであったのに対し、各比較例のパットは、触感が劣っていたり、装着感(通気性を含む)が劣っていたりしていた。
【符号の説明】
【0031】
10 パット
11、11A 弾性発泡体
13 凸部
15 凹部
17 凹凸
19 外側層
21 中心層
23 内側層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8