クイックカプラ100は、アタッチメント120に係合する係合位置とアタッチメント120に係合しない非係合位置との間を移動するロックピン30、31と、ロックピン30、31の移動に伴って、カバー部40に隠れる第一位置と、カバー部40から露出する第二位置との間を移動する表示部50と、を備えている。そして、ロックピン30、31が係合位置にあるとき表示部50は第一位置及び第二位置のうちの一方に位置しており、ロックピン30、31が非係合位置にあるとき表示部50は第一位置及び第二位置のうちの他方に位置している。
前記表示部は、前記ロックピンが前記係合位置にあるときには前記第一位置にあり、前記ロックピンが前記非係合位置にあるときには前記第二位置にある、請求項1に記載のクイックカプラ。
前記開口部は、前記アタッチメント、前記リンク、及び当該クイックカプラを含む作業機全体の下端が所定の高さ位置にあるとき、前記産業用車両の運転席から前記リンクを構成する各部材の隙間を介して目視できるような位置に配置されている、請求項5に記載のクイックカプラ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図を参照しながら説明する。以下では、全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係るクイックカプラ100について説明する。なお、以下では、運転席110(
図1参照)から見て上、下、左、右をそれぞれ単に「上」、「下」、「左」、「右」と称して説明する。また、クイックカプラ100及びアタッチメント120において「背面」というときは、運転席110から見える面をいう。つまり、クイックカプラ100の背面は、クイックカプラ100のうちアタッチメント120が取り付けられる面とは反対の面である。
【0019】
<クイックカプラの概要>
はじめに、クイックカプラ100の概要について説明する。
図1は、クイックカプラ100が設けられた産業用車両101の左側面図である。
図1に示すように、産業用車両101はリンク102を有しており、そのリンク102の先端にクイックカプラ100が取り付けられている。
図1に示す産業用車両101はホイールローダであるが、本発明の産業用車両はホイールローダに限定されない。例えば、産業用車両101はショベルカーやブルドーザなどであってもよい。
【0020】
図2は、
図1に示す産業用車両101のリンク102付近を拡大した図である。
図2に示すように、リンク102はZリンク式の構造を有しており、クイックカプラ100は、リンク102の先端に位置するリフトアーム103とロッド104に連結されている。リフトアーム103は、左右両側に側板(左側板及び右側板)111を有している。左右の側板111は、それぞれリンク102の左方向外側部分と右方向外側部分に位置しており、それぞれ油圧式のリフトシリンダ105によって駆動される。リフトシリンダ105が伸縮することで、リフトアーム103の角度が変わり、クイックカプラ100を上下方向に移動させることができる。なお、リフトアーム103の左右の側板111は、左右方向に延びるクロスパイプ106によって互いに連結されている。
【0021】
一方、ロッド104は、左右のリフトアーム103の間に位置しており、レバー107を介して油圧式のチルトシリンダ108に連結されている。レバー107は、クロスパイプ106に設けられた支持部材109に回転可能に保持されている。そして、チルトシリンダ108が伸縮することで、ロッド104の前後位置が変わり、クイックカプラ100の前後角度を変更することができる。なお、本実施形態では、リンク102が有するロッド104、レバー107、及びチルトシリンダ108は1組であるが、産業用車両101が大きければ2組となる場合もある。この場合、ロッド104等にあわせてクイックカプラ100のロッド取付部19を2カ所に設けても良い。なお、リンク102はZリンク式の構造に限定されない。例えば、リンク102は平行リンク式の構造を有していてもよい。
【0022】
図3は、クイックカプラ100にアタッチメント120を取り付ける作業の例を示した図である。
図3ではアタッチメント120の例としてバケットを示しているが、アタッチメント120は、例えばフォークやプラウなど、バケット以外にもたくさんの種類がある。
図3に示すように、バケットであるアタッチメント120は、バケット本体部125と、バケット本体部125の後方に設けられた係合部122と、を備えている。係合部122はクイックカプラ100に取り付けられる部分であり、フック121と、係合孔123と、受け部124と、を有している。地面に置かれているアタッチメント120をクイックカプラ100に取り付ける作業は、一般的に次のようにして行う。
【0023】
まず、
図3(a)に示すように、上部が前方になるようにクイックカプラ100を前後方向に傾け、アタッチメント120の背面に接近させる。続いて、
図3(b)に示すように、アタッチメント120に設けられたフック121にクイックカプラ100のヒッチ22(
図4参照)を引っ掛ける。続いて、
図3(b)に示す状態から、クイックカプラ100を上方に移動させて、アタッチメント120、リンク102、及びクイックカプラ100を含む作業機112全体を少なくとも最低地上高位置まで(作業機112の下端が最低地上高位置に達するまで)持ち上げる。なお、「最低地上高位置」とは、産業用車両101の底面の高さ位置をいう。そして、作業機112全体を最低地上高位置まで持ち上げた状態で、
図3(c)に示すように、上部が後方に移動するよう(
図3(c)で時計回り)にクイックカプラ100を前後方向に傾ける。これにより、クイックカプラ100の下軸部材21(
図4参照)がアタッチメント120の受け部124に当接し、アタッチメント120のクイックカプラ100に対する位置決めが行われる。最後に、クイックカプラ100のロックピン30、31(
図4参照)をアタッチメント120の係合部122に形成された係合孔123に挿入する。
【0024】
<クイックカプラの詳細>
次に、クイックカプラ100の詳細構成について説明する。
図4及び
図5は、クイックカプラ100の背面図である。すなわち、
図4及び
図5は、クイックカプラ100を産業用車両101の運転席110(
図1参照)から見た図である。
図4は右側ロックピン30及び左側ロックピン31がアタッチメント120に係合する係合位置にあるときを示しており、
図5は右側ロックピン30及び左側ロックピン31がアタッチメント120に係合しない非係合位置にあるときを示している。
【0025】
図4及び
図5に示すように、クイックカプラ100は、クイックカプラ本体10と、右側ロックピン30及び左側ロックピン31と、カバー部40と、表示部50と、を有している。以下、これらの各構成要素について順に説明する。
【0026】
クイックカプラ本体10は、右側から順に、右外板部材11、右内板部材12、中央右板部材13、中央左板部材14、左内板部材15、左外板部材16を有している。これらの板部材11〜16は、いずれも板状に形成されており、左右方向に対して垂直であって、互いに平行に配置されている。
【0027】
右外板部材11及び右内板部材12は、クイックカプラ本体10の右側部分に位置している。右外板部材11及び右内板部材12は、産業用車両101のリフトアーム103(
図2参照)がヒンジピン(図示省略)を介して取り付けられるリフトアーム取付部17を下方部分に有している。また、右外板部材11及び右内板部材12は、それぞれ対向する面に右側ロックピン30が内部を通る円筒状のスリーブ18を有している。両スリーブ18は互いに間隔を置いて設けられており、両スリーブ18の間にはアタッチメント120の係合部122(
図3参照)が挿入される。
【0028】
中央右板部材13及び中央左板部材14は、クイックカプラ本体10の左右方向中央部分に位置している。中央右板部材13及び中央左板部材14は、産業用車両101のロッド104(
図2参照)が取り付けられるロッド取付部19を上下方向中央部分に有している。
図6は、
図5の縦断面図である。詳細には、
図6は、
図5に示すクイックカプラ本体10を前後(紙面奥側の部分と紙面手前側の部分)に分け、かつ、各スリーブ18を通る垂直な面における断面図である。
図6に示すように、中央右板部材13及び中央左板部材14は上下方向中央部分の一部が切り欠かれている。これにより、クイックカプラ本体10のうち右内板部材12と左内板部材15の間には、後述するロックピン駆動機構32を配置することができる内部空間が形成される。
【0029】
左内板部材15及び左外板部材16は、クイックカプラ本体10の左側部分に位置している。
図4及び
図5に示すように、左内板部材15及び左外板部材16は、産業用車両101のリフトアーム103(
図2参照)がヒンジピン(図示省略)を介して取り付けられるリフトアーム取付部17を下方部分に有している。また、左内板部材15及び左外板部材16は、それぞれ対向する面に左側ロックピン31が内部を通過する円筒状のスリーブ18を有している。両スリーブ18は互いに間隔を置いて設けられており、両スリーブ18の間にはアタッチメント120の係合部122(
図3参照)が挿入される。
【0030】
また、クイックカプラ本体10は、上方部分に位置する上軸部材20と、下方部分に位置する下軸部材21と、を有している。このうち、上軸部材20は、左右方向に延びる円柱状の部材である。上軸部材20は、各板部材11〜16の上方部分を連結している。上軸部材20のうち、右外板部材11と右内板部材12の間に位置する部分、及び左内板部材15と左外板部材16の間に位置する部分は、アタッチメント120のフック121(
図3参照)を引っ掛けるためのヒッチ22を構成している。また、下軸部材21は、左右方向に延びる円柱状の部材である。下軸部材21は、各板部材11〜16の下方部分を連結している。アタッチメント120がクイックカプラ100に取り付けられた状態において、下軸部材21は、アタッチメント120の受け部124に当接する(
図3(c)参照)。
【0031】
右側ロックピン30及び左側ロックピン31は、アタッチメント120をクイックカプラ100に固定するための部材である。
図6に示すように、右側ロックピン30は右外板部材11及び右内板部材12に設けられたスリーブ18内を移動する。また、左側ロックピン31は、左内板部材15及び左外板部材16に設けられたスリーブ18内を移動する。右側ロックピン30及び左側ロックピン31は、以下で説明するロックピン駆動機構32によって駆動される。
【0032】
ロックピン駆動機構32は、連結部材33と、油圧式のロックピンシリンダ34と、を有している。このうち、連結部材33は、右鉛直部35と、左鉛直部36と、水平部37と、を有している。右鉛直部35は下端部分が右側ロックピン30の基端(左端)に固定されており、左鉛直部36は下端部分が左側ロックピン31の基端(左端)に固定されている。また、水平部37は、左内板部材15及び左外板部材16を貫通して、右鉛直部35の上端部分と左鉛直部36の上端部分を連結している。なお、
図4及び
図5に示すように、連結部材33のうち水平部37の左端部分と左鉛直部36は、クイックカプラ本体10よりも左側に位置している。
【0033】
ロックピンシリンダ34は、シリンダロッド先端部に右側ロックピン30が固定されている。これにより、ロックピンシリンダ34が縮んだ状態から伸びた状態に変化すると、右側ロックピン30が右方向へ移動する。これに伴って、連結部材33が右方向へ移動し、左側ロックピン31も連動して右方向へ移動する。ロックピンシリンダ34が縮んだ状態にあるときには、
図5に示すように、右側ロックピン30の先端は右内板部材12に設けられたスリーブ18内に位置しており、左側ロックピン31の先端は左外板部材16に設けられたスリーブ18内に位置している。そのため、右外板部材11と右内板部材12に設けられたスリーブ18の間、及び、左内板部材15と左外板部材16に設けられたスリーブ18の間に、アタッチメント120の係合部122(
図3参照)を出し入れすることができる。つまり、右側ロックピン30及び左側ロックピン31は、非係合位置にある。
【0034】
一方、ロックピンシリンダ34が伸びた状態にあるときは、
図4に示すように、右側ロックピン30は右外板部材11及び右内板部材12に設けられた両スリーブ18を渡すようにして、これらのスリーブ18の間に現れている。同様に、左側ロックピン31も左内板部材15及び左外板部材16に設けられた両スリーブ18を渡すようにして、これらのスリーブ18の間に現れている。このとき、右側ロックピン30及び左側ロックピン31は、アタッチメント120の係合部122に形成された係合孔123(
図3参照)に挿入して、この係合孔123に係合することができる。つまり、右側ロックピン30及び左側ロックピン31は、係合位置にある。
【0035】
カバー部40は、クイックカプラ本体10の背面部分に位置する部材である。カバー部40は、3つの中央カバー41、42、43と、連結部材カバー44と、を有している。各中央カバー41、42、43は、それぞれ右内板部材12と中央右板部材13との間、中央右板部材13と中央左板部材14との間、及び、中央左板部材14と左内板部材15との間に配置されている。前述したロックピンシリンダ34等は、背面側からこれらの中央カバー41、42、43によって覆われている。また、連結部材カバー44は、左内板部材15と左外板部材16の間に配置されており、連結部材33のうち左内板部材15と左外板部材16の間に位置する部分を少なくとも背面側から覆っている。なお、連結部材33のうち左内板部材15と左外板部材16の間に位置する部分を保護するという観点から、この部分を連結部材カバー44が上面側および背面側から覆う構成とすることが好ましい。
【0036】
表示部50は、右側ロックピン30及び左側ロックピン31が係合位置にあるか否かを表示する部分である。本実施形態に係る表示部50は、クイックカプラ100を構成する表示部50以外の部分と異なる色を有する板状の部材である。例えば、クイックカプラ100全体を黄色に塗装し、表示部50を赤色に塗装してもよい。
図6に示すように、表示部50は、連結部材33の水平部37の左端部分に取り付けられている。そして、
図4に示すように、右側ロックピン30及び左側ロックピン31が係合位置にあるとき、表示部50は連結部材カバー44に隠れている。つまり、表示部50は、ロックピン30、31の移動に伴って、カバー部40(連結部材カバー44)に全体が隠れる位置(第一位置)とカバー部40から全体が露出する位置(第二位置)との間を移動する。また、
図5に示すように、右側ロックピン30及び左側ロックピン31が非係合位置にあるとき、表示部50はクイックカプラ本体10よりも左側(外側)で露出している。なお、表示部50の連結部材33への固定は、ボルトを用いて行ってもよく、溶接によって行っても良い。
【0037】
以上が、本実施形態に係るクイックカプラ100の構成である。かかる構成によれば、産業用車両101の作業者(運転者)は、表示部50を目視で確認することで、ロックピン30、31が係合位置にあるか否かを確実かつ容易に判断することができる。すなわち、ロックピン30、31が係合位置にあるか否かの確認は、表示部50の角度位置がどこであるかを判断することによって行われるのではなく、表示部50が見えるか否かによって行われる。そのめ、作業者の見る角度によって、表示部50がカバー部40に隠れるように見えたり、露出するように見えたりといったことはないため、ロックピン30、31が係合位置にあるか否かについての誤認を防ぐことができる。特に、作業者が運転席にいる場合に、作業者の見る角度に影響なく表示部の確認を行うことができる。また、本実施形態に係るクイックカプラ100によれば、産業用車両101によって作業が行われている間、つまりロックピン30、31が係合位置にあるときは、表示部50はカバー部40に隠れた位置にあるため、表示部50の破損を防ぐことができる。さらに、本実施形態に係るクイックカプラ100は、表示部50が右側ロックピン30及び左側ロックピン31の移動方向と同じ方向に移動するため、力の方向を変える機構は不要である。よって、クイックカプラ100の構成を簡素化することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るクイックカプラ200について説明する。
図7は、本実施形態に係るクイックカプラ200の背面図であって、右側ロックピン30及び左側ロックピン31が非係合位置にあるときの図である。
図7に示すように、本実施形態に係るクイックカプラ200は、右側ロックピン30及び左側ロックピン31が非係合位置にあるとき、表示部50が開口部45から露出する点で第1実施形態に係るクイックカプラ100と構成が異なる。以下、詳述する。
【0039】
図7に示すように、右内板部材12と中央右板部材13との間に位置する中央カバー41、及び、中央左板部材14と左内板部材15との間に位置する中央カバー43には、それぞれ開口部45が形成されている。開口部45は、中央カバー41、43の上下方向中央よりも下方であって、各中央カバー41、43の左右方向中央よりも外側に位置している。
【0040】
ただし、開口部45が形成される位置はこれに限定されない。開口部45は、産業用車両101の運転席110からリンク102を構成する各部材103〜109の隙間を介して目視できる位置にあればよい。さらに言えば、アタッチメント120の取り付け作業を考慮すると、開口部45は、作業機112の下端が最低地上高位置から水平位置(ホイストアーム103を支持するアームピン113とリフトアーム取付部17を結ぶ直線が、地面と平行となる位置)までの間のどこかで目視できることが好ましい。特に、開口部45は、作業機112の下端が最低地上高位置にあるときに目視できることが好ましい。
図3で説明したように、一般的にアタッチメント120の下端が産業用車両101の最低地上高位置にある状態で、ロックピン30、31はアタッチメント120の係合孔123に挿入される。そのため、上述の位置に開口部45が形成されていれば、ロックピン30、31が係合位置にあるか否かを効率よく判定することができる。
【0041】
図8は、
図7の断面図であって、第1実施形態の
図6に対応する図である。
図8に示すように、クイックカプラ200は2つの表示部50を有しており、いずれの表示部50もクイックカプラ本体10の内側に位置している。また、いずれの表示部50も、開口部45と上下方向位置が同一となるように設けられている。
図8に示すように、右側の表示部50は右側表示部駆動機構51によって駆動され、左側の表示部50は左側表示部駆動機構52によって駆動される。
【0042】
図9は、両表示部駆動機構51、52の平面図である。
図9の紙面上方側がクイックカプラ200の前面側であり、紙面下方側がクイックカプラ200の背面側である。また、
図9(a)は右側ロックピン30及び左側ロックピン31が非係合位置にあるときを示しており、
図9(b)は右側ロックピン30及び左側ロックピン31が係合位置にあるときを示している。
【0043】
右側表示部駆動機構51は、
図9(a)に示すように、保持部材53と、受け部材54と、スライド部材55と、付勢部材56と、を有している。保持部材53は、右側の表示部50を保持する部材である。受け部材54は、保持部材53に連結され水平方向にスリット57(
図8参照)が形成された板状の部材である。スライド部材55は、基端部分が右側ロックピン30に固定され、先端部分が受け部材54に形成されたスリット57を貫通する板状の部材である。付勢部材56は、保持部材53と右内板部材12の間に配置されたスプリングである。
【0044】
右側ロックピン30が
図9(a)に示す非係合位置から右方向に移動すると、スライド部材55が受け部材54に形成されたスリット57内を右方向に移動する。そして、スライド部材55がスリット57の右端部分にまで達すると、スライド部材55が受け部材54を介して保持部材53を右方向に押す。これにより、付勢部材56は縮んで、右側表示部駆動機構51は
図9(b)に示す状態となる。このとき、右側の表示部50は、中央カバー41に形成された開口部45よりも右側に位置し、中央カバー41に隠れた状態となる。
【0045】
これとは逆に、右側ロックピン30が
図9(b)に示す係合位置から左方向に移動すると、付勢部材56が保持部材53を左方向へ押し、表示部50は
図9(a)に示す非係合位置へと戻る。このとき、右側の表示部50は、中央カバー41に形成された開口部45と同じ左右方向位置となり、開口部45から露出することになる。
【0046】
左側表示部駆動機構52は、
図9(a)に示すように、保持部材58と、リンク部材59と、付勢部材60と、を有している。保持部材58は、左側の表示部50を保持する部材である。リンク部材59は、基端が保持部材58に連結されており、先端が左内板部材15に設けられたスリーブ18の内側に位置している(
図8参照)。付勢部材60は、保持部材58と左内板部材15の間に配置されたスプリングである。
【0047】
左側ロックピン31が
図9(a)に示す非係合位置から右方向に移動して、左側ロックピン31の先端がリンク部材59に接触すると、リンク部材59は回転し(
図9では時計回りに回転)、保持部材58を左方向に押す。これにより、付勢部材60は縮んで、左側表示部駆動機構52は
図9(b)に示す状態となる。このとき、左側の表示部50は、中央カバー43に形成された開口部45よりも左側に位置し、中央カバー43に隠れた状態となる。
【0048】
これとは逆に、左側ロックピン31が
図9(b)に示す係合位置から左方向に移動すると、付勢部材60が保持部材58を右方向へ押し、リンク部材59が回転して(
図9では反時計回り)、左側の表示部50は
図9(a)に示す非係合位置へと戻る。このとき、左側の表示部50は、中央カバー43に形成された開口部45と同じ左右方向位置となり、開口部45から露出することになる。
【0049】
以上が、本実施形態に係るクイックカプラ200の構成である。上記のとおり、本実施形態に係るクイックカプラ200の場合も、表示部50は、ロックピン30、31の移動に伴って、カバー部40(中央カバー41、43)に全体が隠れる位置(第一位置)とカバー部40から全体が露出する位置(第二位置)との間を移動する。なお、以上では、保持部材53、58に保持された表示部50がリンク等を介してロックピン30、31に駆動される場合について説明したが、表示部50を駆動する構成はこれに限られない。例えば、表示部50を連結部材33に直接取り付けることにより、表示部50を駆動するようにしてもよい。
【0050】
第1実施形態に係るクイックカプラ100の場合、産業用車両101が大きくなると、表示部50がリンク102を構成する部材(特に、リフトアーム103)に隠れて、運転席110から表示部50を目視しにくくなることもある。これに対し、本実施形態に係るクイックカプラ200によれば、リンク102を構成する各部材103〜109の隙間を介して運転席110から表示部50を目視することになる。そのため、第1実施形態の場合とは異なり、産業用車両101が大きくなると、リンク102を構成する部材の隙間が大きくなることから、表示部50が見やすくなる。
【0051】
なお、本実施形態のようにロックピン30、31が非係合位置にあるとき、カバー部40に形成された開口部45から表示部50を露出させる構成は、
図10に示すような右側ロックピン30と左側ロックピン31の両方を左右方向内側から外側へと移動させるクイックカプラにも採用することができる。
図10に示すクイックカプラは、表示部50が右側ロックピン30及び左側ロックピン31に直接固定されている。また、ロックピンシリンダ34は左右方向(軸方向)にはクイックカプラ100に固定されておらず、ストッパ(図示せず)によって左右方向の可動範囲が限定される。そして、ロックピンシリンダ34が縮んでロックピン30、31が非係合位置にあるときには、表示部50と開口部45(
図7参照)が重なるような位置に開口部45が形成されている。なお、ロックピンシリンダ34は、ロックピンシリンダ34が縮んだ状態から伸びた状態に変化すると、右側ロックピン30は右方向へ左側ロックピン31は左方向へストッパが当たるまで移動する。これによりロックピン30、31に固定された表示部50も左右方向へそれぞれ移動する。また、上述の構成に代えて、左右の表示部50を駆動させる機構として、前述した右側表示部駆動機構51と同様の機構を右側ロックピン30及び左側ロックピン31に採用してもよい。
【0052】
なお、以上では、ロックピン30、31が係合位置にあるとき表示部50はカバー部40に隠れ、ロックピン30、31が非係合位置にあるとき表示部50はカバー部40から露出する場合について説明したが、これとは逆に、ロックピン30、31が係合位置にあるとき表示部50はカバー部40から露出し、ロックピン30、31が非係合位置にあるとき表示部50はカバー部40に隠れるようにしてもよい。
【0053】
また、以上では、表示部50が板状の部材である場合について説明したが、表示部50の構成はこれに限られない。例えば、板状の表示部50を連結部材33に固定するのに代えて、連結部材33の一部をそれ以外の部分と異なる色に塗装し、この塗装した部分を表示部50としてもよい。
【0054】
さらに、以上では、第1実施形態に係るクイックカプラ100と第2実施形態に係るクイックカプラ200を別々に説明したが、両クイックカプラ100、200の構成を組み合わせてもよい。すなわち、ロックピン30、31が非係合位置にあるとき、表示部50をクイックカプラ本体10よりも左右方向外側で露出させるとともに、表示部50をカバー部40の開口部45から露出させてもよい。