特開2015-161135(P2015-161135A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161135(P2015-161135A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】免震装置、及び建造物
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20150811BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   E04H9/02 331E
   F16F15/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-37893(P2014-37893)
(22)【出願日】2014年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工メカトロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】平井 潤
(72)【発明者】
【氏名】大木 洋司
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AC03
2E139AC06
2E139AC19
2E139AD03
2E139CA22
2E139CA24
2E139CB05
2E139CC02
3J048AA01
3J048AC01
3J048BC02
3J048BG04
3J048CB21
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】建造物に対する免震を適切に行うことができる。
【解決手段】基礎の上方に配置される架台を免震可能に支持する免震装置であって、基礎の上面に、水平方向に摺動可能に配置される支持部と、前記支持部と前記架台との間に圧縮状態で配置される弾性部材と、該上面から水平方向に離間するに従って上方に傾斜するように該上面から連続的に延在するとともに前記支持部が摺動可能とされた傾斜部と、を備える。この構成によれば、支持部が傾斜部に対して摺動可能であるとともに、傾斜部に設けられた傾斜によって、基礎の上面から支持部が大きく変位するほど、支持部、及び架台に作用する位置エネルギーが大きくなる。これにより、支持部と傾斜部との間で作用する摩擦力が増大する。したがって、基礎の上面からの支持部の変位が拡大し続けることを抑制することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上方に配置される架台を免震可能に支持する免震装置であって、
基礎の上面に、水平方向に摺動可能に配置される支持部と、
前記支持部と前記架台との間に圧縮状態で配置される弾性部材と、
前記上面から水平方向に離間するに従って上方に傾斜するように前記上面から連続的に延在するとともに前記支持部が摺動可能とされた傾斜部と、
を備える免震装置。
【請求項2】
前記基礎の上面から前記傾斜部の延在方向に離間するに従って、前記傾斜部の表面粗さが段階的に増加する
請求項1に記載の免震装置。
【請求項3】
前記傾斜部と前記上面とがなす角度が、前記上面から水平方向に離間するに従って次第に大きくなる
請求項1又は2に記載の免震装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された前記免震装置を備える建造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置、及びこれを備える建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な地震発生時における建造物倒壊の可能性を低減するための技術として、建造物の基礎に免震装置を設けることが一般的に行われている。免震装置は、地震の揺れによるエネルギーを減衰するために、減衰部材としてのダンパー装置と、弾性部材としてのバネ等を備えている。
このような装置として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1の免震装置では、建造物の床はりと受け台にそれぞれ上下のソウルプレートが設けられ、該ソウルプレートの間に介在する中空状の免震材と、該免震材の中空部に設けられるとともにバネを介して床はりに支持された減衰棒(ダンパー)を有している。さらに、下ソウルプレートには、減衰棒との間に摩擦力を作用させるための凹凸が形成されている。すなわち、この免震装置は、免震材と減衰棒の作用に加えて、摩擦力による免震効果も志向するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−248549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された免震装置では、下ソウルプレート表面の凹凸が、延在領域の全体にわたって一定の間隔で設けられている。この場合、減衰棒と下ソウルプレートとの間に作用する摩擦力は、地震の揺れによる建造物の変位量によらずに一定となる。すなわち、建造物に大きな変位が生じた場合、それ以上の変位が発生することを抑制することができず、適切な免震効果が得られない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の免震装置は、以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る免震装置は、基礎の上方に配置される架台を免震可能に支持する免震装置であって、基礎の上面に、水平方向に摺動可能に配置される支持部と、前記支持部と前記架台との間に圧縮状態で配置される弾性部材と、該上面から水平方向に離間するに従って上方に傾斜するように該上面から連続的に延在するとともに前記支持部が摺動可能とされた傾斜部と、を備える。
【0006】
この構成によれば、支持部が傾斜部に対して摺動可能であるとともに、傾斜部に設けられた傾斜によって、基礎の上面から支持部が大きく変位するほど、支持部、及び架台に作用する傾斜方向下向きの力が大きくなる。したがって、基礎の上面からの支持部の変位が拡大し続けることを抑制することができる。
【0007】
さらに、本発明の一態様に係る免震装置は、前記基礎の上面から前記傾斜部の延在方向に沿って離間するに従って、前記傾斜部の表面粗さが段階的に増加するように構成されていてもよい。
【0008】
この構成によれば、基礎の上面から離間するに従って、傾斜部の表面粗さが次第に増加する。したがって、支持部の変位量が大きくなるに従って、支持部と傾斜部との間で作用する摩擦力が増大する。これにより、基礎の上面からの支持部の変位が拡大し続けることを抑制することができる。
【0009】
さらに、本発明の一態様に係る免震装置は、前記傾斜部と前記上面とがなす角度が、前記上面から水平方向に離間するに従って次第に大きくなるように構成されていてもよい。
【0010】
この構成によれば、基礎の上面から支持部が大きく変位するほど、支持部、及び架台に作用する重力のうち、傾斜方向下向きの成分が大きくなる。これにより、支持部と傾斜部との間で作用する摩擦力が増大する。したがって、基礎の上面からの支持部の変位が拡大し続けることを抑制することができる。
【0011】
さらに、本発明の他の態様に係る建造物は、上述の各態様における免震装置を備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、建造物に対する適切な免震効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の免震装置によれば、建造物に対する免震を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る免震装置を備えた建造物の断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る免震装置の断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る免震装置の斜視図である。
図4】本発明の第二実施形態に係る免震装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態に係る免震装置1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における免震装置1が適用される建造物Bを示す断面図である。図1に示すように、建造物Bは、地盤Gの上方に後述する基礎90を介して立設される地上構造物である。建造物Bは、地盤Gに直交する方向に設けられた複数の基礎柱101と、上部構造体102と基礎Gとの間に設けられた複数の免震装置1と、から構成される。
【0016】
基礎柱101は、上部構造体102の構造や規模に応じて決定される寸法、材質、および形状を有している。上部構造体102の内部には、例として住居や商業施設、医療施設のほか、放射性物質を取り扱う施設等に至るまで、耐震性に対する要請が顕著な設備が入居する。また、上部構造体102の外観や寸法は設計や需要に応じて任意に決定される。
免震装置1は、上部構造体102の床面Pの下部であって、かつ、隣接する複数の基礎柱101の間の領域に設けられる。
【0017】
図2は、本実施形態に係る免震装置1を、鉛直方向と交差する方向から見た断面図である。図2に示すように、免震装置1は、基礎90の上方に間隔を空けて設けられた架台100と、基礎90と架台100とを上下方向に接続する免震装置本体1Aとを有している。
【0018】
基礎90の表面には、概ね水平面上に形成された上面30と、上面30の周囲を囲むとともに上方に傾斜するように設けられた傾斜部33と、が設けられている。上面30は、上方から見て円形をなしている。さらに、上面30の表面は平滑に形成されている。
【0019】
傾斜部33は、上面30と一定の角度θをなして、上面30の端縁32から斜め上方に向かって連続的に延在する面である。図3に示すように、傾斜部33は上面30を底面として、上方に向かうに従って拡径する円錐面をなしている。すなわち、基礎90の表面には、鉛直下方に向かって凹む、円錐台状の凹部が設けられている。
【0020】
さらに、傾斜部33の表面は粗く形成された摩擦面40をなしている。摩擦面40は、表面粗さの異なる3つの第一摩擦面41と、第二摩擦面42と、第三摩擦面43と、から構成される。これら第一摩擦面41、第二摩擦面42、第三摩擦面43は、上面30とそれぞれ同心状に延在する円環状の面である。これらの面は、上面30から離間する方向に沿って、第一摩擦面41、第二摩擦面42、第三摩擦面43の順に設けられている。第三摩擦面43の径方向外側の領域には、平面状に延在する平坦部44が設けられている。
【0021】
摩擦面40では、第一摩擦面41から第三摩擦面43に向かうに従って、それぞれの表面が段階的に粗くなるように形成されている。第一摩擦面41は、上面30に比して十分に粗く形成されている。さらに、第二摩擦面42は、第一摩擦面41よりもさらに粗く形成されている。さらに加えて、第三摩擦面43は、第二摩擦面42よりもさらに粗く形成されている。
【0022】
摩擦面40の表面粗さを確保するに当たっては、例えば摩擦面40の表面にカーボン粒子を焼結定着する等の方法が考えられる。
【0023】
免震装置本体1Aは、外形視で円柱状の支持部10と、支持部10の上部と架台100の表面とを互いに接続する弾性部材20と、を有している。
【0024】
支持部10は、上下方向に延在する中心軸線を有する概ね円柱状の部材である。支持部10は、支持部10の上側の部分を構成する支持部本体11と、支持部本体11の下側に配置された摺接部12と、支持部本体11の上部を径方向外側から覆う外筒部13と、を有する。支持部本体11と、摺接部12とは上下方向に一体に接合されて支持部10を形成する。
【0025】
外筒部13は、外形視で円筒状に形成された部材である。外筒部13の上側の端部は、架台100に固定されている。一方で、外筒部13の下側の端部から上面30との間には一定の間隙が形成される。すなわち、上面30から架台100までの離間距離に比して、外筒部13の上下方向の寸法は短く設定される。また、外筒部13の内周面と支持部本体11の外周面との間には所定の間隙が形成されている。
【0026】
支持部本体11の下側の面、すなわち摺接部12の下側の面である摺接面12Aは、平常時にあっては基礎90の上面30に位置している。また、摺接面12Aの径方向の寸法は、上面30の径方向の寸法と概ね同一となるように設定されている。加えて、摺接部12は上面30に対しては固定されておらず、地震による揺れが生じた際には、摺接部12は上面30と摺動可能とされている。
【0027】
支持部本体11は強化コンクリート等で形成される。摺接部12を形成する材料は設計に応じて任意に決定されてよい。しかし、上述の摩擦面40との間で十分な摩擦力を発揮する材料を用いることが望ましい。
【0028】
支持部本体11の上側の面には、弾性部材20が設けられている。弾性部材20の下側の端部は、支持部本体11の上側の面に対して固定される。弾性部材20の上側の端部は、架台100の下側の表面に固定される。弾性部材20には、架台100を介して、架台100の上部に配置された建造物Bの重量が作用するため、上下方向から圧縮された状態で維持、固定されることとなる。なお、弾性部材20としては、例えば巻ばねを用いることが望ましい。
【0029】
次に、上述のように構成された免震装置1の作用について説明する。
地震が発生すると、地盤Gが振動を始める。この振動によるエネルギーは基礎柱101を介して建造物Bに伝播する。振動が繰り返されるのに従って、建造物Bには水平面上の各方向に向かう力が作用する。
【0030】
この水平方向の力は、建造物Bに備えられた免震装置1に伝播する。このとき、架台100を介して、支持部10にも水平方向に向かう力が作用する。図2中の矢印Fは、この水平方向の力を表している。なお、地震による振動は、上下方向の振動と、水平方向の振動とを含む複合的な振動であるが、垂直方向の振動を主とする地震現象は稀であることから、ここでは代表的に水平方向の振動を取り上げるものとする。加えて、実際の地震では、水平面上の任意の方向に向かって揺れ(振動)が生じるが、ここでは説明を簡略化するため、図2に示す支持部10の軸線と交差する任意の1つの平面上で生じる一方向の揺れ(振動)についてのみ説明する。
【0031】
支持部10の摺接部12は上面30に対して摺接可能であることから、支持部10に対して水平方向に向かう力Fが作用すると、支持部10は力Fの作用する方向に沿って摺動する。支持部10は、上面30上で摺動を始めるとすぐに、上面30の端縁32を経て傾斜部33に到達する。すなわち、支持部10は傾斜部33の傾斜角度に沿って、傾斜方向上方に向かって移動する。
【0032】
傾斜部33には摩擦面40が形成されているため、摺接部12には、摩擦面40からの動摩擦力が作用する。ここで、上述のように摩擦面40は第一摩擦面41、第二摩擦面42、及び第三摩擦面43の3つから構成されている。傾斜部33を移動する支持部10は、まず、上面30から最も近い第一摩擦面41に到達する。
【0033】
第一摩擦面41は、上面30に比して粗く形成されている。したがって、支持部10における摺接部12には、上面30上を摺動する場合に比べて高い摩擦力が作用する。より詳細には、摺接部12には、傾斜部33の傾斜方向下向きの摩擦力が作用する。この摩擦力によって、第一摩擦面41における支持部10の移動に係る加速度、及び速度が減少する。すなわち、支持部10に作用していた、地震の揺れによる水平方向の力は、摩擦熱や摩擦音となって外部に一定程度だけ発散される。
【0034】
ここで、地震の揺れによって支持部10に作用する水平方向の力Fが比較的小さい場合には、上述のような摩擦力の作用によって第一摩擦面41上で一旦静止する。続いて、第一摩擦面41上で静止した支持部10には、地震の揺れによる力とともに、傾斜部33の傾斜方向下向きに重力が作用する。これにより、支持部10は傾斜部33の傾斜方向下向きに移動を始める。
【0035】
以後、上面30を通過した後、それまでに通過した傾斜部33とは(上面30を挟んで)反対側の傾斜部33を、その傾斜方向上向きに向かって移動する。反対側の傾斜部33でも、上述のような摩擦力の作用により、支持部10の運動は抑制される。
【0036】
その後、支持部10は、地震の揺れによる力と重力の作用によって、再び傾斜部33の傾斜方向下向きに移動をする。支持部10は、地震が収束するまで、上述のような往復運動を繰り返す。
【0037】
ここで、支持部10が傾斜部33を傾斜方向上向きに移動する際には、支持部10に対して鉛直方向上向きの力も作用する。しかしながら、このような上向きの力は、弾性部材20によって吸収されるため、地震の継続する間にわたって、架台100、ひいては建造物Bが受ける影響は抑制される。
【0038】
一方で、地震の規模が比較的大きく、水平方向の力Fが大きい場合は、支持部10は第一摩擦面41上では静止せず、第二摩擦面42にまで到達する。
【0039】
上述のように、第二摩擦面42は第一摩擦面41よりも粗く形成されている。したがって、第二摩擦面42に到達した支持部10の摺接部12には、さらに大きな摩擦力が作用する。これにより、第二摩擦面42における支持部10の移動に係る加速度、及び速度が減少する。その後、上述の場合と同様に、支持部10は上面30を挟んで傾斜部33,33の間を往復運動し、地震の収束と概ね同時に上面30上で静止する。
【0040】
地震の規模がさらに大きな場合には、第二摩擦面42においても、支持部10は静止するに至らず、第三摩擦面43にまで到達する。第三摩擦面43は第二摩擦面42よりもさらに粗く形成されているため、第三摩擦面43に到達した支持部10の摺接部12には、より大きな摩擦力が作用する。これにより、第三摩擦面43における支持部10の移動に係る加速度、及び速度が減少する。その後、支持部10は、上面30を中心とする往復運動を経たのち、地震の収束と概ね同時に上面30上で静止する。すなわち、支持部10の運動は減衰する。
【0041】
このように、免震装置1では、傾斜部33が設けられるとともに、傾斜部33には表面粗さが段階的に大きくなる摩擦面40(第一摩擦面41,第二摩擦面42,第三摩擦面43)が設けられている。したがって、架台100を支持する支持部10には、傾斜部33の傾斜方向下向きに向かう力と、摩擦面40における摩擦力が作用する。これにより、支持部10は、上面30を中心として傾斜部33上を往復運動し、やがてこの往復運動は減衰する。
すなわち、地震の揺れによる建造物B(架台100)の水平方向における変位は拡大し続けることなく免震される。言い換えると、架台100は免震装置1によって免震可能に支持される。
【0042】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0043】
例えば、上述の実施形態では、摩擦面40の構成の一例として、カーボン粒子を平面上に焼結固定する構成を説明した。しかし、摩擦面40の構成はこれに限定されず、傾斜部33にモルタル等を塗布する構成であってもよい。
【0044】
また、傾斜部33は、上面30を中心として同心円状に延在する環状の凹凸を有する構成であってもよい。この場合、第一摩擦面41から第三摩擦面43にかけて該凹凸が段階的に密になるようにすることで、摩擦力の異なる3つの面を形成することができる。
【0045】
同様にして、摩擦面40は、ドット状の凹凸によって形成されていてもよい。この場合でも、該ドットの密度を適宜変更することで、摩擦力の異なる3つの面を形成することができる。
【0046】
さらに、摩擦面40は、傾斜部33の表面に、傾斜部33の構成部材とは別の素材(例えばシート状の部材)を貼付することで形成されていてもよい。
【0047】
続いて、本発明の第二実施形態について、図4を参照して説明する。なお、上述の第一実施形態と同一の構成、部材については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0048】
図4に示すように、本実施形態に係る免震装置1は、以下の点で上述の実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態における免震装置1では、基礎91における傾斜部34が、上面30から水平方向に離間するに従って、次第にその傾斜が大きくなるように形成されている。より詳細には、傾斜部34と上面30とがなす角度θが、上面30から水平方向に離間するに従って、次第に大きくなるように形成されている。すなわち、基礎91は外形視で上方向に開口するとともに、下方向に湾曲した曲面を有するカップ状に形成されている。
【0049】
このような構成によれば、地震の揺れによって支持部10が傾斜部34の傾斜方向に沿って移動するに従って、支持部10に作用する重力のうち、斜面方向下向きの成分が次第に大きくなる。
【0050】
さらに、傾斜部34には上述の第一実施形態と同様に摩擦面50が形成されている。加えて、摩擦面50は、上面30を中心として、径方向外側に向かうに従って、それぞれ表面粗さの異なる第一摩擦面51、第二摩擦面52、及び第三摩擦面53を有している。第一摩擦面51から第三摩擦面53にかけて、表面粗さが段階的に大きくなるように形成されている。
したがって、摩擦面50上で支持部10に作用する重力及び摩擦力によって、地震の揺れによる水平方向の力Fを受けた支持部10の運動は減衰する。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 免震装置
1A 免震装置本体
10 支持部
11 支持部本体
12 摺接部
12A 摺接面
13 外筒部
20 弾性部材
30 上面
32 端縁
40 摩擦面
41 第一摩擦面
42 第二摩擦面
43 第三摩擦面
44 平坦部
50 摩擦面
51 第一摩擦面
52 第二摩擦面
53 第三摩擦面
90 基礎
91 基礎
100 架台
101 基礎柱
102 上部構造体
B 建造物
F 水平方向の力
G 地盤
P 床面
θ 角度
図1
図2
図3
図4