特開2015-161332(P2015-161332A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オイレス工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000003
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000004
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000005
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000006
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000007
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000008
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000009
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000010
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000011
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000012
  • 特開2015161332-離間距離調整機構および搬送装置 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161332(P2015-161332A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】離間距離調整機構および搬送装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20150811BHJP
   B65G 51/03 20060101ALI20150811BHJP
   B65G 49/06 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   F16B5/02 P
   B65G51/03 Z
   B65G49/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2014-35364(P2014-35364)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】角田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】安田 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】金井 仁志
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA03
3J001HA02
3J001HA09
3J001JA04
3J001KA15
3J001KB05
(57)【要約】
【課題】二つの部材の離間距離をより細やかに調整可能な離間距離調整機構および搬送装置を提供する。
【解決手段】間隔調整機構1aは、搬送フレーム4および架台5間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一間隔調整装置2a各々の差動ネジ20を回転させることにより、差動ネジ20の回転数と差動ネジ20の第一のネジ部201および第二のネジ部202間のピッチ差分との積により定まる調整量分、搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減することができる。この際、一対の第一間隔調整装置2a間に配置された第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35にシャフト31をスライド自在に保持させておき、一対の第一間隔調整装置2aによる間隔調整がおおよそ終了してから、円筒ネジ35を回転させてシャフト31に固定することにより、第二間隔調整装置3aに過剰な負荷かかるのを防止でき、間隔調整機構1aが損傷する可能性を低減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの部材の離間距離を調整する離間距離調整機構であって、
前記二つの部材間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一の離間距離調整装置と、
前記一対の第一の離間距離調整装置間に配置された第二の離間距離調整装置と、を備え、
前記第一の離間距離調整装置は、
前記二つの部材のうちの第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合する第一のネジ部と、前記二つの部材のうちの第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合し、前記第一のネジ部とはピッチの異なる第二のネジ部と、を有する差動ネジを備え、
前記第二の離間距離調整装置は、
前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジと、
前記ネジの軸心方向に連結されたネジ連結シャフトと、
前記ネジ連結シャフトを前記第二の部材に連結するネジ連結シャフト用円筒ネジと、
前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に対する前記ネジ連結シャフト用円筒ネジのねじ込み量を規制する規制手段と、を備え、
前記ネジ連結シャフト用円筒ネジは、
前記ネジ連結シャフトが挿入されるとともに、前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジ部が外周面に形成された円筒ネジ本体と、
前記円筒ネジ本体の他方の端部から一方の端部へ向けて形成されたスリットと、を備える
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項2】
請求項1に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の一方の端部において径方向外側へはり出すように形成され、前記ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、当該固定手段の当該ネジ穴が設けられた面と当接する鍔部である
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項3】
請求項1に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記ネジ連結シャフトが挿入されるとともに、前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に挿入され、前記ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、前記ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の他方の端部と当接するスペーサである
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項4】
請求項1に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴内に形成され、前記ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、前記ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の他方の端部と当接する段差面である
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置は、
一方の端面に前記差動ネジの前記第二のネジ部と螺合するネジ穴が形成され、当該差動ネジと軸心方向に連結された差動ネジ連結シャフトと、
前記差動ネジ連結シャフトを前記第二の部材に連結する差動ネジ連結シャフト用円筒ネジと、
前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に対する当該差動ネジ連結シャフト用円筒ネジのねじ込み量を規制する規制手段と、をさらに備え、
前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジは、
前記差動ネジ連結シャフトが挿入されるとともに、前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジ部が外周面に形成された円筒ネジ本体と、
前記円筒ネジ本体の他方の端部から一方の端部へ向けて形成されたスリットと、を備える
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項6】
請求項5に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の一方の端部において径方向外側へはり出すように形成され、前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、当該固定手段の当該ネジ穴が設けられた面と当接する鍔部である
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項7】
請求項6に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記差動ネジ連結シャフトが挿入されるとともに、前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に挿入され、前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の他方の端部と当接するスペーサである
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項8】
請求項6に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置の前記規制手段は、
前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴内に形成され、前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジを前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込んだ場合に、前記差動ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の他方の端部と当接する段差面である
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記ネジは、
前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合する第一のネジ部と、前記ネジ連結シャフトの端面に設けられたネジ穴と螺合し、前記第一のネジ部とはピッチの異なる第二のネジ部と、を有する差動ネジである
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置の前記差動ネジは、前記第一のネジ部側の端面に形成されたレンチ挿入用穴を有し、
前記第一の離間距離調整装置の前記差動ネジと螺合する、前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴は、前記搬送レールの表面を貫いている
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記ネジは、前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に挿入される端面に形成されたレンチ挿入用穴を有し、
前記第二の離間距離調整装置の前記ネジと螺合する、前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴は、前記第一の部材の表面を貫いている
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置の前記差動ネジは、前記第一のネジ部と前記第二のネジ部との間の外周面に形成された平坦部を有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項13】
請求項1ないし9および12のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置の前記ネジは、外周面に形成された平坦部を有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置は、
前記差動ネジの前記第一のネジ部と螺合して、前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段と当接することにより、当該第一のネジ部と当該裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴との螺合の緩み止めを防止するナットをさらに有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置は、
前記ネジと螺合して、前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段と当接することにより、当該ネジと当該裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴との螺合の緩み止めを防止するナットをさらに有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項16】
請求項1ないし13のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第一の離間距離調整装置は、
前記差動ネジの前記第一のネジ部と前記第二のネジ部との間に位置するように、前記差動ネジに装着されたスプリングパッドと、
一方の端部が前記差動ネジに装着された前記スプリングパッドと当接し、他方の端部が前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段と当接するスプリングと、をさらに有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項17】
請求項1ないし13および16のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置は、
前記ネジに装着されたスプリングパッドと、
一方の端部が前記ネジに装着された前記スプリングパッドと当接し、他方の端部が前記第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段と当接するスプリングと、をさらに有する
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の離間距離調整機構であって、
前記第二の離間距離調整装置は、
前記ネジ連結シャフト用円筒ネジの前記円筒ネジ本体の内周面、および前記ネジ連結シャフトの外周面の少なくとも一方に、凹凸が形成されている
ことを特徴とする離間距離調整機構。
【請求項19】
搬送対象物を搬送するための搬送装置であって、
搬送レールと、
架台と、
前記搬送レールを第一の部材とし、前記架台を第二の部材として、両部材の離間距離を調整する請求項1ないし18のいずれか一項に記載の離間距離調整機構と、を備える
ことを特徴とする搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの部材の離間距離を調整する離間距離調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ライン等において、ガラス基板等の薄板状の搬送対象を搬送レールの搬送面から浮上させて非接触で搬送する浮上搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような浮上搬送装置を含む様々な搬送装置において、搬送レールは、間隔調整機構を介して架台によって支えられている。間隔調整機構は、搬送レールが所望の高さで水平になるように、搬送レールと架台との間隔を調整する。
【0003】
図11は、従来の間隔調整機構7を含む搬送装置の断面図である。
【0004】
図示するように、従来の間隔調整機構7は、搬送レール8と架台9との間に介在する複数の間隔調整装置70によって構成される。それぞれの間隔調整装置70は、つぎのようにして搬送レール8と架台9との間に組み付けられる。まず、搬送レール8の表面(搬送面)80から裏面81を貫く座繰り貫通穴82に、六角穴付きボルト71を搬送レール8の表面80側から挿入する。つぎに、スプリングソーサ72、スプリング73、およびブラケット74を、この順番で搬送レール8の裏面81から突出した六角穴付きボルト71の軸部710に装着する。それから、六角穴付きボルト71のネジ部711が、架台9の裏面91から表面90を貫く段付き貫通穴92に、架台9の表面90側から挿入されるように架台9を配置し、架台9の裏面91側から架台9の段付き貫通穴92にTナット75を挿入して、六角穴付きボルト71のネジ部711と螺合させる。つぎに、ブラケット74をボルト76で架台9の表面90に取り付ける。最後に、六角穴付きボルト71の頭部712の六角穴713に図示していない六角レンチを差し込んで回すことにより、六角穴付きボルト71のネジ部711とTナット75との螺合度合い(ねじ込み量)を調節することにより、架台9の表面90と搬送レール8の裏面81との間隔hを調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−190890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の間隔調整装置70は、六角穴付きボルト71の回転数と六角穴付きボルト71のネジ部711のピッチとの積により間隔hの調整量が決まる。六角穴付きボルト71のネジ部711は、スプリング73の反力が六角穴付きボルト71に付与された状態で高さ調整のために回転する。このため、ネジ山が摩耗し易く、また、スプリング73の反力に耐え得る強度が必要であることから、六角穴付きボルト71のネジ部711のピッチを狭くすることが困難であり、間隔hを細かく調整することができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二つの部材の離間距離をより細やかに調整可能な離間距離調整機構および搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の離間距離調整機構は、二つの部材間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一の離間距離調整装置と、これら第一の離間距離調整装置間に配置された第二の離間距離調整装置と、を備える。第一の離間距離調整装置は、二つの部材のうちの第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合する第一のネジ部と、二つの部材のうちの第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合し、第一のネジ部とはピッチの異なる第二のネジ部と、を有する差動ネジを備えている。この差動ネジを回転させることにより、差動ネジの回転数と差動ネジの第一のネジ部および第二のネジ部間のピッチ差分との積により定まる調整量分、二つの部材の離間距離を増減する。第二の離間距離調整装置は、第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジと、このネジの軸心方向に連結されたネジ連結シャフトと、このネジ連結シャフトが挿入されるとともに、第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジ部が外周面に形成されたネジ連結シャフト用円筒ネジと、第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に対するネジ連結シャフト用円筒ネジのねじ込み量を規制する規制手段と、を備えている。ネジ連結シャフト用円筒ネジは、他方の端部から一方の端部へ向けてスリットが形成されており、このネジ連結シャフト用円筒ネジを回転させることにより、外周面に形成されたネジ部が第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込まれる。そして、ネジ連結シャフト用円筒ネジを第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴にねじ込み量の規制値以上にねじ込もうとすると、ネジ部のネジ山と第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴のネジ溝とが圧接され、ネジ山およびネジ溝の傾斜によりその圧接力の一部が径方向内側に向かう。ネジ部には、他方の端部から一方の端部へ向けて軸心方向に沿ったスリットが形成されているため、この径方向内側に向かう力によりネジ部の他方の端部側が径方向内側に移動して、円筒ネジに挿入されたネジ連結シャフトを締め付ける。
【0009】
例えば、本発明の離間距離調整機構は、二つの部材の離間距離を調整する離間距離調整機構であって、
前記二つの部材間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一の離間距離調整装置と、
前記一対の第一の離間距離調整装置間に配置された第二の離間距離調整装置と、を備え、
前記第一の離間距離調整装置は、
前記二つの部材のうちの第一の部材の裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合する第一のネジ部と、前記二つの部材のうちの第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合し、前記第一のネジ部とはピッチの異なる第二のネジ部と、を有する差動ネジを備え、
前記第二の離間距離調整装置は、
前記第一の部材ルの裏面あるいは裏面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジと、
前記ネジの軸心方向に連結されたネジ連結シャフトと、
前記ネジ連結シャフトを前記第二の部材に連結するネジ連結シャフト用円筒ネジと、
前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴に対する前記ネジ連結シャフト用円筒ネジのねじ込み量を規制する規制手段と、を備え、
前記ネジ連結シャフト用円筒ネジは、
前記ネジ連結シャフトが挿入されるとともに、前記第二の部材の表面あるいは表面に取り付けられた固定手段に設けられたネジ穴と螺合するネジ部が外周面に形成された円筒ネジ本体と、
前記円筒ネジ本体の他方の端部から一方の端部へ向けて形成されたスリットと、を備える。
【0010】
また、本発明の搬送装置は、搬送対象物を搬送するための搬送装置であって、
搬送レールと、架台と、前記搬送レールを第一の部材とし、前記架台を第二の部材として、両部材の離間距離を調整する上述の離間距離調整機構と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、二つの部材間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一の離間距離調整装置各々の差動ネジを回転させることにより、差動ネジの回転数と差動ネジの第一のネジ部および第二のネジ部間のピッチ差分との積により定まる調整量分、二つの部材の離間距離を増減することができるので、二つの部材の離間距離をより細やかに調整することができる。また、この際、一対の第一の離間距離調整装置間に配置された第二の離間距離調整装置のネジ連結シャフト用円筒ネジにネジ連結シャフトをスライド自在に保持させておき、一対の第一の離間距離調整装置による二つの部材の離間距離調整がおおよそ終了してから、ネジ連結シャフト用円筒ネジを回転させてネジ連結シャフトに固定することにより、第二の離間距離調整装置に過剰な負荷かかるのを防止でき、離間距離調整機構が損傷する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第一実施の形態に係る間隔調整機構1aを含む搬送装置の断面図である。
図2図2(A)は、円筒ネジ35の底面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す円筒ネジ35のA−A断面図である。
図3図3は、円筒ネジ35の原理を説明するための図である。
図4図4は、本発明の第二実施の形態に係る間隔調整機構1bを含む搬送装置の断面図である。
図5図5は、本発明の第三実施の形態に係る間隔調整機構1cを含む搬送装置の断面図である。
図6図6は、本発明の第四実施の形態に係る間隔調整機構1dを含む搬送装置の断面図である。
図7図7は、本発明の第五実施の形態に係る間隔調整機構1eを含む搬送装置の断面図である。
図8図8は、本発明の第六実施の形態に係る間隔調整機構1fを含む搬送装置の断面図である。
図9図9は、円筒ネジ35を用いたブラケット32にシャフト31を固定するための機構の変形例を説明するための図である。
図10図10は、円筒ネジ35を用いたブラケット32にシャフト31を固定するための機構の変形例を説明するための図である。
図11図11は、従来の間隔調整機構7を含む搬送装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
<第一実施の形態>
図1は、本発明の第一実施の形態に係る間隔調整機構1aを含む搬送装置の断面図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整機構1aは、搬送レール4と架台5との間に所定の間隔をおいて配置された少なくとも一対の第一間隔調整装置2aと、一対の第一間隔調整装置2a間に配置された第二間隔調整装置3aと、を備えて構成される。なお、ここでは、一対の第一間隔調整装置2aを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3aを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0016】
第一間隔調整装置2aは、差動ネジ20と、差動ネジ20と軸心方向に連結されたシャフト21と、シャフト21を架台5の表面50に取り付けるためのブラケット22と、を備えている。
【0017】
差動ネジ20は、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴42と螺合する第一のネジ部201と、シャフト21の一方の端面210に設けられたネジ穴212と螺合し、第一のネジ部201とはピッチの異なる第二のネジ部202と、端面(第一のネジ部201を挟んで第二のネジ部202の反対側に位置する端面)203に設けられたレンチ挿入用穴204と、を有する。ここで、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴42は、搬送レール4の表面40を貫いている。このネジ穴42は、例えばヘリサート44を用いることにより形成してもよい。
【0018】
シャフト21は、一方の端面210に設けられ、差動ネジ20の第二のネジ部202と螺合するネジ穴212と、他方の端面211に設けられ、後述の組立ボルト25と螺合するネジ穴213と、を有する。なお、本実施の形態では、差動ネジ20をシャフト21より短くしているが、差動ネジ20をシャフト21より長くしてもよい。また、図示していないが、シャフト21をスパナで回転させることができるように、シャフト21の外周面にスパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。例えば、シャフト21を六角柱状とすることにより、あるいはシャフト21の外周面に六角柱状の鍔部を設けることにより、スパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。
【0019】
ブラケット22は、裏面221から表面220に向けて形成された座繰り貫通穴222と、後述の組立ボルト24でブラケット22を架台5の表面50に取り付けるための座繰り貫通穴223と、を有する。
【0020】
第二間隔調整装置3aは、差動ネジ30と、差動ネジ30と軸心方向に連結されたシャフト31と、架台5の表面50に取り付けられるブラケット32と、シャフト31をブラケット32に連結する円筒ネジ35と、を備えている。
【0021】
差動ネジ30は、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴43と螺合する第一のネジ部301と、シャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312と螺合する第二のネジ部302と、端面(第一のネジ部301を挟んで第二のネジ部302の反対側に位置する端面)303に設けられたレンチ挿入用穴304と、を有する。ここで、差動ネジ30は、第一間隔調整装置2aの差動ネジ20と同様、第一のネジ部301と第二のネジ部302とのピッチを異ならせている。また、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴43は、搬送レール4の表面40を貫いている。このネジ穴43は、例えばヘリサート45を用いることにより形成してもよい。
【0022】
シャフト31は、一方の端面310に設けられ、差動ネジ30の第二のネジ部302と螺合するネジ穴312を有する。なお、本実施の形態では、差動ネジ30をシャフト31より短くしているが、差動ネジ30をシャフト31より長くしてもよい。また、図示していないが、シャフト31をスパナで回転させることができるように、シャフト31の外周面313にスパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。例えば、シャフト31を六角柱状とすることにより、あるいはシャフト31の外周面313に六角柱状の鍔部を設けることにより、スパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。
【0023】
ブラケット32は、円筒ネジ35と螺合する、表面320および裏面321を貫くネジ穴322と、後述の組立ボルト34でブラケット32を架台5の表面50に取り付けるための座繰り貫通穴323と、を有する。
【0024】
円筒ネジ35には、シャフト31が挿入された状態でブラケット32のネジ穴322と螺合する。図2(A)は、円筒ネジ35の底面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す円筒ネジ35のA−A断面図である。
【0025】
図示するように、円筒ネジ35は、シャフト31が挿入されるとともに、ブラケット32に設けられたネジ穴322と螺合するすり割りネジ部351が外周面352に形成された円筒ネジ本体350と、円筒ネジ本体350の一方の端部353側において径方向外側へ張り出すように形成されたスパナ掛け用の鍔部355と、円筒ネジ本体350の他方の端部354の端面358から一方の端部353へ向けて円周方向に等間隔に形成された複数のスリット356と、を備える。なお、図2に示す例では、スリット356を複数設けているが、スリット356は少なくとも一つ設けられていればよい。
【0026】
図3は、円筒ネジ35の原理を説明するための図である。
【0027】
第二間隔調整装置3aにおいて、図示するように、円筒ネジ35をブラケット32のネジ穴322にブラケット32の表面320側から挿入し、その後、シャフト31を円筒ネジ35の鍔部355側から挿入して、所定の位置に保持させ、それから、図示していないスパナで円筒ネジ35の鍔部355を把持して所定の回転方向Rに回転させると、円筒ネジ35がブラケット32のネジ穴322にねじ込まれて、円筒ネジ35の鍔部355の裏面380がブラケット32の表面320と当接する。その後も円筒ネジ35を回転方向Rに回転させると、すり割りネジ部351のネジ山357とブラケット32のネジ穴322のネジ溝324とが圧接され、ネジ山357およびネジ溝324の傾斜によりその圧接力Pの一部Pxが円筒ネジ35の径方向内側に向かう。すり割りネジ部351には、円筒ネジ本体350の他方の端部354の端面358から一方の端部353へ向けて軸心O方向に沿って複数のスリット356が形成されているため、この径方向内側に向かう力Pxにより円筒ネジ本体350の他方の端部354側が円筒ネジ35の径方向内側に移動して、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付ける。これにより、シャフト31がブラケット32に固定される。
【0028】
なお、円筒ネジ本体350の他方の端部354側を円筒ネジ35の径方向内側に移動させて、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付ける際に、シャフト31がブラケット32により強固に固定されるようにするために、円筒ネジ本体350の内周面359およびシャフト31の外周面313の少なくとも一方に、ローレット加工、エンボス加工等により凹凸を形成して、円筒ネジ本体350の内周面359とシャフト31の外周面313との摩擦抵抗を大きくしてもよい。
【0029】
上記構成の間隔調整機構1aは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴42に、第一間隔調整装置2aの差動ネジ20の一方の端面203を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ20の第一のネジ部201をネジ穴42に螺合させる。同様に、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴43に、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の一方の端面303を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ30の第一のネジ部301をネジ穴43に螺合させる。
【0030】
つぎに、第一間隔調整装置2aの差動ネジ20の第二のネジ部202を、第一間隔調整装置2aのシャフト21の一方の端面210に設けられたネジ穴212に挿入して螺合させることにより、差動ネジ20にシャフト21を差動ネジ20の軸心方向に連結する。同様に、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の第二のネジ部302を、第二間隔調整装置3aのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ30にシャフト31を差動ネジ30の軸心方向に連結する。
【0031】
つぎに、第一間隔調整装置2aのブラケット22に設けられた座繰り貫通穴222の軸心と第一間隔調整装置2aのシャフト21の他方の端面211に設けられたネジ穴213の軸心とが一致するようにして、ブラケット22の表面220とシャフト21の他方の端面211とを当接させた状態で、組立ボルト25を、ブラケット22の裏面221側からブラケット22の座繰り貫通穴222に挿入して、シャフト21の他方の端面211に設けられたネジ穴213に螺合させる。これにより、シャフト21をブラケット22の表面220に取り付ける。
【0032】
また、第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3aのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35が、シャフト31にスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32をシャフト31に仮止めしてもよい(図3参照)。この場合、搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が搬送レール4の裏面41からブラケット22の裏面221までの距離より短くなる位置において、ブラケット32をシャフト31に仮止めする。
【0033】
つぎに、組立ボルト24を、第一間隔調整装置2aのブラケット22の表面220側からブラケット22に設けられた座繰り貫通穴223に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット22を架台5の表面50に取り付ける。同様に、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32がシャフト31に仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト31の締め付けを緩めておく。
【0034】
つぎに、搬送レール4の表面40側からネジ穴42に図示していないレンチを挿入して、第一間隔調整装置2aの差動ネジ20の一方の端面203に設けられたレンチ挿入用穴204にこのレンチの先端部を挿入する。そして、レンチを回転させて、差動ネジ20を回転させることにより、差動ネジ20の回転数と差動ネジ20の第一のネジ部201および第二のネジ部202間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3aのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置3aに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0035】
つぎに、図示していないスパナに第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35の鍔部355を把持させ、このスパナを用いて円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3aのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。
【0036】
つぎに、差動ネジ30の一方の端面303に設けられたレンチ挿入用穴304に挿入されたレンチを用いて、差動ネジ30を回転させることにより、差動ネジ30の回転数と差動ネジ20の第一のネジ部301および第二のネジ部302間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第二間隔調整装置3aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hが第一間隔調整装置2aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hと同寸法になるように調整する。
【0037】
最後に、差動ネジ20およに差動ネジ30を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0038】
以上、本発明の第一実施の形態を説明した。
【0039】
本実施の形態によれば、搬送フレーム4および架台5間に所定の間隔をおいて配置された一対の第一間隔調整装置2a各々の差動ネジ20を回転させることにより、差動ネジ20の回転数と差動ネジ20の第一のネジ部201および第二のネジ部202間のピッチ差分との積により定まる調整量分、搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減することができるので、搬送フレーム4と架台5との間隔hをより細やかに調整することができる。また、この際、一対の第一間隔調整装置2a間に配置された第二間隔調整装置3aのシャフト31がブラケット22に対してスライド自在となるように円筒ネジ35を介して装着しておき、一対の第一間隔調整装置3aによる間隔調整がおおよそ終了してから、円筒ネジ35を回転させてシャフト31をブラケット22に固定することにより、第二間隔調整装置3aに過剰な負荷かかるのを防止でき、間隔調整機構1aが損傷する可能性を低減できる。
【0040】
<第二実施の形態>
図4は、本発明の第二実施の形態に係る間隔調整機構1bを含む搬送装置の断面図である。ここで、図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
【0041】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整装置1bが図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと異なる点は、第一間隔調整装置2aに代えて第一間隔調整装置2bを設けた点にある。その他の構成は第一実施形態に係る間隔調整機構1aと同様である。第一間隔調整装置2bは、第一実施形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aと同様、搬送レール4と架台5との間に所定の間隔をおいて少なくとも一対配置される。ここでは、一対の第一間隔調整装置2bを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3aを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0042】
第一間隔調整装置2bは、差動ネジ20と、差動ネジ20と軸心方向に連結された段付きシャフト26と、架台5の表面50に取り付けられるブラケット32と、段付きシャフト26をブラケット32に連結する円筒ネジ35と、を備えている。ここで、差動ネジ20は、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aに用いられる差動ネジ20と同じものであり、ブラケット32および円筒ネジ35は、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aに用いられるブラケット32および円筒ネジ35と同じものである。
【0043】
段付きシャフト26は、円筒ネジ35に挿入される小径部263と、小径部263に連結され、小径部263との連結部分に段差面265を備える大径部264と、を有する。また、段付きシャフト26の一方の端面(大径部264側の端面)260には、差動ネジ20の第二のネジ部202と螺合するネジ穴262が設けられている。なお、本実施の形態では、差動ネジ20を段付きシャフト26より短くしているが、差動ネジ20を段付きシャフト26より長くしてもよい。また、図示していないが、段付きシャフト26をスパナで回転させることができるように、段付きシャフト26の大径部264の外周面にスパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。例えば、段付きシャフト26の大径部264を六角柱状とすることにより、あるいは段付きシャフト26の大径部264の外周面に六角柱状の鍔部を設けることにより、スパナ掛け用の平坦部を設けてもよい。
【0044】
上記構成の間隔調整機構1bは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴42に、第一間隔調整装置2bの差動ネジ20の一方の端面203を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ20の第一のネジ部201をネジ穴42に螺合させる。同様に、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴43に、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の一方の端面303を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ30の第一のネジ部301をネジ穴43に螺合させる。
【0045】
つぎに、第一間隔調整装置2aの差動ネジ20の第二のネジ部202を、第一間隔調整装置2bの段付きシャフト26の一方の端面260に設けられたネジ穴262に挿入して螺合させることにより、差動ネジ20に段付きシャフト26を差動ネジ20の軸心方向に連結する。同様に、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の第二のネジ部302を、第二間隔調整装置3aのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ30にシャフト31を差動ネジ30の軸心方向に連結する。
【0046】
つぎに、第一間隔調整装置2bの円筒ネジ35を、第一間隔調整装置2bのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第一間隔調整装置2bの段付きシャフト26の他方の端面(小径部263側の端面)261を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35が、段付きシャフト26の小径部263にスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32に段付きシャフト26を仮止めしてもよい(図3参照)。
【0047】
同様に、第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3aのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に挿入された円筒ネジ35に挿入する。これにより、シャフト31がブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35に対して、スライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32にシャフト31を仮止めしてもよい。この場合、第二間隔調整装置3aの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が第一間隔調整装置2bの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離より短くなる位置において、ブラケット32にシャフト31を仮止めする。
【0048】
つぎに、第一間隔調整装置2bにおいて、組立ボルト34を、第一間隔調整装置2bのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、第一間隔調整装置2bのブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32が段付きシャフト26に仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35による段付きシャフト32の締め付けを緩めておく。
【0049】
同様に、第二間隔調整装置3aにおいて、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、第二間隔調整装置3aのブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32にシャフト31が仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト31の締め付けを緩めておく。
【0050】
つぎに、第一間隔調整装置2bにおいて、段付きシャフト26の段差面265を円筒ネジ35の鍔部355に当接させた状態で、図示していないスパナに第一間隔調整装置2bの円筒ネジ35の鍔部355を把持させ、このスパナを用いて円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第一間隔調整装置2bのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第一間隔調整装置2bの段付きシャフト26を円筒ネジ35に固定する。
【0051】
つぎに、搬送レール4の表面40側からネジ穴42に図示していないレンチを挿入して、第一間隔調整装置2bの差動ネジ20の一方の端面203に設けられたレンチ挿入用穴204にこのレンチの先端部を挿入する。そして、レンチを回転させて、差動ネジ20を回転させることにより、差動ネジ20の回転数と差動ネジ20の第一のネジ部201および第二のネジ部202間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2bの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3aのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2bの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置3aに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0052】
つぎに、図示していないスパナに第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35の鍔部355を把持させ、このスパナを用いて円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3aのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。
【0053】
つぎに、第二間隔調整装置3aにおいて、搬送レール4の表面40側からネジ穴42に図示していないレンチを挿入して、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の一方の端面303に設けられたレンチ挿入用穴304にこのレンチの先端部を挿入する。そして、レンチを回転させて、差動ネジ30を回転させることにより、差動ネジ30の回転数と差動ネジ30の第一のネジ部301および第二のネジ部302間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第二間隔調整装置3aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。
【0054】
最後に、差動ネジ20および差動ネジ30を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0055】
以上、本発明の第二実施の形態を説明した。
【0056】
本実施の形態によれば、第一間隔調調整装置2bに円筒ネジ35を設けたことにより、第一間隔調整装置2bにおいて、搬送フレーム4と架台5との間隔hのおおよその調整は、円筒ネジ35で行い、最終的な微調整のみを差動ネジ20で行うことができる。したがって、搬送フレーム4と架台5との間隔hをより迅速に調整することができる。その他の効果は、第一実施の形態と同様である。
【0057】
<第三実施の形態>
図5は、本発明の第三実施の形態に係る間隔調整機構1cを含む搬送装置の断面図である。ここで、図1および図4に示す第一および第二実施の形態に係る間隔調整機構1a、1bと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
【0058】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整装置1cが図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと異なる点は、第一間隔調整装置2aに代えて第一間隔調整装置2cを設けた点にある。その他の構成は第一実施形態に係る間隔調整機構1aと同様である。第一間隔調整装置2cは、第一実施形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aと同様、搬送レール4と架台5との間に所定の間隔をおいて少なくとも一対配置される。ここでは、一対の第一間隔調整装置2cを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3aを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0059】
第一間隔調整装置2cは、差動ネジ27と、差動ネジ27を架台5の表面50に取り付けるためのブラケット28と、を備えている。
【0060】
差動ネジ27は、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴42と螺合する第一のネジ部271と、ブラケット28に設けられたネジ穴282と螺合し、第一のネジ部271とはピッチの異なる第二のネジ部272と、端面(第一のネジ部271を挟んで第二のネジ部272の反対側に位置する端面)273に設けられたレンチ挿入用穴274と、を有する。
【0061】
ブラケット28は、表面280に設けられた貫通ネジ穴282と、組立ボルト24でブラケット28を架台5の表面50に取り付けるための座繰り貫通穴283と、を有する。ここで、ブラケット28の表面280に設けられたネジ穴282は、ブラケット28の裏面281を貫いている。このネジ穴282は、例えば、ヘリサート284を用いることにより形成してもよい。
【0062】
上記構成の間隔調整機構1cは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴42に、第一間隔調整装置2cの差動ネジ27の一方の端面273を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ27の第一のネジ部271をネジ穴42に螺合させる。同様に、搬送レール4の裏面41から表面40を貫くネジ穴43に、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の一方の端面303を搬送レール4の裏面41側から挿入して、この差動ネジ30の第一のネジ部301をネジ穴43に螺合させる。
【0063】
つぎに、第二間隔調整装置3aの差動ネジ30の第二のネジ部302を、第二間隔調整装置3aのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ30にシャフト31を差動ネジ30の軸心方向に連結する。
【0064】
つぎに、第一間隔調整装置2cの差動ネジ27の第二のネジ部272を、第一間隔調整装置2cのブラケット28の表面280に設けられたネジ穴282に挿入して螺合させることにより、ブラケット28を差動ネジ27に取り付ける。
【0065】
つぎに、第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3aのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴322に挿入された円筒ネジ35に、シャフト31がスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32にシャフト31を仮止めしてもよい(図3参照)。この場合、第二間隔調整装置3aの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が第一間隔調整装置2cの搬送レール4の裏面41からブラケット28の裏面281までの距離より短くなる位置において、ブラケット32にシャフト31を仮止めする。
【0066】
つぎに、組立ボルト24を、第一間隔調整装置2cのブラケット28の表面280側からブラケット28に設けられた座繰り貫通穴283に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット28を架台5の表面50に取り付ける。同様に、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32にシャフト31が仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト32の締め付けを緩めておく。
【0067】
つぎに、搬送レール4の表面40側からネジ穴42に図示していないレンチを挿入して、第一間隔調整装置2cの差動ネジ27の一方の端面273に設けられたレンチ挿入用穴274にこのレンチの先端部を挿入する。そして、レンチを回転させて、差動ネジ27を回転させることにより、差動ネジ27の回転数と差動ネジ27の第一のネジ部271および第二のネジ部272間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2cの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3aのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置2aに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0068】
つぎに、図示していないスパナに第二間隔調整装置3aの円筒ネジ35の鍔部355を把持させ、このスパナを用いて円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3aのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3aのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。これにより、第二間隔調整装置3aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを固定する。
【0069】
つぎに、差動ネジ30の一方の端面303に設けられたレンチ挿入用穴304に挿入されたレンチを用いて、差動ネジ30を回転させることにより、差動ネジ30の回転数と差動ネジ30の第一のネジ部301および第二のネジ部302間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第二間隔調整装置3aの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。
【0070】
最後に、差動ネジ27および差動ネジ30を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0071】
以上、本発明の第三実施の形態を説明した。
【0072】
本実施の形態によれば、第一間隔調調整装置2cにおいて、差動ネジ27の第二のネジ部272をブラケット28のネジ穴282に螺合させることにより、差動ネジ27およびブラケット28間に介在するシャフト(図1に示す第一間隔調整装置2aのシャフト21参照)を第一間隔調整装置2cから省略している。これにより、部品点数を削減できる。したがって、コストを低減することができるとともに、作業性を向上させることができる。その他の効果は、第一実施の形態と同様である。
【0073】
<第四実施の形態>
図6は、本発明の第四実施の形態に係る間隔調整機構1dを含む搬送装置の断面図である。ここで、図1図4および図5に示す第一ないし第三実施の形態に係る間隔調整機構1a〜1cと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
【0074】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整装置1dが図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと異なる点は、第一間隔調整装置2aに代えて第一間隔調整装置2dを設けた点、および第二間隔調整装置3aに代えて第二間隔調整装置3dを用いた点にある。第一間隔調整装置2dは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aと同様、搬送レール4aと架台5との間に所定の間隔をおいて少なくとも一対配置される。また、第二間隔調整装置3dは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aと同様、一対の第一間隔調整装置2d間に配置される。ここでは、一対の第一間隔調整装置2dを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3dを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0075】
第一間隔調整装置2dは、差動ネジ29と、差動ネジ29を架台5の表面50に取り付けるためのブラケット28と、を備えている。ここで、ブラケット28は、第三実施の形態に係る間隔調整機構1cの第一間隔調整装置2cに用いられるブラケット28と同じものである。
【0076】
差動ネジ29は、搬送レール4の裏面41側に設けられたネジ穴46と螺合する第一のネジ部291と、ブラケット28に設けられたネジ穴282と螺合し、第一のネジ部291とはピッチの異なる第二のネジ部292と、第一のネジ部291および第二のネジ部292間に設けられたスパナ掛け部293と、を有する。
【0077】
スパナ掛け部293は、少なくともスパナが把持することができる形状であればよい。例えば、スパナ掛け部293を図示するように六角柱状としてもよいし、あるいは差動ネジ29の軸心を挟んで対向する一対の平行な平坦面が形成された円柱状としてもよい。
【0078】
第二間隔調整装置3dは、差動ネジ36と、差動ネジ36と軸心方向に連結されたシャフト31と、架台5の表面50に取り付けられるブラケット32と、シャフト31をブラケット32に連結する円筒ネジ35と、を備えている。ここで、シャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35は、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aに用いられるシャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35と同じものである。
【0079】
差動ネジ36は、搬送レール4の裏面41側に設けられたネジ穴47と螺合する第一のネジ部361と、シャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312と螺合する第二のネジ部362と、第一のネジ部361および第二のネジ部362間に設けられたスパナ掛け部363と、を有する。ここで、差動ネジ36は、第一間隔調整装置2dの差動ネジ29と同様、第一のネジ部361と第二のネジ部362とのピッチを異ならせている。
【0080】
スパナ掛け部363は、少なくともスパナが把持することができる形状であればよい。例えば、スパナ掛け部363を図示するように六角柱状としてもよいし、あるいは差動ネジ36の軸心を挟んで対向する一対の平行な平坦面が形成された円柱状としてもよい。
【0081】
上記構成の間隔調整機構1dは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、搬送レール4の裏面41側に設けられたネジ穴46に、第一間隔調整装置2dの差動ネジ29の一方の端面290を挿入して、この差動ネジ29の第一のネジ部291をネジ穴46に螺合させる。同様に、搬送レール4の裏面41に設けられたネジ穴47に、第二間隔調整装置3dの差動ネジ36の一方の端面360を挿入して、この差動ネジ36の第一のネジ部361をネジ穴47に螺合させる。
【0082】
つぎに、第二間隔調整装置3dの差動ネジ36の第二のネジ部362を、第二間隔調整装置3aのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ36にシャフト31を差動ネジ36の軸心方向に連結する。
【0083】
つぎに、第一間隔調整装置2dの差動ネジ29の第二のネジ部292を、第一間隔調整装置2dのブラケット28の表面280に設けられたネジ穴282に挿入して螺合させることにより、ブラケット28に差動ネジ29を取り付ける。
【0084】
つぎに、第二間隔調整装置3dの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3dのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3dのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35に、シャフト31がスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32にシャフト31を仮止めしてもよい(図3参照)。この場合、第二間隔調整装置3dの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が第一間隔調整装置2dの搬送レール4の裏面41からブラケット28の裏面281までの距離より短くなる位置において、ブラケット32にシャフト31を仮止めする。
【0085】
つぎに、組立ボルト24を、第一間隔調整装置2dのブラケット28の表面280側からブラケット28に設けられた座繰り貫通穴283に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット28を架台5の表面50に取り付ける。同様に、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3dのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32にシャフト31が仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト31の締め付けを緩めておく。
【0086】
つぎに、第一間隔調整装置2dの差動ネジ29のスパナ掛け部293を図示していないスパナで把持して、差動ネジ29を回転させることにより、差動ネジ29の回転数と差動ネジ29の第一のネジ部291および第二のネジ部292間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2dの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3dのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2dの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置3dに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0087】
つぎに、第二間隔調整装置3dの円筒ネジ35の鍔部355を図示していないスパナで把持して、円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3dのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3dのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。
【0088】
つぎに、第二間隔調整装置3dの差動ネジ36のスパナ掛け部363をスパナで再度把持して、差動ネジ36を回転させることにより、差動ネジ29の回転数と差動ネジ29の第一のネジ部291および第二のネジ部292間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2dの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。
【0089】
最後に、差動ネジ29および差動ネジ36を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0090】
以上、本発明の第四実施の形態を説明した。
【0091】
本実施の形態によれば、第一間隔調調整装置2dにおいて、差動ネジ29のスパナ掛け部293をスパナで把持させて、差動ネジ29を回転させることにより、第一間隔調整装置2dの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを調整することができるので、差動ネジ29の一方の端面290にレンチ挿入用穴を設ける必要がなく、したがって、搬送レール4の表面40に、このレンチ挿入用穴にレンチを挿入するための穴を設ける必要がない。これにより、搬送レール4の表面(搬送面)40をより平坦することができ、搬送の精度を向上させることができる。その他の効果は、第一および第三実施の形態と同様である。
【0092】
<第五実施の形態>
図7は、本発明の第五実施の形態に係る間隔調整機構1eを含む搬送装置の断面図である。ここで、図1および図4ないし図6に示す第一ないし第四実施の形態に係る間隔調整機構1a〜1dと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
【0093】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整装置1eが図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと異なる点は、第一間隔調整装置2aに代えて第一間隔調整装置2eを設けた点、および第二間隔調整装置3aに代えて第三間隔調整装置3eを用いた点にある。第一間隔調整装置2eは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aと同様、搬送レール4と架台5との間に所定の間隔をおいて少なくとも一対配置される。また、第二間隔調整装置3eは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aと同様、一対の第一間隔調整装置2e間に配置される。ここでは、一対の第一間隔調整装置2eを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3eを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0094】
第一間隔調整装置2eは、差動ネジ29と、差動ネジ29を搬送レール4の裏面41に取り付けるためのブラケット60と、差動ネジ29を架台5の表面50に取り付けるためのブラケット28と、を備えている。ここで、差動ネジ29は、第四実施の形態に係る間隔調整機構1dの第一間隔調整装置2dに用いられる差動ネジ29と同じものであり、ブラケット28は、第三実施の形態に係る間隔調整機構1cの第一間隔調整装置2cに用いられるブラケット28と同じものである。
【0095】
ブラケット60は、表面600に設けられたネジ穴602と、組立ボルト61でブラケット60を搬送レール4の裏面41に取り付けるための座繰り貫通穴603と、を有する。ここで、ブラケット60の表面600に設けられたネジ穴602は、例えば、ヘリサート604を用いることにより形成してもよい。
【0096】
第二間隔調整装置3eは、差動ネジ36と、差動ネジ36を搬送レール4の裏面41に取り付けるためのブラケット37と、差動ネジ36と軸心方向に連結されたシャフト31と、架台5の表面50に取り付けられるブラケット32と、シャフト31をブラケット32に連結する円筒ネジ35と、を備えている。ここで、差動ネジ36は、第四実施の形態に係る間隔調整機構1dの第二間隔調整装置3dに用いられる差動ネジ36と同じものであり、シャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35は、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aに用いられるシャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35と同じものである。
【0097】
ブラケット37は、表面370に設けられたネジ穴372と、組立ボルト38でブラケット37を搬送レール4の裏面41に取り付けるための座繰り貫通穴373と、を有する。ここで、ブラケット37の表面370に設けられたネジ穴372は、例えば、ヘリサート374を用いることにより形成してもよい。
【0098】
上記構成の間隔調整機構1eは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、第一間隔調整装置2eのブラケット60の表面600に設けられたネジ穴602に、第一間隔調整装置2eの差動ネジ29の第一のネジ部291の一方の端面290を挿入して、この差動ネジ29の第一のネジ部291をネジ穴602に螺合させる。これにより、差動ネジ29にブラケット60を取り付ける。このとき、差動ネジ29のネジ穴602に対する螺合の緩みを防止するため、第一のネジ部291に図示していないナットを予め装着し、このナットが装着された第一のネジ部291をネジ穴602に螺合させた後、ナットがブラケット60の表面600に当接するまでナットを締め込むようにしてもよい。それから、ブラケット60の裏面601を搬送レール4の裏面41に接触させ、組立ボルト61を、ブラケット60の表面600側からブラケット60に設けられた座繰り貫通穴603に挿入し、搬送レール4の裏面41に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット60を搬送レール4の裏面41に取り付ける。
【0099】
同様に、第二間隔調整装置3eのブラケット37の表面370に設けられたネジ穴372に、第二間隔調整装置3eの差動ネジ36の第一のネジ部361の一方の端面360を挿入して、この差動ネジ36の第一のネジ部361をネジ穴372に螺合させる。これにより、差動ネジ36にブラケット37を取り付ける。このとき、差動ネジ36のネジ穴372に対する螺合の緩みを防止するため、第一のネジ部361に図示していないナットを予め装着し、このナットが装着された第一のネジ部361をネジ穴362に螺合させた後、ナットがブラケット27の表面370に当接するまでナットを締め込むようにしてもよい。それから、ブラケット37の裏面371を搬送レール4の裏面41に接触させ、組立ボルト38を、ブラケット37の表面370側からブラケット37に設けられた座繰り貫通穴373に挿入し、搬送レール4の裏面41に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット37を搬送レール4の裏面41に取り付ける。
【0100】
つぎに、第二間隔調整装置3eの差動ネジ36の第二のネジ部362を、第二間隔調整装置3eのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ36にシャフト31を差動ネジ36の軸心方向に連結する。
【0101】
つぎに、第一間隔調整装置2eの差動ネジ29の第二のネジ部292を、第一間隔調整装置2eのブラケット28の表面280に設けられたネジ穴282に挿入して螺合させることにより、ブラケット28を差動ネジ29に取り付ける。
【0102】
つぎに、第二間隔調整装置3eの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3eのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3eのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35に、シャフト31がスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32にシャフト31を仮止めしてもよい(図3参照)。この場合、第二間隔調整装置3eの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が第一間隔調整装置2eの搬送レール4の裏面41からブラケット28の裏面281までの距離より短くなる位置において、ブラケット32にシャフト31を仮止めする。
【0103】
つぎに、組立ボルト24を、第一間隔調整装置2eのブラケット28の表面280側からブラケット28に設けられた座繰り貫通穴283に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット28を架台5の表面50に取り付ける。同様に、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3eのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32がシャフト31に仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト31の締め付けを緩めておく。
【0104】
つぎに、第一間隔調整装置2eの差動ネジ29のスパナ掛け部293を図示していないスパナで把持して、差動ネジ29を回転させることにより、差動ネジ29の回転数と差動ネジ29の第一のネジ部291および第二のネジ部292間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2eの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3eのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2eの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置3eに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0105】
つぎに、第二間隔調整装置3eの円筒ネジ35の鍔部355を図示していないスパナで把持して、円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3eのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3eのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。
【0106】
つぎに、第二間隔調整装置3eの差動ネジ36のスパナ掛け部363をスパナで把持して、差動ネジ36を回転させることにより、差動ネジ36の回転数と差動ネジ36の第一のネジ部361および第二のネジ部362間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第二間隔調整装置3eの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。
【0107】
最後に、差動ネジ29および差動ネジ36を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0108】
以上、本発明の第五実施の形態を説明した。
【0109】
本実施の形態によれば、ブラケット60およびブラケット37を介して搬送レール4の裏面41に、第一間隔調整装置2eおよび第二間隔調整装置3eを取り付けるようにしているので、ブラケット60、37におけるネジ穴602、372の位置を調整することにより、搬送レール4に追加の加工を施すことなく、第一間隔調整装置2eおよび第二間隔調整装置3eの設置位置を調節することができる。その他の効果は、第一、第三および第四実施の形態と同様である。
【0110】
<第六実施の形態>
図8は、本発明の第六実施の形態に係る間隔調整機構1fを含む搬送装置の断面図である。ここで、図1および図4ないし図7に示す第一ないし第五実施の形態に係る間隔調整機構1a〜1eと同じ機能を有するものには同じ符号を付している。
【0111】
図示するように、本実施の形態に係る間隔調整装置1fが図1に示す第一実施の形態に係る間隔調整機構1aと異なる点は、第一間隔調整装置2aに代えて第一間隔調整装置2fを設けた点、および第二間隔調整装置3aに代えて第三間隔調整装置3fを用いた点にある。第一間隔調整装置2fは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第一間隔調整装置2aと同様、搬送レール4と架台5との間に所定の間隔をおいて少なくとも一対配置される。また、第二間隔調整装置3fは、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aと同様、一対の第一間隔調整装置2f間に配置される。ここでは、一対の第一間隔調整装置2fを搬送レール4と架台5との間の両端部10に配置し、第二間隔調整装置3fを搬送レール4と架台5との間の中央部11に配置している。
【0112】
第一間隔調整装置2fは、差動ネジ29と、差動ネジ29を搬送レール4の裏面41に取り付けるためのブラケット60と、差動ネジ29を架台5の表面50に取り付けるためのブラケット28と、コイルスプリング62と、スプリングパッド兼ガイド63と、を備えている。ここで、差動ネジ29は、第四実施の形態に係る間隔調整機構1dの第一間隔調整装置2dに用いられる差動ネジ29と同じものであり、ブラケット28は、第三実施の形態に係る間隔調整機構1cの第一間隔調整装置2cに用いられるブラケット28と同じものであり、そして、ブラケット60は、第五実施の形態に係る間隔調整機構1eの第一間隔調整装置2eに用いられるブラケット60と同じものである。
【0113】
スプリングパッド兼ガイド63は、一方の端部630にフランジ631が形成された円筒状部材であり、フランジ631が差動ネジ29のスパナ掛け部293と当接するように、差動ネジ29の第一のネジ部291に装着される。
【0114】
コイルスプリング62は、一方の端部620がスプリングパッド兼ガイド63と当接し、他方の端部621がブラケット60の表面600と当接するように、差動ネジ29の第一のネジ部291に装着され、差動ネジ29をブラケット60のネジ穴602から引き抜く方向に付勢する。
【0115】
第二間隔調整装置3fは、差動ネジ36と、差動ネジ36を搬送レール4の裏面41に取り付けるためのブラケット37と、差動ネジ36と軸心方向に連結されたシャフト31と、架台5の表面50に取り付けられるブラケット32と、シャフト31をブラケット32に連結する円筒ネジ35と、コイルスプリング64と、スプリングパッド兼ガイド65と、を備えている。ここで、差動ネジ36は、第四実施の形態に係る間隔調整機構1dの第二間隔調整装置3dに用いられる差動ネジ36と同じものであり、シャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35は、第一実施の形態に係る間隔調整機構1aの第二間隔調整装置3aに用いられるシャフト31、ブラケット32、および円筒ネジ35と同じものであり、そして、ブラケット37は、第五実施の形態に係る間隔調整機構1eの第二間隔調整装置3eに用いられるブラケット60と同じものである。
【0116】
スプリングパッド兼ガイド65は、一方の端部650にフランジ651が形成された円筒状部材であり、フランジ651が差動ネジ36のスパナ掛け部363と当接するように、差動ネジ36の第一のネジ部361に装着される。
【0117】
コイルスプリング64は、一方の端部640がスプリングパッド兼ガイド65と当接し、他方の端部641がブラケット37の表面370と当接するように、差動ネジ36の第一のネジ部361に装着され、差動ネジ36をブラケット37のネジ穴372から引き抜く方向に付勢する。
【0118】
上記構成の間隔調整機構1fは、例えば、つぎのようにして搬送レール4と架台5との間に組み付けられる。まず、第一間隔調整装置2fのスプリングパッド兼ガイド63を、スプリングパッド兼ガイド63のフランジ631が第一間隔調整装置2fの差動ネジ29のスパナ掛け部293と当接するように、差動ネジ29の第一のネジ部291に装着し、それから、第一間隔調整装置2fのコイルスプリング62を差動ネジ29の第一のネジ部291に装着する。つぎに、第一間隔調整装置2fのブラケット60の表面600に設けられたネジ穴602に、第一間隔調整装置2fの差動ネジ29の第一のネジ部291の一方の端面290を挿入して、この差動ネジ29の第一のネジ部291をネジ穴602に螺合させる。これにより、差動ネジ29にブラケット60を取り付ける。また、コイルスプリング29が圧縮されて、差動ネジ29をブラケット60のネジ穴602から引き抜く方向に付勢し、差動ネジ29のネジ穴602に対する螺合の緩みが防止される。それから、ブラケット60の裏面601を搬送レール4の裏面41に接触させ、組立ボルト61を、ブラケット60の表面600側からブラケット60に設けられた座繰り貫通穴603に挿入し、搬送レール4の裏面41に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット60を搬送レール4の裏面41に取り付ける。
【0119】
同様に、第二間隔調整装置3fのスプリングパッド兼ガイド65を、スプリングパッド兼ガイド65のフランジ651が第二間隔調整装置3fの差動ネジ36のスパナ掛け部363と当接するように、差動ネジ36の第一のネジ部361に装着し、それから、第二間隔調整装置3fのコイルスプリング64を差動ネジ36の第一のネジ部361に装着する。つぎに、第二間隔調整装置3fのブラケット37の表面370に設けられたネジ穴372に、第二間隔調整装置3fの差動ネジ36の第一のネジ部361の一方の端面360を挿入して、この差動ネジ36の第一のネジ部361をネジ穴372に螺合させる。これにより、差動ネジ36にブラケット37を取り付ける。また、コイルスプリング64が圧縮されて、差動ネジ36をブラケット37のネジ穴372から引き抜く方向に付勢し、差動ネジ36のネジ穴372に対する螺合の緩みが防止される。それから、ブラケット37の裏面371を搬送レール4の裏面41に接触させ、組立ボルト38を、ブラケット37の表面370側からブラケット37に設けられた座繰り貫通穴373に挿入し、搬送レール4の裏面41に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット37を搬送レール4の裏面41に取り付ける。
【0120】
つぎに、第二間隔調整装置3fの差動ネジ36の第二のネジ部362を、第二間隔調整装置3fのシャフト31の一方の端面310に設けられたネジ穴312に挿入して螺合させることにより、差動ネジ36にシャフト31を差動ネジ36の軸心方向に連結する。
【0121】
つぎに、第一間隔調整装置2fの差動ネジ29の第二のネジ部292を、第一間隔調整装置2fのブラケット28の表面280に設けられたネジ穴282に挿入して螺合させることにより、ブラケット28を差動ネジ29に取り付ける。
【0122】
つぎに、第二間隔調整装置3fの円筒ネジ35を、第二間隔調整装置3fのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられたネジ穴322に螺合させる。このとき、円筒ネジ35がブラケット32から抜け落ちない程度の緩めに螺合させる。それから、第二間隔調整装置3fのシャフト31の他方の端面311を、ブラケット32の表面320側からブラケット32のネジ穴322に螺合させた円筒ネジ35に挿入する。これにより、ブラケット32のネジ穴32に挿入された円筒ネジ35に、シャフト31がスライド自在に装着される。このとき、円筒ネジ35をR方向に回転させて、ブラケット32にシャフト31を仮止めしてもよい(図3参照)。この場合、第二間隔調整装置3fの搬送レール4の裏面41からブラケット32の裏面321までの距離が第一間隔調整装置2fの搬送レール4の裏面41からブラケット28の裏面281までの距離より短くなる位置において、ブラケット32をシャフト31に仮止めする。
【0123】
つぎに、組立ボルト24を、第一間隔調整装置2fのブラケット28の表面280側からブラケット28に設けられた座繰り貫通穴283に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット28を架台5の表面50に取り付ける。同様に、組立ボルト34を、第二間隔調整装置3fのブラケット32の表面320側からブラケット32に設けられた座繰り貫通穴323に挿入し、架台5の表面50に設けられた図示していないネジ穴に螺合させる。これにより、ブラケット32を架台5の表面50に取り付ける。このとき、ブラケット32がシャフト31に仮止めされているならば、円筒ネジ35をR方向の反対方向に回転させて、円筒ネジ35によるシャフト31の締め付けを緩めておく。
【0124】
つぎに、第一間隔調整装置2fの差動ネジ29のスパナ掛け部293を図示していないスパナで把持して、差動ネジ29を回転させることにより、差動ネジ29の回転数と差動ネジ29の第一のネジ部291および第二のネジ部292間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第一間隔調整装置2fの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。このとき、第二間隔調整装置3fのシャフト31が円筒ネジ35に固定されていないため、第一間隔調整装置2fの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hの増減によって第二間隔調整装置3fに加わる負荷は、シャフト31が円筒ネジ35内をスライドすることにより吸収される。
【0125】
つぎに、第二間隔調整装置3fの円筒ネジ35の鍔部355を図示していないスパナで把持して、円筒ネジ35を、円筒ネジ35の鍔部355が第二間隔調整装置3fのブラケット32の表面320と当接するまでR方向に回転させて、円筒ネジ35をブラケット32の表面320のネジ穴322に螺合させ、さらにねじ込むことにより、第二間隔調整装置3fのシャフト31を円筒ネジ35に固定する。
【0126】
つぎに、第二間隔調整装置3fの差動ネジ36のスパナ掛け部363をスパナで把持して、差動ネジ36を回転させることにより、差動ネジ36の回転数と差動ネジ36の第一のネジ部361および第二のネジ部362間のピッチ差分との積により定まる調整量分、第二間隔調整装置3fの配置位置における搬送フレーム4と架台5との間隔hを増減して、この間隔hを所定の長さに調整する。
【0127】
最後に、差動ネジ29および差動ネジ36を微調整して、搬送フレーム4と架台5との間隔hが一定となるように調整する。
【0128】
以上、本発明の第六実施の形態を説明した。
【0129】
本実施の形態によれば、コイルスプリング62によって差動ネジ29がブラケット60のネジ穴602から引き抜く方向に付勢されることにより、差動ネジ29のネジ穴602に対する螺合の緩みが防止される。また、コイルスプリング64によって差動ネジ36がブラケット37のネジ穴372から引き抜く方向に付勢されることにより、差動ネジ36のネジ穴372に対する螺合の緩みが防止される。その他の効果は、第一および第三ないし第五実施の形態と同様である。
【0130】
なお、本実施の形態では、差動ネジ29をブラケット60のネジ穴602から引き抜く方向に付勢するためにコイルスプリング62を用いているが、コイルスプリングに代えて積み重ねられた複数枚の皿バネ等のその他の付勢手段を用いてもよい。同様に、差動ネジ36をブラケット37のネジ穴372から引き抜く方向に付勢するためにコイルスプリング64を用いているが、コイルスプリングに代えて積み重ねられた複数枚の皿バネ等のその他の付勢手段を用いてもよい。
【0131】
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0132】
例えば、上記の各実施の形態では、図3を用いて説明したように、円筒ネジ35の鍔部355の裏面380とブラケット32の表面320との当接後も、円筒ネジ35を回転方向Rに回転させることにより、すり割りネジ部351のネジ山357とブラケット32のネジ穴322のネジ溝324とを圧接させて、ネジ山357およびネジ溝324の傾斜によりその圧接力Pの一部Pxが円筒ネジ35の径方向内側に向かうようにすることで、円筒ネジ本体350の他方の端部354側を円筒ネジ35の径方向内側に移動させ、これにより、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付けるようにしている。しかし、本発明はこれに限定されない。ブラケット32のネジ穴322に対する円筒ネジ35のねじ込み量(軸心方向の移動量)を規制する手段を設けることにより、ブラケット32のネジ穴322に円筒ネジ35をねじ込み量の規制値以上にねじ込もうとしたときに、すり割りネジ部351のネジ山357とブラケット32のネジ穴322のネジ溝324とが圧接して、ネジ山357およびネジ溝324の傾斜によりその圧接力Pの一部Pxが円筒ネジ35の径方向内側に向かうようにすることで、円筒ネジ本体350の他方の端部354側を円筒ネジ35の径方向内側に移動させて、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付けるものであればよい。
【0133】
図9は、円筒ネジ35を用いたブラケット32にシャフト31を固定するための機構の変形例を説明するための図である。この変形例が図3に示すものと異なる点は、ブラケット32のネジ穴322の裏面321側に、シャフト31がスライド自在に挿入される円筒状のスペーサ39が配置されている点である。
【0134】
図示するように、スペーサ39および円筒ネジ35をブラケット32のネジ穴322にブラケット32の表面320側からこの順番に挿入し、その後、シャフト31を円筒ネジ25およびスペーサ39に円筒ネジ35の鍔部355側から挿入して、図示していないスパナで円筒ネジ35の鍔部355を把持して所定の回転方向Rに回転させると、円筒ネジ35がブラケット32のネジ穴322にねじ込まれて、円筒ネジ35の円筒ネジ本体350の端面358がスペーサ39の端面390と当接し、ブラケット32のネジ穴322に対する円筒ネジ35の最大ねじ込み量が規制される。その後も円筒ネジ35を回転方向Rに回転させると、すり割りネジ部351のネジ山357とブラケット32のネジ穴322のネジ溝324とが圧接され、ネジ山357およびネジ溝324の傾斜によりその圧接力Pの一部Pxが円筒ネジ35の径方向内側に向かう。これにより、円筒ネジ本体350の他方の端部354側が円筒ネジ35の径方向内側に移動して、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付ける。なお、図9では、スペーサ39の形状を円筒状としているが、他の形状であってもよく、例えば、円弧状あるいは棒状のスペーサを、ブラケット32のネジ穴322のネジ溝324とシャフト31の外周面313との隙間に複数配置するようにしてもよい。
【0135】
図10は、円筒ネジ35を用いたブラケット32にシャフト31を固定するための機構の変形例を説明するための図である。この変形例が図3に示すものと異なる点は、ネジ穴322に代えてブラケット32aを設けた点である。また、ブラケット32aが図3に示すブラケット32と異なる点は、ネジ穴322に代えて、大径部326および小径部327を有するネジ穴322aを設けた点である。ネジ穴322aの大径部326は、ブラケット32aの表面320側に設けられ、円筒ネジ35のすり割りネジ部351のネジ山357と螺合するネジ溝324が形成されている。ネジ穴322aの小径部327は、ブラケット32aの裏面321側に設けられ、円筒ネジ35のすり割りネジ部351の外径より小さく、かつシャフト31の外径より大きい内径を有している。
【0136】
図示するように、円筒ネジ35をブラケット32aのネジ穴322aにブラケット32aの表面320側から円筒ネジ25に挿入し、その後、シャフト31を円筒ネジ25に円筒ネジ35の鍔部355側から挿入して、図示していないスパナで円筒ネジ35の鍔部355を把持して所定の回転方向Rに回転させると、円筒ネジ35がブラケット32aのネジ穴322aにねじ込まれて、円筒ネジ35の円筒ネジ本体350の端面358がブラケット32aのネジ穴322aの大径部326と小径部327との段差面328と当接し、ブラケット32aのネジ穴322aに対する円筒ネジ35の最大ねじ込み量が規制される。その後も円筒ネジ35を回転方向Rに回転させると、すり割りネジ部351のネジ山357とブラケット32aのネジ穴322aのネジ溝324とが圧接され、ネジ山357およびネジ溝324の傾斜によりその圧接力Pの一部Pxが円筒ネジ35の径方向内側に向かう。これにより、円筒ネジ本体350の他方の端部354側が円筒ネジ35の径方向内側に移動して、円筒ネジ35に挿入されたシャフト31を締め付ける。
【0137】
また、本発明は、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネルに用いられる大型ガラス基板等の搬送物を搬送する搬送装置において、搬送レールおよび搬送レールを支える架台との間隔を調整する間隔調整機構の他、二つの部材の離間距離を調整する離間距離調整機構に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0138】
1a〜1f:間隔調整機構、 2a〜2f:第一間隔調整装置、 3a、3d〜3f:第二間隔調整機構、 4:搬送レール、 5:架台、 20、27、29、30、36:差動ネジ、 21、31:シャフト、 22、28、32、32a、37、60:ブラケット、 24、25、34、38、61:組立ボルト、 26:段付きシャフト、 35:円筒ネジ、 39:スペーサ、 40:搬送レール4の表面、 41:搬送レール4の裏面、 42、43、46、47:搬送レール4のネジ穴、 44、45、284、374、604:ヘリサート、 50:架台5の表面、 51:架台5の裏面、 62、64:コイルスプリング、 63、65:スプリングパッド兼ガイド、 201:差動ネジ20の第一のネジ部、 202:差動ネジ20の第二のネジ部、 203:差動ネジ20の端面、 204:差動ネジ20のレンチ挿入用穴、 210、211:シャフト21の端面、 212、213:シャフト21のネジ穴、 220:ブラケット22の表面、 221:ブラケット22の裏面、 222、223:ブラケット22の座繰り貫通穴、 260、261:段付きシャフト26の端面、 262:段付きシャフト26のネジ穴、 263:段付きシャフト26の小径部、 264:段付きシャフト26の大径部、 265:段付きシャフト26の段差面、 271:差動ネジ27の第一のネジ部、 272:差動ネジ27の第二のネジ部、 273:差動ネジ27の端面、 274:差動ネジ27のレンチ挿入用穴、 280:ブラケット28の表面、 281:ブラケット28の裏面、 282:ブラケット28のネジ穴、 283:ブラケット28の座繰り貫通穴、 290:差動ネジ29の端面、 291:差動ネジ29の第一のネジ部、 292:差動ネジ29の第二のネジ部、 293:差動ネジ29のスパナ掛け部、 301:差動ネジ30の第一のネジ部、 302:差動ネジ30の第二のネジ部、 303:差動ネジ30の端面、 304:差動ネジ30のレンチ挿入穴、 310、311:シャフト31の端面、 312:シャフト31のネジ穴、 313:シャフト31の外周面、 320:ブラケット32の表面、 321:ブラケット32の裏面、 322:ブラケット32のネジ穴、 322a:ブラケット32aのネジ穴、 323:ブラケット32の座繰り貫通穴、 324:ネジ穴322のネジ溝、 326:ネジ穴322aの大径部、 327:ネジ穴322aの小径部、 328:大径部326と小径部327との段差面、 350:円筒ネジ35の円筒ネジ本体、 351:円筒ネジ35のすり割りネジ部、 352:円筒ネジ35の外周面、 353、354:円筒ネジ本体350の端部、 355:円筒ネジ35の鍔部、 356:円筒ネジ35のスリット、 357:すり割りネジ部351のネジ山、 358:円筒ネジ本体350の端部354の端面、 359:円筒ネジ本体350の内周面、 360:差動ネジ36の端面、 361:差動ネジ36の第一のネジ部、 362:差動ネジ36の第二のネジ部、 363:差動ネジ36のスパナ掛け部、 370:ブラケット37の表面、 371:ブラケット37の裏面、 372:ブラケット37のネジ穴、 373:ブラケット37の座繰り貫通穴、 380:円筒ネジ35の鍔部355の裏面、 390:スペーサ39の端面、 600:ブラケット60の表面、 601:ブラケット60の裏面、 602:ブラケット60のネジ穴、 603:ブラケット60の座繰り貫通穴、 631:スプリングパッド兼ガイド63のフランジ、 651:スプリングパッド兼ガイド65のフランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11