特開2015-161421(P2015-161421A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161421(P2015-161421A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】圧縮式冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 43/04 20060101AFI20150811BHJP
   F25B 45/00 20060101ALI20150811BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   F25B43/04 Z
   F25B45/00 B
   F25B1/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-35085(P2014-35085)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】内村 知行
(57)【要約】
【課題】真空ポンプを用いずに抽気タンク内の不凝縮性ガスを排出することができ、また吸着器を設けた場合でも抽気タンク内の不凝縮性ガスを支障なく排出できる圧縮式冷凍機を提供する。
【解決手段】蒸発器3、凝縮器2および圧縮機1を備え、蒸発器3での圧力が大気圧以下となる場合がある冷媒を用いる圧縮式冷凍機において、凝縮器2に接続され、凝縮器2から不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを抽気する抽気タンク6と、抽気タンク6の内部に設けられ、凝縮器2から供給された冷媒液を気化させて抽気タンク6内を冷却する冷却器7と、抽気タンク6内を加熱して抽気タンク6の内圧を上昇させるための加熱手段とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器、凝縮器および圧縮機を備え、蒸発器での圧力が大気圧以下となる場合がある冷媒を用いる圧縮式冷凍機において、
前記凝縮器に接続され、凝縮器から不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを抽気する抽気タンクと、
前記抽気タンクの内部に設けられ、前記凝縮器から供給された冷媒液を気化させて前記抽気タンク内を冷却する冷却器と、
前記抽気タンク内を加熱して抽気タンクの内圧を上昇させるための加熱手段とを備えたことを特徴とする圧縮式冷凍機。
【請求項2】
前記加熱手段は、前記凝縮器から前記冷却器に液冷媒を供給する配管に設置された制御弁であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項3】
前記制御弁を閉じることにより、外気により前記抽気タンクを加熱することを特徴とする請求項2に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項4】
前記制御弁は、液冷媒の圧力を減圧する減圧手段を兼ねることを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項5】
前記加熱手段は、前記抽気タンクに設置されたヒーターからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項6】
前記凝縮器から不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記抽気タンクに抽気する配管に逆止弁を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項7】
前記抽気タンクに、抽気タンクの内圧が上昇した場合に開いて不凝縮性ガスを機外に排出するリリーフ弁を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項8】
冷媒を吸着する機能を有する吸着器を前記抽気タンクに連通させて設け、前記抽気タンクから不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記吸着器に導いて冷媒を吸着可能にしたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項9】
前記吸着器に、吸着器の内圧が上昇した場合に開いて不凝縮性ガスを機外に排出するリリーフ弁を設けたことを特徴とする請求項8に記載の圧縮式冷凍機。
【請求項10】
前記抽気タンクから不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記吸着器に導く配管に逆止弁を設けたことを特徴とする請求項7または8に記載の圧縮式冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮式冷凍機に係り、特に低圧冷媒を使用した、抽気装置を有する圧縮式冷凍機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧縮式の冷凍機は、大きく低圧冷媒の冷凍機と高圧冷媒の冷凍機に分けることができる。このうち、低圧冷媒の冷凍機は、冷媒の圧力が低いため、法的な規制も少なく、設計の自由度が高いため、分割搬入、現地組立などが容易であるという利点がある。また、冷凍機の冷媒の漏洩量は、理論上、機内圧力の(1/2)乗に比例するため、冷媒の漏洩量が少なくなるという利点もある。その反面、低圧冷媒の冷凍機においては、主として蒸発器の圧力が大気圧以下となることが多く、外気が機内に漏入することがあるため、抽気装置を設け、漏入した空気を機外に排出できるようにしておく必要がある。
【0003】
図3は、抽気装置として冷却式の抽気タンク(Purge Tank)を使用する従来例を示す模式図である。図3に示すように、圧縮式冷凍機は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器2と、被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、前記凝縮した冷媒を減圧して膨張させる膨張弁4とを、冷媒配管5によって連結して構成されている。また、冷凍機は抽気装置として冷却式の抽気タンク6を備えている。抽気タンク6内には冷却器7とフロート弁8が設けられており、冷却器7にはオリフィス9を介して凝縮器2から冷媒液が供給され、供給された冷媒液は冷却器7内で気化し、抽気タンク内を冷却した後に蒸発器3に戻される。このときの気化熱で、抽気タンク6内の温度は蒸発器3とほぼ同等に冷却されている。抽気タンク6の気相部は、オリフィス(減圧手段)10を介して凝縮器2内の不凝縮性ガスの回収口11に接続されており、凝縮器2内の不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが抽気タンク6に導かれ、冷媒ガスは冷却器7により冷却されて冷媒液となるが、不凝縮性ガスは凝縮しないために抽気タンク6内に気体の状態で貯留される。なお、冷媒液はフロート弁8を介して蒸発器3に戻される。
【0004】
ここで、抽気タンク6の圧力は、不凝縮性ガスがない場合は蒸発器3の圧力とほぼ等しい。しかし、不凝縮性ガスが徐々に蓄積されるにしたがって、不凝縮性ガスの分圧分上昇する。すなわち、(抽気タンク内の圧力)≒(蒸発器の圧力)+(不凝縮性ガスの圧力)と考えてよい。抽気タンク6の圧力が、凝縮器2の内圧と等しくなると、不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが抽気タンク6に移動しなくなるため、その前に抽気タンク6内の不凝縮性ガスを排出する必要がある。
【0005】
ここで、凝縮器2の圧力が大気圧よりも十分に高く、抽気タンク6の圧力が大気圧よりも十分に高い状態で不凝縮性ガスを排出すればよい。この場合、抽気タンク6に抽気弁を設け、凝縮器2と抽気タンク6との圧力差が規定以下となった場合に抽気弁を開くだけで排出できる。特に、夏季にしか運転しない冷凍機であり、冷媒の種類によっては(たとえばHFC−245faなどでは)、このような条件に合致する場合もある。しかし、近年は年間を通して運転する冷凍機も多く、確実に不凝縮性ガスを排出するために、図3に示すように、真空ポンプ12を使用して不凝縮性ガスを真空排気することが多い。なお、真空ポンプ12の排気ラインには、開閉弁13が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−292033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図3に示すような真空ポンプを用いて不凝縮性ガスを排出する従来の方式では、真空ポンプは一般に高価であるため、装置コストが上昇する要因となっている。また、抽気タンクは大気圧以上となることもあるため、抽気ポンプとして使用できる真空ポンプには制限が有り、逆圧を防止するための自動弁や運転制御が必要となることが多い。したがって、凝縮器の圧力が低くても、抽気タンク内の不凝縮性ガスを真空ポンプを使わずに排出できる方法が望まれる。
また、不凝縮性ガスの排出時には冷媒ガスが同時に排出されるため、冷媒を機外に排出しないための吸着器(Absorber)を設ける場合がある。したがって、吸着器を設けた場合でも、問題なく不凝縮性ガスを排出できることが求められる。
【0008】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、真空ポンプを用いずに抽気タンク内の不凝縮性ガスを排出することができ、また吸着器を設けた場合でも抽気タンク内の不凝縮性ガスを支障なく排出できる圧縮式冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するための本発明の一態様は、蒸発器、凝縮器および圧縮機を備え、蒸発器での圧力が大気圧以下となる場合がある冷媒を用いる圧縮式冷凍機において、前記凝縮器に接続され、凝縮器から不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを抽気する抽気タンクと、前記抽気タンクの内部に設けられ、前記凝縮器から供給された冷媒液を気化させて前記抽気タンク内を冷却する冷却器と、前記抽気タンク内を加熱して抽気タンクの内圧を上昇させるための加熱手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、抽気タンク内に不凝縮性ガスがない場合、抽気タンク内の圧力は蒸発器の圧力とほぼ等しくなる。したがって、抽気タンクと凝縮器との間に圧力差ができ、不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが抽気タンクに導かれる。抽気タンクに導かれた冷媒ガスのうち、冷媒成分は冷却器により冷却されて冷媒液となるが、不凝縮性ガスは液体にならず、気体の状態で抽気タンク内に滞留する。抽気タンク内の圧力は、不凝縮性ガスが蓄積されるにしたがって上昇し、抽気タンク内の圧力と、凝縮器の圧力との圧力差が規定値以下となった場合、回収から排出へと切り替えられる。不凝縮性ガスを排出しようとする場合、加熱手段により抽気タンクを加熱して、抽気タンク内の冷媒液を加熱し、抽気タンクの内圧を上昇させることで、真空ポンプが無くても不凝縮性ガスを排出できる。
【0011】
本発明の好ましい態様は、前記加熱手段は、前記凝縮器から前記冷却器に液冷媒を供給する配管に設置された制御弁であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記制御弁を閉じることにより、外気により前記抽気タンクを加熱することを特徴とする。
本発明によれば、凝縮器から冷却器に液冷媒を供給する配管に設置された制御弁を閉じることにより、外気により抽気タンクを加熱することができ、抽気タンクの内圧を上昇させることができる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記制御弁は、液冷媒の圧力を減圧する減圧手段を兼ねることを特徴とする。
本発明によれば、凝縮器から供給される液冷媒が減圧手段を兼ねる制御弁を通ることにより、減圧された後に冷却器に供給され、冷却器において冷媒液が気化する際の気圧熱により抽気タンク内が冷却される。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記加熱手段は、前記抽気タンクに設置されたヒーターからなることを特徴とする。
本発明によれば、ヒーターにより抽気タンク内を加熱することにより、抽気タンクの内圧を上昇させることができる。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記凝縮器から不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記抽気タンクに抽気する配管に逆止弁を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、逆止弁により、不凝縮性ガスを含む冷媒ガスが抽気タンクから凝縮器に逆流することを防止できる。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記抽気タンクに、抽気タンクの内圧が上昇した場合に開いて不凝縮性ガスを機外に排出するリリーフ弁を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、抽気タンクにはリリーフ弁が設けられており、抽気タンク内の圧力が一定以上(冷媒により異なるが、HFC−245faの場合は0.16〜0.20MPa程度が好適である。)に上昇すると、抽気タンクの内部の不凝縮性ガスを機外に排出するようになっている。
【0016】
本発明の好ましい態様は、冷媒を吸着する機能を有する吸着器を前記抽気タンクに連通させて設け、前記抽気タンクから不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記吸着器に導いて冷媒を吸着可能にしたことを特徴とする。
本発明によれば、抽気タンク内の圧力が吸着器の内圧を越えると、不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが吸着器へと流れる。吸着器内には活性炭等が充填されており、流れ込んだガス中の冷媒を吸着することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様は、前記吸着器に、吸着器の内圧が上昇した場合に開いて不凝縮性ガスを機外に排出するリリーフ弁を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、吸着器に吸着されなかった不凝縮性ガスは吸着器内に残留し、徐々に吸着器内の圧力を上昇させるが、吸着器の内圧がリリーフ弁の設定値を上回ると、リリーフ弁を介して不凝縮性ガスが外部へ排出される。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記抽気タンクから不凝縮性ガスを含む冷媒ガスを前記吸着器に導く配管に逆止弁を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、逆止弁により、不凝縮性ガスを含む冷媒ガスが吸着器から抽気タンクに逆流することを防止できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以下に列挙する効果を奏する。
(1)真空ポンプを用いずに抽気タンク内の不凝縮性ガスを排出することができる。
(2)不凝縮性ガスの排出時に冷媒を機外に排出しないための吸着器を設けた場合でも、支障なく不凝縮性ガスを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明に係る圧縮式冷凍機の第1の実施形態を示す模式図である。
図2図2は、本発明に係る圧縮式冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。
図3図3は、抽気装置として冷却式の抽気タンクを使用する従来例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る圧縮式冷凍機の実施形態を図1および図2を参照して説明する。図1および図2において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明に係る圧縮式冷凍機の第1の実施形態を示す模式図である。本発明の圧縮式冷凍機は、HFC−245fa,R−123等の低圧冷媒を用いる。図1に示すように、圧縮式冷凍機は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、圧縮された冷媒ガスを冷却流体で冷却して凝縮させる凝縮器2と、被冷却流体から熱を奪って冷媒が蒸発し冷凍効果を発揮する蒸発器3と、前記凝縮した冷媒を減圧して膨張させる膨張弁4とを、冷媒配管5によって連結して構成されている。
【0022】
本実施形態は冷却式の抽気タンク6を用いる圧縮式冷凍機であり、抽気タンク6内には冷却器7とフロート弁8が設けられている。抽気タンク6内の冷却器7には凝縮器2から制御弁21を介して冷媒液が供給されている。制御弁21は減圧手段をかねており、制御弁21を通って減圧された冷媒液の気化熱により抽気タンク6内が冷却されるようになっている。気化した冷媒ガスは蒸発器3に戻される。制御弁21を閉とすることにより外気により抽気タンク6が加熱され、内圧を上昇させることができる。したがって、該制御弁21は本発明の加熱手段を構成する。
【0023】
本実施形態においては、抽気タンク6の下部に第二の加熱手段としてヒーター22を設け、抽気タンク6と凝縮器2との間に逆止弁23を設けている。すなわち、抽気タンク6の気相部は、逆止弁23を介して凝縮器2内の不凝縮性ガスの回収口11に接続されている。ヒーター22は、電気ヒーターによるほか、凝縮器2の冷媒ガスなどと抽気タンク6内の冷媒液とを熱交換させることにより、抽気タンク6を加熱する熱交換型のヒーターとしてもよい。抽気タンク6にはリリーフ弁25が設けられており、抽気タンク6内の圧力が一定以上(冷媒により異なるが、HFC−245faの場合は0.16〜0.20MPa程度が好適である。)に上昇すると、抽気タンク6の内部の気体を放出するようになっている。
【0024】
本実施形態では、抽気タンク6に不凝縮性ガスを回収しようとする場合、制御弁21を開とし、抽気タンク6を冷却する。抽気タンク6内に不凝縮性ガスがない場合、抽気タンク6内の圧力は蒸発器3の圧力とほぼ等しくなる。したがって、抽気タンク6と凝縮器2との間に圧力差ができ、逆止弁23を介して不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが抽気タンク6に導かれる。このとき、逆止弁23は減圧手段をかねる。抽気タンク6に導かれた冷媒ガスのうち、冷媒成分は冷却器7により冷却されて冷媒液となるが、不凝縮性ガスは液体にならず、気体の状態で抽気タンク6内に滞留する。液化した冷媒はフロート弁8を介して蒸発器3へと戻される。
【0025】
抽気タンク6内の圧力は、不凝縮性ガスが蓄積されるにしたがって上昇する。本実施形態では、抽気タンク6に圧力計24が設けられており、抽気タンク6内の圧力と、凝縮器2の圧力との圧力差が規定値(ここでは、0.05MPaとする)以下となった場合、回収から排出へと切り替えられる。
不凝縮性ガスを排出しようとする場合、制御弁21を閉とする。これにより、外気により抽気タンク6は加熱され、抽気タンク6の内圧が上昇する。このとき、第二の加熱手段であるヒーター22を運転しても良い。
【0026】
このとき、不凝縮性ガスの分圧は絶対温度に比例して高くなるが、これは高々10%程度であり、ほぼ変化しないものと考えてよい。一方、冷媒蒸気の圧力は、温度上昇により大きく上昇する。たとえば、HFC−245faの場合、回収中の温度(5℃程度)では0.06MPa(A)程度であるが、35℃程度に加熱すると0.26MPa(A)程度まで上昇する。すなわち、加熱前の温度を5℃とし、凝縮温度を35℃とすると、加熱前の圧力は0.26−0.05=0.21MPa(A)であるから、不凝縮性ガスの分圧は0.21−0.06=0.15MPa(A)と推定される。ここで、抽気タンクを35℃まで加熱したとすると、冷媒の分圧は0.26MPa(A)まで上昇するので、0.15+0.26=0.41MPa(A)≒0.31MPa(G)程度まで上昇することになる。なお、Aは絶対圧を表し、Gはゲージ圧を表す。
【0027】
実際には、抽気タンク6にはリリーフ弁25が設けられているため、冷媒圧力が上昇する前にリリーフ弁25が開き、不凝縮性ガスが機外に排出される。加熱開始後一定時間を経過するか、抽気タンク6内の温度が一定以上となるかの条件で不凝縮性ガスの排出を終了させ、再び制御弁21を開けて冷媒を抽気タンク6に供給し、再び回収動作に切り替える。
【0028】
図2は、本発明に係る圧縮式冷凍機の第2の実施形態を示す模式図である。第2の実施形態は、第1の実施形態の圧縮式冷凍機に冷媒を機外に排出しないための吸着器(Absorber)30を設けた例である。図2に示すように、吸着器30と蒸発器3とは三方弁31を介して接続し、吸着器30と抽気タンク6とは三方弁31と逆止弁32を介して接続する。リリーフ弁25は吸着器30に設置されている。
【0029】
本実施形態では、三方弁31は、常時、抽気タンク6と吸着器30とを連通させるように接続される。抽気タンク6の内圧が上がってきた場合、図1に示す実施形態と同様に、加熱手段(制御弁21,ヒーター22)により抽気タンク6内の圧力が上昇させられる。抽気タンク6内の圧力が吸着器30の内圧を越えると、不凝縮性ガスを含んだ冷媒ガスが吸着器30へと流れる。吸着器30内には活性炭等が充填されており、流れ込んだガス中の冷媒を吸着する。吸着されなかった不凝縮性ガスは吸着器30内に残留し、徐々に吸着器30内の圧力を上昇させる。吸着器30の内圧がリリーフ弁25の設定値を上回ると、リリーフ弁25を介して不凝縮性ガスが外部へ排出される。
【0030】
ここで第1の実施形態と同様に、加熱開始後一定時間を経過するか、抽気タンク6内の温度が一定以上となるかの条件で排出を終了させ、再び制御弁21を開けて冷媒を抽気タンク6に供給すると、抽気タンク6の内圧は急激に下がり、再び回収動作に入る。このとき、吸着器30に送られた不凝縮性ガスは、逆止弁32の働きにより抽気タンク6には戻らない。したがって、次の排出動作時には、同様に不凝縮性ガスを機外に排出する。
【0031】
前記吸着器30は冷媒ガスを吸着すると徐々に吸着能力が低下する。このため、吸着器内を減圧し、同時に加熱することで吸着した冷媒を排出する、再生の動作が必要となる。この場合、三方弁31を、吸着器30と蒸発器3とが接続されるように動作させ、吸着器30をヒーター等(図示せず)で加熱する。これにより、吸着器30内の冷媒は蒸発器3へと還流され、吸着器30は再生される。
【0032】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
1 圧縮機
2 凝縮器
3 蒸発器
4 膨張弁
5 冷媒配管
6 抽気タンク
7 冷却器
8 フロート弁
9 オリフィス
10 オリフィス(減圧手段)
11 回収口
12 真空ポンプ
13 開閉弁
21 制御弁
22 ヒーター
23 逆止弁
24 圧力計
25 リリーフ弁
30 吸着器
31 三方弁
32 逆止弁
図1
図2
図3