特開2015-161423(P2015-161423A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015161423-温水加熱装置および温水暖房装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161423(P2015-161423A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】温水加熱装置および温水暖房装置
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/18 20060101AFI20150811BHJP
   F24H 9/02 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   F24D3/08 H
   F24H9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-35157(P2014-35157)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】青鹿 竹二
【テーマコード(参考)】
3L037
3L070
【Fターム(参考)】
3L037AA02
3L037AB07
3L070BB04
3L070BB14
3L070BB16
(57)【要約】
【課題】接続配管の構成を最適化して、無駄な設置スペースを無くすことにより装置全体の小型化を可能とする温水加熱装置およびその温水暖房装置を用いた温水暖房装置を提供する。
【解決手段】円筒状のケーシング51の側面の上端側に、空気を貯める空気溜まり室BCを確保しうるように温水流入配管接続部51を設け、ケーシング51の下端に温水流出配管接続部55を設けて、ケーシング51への接続配管の位置を最適化する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水循環路に接続される温水流入配管接続部および温水流出配管接続部を有し、内部に上記温水流入配管接続部から流入した循環水を加熱する電気ヒータが収納された筒状のケーシングを備えた温水加熱装置において、
上記ケーシングは、軸線を垂直として縦置きされ、その上端には、空気抜き孔を有する蓋板が一体的に取り付けられており、
上記ケーシングの外周面には、上記温水流入配管接続部が上記蓋板と上記電気ヒータとの間で上記蓋板側に所定容積の空気溜まり室を確保し得る所定高さ位置に設けられ、
上記ケーシングの下端には、上記温水流出配管接続部を有する底板が取り付けられていることを特徴とする温水加熱装置。
【請求項2】
上記底板は上記ケーシングに着脱可能であり、上記底板に上記電気ヒータが支持されていることを特徴とする請求項1に記載の温水加熱装置。
【請求項3】
ヒートポンプユニットと、上記ヒートポンプユニットを熱源として生成された温水が循環する温水循環路を有する温水ユニットと、上記温水循環路の一部に含まれる放熱回路を有する暖房ユニットとを備えている温水暖房装置において、
上記温水循環路内に、請求項1または2に記載の温水加熱装置が組み込まれていることを特徴とする温水暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水循環式の温水暖房装置に用いられる温水加熱装置に関し、さらに詳しくいえば、温水加熱装置の接続配管の位置を最適化して設置スペースを小型化する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、石油やガスなどの化石燃料を使用する燃焼系の温水暖房装置に代えて、ヒートポンプユニットを熱源とする温水暖房装置が提案されている。その一例として、例えば特許文献1には、ヒートポンプユニット(通常は屋外に設置)を熱源とし、温水ユニット(通常は屋内に設置)との間で熱交換することで温水を生成して、閉ループ型の温水循環路を循環させて給湯や床暖房器で放熱するヒートポンプ式温水暖房装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載のヒートポンプ式温水暖房装置によれば、ヒートポンプユニットを熱源としているため、火災などの事故が起きにくく、CO排出量も少ないため地球環境にも優しい。また、ヒートポンプユニットの駆動制御が細かく設定できるため、温水の設定温度を低温から高温まで幅広く設定することができる。
【0004】
ところで、従来の温水ユニットは、ヒートポンプユニットの主熱源に加えて、電気式の温水加熱装置を補助的に備えることが多い。図4(a)に示すように、例えば特許文献1に記載の温水加熱装置1Aは、内部に電熱コイル5を有する円筒状のケーシング2を有し、ケーシング2の外周面の上端側に温水流入配管接続部3を備え、外周面の下端側に温水流出配管接続部4を備えている。
【0005】
この種の温水加熱装置1Aは、ケーシング2の内部に空気が溜まると、温水の循環効率が著しく低下するため、ケーシング2内に溜まった空気を抜く必要がある。そこで、特許文献1では、ケーシング2の上端面の一部に空気抜き孔2aを設けて、溜まった空気を大気中に逃がすようにしている。
【0006】
しかしながら、この温水加熱装置1Aは、温水流出配管接続部4がケーシング2の外周面から横方向に向けて突出しているため、吐出側の配管や継手が必要となり、その分、設置スペースを大きく取る必要がある。その結果、装置全体が大型化してしまう。
【0007】
そこで、別の方法として図4(b)に示す温水加熱装置1Bでは、円筒状のケーシング1Bの上端面に温水流入配管接続部3を、下端面に温水流出配管接続部4をそれぞれ設けて、水の流れを軸線方向とすることにより、ケーシング1Bの外周での配管を無くしたものも提案されている。
【0008】
しかしながら、この温水加熱装置1Bは、上端に温水流入配管接続部3を備えるため、温水流入配管接続部3の上にさらに空気抜きユニット6を設けなくてはならず、その分、軸線方向の配管や設置スペースの確保が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−118589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の課題は、接続配管の構成を最適化して、無駄な設置スペースを無くすことにより装置全体の小型化を可能とする温水加熱装置およびその温水暖房装置を用いた温水暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため、本発明は、温水循環路に接続される温水流入配管接続部および温水流出配管接続部を有し、内部に上記温水流入配管接続部から流入した循環水を加熱する電気ヒータが収納された筒状のケーシングを備えた温水加熱装置において、上記ケーシングは、軸線を垂直として縦置きされ、その上端には、空気抜き孔を有する蓋板が一体的に取り付けられており、上記ケーシングの外周面には、上記温水流入配管接続部が上記蓋板と上記電気ヒータとの間で上記蓋板側に所定容積の空気溜まり室を確保し得る所定高さ位置に設けられ、上記ケーシングの下端には、上記温水流出配管接続部を有する底板が取り付けられていることを特徴としている。
【0012】
より好ましい態様として、上記底板は上記ケーシングに着脱可能であり、上記底板に上記電気ヒータが支持されている。
【0013】
本発明には、この温水加熱装置を有する温水暖房装置も含まれる。すなわち、ヒートポンプユニットと、上記ヒートポンプユニットを熱源として生成された温水が循環する温水循環路を有する温水ユニットと、上記温水循環路の一部に含まれる放熱回路を有する暖房ユニットとを備えている温水暖房装置において、上記温水循環路内に本発明の温水加熱装置が組み込まれていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケーシングの蓋板と電気ヒータとの間で蓋板側に所定容積の空気溜まり室を確保し得る所定高さ位置に温水流入配管接続部を設け、ケーシングの下端に温水流出配管接続部を有する底板を一体的に取り付けたことにより、温水循環路への接続配管の構成を最適化し、無駄な配管設置スペースを省き、装置全体の小型化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る温水暖房装置の構成を示すブロック図。
図2】上記温水暖房装置に含まれている温水加熱装置の(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)右側面図および(e)内部構造を示すA−A線断面図。
図3】上記温水加熱装置の使用状態を説明する説明図。
図4】(a),(b)従来の温水加熱装置の内部構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図1ないし図3を参照して、本発明の温水加熱装置および温水暖房装置の各実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0017】
図1に示すように、この実施形態に係る温水暖房装置10は、ヒートポンプユニット20と、ヒートポンプユニット20を熱源とする温水ユニット30と、利用側の暖房端末42を備えた暖房ユニット40とを備えている。
【0018】
ヒートポンプユニット20は、冷媒を圧縮する圧縮機21、凝縮器22、膨張弁23および蒸発器24を備え、それらを冷媒流路25で接続した冷媒回路を有している。
【0019】
ヒートポンプユニット20は、四方弁を備えた冷房と暖房の切換が可能な可逆サイクル方式であってもよいが、本発明において、ヒートポンプユニット20は、暖房用の熱源として用いるため、可逆サイクルのため四方弁は特に必要としない。したがって、温水ユニット30の循環水を加熱する熱源となりうる最小限の機能を備えていればよく、各構成要素の具体的な構成は、仕様に応じて任意に選定されてよい。
【0020】
熱交換器60は、水−冷媒熱交換器であって、この実施形態において、温水ユニット30の温水循環路31の一部分に設けられている所定容積の循環水用のタンク61内に凝縮器22が収納され、タンク61内で循環水が凝縮器22により加熱されて温水が生成される。なお、図示しないが、熱交換器60を例えば二重管熱交換器としてもよい。
【0021】
温水ユニット30は、熱交換器60で生成された温水が循環する温水循環路31を備えている。温水循環路31は、往路側(温水送出側)の温水接続口31aと復路側(温水戻り側)の温水接続口31bを介して暖房ユニット40側の放熱回路41と接続される。
【0022】
このように、温水循環路31の一部に、暖房ユニット40側の放熱回路41が含まれるが、以下の説明において、温水循環路31と放熱回路41を特に区別する必要がない場合には、放熱回路41を含めて温水循環路31と言う。
【0023】
温水循環路31のうちの熱交換器60と往路側の温水接続口31aとの間の往路側配管311には、熱交換器60で生成された温水をさらに加熱する温水加熱装置50を備えている。
【0024】
温水循環路31のうちの復路側の温水接続口31bと熱交換器60との復路側配管312には、ストレーナ34、圧力計35、膨張タンク36、給排水弁37、圧力安全弁38および循環ポンプ39がそれぞれ配置されている。
【0025】
ストレーナ34は、温水循環路31内を流れる水または温水(以下、まとめて循環水とする)に含まれるゴミや不純物を除去する。ストレーナ34の具体的な構成は、本発明において任意的事項である。
【0026】
圧力計35は、暖房ユニット40が接続されることにより閉ループ回路となる温水循環路31内の管内圧力を測定するために用いられる。圧力計35の測定データは、図示しない制御部に送られる。
【0027】
膨張タンク36は、循環水の熱膨張を吸収するタンクである。給排水弁37は、温水循環路31内に水を注水したり、温水循環路31内の循環水を抜き取るために設けられており、先端には、水道管などに接続されるニップルと開閉コック(ともに図示しない)が設けられている。
【0028】
圧力安全弁38は、循環水が沸騰するなどして温水循環路31内の管圧が規定値以上となった際に、管破裂を防ぐために強制的に温水循環路31を外気に開放するリリーフバルブである。
【0029】
循環ポンプ39は、温水循環路31内の循環水を一方向(この実施形態では時計回り)に循環させるためのポンプであって、制御部により、その駆動が制御される。
【0030】
暖房ユニット40は、往路側の温水接続口31aと復路側の温水接続口31bとを介して、温水ユニット30側の温水循環路31に接続される放熱回路41を備えている。放熱回路41には、熱源の利用側としての暖房端末42が設けられている。暖房端末42は、例えば床暖房装置やラジエータ、ファンコンベクタなどであってよい。
【0031】
本発明の特徴は、温水加熱装置50にある。すなわち、図2に示すように、温水加熱装置50は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性のよい金属製で、下面が開放され、内部が中空な円筒状のケーシング51を備えている。ケーシング51の上端には、蓋板511が設けられ、下端には底板52が設けられている。この実施形態において、ケーシング51の外周面512は、円筒状であるが、角筒状であってもよい。
【0032】
この実施形態において、蓋板511は、例えば絞り加工などによってケーシング51とともに一体成形されているが、別体でロウ付けされてもよい。この実施形態において、ケーシング51の外周には、図示しない断熱材が取り付けられている。
【0033】
蓋板511の中央には、後述する空気溜まり室BC内に溜まった空気を抜き取るための空気抜き孔53が設けられている。この実施形態において、空気抜き孔53は、ケーシング51の蓋板511の中心に設けられているが、中心以外であってもよい。空気抜き孔53の上端には、空気抜き弁33(図1参照)が装着されている。
【0034】
底板52は、ケーシング51の下面開放口を塞ぐように、ケーシング51の外径とほぼ同径の円盤状を呈し、その中央には、ケーシング51内で加熱された循環水を温水循環路31に送り出す温水流出配管接続部55が、ケーシング51の軸線に沿って同軸的に設けられている。温水流出配管接続部55は、底板52の中心に対して非同軸であってもよい。
【0035】
底板52には、ケーシング51内の循環水を加熱する電気ヒータ56が取り付けられている。この実施形態において、電気ヒータ56は、内部に図示しない電熱線を有する2本の発熱チューブをそれぞれ中央からU字状に折り曲げて、その折曲部が上を向くように底板52から90°で交差させた状態で立設されている。
【0036】
電気ヒータ56の両端は、底板52に設けられた挿通孔521から外側に引き出されており、その両端が図示しない給電手段への接続端子561となっている。
【0037】
この実施形態において、電気ヒータ56は、2本の発熱チューブをU字状に折り曲げて、その折曲部が上を向くようにケーシング51内に向けて突設されているが、電気ヒータ56は、複数本の発熱チューブを単に底板52から立てたものや、1本の発熱チューブを螺旋状に形成したものであってもよい。さら別の態様として、ケーシング51の外周面側に配置されていても良い。
【0038】
ケーシング51の外周面512には、ケーシング51内に循環水を引き込むための温水流入配管接続部54が設けられている。温水流入配管接続部54は、電気ヒータ56の上方にあり、蓋板511と電気ヒータ56との間で蓋板511側に所定容積の空気溜まり室BCを確保し得る所定高さ位置に配置されている。なお、空気溜まり室BCの容積は、仕様に応じて任意に変更されてよい。
【0039】
これによれば、図3に示すように、温水流入配管接続部54からケーシング51内に流入した循環水は、下流側に移動しながら電気ヒータ56によって加熱されたのち、下端側の温水流出配管接続部55から流出する。
【0040】
循環水を加熱する際に気泡として発生した空気は、ケーシング51の上部にある空気溜まり室BCに溜まったのち、上端の空気抜き孔53を通って空気抜き弁33から外気に放出される。これにより、温水循環路31,41内に空気が混ざって循環効率が低下することが防止される。
【0041】
この実施形態において、底板52はケーシング51の下端に沿ってロウ付けによって一体的に取り付けられているが、溶接やねじ込み式などであってもよく、底板52のケーシング51との取付態様は仕様に応じて任意に変更されて良い。
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、ケーシング51内の上部に空気を貯める空気溜まり室BCを確保し得る高さに温水流入配管接続部54を配置し、底板52に温水流出配管接続部55を設けて、配管の接続位置の最適化を図ることにより、装置全体の小型化を図ることができる。
【符号の説明】
【0043】
10 温水暖房装置
20 ヒートポンプユニット
21 圧縮機
22 凝縮器
23 膨張弁
24 蒸発器
30 温水ユニット
31 温水循環路
33 空気抜き弁
34 ストレーナ
35 圧力計
36 膨張タンク
37 給排水弁
38 圧力安全弁
39 循環ポンプ
40 暖房ユニット
41 温水循環路(放熱回路)
42 暖房端末
50 温水加熱装置
51 ケーシング
511 蓋板
512 外周面
52 底板
53 空気抜き孔
54 温水流入配管接続部
55 温水流出配管接続部
56 電気ヒータ
60 熱交換器
BC 空気溜まり室
図1
図2
図3
図4