特開2015-161475(P2015-161475A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-161475(P2015-161475A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/48 20110101AFI20150811BHJP
   F24F 1/24 20110101ALI20150811BHJP
【FI】
   F24F1/48
   F24F1/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-37852(P2014-37852)
(22)【出願日】2014年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】山田 太志
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA02
3L054BB03
(57)【要約】
【課題】送風路の障害にならない位置に排気ダクトを安定して固定することができる空気調和機の室外機を提供する。
【解決手段】室外機1本体内を仕切板3と熱交換器側板30により機械室4と送風機室5とに区画し、送風機室5内には中央に送風ファン51と背面側に熱交換器50を配置し、機械室4には上部に電装品ユニット6を配置し、熱交換器50の上面に角筒状の排気ダクト7を配置し、排気ダクト7は、開口部70を機械室4まで延出して送風ファン51側の面に1つ以上の通気孔72を形成し、通気孔72を形成した面を前面71とし、前面71に対向する面を背面75とし、前面71と背面75からそれぞれ下方へ延出した一対の取付板73で熱交換器50を挟持することを特徴とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機本体内を仕切板と熱交換器側板により機械室と送風機室とに区画し、前記送風機室内には中央に送風ファンと背面側に熱交換器を配置し、前記機械室には上部に電装品ユニットを配置した空気調和機の室外機において、
前記熱交換器の上面に角筒状の排気ダクトを配置し、前記排気ダクトは、開口部を前記機械室まで延出して前記送風ファン側の面に1つ以上の通気孔を形成し、前記通気孔を形成した面を前面とし、前記前面に対向する面を背面とし、前記前面と前記背面からそれぞれ下方に延出した一対の取付板で前記熱交換器を挟持することを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
前記排気ダクトは、前記室外機本体の天井を覆う天板で押圧されることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に係わり、より詳細には、電装品箱内の放熱効果を向上させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションや一般家屋等の建物に設置される空気調和機は、屋外に設置される室外機と、屋内の天井や壁面に設置される室内機とで構成され、室外機と室内機とは冷媒配管で接続されているものが知られている。室外機内部は、室外機の筐体を構成する底板に取り付けられた仕切板によって、熱交換器や送風ファン等が設置された送風機室と、圧縮機やアキュムレータ等が備えられた機械室とに区画されている。そして機械室には圧縮機や送風ファン等の装置に駆動電力を供給する電源装置や室外機の運転を制御する制御基板等の電装部品を備えた電装品箱が圧縮機やアキュムレータ等の上方に配置されている。
【0003】
電装部品は発熱する部品であり、電装部品を冷却するために機械室には空気を取り込む空気導入用孔と、取り込んだ空気を送風機室側へ排気する排気孔が仕切板に備えられ、排気孔の送風機室側には遮水蓋が取り付けられ、電装品箱の排気孔から排気された空気を送風機室に排気しつつ、電装品箱の排気孔から電装品箱内部へ雨水やドレン水の水滴が侵入することを防いでいる。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
だが、昨今の室外機は高性能化にともない電装部品の発熱量も増加することで、仕切板に設けた排気孔だけでは電装部品の冷却効果が充分ではない。
そこで、排気孔に接続される排気ダクトを備え、送風ファンが駆動した時に送風機室に生じる負圧領域まで排気ダクトの開口端を延伸させることにより、送風ファン回転時には空気の流れが生じて排気を促進させるため、空気導入用孔より多くの空気が取り込まれるものがある。(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−159225号公報
【特許文献2】特開2012−137229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、排気ダクトは熱交換器と送風ファンと吹出口を繋ぐ送風路上に配置されることで送風路の障害となり、また、送風路に突出して宙に浮いた状態に設置されることから、送風ファンにより発生する風に当たることで振動が生じ騒音の原因になることも予測できる。
そこで、本発明の課題は送風路の障害にならない位置に排気ダクトを安定して固定することで放熱効果を向上させる空気調和機の室外機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するため、本発明は、室外機本体内を仕切板と熱交換器側板により機械室と送風機室とに区画し、前記送風機室内には中央に送風ファンと背面側に熱交換器を配置し、前記機械室には上部に電装品ユニットを配置した空気調和機の室外機において、
前記熱交換器の上面に角筒状の排気ダクトを配置し、前記排気ダクトは、開口部を前記機械室まで延出して前記送風ファン側の面に1つ以上の通気孔を形成し、前記通気孔を形成した面を前面とし、前記前面に対向する面を背面とし、前記前面と前記背面からそれぞれ下方に延出した一対の取付板で前記熱交換器を挟持することを特徴とする。
【0008】
また、前記排気ダクトは、前記室外機本体の天井を覆う天板で押圧されることも含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、空気調和機の室外機の熱交換器の上面に角筒状の排気ダクトを配置し、排気ダクトは、筒の開口部を熱交換器側板の上で機械室まで延出し、送風ファン側の前面に1つ以上の通気孔を設け、排気ダクトの前面と背面からそれぞれ下方に延出した一対の取付板で熱交換器を挟持することで、送風ファンの回転により通気孔から電装品箱内の空気を流通させることができ、また通気孔の下の熱交換器を通過する風の誘引によって通気孔から排気される空気が風速の速い流れとなり、電装品箱内の熱を効率良く冷却できることが可能となる。
また、熱交換器の上面で熱交換器から取り込まれる空気の送風路では無い位置に配置されたことにより、送風路の障害とはならず、熱交換器の上で一対の取付板で挟持することで、安定して固定され振動により騒音を発生することのない空気調和機の室外機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による室外機の正面図である。
図2】本発明による室外機の背面上方より見た内部機構を示す図である。
図3】本発明による室外機の天板を外した平面図である。
図4】本発明による室外機の天板を外して前面上方より見た図である。
図5】本発明による室外機の排気ダクト付近の縦断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。なお、本実施例は一実施例にすぎないもので、本発明の実施形態は本発明に限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
本発明による空気調和機の室外機は、商業施設などの屋外に設置され、屋内の大型の室内機や2〜3台の室内機と冷媒配管を介して接続する大型の空気調和機に用いられるものである。
【0013】
室外機1は、図1図2に示すように外郭を構成する外胴10が略直方体形状であり、ベース11とベース11に立設された前面パネル12と設置時やメンテナンス時には取り外すことができるメンテナンスパネル13と背面パネル21と、前面パネル12とメンテンスパネル13と背面パネル21との天井を覆う天板14とからなる。これらは鋼板材をプレス加工して形成される。
前面パネル12には後述する送風ファン51から吹き出される空気を吹き出す吹出口15が開口し、この吹出口15はファンガード16で覆われている。
背面パネル21には後述する機械室4に外気を取り込む吸気孔17が中央から下方の位置に設けられている。
【0014】
尚、以下、図1において前面パネル12とメンテンスパネル13のある面を前面とし、前面から見て前面パネル12側の側面を左側面とし、メンテンスパネル13のある側の側面を右側面とし、図2において背面パネル21に吸気孔17のある面を背面として説明する。
よって、メンテンスパネル13は前面から右側面の一部までを覆い、背面パネル21はメンテナンスパネル13に右側面で当接して背面の一部までを覆い、図示しないが前面パネル12は左側面の前面側まで回り込み、左側面と背面の角隅は支柱18により支えられている。
【0015】
外胴10の内部は、図2図3に示すように、ベース11に立設し一辺を前面パネル12に固定し天板14までの高さがある仕切板3と、ベース11に立設し一辺を仕切板3に固定し、もう一辺を背面パネル21に固定した熱交換器側板30により、機械室4と送風機室5とに区画されている。
【0016】
送風機室5内には、図2乃至図4に示すように左側面から背面に掛けてL字状に曲がった熱交換器50が左側面と背面の吸込口19に露出するように配置される。熱交換器50は平行に並んだフィン501とフィン501を貫通する複数の冷媒管502で構成される。熱交換器50の上面は平行に並んだフィン501により平らな面となり後述する排気ダクト7を上面で受けるようになっている。熱交換器50はベース11に立設した熱交換器側板30で支えられベース11に固定される。
熱交換器50の冷媒管502は熱交換器側板30を貫通し、貫通した冷媒管502はパス管503によって接続される。
【0017】
また、送風機室5内の中央で熱交換器50の手前には、ベース11に立設したモータ取付台53に図示しないファンモータが固定され、前面パネル12の吹出口15に対向する位置でファンモータの軸に送風ファン51が軸支される。モータ取付台53の上端は上部モータ取付台54に固定され、上部モータ取付台54は前面パネル12の上端と熱交換器50の上端に跨って固定される。
また、前面パネル12の吹出口15には、空気を導くベルマウス20が前面パネル12と一体に形成される。
【0018】
以上の構成により、吸込口19と熱交換器50と送風ファン51と吹出口15を結ぶ送風路55が形成され、送風ファン51の回転により吸込口19から吸い込まれた空気は、熱交換器50で冷媒と熱交換した後に、送風路55を通りベルマウス20に導かれ吹出口15から外部へ吹き出される。
【0019】
機械室4内には、図2乃至図4に示すようにベース11上に圧縮機40とアキュムレータ41が取り付けられ、機械室4の上部に電装品ユニット6が配置される。電装品ユニット6はメンテナンスパネル13の背面側と仕切板3の機械室4側の面に設けた各種電装部品60とからなる。電装部品60にはメンテナンスパネル13側に圧縮機40や接続された室内機を制御するための各種電子部品が実装されたメイン制御基板61と、仕切板3の側面に配置されたインバーター基板62と、インバーター基板62の上に配置されたパワーモジュール63と、仕切板3の背面側に配置されたチョークコイル64等がある。
電装品ユニット6の上面は、蓋状の電装品ユニット蓋65で覆われている。電装品ユニット蓋65の内側には図示しないシール部材が一体的に貼り着けられ電装品ユニット6内への雨水の侵入を防いでいる。
【0020】
電装部品60は発熱する部品が多く、インバーター基板62はヒートシンク66を備え、ヒートシンク66は仕切板3に設けた図示しない開口部から送風機室5側に臨んで送風路55内に配置され、送風ファン51に導かれ熱交換器50を通って導入された外気の一部が、ヒートシンク66に当たることでインバーター基板62が冷却される。
【0021】
インバーター基板62を含む発熱する電装部品60の冷却のために、仕切板3の側面にはパワーモジュール63の横に電装品ユニット6内の熱を送風機室5側へ排出する排気孔31が設けられている。排気孔31の送風機室5側には排気孔31から電装品ユニット6内に雨水やドレン水の侵入を防ぐ箱状の遮水蓋67が設けられている。
電装部品60から発熱された熱は図2に示すように送風ファン51の回転により背面パネル21に設けた吸気孔17から取り込まれた外気に導かれ排気孔31から遮水蓋67を通り送風機室5へ排気される。
【0022】
しかし、空気調和機の高性能化にともない電装部品60の発熱量も増加することで、仕切板3に設けた排気孔31だけでは電装部品60の充分な冷却効果が得られなくなってきている。そこで、室外機1は図2乃至図5に示すように排気孔31の他にも排気ダクト7を設けている。
【0023】
送風機室5の熱交換器50の平らな上面には熱交換器50のL字状に形を合わせた遮風部材52が熱交換器50の左側面から背面の上部モータ取付台54の下まで設けられている。そして遮風部材52が設けられていない熱交換器50の上面には排気ダクト7が設けられている。
【0024】
排気ダクト7は、樹脂製の有底筒状のダクトであり、筒状は実施例では角筒状で角筒を寝かして配置されており、角筒の底面を遮風部材52に当接させ、底面の反対側の開口部70を熱交換器側板30の上で機械室4まで延出させている。また、排気ダクト7は底の無い筒状でもよく、底面に遮風部材52を密着させてもよい。
天板14までの高さがある仕切板3に対し、熱交換器側板30と熱交換器50の高さは低くなっており、段差部分に排気ダクト7の開口部70が収まるようになっている。
【0025】
排気ダクト7は角筒の送風ファン51側の面に送風ファン51の回転で生じる負圧領域に向けて通気孔72を形成している。通気孔72は送風ファン51側の面に平行に並んだ1つ以上の孔からなる。尚、通気孔72を形成した面を前面71とし、その対向する面を背面75とする。
これにより、電装部品60から発熱された熱は送風ファン51の回転により排気ダクト7の開口部70から排気ダクト7を通り通気孔72から送風機室5へ排気される空気Sの流れによって送風機室5に導かれ排気されることが出来る。
【0026】
通気孔72は排気ダクト7の長さを活かして送風ファン51の回転で生じる負圧領域に向けて複数個設けられていることで、複数の通気孔72から負圧領域に引かれる空気Sの流れを作ることができる。
さらに通気孔72の下の熱交換器50を通過する風Tがあることで、送風ファン51の回転により熱交換器50を通過する風Tの誘引によって、通気孔72から流れる空気Sは風速の速い流れを作ることができる。そして、通気孔72を流れる空気Sは風速の速い流れとなることで、電装品ユニット6内の熱を効率良く排気し電装部品60を冷却できることが可能となる。
【0027】
排気ダクト7は、開口部70から下方へ延出した取付片74を設けている。取付片74は、開口部70の下端から熱交換器側板30に沿うように延出され、ネジ挿入孔を有している。また、排気ダクト7は、図5に示すように、前面71と背面75の下端からそれぞれ下方へ延出した一対の取付板73を備える。一対の取付板73は、図2図4において、排気ダクト7の遮風部材52側であって、通気孔72の下の前面71から下方へ延出するとともに、通気孔72に対向する背面75から下方へ延出し、熱交換器50を通過する風Tの妨げとならず、かつ、安定的に固定できる長さになっている。
排気ダクト7は、ネジを用いて取付片74を熱交換器側板30に固定するとともに、一対の取付板73により熱交換器50に挟持することで安定的に固定できる。
【0028】
さらに、排気ダクト7は、天板14で押圧されることで、熱交換器50からずれたり、通風による振動を防ぐことができる。
尚、排気ダクト7と天板14の隙間に余裕のある場合は排気ダクト7の上にさらに遮風部材52を設けてもよい。
【0029】
以上説明してきた室外機1によれば、排気ダクト7は、熱交換器50の上面で熱交換器50から取り込まれる空気の送風路55に当たらない位置に配置されたことにより、空気の送風路55の障害とはならず、排気ダクト7の一対の取付板73により熱交換器50を挟持することにより、排気ダクト7を熱交換器50の上面に安定して固定することができる。また、排気ダクト7は、送風ファン51により発生する風に当たらないため、振動により騒音を発生することもない。
【0030】
また、開口部70を熱交換器側板30の上に設けたことで、仮に通気孔72から水が侵入しても熱交換器50の冷媒管502の上に流れ落ちるため、電装部品60に水の影響はなく遮水のための構造を必要としない。
【0031】
さらに、排気ダクト7と排気孔31との2箇所から放熱できるため、より電装品ユニット6内の熱を効率良く冷却できることが可能となる。
【符号の説明】
【0032】
1:室外機、10:筺体、11:ベース、12:前面パネル、14:天板、15:吹出口、17:吸気孔、19:吸込口
3:仕切板、30:熱交換器側板、31:排気孔
4:機械室
5:送風機室、50:熱交換器、502:冷媒管、51:送風ファン、52:遮風部材、55:送風路
6:電装品ユニット、60:電装部品、67:遮水蓋
7:排気ダクト、70:開口部、71:前面、72:通気孔、73:取付板、74:取付片、75:背面
図1
図2
図3
図4
図5