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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-162277(P2015-162277A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】端子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/00 20060101AFI20150811BHJP
   H01R 4/18 20060101ALI20150811BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20150811BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   H01R4/00 Z
   H01R4/18 A
   H01R43/048 Z
   H01R43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-35068(P2014-35068)
(22)【出願日】2014年2月26日
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 大致
(72)【発明者】
【氏名】西田 詩朗
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前川 文隆
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 伸行
【テーマコード(参考)】
5E051
5E063
5E085
【Fターム(参考)】
5E051GA06
5E051GA09
5E063CA07
5E063CC05
5E063XA05
5E085BB02
5E085BB12
5E085BB13
5E085CC03
5E085DD13
5E085HH06
5E085HH18
5E085HH26
5E085HH34
5E085JJ13
5E085JJ38
(57)【要約】
【課題】電線と軸状端子とが接続され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子において、容易に止水を図ること。
【解決手段】端子1は、軸状に延伸し、その一端部が相手側端子と接続され、その他端部10Bに、その延伸方向に沿って凹んでなる液溜まり部12を囲むとともにその一部が切り欠かれてなる切り欠き部16を有する側壁10Cが設けられた軸状端子10と、その一端部において絶縁被覆22から芯線24が取り出され、その引き出し方向が軸状端子10の延伸方向と交差する形で、芯線24が液溜まり部12内に収容されて軸状端子10と接続された電線20であって、その一端部20Aにおける絶縁被覆22の端部が、切り欠き部16の最深部まで挿入されるとともに切り欠き部16の開口縁に当接された電線20と、常温で硬化する封止材Cであって、液溜まり部12内に芯線24が浸漬するまで注入された封止材Cと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸状に延伸し、その一端部が相手側端子と接続され、その他端部に、その延伸方向に沿って凹んでなる液溜まり部を囲むとともにその一部が切り欠かれてなる切り欠き部を有する側壁が設けられた軸状端子と、
絶縁被覆によって被覆された芯線からなり、その一端部において前記絶縁被覆から前記芯線が取り出されるとともに、その引き出し方向が前記軸状端子の延伸方向と交差する形で、前記取り出された前記芯線が前記液溜まり部内に収容されて前記軸状端子と接続された電線であって、その一端部における前記絶縁被覆の端部が、前記延伸方向において前記切り欠き部の最深部まで挿入されるとともに前記引き出し方向において前記切り欠き部の開口縁に当接された電線と、
常温で硬化する封止材であって、前記液溜まり部内に前記芯線が浸漬するまで注入された封止材と、
を備える端子。
【請求項2】
前記電線は、前記引き出し方向から該電線の断面を視たときに、前記切り欠き部の深さ方向において、前記芯線の全体が、前記絶縁被覆の端部のうち前記切り欠き部の開口縁に当接された部位と当接されない部位との境界部よりも深い位置に位置する形で配されている、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記切り欠き部の開口縁に前記引き出し方向に沿った段差が設けられている、請求項1または請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記切り欠き部の前記延伸方向における寸法が前記電線の外径よりも大きいものとされている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の端子。
【請求項5】
前記軸状端子は、その他端部側の外径がその一端部側の外径よりも大きいものとされている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子。
【請求項6】
前記取り出された前記芯線が前記液溜まり部内で前記軸状端子の他端部に圧着されることで前記軸状端子と接続された、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の端子。
【請求項7】
前記液溜まり部に、該液溜まり部を囲む前記側壁の一部が前記電線の引き出し方向に凹むことで前記取り出された前記芯線の先端が収容された先端収容部が設けられた、請求項6に記載の端子。
【請求項8】
前記液溜まり部に、該液溜まり部から前記軸状端子の延伸方向に沿って伸びるとともに該液溜まり部との間で前記芯線を挟み込む形で加締められるバレル部が設けられている、請求項6または請求項7に記載の端子。
【請求項9】
請求項8に記載の端子を製造する方法であって、
前記軸状端子の他端部に切削によって前記液溜まり部と前記切り欠き部と前記バレル部とをそれぞれ形成する切削工程と、
前記電線の一端部において前記絶縁被覆から前記芯線を取り出し、前記軸状端子の前記延伸方向と前記電線の前記引き出し方向とが交差する形で、前記芯線が取り出された前記絶縁被覆の端部を前記切り欠き部の開口縁に当接させた状態で前記切り欠き部の最深部まで挿入する挿入工程と、
前記バレル部を加締めることで、前記液溜まり部内に収容された前記芯線を前記軸状端子の他端部に圧着して接続する圧着工程と、
前記液溜まり部内に前記芯線が浸漬するまで前記封止材を注入する注入工程と、
を備える端子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子が知られている。例えば特許文献1には、平板状の端子の一端部に電線が圧着されて接続された電気接続部が設けられ、平板状の端子の他端部にテーパ状のリング体が形成された電気接触部が設けられた端子が開示されている。この端子では、電気接触部に形成されたリング体が電線の引き出し方向と略直交する方向に貫通しており、このリング体が相手側端子に設けられた筒体と嵌合されることで、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが略直交するものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−7991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記平板状の端子の替わりに軸状に延伸する軸状端子を用いる場合、例えば、絶縁被覆で被覆された電線の端部から芯線を取り出し、軸状端子の延伸方向と電線の引き出し方向とを交差させる形で軸状端子の端部に取り出された電線の芯線を接続させることで、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子を実現することができる。
【0005】
しかしながら、このような端子において止水を図ろうとする場合、軸状端子と電線との接続部、及び絶縁被覆からの芯線の取り出し部のそれぞれについて封止材等を配さなければならず、その製造過程において止水を図るための工程を複数回行う必要があった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みて創作されたものであって、電線と軸状端子とが接続され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子において、容易に止水を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、軸状に延伸し、その一端部が相手側端子と接続され、その他端部に、その延伸方向に沿って凹んでなる液溜まり部を囲むとともにその一部が切り欠かれてなる切り欠き部を有する側壁が設けられた軸状端子と、絶縁被覆によって被覆された芯線からなり、その一端部において前記絶縁被覆から前記芯線が取り出されるとともに、その引き出し方向が前記軸状端子の延伸方向と交差する形で、前記取り出された前記芯線が前記液溜まり部内に収容されて前記軸状端子と接続された電線であって、その一端部における前記絶縁被覆の端部が、前記延伸方向において前記切り欠き部の最深部まで挿入されるとともに前記引き出し方向において前記切り欠き部の開口縁に当接された電線と、常温で硬化する封止材であって、前記液溜まり部内に前記芯線が浸漬するまで注入された封止材と、を備える端子に関する。なお、本明細書でいう「常温」とは、20℃±15℃の範囲内の温度をいうものとする。
【0008】
上記の端子によると、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向とが交差する形で電線の一端部が軸状端子の他端部に接続されることで、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる端子が実現される。さらに、電線の一端部における絶縁被覆の端部が切り欠き部の最深部まで挿入されて切り欠き部の開口縁に当接されることで、当該絶縁被覆の端部から取り出された芯線が液溜まり部内に収容された状態で切り欠き部の開口が当該絶縁被覆の端部によって塞がれ、液溜まり部内に封止材が堰き止められる構造が形成される。このため、液溜まり部内に芯線、即ち軸状端子と電線との接続部が浸漬するまで封止材が注入されることで、絶縁被覆からの芯線の取り出し部においても芯線が封止材に浸漬した状態となる。その結果、軸状端子と電線との接続部、及び絶縁被覆からの芯線の取り出し部の両者について、一回の工程で同時に止水を図ることができる。このように上記の端子では、電線と軸状端子とが接続され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子において、容易に止水を図ることができる。
【0009】
上記の端子において、前記電線は、前記引き出し方向から該電線の断面を視たときに、前記切り欠き部の深さ方向において、前記芯線の全体が、前記絶縁被覆の端部のうち前記切り欠き部の開口縁に当接された部位と当接されない部位との境界部よりも深い位置に位置する形で配されていてもよい。
【0010】
上記の端子では、切り欠き部の開口縁に当接された部位より深い位置に封止材が堰き止められる構造が形成される。上記の構成によると、液溜まり部内に注入された封止材に芯線が浸漬されるための具体的な構成を実現することができる。
【0011】
上記の端子において、前記切り欠き部の開口縁に前記引き出し方向に沿った段差が設けられていてもよい。
【0012】
この構成によると、芯線が取り出された絶縁被覆の端部を段差に沿って圧入する形で切り欠き部内に挿入することで当該絶縁被覆の端部が段差に嵌り込んだ状態となるので、当該絶縁被覆の端部と切り欠き部との密着性を高めることができる。これにより、液溜まり部内に封止材が堰き止められるための構造をより効果的に形成することができる。
【0013】
上記の端子において、前記切り欠き部の前記延伸方向における寸法が前記電線の外径よりも大きいものとされていてもよい。
【0014】
この構成によると、芯線が取り出された絶縁被覆の端部を切り欠き部内に挿入することで、電線の径方向について切り欠き部内に電線の全体が挿入された形となる。このため、軸状端子の延伸方向において電線の一部が切り欠き部からはみ出した構成と比べて、軸状端子と電線との接続部の低背化を図ることができる。
【0015】
上記の端子において、前記軸状端子は、その他端部側の外径がその一端部側の外径よりも大きいものとされていてもよい。
【0016】
この構成によると、軸状端子の一端部において相手側端子との接続を図りながら、端子の製造過程において軸状端子の他端部に液溜まり部を形成し易いものとすることができる。
【0017】
上記の端子において、前記取り出された前記芯線が前記液溜まり部内で前記軸状端子の他端部に圧着されることで前記軸状端子と接続されてもよい。
【0018】
上記の端子は、軸状端子を支持しながら当該軸状端子の延伸方向を圧着方向として当該軸状端子の他端部に電線を圧着することで容易に製造することができる。上記の構成によると、軸状端子と電線との接続部について、抵抗溶接等、他の接続方法と比べて製造し易い端子を実現することができる。
【0019】
上記の端子において、前記液溜まり部に、該液溜まり部を囲む前記側壁の一部が前記電線の引き出し方向に凹むことで前記取り出された前記芯線の先端が収容された先端収容部が設けられてもよい。
【0020】
上記の端子では、軸状端子と電線とを圧着により接続すると、電線の芯線の当該圧着された部位よりも先の部位(芯線の先端)が外側に拡がった形状となる。上記の構成によると、芯線の先端に形成されたこの拡がった部位が先端収容部に収容されることで、芯線の先端が液溜まり部からはみ出さないようにすることができる。
【0021】
上記の端子において、前記液溜まり部に、該液溜まり部から前記軸状端子の延伸方向に沿って伸びるとともに該液溜まり部との間で前記芯線を挟み込む形で加締められるバレル部が設けられていてもよい。
【0022】
上記の端子では、例えば軸状端子の他端部を切削することで液溜まり部を設け、その液溜まり部を囲む側壁の一部を上記バレル部とすることができる。しかしながらこの場合、切削跡によってはバレル部の一部に曲面が形成されるため、軸状端子の他端部に電線を圧着する際にバレル部を加締め難いものとなる。上記の構成によると、バレル部が液溜まり部から軸状端子の延伸方向に沿って伸びる形で独立して設けられることで、バレル部の一部に曲面が形成された構成と比べてバレル部を加締め易いものとなる。このため、端子をより製造し易いものとすることができる。
【0023】
本発明の他の態様は、上記の端子を製造する方法であって、前記軸状端子の他端部に切削によって前記液溜まり部と前記切り欠き部と前記バレル部とをそれぞれ形成する切削工程と、前記電線の一端部において前記絶縁被覆から前記芯線を取り出し、前記軸状端子の前記延伸方向と前記電線の前記引き出し方向とが交差する形で、前記芯線が取り出された前記絶縁被覆の端部を前記切り欠き部の開口縁に当接させた状態で前記切り欠き部の最深部まで挿入する挿入工程と、前記バレル部を加締めることで、前記液溜まり部内に収容された前記芯線を前記軸状端子の他端部に圧着して接続する圧着工程と、前記液溜まり部内に前記芯線が浸漬するまで前記封止材を注入する注入工程と、を備える端子の製造方法に関する。
【0024】
上記の製造方法によると、圧着工程によって、電線の引き出し方向と軸状端子の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる端子が実現される。さらに、注入工程によって、軸状端子と電線との接続部、及び絶縁被覆からの芯線の取り出し部の両者について同時に止水を図ることができる。このため、電線と軸状端子とが圧着されて接続され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子において、容易に止水を図ることが可能な端子を製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電線と軸状端子とが接続され、電線の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子において、容易に止水を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態1における端子の斜視図
図2】端子を上方から視た平面図
図3図2におけるIII−III断面の断面構成を示す断面図
図4図2におけるIV−IV断面の断面構成を示す断面図
図5図2におけるV−V断面の断面構成を示す断面図
図6図2におけるVI−VI断面の断面構成を示す断面図
図7】軸状端子に電線を配置する前の状態を示す斜視図
図8】軸状端子の延伸方向に沿った断面の断面構成であって、軸状端子に電線を配置する前の状態を示す断面図
図9】軸状端子に電線が配置された後の状態を示す斜視図
図10】軸状端子に電線が配置された後の状態を上方から視た平面図
図11図10におけるXI−XI断面の断面構成であって、軸状端子に電線が配置された後の状態を示す断面図
図12】軸状端子に電線が圧着された後の状態を示す斜視図
図13】軸状端子に電線が圧着された後の状態を上方から視た平面図
図14図13におけるXIV−XIV断面の断面構成であって、軸状端子に電線が圧着された後の状態を示す断面図
図15図13におけるXV−XV断面の断面構成であって、軸状端子に電線が圧着された後の状態を示す断面図
図16】実施形態2における端子の斜視図
図17】軸状端子の延伸方向に沿った断面であって、実施形態2における端子の断面図
図18】実施形態3における端子の斜視図
図19】軸状端子の延伸方向に沿った断面であって、実施形態3における端子の断面図
【発明を実施するための形態】
【0027】
<実施形態1>
図1乃至図15を参照して実施形態1を説明する。本実施形態では、図1に示す屈曲形状の端子1を例示する。この端子1は、軸状に延伸する軸状端子10と、軸状端子10に圧着されて接続された電線20と、を備える。端子1は、軸状端子10に電線20が略直交して交差する形で配されて構成され、これにより、全体として略L字状に屈曲した形状となっている。
【0028】
なお本実施形態では、各図面の一部に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。このうちX軸方向は、図1図7図9図12の紙面左斜め上側、図2図3図8図10図11図13図14の紙面左側、をそれぞれ前方として前後方向と一致しており、Y軸方向は左右方向と一致しており、Z軸方向は、図1乃至図15の紙面上側を上方として上下方向と一致している。
【0029】
端子1を構成する軸状端子10は、銅または銅合金からなる中実な円柱状の部材とされる。軸状端子10は、図3に示すように、上下方向に軸状に伸びており、その下側に位置する一端部10Aに相手側端子(不図示)が接続され、その上側に位置する他端部10Bに電線20の一端部20Aが接続されている。
【0030】
軸状端子10の他端部10Bには、図1乃至図3に示すように、その先端面10B1に、軸状端子10の延伸方向に沿って下方に凹んでなる液溜まり部12が設けられている。液溜まり部12は、図2に示すように、その開口が上方から視て矩形状となっている。液溜まり部12の内部には、常温環境下に放置することで硬化する封止材Cが注入されている。この封止剤Cの一例としては、キレート剤を挙げることができる。
【0031】
液溜まり部12には、電線20の一端部20Aが圧着されて接続された圧着部13が設けられている。この圧着部13は、電線20の一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bに配された状態で、液溜まり部12から伸びる2つのバレル部14(図7参照)がその上方から加締められることにより形成されている。2つのバレル部14は、加締められる前の状態では、図7に示すように、液溜まり部12から上下方向(軸状端子10の延伸方向)に沿って板状をなして伸びており、その両板面が左右方向に向けられた姿勢で対向状に並列配置されている。
【0032】
液溜まり部12を囲む側壁10Cには、その一部が切り欠かれてなる切り欠き部16が設けられている。切り欠き部16は、図7に示すように、前後方向から視た形状が略U字状をなしている。この切り欠き部16の開口縁16Aには、前後方向(電線20の引き出し方向)に沿った段差17が設けられている。電線20は、その一端部20Aが切り欠き部16に挿入された状態で軸状端子10の他端部10Bに圧着されている。なお、電線20と軸状端子10との接続態様については後で詳しく説明する。
【0033】
また軸状端子10は、図1及び図3に示すように、その上側(他端部側)の略半分に位置する部位(以下、「上側端子部10D」と称する)の外径が、その下側(一端部側)の略半分に位置する部位(以下、「下側端子部10E」と称する)の外径よりも大きい。このため、上側端子部10Dの下面(以下、「係止面10D1」と称する)は、端子1がリテーナ(不図示)等の外部部材に収容される場合に当該リテーナ等に係止されるようになっている。係止面10D1がリテーナ等に係止されることで、端子1が当該リテーナ等に支持され、端子1ががたつくことを防止ないし抑制することができる。
【0034】
端子1を構成する電線20は、複数の金属素線からなる芯線24が絶縁被覆22によって被覆されて構成され、図1に示すように、前後方向に引き出されている。電線20の一端部20Aでは、図7に示すように、絶縁被覆22から芯線24が取り出されている。電線20は、その引き出し方向が軸状端子10の延伸方向と略直交して交差する形で、その一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bに圧着されて接続されている。
【0035】
次に、電線20と軸状端子10との接続態様について説明する。電線20は、その一端部20Aにおける絶縁被覆22の端部(以下、単に「絶縁被覆22の端部」と称する)が、上下方向(軸状端子10の延伸方向)において、軸状端子10の他端部10Bに設けられた切り欠き部16に挿入されている。詳しくは、絶縁被覆22の端部は、前後方向(電線の引き出し方向)において切り欠き部16の開口縁16Aに当接された状態で、切り欠き部16の段差17に沿って切り欠き部16の最深部まで挿入されている(図3及び図5参照)。
【0036】
なお、図5に示すように、電線20は、切り欠き部16の深さ方向(上下方向、軸状端子10の延伸方向)において、芯線24の全体が、絶縁被覆22の端部のうち切り欠き部16の開口縁16Aに当接された部位と当接されない部位との境界部Bよりも深い位置(下方側の位置)に位置する形で配されている。
【0037】
切り欠き部16の上下方向(軸状端子10の延伸方向)における寸法D1は、図5に示すように、電線20の外径D2よりも大きいものとされている。このため、電線20の径方向(上下方向、軸状端子10の延伸方向)について、切り欠き部16内に電線20の全体が挿入されている。また、切り欠き部16の段差17が設けられた部位の左右方向における寸法は、電線20の外径D2よりもわずかに小さいものとされている。このため、絶縁被覆22の端部は、上下方向において段差17に沿って圧入される形で切り欠き部16内に挿入され、切り欠き部16に嵌り込んだ状態となっている。
【0038】
ここで、軸状端子10に設けられた液溜まり部12から並列配置する形で伸びる2つのバレル部14の間隔は、電線20の芯線24の外径よりわずかに大きいものとされている。このため、絶縁被覆22の端部が切り欠き部16内に挿入されることで、当該絶縁被覆22から取り出された芯線24は、液溜まり部12内に収容されるとともに2つのバレル部14の間に位置する(図10参照)。
【0039】
上記圧着部13は、軸状端子10の他端部10Bに対して電線20の一端部20Aがこのように配置された状態で、2つのバレル部14がその上方から加締められることで、液溜まり部12内に収容された芯線24がバレル部14と当該液溜まり部12との間で挟み込まれて軸状端子10の他端部10Bに圧着されることにより形成されている。
【0040】
液溜まり部12内に収容された芯線24が軸状端子10の他端部10Bに圧着されることにより、当該芯線24がバレル部14によって押し潰され、圧着部13よりも先に位置する芯線24の先端は外側に拡がった形状となっている。ここで、液溜まり部12には、図1に示すように、当該液溜まり部12を囲む側壁10Cの一部が前後方向(電線20の引き出し方向)に凹んでなる先端収容部12Aが設けられている。そして、この先端収容部12A内に上記拡がった形状とされた芯線24の先端が収容されている(図13参照)。これにより、芯線24の先端が液溜まり部12からはみ出ることが抑制されている。
【0041】
また、絶縁被覆22の端部が上述したような態様で切り欠き部16に挿入されることで、図2及び図3に示すように、当該絶縁被覆22の端部によって切り欠き部16の開口が前後方向(電線20の引き出し方向)に塞がれ、液溜まり部12内に上記封止材Cが堰き止められる構造が形成されている。このため、液溜まり部12内に液体状の封止材Cを注入しても、封止材Cが液溜まり部12の外部に漏れないようになっている。
【0042】
そして、本実施形態の端子1では、図3及び図4に示すように、電線20の一端部20Aにおいて絶縁被覆22の端部から取り出された芯線24の全体が封止材Cに浸漬するまで、液溜まり部12内に封止材Cが注入され、硬化した状態となっている。なお、図4に示すように、圧着部13の上側の一部は、封止材Cから露出しているものの、軸状端子10の他端部10Bにおける先端面10B1よりも下方に位置している。このため、圧着部13に干渉することなく、当該先端面10B1の全面を外部部材に当接させることができるようになっている。
【0043】
続いて、本実施形態における端子1の製造方法を説明する。本方法では、まず、鍛造により軸状端子10の大まかな外形を形成し、その後、図7及び図8に示すように、軸状端子10の他端部10Bに、切削によって上記液溜まり部12と上記先端収容部12Aと上記2つのバレル部14とを形成する。さらに、液溜まり部12を囲む側壁10Cの一部を切り欠く形で切削することで、上記切り欠き部16と上記段差17とをそれぞれ形成する(切削工程の一例)。このとき、左右方向における位置が2つのバレル部14の間と一致するように切り欠き部16を形成する。
【0044】
次に、電線20の一端部20Aにおいて絶縁被覆22から芯線24を取り出す。このとき絶縁被覆22から取り出す芯線24の長さは、次の製造過程において絶縁被覆22の端部を切り欠き部16に挿入した際に、電線20の引き出し方向において芯線24の先端が2つのバレル部14が設けられた位置よりも先にわずかにはみ出る程度の長さとする(図11参照)。2つのバレル部14は芯線24の圧着後に圧着部13とされることから、芯線24の先端が2つのバレル部14が設けられた位置よりも先にはみ出ることにより、芯線24の先端が2つのバレル部14が設けられた位置よりも先にはみ出していない構成と比べて軸状端子10に対して圧着される芯線24の部位が大きくなり、軸状端子10に対する芯線24の固着力を向上させることができる。
【0045】
次に、図9乃至図11に示すように、軸状端子10の延伸方向と電線20の引き出し方向とが交差する形で、軸状端子10の他端部10Bにその上方から電線20を配置する。具体的には、絶縁被覆22の端部を切り欠き部16の開口縁16Aに当接させた状態で、当該絶縁被覆22の端部を切り欠き部16の最深部まで挿入する(挿入工程の一例)。このとき、電線を上下方向において切り欠き部16の段差17に沿って圧入することで、絶縁被覆22の端部を切り欠き部16に挿入する。このように電線20を段差17に沿って圧入することで、図3及び図5に示すように、絶縁被覆22が段差17との間に生じる摩擦によって上側にわずかにずれた状態となる。
【0046】
また、絶縁被覆22の端部が切り欠き部16に挿入されることで、図10及び図11に示すように、電線20の引き出し方向において、切り欠き部16の開口が絶縁被覆22の端部によって塞がれる。また、図10に示すように、絶縁被覆22の端部から取り出された芯線24が液溜まり部12内に収容され、2つのバレル部14の間に位置するとともに、その先端が先端収容部12Aに収容された状態となる。
【0047】
次に、後の製造過程において軸状端子10の下側端子部10Eに傷が付かないようにするため、当該下側端子部10Eを筒状の樹脂部材または筒状のゴム部材により形成されたカバー(不図示)で覆う。次に、軸状端子10の係止面10D1を受け台(不図示)に係止させた状態で、軸状端子10の下側端子部10Eと上側端子部10Dの下側の部位とを当該受け台によって上下方向に支持する。これにより、軸状端子10の他端部10Bが受け台の上方に露出するとともに、軸状端子10がその延伸方向(上下方向)に支持された状態となる。
【0048】
次に、軸状端子10の延伸方向(上下方向)に沿って、軸状端子10の他端部10Bに設けられた2つのバレル部14をその上方から加圧ヘッド等によって加圧する。これにより、2つのバレル部14の間に位置する芯線24がバレル部14と液溜まり部12との間に挟み込まれる形で2つのバレル部14をそれぞれ加締め、当該芯線24を軸状端子10の他端部10Bに圧着して接続する(圧着工程の一例)。2つのバレル部14がそれぞれ加締められて芯線24が軸状端子10に対して圧着されることで、液溜まり部12に圧着部13が形成される。その後、電線20が圧着された軸状端子10を受け台から取り出し、軸状端子10から上記カバーを取り外す。
【0049】
なお、上記芯線24を圧着する工程では、2つのバレル部14の間に位置する芯線24が加圧されて押し潰されることで、2つのバレル部14が設けられた位置よりも先に位置する芯線24の部位、即ち芯線24の先端が先端収容部12Aに収容された状態で外側に拡がった形状となる(図13参照)。芯線24の先端が外側に拡がることで、当該拡がった部位が圧着部13に係止されるため、軸状端子10に対する芯線24の固着力を向上させることができる。
【0050】
また、上記芯線24を圧着する工程では、図14及び図15に示すように、電線20の圧着後に形成される圧着部13が軸状端子10の他端部10Bにおける先端面10B1よりも下方に位置するようになるまで、2つのバレル部14をそれぞれ加圧する。これにより、製造後の端子1において、当該先端面10B1の全面をリテーナ等の外部部材に当接させることができる。
【0051】
次に、液溜まり部12内に芯線24が浸漬するまで上記封止材Cを注入する(注入工程の一例)。その後、液溜まり部12内に注入された封止材Cが硬化することで、本実施形態の端子1が完成する。
【0052】
ここで、絶縁被覆の端部が軸状端子の他端部から離れた状態で、軸状端子の他端部に電線が圧着された構成の端子の場合、液溜まり部内に芯線が浸漬するまで封止材を注入すると、切り欠き部から液溜まり部の外部へと封止材が漏れる虞がある。また、このような端子では、液溜まり部内に収容されない芯線が軸状端子の他端部と絶縁被覆の端部との間に露出する虞がある。
【0053】
これに対し、本実施形態の端子1では、切り欠き部16の開口が絶縁被覆22の端部によって塞がれることで、液溜まり部12内に封止材Cが堰き止められる構造が形成されているので、液溜まり部12内に注入された封止材Cが液溜まり部12の外部に漏れることを防止することができる。従って、液溜まり部12内に芯線24が浸漬するまで封止材Cが注入されることで、絶縁被覆22からの芯線24の取り出し部においても芯線24が封止材Cに浸漬した状態となる(図3参照)。
【0054】
このため、液溜まり部12内に注入された封止材Cが硬化することで、当該封止材Cによって、液溜まり部12内に収容された芯線24に水等が浸入することを防止できるのと同時に、絶縁被覆22の端部から芯線24と絶縁被覆22の間に水等が浸入することを防止することができる。即ち、封止材Cを液溜まり部12内に注入する一回の工程によって、絶縁被覆22の端部から取り出された芯線24の全体について止水を図ることができる。
【0055】
以上説明したように本実施形態の端子1では、電線20の引き出し方向と軸状端子10の延伸方向とが交差する形で電線20の一端部20Aが軸状端子10の他端部10Bに圧着されて接続されることで、電線20の引き出し方向と軸状端子10の延伸方向、即ち相手側端子との接続方向とが異なる端子が実現される。
【0056】
さらに、本実施形態の端子1では、絶縁被覆22の端部が切り欠き部16の最深部まで挿入されて切り欠き部16の開口縁16Aに当接されることで、上述したように、液溜まり部12内に芯線24、即ち軸状端子10と電線20との接続部が浸漬するまで封止材Cが注入されると、絶縁被覆22からの芯線24の取り出し部(絶縁被覆22の端部)にも封止材Cが配された状態となる。その結果、軸状端子10と電線20との接続部、及び絶縁被覆22からの芯線24の取り出し部の両者について、液溜まり部12内に封止材Cを注入する一回の工程で同時に止水を図ることができる。このように本実施形態の端子1では、電線20と軸状端子10とが接続され、電線20の引き出し方向と相手側端子との接続方向とが異なる端子1において、容易に止水を図ることができる。
【0057】
ここで、例えば軸状端子の他端部における側面に電線の一端部を挿入するための挿入孔が前後方向に沿って設けられ、その挿入孔に電線の一端部を挿入した状態で軸状端子に電線が接続される構成とされた屈曲形状の端子の場合、挿入孔に電線の一端部を挿入し難いことがあり、また、挿入孔に電線を挿入する際に芯線を構成する金属素線がばらける等の問題が生じることがある。これに対し本実施形態の端子1は、その製造過程において、軸状端子10の他端部10Bにその上方から電線20を配置して当該電線20を軸状端子10に接続するため、軸状端子10の他端部10Bに対して電線20の一端部20Aを配置し易く、上記のような問題は生じ難い。
【0058】
また、本実施形態の端子1では、切り欠き部16の開口縁16Aに上下方向(電線20の引き出し方向)に沿った段差17が設けられている。このような構成とされていることで、絶縁被覆22の端部を段差17に沿って圧入する形で切り欠き部16内に挿入することで絶縁被覆22の端部が段差17に嵌り込んだ状態となるので、絶縁被覆22の端部と切り欠き部16との密着性を高めることができる。これにより、液溜まり部12内に封止材Cが堰き止められるための構造をより効果的に形成することができる。
【0059】
また、本実施形態の端子1では、切り欠き部16の上下方向(軸状端子10の延伸方向)における寸法D1が電線20の外径D2よりも大きいものとされている。このような構成とされていることで、上述したように電線20の径方向について切り欠き部16内に電線20の全体が挿入された形となっている。このため、上下方向(軸状端子10の延伸方向)において電線20の一部が切り欠き部からはみ出した構成と比べて、軸状端子10と電線20との接続部の低背化を図ることができる。
【0060】
また、本実施形態の端子1では、軸状端子10において上側端子部10Dの外径が下側端子部10Eの外径よりも大きいものとされている。このような構成とされていることで、軸状端子10の一端部10Aにおいて相手側端子との接続を図りながら、端子1の製造過程において軸状端子10の他端部10Bに液溜まり部12を形成し易いものとすることができる。
【0061】
また、本実施形態の端子1では、液溜まり部12に、液溜まり部12を囲む側壁10Cの一部が電線20の引き出し方向に凹むことで絶縁被覆22の端部から取り出された芯線24の先端が収容される先端収容部12Aが設けられている。このため、外側に拡がった形状とされた芯線24の先端が先端収容部12Aに収容されることで、芯線24の先端が液溜まり部12からはみ出さないようにすることができる。
【0062】
また、本実施形態の端子1では、液溜まり部12に、液溜まり部12から上下方向(軸状端子10の延伸方向)に沿って伸びるとともに液溜まり部12との間で芯線24を挟み込む形で加締められる2つのバレル部14が設けられている。ここで、軸状端子10の他端部10Bに前後方向に貫通するとともに上方に開口する溝を切削により設け、その溝の両側の側壁をバレル部14とする場合、切削跡によってはバレル14部の一部に曲面が形成されるため、軸状端子10の他端部10Bに電線20を圧着する際にバレル部14を加締め難いものとなる。これに対し本実施形態の端子1では、液溜まり部12から軸状端子10の延伸方向に沿って伸びる形でバレル部14が独立して設けられるため、バレル部14を良好な精度で形成することができ、バレル部の一部に曲面が形成される構成と比べてバレル部14を加締め易くすることができる。このため、端子1を製造し易いものとすることができる。
【0063】
なお、軸状端子と電線とが直線状に接続されて構成された端子の場合、軸状端子と電線との接続部に収縮チューブ等を被せることにより止水を図ることができる。一方、軸状端子と電線とが屈曲形状に接続されて構成された端子の場合、軸状端子と電線との接続部にこのような収縮チューブを被せることは難しい。これに対し屈曲形状とされた本実施形態の端子1では、上述したように、液溜まり部12に封止材Cを注入することによって、収縮チューブ等を用いることなく、一回の工程で容易に止水を図ることができる。
【0064】
<実施形態2>
次に、実施形態2について図16及び図17を参照して説明する。本実施形態の端子101は、電線120と軸状端子110との接続態様が実施形態1のものと異なっている。その他の構成については実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、図16及び図17において、図1及び図3の参照符号にそれぞれ数字100を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0065】
本実施形態の端子101は、図16及び図17に示すように、軸状端子110の他端部110Bに対して電線120の一端部120Aが抵抗溶接により接続されている。本実施形態の端子101は、その製造過程において、絶縁被覆122の端部が切り欠き部116に挿入されることで電線120が左右方向に支持され、この状態で液溜まり部112に収容された芯線124と軸状端子110の他端部110Bとを一対の電極の間に挟み込んで通電することにより、芯線124と軸状端子110とが抵抗溶接により接続される。
【0066】
本実施形態の端子101では、電線120と軸状端子110とがこのように抵抗溶接により接続された構成であっても、切り欠き部116の開口が絶縁被覆122の端部によって塞がれ、液溜まり部112内に封止材Cが堰き止められる構造が形成される。このため、軸状端子110と電線120との抵抗溶接による接続部、及び絶縁被覆122からの芯線124の取り出し部の両者について、一回の工程で同時に止水を図ることができる。
【0067】
なお、本実施形態では、電線120と軸状端子110との接続態様が圧着による接続ではないため、液溜まり部112との間で芯線124を挟み込むためのバレル部等を設ける必要がない。また、液溜まり部112に収容される芯線124の先端が外側に拡がることもなく、液溜まり部112を囲む側壁110Cの一部に実施形態1のように先端収容部12Aを設ける必要がない。
【0068】
<実施形態3>
次に、実施形態3について図18及び図19を参照して説明する。本実施形態の端子201は、電線220と軸状端子210との接続態様が実施形態1及び実施形態2のものと異なっている。その他の構成については実施形態1のものと同様であるため、構造、作用、及び効果の説明は省略する。なお、図18及び図19において、図1及び図3の参照符号にそれぞれ数字200を加えた部位は、実施形態1で説明した部位と同一である。
【0069】
本実施形態の端子201は、図18及び図19に示すように、軸状端子210の他端部210Bに対して電線220の一端部220Aが半田付けにより接続されている。本実施形態の端子201は、その製造過程において、液溜まり部212に収容された芯線224が軸状端子210の他端部210Bに対して半田S(図19参照)によって半田付けされることで、芯線224と軸状端子210とが接続される。
【0070】
本実施形態の端子201では、電線220と軸状端子210とがこのように半田付けにより接続された構成であっても、切り欠き部216の開口が絶縁被覆222の端部によって塞がれ、液溜まり部212内に封止材Cが堰き止められる構造が形成される。このため、軸状端子210と電線220との半田付けによる接続部、及び絶縁被覆222からの芯線224の取り出し部の両者について、一回の工程で同時に止水を図ることができる。なお、本実施形態においても、電線220と軸状端子210との接続態様が圧着による接続ではないため、実施形態2と同様に、バレル部等や実施形態1のような先端収容部12Aを設ける必要はない。
【0071】
上記の各実施形態の他の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、切り欠き部の開口縁に段差が設けられた構成を例示したが、切り欠き部の開口縁に段差が設けられていない構成であってもよい。このような構成であっても、絶縁被覆の端部が切り欠き部の最深部まで挿入されて切り欠き部の開口縁に当接されることで、液溜まり部内に封止材が堰き止められる構造を形成することができる。
【0072】
(2)上記の各実施形態では、電線と軸状端子との接続態様として、圧着による接続、抵抗溶接による接続、半田付けによる接続、をそれぞれ例示したが、他の接続態様であってもよい。
【0073】
(3)上記の各実施形態では、電線の径方向について切り欠き部内に電線の全体が挿入された構成を例示したが、液溜まり部に芯線が浸漬するまで封止材が注入されていればよく、絶縁被覆の端部の一部が切り欠き部の上方にはみ出していてもよい。
【0074】
(4)上記の各実施形態では、液溜まり部の開口が上方から視て矩形状とされた構成を例示したが、液溜まり部の形状については限定されない。また、上記の各実施形態では、切り欠き部が前後方向から視て略U字状をなすものとされた構成を例示したが、切り欠き部の形状についても限定されない。
【0075】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1,101,201…端子
10,110,210…軸状端子
10A,110A,210A…(軸状端子の)一端部
10B,110B,210B…(軸状端子の)他端部
10B1,110B1,210B1…先端面
10C,110C,210C…側壁
10D,110D,210D…上側端子部
10D1,110D1,210D1…係止面
10E,110E,210E…下側端子部
12,112,212…液溜まり部
12A…先端収容部
13…圧着部
14…バレル部
16,116,216…切り欠き部
17…段差
20,120,220…電線
20A,120A,220A…(電線の)一端部
22,122,222…絶縁被覆
24,124,224…芯線
C…封止材
S…半田
図1
図2
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図5
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図8
図9
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