【解決手段】ヒートシンクと、前記ヒートシンクを固定した筐体と、前記筐体を天井に取り付ける吊り体と、前記ヒートシンクに取り付けられた第1の落下防止ワイヤー231と、前記吊り体に取り付けられた第2の落下防止ワイヤー232と、前記第1の落下防止ワイヤーと第2の落下防止ワイヤーとを接続する着脱可能な留め具233,234とを備えた。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1の照明器具を示す斜視図(4方向からの斜視図)である。
図2は、照明器具の三面図である。
図3は、照明器具の左部破断側面図と中央部分省略底面図である。
図4は、照明器具の分解斜視図である。
【0020】
照明器具100は、筺体50と吊り体60とを有している。
筺体50の高さHは、筺体の最大径Dより大きい。
筺体50は、本体カバー部16と、吸気カバー部17と、光透過性カバー部19と、排気カバー部20と、埃避けカバー部21とを有している。
【0021】
照明器具100の各カバー部の関係と機能は以下のとおりである。
(1)ヒートシンク12を覆う本体カバー部16、
(2)本体カバー部16に取り付けられ、本体カバー部16内に吸気する吸気口171が形成される吸気カバー部17、
(3)吸気カバー部17の内部にパッキン18を介して取り付けられる光透過性カバー部19、
(4)本体カバー部16に取り付けられ、本体カバー部16の内部の空気を排気する排気口204が形成された排気カバー部20、
(5)排気カバー部20に取り付けられ、排気口204から埃が進入することを防止する埃避けカバー部21。
【0022】
筺体50は、以下のものを内蔵している。
(1)ヒートシンク12、
(2)放熱絶縁シート13、
(3)ヒートシンク12に放熱絶縁シート13を介して取り付けられる5枚の光源モジュール14、
(4)この光源モジュール14をヒートシンク12に固定する1枚のリフレクタ15。
【0023】
吊り体60は、埃避けカバー部21を挟む形で排気カバー部20に取り付けられ、天井に固定される支柱部である。
吊り体60は、天井取付具61と、接続部62と、筺体取付具63とを有している。
【0024】
図5は、光源モジュール14とその配線接続図である。
光源モジュール14は、基板141と、光源となる複数のLED142と、2個のコネクタ144とを有している。
【0025】
基板141は、アルミニウム板に絶縁層・導電層を形成し、エッチングにより回路配線を形成したものである。複数のLED142と、2個のコネクタ144とは、基板141の表面に半田付けされている。
【0026】
基板141には、3箇所のネジ避けカット部147がある。2箇所のネジ避けカット部147は、基板141の隣り合う角をそれぞれ扇状に(4分の1円状に)切り欠いたものである。1箇所のネジ避けカット部147は、コネクタ144の間にある基板141を略半円状に切り取ったものである。
基板141には、2箇所の斜めカット部148がある。斜めカット部148は、コネクタ144の両側の基板141の斜めに切り取った部分である。
基板141の両サイドの中央には、光源モジュール14を位置決めするための位置決めノッチ149がある。
【0027】
LED142は、基板141の表面に半田付けされた発光ダイオード素子である。複数のLED142は、縦横方向に配列され、全体として、八角形あるいは円形に配置されている。
複数のLED142の周囲には、基板縁部143が存在し、基板縁部143には、素子や配線が存在しない。
コネクタ144は、電線146から給電される端子である。電線146はコネクタ144に接続された後に、張力がかかることを防止するために張力止め99にて筺体50に固定される。配線145は、基板141に形成された回路パターンあるいは電極パッドある。
光源モジュール14の裏面は、放熱面積を最大にするために、平面とし、裏面には、素子は搭載されていない。
【0028】
図6は、吸気カバー部17の図である。
吸気カバー部17は、全体として、環状帯状をしている。
吸気カバー部17は、小径の高さH1の内筒部173と、大径の高さH2の外筒部175とを有している。内筒部173と外筒部175の形状は、ともに、環状帯状である。
【0029】
内筒部173の上端部からは内鍔部172が中心に向かって形成されている。内鍔部172の開口形状は、5つの花びらがある花の外形形状を呈している。
内筒部173と外筒部175とは、水平リング状の中リング部174で連続している。中リング部174には8個のネジ穴45があり、ネジ35によりヒートシンク12が固定される。
ヒートシンク12のベースプレート121は、中リング部174と面で接触することで熱的に接続され、放熱効果を向上させる。
外筒部175には、複数の開口形成部177により複数の吸気口171が形成されている。このように、筺体50は、下部360度方向に複数の吸気口171を有する。
【0030】
吸気口171は、ヒートシンク12の周囲を取り囲む筺体50の側面に複数形成されている。
吸気口171は、筺体50の下側面に垂直方向に形成されており、吸気口171の形状は、長方形である。
【0031】
外筒部175の端部からは外鍔部176が外側に向かって水平に形成されている。外鍔部176の形状はリング形である。外鍔部176には4個のネジ穴43があり、ネジ33又はリベットにより外鍔部176に本体カバー部16が固定される。
また、外鍔部176には、本体カバー部16に引っ掛けるための4個の切り欠き178がある。切り欠き178は、外鍔部176を外側からコの字状に切り欠いた形状をしている。
【0032】
前述したように、吸気カバー部17は、リング状に形成され、側面が帯状をなし、この帯状の側面に吸気口171となる複数の開口が形成される。
この吸気カバー部17は、上下方向が円形状に開口している。
外筒部175と外鍔部176とにより形成された上方向側の開口が本体カバー部16の下端側の開口部分に取り付けられる。
内筒部173と内鍔部172とにより形成された下方側の開口には光透過性カバー部19が内鍔部172の内側に取り付けられて下方側の開口が閉塞される。
【0033】
この吸気カバー部17の吸気口171から空気が流入することによって、本体カバー部16の内側に配置される放熱フィン122の間に空気が流入する。吸気カバー部17の側面の吸気口171から吸気された空気は、ヒートシンク12(放熱フィン122)の下側かつ横方向(斜め上方向)へ吹き込み、ヒートシンク12(放熱フィン122)の熱によって加熱されながら上昇していく。
吸気口171の配置は、ヒートシンク12の放熱フィン122の配置に合わせ、放熱フィン122の間に吸気口171が相対する状態とするのが好ましい。
【0034】
図7は、光透過性カバー部19の図である。
光透過性カバー部19は、85%以上の光透過性を有する樹脂あるいはガラスでできている。光透過性カバー部19の形状は、円板である。
また、使用環境に応じて帯電防止処理や、飛散防止処理を施す。
【0035】
図8は、パッキン18の図である。
パッキン18は、環状の弾性ゴムでできている。弾性ゴムは、例えば、シリコンゴムが用いられる。パッキン18の半径方向の断面はU字形状をしており、内側に光透過性カバー部19の外周縁を挿入する。光透過性カバー部19を装着したパッキン18の外径は、内筒部173の内径以下であり、ほぼ、同じ径にするのが望ましい。
【0036】
ヒートシンク12が吸気カバー部17の中リング部174に固定された場合、パッキン18は、内鍔部172と光透過性カバー部19とに挟まれて弾性変形し、また、リフレクタ15と光透過性カバー部19とに挟まれて、光透過性カバー部19を内鍔部172とリフレクタ15との間に固定する。パッキン18は弾性変形して固定されるので埃の進入を防ぐことができる。
【0037】
図9は、リフレクタ15の図である。
図10の(a)は、リフレクタ15に5枚の光源モジュール14を取り付けた斜視図である。
図10の(b)は、基板141を除去した状態での開口部152とLED142との位置関係図である。
図11は、リフレクタ15に4枚の光源モジュール14を取り付けた裏面図である。
図12は、リフレクタ15をヒートシンク12に取り付けた図である。
図13は、光源モジュール14とヒートシンク12及び放熱絶縁シート13の位置関係図である。
【0038】
リフレクタ15の表面156の側には、光透過性カバー部19が配置される。
リフレクタ15の裏面157の側には、光源モジュール14と放熱絶縁シート13、ヒートシンク12とが配置される。
リフレクタ15の表面156は、平坦に仕上げられており、白色又は銀色(鏡面)仕上げにより光を90%以上反射する。
リフレクタ15の形状は、5個の開口がある円盤形状をしている。リフレクタ15は、樹脂で形成されている。LED142は、リフレクタ15の開口部152から露出される。
【0039】
リフレクタ15は、ヒートシンク12に固定され、ヒートシンク12は吸気カバー部17の中リング部174に固定されるので、リフレクタ15は、内筒部173の内側に配置される。これらの寸法関係は以下のとおりである。
リフレクタ15の厚さ+光透過性カバー部19の厚さ+パッキン18の厚さ>内筒部173の高さH1
すなわち、パッキン18の厚さがネジ止めにより減少することにより、
リフレクタ15の厚さ+光透過性カバー部19の厚さ+パッキン18の厚さ=内筒部173の高さH1
となる。このため、光透過性カバー部19は、内筒部173の内部で確実に固定される。
【0040】
リフレクタ15には、5個の開口部152が形成されている。5個の開口部152は、隣り合う開口部152の反射部154が接するように、リフレクタ15にリング状に配置されている。5個の開口部152は、リフレクタ15の中心Cを中心として均等に環状に配置されているので、5個の開口部152は、中心角が72度の間隔で配置されている。
【0041】
開口部152の開口形状は、円形が望ましいが、リフレクタ15への開口部152の効率よい配置のため、又は、開口部152への複数のLED142の効率よい配置のために、八角形、六角形、台形、三角形でもよい。
開口部152は、リフレクタ15の表面156から裏面157に向かって傾斜した反射部154と、反射部154から裏面157に向かって直立した基板押圧部153とを有している。
【0042】
反射部154の傾斜角度は例えば表面に対して45度である。
基板押圧部153は、基板縁部143をヒートシンク12に押圧するためのものである。基板押圧部153は、反射部154からさらに裏面側に45度屈曲しており、裏面に対して垂直方向に形成される。
【0043】
基板押圧部153の端面は、裏面と平行であり、基板押圧部153の端面全面が基板141の表面に接触する。
反射部154、基板押圧部153は、開口部152の周囲全部(360度)に形成することが望ましい。
【0044】
前述したとおり、リフレクタ15は、裏面157に基板141を配置する基板押圧部153を有している。基板押圧部153は、基板141が配置される領域であって、リフレクタ15の裏面157より窪んだくぼみ領域である。基板押圧部153は、リフレクタ15の裏面157よりも厚さ方向にほぼ基板141の厚さだけ窪んでいる。
【0045】
例えば、これらの寸法関係は以下のとおりである。
リフレクタ15の厚さRW<表面156から基板押圧部153までの厚さAW+基板141の厚さBW
あるいは、
裏面157から基板押圧部153の窪みの深さF<基板141の厚さBW
すなわち、基板押圧部153は、基板141の厚さBW未満の深さFだけ裏面157よりも窪んでいる。基板押圧部153のくぼみ量を基板141の厚さ未満とすることにより、基板押圧部153に基板141が配置されてリフレクタ15がヒートシンク12に固定された場合、基板141が確実にヒートシンク12に圧着固定される。
【0046】
リフレクタ15は、開口部152の周囲にヒートシンク12に固定される3個の取付部151を有している。3個の取付部151は、基板押圧部153の外側にあり、かつ、基板141のネジ避けカット部147の外側にある。取付部151の厚さは、リフレクタ15の厚さRWと同じである。取付部151は、裏面157に向かって円筒形ボス状に形成されたものであり、中央にネジ取り付け穴があり、ネジ34を用いてヒートシンク12に固定される。
【0047】
開口部152の両サイドには、基板141の位置決めノッチ149に対応する位置に、光源モジュール14を位置決めするための2個の位置決めピン159が形成されている。位置決めピン159の高さは、取付部151の高さと同じである。
基板141は、位置決めピン159と位置決めノッチ149とを嵌めあわせることにより、3個の取付部151の内側にある基板押圧部153に配置される。すなわち、光源モジュール14のネジ避けカット部147は、取付部151の位置に対応した位置に形成され、ネジ避けカット部147の形状は取付部151の円筒形のボス外形に対応して略半円状にカットされた形状になっている。また、ネジ避けカット部147の位置と形状が取付部151に対応しているので、取付部151によるリフレクタ15とヒートシンク12の圧着力を効率よく基板141に伝えることができる。なお、圧着力の伝達向上のためには、取付部151は、基板141のコーナー等に4個以上存在することが望ましい。
【0048】
このように、基板141は、取付部151がヒートシンク12にネジ固定されることにより、リフレクタ15とヒートシンク12の間に放熱絶縁シート13を介して圧着固定される。
そして、基板141の基板縁部143は、リフレクタ15の基板押圧部153とヒートシンク12とに挟まれて、ヒートシンク12に確実に固定される。
【0049】
基板押圧部153は、2本の配線145(電線146)を通過させる2個の給電トンネル155を有する。給電トンネル155は、配線145(又は電線146)を通すため、基板押圧部153よりもさらに窪んだ部分(基板141に接しない部分)である。また、給電トンネル155には、コネクタ144や素子を覆うようなふくらみを反射部154に渡って形成してもよい。給電トンネル155により、配線145又は電線146又はコネクタ144や素子が、基板押圧部153により圧迫を受けることがなく光源モジュール14の給電回路を保護することができる。
【0050】
以下、ヒートシンク12とリフレクタ15の製造・組立方法について説明する。
リフレクタ15は、光源モジュール14の基板141の基板縁部143に開口縁部(基板押圧部153)が接触するように複数の開口部152が形成され、一つの開口部152の周囲を囲うように少なくとも3つ取付部151(ネジ取り付け穴)が形成されるように、モールド成形される。
【0051】
5枚の光源モジュール14に対しては、
図5に示す配線となるように、2個のコネクタ144に電線146を接続する。
基板141の基板縁部143を基板押圧部153が接触するように、光源モジュール14を基板押圧部153に取り付ける。その際、光源モジュール14のコネクタ144がリフレクタ15の中心側になるようにして、位置決めノッチ149と位置決めピン159とを一致させる。こうして、光源モジュール14が基板押圧部153に正確に位置決めされる。基板押圧部153に接着剤あるいは両面テープを置いておき、光源モジュール14を基板押圧部153に仮留めしてもよい。
また、リフレクタ15に爪形状を形成し、光源モジュール14を固定する構造としてもよい。その場合は、ヒートシンク12及び放熱絶縁シート13に爪形状の逃がし部が設けられる。
【0052】
図11に示すように、光源モジュール14は、斜めカット部148が隣り合うように配置される。斜めカット部148を形成してない場合に比べて、斜めカット部148があれば、光源モジュール14を近くに配置することができる。
次に、放熱絶縁シート13を挟んでベースプレート121にリフレクタ15を取り付ける。次に、取付部151のネジ取り付け穴にネジ34をねじ込むことにより、リフレクタ15はヒートシンク12(ベースプレート121)に締結するとともに、開口部152の開口縁部となっている基板押圧部153が基板141の基板縁部143を放熱絶縁シート13に押し付けるので、基板141は放熱絶縁シート13を挟んでベースプレート121に密着するように固定される。
【0053】
以上のように、複数の基板141はリフレクタ15がヒートシンク12に取り付けられることにより固定され、ヒートシンク12のネジ穴44(固定部)とリフレクタの取付部151(取付部)はそれぞれの基板に対して3箇所以上配設され、5枚の基板はヒートシンク12の中心から回転対称となるように配置される。
【0054】
リフレクタ15の機能・効果について説明する。
一つのリフレクタ15により、複数の光源モジュール14をベースプレート121に固定するようにしたので、複数の光源モジュール14を近接配置することができる。つまり、光源モジュールごとに反射板で固定していた場合は、それぞれの反射板同士が接触しないように間隔を設ける必要があるなどの理由により、光源モジュール同士を近接配置することが困難であったが、一つのリフレクタにすることにより、反射板同士が接触することを考慮する必要がなくなるので、光源モジュール同士を近接配置することができる。
また、複数の反射板の場合、隣り合う反射板との間に隙間が生じていたため意匠性が劣っていたが、一つのリフレクタとすることで、一体的な意匠とすることができ、意匠性が向上する。
【0055】
また、一つのリフレクタ15にすることにより、複数の光源モジュール14を一度に固定することができ、光源モジュール14及びリフレクタ15を固定する作業性が向上する。
【0056】
また、光源モジュール14の周囲を少なくとも3点で固定するので、光源モジュール14をヒートシンク12(ベースプレート121)へ均一な力で押し当てることができ、基板141とベースプレート121が均一に面接触するようにできる。したがって、基板141からベースプレート121への熱伝導がよくなる。
【0057】
また、リフレクタ15を一つの部材とすることにより、成形加工がしやすくなり、加工費が安価となり、また、使用する樹脂部材の使用量も少なくなるので、樹脂部材のコストも安価となる。
【0058】
また、光源モジュール14に円形状の基板141を用いることができるので、例えば、ダウンライトなどに用いられる既存の光源モジュールを流用することもできる。
【0059】
また、リフレクタ15に複数の開口部152を形成したので、得たい配光特性に応じて、拡散カバーを開口部152に取り付けたり、集光カバー部を開口部152に取り付けたりすることができる。また、それぞれの開口部152に取り付けるカバーの種類を変えても構わない。
【0060】
図14は、放熱絶縁シート13の図である。
放熱絶縁シート13は、必須の部品ではなく、放熱性を向上させ、かつ、絶縁性を向上させるものである。放熱絶縁シート13の形状は、リフレクタ15とほぼ同じ径の円形であり、放熱絶縁シート13は、リフレクタ15とヒートシンク12との間に設けられる。
放熱絶縁シート13は、基板141とヒートシンク12との間にだけ設けられていてもよい。リフレクタ15と基板141が絶縁材料でできている場合は、放熱絶縁シートでなくてもよく、放熱シートであればよい。
【0061】
図15は、ヒートシンク12の図である。
図16は、ヒートシンク12のベースプレート121の図である。
図17は、ヒートシンク12の放熱フィン122の図である。
【0062】
ヒートシンク12は、板金で構成されたベースプレート121と、板金で構成された放熱フィン122とを備えている。
ヒートシンク12は、ネジ穴44を有しており、ネジ34によりリフレクタ15を固定する。ネジ穴44は、リフレクタ15の一つの開口部152に対して3個設けられている。ネジ穴44の位置は、取付部151に対応している。
ヒートシンク12は、ネジ穴45を有しており、ネジ35により吸気カバー部17を固定する。
ヒートシンク12は、落下防止ワイヤーを通す落下防止挿通穴236を有している。落下防止ワイヤーについては実施の形態4で説明する。
【0063】
ヒートシンク12は、複数の放熱フィン122を有している。
図17では、1個の放熱フィン122が、1枚の板金を折り曲げて形成した2枚の放熱板125を有する場合を示している。
放熱板125はベースプレート121と平行な長辺81と、ベースプレート121と直交する短辺82と、傾斜した斜辺83とを有している。
放熱板125の長辺81は、ヒートシンク12の中心C(中央部分)から半径方向に放射状に配置されている。
放熱板125の下部の両端には、ネジやネジ穴を避けるためにL字状にカットされた内側カット部84と外側カット部85がある。
放熱板125の長辺81の長さは、ベースプレート121の開口と外周縁とを除いた半径方向の長さと同じである。
放熱板125の短辺82の上先端の位置は、外鍔部176の位置と同じである。
放熱板125の斜辺83の傾斜角度は、本体カバー部16の傾斜角度と同じである。
【0064】
図15では、二枚の放熱板125の中心角θ1と隣り合う放熱フィン122の放熱板125の中心角θ2とは、同じ(θ1=θ2)又はほぼ同じ角度である。したがって、隣り合う放熱板125の端部空間714は、同じ(ほぼ同じ)サイズになる。端部空間714とは、放熱板125の短辺82と外側カット部85の間にある空間である。前述した吸気口171は、放熱板125の端部空間714(放熱板125の短辺82と外側カット部85)に対応する位置に形成されている。
【0065】
ヒートシンク12は、放熱フィン122をベースプレート121に固定したフィン固定部129を有している。
フィン固定部129は、ベースプレート121の板金の一部を変形させて形成されたものである。フィン固定部129は、ベースプレート121に形成された突起123を変形させることで形成される。
【0066】
図17のとおり、放熱フィン122は、ベースプレート121に密着する取付部126を有している。取付部126は、台形形状であり、台形形状中央に直線方向に3個の取付穴127を有している。
突起123は、中央に穴124を有する環状凸形状をしている。
フィン固定部129は、突起123を取付穴127に挿入して突起123の先端を外側に曲げることにより取付穴127の穴縁部713の裏面712と表面711とを挟持したものである。
すなわち、フィン固定部129は、取付部126の取付穴127の裏面712と表面711とを挟持して、放熱フィン122をベースプレート121に固定している。
【0067】
以下、ヒートシンク12の製造方法について説明する。
ベースプレート121に、ネジ穴44とネジ穴45を形成する。
ベースプレート121の取付穴127に対応する位置に、取付穴127の径よりも小さい径の小径穴を打ち抜き加工により開ける。この小径穴の径より大きく取付穴127の径よりも小さな径を有する工具(ポンチ)をこの小径穴に打ち込んで、取付穴127の径と同じあるいは若干小さい外径を有する凸部を形成する。この凸部は、中央に穴124がある突起123となる。
【0068】
1枚の板金に3個の取付穴127を形成し、コの字状に折り曲げ、放熱フィン122を形成する。折り曲げられた両側は放熱板125となり、この放熱板125をつなぐ部分は取付部126となる。
取付部126には、ベースプレート121の突起123の凸部が嵌まり込む取付穴127がある。この取付穴127をベースプレート121の突起123の凸部に嵌め込むことによって、取付部126がベースプレート121に位置決めされる。
【0069】
次に、突起123の凸部の先端を取付穴127の径よりも大きな径を有する工具(ポンチ)によりつぶすことにより、突起123の先端が外側に変形し、取付穴127と突起123が360度方向に均等に締結され、取付部126が挟持される。
ヒートシンク12の製造に、半田や接着剤は用いなくても、ベースプレート121と取付部126とが密着する。
【0070】
上述のように、小径穴を拡大させて突起123に穴124を形成していることによって、突起123に工具(ポンチ)を押し込むとき、突起123の先端が360度方向に均等に変形しやすくなり、突起123と取付穴127が締結しやすくなる。
【0071】
さらに、取付穴127を突起123に押し込んだ状態で、突起123の先端部分を外側(穴124の中心方向とは逆側)へ曲げることにより、放熱フィン122をベースプレート121に固定する固定力が増す。
なお、取付穴127を突起123に挿入したときの突起123の変形量が少ない場合あるいは突起123が外型に変形しない場合であっても、突起123の穴124が工具(ポンチ)により中心方向とは逆側に押されることにより、取付穴127を突起123に固定させることができる。
【0072】
また、放熱フィン122とベースプレート121の間に熱伝導性グリス、熱伝導性接着材、放熱シート等を挟むことにより、放熱フィン122とベースプレート121の間の密着性を高め、さらに放熱性能を高めることも可能である。
【0073】
なお、本実施の形態では、放熱フィン122として、1枚の板金をコの字状に折り曲げ2枚の放熱板125を形成する場合について説明したが、1枚の板金をL字状に折り曲げて形成するものであっても構わない。この場合、一方側が放熱板125、他方側が取付部126となる。
【0074】
図18は、本体カバー部16の図である。
本体カバー部16は、略円錐形状をしており、先端部が切断され開口した円錐台形状である。本体カバー部16は、筒状になっていればよく、円筒形又は円錐形又は角柱形又は角錐形又は角錐台形でもよいし、その他の形状の中空の筒状でもよい。
本体カバー部16は、本体筒部162と、本体スカート部164とを有している。本体筒部162は、傾斜した円錐台の側面を有している。本体スカート部164の形状は、環状帯である。
【0075】
本体筒部162の上端部からは本体天部161が本体カバー部16の中心に向かってリング状に形成されている。本体天部161の開口形状は円形である。本体天部161には、排気カバー部20を固定するネジ穴42がある。
本体筒部162と本体スカート部164とは、水平リング状の本体リング部163で連続している。本体リング部163には4個のネジ穴46があり、ネジ33又はリベットにより吸気カバー部17が固定される。
【0076】
本体リング部163には、4個の引っかけ部165がある。引っかけ部165は、本体リング部163の一部が舌状に切られ下方に鍵型に曲げられたものである。引っかけ部165の先は本体リング部163と平行に配置されている。引っかけ部165は、吸気カバー部17の切り欠き178に対応した位置にある。引っかけ部165と切り欠き178とを一致させて本体リング部163と外鍔部176を面接触させ本体リング部163と外鍔部176とを互いに回転させることにより本体リング部163と外鍔部176のネジ穴46とネジ穴43とが一致し、ネジ33でネジ止めすることにより、吸気カバー部17と本体カバー部16とが固定される。
【0077】
図19は、排気カバー部20の図である。
排気カバー部20は、略円錘台形状をなし、側面に複数の排気口204が開口している。排気口204は、筺体50の上側面167に傾斜した状態で形成されている開口である。排気口204は、本体カバー部16の円錐台形状の側面を延長した面よりも内側に存在している。
【0078】
排気カバー部20は、本体カバー部16の頂上部分の本体天部161にネジ32又はリベットにより取り付けられる。
排気カバー部20は、排気天部201と排気筒部202と排気鍔部203を有している。
排気天部201には、電線を引き出すひとつの中央開口と埃避けカバー部21を固定する2個のネジ穴206と吊り体60をネジ止めする4個のネジ穴207がある。また、落下防止ワイヤーを通す弧状のワイヤー穴208がある。落下防止ワイヤーについては実施の形態4で説明する。
排気筒部202には、複数の排気口204がある。排気筒部202の傾斜角度は、本体カバー部16の傾斜角度とほぼ同じであり、排気筒部202と本体筒部162はほぼ平行な曲面を有している。
排気鍔部203には、ネジ32が通る4個のネジ穴205があり、排気カバー部20がネジ32により本体カバー部16に固定される。
本体カバー部16の内部の上昇気流が排気口204から排気されることにより、本体カバー部16の内部に対流を発生させる。
【0079】
以下、吸気口171と排気口204の機能・効果について説明する。
本体カバー部16は、円錐台形状をなすことによって、本体カバー部16の内部の対流は、下方から上方に行くにしたがって、円の中心方向に集約されてくる。ヒートシンク12(放熱フィン122)によって本体カバー部16の内部の下側は高温状態となって、空気の密度が低くなり、本体カバー部16の外部よりも低密度のため浮力が生じる。この浮力により本体カバー部16の下方で圧力減が生じ、吸気口171から空気が流入され、ヒートシンク12で加熱された空気は、本体カバー部16の内部を上昇して、排気口204から排気される。
【0080】
このように、筺体50の内部に配置されるヒートシンク12と、本体カバー部16の上下に取り付けられる吸気カバー部17と排気カバー部20との構成により、煙突効果を利用することができ、LED142の熱をヒートシンク12を介して効率よく放熱することができる。また、筺体50の高さHは、筺体の最大径Dより大きいので、筺体50が煙突の機能を発揮しやすい。また、排気口204は、本体カバー部16の円錐台形状の側面を延長した面よりも内側に存在しているので、円の中心方向に集約されてきた空気を外部に吐き出しやすい。また、煙突効果を利用することにより、吸気口171から空気が流入しやすくなり、効率的に放熱フィン122の間に空気を対流させることができるので、対流による放熱効果を高めることができる。
なお、煙突効果をより効果的にするには、排気口の総面積を吸気口の総面積より10%以上大きくすることが好ましい。これは空気が熱せられて膨張することによるものである。そのため、放熱フィン122の数を少なくすることができ、照明器具100の重さを軽くすることができる。
【0081】
また、吸気カバー部17の吸気口171の位置と、複数の放熱フィン122の端部空間714をほぼ同じ位置とする。このようにすることによって、吸気口171から吸気された空気は、他の部品に遮られることなく、スムーズに放熱フィン122の間に流れ込むことができるので、空気の流速が落ちることを抑制できる。したがって、吸気口171から流入した空気は、放熱フィン122の表面に対して全体的に接するように対流することができる。
【0082】
図20は、埃避けカバー部21の図である。
埃避けカバー部21は、筺体50の天面168に配置され、排気口204の上部をカバーする。
埃避けカバー部21の径は、本体カバー部16の円錐台形状の側面を上方に埃避けカバー部21の位置まで延長した場合の直径とほぼ同じである。したがって、本体カバー部16だけでも円錐台形状を呈しているが本体カバー部16と埃避けカバー部21との外形線で形成される立体形状も円錐台形状をしており、優れた意匠を呈している。換言すれば、排気口204は、本体カバー部16と埃避けカバー部21との外形線で形成される円錐台形状の上側面の一部分の径を小さくして形成されているように見せることができる。
【0083】
埃避けカバー部21の略中央部分には、開口219が形成されており、この開口219は、筺体50の内部と連通している。この開口219を用いて、外部から引き込まれる電源線などを筺体50の内部に引き込むことができる。
【0084】
埃避けカバー部21の形状は、皿状である。
開口219の一部に、半径方向に切り欠いた切り欠き218があり、ワイヤー穴208と切り欠き218とを一致させることにより、円形のワイヤー挿通穴を形成することができる。ワイヤー挿通穴については実施の形態4で説明する。
埃避けカバー部21は、ワイヤー穴208と切り欠き218とを一致させてネジ穴216とネジ穴206とをネジ又はリベットによりネジ止めすることにより排気カバー部20に固定される。
また、埃避けカバー部21は、吊り体60を固定するネジ31を通す4個のネジ穴217を有している。
【0085】
埃避けカバー部21は排気カバー部20の上部にネジで取り付けられ、排気カバー部20に設けられた排気口204から筺体50の内部へ埃の侵入を防止する。埃避けカバー部21は上面から見たときに、排気カバー部20の排気口204が見えないような大きさとすることで、上部からの埃の落下による本体カバー部16内への埃の侵入を防ぐことが可能となる。
【0086】
図21は、吊り体60の斜視図である。
図22は、吊り体60の三面図である。
【0087】
吊り体60は、天井に取り付けられる天井取付具61と、筺体に取り付けられる筺体取付具63と、天井取付具61と筺体取付具63とを接続する接続部62とを有している。
筺体取付具63は、筺体50に対して着脱可能に取り付けられる。したがって、吊り体60は、筺体50に対して着脱可能に取り付けられることになる。
筺体取付具63は、筺体50の埃避けカバー部21に対して4本のネジ31でネジ止めされる。
【0088】
図23は、天井取付具61の図である。
天井取付具61は、中空であり、フランジ611と碗部613と挿入管部615とを有している。
フランジ611には、天井にネジ止めする4個のネジ穴612がある。
挿入管部615には、2個のピン貫通孔614と1個のネジ穴616がある。
【0089】
図24は、接続部62の図である。
接続部62は、中空のパイプ625であるが、チェーン又はワイヤーでもよい。
接続部62は、両端にピン621を通すピン穴623を有している。また。接続部62は、両端にピン621を固定するネジ622をねじ込むネジ穴624を有している。
【0090】
図25は、筺体取付具63の図である。
筺体取付具63は、中空であり、筺体固定部631と挿入管部633を有している。
筺体固定部631には、筺体50にネジ止めする2個のダルマ型ネジ穴632と2個のネジ穴636がある。ダルマ型ネジ穴632を用いているのはネジを外さずに、ネジをゆるめて吊り体60の取り外しや変換を可能にし、作業時間を短縮するためである。
挿入管部633には、2個のピン貫通孔634と1個のネジ穴635がある。
【0091】
排気カバー部20は、吊り体60を固定するための4個のネジ31を固定する4個のネジ穴207(取り付け部)を有している。ネジ31は、埃避けカバー部21のネジ穴217を通過してネジ穴207にねじ込まれる。
なお、ネジ穴207の代わりに、排気カバー部20に穴を開け、スタッドナット等を用いてもよい。吊り体60は、施工現場で施工者が着脱可能なその他の部品を用いて固定してもよい。
排気カバー部20に取り付けられる吊り体60は、ネジなどによって筺体50の排気カバー部20の取り付け部に取り付けられているため、スクリュードライバなどの簡単な手工具で施工者が吊り体60を埃避けカバー部21から外すことが可能となっている。
【0092】
また、埃避けカバー部21には、中央部分に開口219が形成され、この開口219から引き出し電線を露出することができる。この引き出し電線は、施工者の施工により天井からの電源電線に機械的、電気的に接続されるものであり、照明器具内に設けられる光源モジュール14に給電するためのものである。
【0093】
また、埃避けカバー部21に取り付ける吊り体60を取り外すことができるので、他の形状の吊り体(例えば長さが長いものに変更するなど)が容易となる。
照明器具100を天井に取り付ける施工者は、天井に照明器具を取り付ける形態に応じて、吊り体60を取り外し、別な吊り体60に変えることができる。例えば、チェーンや昇降機などの吊り体60に筺体50を取り付けることができる。。
【0094】
このように、施工者が、照明器具100の吊り体60を取り外して、他の取付具へ変更することができるようにしたので、一種類の照明器具に対して吊り体60を選択的に取り付けることができる。
【0095】
なお、本実施の形態において、吊り体60が埃避けカバー部21に予め取り付けられている場合について説明したが、吊り体60と埃避けカバー部21とを予め分離しておき、吊り体60を後から取り付けるようにしても構わない。
また、天井取付具61の碗部613に端子台を設置してもよい。
また、筺体50と吊り体60との接続のみを着脱可能とし、その他の接続はリベットやハンダ付けや接着剤等を用いて、分解不可能にしてもよい。
【0096】
図26は、排気口204の他の例を示す図である。
図26では、複数の排気口204を、本体カバー部16の本体天部161に水平に形成した場合を示している。
本体カバー部16の本体天部161の幅を中心方向に大きくとることにより、排気口204を本体天部161に複数形成することができる。
本体天部161には、筺体取付具63が固定され、筺体取付具63の上に埃避けカバー部21が固定される。筺体取付具63の上に埃避けカバー部21を配置するので、埃避けカバー部21は、排気口204を塞ぐことはなく排気口204から筺体取付具63の高さ分だけ離れて排気口204の上空を覆うことができる。
【0097】
図示しないが、筺体取付具63の代わりに、筺体取付具63の位置に環状リング部29を設け、環状リング部29の上に埃避けカバー部21を固定し、埃避けカバー部21の上に筺体取付具63を固定してもよい。環状リング部29は、埃避けカバー部21を排気口204から離すために設けられる環状部材である。
【0098】
以上のように、
図26の排気口204は、排気カバー部20を設けずに、筺体50の本体カバー部16の上面の水平な面に配設されたことを特徴とする。
また、排気口204は、本体カバー部16の本体筒部162の上側面の傾斜面に形成されていてもよい。
また、排気口204は、筺体50の天面168に水平に形成されていてもよい。
【0099】
図27は、吸気口171の他の例を示す図である。
図27のように、吸気カバー部17の外筒部175を下に向かって径が小さくなる円錐台形状にして、円錐台の側面に傾斜した状態(水平でも垂直でもない状態)の吸気口171を形成してもよい。
【0100】
このように、吸気口171は筺体50の下側面から垂直な方向に配設されていなくてもよく、筺体50の下部の吸気口171は、筺体50の下側面に傾斜した状態で配設されていてもよい。
また、例えば、吸気口171を、吸気カバー部17ではなく、本体カバー部16の本体筒部162に形成してもよい。
【0101】
図28は、放熱フィン122の他の配置例を示す図である。
図28の放熱フィン122は、放熱板125の放射方向をベースプレート121の半径方向に対して所定角度を傾けており、放熱フィン122が渦状に配置されている場合を示している。
【0102】
例えば、
図28の複数の放熱フィン122は、半径方向にある3個のフィン固定部129のうち、中央のフィン固定部129(放熱フィン122の中央部分)を中心として、矢印方向(反時計方向)に、回転させたものである。放熱板125の上辺の中心(放熱板中心K)を通る半径方向Rと放熱板125の上辺とのなす角度θ3、θ4(θ3≠θ4)は、1度以上25度未満の範囲である。放熱性の向上のためには、角度θ3、θ4は20度以上25度以下が好ましく、23度がよりよい。
図36は、放熱板125の上辺の中心(放熱板中心K)を通る半径方向Rと放熱板125の上辺とのなす角度(以下、フィン角度という)とLED142の温度との関係を示す図である。
図36に示すように、フィン角度が23度までは温度が減少し、その後上昇する。フィン角度が27.5度になると隣り合う放熱フィン122の中央側の短辺が互いに近接又は接触してしまう。フィン角度が34度の場合に、LED温度はフィン角度が0度と同じ温度になる。
従って、フィン角度は1度から33度の範囲内がよく、構造上1度以上27.5度以内がよく、放熱効果の点から20度以上25度以下が好ましく、22度以上24度以下がよりよく、23度がさらによい。
【0103】
このように、角度が27.5度を超えた場合、構造上ヒートシンク12の中央部分の放熱フィン122の間隔が狭くなってしまうことで、放熱向上効果が十分得られなくなる。27.5度以上とする場合は、放熱フィン122の半径方向の長さを小さくすることで対処が可能となるが、その場合は放熱フィン122の放熱面積を減らすこととなる為、ヒートシンク全体としての放熱容量が減ってしまう。また、放熱フィン122の半径方向の長さを小さくして放熱容量を同等とするためにフィン面積を増大させる場合には、放熱フィン122の高さを高くすることが考えられるが、その場合においては器具の高さが高くなるため、器具全体としての重量が増してしまう。
【0104】
このように、放熱フィン122を半径方向Rと一致する放射状でなく、放熱フィン122の放射方向が半径方向Rに対して所定角度となるように配置することによって、吸気口171から流入された空気は、放熱板125の熱を受けて温度が上昇して、渦巻き状の上昇気流を発生させ、本体カバー部16の内壁の形状と相まって、煙突トンネル効果によって放熱作用を向上させる。
【0105】
なお、放熱フィン122の半径方向Rに対する回転は、フィン固定部129を中心として回転させるのではなく、放熱フィン122の長辺81の中心(放熱板125の中央部分)を軸にして回転させてもよい。
この例によれば、放熱フィン122の重量を増加させることなく、放熱作用を向上させることができる。すなわち、板金製の軽量のヒートシンクでもLEDの熱を十分に放熱することが可能になる。
【0106】
実施の形態2.
図29は、実施の形態2の付加部品の図である。
図30は、実施の形態2の照明器具の右部破断側面図である。
図31は、
図30の断面部分拡大図である。
以下、実施の形態1と異なる点を説明する。
この実施の形態では、照明器具100の下部に付加部品22を取り付ける場合について説明する。ここで、付加部品22とは、光源からの出射光の方向に配置されるオプション部品を有する部品をいう。
【0107】
オプション部品とは、例えば、
(1)光透過性カバー部、リフレクタ、光源モジュールを保護するガード、
(2)光源モジュールから発光された光(リフレクタで反射された光を含む)を拡散するための拡散カバー、
(3)集光・配光を制御する追加の反射板、
である。
【0108】
この実施の形態では、オプション部品の一例として、ガードを用いる場合について説明する。また、通気口の一例として、吸気口171の場合を説明する。
付加部品22は、保護ガード線223と保護リング224と保護鍔225を有している。
保護ガード線223は、SUS等の鋼線でできた十字の金属棒と2個の金属環とが溶接されているものである。
保護リング224は、環状の金属外枠である。
保護リング224には、90度間隔で4個の取付具221がある。
取付具221は、下部に、中心に向かって突き出た平板状の下当て部227を有し、上部に、中心に向かってねじ込まれるネジで構成された挿入部材226を有している。
保護鍔225は、保護リング224の下端部から内側に設けられた水平リングである。保護鍔225には、保護ガード線223の金属棒の端部が溶接されている。
【0109】
このように、付加部品22は、吸気口171に着脱可能に取り付けられる4個の取付具221を有し、取付具221により筺体50に対して着脱可能に取り付けられるものである。なお、取付具221は、周囲に、3個以上、あればよい。
【0110】
挿入部材226は、一つの吸気口171に対して挿抜可能である。
挿入部材226は、例えば、ネジであり、吸気口171に対して挿入されて吸気口171の下端部に挿入される。
下当て部227は、吸気カバー部17の中リング部174の下面に当たる部材であり、挿入部材226が、吸気口171を上方向に移動するのを規制する部材である。
【0111】
挿入部材226はネジでなくてもよく、吸気口171に嵌め込まれる弾性体でもよい。この弾性体は弾性変形可能な状態で付加部品22の中心Cに向かって張り出して設けられ、端部がJ字状(釣り針状)に下方に折り曲げられて形成されている。弾性体は、吸気口171にねじ込まれて弾性変形し、その先端部が吸気口171に嵌まり終えたとき弾性変形が解除され、先端部が吸気口171から抜けなくなる。また、先端部が吸気口171に嵌まり込んだとき、付加部品22の自重により、J字状に下方に折り曲げられた弾性の端部が吸気口171の下端に引っ掛かり、付加部品22が吸気カバー部17に取り付けられた状態を保持することができる。付加部品22を吸気カバー部17から外すときは、弾性体を弾性変形させて、その先端部を吸気口171から外すことができる。
【0112】
以上のように、照明器具100の筺体50(吸気カバー部17など)に特別な取り付け機構を設けることなく、付加部品22を着脱することができる。
【0113】
オプション部品が拡散カバーや反射板の場合は、保護鍔225に拡散カバーや反射板を取り付ければよい。
すなわち、オプション部材が拡散カバーである場合は、保護ガード線223が拡散カバーに変わる。拡散カバーは、保護ガード線223と共に用いてもよい。拡散カバーは、ポリカーボネート(PC)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)などの乳白カバーであり、拡散材の入った樹脂カバーである。
同じく、オプション部品が反射板である場合は、保護ガード線223が反射板に変わる。反射板には、アルミニウムの絞り(スピニング)等にて回転放射面が作成され、表面を鏡面もしくは白色仕上げにすることで、集光したり、遮光(グレア抑制)したりする事が可能となる。
いずれのオプション部品の場合でも、保護リング224と保護鍔225とは、共通の構成、機能を有している。
【0114】
この実施の形態は、吸気口171に「通気+被取付部」の機能を持たせたことにより、筺体50には一切の変更を加えずに、付加部品22を取り付けるようにしたことが特徴である。
なお、取付具221は、隣り合う2つの吸気口171に対して端部が挿抜可能な着脱部材を有していてもよい。
また、着脱部材を、吸気口171と吸気口171の間にある開口形成部177に対して着脱可能な部材としてもよい。
【0115】
その他の取付例として、付加部品22を本体カバー部16の本体リング部163、又は、本体スカート部164に取り付けるようにしてもよい。その際、本体リング部163、本体スカート部164の形状を変更することなく、取付具221を取り付けるようにすることが望ましい。
【0116】
図32は、付加部品の他の例を示す図である。
図32の付加部品22は、保護ガード線223の十字の金属棒の先端に直接取付具221を溶接したものである。
【0117】
実施の形態3.
図33は、実施の形態3の照明器具100を示す図である。
以下、実施の形態1,2と異なる点を説明する。
【0118】
照明器具100は、筺体50の上部に吊り体70を有している。
吊り体70も、前述した吊り体60と同様に、筺体50に対して着脱可能に取り付けられている。すなわち、施工者が施工時に、筺体50に対して吊り体70を装着することが可能である。
【0119】
吊り体70は、接続部72と天井側取付部73とを有している。
接続部72は、円柱状の金属筒であるが、直方体形状の金属箱でもよい。
接続部72の内部には、電源回路71が内蔵されている。
電源回路71は、天井からの電線から交流を入力し、光源モジュール14に供給する直流を出力する交流直流変換機能を有する。
【0120】
天井側取付部73は、4箇所がカギ形に折り曲げられた金属板である。天井側取付部73の中央板には、電線を通す電線穴75がある。天井側取付部73の両端板には、照明器具100を電動昇降装置の昇降部品に固定するための取付穴76がある。
【0121】
この実施の形態の照明器具100は、接続部72が電源回路71を内蔵しているので、天井裏に電源回路を設置する必要がない。
また、接続部72が電源回路71を内蔵しているので、交流を入力することができ、交流電源を有し商用電源を提供する既存の電動昇降装置に照明器具100を取付けることができる。
【0122】
実施の形態4.
図34は、実施の形態4の照明器具100を示す図である。
図35は、実施の形態4の第1の落下防止ワイヤー231と第2の落下防止ワイヤー232の図である。
以下、実施の形態1,2、3と異なる点を説明する。
【0123】
ヒートシンク12のベースプレート121は、開口に近い中央部分に、第1の落下防止ワイヤー231を通す落下防止挿通穴236を有している。例えば、落下防止挿通穴236の内径は3.5mmである。落下防止挿通穴236は、落下防止ワイヤー取付部として機能する。
排気カバー部20は、第1の落下防止ワイヤー231を通すワイヤー穴208を有している。
埃避けカバー部21は、第1の落下防止ワイヤー231を通す切り欠き218を有している。
排気カバー部20の弧状のワイヤー穴208と埃避けカバー部21の半径方向の切り欠き218がクロスすることにより略円形のワイヤー挿通穴237が形成される。例えば、ワイヤー挿通穴237の内径は3mmである。
第1の落下防止ワイヤー231は、下端に留め部238を有し、上端に着脱可能な第1の留め具233を装着している。
第2の落下防止ワイヤー232は、下端に着脱可能な第2の留め具234を装着しており、上端にリング状の固定環239を形成している。
【0124】
落下防止挿通穴236は、第1の落下防止ワイヤー231の径よりも大きい径を有し、留め部238と第1の留め具233は、落下防止挿通穴236の径よりも大きい外径を有する。
ワイヤー挿通穴237は、第1の落下防止ワイヤーの径よりも大きい径を有し、留め部238と第1の留め具233は、落下防止挿通穴236の径よりも大きく、かつ、ワイヤー挿通穴237の径よりも大きい外径を有する。
落下防止挿通穴236とワイヤー挿通穴237とは、同一垂直線の上下に存在するように形成するのが望ましい。
【0125】
第1の落下防止ワイヤー231の下端にある留め部238はリング状に形成されたリング部品である。例えば、留め部238として外径5〜6mmの金属リングが末端に取り付けてある。第1の留め具233を装着していない第1の落下防止ワイヤー231の上端から、第1の落下防止ワイヤー231をベースプレート121の落下防止挿通穴236に通していったとき、最後に、この留め部238が落下防止挿通穴236に引っ掛かるようになっている。この留め部238は落下防止挿通穴236の穴径よりも大きければよく、形状はリング状に限らない。
つまり、留め部238は、落下防止挿通穴236を通り抜けることなく引っ掛かるような形状であればよい。
【0126】
第1の落下防止ワイヤー231の上端は、先端を折り返して先端部分を落下防止ワイヤー自身に圧着端子などで固定し、第1の落下防止ワイヤー231の上端にリング状のワイヤー環235を形成する。排気カバー部20のワイヤー穴208が弧状の長穴である理由は、リング状のワイヤー環235を通しやすくするためである。埃避けカバー部21の切り欠き218が半径方向に切り欠かれている理由は、ワイヤー挿通穴237となる部分以外のワイヤー穴208の弧状の長穴を塞ぐためである。埃避けカバー部21の切り欠き218は、切り欠きでなくてもよく、半径方向の長穴でもよい。
【0127】
ワイヤー環235は、ヒートシンク12の落下防止挿通穴236および筺体上部のワイヤー挿通穴237を通せる状態としてある。
ワイヤー環235を落下防止挿通穴236とワイヤー挿通穴237とに挿通してから、ワイヤー環235に第1の留め具233を装着する。
第1の留め具233と留め部238とのいずれも、落下防止挿通穴236とワイヤー挿通穴237とを通過できないようなものを用いる。
なお、排気カバー部20のワイヤー穴208と埃避けカバー部21の切り欠き218で形成するワイヤー挿通穴237からワイヤー環235が抜けないようにしてもよい。ワイヤー環235がワイヤー挿通穴237から抜けないようにすることにより、第1の留め具233がなくても第1の落下防止ワイヤー231がワイヤー挿通穴237から抜け落ちることがなくなる。
【0128】
吊り体60の内部には、ベースプレート121に取り付ける第1の落下防止ワイヤー231とは別の第2の落下防止ワイヤー232が挿通されている。第2の落下防止ワイヤー232の下端には、リング状のワイヤー環230が形成され、第2の留め具234が装着され、第2の落下防止ワイヤー232の上端の固定環239はネジボス619に固定される。
【0129】
筺体取付具63は、第2の落下防止ワイヤー232の固定環239を固定するネジボス619を有している。ネジボス619は、碗部613の内部においてフランジ611に向けて形成されたネジ穴を有するボスであり、ネジボス619に固定環239を引っ掛けることで第2の落下防止ワイヤー232を筺体取付具63に固定する。引っ掛けたあとは、金具で塞ぎ、金具をネジボス619にネジ止めし、ネジボス619から固定環239が外れないようにする。なお、固定環239にリング(留め部238に相当)を取付て、筺体取付具63に落下防止挿通穴236のような穴(落下防止挿通穴236に相当)を形成して固定環239のリングを穴ひっかけて第2の落下防止ワイヤー232を筺体取付具63に取り付けてもかまわない。
【0130】
第2の落下防止ワイヤー232は、天井取付具61のフランジ611のネジボス619から接続部62に通し、筺体取付具63の筺体固定部631まで通し、吊り体60を貫通させておく。第2の落下防止ワイヤー232が接続部62のパイプ内に戻らない様に筺体固定部631に第2の落下防止ワイヤー232を留める固定部を設けてもよい。
【0131】
第2の落下防止ワイヤー232は、第2の留め具234で、ベースプレート121に取り付けられる第1の落下防止ワイヤー231の第1の留め具233と接続される。第1の留め具233と第2の留め具234は、ナスカン、スクリュージョイント、ネジ式ステンレスワイヤーリング等が選択可能である。
なお、第1の留め具233と第2の留め具234とがある例を説明したが、第1の留め具233だけでもかまわない。第1の留め具233のみの場合は、第1の留め具233をワイヤー環230に装着すればよい。
【0132】
以上のように、ヒートシンク12は、第1の落下防止ワイヤー231の径よりも大きい径の落下防止挿通穴236を有し、第1の落下防止ワイヤー231は、ヒートシンク12に取り付けられる端部に落下防止挿通穴236の径よりも大きい外径を有する留め部238を有しているので、留め部238は落下防止挿通穴236を通過することができず、筺体50の落下を防止できる。
【0133】
また、筺体50は、第1の落下防止ワイヤー231の径よりも大きい径のワイヤー挿通穴237を有し、第1の落下防止ワイヤー231は、ワイヤー挿通穴237を通過できない第1の留め具233を有しているので、第1の落下防止ワイヤー231が筺体50の内部へ落下するのを防止できる。
【0134】
このように、2つの落下防止ワイヤーを一つ又は二つの留め具でつなぐようにしたので、埃避けカバー部21に取り付けられる吊り体60と筺体50との着脱が可能となり、筺体50の内部への電線挿入が容易となる。
【0135】
また、筺体50と吊り体60とは施工現場で施工時に着脱できるが、その際、落下防止機構も2つの落下防止ワイヤーにより施工現場で施工時に着脱することができる。
【0136】
また、第1の落下防止ワイヤー231は筺体50の内側に取り付けられ、第2の落下防止ワイヤー232は吊り体60の内側に取り付けられるので、照明器具100の外観からは落下防止ワイヤーが見えず、意匠性をよくすることができる。
【0137】
また、万が一、落下防止挿通穴236が破損して落下防止挿通穴236から第1の落下防止ワイヤー231が外れても、ワイヤー挿通穴237に留め部238が引っかかるので、筺体50の落下を防止することができる。したがって、ワイヤー挿通穴237は、落下防止挿通穴236と同様に、落下防止ワイヤー取付部としての機能も有する。
【0138】
また、第2の落下防止ワイヤー232は、天井取付具61に取り付けられているので、接続部62と筺体取付具63の落下も防止することができる。接続部62が、チェーンの場合でも、チェーンの上部にある天井取付具61と筺体50とがワイヤーで接続されるので、チェーンが万が一破損した場合でも、筺体50の落下を防ぐことができる。
【0139】
なお、第2の落下防止ワイヤー232を天井裏まで延長して、天井裏の梁に固定すれば、照明器具100全体の落下を防止できる。