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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-162556(P2015-162556A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】電子装置及び電子通信装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20150811BHJP
【FI】
   H05K7/20 U
   H05K7/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-36591(P2014-36591)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390010179
【氏名又は名称】埼玉日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】窪田 康広
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322BA05
5E322EA05
(57)【要約】
【課題】複数の電子回路基板を積層した場合でも下段の電子回路基板の放熱を円滑に成し得ると共に、これによって装置全体の耐熱性および耐久性の向上を図ること。
【解決手段】信号処理用の複数の電子回路基板3A,3Bと、これを水平に且つ複数段に分けて内蔵して成る装置本体(筐体)2と、この装置本体2の前面板2A及び背面板2Bにそれぞれ設けられた下部吸気口K及び上部排気口H1と、各電子回路基板3A,3Bをコネクタ接続するマザーボード4とを備えている。そして、各電子回路基板3A,3Bを装置本体2の前面側から挿脱自在に装備すると共に予め前記背面板側に設置されたマザーボード4に電子回路基板3A,3B用のコネクタ5A,5Bを装備し、この各コネクタ5A,5Bの両側に下段用通気領域Pを設け、マザーボード4の上部に前記上部排気口H1に対応した排気用通気領域TKを設けたこと。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号処理用の複数の電子回路基板と、この各電子回路基板を水平に且つ複数段に分けて内蔵して成る装置本体と、この装置本体の前面板及び背面板にそれぞれ設けられた下部吸気口及び上部排気口と、前記各電子回路基板をコネクタ接続するマザーボードとを備えた電子装置であって、
前記各電子回路基板を前記装置本体の前面側から挿脱自在に装備すると共に予め前記背面板側に設置された前記マザーボードに前記各電子回路基板用のコネクタを装備し、
前記各コネクタの両側に下段用通気領域を設けると共に、前記マザーボードの上部に前記上部排気口に対応した排気用通気領域を設けたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置において、
前記装置本体は、前記各電子回路基板を所定間隔を隔てて少なくとも二段に分けて保持する構造とし、
前記各電子回路基板を前記マザーボードに接続するコネクタは、その幅が前記各電子回路基板の幅よりも小さく形成されたものが予め装備されていることを特徴とした電子装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子装置において、
前記装置本体は、内部に当該装置本体の左右の各側面板と所定間隔を隔てて対向装備された一対の外側直立スロットガイドを備え、
この各外側直立スロットガイドが、当該各外側直立スロットガイドの相互間に配設された少なくとも前記各電子回路基板を保持する構成としたことを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子装置において、
前記各外側直立スロットガイドの対向面側に、前記各電子回路基板を保持する共に当該各電子回路基板の挿入時に当該各電子回路基板を前記マザーボード側に向けて案内するガイド部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電子装置において、
前記複数段に分けて装備された各電子回路基板の内、上段側の電子回路基板を同一面上に配設された複数の小幅電子回路基板で構成し、
この各小幅電子回路基板を個別に保持すると共に当該各小幅電子回路基板の相互間に設定され前記下段側から上方へ向かう通気路を形成する複数の内側直立スロットガイドを、前記下段側の電子回路基板上に設置したことを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子装置において、
前記各小幅電子回路基板を介して対向する内側直立スロットガイドの対向面側、および前記各小幅電子回路基板を介して対向する前記外側直立スロットガイドと内側直立スロットガイドとの対向面側に、
前記各小幅電子回路基板を保持する共に当該各小幅電子回路基板の挿入時に当該各小幅電子回路基板を前記マザーボード側に向けて案内するガイド部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の電子装置において、
前記外側直立スロットガイドと内側直立スロットガイドの各上側端面の高さ位置は、前記装置本体の天井面の高さ位置よりも低い位置に設定されていることを特徴とした電子装置。
【請求項8】
請求項5,6又は7に記載の電子装置において、
前記内側直立スロットガイド及び外側直立スロットガイドに、当該各スロットガイドを一律に係止しその対向面相互間の距離を一定に設定する端部係止部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一つに記載の電子装置が備えている各電子回路基板に外部との信号通信用の信号処理回路を組み込むと共に、
この信号処理回路を組み込んだ前記電子装置を通信機器本体の信号処理部として装備したことを特徴とする電子通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置及び電子通信装置に係り、特に、信号処理回路を含む複数枚の電子回路基板を備えた電子装置及び電子通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子装置において、装置の高さが1U(44.5〔mm〕)乃至2U(88.9〔mm〕)程度の低背の筐体内を自然空冷方式で放熱することは非常に難しく、多くの場合、ファンを用いた強制空冷方式が、もしくはヒートパイプ等を使用しての自然空冷方式が、それぞれ採用されている。図7(A)に自然空冷方式の一例を示す。
【0003】
この図7(A)において、符号101は、電子回路基板を格納して成る電子装置を示す。この電子装置101は、その筐体102部分の下段部分に挿脱自在に格納されるプラグイン型の電子回路基板103を備えている。又、符号104,105は、それぞれ電子装置101を外側で挟持する断面コ字状の支柱(キャビネットラックマウント)を示す。
このキャビネットラックマウント104,105を介して、電子装置101は電子機器装置100の本体部として当該電子機器装置100に組み込まれている。
【0004】
また、図7(B)に、電子回路基板(203A,203B)を筐体202内に水平に且つ二段の積層状態に配置した電子装置201の一例を示す。
【0005】
そして、この図7(A)(B)に示すように、電子回路基板103又は203A及び203Bをそれぞれ水平に配置することにより、回路基板上の実装面積を十分に確保することができ、これにより、電子装置全体の低背小型化が可能となるという利点がある。ここで、符号103a,103a,……は、放熱回路部品を示す。
【0006】
一方、装置高さが3U(133.5〔mm〕)以上の場合は、例えば図8(A)に示すように、電子装置301の筐体302内に、放熱回路部品103aを装備した複数の電子回路基板303A,303B,303C,……を垂直に配置する方式(垂直配置方式)が採用されている。
【0007】
そして、この垂直配置方式によると、実装面積を複数の回路基板303A,303B,303C,……をもって充分に確保することができ、更に、当該回路基板303A,303B,303C,……部分で熱せられた空気の装置上部への移動が迅速化されるという利点がある。図8(A)中、矢印Aは通気経路を示す。
【0008】
即ち、この図8(A)に示す基板垂直配置方式は、通気経路Aが各基板303A,303B,303C,……に沿って下方から上方に向けてストレートに立ち上がっていることから、水平配置方式に比べて自然空冷が容易であり、多くの場合、この基板垂直配置方式が採用されている。
【0009】
そして、この種の自然空冷方式では、各電子回路基板103,203A,203B,303A,303B,303C,……に装備される各種電子部品の内、特に放熱回路部品103aでは、その周囲の空気が当該部品103aの発熱により暖められることで温度上昇による上昇気流が発生し、この上昇気流により生じる対流により、その熱が上昇気流と共に筐体上部から装置外に連続して排出されるようになっている。
【0010】
このため、装置設置の環境の要求条件により、同一キャビネット内に収容される他の装置の排気熱が、吸気口から取り入れられることのないように、各装置の筐体にあっては、吸気面を前面に、排気面を背面に、それぞれ分けて設定し、これによって対流の方向が決められているのが一般的である。
【0011】
又、上記放熱技術にかかる他の関連技術として、ヒートパイプ等を用いた電子装置401の場合を図8(B)に示す。この図8(B)の例では、筐体402内に装備された電子回路基板403上の放熱回路部品103a部分の熱を、伝電部材404Aとヒートパイプ404Bとを介して放熱器(放熱フィン)405まで伝熱するように構成されている。このため、この図8(B)の例では、電子回路基板403上の放熱回路部品103aと放熱器405とは、ヒートパイプ404で常時結合され、これによって、放熱回路部品103a部分に発生する熱の外部への放熱が実行されるようになっている。図中、矢印Aは伝熱方向を示す。
【0012】
更に、上記した電子回路基板103,203A,303A等に対する放熱構造に関する公知文献として、下記特許文献1乃至4が知られている。
【0013】
この内、特許文献1には、上記図8(A)の記述内容(電子回路基板を立てて筐体内に装備する技術)と同等の技術内容が開示され、同時に当該基板を収納した筐体を複数積層する技術が開示されている。
又、特許文献2には、電子回路基板の設置向きについては特に限定することなく当該電子回路基板を内蔵したキャビネット(筐体)の複数を積層する技術が開示されている。
【0014】
又、特許文献3及び4には、上記特許文献1と同等の技術に加えて、筐体相互間に通気方向を設定するラックガイドを積層する技術および当該筐体とラックガイドとを一体化した技術が開示されている。
更に、上記各特許文献には、積層した各筐体毎に、又これらを収納したキャビネット全体を対象として、下方から上方に向かう通気路を設定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭64−57797号公報
【特許文献2】特開昭64−72597号公報
【特許文献3】特開2004−235303号公報
【特許文献4】実開昭62−158895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
まず、図7(A)に開示した電子回路基板103を水平に装備した(自然空冷型で低背型の)電子装置101の例では、図9(A)に示すように、基板103上の放熱回路部品103aの発熱により、部品周囲の空気が温度上昇することで上昇気流が発生、中央から外周に向かって拡散すると同時に筐体天面との温度差により熱交換、冷却され、外周に達した空気は再び下降し電子回路基板の外周から中央の発熱部に向かって空気が循環する、いわゆる対流により放熱が行われるようになっている。図9(A)中、矢印Bは空気の循環経路を示す。
【0017】
これに対し、図7(B)に開示した電子回路基板203A,203Bを二段に水平配置した電子装置201の例では、各電子回路基板203A,203Bは図9(B)に示すようにマザーボード210にプラグイン接続されている。この図9(B)において、符号205,206は接続プラグを示す。
【0018】
このため、上段の電子回路基板203Bは前述した図7(A)の場合と同様に機能して外部へ熱放出がなされるが、下段の電子回路基板203Aは、上段の電子回路基板203Aの存在によって外部への熱放出が妨げられるという不都合が生じている。
【0019】
即ち、下段の電子回路基板203Aの放熱回路部品103aに発生する熱は、上段の電子回路基板203Bが放熱回路部品103aを備えていることもあって、上段への上昇気流の発生が大幅に抑制され、マザーボード210に対するプラグイン接続構造という構成条件も重なって、下段の電子回路基板203Aに装備された放熱回路部品103aからの熱放出は当該電子回路基板203Aの上部空間に閉じ込められる状態となり、筐体202を介して筐体外に放熱することが困難となっている(図9(B)参照)。
【0020】
換言すると、電子回路基板が、一の筐体内に図9(B)に示すように複数段収容されるような場合は、特に下段側の電子回路基板(例えば203A)の放熱が上段の電子回路基板(例えば203B)に妨げられるため、筐体202の上部から筐体202外に放熱することが困難である。
【0021】
又、図9(B)に示す上記プラグイン接続構造では、プラグインカード(電子回路基板)203A,203Bを装置前面202Aから抜き差しする場合であり、装置内部にはプラグインカードが接続されるマザーボード210が予め設置されている。このマザーボード210は、図示のように、その設置状態は水平方向に挿脱するプラグインカード203A,203Bに対して垂直方向であり、装置背面202Bと平行に設置されている。
このため、特に装置背面202Bを排気面(排気口を備えた面)とする場合、この図9(B)の関連技術におけるマザーボード210の存在は通気の妨げとなるという不都合があった。
【0022】
更に、ヒートパイプ等を介して基板側の熱を放熱器(放熱フィン)405へ伝熱する図8(B)の方式の放熱技術は、電子回路基板403上の放熱回路部品103aと放熱器405とは、ヒートパイプ404で常時結合されていることから、電子回路基板を筐体に対して抜き差しするようなプラグイン接続構造の電子装置には不向きな放熱構造となっている。
【0023】
一方、前述した各特許文献乃至4に開示された各放熱技術は、電子回路基板を垂直に配置した場合を、又電子回路基板を格納した筐体内部全体を対象として、その問題解決を図った内容となっており、電子回路基板を水平に配置した場合に生じる上記各不都合に対しては、何ら関与しない内容となっている。
【0024】
〔発明の目的〕
本発明は、上記関連技術の有する不都合を改善し、特に複数の電子回路基板を所定間隔をおいて積層した場合でも下段の電子回路基板の放熱を円滑に成し得ると共に、これによって耐熱性および耐久性の向上を図った電子装置及び電子通信装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するため、本発明にかかる電子装置は、信号処理用の複数の電子回路基板と、この各電子回路基板を水平に且つ複数段に分けて内蔵して成る装置本体(筐体)と、この装置本体の前面板及び背面板にそれぞれ設けられた下部吸気口及び上部排気口と、前記各電子回路基板をコネクタ接続するマザーボードとを備えた電子装置であって、
前記各電子回路基板を前記装置本体の前面側から挿脱自在に装備すると共に予め前記背面板側に設置された前記マザーボードに前記各電子回路基板用のコネクタを装備し、
前記各コネクタの両側に通気領域を設けると共に、前記マザーボードの上部に前記上部排気口に対応した通気領域を設ける、という構成を採っている。
【0026】
また、上記目的を達成するため、本発明にかかる電子通信装置は、上記した電子装置が備えている各電子回路基板に信号通信用の信号処理回路を組み込むと共に、この信号処理回路を組み込んだ前記電子装置を通信機器本体の信号処理部として装備する、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0027】
本発明は上記のように構成したので、これによると、下段に装備された電子回路基板もその上段側の電子回路基板と共に、その全体が連続して空冷されることとなり、特に上段側に複数の電子回路基板(小幅回路基板)を所定間隔をおいて積層した場合でも、下段の電子回路基板の放熱を円滑に成し得ると共に、これによって装置全体の耐熱性および耐久性向上を図り得るという優れた電子装置および電子通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明にかかる電子装置の一実施形態を示す一部省略した概略分解斜視図である。
図2図1における電子装置で筐体内における上昇空気流と吸排気の概要(基本的内容)を示す説明図である。
図3図1における電子装置にあって前面板を取り除いた状態のM方向から見た正面図である。
図4図3のIV−IV線に沿った断面図である。
図5図3のV−V線に沿った断面図である。
図6図3における電子回路基板上の空気の流れ(対流状態)の一部を示す図で、図6(A)は下層側の電子回路基板上で温められた空気が上方へ向かう場合の通気流の動きを示す説明図、図6(B)は各層における電子回路基板上の空気の流れ及び筐体内の全体的な空気の流れを示す説明図である。
図7】関連分野における電子通信装置であって、図7(A)は当該電子通信装置が装備した電子装置の1段の電子回路基板を挿脱自在に収納する場合の一例を示す説明図、図7(B)は2段の電子回路基板を積層し収納した場合の電子装置の一例を示す説明図である。
図8】関連分野における他の電子装置が備えている電子回路基板の空冷構造を示す図で、図8(A)は複数の電子回路基板を垂直に配置する方式(垂直配置方式)の一例を示す説明図、図8(B)は電子回路基板の放熱部をヒートパイプを介して放熱フィンに接続した場合の例を示す説明図である。
図9】電子回路基板上の放熱回路部品の周囲に生じる上昇気流と対流の状態および外部への放熱状況を示す図で、図9(A)は一段の場合、図9(B)は二段の場合における空冷構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を図1乃至図6に従って説明する。
最初に、本発明の全体的な概要を説明し、その後に具体的な内容を説明する。
【0030】
〔実施形態の概要〕
本発明は、キャビネットラックマウント型の電子通信装置に装備される電子装置1において、装置の筐体2内に積層状態で複数段(本実施形態では下段と中段の二段)にわたって、例えば図6(B)に示すように、水平にプラグイン接続される電子回路基板3(3A,3B)を自然空冷方式により放熱する場合の放熱構造に関するものである。
そして、主に、前述した図7(A)に示す関連分野における不都合を改善したものであり、特に高さ1U(44.45mm)〜2U(88.9mm)程度の低背の筐体2に適用するためのものである。
【0031】
又、本実施形態における電子装置1の自然空冷方式による放熱構造は、図6(B)に示すように、外気が筐体2の吸気口K1,K2から吸入された後、排気口H1に向かって流れるように、装置の前面板2Aの下部に前記吸気口K1,K2を、装置の背面板2Bの上部に前記排気口H1を、それぞれ設けることで、需要者からの要求条件である前面吸気、背面排気を実現した。
更に、上記各電子回路基板3A,3Bをコネクタ接続するマザーボード4を背面板2B側に配置した。
【0032】
ここで、上記内容を実現する空気流の通気経路を、以下に示す。
まず、電子回路基板3A,3Bの発熱により発生する上昇気流により、放熱回路部品(発熱部品)103aの周囲に発生する負圧に向かって空気が流れ込むよう装置正面下部(前面板の下部)に上述したように吸気口K1,K2を設ける。これにより、上昇気流によって装置内上部で圧縮された空気は装置背面上部に設置した前記排気口H1に向かって押し出され、外部に向けて排出される。
【0033】
又、電子回路基板3A,3Bは複数段(二段)にわたって水平に設置し、且つ上昇気流を通すためのパス領域(通気領域)をマザーボード4との間に適宜設けたので、下層の電子回路基板3Aの放熱が装置筐体2内の上部に達する。図6(A)では、上層の電子回路基板3Bを4個の小回路基板3B,3B,3B,3Bで構成した場合を示す。
【0034】
更に、マザーボード4については、排気熱が通る上部の一部を開放しておくことで、排気熱の移動を妨げることなく、プラグインカード(電子回路基板)とのコネクタ接続が可能である。同時に、このコネクタ接続に際して装備されるコネクタは、その幅が各電子回路基板の幅よりも小さい幅のコネクタが予め選定され装備され、これによって、コネクタ部分に上記パス領域(通気領域)が設定され下方からの通気性が確保されている。
【0035】
この場合、電子回路基板3Bのコネクタについては、当該電子回路基板3Bの形態に応じて本実施形態では又は同一面上で複数に分割された電子回路基板(小回路基板3B,3B,3B,3B)に個別対応して、複数のものが装備され使用されるようになっている。尚、この電子回路基板3Bを一枚で構成した場合には、マザーボード4との接続用として単一のコネクタを使用してもよい。
【0036】
〔具体的な構成内容〕
次に、本実施形態を、更に具体的に説明する。
図1乃至図6において、本実施形態における電子装置1は、上述したように二段に分けて配置された信号処理用の複数の電子回路基板3A,3Bと、この各電子回路基板3A,3Bを水平に内蔵して成る低背の筐体(装置本体)2と、前述したように筐体(装置本体)2の前面板2A及び背面板2Bにそれぞれ設けられた下部吸気口K1,K2及び上部排気口H1と、各電子回路基板3A,3Bをコネクタ接続するマザーボード4とを備えている。
【0037】
この内、背面板2Bの上部に設けられた上部排気口H1は、図1乃至図2に示すように背面上部に横一列に形成された複数の通気小穴をもって構成されている。これにより、各電子回路基板3A,3Bからの排気が特定領域に偏ることなく一様に実行されるようになっている。
【0038】
又、前述した下部吸気口K1,K2も、上部排気口H1と同様に、それぞれが前面下部にて横一列に形成された複数の通気小穴をもって構成されている。そして、この場合、各下部吸気口K1,K2の全体の吸気用開口面積は、前述した上部排気口H1の全体の排気用開口面積よりも大きい開口面積に設定されている。
【0039】
これにより、筐体内の温度上昇が進んで上昇気流の増加とともに内部の加熱空気が急速排気されても、下部吸気口K1,K2からの冷却用空気の吸入が十分に追従し得るようになっている。
尚、前面板2Aの下部吸気口K1,K2は、本実施形態では各段の電子回路基板3A,3Bに対応して二箇所に分けて形成されているが、下段側の一か所に設けたものであってもよい。
【0040】
ここで、当該下部吸気口K1,K2と上部排気口H1との位置関係、および筐体2内を通過する吸気の通過経路の基本形な形態を、放熱回路部品103a上の上昇気流の発生状態を含めて図2に示す。
【0041】
又、上気した下部吸気口K1,K2も、前述した上部排気口H1と同様にそれぞれが横一列に形成された複数の通気小穴をもって構成されている。そして、各下部吸気口K1,K2の全体の開口面積は前述した上部排気口H1の全体の開口面積よりも大きく設定されている。
【0042】
この図2では、空冷用の空気の通過経路を明確化するため、下部吸気口K1,K2に代えて下部吸気口Kを1個とし、電子回路基板3A,3Bに代えて一段の電子回路基板3を装備した場合を例示した。
【0043】
又、この図2において、符号F1は、放熱回路部品103a上の上昇気流によって当該放熱回路部品103a上に発生する負圧領域を示す。又、符号F2は上部排気口H1から外部へ放出される上昇気流によって当該上部排気口H1部分に生じる負圧領域を示す。
そして、この2箇所の負圧領域F1,F2によって、筐体2内の加熱空気は、その通気方向が加速され、上部排気口H1から外部への自然放散が迅速になされるようになっている。
【0044】
上記各電子回路基板3A,3Bの内、本実施形態では、上述したように下段側の電子回路基板3Aは、一枚の回路基板をもって構成され、上段側の電子回路基板3Bは、同一面上に配設され且つ前記マザーボード4側のコネクタに対して個別に挿脱可能に装備された4枚の小幅回路基板3B,3B,3B,3Bをもって構成されている(図3図5参照)。
【0045】
このため、前述した電子回路基板3B用のコネクタ5Bは、本実施形態では小幅回路基板3B乃至3Bに対応して、4個のコネクタ5B,5B,5B,5Bを備え、これらがマザーボード4側の対応位置に配設されている。
また、前述した電子回路基板3A用のコネクタ5Aは、実際には2個のコネクタ5A,5Aを備え、これらがマザーボード4との間の対応位置(コネクタ接続の)に配設されている。
【0046】
そして、この各コネクタ5A,5A、5B,5B,5B,5Bの各両側には、それぞれ下方から上方に通ずる通気領域が設けられている。更に、本実施形態では、前記マザーボード4の上部に、前記上部排気口H1に対応した通気領域4Kが設けられている。
【0047】
尚、このマザーボード4の上部通気領域4Kについては、本実施形態ではマザーボード4の高さを前述した筐体2の天井の高さよりも低く形成することにより適度の大きさに設定されているが、マザーボード4の高さを筐体2の天井の高さと同等にして、当該マザーボード4の上端部に前記排気口H1と同等の通気穴を設け、これを上部通気領域4Kとしてもよい。
【0048】
このため、本実施形態では、前面板2Aの下部吸気口K1,K2から吸入された空気は水平に設置された電子回路基板3A,3B(3B乃至3B)を冷却し且つ加熱され前記排気口H1に向けて移動する。そして、上段側の電子回路基板3B(3B乃至3B)上の空気はそのまま上方へ、又下段側の電子回路基板3A上の空気は上段側の各コネクタ(5B,5B,5B,5B)の両側の隙間からマザーボード4に沿って,或いは小幅回路基板3B乃至3Bの相互間から図6(A)に示すようにそれぞれ上昇し、電子回路基板3B側の上昇気流と合流してマザーボード4上部の通気領域4Kを通過し、背面板2Bの上部排気口H1から外部へ放出される。
【0049】
これにより、上段に配設された電子回路基板3B(3B乃至3B)の空冷と共に、下段に配設された電子回路基板3Aも、その全体が円滑に空冷されることとなり、これによって、装置全体の耐熱性および耐久性の向上が図られるようになっている。
尚、上記した筐体2は電子回路基板を二段に分けて内蔵し保持する場合を例示したが、三段以上に分けて装備するように構成してもよい。
【0050】
又、上述した各コネクタ5A,5A,5B乃至5Bは、本実施形態では、対応する各電子回路基板3A,3B乃至3Bの幅よりも小さい幅のコネクタが、予め選定され装備されている。これにより、上述したように、下段側の電子回路基板3A上で熱せられた上昇気流は、コネクタの両側の隙間からマザーボード4に沿って、および上段の小幅回路基板3B乃至3Bの相互間から、それぞれ上方へ向けての通気が円滑に行われ、これによって、内部の自然空冷が実行されるようになっている。
【0051】
ここで、上記した低背型の電子装置1に装備されたプラグインカード(電子回路基板)としては、実際に装備される電子通信装置の動作機能との関係では、システムの監視制御やライン信号のスイッチングを行うメインカード(電子回路基板3A)と、ライン信号のインタフェースとなる複数のラインカード(小幅回路基板3B乃至3B)から成る回路構成のものが、装備されるようになっている。
この場合、ラインカード(小幅回路基板3B乃至3B)は、信号の伝送速度や種類ごとに個別のカードとし、ラインカードを入れ替えることで、インタフェールの変更を可能に構成した。
【0052】
このため、本実施形態にあっては、予めラインカードスロットをより多く収容することで、システムを自在に駆動してフレキシブルなサービスを需要者に対して提供することが可能となっている。
【0053】
又、電子装置1には、複数のラインカードスロットを備えた構成とするために、ラインカード(小幅回路基板3B乃至3B)相互間に各カードを保持し、マザーボード4とのコネクタ接続を実行するための基板ガイド機構が設けられている。メインカード(電子回路基板3A)についても同様である。
以下、これについて具体的に説明する。
【0054】
〔基板ガイド機構と電子回路基板〕
図1において、筐体2は、内部に当該筐体2の左右の各側面板と所定間隔Sを隔てた位置にて相互に対向して配設された板状の一対の外側直立スロットガイド11,12を備えている。
【0055】
又、この各外側直立スロットガイド11,12が、当該外側直立スロットガイド11,12相互間に配設される前記各電子回路基板の一部又は全部を保持するように構成されている。具体的には、本実施形態にあって、下段側の電子回路基板3Aはその両端部が外側直立スロットガイド11,12により後述するように保持され、また、中段側の電子回路基板3Bである四枚の小幅回路基板3B及び3Bの内の前記外側直立スロットガイド11,12側に位置する小幅回路基板3B及び3Bの片側が、後述するように外側直立スロットガイド11,12に保持されるようになっている。
【0056】
尚、本実施形態では採用していないが、変形例として、例えば電子回路基板3Bを下段側の電子回路基板3Aと同一に一枚で形成し、後述する内側直立スロットガイド21〜26を不要としてもよい。
【0057】
更に、この各外側直立スロットガイド11,12は、その背面側の先端面が前述したマザーボード4に対向して配置され当該マザーボード4との間に、空気流通用の通気用空間(通気領域)Pを備えている(図4図5参照)。
【0058】
又、この各外側直立スロットガイド11,12の対向面側の下部領域には、上記電子回路基板3Aの両端部をそれぞれが保持すると共に当該電子回路基板3Aが背面側のマザーボード4に向けて往復移動するのを案内する断面コ字上のガイド部材11A,12Aが、それぞれ装備されている(図4参照)。
そして、この各外側直立スロットガイド11,12とガイド部材11A,12Aとにより、下段側の基板ガイド機構が構成されている。
【0059】
更に、このガイド部材11A,12Aの設置位置と同等の高さ位置の前記マザーボード4側には、当該ガイド部材11A,12Aに沿って挿入される電子回路基板3Aをコネクタ接続するためのコネクタ受け部13a,14aが装備されている。また、この各コネクタ受け部13a,14aにコネクタ接続するためのコネクタ係合部13b,14bが、前述した電子回路基板3Aにそれぞれ装備されている(図4参照)。
【0060】
そして、この13a,14a、および13b,14bにより、二箇所で電子回路基板3Aをマザーボード4にコネクタ接続するための二組のコネクタ5A,5Aが、それぞれ構成されている。
【0061】
ここで、コネクタ受け部13aおよびコネクタ係合部13bは、本来、1箇所に集中して対向装備してもよいが、本実施形態では、前述した通気用空間(通気領域)P部分の均一な通気性を保持するため、所定間隔を隔てて二箇所に分けて装備する構成とした。
【0062】
これにより、電子回路基板3Aは、筐体2内で、背面板2B側に位置するマザーボード4との間で、所定の通気用空間Pを保持しつつ当該マザーボード4に着脱自在に係合され、これによってマザーボード4領域における上下方向の通気性が確保され且つ必要な情報の授受が成されるようになっている。
【0063】
上記電子回路基板3A上には、前述した外側直立スロットガイド11,12の相互間にあって、当該外側直立スロットガイド11,12に平行に配設され且つ一対で一組を構成する三組の板状の内側直立スロットガイド21,22、23,24、25,26、が植設されている。
この各内側直立スロットガイド21乃至26は、前述した外側直立スロットガイド11,12と共に協同して機能し、電子回路基板3Aの上段に配設される小幅回路基板3B乃至3Bを個別に保持するためのものである(図3参照)。
【0064】
ここで、内側直立スロットガイド21乃至26及び外側直立スロットガイド11,12は、その上側端面の各高さ位置がそれぞれが同一に設定され且つ筐体2(装置本体)の内側の天井面の高さ位置よりも低く設定され、これによって、その上端と筐体2の天井面との間には通気用空間TKが設定されている(図4参照)。
【0065】
更に、上記した内側直立スロットガイド21,22の相互間は、前述した外側直立スロットガイド11,12と筐体2の側面板との間の離間距離Sと同等の離間距離Sをもって、相互に対向して配設されている。他の内側直立スロットガイド23,24、及び25,26の場合も同様である(図3参照)。
【0066】
又、この三組の内側直立スロットガイド21,22、23,24、25,26は、離間距離Sを介して特定される対向面内の空間が、それぞれ前述した下段側の電子回路基板3A用の放熱通路を構成している。この場合、電子回路基板3A上に生じる加熱された上昇気流の一部の移動状態を図6(A)に示す。
尚、この図6(A)では、外側直立スロットガイド11,12および内側直立スロットガイド21乃至26は記載は省略されている。
【0067】
そして、この三組の内側直立スロットガイド21,22、23,24、25,26は、図3に示すように、その外側に位置する前述した外側直立スロットガイド11,12と共に、前記電子回路基板3Aの上面側で同一面上に配設される4枚の小幅回路基板3B乃至3Bを個別に且つ挿脱自在に保持する機能を備えている。
【0068】
具体的には、上記三組の内側スロットガイド21,22、23,24、25,26には、その外側の面の中段部分に、前述した4枚の各小幅回路基板3B乃至3Bを個別に且つ前記マザーボード4に向けて往復移動可能に保持するための断面コ字上のガイド部材21B,22B、23B,24B、25B,26Bが、それぞれ装備されている。
【0069】
又、これに対応して、前述した外側直立スロットガイド11,12の対向面側の上部側で当該ガイド部材21B乃至26Bと同一の面上に、同じく断面コ字上のガイド部材11B,12Bが装備されている。
【0070】
これにより、上述した小幅回路基板3Bはガイド部材11Bと21Bに保持され、また小幅回路基板3Bはガイド部材22Bと23Bに保持され、更に小幅回路基板3Bはガイド部材24Bと25Bに保持され、更に又、小幅回路基板3Bはガイド部材26Bと12Bに保持され、同時に、各小幅回路基板3B乃至3Bは、それぞれ個別に前述したマザーボード4に向けての往復移動が許容された状態に設定されている(図3図4参照)。
【0071】
そして、上述した内側直立スロットガイド21乃至26,及びこれに装備された各ガイド部材21B乃至26Bと、前述した外側直立スロットガイド11,12,及びこれに装備された各ガイド部材11B,12Bとにより、上段側の基板ガイド機構が構成されている。
【0072】
更に、この各ガイド部材11B,21B乃至26B,12Bの設置位置と同等の高さ位置の前記マザーボード4側には、当該ガイド部材11B,21B乃至26B,12Bに沿って個別に挿入される小幅回路基板3B乃至3Bをコネクタ接続するためのコネクタ受け部31a,32a,33a,34aが装備されている。
また、この各コネクタ受け部31a乃至34aに個別に係合するためのコネクタ係合部31b,32b,33b,34bが、対応する前述した小幅回路基板3B乃至3Bに、それぞれ装備されている(図3図4参照)。
【0073】
そして、このコネクタ受け部31a乃至34aとこれに対応するコネクタ係合部31b乃至34bとの組合せにより、前述したコネクタ5B,5B,5B,5Bが、それぞれ構成されている。
【0074】
ここで、上記各コネクタ受け部31a乃至34a、およびこれに対応するコネクタ係合部31b乃至34bは、対応する上記各小幅回路基板3B乃至3Bの幅よりも小さい幅のものが使用されている。
【0075】
これにより、各小幅回路基板3B乃至3Bは、内部背面側のマザーボード4との間で、所定の通気用空間(通気領域)Pを保持しつつ当該マザーボード4に個別に着脱自在に係合され、これによって、マザーボード4領域における上下方向の通気性が確保され、当該マザーボード4側との必要な情報の授受が可能となっている。
図4参照)
【0076】
更に、この内側直立スロットガイド21乃至26及び外側直立スロットガイド11,12には、当該各内側直立スロットガイド21乃至26及び外側直立スロットガイド11,12を一律に係止し且つその対向面相互間の距離を一定に設定する端部係止部材41,42が装備されている。
【0077】
この端部係止部材41,42は、具体的には、幅の狭い板部材から成る共通の板状交差部材により形成され、当接部がそれぞれ一部交差した状態で、前記内側直立スロットガイド21乃至26及び外側直立スロットガイド11,12の前面側と背面側に装備されている。
【0078】
又、この端部係止部材41,42は、本実施形態では、その左右の両端部が前述した筐体2内の左右の側壁に当接して装備され、これによって、当該各スロットガイド11,21乃至26,12の上端部を含む端部相互間の位置が固定され、かかる点において、対向するガイド部材の相互間の距離が固定されるので、電子回路基板3Aおよび小幅回路基板3B乃至3Bの個別挿入,個別離脱を、更には前述したマザーボード4とのコネクタ接続を、円滑に実行することができ、装置全体の保守性及び耐久性が担保されている。
【0079】
尚、この端部係止部材41,42については、内側直立スロットガイド21乃至26及び外側直立スロットガイド11,12の前面板2A又は背面板2Bの端面部分に配設するようにしてもよい。この場合、各端部係止部材41,42については、前面板2A又は筐体2の両側面部分にねじ止めするように構成してもよい。
又、この端部係止部材41,42については、本実施形態では2箇所に配設した場合を例示したが一か所であってもよい。又、この端部係止部材41,42については、筐体2内面の天井部分に固定装備したものであってもよい。
【0080】
〔放熱動作〕
次に、上記実施形態における電子装置1に内蔵された電子回路基板3A,3Bに対する装置全体の自然空冷動作について、図2図6に従って説明する。
【0081】
まず、装置全体が稼働状態に設定されて電子回路基板3A及び小幅回路基板3B(3B乃至3B)に搭載された各放熱回路部品103aの温度が上昇すると、当該各放熱回路部品103aの上部周囲の空気は、加熱されて、例えば図2の矢印Aの如く上昇し、当該放熱回路部品103aの上部に負圧領域Fが発生する。
【0082】
この負圧領域Fは、上段側の小幅回路基板3B乃至3B上でも、又、前述した内側スロットガイド21,22の相互間(23,24の相互間、及び25,26の相互間)、更には小幅回路基板3B乃至3Bの下面側の電子回路基板3A上でも、同様に発生する。
【0083】
次に、この負圧領域Fが発生すると、この内部の負圧に吸引されて筐体2の前面に設けられた吸気口K(K1,K2)から、外気が矢印Aの如く吸入される(図2図6(B)参照)。
続いて、この外気の吸入により、上段側の小幅回路基板3B乃至3B部分では、上昇気流で上昇した加熱空気は、加速されて排気口H1から外部へ押し出される。
【0084】
一方、下段側の電子回路基板3A上の一部、例えば前述した内側スロットガイド21,22の相互間(23,24の相互間、及び25,26の相互間)では、この部分で加熱された空気が負圧で吸入された外気によって筐体内の天井に向けてそのまま上昇する。
【0085】
又下段側の電子回路基板3A上の他の一部(即ち、上段側の小幅回路基板3B乃至3Bの下面側領域)の加熱空気は、同じく負圧で吸入された外気によって筐体背面側のマザーボード4側へ押し出され、コネクタ部分の両側の通気領域を経て上昇気流として上方へ急速移動し、上段側の小幅回路基板3B乃至3B部分の上昇気流と共に、加速されて排気口H1から外部へ押し出される。
【0086】
同時に、排気口H1の空間領域では、加熱空気の排出移動によって、その周囲に負圧領域Fが発生し、筐体2内の天井部分の加熱空気は、この負圧領域Fの吸引力によって更に加速されて内部の加熱空気を吸引し排気口H1から外部へ放出される。
【0087】
以下、かかる状態が連続して実行され、これによって内部の加熱空気は筐体内部に留まることなく連続的に外部へ放出され、この間、上段側の小幅回路基板3B乃至3Bは自然空冷され、同時に下段側の電子回路基板3Aも、その全面が連続的に効率よく自然空冷されることとなる。
【0088】
ここで、上記実施形態では、想定される電子装置1全体を対象として当該電子装置1内の内蔵される電子回路基板および当該基板上の放熱回路部品103aを対象とした放熱構造について説明したが、これを通信機器をはじめ、他の電子機器に適用するように構成してもよい。
例えば、上記電子装置1が備えている各電子回路基板3A,及び小幅回路基板3B乃至3Bに情報通信用の信号処理回路を組み込むと共に、この信号処理回路を組み込んだ前記電子装置を電子通信装置の信号処理部として装備するようにしてもよい。
【0089】
ここで、上記内側スロットガイド21乃至26については、下段側の電子回路基板3Aに近い下部領域に、当該電子回路基板3Aからの熱せられた上昇空気を取り込んで上方へ送り出すための通気穴を形成してもよい。このようにすると、下段側の電子回路基板3Aを更に有効に空冷することができて都合がよい。
【0090】
更に、前述したマザーボード4および直立スロットガイド11,12は、本実施形態ではL型部材を介して筐体2に固定するように構成したが、他の固定手法によって筐体2の底部に直接固定するように構成してもよい。又、内側スロットガイド21乃至26は、前述した下段側の電子回路基板3Aに設けた長穴を利用した係合手段をもって電子回路基板3A上に固定するように構成したが、他の固定手法によって電子回路基板3A上に固定するように構成してもよい。
【0091】
〔実施形態の効果〕
本実施形態において、電子装置1は上記のように構成され機能するので、これによると、筐体2の前面板2Aの下部吸気口K1,K2から取り込まれる空気は水平に設置された複数の電子回路基板3A及び小幅回路基板3B乃至3Bを放熱回路部品103a共々冷却した後、熱せられた空気は直ちに上昇し(特に下段側の電子回路基板からの空気はコネクタ部両側の隙間からマザーボードに沿って上昇し)、マザーボード上部の通気領域TKで上段側及び下段側の各上昇気流が合流し当該通気領域TKを通過して背面板2Bの上部排気口H1から外部へ放出される。
これにより、下側に積層された電子回路基板3Aもその全体が連続して空冷されることとなり、特に複数の小幅回路基板が上段に所定間隔をおいて積層された場合でも、下段の電子回路基板3Aの放熱が円滑に成されることとなり、装置全体の耐熱性および耐久性の向上を図り得るという優れた電子装置および電子通信装置を得ることができる。
【0092】
上述した実施形態については、その新規な技術的内容の要点をまとめると、以下の付記のようになる。
尚、この付記については、本発明をこれに限定するものではない。
【0093】
(付記1)
信号処理用の複数の電子回路基板と、この各電子回路基板を水平に且つ複数段に分けて内蔵して成る装置本体(筐体)と、この装置本体の前面板及び背面板にそれぞれ設けられた下部吸気口及び上部排気口と、前記各電子回路基板をコネクタ接続するマザーボードとを備えた電子装置であって、
前記各電子回路基板を前記装置本体の前面側から挿脱自在に装備すると共に予め前記背面板側に設置された前記マザーボードに前記各電子回路基板用のコネクタを装備し、
前記各コネクタの両側に下段用通気領域を設けると共に、前記マザーボードの上部に前記上部排気口に対応した排気用通気領域を設けたことを特徴とする電子装置。
【0094】
(付記2)
付記1に記載の電子装置において、
前記装置本体は、前記各電子回路基板を所定間隔を隔てて少なくとも二段に分けて保持する構造とし、
前記各電子回路基板を前記マザーボードに接続するコネクタは、その幅が前記各電子回路基板の幅よりも小さく形成されたものが予め装備されていることを特徴とした電子装置。
【0095】
(付記3)
付記1又は2に記載の電子装置において、
前記装置本体は、内部に当該装置本体の左右の各側面板と所定間隔を隔てて対向装備された一対の外側直立スロットガイドを備え、
この各外側直立スロットガイドが、当該各外側直立スロットガイドの相互間に配設された少なくとも前記各電子回路基板を保持する構成としたことを特徴とする電子装置。
【0096】
(付記4)
付記3に記載の電子装置において、
前記各外側直立スロットガイドの対向面側に、前記各電子回路基板を保持する共に当該各電子回路基板の挿入時に当該各電子回路基板を前記マザーボード側に向けて案内するガイド部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【0097】
(付記5)
付記3に記載の電子装置において、
前記複数段に分けて装備された各電子回路基板の内、上段側の電子回路基板を同一面上に配設された複数の小幅電子回路基板で構成し、
この各小幅電子回路基板を個別に保持すると共に当該各小幅電子回路基板の相互間に設定され前記下段側から上方へ向かう通気路を形成する複数の内側直立スロットガイドを、前記下段側の電子回路基板上に設置したことを特徴とする電子装置。
【0098】
(付記6)
付記5に記載の電子装置において、
前記各小幅電子回路基板を介して対向する内側直立スロットガイドの対向面側、および前記各小幅電子回路基板を介して対向する前記外側直立スロットガイドと内側直立スロットガイドとの対向面側に、
前記各小幅電子回路基板を保持する共に当該各小幅電子回路基板の挿入時に当該各小幅電子回路基板を前記マザーボード側に向けて案内するガイド部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【0099】
(付記7)
付記5又は6に記載の電子装置において、
前記外側直立スロットガイドと内側直立スロットガイドの各上側端面の高さ位置は、前記装置本体の天井面の高さ位置よりも低い位置に設定されていることを特徴とした電子装置。
【0100】
(付記8)
付記5,6又は7に記載の電子装置において、
前記内側直立スロットガイド及び外側直立スロットガイドに、当該各スロットガイドを一律に係止しその対向面相互間の距離を一定に設定する端部係止部材を装備したことを特徴とする電子装置。
【0101】
(付記9)
付記1乃至8の何れか一つに記載の電子装置が備えている各電子回路基板に外部との信号通信用の信号処理回路を組み込むと共に、
この信号処理回路を組み込んだ前記電子装置を通信機器本体の信号処理部として装備したことを特徴とする電子通信装置。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明にかかる電子装置1は、複数段に設置した電子回路基板3A,3Bが放熱回路部品103aによって加熱され、特に下段側の電子回路基板3A上の他の回路素子が熱破壊されるのを予め自然空冷の手法を用いて有効に空冷することによって回避するようにしたものであり、そのための電力消費がゼロであることから、放熱回路部品を備えた各種電子機器には好適なものであり、その汎用性は高いものがある。
【符号の説明】
【0103】
1 電子装置
2 筐体(装置本体)
2A 前面板
2B 後面板
3,3A,3B, 電子回路基板
3B乃至3B 小幅回路基板
4 マザーボード
5A,5A,5A,5B,5B乃至5B コネクタ
11,12 外側直立スロットガイド
11B,12B,21B乃至26B ガイド部材
21,22,23,24,25,26 内側直立スロットガイド
41,42 端部係止部材
103a 放熱回路部品
H1 上部排気口
K,K1,K2 下部吸気口
P 下段用通気領域(通気用空間)
TK 排気用通気領域(通気用空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9