【解決手段】配線が埋め込まれたフレキシブル基板であって、高分子材料によって構成されたフレキシブル基板、および複数の孔を含み、前記フレキシブル基板に埋め込まれ、前記高分子材料が前記孔を充填する連続した配線パターンを含む配線が埋め込まれたフレキシブル基板。
表面処理プロセスを前記連続した配線パターンが埋め込まれたフレキシブル基板に行うステップを更に含む請求項8に記載の配線が埋め込まれたフレキシブル基板を製造する方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の発明を実施するための形態では、説明のために、多数の特定の詳細が本実施形態の完全な理解を提供するために述べられる。しかしながら、1つ以上の実施形態では、これらの特定の詳細なしに行い得ることは明らかである。もう1つの例では、従来公知の構造および装置は、図を簡素化するために概略的に示されている。
【0010】
図1を参照に、本実施形態に係る、配線が埋め込まれたフレキシブル基板が提供される。フレキシブル基板10は、フレキシブル基板12と連続した配線パターン14を含む配線が埋め込まれている。フレキシブル基板12は、高分子材料12’によって構成される。連続した配線パターン14は、フレキシブル基板12に埋め込まれた複数の孔16を含む。高分子材料12’は、孔16を充填する。
【0011】
高分子材料12’は、ポリイミド(PI)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。
【0012】
配線パターン14は、銀、銅、ニッケル、またはその合金を含むことができる。配線パターン14は、約1.6×10
−6Ω・cm〜約10×10
−6Ω・cmの抵抗率を有する。
【0013】
連続した配線パターン14に含まれた孔16は、約10nm〜約100μmの大きさを有する。
【0014】
この実施形態では、連続した配線パターン14は、
図1に示されるように、フレキシブル基板12内の領域に埋め込まれる。
【0015】
図2を参照に、本発明のもう1つの実施形態に従って配線が埋め込まれたフレキシブル基板が提供される。配線が埋め込まれたフレキシブル基板100は、フレキシブル基板120と連続した配線パターン140を含む。フレキシブル基板120は、高分子材料120’によって構成される。連続した配線パターン140は、フレキシブル基板120に埋め込まれた複数の孔160を含む。高分子材料120’は、孔160を充填する。
【0016】
高分子材料120’は、ポリイミド(PI)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。
【0017】
配線パターン140は、銀、銅、ニッケル、またはその合金を含むことができる。配線パターン140は、約1.6×10
−6Ω・cm〜約10×10
−6Ω・cmの抵抗率を有する。
【0018】
連続した配線パターン140に含まれた孔160は、約10nm〜約100μmの大きさを有する。
【0019】
この実施形態では、連続した配線パターン140は、
図2に示されるように、フレキシブル基板120の表面近傍に埋め込まれる。
【0020】
図3A〜
図3Cを参照に、本実施形態に係る、配線が埋め込まれたフレキシブル基板を製造する方法が提供される。まず、
図3Aに示されるように、キャリア18が提供される。キャリア18は、ガラスまたは金属を含むことができる。
【0021】
次いで、連続した配線パターン140は、キャリア18に形成される。連続した配線パターン14は、複数の孔(図示されていない)を含む。この実施形態では、複数の孔を含む連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップは、例えば、スクリーン印刷プロセスを用いて連続した配線パターン14をキャリア18上に形成することができる。次いで、約250℃〜約300℃の焼結温度で連続した配線パターン14に対して焼結プロセスを行い、複数の孔を含む連続した配線パターン14を形成する。配線パターン14は、例えば、銀、銅、ニッケル、またはその合金を含むことができる。配線パターン14は、約1.6×10
−6Ω・cm〜約10×10
−6Ω・cmの抵抗率を有する。また、連続した配線パターン14に含まれた孔は、約10nm〜約100μmの大きさを有する。
【0022】
1つの実施形態では、連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップは、約80%〜85%の固形分を有する金属接着剤(図示されていない)を提供するステップ、金属接着剤の連続したパターン14をキャリア18上に形成するステップ、およびキャリア18に対して焼結プロセスを行うステップを含む。焼結プロセスは、約300℃〜約350℃の焼結温度と約30分〜約40分の焼結時間を有する。
【0023】
次いで、高分子材料12’は、例えばコーティングプロセスを用いて連続した配線パターン14とキャリア18をカバーし、高分子材料12’が孔(図示されていない)に充填される。高分子材料12’は、ポリイミド(PI)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。
【0024】
1つの実施形態では、連続した配線パターン14とキャリア18上に高分子材料12’をカバーするステップは、約5%〜30%の固形分を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)(図示されていない)を提供するステップ、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)層12’を連続した配線パターン14とキャリア18上に形成するステップ、およびキャリア18に対して焼成プロセスを行うステップを含む。焼成プロセスは、約50℃〜約180℃の焼結温度と約10分〜約30分の焼成時間を有する。
【0025】
もう1つの実施形態では、連続した配線パターン14とキャリア18上に高分子材料12’をカバーするステップは、約5%〜40%の固形分を有するポリイミド(PI)(図示されていない)を提供するステップ、ポリイミド(PI)層12’を連続した配線パターン14とキャリア18上に形成するステップ、およびキャリア18に対して焼成プロセスを行うステップを含む。焼成プロセスは、約50℃〜約210℃の焼結温度と約30分〜約60分の焼成時間を有する。
【0026】
次いで、高分子材料12’とキャリア18は、例えば、切断プロセスを用いて分割され、連続した配線パターン14が埋め込まれたフレキシブル基板12を形成する。
【0027】
この実施形態では、
図3Cに示されるように、連続した配線パターン14は、フレキシブル基板12内の領域に埋め込まれる。
【0028】
図4A〜4Dを参照に、本発明の1つの実施形態に従って配線が埋め込まれたフレキシブル基板を形成する方法が提供される。まず、
図4Aに示されるように、キャリア180が提供される。キャリア180は、ガラスまたは金属を含むことができる。
【0029】
次いで、連続した配線パターン140は、キャリア180に形成される。連続した配線パターン140は、複数の孔(図示されていない)を含む。この実施形態では、複数の孔を含む連続した配線パターン140をキャリア180上に形成するステップは、例えば、スクリーン印刷プロセスを用いて連続した配線パターン140をキャリア180上に形成することができる。次いで、約250℃〜約300℃の焼結温度で連続した配線パターン140に対して焼結プロセスを行い、複数の孔を含む連続した配線パターン140を形成する。配線パターン140は、例えば、銀、銅、ニッケル、またはその合金を含むことができる。配線パターン140は、約1.6×10
−6Ω・cm〜約10×10
−6Ω・cmの抵抗率を有する。連続した配線パターン14に含まれた孔は、約10nm〜約100μmの大きさを有する。
【0030】
次いで、高分子材料120は、例えばコーティングプロセスを用いて連続した配線パターン140とキャリア180をカバーし、高分子材料120’が孔(図示されていない)に充填される。高分子材料120’は、ポリイミド(PI)またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことができる。
【0031】
次いで、高分子材料120’とキャリア180は、例えば、切断プロセスを用いて分割され、連続した配線パターン140が埋め込まれたフレキシブル基板120を形成する。
【0032】
次いで、例えば、プラズマプロセスなどの表面処理プロセス200が連続した配線パターン140が埋め込まれたフレキシブル基板120に行われ、連続した配線パターン140を露出する。
【0033】
この実施形態では、連続した配線パターン140は、
図4Dに示されるように、フレキシブル基板120の表面近傍の領域に埋め込まれる。
【0034】
本発明では、フレキシブル基板に金属線を埋め込むことができるフルプリンティング(full−printing)基板構造設計が開発されて、現在の基板と配線との信頼性と接着強度が乏しい問題を解決する。この製造手順の簡易化は、最適な利点を提供し、フレキシブル電子、フレキシブルプリント回路、LEDなどの関連産業に広く用いられている。本発明では、金属線が埋め込まれたフレキシブル基板構造は、金属線とキャリアとの接着強度が乏しいことを示しているが、用いられる高分子材料がコーティングされて成型された後、高分子材料と金属線は、キャリアから容易に取り下ろされて、金属線がはめ込まれた高分子材料を形成することができる。これは、構造の高い耐屈曲性、および基板と配線との高い接着強度を有するため、配線が基板から剥離し難くなる。
【0035】
上述のフレキシブル基板構造では、高分子材料は、配線の孔を充填して浸透するため、金属線は、高分子材料によって効果的にコーティングされ、金属線が高分子基板内に埋め込まれるか、または高分子基板の表面近傍に埋め込まれ、金属線に耐熱性、耐半田性、耐屈曲性、薄化、および高電子伝導性(rapid electronic conduction)などの特性を持たせる。また、本発明によって開発された新しいフレキシブル基板導体回路構造は、超薄型高分子基板と回路の形成に用いられることができ、全体の集積(integration)の薄化を達成し、例えば、フレキシブルLEDパッケージ基板、タッチパネル、ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイに効果的に用いられている。また、この構造は、高出力電子チップの接着、およびパッケージングと電子回路の薄化にも用いられることができる。
【0038】
配線が埋め込まれたフレキシブル基板の準備(1)およびその特性の分析
【0039】
図3A〜3Cを参照すると、まず、
図3Aに示されるように、キャリア18が提供される。キャリア18は、ガラスで構成される。
【0040】
次いで、連続した配線パターン14がキャリア18上に形成される。連続した配線パターン14は、複数の孔(図示されていない)を含む。この実施例では、複数の孔を含む連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップは、C
11H
23OOAg(8g)をキシレン(xylene)(16ml)に溶かし、溶液を形成するステップ、その溶液を100nm〜300nm(40g)の大きさを有する球状金属銀粉末と混合し、85%の固形分を有する導電銀接着剤(100,000cpの粘度を有する)を準備するステップ、スクリーン印刷プロセス(メッシュ:325)を用いて、連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップ、および約300℃の焼結温度で連続した配線パターン14に対して約30分間、焼結プロセスを行い、複数の孔を含む連続した配線パターン14を形成するステップを含む。連続した配線パターン14に含まれた孔は、10nm〜100μmの大きさを有する。
【0041】
次いで、高分子材料12’は、コーティングプロセスを用いて連続した配線パターン14とキャリア18をカバーし、高分子材料12’が孔(図示されていない)に充填される。この実施例では、連続した配線パターン14とキャリア18上に高分子材料12’をカバーするステップは、300μmスクレーパを用いて、約20%の固形分を有するポリイミド(PI)溶液(24mlのジメチルアセトアミドに6gのPIを溶かし、溶液を形成する)を、連続した配線パターン14とキャリア18にコーティングし、ポリイミド(PI)膜を形成するステップ、およびポリイミド(PI)膜に対して焼成プロセスを行い、透明なポリイミド(PI)薄膜を得る。焼成プロセスでは、ポリイミド(PI)膜は、50℃で30分間、140℃で30分間と、210℃で60分間、焼成される。
【0042】
次いで、高分子材料12’とキャリア18は、切断プロセスを用いて分割され、連続した配線パターン14が埋め込まれたフレキシブル基板12を形成する。切断プロセスは、簡単な機械の切断プロセスである。
【0043】
この実施形態では、
図3Cに示されるように、連続した配線パターン14は、フレキシブル基板12内の領域に埋め込まれる。
【0044】
次いで、この実施例で準備された配線が埋め込まれたフレキシブル基板の特性(フレキシブル基板と配線との接着強度、配線の抵抗率)が分析され、その曲げ試験とはんだ耐久試験も行われる。その結果は、表1に示される。
【0046】
配線が埋め込まれたフレキシブル基板の準備(2)およびその特性の分析
【0047】
図3A〜3Cを参照すると、まず、
図3Aに示されるように、キャリア18が提供される。キャリア18は、ステンレス鋼で構成される。
【0048】
次いで、連続した配線パターン14がキャリア18上に形成される。連続した配線パターン14は、複数の孔(図示されていない)を含む。この実施例では、複数の孔を含む連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップは、C
11H
23OOAg(8g)をキシレン(xylene)(16ml)に溶かし、溶液を形成するステップ、その溶液を100nm〜300nm(40g)の大きさを有する球状金属銀粉末と混合し、85%の固形分を有する導電銀接着剤(100,000cpの粘度を有する)を準備するステップ、スクリーン印刷プロセス(メッシュ:325)を用いて、連続した配線パターン14をキャリア18上に形成するステップ、および約300℃の焼結温度で連続した配線パターン14に対して約30分間、焼結プロセスを行い、複数の孔を含む連続した配線パターン14を形成するステップを含む。連続した配線パターン14に含まれた孔は、10nm〜100μmの大きさを有する。
【0049】
次いで、高分子材料12’は、コーティングプロセスを用いて連続した配線パターン14とキャリア18をカバーし、高分子材料12’が孔(図示されていない)に充填される。この実施例では、連続した配線パターン14とキャリア18上に高分子材料12’をカバーするステップは、500μmスクレーパを用いて、約15%の固形分を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)溶液(34mlのジメチルアセトアミドに6gのPVDFを溶かし、溶液を形成する)を、連続した配線パターン14とキャリア18にコーティングし、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜を形成するステップ、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に対して焼成プロセスを行い、透明なポリフッ化ビニリデン(PVDF)薄膜を得る。焼成プロセスでは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜は、80℃で10分間と、180℃で30分間、焼成される。
【0050】
次いで、高分子材料12’とキャリア18は、切断プロセスを用いて分割され、連続した配線パターン14が埋め込まれたフレキシブル基板12を形成する。切断プロセスは、簡単な機械の切断プロセスである。
【0051】
この実施形態では、
図3Cに示されるように、連続した配線パターン14は、フレキシブル基板12内の領域に埋め込まれる。
【0052】
次いで、この実施例で準備された配線が埋め込まれたフレキシブル基板の特性(フレキシブル基板と配線との接着強度、配線の抵抗率)が分析され、その曲げ試験とはんだ耐久試験も行われる。その結果は、表1に示される。
【0054】
配線が埋め込まれたフレキシブル基板の準備(3)およびその特性の分析
【0055】
図4A〜4Dを参照すると、まず、
図4Aに示されるように、キャリア180が提供される。キャリア180は、ガラスで構成される。
【0056】
次いで、連続した配線パターン140がキャリア180上に形成される。連続した配線パターン140は、複数の孔(図示されていない)を含む。この実施例では、複数の孔を含む連続した配線パターン140をキャリア180上に形成するステップは、C
11H
23OOAg(8g)をキシレン(xylene)(16ml)に溶かし、溶液を形成するステップ、その溶液を100nm〜300nm(40g)の大きさを有する球状金属銀粉末と混合し、85%の固形分を有する導電銀接着剤(100,000cpの粘度を有する)を準備するステップ、スクリーン印刷プロセス(メッシュ:325)を用いて、連続した配線パターン140をキャリア180上に形成するステップ、および約300℃の焼結温度で連続した配線パターン140に対して約30分間、焼結プロセスを行い、複数の孔を含む連続した配線パターン140を形成するステップを含む。連続した配線パターン140に含まれた孔は、10nm〜100μmの大きさを有する。
【0057】
次いで、高分子材料120’は、コーティングプロセスを用いて連続した配線パターン140とキャリア180をカバーし、高分子材料120’が孔(図示されていない)に充填される。この実施例では、連続した配線パターン140とキャリア180上に高分子材料120’をカバーするステップは、500μmスクレーパを用いて、約20%の固形分を有するポリイミド(PI)溶液(24mlのジメチルアセトアミドに6gのPIを溶かし、溶液を形成する)を、連続した配線パターン140とキャリア180にコーティングし、ポリイミド(PI)膜を形成するステップ、およびポリイミド(PI)膜に対して焼成プロセスを行い、透明なポリイミド(PI)薄膜を得る。焼成プロセスでは、ポリイミド(PI)膜は、50℃で30分間、140℃で30分間と、210℃で60分間、焼成される。
【0058】
次いで、高分子材料120’とキャリア180は、切断プロセスを用いて分割され、連続した配線パターン140が埋め込まれたフレキシブル基板120を形成する。切断プロセスは、簡単な機械の切断プロセスである。
【0059】
次いで、表面処理プロセス200が連続した配線パターン140が埋め込まれたフレキシブル基板120に行われ、連続した配線パターン140を露出する。表面処理プロセス200は、プラズマプロセスである。
【0060】
この実施形態では、
図4Dに示されるように、連続した配線パターン140は、フレキシブル基板120の表面近傍の領域に埋め込まれる。
【0061】
次いで、この実施例で準備された配線が埋め込まれたフレキシブル基板の特性(フレキシブル基板と配線との接着強度、配線の抵抗率)が分析され、その曲げ試験とはんだ耐久試験も行われる。その結果は、表1に示される。
【0063】
従来のフレキシブル基板上に配線が形成されたフレキシブル基板の準備(3)およびその特性の分析
【0064】
まず、基板が提供される。基板は、ポリイミド(PI)を含む。
【0065】
次いで、配線パターンが基板上に形成される。この実施例では、配線パターンを基板上に形成するステップは、C
11H
23OOAgをキシレンに溶かし、溶液を形成するステップ、その溶液を100nm〜300nmの大きさを有する球状金属銀粉末と混合し、85%の固形分を有する導電銀接着剤を準備するステップ、およびスクリーン印刷プロセス(メッシュ:325)を用いて、配線パターンを基板上に形成するステップを含む。
【0066】
次いで、この実施例で準備された、フレキシブル基板上に配線が形成されたフレキシブル基板の特性(フレキシブル基板と配線との接着強度、配線の抵抗率)が分析され、その曲げ試験とはんだ耐久試験も行われる。その結果は、表1に示される。
【表1】
【0067】
以上、実施例を示して本発明を説明しているが、当業者は、本発明の思想と技術的範囲から逸脱しない種々の修正及び変更を行い得る。実施形態および実施例は、例示的なものであるに過ぎず、本発明の範囲は、以下の請求項及びその均等のものによって規定されて保護される。