特開2015-162946(P2015-162946A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日東工業株式会社の特許一覧 ▶ 学校法人 名古屋電気学園の特許一覧

<>
  • 特開2015162946-直流電路における異常検出装置 図000003
  • 特開2015162946-直流電路における異常検出装置 図000004
  • 特開2015162946-直流電路における異常検出装置 図000005
  • 特開2015162946-直流電路における異常検出装置 図000006
  • 特開2015162946-直流電路における異常検出装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-162946(P2015-162946A)
(43)【公開日】2015年9月7日
(54)【発明の名称】直流電路における異常検出装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20150811BHJP
   H02H 3/087 20060101ALI20150811BHJP
   G01R 31/02 20060101ALI20150811BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20150811BHJP
【FI】
   H02H3/08 T
   H02H3/087
   G01R31/02
   G01R19/165 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-36187(P2014-36187)
(22)【出願日】2014年2月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304000836
【氏名又は名称】学校法人 名古屋電気学園
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】安藤 健志
(72)【発明者】
【氏名】雪田 和人
【テーマコード(参考)】
2G014
2G035
5G004
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AB02
2G014AB33
2G014AC16
2G035AB13
2G035AC15
2G035AD10
2G035AD18
2G035AD20
2G035AD23
2G035AD44
2G035AD66
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA05
5G004DA01
5G004DA05
5G004DC10
5G004FA01
(57)【要約】
【課題】直流電路において発生する直流アーク放電を簡単にかつ的確に検出することができる異常検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の異常検出装置は、検出部7と判定部5とを備えている。判定部5は太陽光発電システムの出力を取り出す直流電路3を貫通させて設けられ、アーク放電により直流電路に発生する高周波を交番磁界として検出し、電圧信号に変換する。判定部5は、電圧信号が所定電位を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定し、リレー4が直流電路3を開路する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電路を貫通させて設けられ、アーク放電により直流電路に発生する高周波を交番磁界として検出し、電圧信号に変換する検出部と、この電圧信号が所定電位を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定する判定部と、判定部がアーク放電発生と判定したときに直流電路を開路する開閉手段とからなることを特徴とする直流電路における異常検出装置。
【請求項2】
検出部が、交番磁界を電圧信号に変換する手段としてコイルを備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の直流電路における異常検出装置。
【請求項3】
検出部が、交番磁界を電圧信号に変換する手段としてホール素子を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の直流電路における異常検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電路における異常検出装置に関するものであり、特に断線や接触不良等の異常に伴なって発生する直流アーク放電を的確に検出することができる太陽光発電システム等の直流電路における異常検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、多数の太陽電池からなる太陽光発電システム等の直流電路においては、太陽電池自体の劣化や配線の損傷などの様々な原因によって、断線や接触不良が発生する可能性がある。商用電源に接続される一般的な機器は交流回路であるから、断線や接触不良等によりアーク放電が発生しても電圧がゼロとなった瞬間にアーク放電は遮断され易い。しかし太陽光発電システムは直流回路であり日射等が変化しない限り電圧がゼロとなることはない。従って断線や接触不良等によりアーク放電が生じた場合には、アーク放電が遮断されにくく放電が継続するおそれがある。このため、アーク放電発生を的確に検出して電路をオフとすることが望まれる。
【0003】
そこで特許文献1に示されるように、太陽電池から出力される電流と電圧を測定し、出力電流が基準値を超え、かつ出力電圧が基準電圧未満であるときに短絡と判定する異常検出装置が提案されている。
【0004】
しかし、太陽光発電システムにおいては、断線や接触不良等によりアーク放電が発生した場合の出力電圧及び出力電流の変化はこれよりも小さいため、太陽光発電システムにおけるアーク放電を的確に検出することは容易ではなかった。
【0005】
このため、太陽電池の出力をスペクトル解析することによって直流アーク放電を検出することも行われている。しかしスペクトル解析を行なうためには高度な解析装置が必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−182279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って本発明の目的は上記した従来の問題点を解決し、直流電路において断線や接触不良等の異常に伴なって発生する直流アーク放電を簡単にかつ的確に検出することができる直流電路における異常検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、直流電路を貫通させて設けられ、アーク放電により直流電路に発生する高周波を交番磁界として検出し、電圧信号に変換する検出部と、この電圧信号が所定電位を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定する判定部と、判定部がアーク放電発生と判定したときに直流電路を開路する開閉手段とからなることを特徴とするものである。
【0009】
なお請求項2に記載したように、検出部が交番磁界を電圧信号に変換する手段としてコイルを備えたもの、あるいは請求項3に記載したように、ホール素子を備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アーク放電により直流電路に発生する高周波を交番磁界として検出して電圧信号に変換し、その電圧信号が所定電位を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定して直流電路を開路する。これにより従来のようなスペクトル解析装置を用いることなく、直流アーク放電の発生を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の要部を模式的に示した回路図である。
図2】第1の実施形態におけるアーク放電の検出部と判定部とを示す回路図である。
図3】アーク放電発生時における直流回路の電流と電圧を示すグラフである。
図4】第2の実施形態におけるアーク放電の検出部と判定部とを示す回路図である。
図5】ホール素子の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を太陽光発電システムの直流電路にて説明する。
図1は本発明の要部を模式的に示した回路図であり、1は太陽電池、2は負荷、3は太陽電池1によって発生した電力を負荷2に供給する直流電路である。ここに示した負荷2は概念的なものであり、商用電力系統への給電を行なう場合には商用電力系統への給電設備が負荷2となる。
【0013】
直流電路3には開閉手段としてリレー4が配置されており、判定部5からの制御信号により直流電路を開路することができる。また直流電路3には判定部を駆動する電源6とアーク放電の検出部7とが設けられており、検出結果は判定部5に入力されている。
【0014】
図2は第1の実施形態における検出部7と判定部5とを示す図である。検出部7は直流電路3がその内部を貫通するように配置された磁気コア8と、磁気コア8に巻かれたコイル9とからなる。磁気コア8は分割可能なクランプ式とし、既設の直流電路3にも容易に取り付けられるようにしておくことが好ましい。
【0015】
図3に示すように、アーク放電発生時には直流電路3に高周波が重畳するため、この高周波を磁気コア8が交番磁界として検出し、コイル9が磁気コア8の交番磁界を電圧信号に変換する。一方、正常時には直流電路3に交番磁界は発生しないので、コイル9の出力端子10の電圧信号は0である。出力端子10の電圧信号は判定部5の増幅回路11により増幅され、判定回路12に入力される。
【0016】
判定回路12はこの電圧信号が所定電位を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定する回路である。この実施形態では、高周波の振幅を時間で積分し、コンデンサ等からなる時延回路で電荷を蓄積する。蓄積された電荷量を基準値と比較し、基準値を超えたときにアーク放電発生と判定する。アーク放電発生と判定したとき、判定部5はリレー4に向けてトリガー信号を出力し、リレー4は直流電路3を開路する。
【0017】
上記したアーク放電に伴う高周波は太陽電池1の出力が大きい場合にも小さい場合にも発生するので、本発明によれば太陽光発電システムにおいて発生する直流アーク放電を、太陽電池1の出力の大小にかかわらず、簡単にかつ的確に検出することができる。
【0018】
図4は第2の実施形態におけるアーク放電の検出部7を示す回路図である。8は直流電路3がその内部を貫通するように配置された磁気コアであり、その一部に形成されたスリット内にホール素子13が挿入されている。ホール素子13には電源14から制御電流が通電されている。磁気コア8の磁束はホール素子13を貫通する。
【0019】
前記のとおり、アーク放電発生時には直流電路3に高周波が重畳するため、この高周波を磁気コア8が交番磁界として検出する。図5に示すように、ホール素子13は磁束に応じて電圧(ホール電圧)を発生する機能を持つ素子であるので、高周波に応じた電圧信号を判定部5に出力する。
【0020】
この電圧信号は増幅回路11により増幅され、判定回路12に入力される。判定回路12はこの電圧信号が所定の振幅を超えた状態で所定時間継続したときにアーク放電発生と判定し、第1の実施形態と同様にリレー4に向けてトリガー信号を出力し、リレー4は直流電路3を開路する。
【0021】
以上に説明したように、上記の実施形態によれば従来のようなスペクトル解析装置を用いることなく、また太陽電池の出力変動に影響されることなく、太陽光発電システムに発生する直流アーク放電を簡単にかつ的確に検出し、直流電路を開路することができる。なお、本発明の直流電路における異常検出装置は太陽光発電システムに限定されず、例えばバッテリーを用いた直流電路、LED照明の直流電路、または車両用充電装置の直流給電回路に用いたものであってもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 太陽電池
2 負荷
3 直流電路
4 リレー
5 判定部
6 電源
7 検出部
8 磁気コア
9 コイル
10 出力端子
11 増幅回路
12 判定回路
13 ホール素子
14 電源
図1
図2
図4
図5
図3