【課題を解決するための手段】
【0020】
よって、本発明の第1の態様は、1つの単独の多重遺伝子ファミリーからの少なくとも2つの抗原に対する細胞傷害性応答を誘発できるHLA-B
*0702拘束性ペプチドを同定するための方法であって、少なくとも以下の:
(i) 上記の多重遺伝子ファミリーの遺伝子中で、2位にPと3位にR、K、HおよびMからなる群より選択されるアミノ酸とを有する9または10アミノ酸のペプチドを同定するステップと、
(ii) (i)で得られた配列を整列させるステップと、
(iii) ステップ(i)で得られたペプチドの中から、少なくとも2ペプチドの群を同定するステップであって、少なくとも1つのペプチドが、上記の群のその他のペプチドのものとはその抗原性領域が最大で1残基異なるものであり、上記の抗原性領域が、9アミノ酸を有するペプチド中の4位〜8位にわたり、10アミノ酸を有するペプチドの4位〜9位にわたる、該ステップと
を含む、上記方法である。
【0021】
ステップ(iii)で同定される群のその他のペプチドのものとはその抗原性領域が最大で1残基異なるペプチドは、本明細書において、以下、「必須共有ペプチド」という。このようなペプチドは、上記の多重遺伝子ファミリーからの少なくとも2つの抗原に対する細胞傷害性応答を誘発する。
【0022】
上記の方法の好ましい実施形態によると、方法は、上記の多重遺伝子ファミリーからの少なくとも3、4、5、6、7またはそれより多くの抗原に対する細胞傷害性応答を誘発できるHLA-B
*0702拘束性ペプチドの同定を可能にする。これは、ステップ(iii)で選択されたペプチドの群が、それぞれ上記の多重遺伝子ファミリーの少なくとも3、4、5、6、7またはそれより多い遺伝子からのペプチドを含む場合である。
【0023】
上記の方法の特定の実施形態において、ステップ(iii)で選択されたペプチドの群は、異なる抗原性領域を有する少なくとも2つのペプチドを含む。この場合、以下の実施例に示すように、これらのペプチドの少なくとも2つは、それらの抗原性領域において1つであって1つだけの違いを示す。
【0024】
好ましい実施形態において、方法は、選択された必須共有ペプチドの免疫原性を測定するステップ(iv)をさらに含む。このステップは、適当なモデル、すなわちHLA-B
*0702を発現する個体におけるペプチドの免疫原性を予測するモデルにおいてインビボで好ましく行われる。このような適当なモデルの例は、実施例部分に記載され、HLA-B
*0702トランスジェニックマウスからなる。このモデルにおいて、選択されたペプチドの免疫原性は、マウスにワクチン接種し、特異的CTLが作製されたかについて、HLA-B
*0702を発現し、かつペプチドが装填されたヒト細胞を標的細胞として用いることにより試験することにより測定される。以下において、ワクチン接種されたマウスが、試験されたペプチドに対する特異的免疫応答を発生しない場合は、ペプチドは非免疫原性エピトープとみなす。全てではないがいくらかのマウスが、試験されたペプチドに対する特異的免疫応答を生じるならば、ペプチドは免疫原性であるとみなすが、その免疫原性をさらに改良することが有利であり得る。
【0025】
選択された必須共有ペプチドが非免疫原性であるか、またはその免疫原性が増進されなければならない場合、上記の方法は、その免疫原性を、WO2008/010098に記載される方法により増強させるステップをさらに含む。特に、選択された必須共有ペプチドが非免疫原性であり、そのN末端にP以外の任意のアミノ酸を有するならば(特に、該潜在性エピトープの最初の3残基がAPRまたはAPKまたはAPHまたはAPMであるならば)、ステップ(v)は、上記のエピトープのC末端残基をロイシンで置換することからなる。選択された必須共有ペプチドが非免疫原性であり、そのC末端にL、A、I、V、M、CまたはT(特にL、A、I、VまたはM)から選択されるアミノ酸を有する場合、ステップ(v)は、上記のエピトープのN末端残基をアラニンで置換することにより行うことができる。もちろん、この方法において、「置換する」との用語は、ペプチドを得るために用いる技法にかかわらず、その配列が、言及される置換による上記のHLA-B
*0702拘束性潜在性エピトープの配列に由来するペプチドを得ることとして理解される。例えば、ペプチドは、人工的ペプチド合成または組換え発現により生成できる。
【0026】
本発明による方法は、いずれの既知の多重遺伝子ファミリー、例えばMAGE-A、HER、BAGEまたはGAGEファミリーの複数のメンバーに対する免疫原性応答を誘発できるエピトープを同定するために行うことができる。好ましい実施形態において、以下の実施例部分に示すように、上記の多重遺伝子ファミリーは、MAGE-Aファミリーである。
【0027】
本発明の別の態様は、上記の方法により同定された単離されたペプチドであって、該選択されたペプチドが、MPKTGFLII (配列番号2)、MPKTGLLII (配列番号3)、FPKTGLLII(配列番号4)、VPKTGLLII (配列番号5)、MPKAGLLII (配列番号6)、MPKTGILIL (配列番号7)、MPKTGFLIIV (配列番号8)、MPKTGFLIII (配列番号9)、MPKTGLLIIV (配列番号10)、FPKTGLLIIV(配列番号11)、VPKTGLLIIV (配列番号12)、MPKAGLLIIV (配列番号13)、MPKTGILILI (配列番号14)、GPRALAETS (配列番号15)、GPRALIETS(配列番号16)、GPRALVETS (配列番号17)、GPRALAETSY (配列番号18)、GPRALIETSY (配列番号19)、GPRALVETSY (配列番号20)、EPRKLLTQD(配列番号21)、HPRKLLTQD(配列番号22)、DPKKLLTQH (配列番号23)、DPKKLLTQY (配列番号24)、HPKKLLMQD (配列番号25)、EPRKLLTQDL (配列番号26)、EPRKLLTQDW(配列番号27)、HPRKLLTQDL (配列番号28)、HPKKLLMQDL (配列番号29)、DPKKLLTQHF (配列番号30)、DPKKLLTQYF (配列番号31)からなる群より選択されるペプチドである。
【0028】
もちろん、本文において、「単離されたペプチド」との用語は、狭く解釈されない。反対に、この用語は、アミノ酸残基(LまたはD立体配置にある)がペプチド(-CO-NH-)結合により連結された分子だけでなく、ペプチド結合が改変されて、特にタンパク質分解に対してより耐性を有するようになった合成偽ペプチドもしくはペプチド模倣物であって、それらの免疫原性がこの改変により損なわれないものも指す。
【0029】
上記のリストのエピトープに由来する免疫原性最適化ペプチドも、本発明の一部である。以下において、「最適化ペプチド」または「最適化免疫原性HLA-B
*0702拘束性エピトープ」との表現は、上記のおよびWO2008/010098に記載される方法によりHLA-B*0702拘束性エピトープ(その「同族天然ペプチド」とよばれる)から導かれる免疫原性ペプチドを指す。本発明による最適化ペプチドは、以下の表1に開示される配列番号32〜67のペプチドである。
【0030】
【表1】
【0031】
多重特異性腫瘍ワクチン接種は、単独特異性ワクチン接種よりも腫瘍細胞をより広く制御することを可能にし、そのことにより、免疫エスケープバリアントの出現の危険性を低減する。多くの場合、免疫療法は、よって、いくつかのエピトープを標的にする方が、1つだけのエピトープを標的にする場合よりも効果的である(但し、腫瘍が全ての標的にされる抗原を発現することがわかっていることを条件とする)。本発明者らは、3つの異なるユニバーサル腫瘍抗原に由来するHLA-A
*0201拘束性最適化潜在性ペプチド(TERT
988Y、HER-2/neu
402YおよびMAGE-A
248V9)からなる、Vx-006と命名されたポリペプチドについて以前に記載した(WO2007/073768)。Vx-006は、HLA-A
*0201トランスジェニックHHDマウスにおいてインビボでおよびヒトにおいてインビトロでの両方で、多重特異性CD8細胞応答を誘導できるが、TERT
988Yペプチド、HER-2/neu
402YペプチドおよびMAGE-A
248V9ペプチドの混合物は、3重特異性応答を誘導できなかった。よって、いくつかのエピトープを含むキメラポリペプチドは、1より多いエピトープに対する応答を誘発するために、同じエピトープの単なる混合物よりも効果的であり得る。状況に応じて、1つの単独エピトープの反復を含むキメラポリペプチドも、上記のエピトープからなるペプチドよりも、該エピトープに対するより強い応答を誘発できる。実際に、ポリペプチドの組織化(いくつかの異なるエピトープを有するかまたは1つの単独エピトープの反復を有する)は、標的にされたペプチド特異的免疫応答を最適化できる新しい接合エピトープ、特にCD4拘束性エピトープを生成できる。さらに、遊離のペプチドが皮下注射される場合、ペプチドは、注射部位に存在する全ての細胞のMHC分子と直接結合する。ポリペプチドはプロセシングされることが必要であるので、ポリペプチドを用いるワクチン接種は、抗原性ペプチドが、樹状細胞のような専門の抗原提示細胞(APC)を標的にするようにするためにより効果的である。
【0032】
本発明のさらなる態様は、よって、上記の1、2、3またはそれより多いHLA-B
*0702拘束性エピトープを含むキメラポリペプチドである。特に、本発明によるキメラポリペプチドは、上記の1、2、3もしくはそれより多いHLA-B
*0702拘束性エピトープ、または配列番号32〜67から選択される1、2、3もしくはそれより多い免疫原性最適化HLA-B
*0702拘束性エピトープを含むことができる。もちろん、最適化HLA-B
*0702拘束性エピトープは、キメラポリペプチドにおいて、免疫原性エピトープとして同定されている天然のHLA-B
*0702拘束性エピトープと組み合わせることもできる。本発明によるキメラポリペプチドにおいて、エピトープは互いに異なることができ、かつ/または同じエピトープが複数回反復できる。
【0033】
同じHLA分子について特異的ないくつかのエピトープを、混合物またはキメラポリペプチドとして一緒に用いる場合、エピトープは、対応するHLA分子との結合について競合することが注目される。反対に、異なるHLA拘束性エピトープ(HLA-A
*0201、HLA-A
*2402、HLA-B
*0702またはその他)の混合物、またはそれらと同じ異なるHLA拘束性エピトープを含むキメラポリペプチドを用いることにより、HLA結合についての競合がなく、全てのHLA分子がワクチン接種された個体において発現することを条件として、多重特異性応答が確実に得られる。
【0034】
本発明によるキメラポリペプチドにおいて、上記のHLA-B
*0702拘束性潜在性または免疫原性(天然または最適化)エピトープは、よって、以前に記載されたHLA-A
*0201 (WO02/02716)および/もしくはHLA-B
*0702ペプチド(WO2008/010010およびWO 2008/010098)、ならびに/または以下の表2に開示されるHLA-A
*2402ペプチド、ならびに/またはCEA、PRAME、チロシナーゼ、TRAG-3、NY-Eso-1、P53、Muc-1、PSA/PSMA、サバイビン、Melan-A/MART-1、TRP-1、TRP-2、WT1、EphA1、EphA2、EphA3、EphA4、G250/MN/CAIX、STEAP、アルファフェトプロテイン、RAGE-1、PAGE-1を含む以前に記載された腫瘍関連抗原に由来する免疫原性エピトープと関連させることが有利である。もちろん、少なくとも、本発明によるペプチドと1つの異なるHLA拘束性エピトープ(HLA-A
*0201、HLA-A
*2402、HLA-B
*0702またはその他)を含む多重アレルペプチド混合物も、本発明の一部である。
【0035】
HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープと有利に組み合わせることができるエピトープ(混合物またはキメラポリペプチドにおいて)の例、および(天然または最適化)免疫原性HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープと有利に組み合わせることができる最適化免疫原性エピトープの例を、以下の表2に記載する。もちろん、これらのリストは、限定的でない。
【0036】
【表2-1】
【0037】
【表2-2】
【0038】
当業者は、このようなポリペプチドを生成するために任意の既知の技術を選択できる。例えば、ポリペプチドは、化学合成により、または遺伝子工学の技術を用いることにより得ることができる(Veldersら、2001)。
【0039】
本発明の別の目的は、潜在性HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープ、または免疫原性HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープ(天然もしくは最適化のいずれか)、または上記のキメラポリペプチドの発現を引き起こすように設計された単離された核酸分子である。ペプチドの「発現を引き起こすように設計された」により、本明細書において、核酸が適当な細胞に導入された場合に、上記のペプチドがそのまま、その配列が選択された(そして適当な場合には、上記のように最適化された)抗原全体から単離されて発現されることを意味する。エピトープまたはキメラポリペプチドをコードする領域は、典型的には、ポリヌクレオチド中の適切なプロモーターの制御下にある。細菌プロモーターが細菌での発現のために好ましく、これは、インビトロまたは特定の状況においてインビボでポリペプチドを生成できる。本発明によるペプチドまたはポリペプチドをインビボで直接生成するために用いることができる細菌の例は、リステリア・モノシトゲネス(Listeria monocytogenes)であり、これは、能動的食作用により専門の抗原提示細胞に侵入する通性細胞内細菌である(PatersonおよびMaciag、2005)。代わりに、本発明による核酸は、適当なベクターを用いて直接投与できる。この場合、組織特異的、強く構成性または内因性のプロモーターを用いてペプチド発現を制御できる。適切なベクター系は、ネイキッドDNAプラスミド、送達を増進するためのリポソーム組成物、および一過性の発現を引き起こすウイルスベクターを含む。ウイルスベクターの例は、アデノウイルスまたはワクシニアウイルスのベクター、およびヘルペスファミリー、特に非複製性の形態でのベクターである。
【0040】
本発明は、少なくとも、活性物質として、上記のHLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープ、もしくは上記の免疫原性(最適化もしくは天然)HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープ、もしくは本発明によるキメラポリペプチド、またはこれらのいずれかをコードする核酸、および/または該核酸を保持するベクターを含む医薬組成物にも関する。医薬組成物の処方は、現在の基準および技術に従う。ヒト投与を意図する医薬品は、適切な滅菌条件で調製され、ここでは、活性成分を、等張溶液または推奨される治療的使用のために適当なその他の医薬的担体と組み合わせる。適切な製剤および技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences (Maack Publishing Co、Easton PA)の最新版に全般的に記載される。
【0041】
特に、本発明によるHLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープまたはキメラポリペプチドまたは核酸は、予防的または治癒的な抗がん免疫療法のための組成物の調製のために用いることができる。ペプチドGPRALVETL (配列番号54)およびそれを含むキメラポリペプチドは、この目的のために特に適切である。
【0042】
特定の実施形態において、本発明による医薬組成物は、ワクチンである。この後者の場合において、上記の成分は、免疫応答を強化するアジュバントと組み合わせることができる。伝統的なアジュバントは、油性エマルジョン、例えば不完全フロイントアジュバントまたはMontanide、および接着性表面、例えばミョウバンを含む。特にTLRを介して樹状細胞を動員して活性化する(例えば細菌DNAまたは細菌膜由来タンパク質)か、または細胞傷害性T細胞の惹起を助けるアジュバントが、特に有用である。それ以外の点では免疫応答を高めるかまたはがん細胞のアポトーシスもしくは排除を促進するその他の因子、例えばIL-2もしくはIL-12サイトカインまたはGM-CSFも組成物に含めることができる。
【0043】
本発明の免疫原性組成物の複数回用量および/または異なる組み合わせを、別々または一緒での配給のために包装できる。各組成物または組成物の組、例えば以下に記載する部分品のキットに、免疫応答を惹起するためおよび/またはがんを治療するための組成物または組み合わせの使用に関する書面での使用説明を添付できる。
【0044】
以前の特許出願(WO2006/120038)において、本出願人は、サブドミナント/潜在性エピトープを標的にするT細胞応答の開始および維持を可能にするワクチン接種プロトコルについて記載している。WO2006/120038において報告される結果は、サブドミナント/潜在性エピトープに相当する天然ペプチドの注射と、その後の、その同族最適化ペプチドでのワクチン接種とが、該最適化ペプチドにより開始された免疫応答を維持できることを証明している。
【0045】
本発明によると、HLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープは、よって、その同族最適化ペプチドにより開始されたCTL免疫応答を維持するための医薬組成物の調製のために用いることができる。HLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープに由来する最適化免疫原性HLA-B
*0702拘束性MAGE-Aエピトープ配列を有する免疫原性ペプチドも、該HLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープに対するCTL免疫応答を開始するための医薬組成物の調製のために用いることができるが、上記の方法のステップ(iii)で選択された群の全てのエピトープに対するCTL免疫応答を開始するための医薬組成物の調製のためにも用いることができる。もちろん、ステップ(iii)で選択された群からのペプチドの混合物も、必須共有ペプチドにより開始されたCTL免疫応答を維持するために用いることができる。例えば、配列番号15〜17のペプチドの混合物は、配列番号54のペプチドにより開始されたCTL免疫応答を維持するために用いることができる。
【0046】
本発明は、腫瘍抗原またはウイルス抗原に対して患者をワクチン接種する方法であって、上記のステップ(iii)で選択された群の抗原またはエピトープの天然HLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープと同族の最適化免疫原性ペプチドを用いてワクチン接種する第1ステップと、考慮した群の上記の天然ペプチドまたはペプチドの混合物を用いてワクチン接種するその後の第2ステップとを含む方法も包含する。
【0047】
このような方法において、第1ステップおよび/または第2ステップは、単独エピトープペプチドの代わりに、上記の1、2、3もしくはそれより多い最適化または潜在性ペプチドを含むキメラポリペプチドを用いることにより行うことができる。特に、それらの抗原性領域中に最大で1つのバリアント位置を有するいくつかの潜在性エピトープを含むキメラポリペプチドを用いて、上記の潜在性エピトープの1つと同族の最適化ペプチドにより開始されたCTL免疫応答を維持できる。例えば、配列番号15〜17の配列を含むキメラポリペプチドを、配列番号54のペプチドにより開始されたCTL免疫応答を維持するために用いることができる。MAGE-A抗原の発現指向性により、上記のHLA-B
*0702拘束性エピトープが免疫原性であることが証明されるならば、同じ天然免疫原性エピトープを、両方のワクチン接種ステップにおいて用いることができる。特に、天然免疫原性MAGE-Aエピトープを、第1キメラポリペプチドまたは単独エピトープペプチドの混合物において天然潜在性エピトープと、そして第2のキメラポリペプチドまたは単独エピトープペプチドの混合物において最適化エピトープと有利に組み合わせることができる。
【0048】
本発明は、別々の製剤または容器(バイアル、チューブなど)中に:
(i) HLA-B
*0702拘束性MAGE-A天然(好ましくは潜在性)エピトープの配列を含む第1ペプチドと、
(ii) (i)に記載される天然エピトープと同族の最適化免疫原性エピトープに相当する配列を含む第2ペプチドと
を含む部分品のキットにも関する。
【0049】
本発明によるキットの部分となり得るペプチドの例は、配列番号2〜31のペプチドであり、これらは、第1ペプチドを構成でき、第2ペプチドは、上記のおよびWO2008/010098に記載される、免疫原性を増加させるための方法により上記の第1ペプチドから導かれる。本発明による好ましいキットは、配列番号54のペプチドと、別の容器中に、配列番号17または15または16のペプチド、優先的には配列番号17のペプチドとを含む。このキットの変形において、キットは、配列番号17と同じ容器または1つもしくは複数の別々の容器中に配列番号16および/または15のペプチドも含む。
【0050】
本発明による部分品のその他のキットは、少なくとも1つのキメラポリペプチドを含む。この実施形態において、キットは、少なくとも、キメラポリペプチドに含まれるエピトープの1つと同族のペプチドも含み、該同族ペプチドは、単離されているか、または別のキメラポリペプチドに含まれている。
【0051】
このようなキットのいくつかの好ましい変形が構想される。第1の実施形態において、キットは、別々の製剤で、1、2、3もしくはそれより多いHLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープを含む第1キメラポリペプチドと、その同族HLA-B
*0702拘束性MAGE-A免疫原性キメラポリペプチドに相当する第2キメラポリペプチド(このことは、これが、第1キメラポリペプチドに含まれる潜在性エピトープと同族の最適化HLA-B
*0702拘束性MAGE-A免疫原性エピトープを含むことを意味する)とを含む。第2の実施形態において、キットは、別個のHLA-B
*0702拘束性MAGE-A潜在性エピトープに相当する1、2、3またはそれより多いペプチドを含み、該ペプチドは、1つの単一製剤に混合されているか、または別々の製剤に分けられており、別々の製剤において、キメラポリペプチドは、上記の潜在性ペプチドと同族の最適化HLA-B
*0702拘束性MAGE-A免疫原性エピトープを含む。
【0052】
上記のように、多重アレル刺激(すなわち、異なるHLA分子に特異的なエピトープを用いる)を行って、多重特異性応答を有利に得ることができる。よって、本発明によるキットの好ましい実施形態は、別々の容器中に:
(i) 少なくとも、上記のHLA-B
*0702拘束性MAGE-A天然(好ましくは潜在性)エピトープと、少なくとも1つの異なるHLA拘束性天然(好ましくは潜在性)エピトープ(MAGE-Aファミリーの抗原からまたは別の抗原から)とを含む多重アレルペプチド混合物または多重アレルキメラポリペプチドと、
(ii) 少なくとも、(i)に記載されるHLA-B
*0702拘束性MAGE-A天然エピトープと同族のHLA-B
*0702拘束性MAGE-A免疫原性エピトープと、少なくとも、(i)に記載されるその他の天然エピトープと同族の別の免疫原性エピトープとを含む多重アレルペプチド混合物または多重アレルキメラポリペプチドと
を含む。
あるいは、本発明によるキットは、ペプチドまたはキメラポリペプチドの少なくとも部分の代わりに、上記のペプチドまたはキメラポリペプチドをコードする核酸を含むことができる。この場合、核酸は上記のとおりである。
【0053】
本発明によるいくつかの具体的なキットの以下の記載において、そこに含まれるペプチド(天然または最適化)のみに言及する。キメラポリペプチド(天然潜在性エピトープまたは最適化エピトープを含む)を、単独エピトープペプチドの代わりにキットに含めることができ、上記のペプチドまたはキメラポリペプチドの少なくとも部分に加えてまたはその代わりに核酸も含めることができることが理解される。
【0054】
本発明の特定の実施形態において、キットは、ワクチン接種キットであり、上記の第1(天然)および第2(同族最適化)ペプチドは、別々のワクチン接種用量(dose)中にある。好ましい実施形態において、ワクチン接種キットは、最適化ペプチドの2または3回の用量と、天然ペプチドの3、4、5または6回の用量とを含む。本発明による特定のワクチン接種キットは、6回の注射の第1連続ワクチン接種に適合され、最適化ペプチドの2または3回の用量と、天然ペプチドの4または3回の用量とを含む。長期持続性疾患の場合、この1回目のワクチン接種(primo-vaccination)の後に得られる免疫のレベルを、通常の想起(regular recalls)により維持することが好ましい。このことは、例えば、1〜6ヶ月毎に行われる注射により行うことができる。よって、天然ペプチドの少なくとも2回の用量で、40または50回までの用量を含む補足的なキットも、本発明の一部である。代わりに、ワクチン接種キットは、最適化ペプチドの2〜3回の用量と、天然ペプチドの3〜40または50回までの用量とを含むことができる。もちろん、キットに存在する上記の天然および最適化ペプチドは、上記のとおりである。
【0055】
各用量は、0.1と10 mgの間のペプチド、好ましくは1〜5mgまたは1と20 mgの間のポリペプチドを含む。好ましい実施形態において、各用量は、皮下注射のために処方される。例えば、各用量は、アジュバントとして用いるMontanide ISA51を用いて乳化された水性溶液のエマルジョンの0.3〜1.5 mlに処方できる。当業者は、Montanide ISA51の代わり(またはそれに加えて)に任意のその他のアジュバントを選択できる。特定の実施形態において、用量は、水性溶液の形態にある。代わりに、用量は、注射するための液体溶液の即時調製用の凍結乾燥ペプチドの形態にあることができる。上記のキットのその他の可能性のある成分は、投与前にペプチド組成物に加えられる1またはいくつかのアジュバントと、このキットをどのように使用するかについて記載した注意書きである。
【0056】
本発明を、以下の図面および実施例によりさらに説明する。