【解決手段】軽量の材料を採用してゴルフクラブヘッド700のブレード部702を形成する一方で、標準的な鋼材料を採用してゴルフクラブヘッドのホーゼル部704を形成してゴルフクラブヘッドの展性を維持可能にする。ブレード部を形成するのに使用された軽量の材料によって節約された重量はソールインサート706を形成するのに使用でき、これは高密度の重い材料から形成されるソールインサートを製造するのに利用されてゴルフクラブヘッドの性能を顕著に向上させるようにCGおよびMOIを改善する。多数の材料を採用するので、ゴルフクラブヘッドの性能をゴルフクラブヘッドのフィーリング特性を犠牲にすることなく増大させることができる。
上記アイアン型ゴルフクラブヘッドのフェースセンタからX軸(トウからヒールの方向に伸びる軸)に沿ってヒール方向に30mmの距離に位置し、上記打撃フェースと直角な平面として定義される分岐平面により上記ブレード部および上記ホーゼル部の分離が定義される請求項1または2のいずれかに記載のアイアン型ゴルフクラブヘッドの製造方法。
【背景技術】
【0002】
継続してゴルフクラブの性能を改善するために、ゴルフクラブ設計者は、定常的に新たな革新的な手法を探索してゴルフクラブの性能をより良くするようにしている。ゴルフクラブに取ってより良い性能を構成するものをデータベース化することは可能であるけれども、ゴルフのゲームは大変に人気があるので、ゴルフクラブ設計者は、平均的な平凡なゴルファー、すなわち、明けても暮れても完全なゴルフゲームを行っていない者に、より好ましい結果をもたらすゴルフクラブを製造するように要請される。
【0003】
平均的なゴルファーがゴルフクラブをスイングするときに、このゴルファーが反復可能なゴルフスイングをいつもは行っていないであろうと考えることは重要である。この結果、ゴルフクラブはゴルフクラブフェースの異なる位置でゴルフボールを打撃する。いうまでもなく、ゴルフクラブとゴルフボールとの間の衝突が一貫していないとどのようなゴルフクラブでも一貫した結果をもたらすことは困難である。この具体的な問題は経験およびスキルレベルの工場により減少するけれども、最も優れたゴルファーでさえときどき不可避的にスランプになることも事実である。したがって、性能の非一貫性をもたらす衝突の非一貫性の問題に対処するために、ゴルフクラブ設計者はそのような中心から外れた衝突による好ましくない減少を最小化することができるゴルフクラブヘッドに至る必要がある。米国特許第5,395,113号(Antonius)は、クラブヘッドの背面の周りに伸びる周囲ウェイトを利用した重量構造を伴うアイアン型ゴルフクラブを提供することによりこの問題に対処する初期の試みの1つの例を実現している。ゴルフクラブヘッドのMOIおよびCG位置について過剰に物理にこだわらなくても、米国特許第5,395,113号により示されるウェイトによるシフトにより、ゴルフクラブが芯からはずれて当たったときのゴルフクラブのひねりを阻止して、この非一貫性の問題に対処している。
【0004】
米国特許第7,789,772号(Sukman)は、ゴルフクラブヘッドの種々の部分の厚さを調整することにより、非一貫的な衝突による不都合な効果を最小化するための手法の他の例を実現する。より具体的には、米国特許第7,789,772号は、ヒールからトウへの輪郭に変化を有しながら前方から後方には低次の輪郭しか伴わず奇抜な重量分散を具備するアイアン型ゴルフクラブを実現するシンク部分を有するゴルフクラブヘッドを開示している。
【0005】
ゴルフクラブヘッドの性能をその種々の部分の厚さを操作して向上させる、上述した試みは、見事なものではあるけれども、ウェイト付けによる効果を倍増させる異なる密度の代替的な材料を利用することにより実現可能な性能向上を考慮することに失敗している。最近のゴルフクラブ設計者は、ゴルフクラブヘッドの性能をさらに向上させるために、種々の密度の材料を試すことにより代替的な材料を用いて達成される性能上の有益性を認識している。米国特許第6,814,674号(Clausen等)は、1つのゴルフクラブヘッドを構築するために異なる部品を一体化する、より最近の試みの1つを説明する。より具体的には、米国特許第6,814,674号は、3つの異なる部品、すなわち、周囲部材、中央部材、およびフェースプレートをすべて異なる材料から製造し、もって、依然可能であった場合に較べてより裁量的な重量を増やすことにより、ゴルフクラブヘッドのCGおよびMOIを改善することを開示している。
【0006】
種々の材料特性を伴う複数の材料を採用する最近の試みは裁量的な重量を劇的に増加させるけれども、ゴルフクラブヘッドのフィーリングを大きな犠牲をもたらす。ゴルフクラブヘッドのフィーリングは、軽量化することが困難な基準であるけれども、一般的には、ゴルフボールとの衝突時のソリッドな感じを与える能力に由来する。この種のソリッドなフィードバックは、ゴルフクラブヘッドを一体的なソリッドの構造から形成することにより実現される。なぜならば、この種の一体的なソリッドの構造のクラブの構造上の一貫性により、ゴルファーは衝突のエネルギーを一貫性のある態様で感受できるようになるからである。
【0007】
上述から明らかなように、許容性およびフィーリングの間のバランスをさらに良好に実現するゴルフクラブへの要請がある。より具体的には、ゴルフクラブヘッドの本体部分を全体として実質的に均一な材料を採用するゴルフクラブヘッドの分野において、ソリッド名ゴルフクラブに一般的に関係付けられるフィーリングを維持しつつ、それでいて、ゴルフクラブヘッドのMOIおよびCG位置を改善するのに使用できる最大限の裁量的な重量を生成することにより性能の境界をすべて押し広げることが要請されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明はこの発明を実施する最良の現時点で考えられるモードである。この説明は限定的な意味合いで理解されるべきでなく、この発明の一般的な原理を説明する目的のためのみに構成されている。この発明の範囲は添付の特許請求の範囲に最も良く定義されているからである。
【0016】
種々の発明的特徴が以下に説明され、これらの各々は他の特徴と独立して採用でき、また他の特徴と組みあわせて採用できる。しかしながら、いずれの単一の発明的特徴も先に検討した問題点のいずれか、またはすべてに対処しないかもしれない。さらに、先に検討した1または複数の問題点が以下説明される特徴にいずれにも充分には対処されないかもしれない。
【0017】
添付図面の
図1は、この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド100の斜視図である。より具体的には、
図1は、3つの個別の区別可能な金属合金部品から構成されるゴルフクラブヘッド100を示す。第1に、この発明の現行の事例的な実施例において示されるゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッドの末端近くに位置するブレード部102を有して良く、このブレード部102は軽量の鉄アルミニウム合金材料から製造されてゴルフクラブヘッドのブレード部102から重量を節約する。第2に、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッドの基端部近くに位置するホーゼル部104を有して良く、このホーゼル部104は慣用的な炭素鋼から製造され頑丈なホーゼル部の伝統的な性能養成を維持している。最後に、ゴルフクラブヘッド100は、ゴルフクラブヘッドの底部近くに位置するソールインサート106を具備して良く、このソールインサート106は重いタングステン合金材料から製造されて、ブレード部102から節約された裁量的な重量を、より重いより密度の大きな材料を用いて制御することができる位置へシフトさせる。種々の部品のための検討された上述の材料は説明の便宜上のものであり、絶対的なものとして把握すべきでなく、以下の密度の要請を満たす限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなくこの発明の他の実施例において他の材料を採用してよいことに留意されたい。
【0018】
ゴルフクラブヘッド100のブレード部102は、現行の事例的な実施例において示されるように、全体として、第1の材料から構成されて良く、この第1の材料は約7.10グラム/cc未満、より好ましくは約7.05グラム/cc未満、最も好ましくは約7.00グラム/cc未満の第1の密度を伴う。1つの事例的な実施例において、この第2の材料は、その軽量特性ゆえに、軽量の鉄アルミニウム合金であって良いけれども、多数の他の軽量の金属材料を採用して同一の重量節約を、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、実現できる。現行の発明のゴルフクラブヘッド100のホーゼル部104は、全体として、第2の材料から構成されて良く、この第2の材料は第2の密度を伴い、これは、約7.75グラム/ccおよび約7.95グラム/ccの間、より好ましくは、約7.80グラム/ccおよび約7.90グラム/ccの間、最も好ましくは、約7.85グラム/ccである。1つの事例的な実施例においてこの第2の材料はその強度および可鍛性ゆえに標準的な炭素鋼であって良いけれども、上述の範囲の第2の密度を伴う限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、多数の他の材料を採用できる。1つの事例的な実施例において、この第2の材料は、その軽量特性ゆえに、軽量の鉄アルミニウム合金であって良いけれども、多数の他の軽量の金属材料を採用して同一の重量節約を、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、実現できる。ゴルフクラブヘッド100のソールインサート106は、全体として、第3の材料から構成されて良く、この第3の材料は第3の密度を伴い、これは、約11.00グラム/ccより大きく、より好ましくは、約11.50グラム/ccより大きく、最も好ましくは、約12.0085グラム/ccより大きい。1つの事例的な実施例においてこの第3の材料はその高密度特性ゆえにタングステン合金であって良いけれども、上述の範囲の第3の密度を伴う限り、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、多数の他の材料を採用できる。
【0019】
現行の事例的な実施例は3つの異なる材料を用いてゴルフクラブヘッド100のブレード部102を形成するものとして説明されているけれども、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、付加的な材料を採用して良い。より具体的には、ブレード部102は、この発明の範囲および内容から逸脱することなく、4つの異なる材料、5つの異なる材料、6つの異なる材料、または任意の個数の異なる材料から構築して良い。
【0020】
この発明の現行の事例的な実施例において採用される3つの材料がすべて全体的には、容易に他の部分と用急く可能な金属タイプの材料であってよいことに留意することは重要である。このように種々の部品を他の部品と容易に溶接できるので、性能上の利点が実現される。なぜならば、これにより完成品は一貫性のあるソリッドのフィーリングを維持できるからである。これは、対照的な材料、例えば、金属とプラスチックを結合してゴルフクラブヘッドを形成するときに達成することが困難なものである。
図1に示されるこの発明の現行の事例的な実施例では、ブレード部102およびホーゼル部104は全体として単一のプレフォーム鋼片(ビレット)から鍛造され、これは2つの個々のロッドから一体にスピン溶接され、これにより、完成品は、均一な材料から製造されるゴルフクラブに一般的には関連付けられるソリッド名構造一体性を実現できる。プレフォームビレットが所望の形状に鍛造されると、ソールキャビティがカッターを用いて切り出されソールインサート106用の空間を形成される。これは、ゴルフクラブヘッド100中の最終的な配置位置に溶接されてよい。
【0021】
添付図面の
図2は
図1に示されるゴルフクラブヘッド100を形成するために採用されるプレフォームビレット200の斜視図である。プレフォームビレット200は、
図2に示されるように、全体として、ブレード部202およびホーゼル部204を具備して良く、これは分岐線203によって分離される。ブレード部202およびホーゼル部204は全体として伝統的な摩擦溶接を利用してスピン溶接される。摩擦溶接は、この出願において検討されるように、一般的には、移動ワークピースと静止部品との間の機械摩擦によって熱を生成する固相溶接を指し、ここでは、「アップセット」と呼ばれる横方向の力が加えられて材料が可塑的に横方向に移動させられて一体に結合する。実際には材料の溶融は起こらないけれども、このプロセスは、2つの材料を結合させることができるので、広く摩擦溶接として知られている。好ましくは、伝統的な摩擦溶接を利用するスピン溶接が、この現行の事例的な実施例において採用されるけれども、2つの異なる材料を1つのプレフォームビレット200に結合する限り、他の結合手法を、この発明の範囲および内容から逸脱しないように採用することができる。
【0022】
添付図面の
図3aは、
図2に示されるプレフォームビレット200によるものと同一の重量節約を異なる構造を用いて実現するこの発明の代替的な実施例に従うプレフォームビレット300を示す。より具体的には、この発明の代替的な実施例におけるプレフォームビレット300は、軽量の材料320を高密度の材料322で包み込んで、ゴルフクラブヘッド100(
図1)により必要とされる同一の軽量特性を実現することができるプレフォームビレット300を形成する。この発明の現行の事例的な実施例では、この軽量の材料320の密度は、約7.10グラム/cc未満、より好ましくは約7.05グラム/cc未満、最も好ましくは約7.00グラム/cc未満であり、他方、より密度の大きい材料322の密度は、約7.75グラム/ccおよび約7.95グラム/ccの間、より好ましくは、約7.80グラム/ccおよび約7.90グラム/ccの間、最も好ましくは、約7.85グラム/ccである。
【0023】
添付図面の
図3bは、この発明のさらに他の代替的な実施例を示し、ここでは、実質的に軽量の材料320から構成されるプレフォームビレット300内の戦略的な位置に高密度材料322を配置できる。この発明の現行の事例的な実施例において、事後処理を必要とすることなくゴルフクラブヘッドの重量特性を戦略的に調整できる態様でゴルフクラブヘッド300を形成できる。
図3bに示される実施例において、高密度材料322をプレフォームビレット300内にゴルフクラブヘッドの下側ヒールおよび下側トウ部分に合致するように配置することにより、この発明の範囲および内容から逸脱することなく最終製品の安静モーメントを増大させることができる。現行の事例的な実施例は軽量材料320内に高密度材料322を埋め込むようにしているけれども、相互の部品の実際の密度は、
図3に示される図に制約されることなく、ゴルフクラブヘッドの重み付け要請に合致するように調整できる。
【0024】
添付図面の
図4はゴルフクラブヘッド400の分解図であり、ここでは、ソールインサート406をゴルフクラブヘッド400の本体からシフトさせて種々の部品の関係を明瞭にするようにしている。より具体的には、添付図面の
図4は先に検討したものと同一のブレード部402、同一のホーゼル部404、および同一のソールインサート406を具備するゴルフクラブヘッド400を示すけれども、
図4においてはゴルフクラブヘッド400が分解されているのでソールキャビティ405が見える。現行の実施例において示されるように、ソールキャビティ405は、全体として、鍛造のブレード部402およびホーゼル部404から切り出されてよく、これらの部分双方に渡って伸びてゴルフクラブヘッド400の重要な部分を覆う。ブレード部402およびホーゼル部404は全般的にはスピン溶接により一体とされてプレフォームビレットを形成するので、ゴルフクラブヘッド400は全般的には鍛造プロセスを利用して形成されて2つの異なる部品を分離状態にしておいて良い。しかしながら、この発明の代替的な実施例では、ゴルフクラブヘッド400は、異なるプロセス、例えば鋳造プロセスを用いて形成して良い。ただし、この発明の範囲および内容から逸脱することなしに代替的な手法がブレード部402およびホーゼル部404の間の分離が維持できることを条件とする。
【0025】
図4に示されるゴルフクラブヘッド400の分解図によれば、ゴルフクラブヘッド400のソールのプロフィールも、ソールインサート406に関係するので示すことができる。より具体的には、この発明の現行の事例的な実施例に従うソールインサート406は、全般的には、ゴルフクラブヘッドのソールの外部曲率と合同な形状の外側表面を伴ってよい。換言すれば、ソールインサート406の外側ソール面はソールキャビティ405の周囲の輪郭と相補する形状となっている。
【0026】
ソールキャビティ405をより明瞭に説明するのに加えて、添付図面の
図4はソールインサート406の寸法、形状、および幾何も示すことができる。ソールインサート406の刈り込み体積は、ブレード部402に軽量の第1材料を用いることにより、ゴルフクラブヘッド400の残りの部分から多くの重量を節約できるので、ソールインサート406の刈り込み体積は、従来の高密度のソールインサートに較べて顕著に大きいことは、一目見ただけで明らかである。より具体的には、ソールインサート406の体積は、この発明の現行の事例的な実施例に示されるように、全般的には、約7.50立方センチメートルより大きく、より好ましくは約7.6立方センチメートルより大きく、最も好ましくは約7.69立方センチメートルである。ソールインサート406のこの種の増大した体積は、ソールインサート406を形成するために使用される重い第3の材料と組合わさって、全般的には全体重量が約90グラムより大きく、より好ましくは約91グラムより大きく、最も好ましくは約92グラムより大きいソールインサートを実現する。
【0027】
アイアン型ゴルフクラブヘッド400の総重量は全般的には一般して約240グラムから約250グラムに維持されるので、上述の重量範囲のソールインサート406を実現可能にするには、ゴルフクラブヘッド400の代替的な位置で顕著に重量を削減しなければならない。これを理解し、さらに、この発明は、ゴルフクラブヘッド400の全ブレード部用の軽量な第1の材料によってゴルフクラブヘッド400のブレード部402の重量を最小化してこの重量削減を実現するということを説明することは重要である。より具体的には、この発明は低密度の鉄アルミニウム合金材料を重量削減の顕著な量を達成する方法として採用するけれども、この発明の範囲および内容から逸脱すること無しに、多くの他のタイプの材料を用いてゴルフクラブヘッド400のブレード部402の全体重量を減少させて良い。
【0028】
この発明のゴルフクラブヘッド400が第1の材料から製造されるブレード部を組み入れ、それでいて第2の材料から製造されるホーゼル部404を維持できることを説明するために、
図5が示され、これはこの発明の事例的な実施例に従い、ブレード部502およびホーゼル部504をより明瞭に定義する、ゴルフクラブヘッド500の正面図である。
【0029】
図5に示されるこの発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド500は全般的に「フェースセンタ」508を分岐平面503とともに示すことができる。「フェースセンタ」508は、この出願で定義されるように、実際には打撃フェース自体の幾何中心を指すのではなく、ゴルフクラブヘッド500の打撃フェース上のスコアラインを外した容易に再現可能な位置を実際には指す。より具体的には「フェースセンタ」508はこの出願で指し示すように、打撃フェース平面上にあり、座標系501のX軸に沿うスコアラインの長さに沿う中点の位置にあり、座標系501のY軸に沿って地面510から15mm離れた点にある。「フェースセンタ」508の位置はこの発明では決定的である。なぜならば、ブレード部502をホーゼル部504から分離する分岐平面503は「フェースセンタ」508から離れて定義されるからである。分岐平面503は、この出願で定義されるように、全般的には、打撃フェース平面と直角な平面であってゴルフクラブヘッド500の「フェースセンタ」508からX軸に沿ってヒール方向に丁度30mmの距離d1だけ離れた位置に有るものとして指し示されて良い。
【0030】
分岐平面503が「フェースセンタ」508によって定義されるので、その正確な位置は異なるスコアラインが採用されると異なって来てしまい、2つの部分の間の正確な分離は必ずしも分岐平面503によっては把握されない。しかしながら、分岐平面503は、先に検討した軽量な第1の材料を採用することによりゴルフクラブヘッド500のブレード部502から除去可能な重量を決定する上で有益である。より具体的には、分岐平面503よりトウ方向のゴルフクラブヘッド500の部分により定義されるブレード部502の重量を、分岐平面503のヒール方向のゴルフクラブヘッド500の部分により定義されるホーゼル部504の重量で割った比が、全般的には、約2.0未満、より好ましくは約1.90未満、最も好ましくは約1.80未満である。上述の比を実現するために、ブレード部502の重量は全般的には約100グラム未満、より好ましくは約105グラム未満、最も好ましくは約100グラムであってよく、他方、ホーゼル部504の重量は全般的には約55グラムより大きく、より好ましくは約55.25グラムより大きく、最も好ましくは約55.5グラムより大きくてよい。
【0031】
この発明の現行の事例的な実施例においてはブレード部502のホーゼル部304に対する重量の比は、重み付けされたソールインサート506を除くことに留意されたい。ブレード部502およびホーゼル部504の間の境界について上述のように明瞭で簡潔な定義が与えられているにもかかわらず、相対重量から排斥されるソールインサート506の境界はより不明瞭である。したがって、ソールインサート506の境界についてのより明瞭な定義を行うために、この発明はいくつかの異なる手法を用い、これらはすべて交換可能に採用してソールインサート506の境界を定義する。
【0032】
この発明の1つの事例的な実施例において、ソールインサート506の境界は、密度が10.0グラム/ccより大きな第3の材料から製造される、ゴルフクラブヘッドの部分として定義できる。この現行の定義の下では、ソールインサート506の、ゴルフクラブヘッド500の本体の残りの部分に対する境界は容易に識別できる。なぜならば、それらは顕著に密度が異なる2つの顕著に区別可能な材料から製造されるからである。代替的には、この発明の他の事例的な実施例において、ソールインサート506の境界は、ソールキャビティ(
図4に示される)を用いて定義される幾何形状を用いて定義できる。幾何的に容易に定義できる態様でソールキャビティをより明瞭に示すために
図6が示され、これはソールキャビティ605の境界を示す。
【0033】
添付図面の
図6は、ソールキャビティ605を通じてソールインサート506(
図5に示す)の境界を説明するように配向されたこの発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッドの斜視図である。より具体的には、
図6は、ソールキャビティ605がゴルフクラブヘッドの平坦な打撃フェース610からのオフセット量によって幾何的に定義できることを示す。換言すれば、ソールキャビティ605はゴルフクラブヘッド600の打撃フェース610から2.8mmの距離d2だけオフセットされたカットにより形成できる。ゴルフクラブヘッド600の正面部分および背面部分の厚さの一貫性を維持するために、ソールキャビティ605の背面を形成するために採用されるカットも、ゴルフクラブヘッド600の背面612から2.8mmの厚さd2だけオフセットされてよい。この発明の現行の事例的な実施例においてはゴルフクラブヘッド600の背面612は曲面であってよく、そのためソールキャビティ605はこれに合致するように背面612の近くで曲面を伴うことを理解することは重要である。最後に、現行の実施例において、ソールキャビティ605のカットの深さは34mmの距離d3で定義され、これはソールの頂部からソールキャビティ605の知面までを測定したものである。
【0034】
図6においてゴルフクラブヘッド600を観察すると、ともに実質的に平坦である打撃フェース610および背面612の代打にソールインサート(図示しない)を挟み込む(sandwich)奇抜な形状でソールキャビティ605を形成する点で、この発明の他の興味深い特徴が理解される。ゴルフクラブヘッド600がこのサンドイッチ構造を形成できることは、1つの材料から構築されたゴルフクラブヘッド600のソリッドなフィーリングを維持し、それでいて、ソールインサート内に顕著な量の裁量的な重量を組み込んでゴルフクラブヘッド600の性能を改善できるようにする上で重要である。
【0035】
まとめれば、この発明は、好ましくは3つの異なる材料から製造されて最も裁量的な重量を実現し、それでいて、単位綱材料を用いて形成されるゴルフクラブヘッドに一般的には関連付けられるフィーリングを犠牲にすることがないゴルフクラブヘッドを実現する。3つの異なる材料を理解するために
図7を示し、これは異なる材料を伴う異なる3つの部品をすべて示す分解図である。より具体的には、
図7は、この発明の事例的な実施例に従うゴルフクラブヘッド700の分解斜視図である。ここで、ブレード部702は分岐平面703においてホーゼル部704から分離されていて異なる密度特性の2つの異なる部品を形成して良いことがわかる。ブレード部702は摩擦溶接、例えばスピン溶接を用いてホーゼル部704に結合されて良いので材料は容易には分離されないけれども、容易に特定できるように図では互いに分解されて示されている。
図7に示すゴルフクラブヘッド700の分解図によれば、ソールインサート706がゴルフクラブヘッド700に組付けられる前の自然な状態で示すことができる。ここで、この発明の現行の事例的な実施例に従うソールインサート706は、ゴルフクラブヘッド700の重量の主たる部分が集中させられる場所にあってよいことに着目することは重要である。ブレード部702によって節約される裁量的な重量がソールインサート706の形状および幾何にあわせた設計空間の顕著な量を形成できるからである。この発明の現行の実施例に従うソールインサート706は全般的にはゴルフクラブヘッド700のブレード部702およびホーゼル部704に溶接されて良いけれども、この発明の範囲および内容から逸脱することなしに、多くの他の結合手法、例えば、カシメ、接着、またはネジ止めされも採用して良い。
【0036】
添付図面の
図8は、この発明の事例的な実施例に従うソールインサート806の拡大斜視図である。ソールインサート806の拡大図は、ゴルフクラブヘッドの他の部分から節約された裁量的な重量をどのようにしてゴルフクラブヘッドの底の近くの戦略的な位置で採用してゴルフクラブヘッドの性能を改善するかを示す。より具体的には、
図8は、ソールインサート806の寸法が大きくなっている点を示すのみでなく、裁量的な重量をせん略的に配置することを示すソールインサート806の奇抜な幾何形状も示す。ソールインサート806は、全般的には、厚さが変化させてゴルフクラブヘッドのCGを低下させるのみでなく、MOIも増大させる、ヒール部832、中央部834、およびトウ部836を具備してよい。ゴルフクラブヘッドのMOIの増加はヒール部832およびトウ部836の厚さを中央部834に較べて厚くすることにより実現でき、これにより、クラブヘッドが中心から外れて打撃されたときにゴルフクラブヘッドのひねりに対する影響を少なくできる。ここで、顕著な量の重量をゴルフクラブヘッドの残りの部分から節約できるので、ソールインサート806のトウ部836をゴルフクラブヘッドの本体のトウまで高く伸ばすことができ、ゴルフクラブヘッドのホーゼルにすでに設計された重量を打ち消す顕著なトウ重み付けを行うことができる。
【0037】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0038】
この発明の広範な範囲を示す数的範囲およびパラメータは近似的であるけれども、具体例において示された数値は可能な限り正確に記録した。任意の数値は、それでも、それぞれのテスト計測に見いだされる標準偏差に必然的に起因する誤差を含む。さらに、種々のスコープの数値範囲が示される場合には、例示された値を含めた値の任意の組み合わせが利用できると理解されたい。
【0039】
先の説明はこの発明の事例的な実施例に関するものであり、変更例が以下の特許請求の範囲に説明される発明の趣旨および範囲に逸脱することなく行えることに留意されたい。