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特開2015-163467マイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-163467(P2015-163467A)
(43)【公開日】2015年9月10日
(54)【発明の名称】マイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙
(51)【国際特許分類】
   B41M 5/165 20060101AFI20150814BHJP
   B01J 13/16 20060101ALI20150814BHJP
【FI】
   B41M5/12 112
   B01J13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-14658(P2015-14658)
(22)【出願日】2015年1月28日
(31)【優先権主張番号】特願2014-15017(P2014-15017)
(32)【優先日】2014年1月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126169
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 淳子
(74)【代理人】
【識別番号】100130812
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 淳
(72)【発明者】
【氏名】永井 龍夫
(72)【発明者】
【氏名】荻野 明人
(72)【発明者】
【氏名】田渕 和幸
【テーマコード(参考)】
2H085
4G005
【Fターム(参考)】
2H085AA07
2H085BB02
4G005AA01
4G005AB14
4G005BA02
4G005BB08
4G005DB27X
4G005DC26X
4G005DC32X
4G005DC42Y
4G005DC46Y
4G005DC61X
4G005DC68X
4G005DD05Z
4G005DD12Y
4G005DD38Z
4G005DD39Z
4G005DD57Y
4G005DE02X
4G005EA08
(57)【要約】
【課題】
本発明は、粒子径の均一性に優れたマイクロカプセル、及び、該マイクロカプセルを用いた、発色能力と加圧汚染(不用意な加圧による発色)のバランスが良好である感圧複写紙を提供することを目的とする。
【解決手段】
カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙において、前記疎水性液体がR12SnX12(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表し、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表す。)で表される有機錫(II)化合物を含有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセルにおいて、該疎水性液体がR12SnX12(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表し、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表す。)で表される有機錫(II)化合物を含有することを特徴とするマイクロカプセル。
【請求項2】
前記有機錫(II)化合物が、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジネオデカノエートから選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
前記カプセル壁膜が、ポリビニルアルコールを含有する水溶性液体、及び、ポリイソシアネートを含有する疎水性液体を乳化混合し、O/W型エマルジョンとした後に、多価アミンを添加して壁膜形成させたポリウレアウレタン膜であることを特徴とする、請求項1または2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
前記疎水性液体が、更に電子供与性ロイコ染料を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
前記疎水性液体が、総炭素数6以上の脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを使用した感圧複写紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセルであって、特に粒子径の均一性に優れたマイクロカプセルに関する。また、該マイクロカプセルを用いた感圧複写紙であって、特に発色能力と加圧汚染のバランスが良好である感圧複写紙に関する。
【背景技術】
【0002】
感圧複写紙は、支持体上の片面に、無色または淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)を溶解または分散状態で含有する疎水性液体(以下、「カプセルオイル」ともいう。)を内包したマイクロカプセルを含む層を設けた「上用紙」、ロイコ染料と接触して発色するフェノール性化合物等の電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)を含む層を設けた「下用紙」、支持体の片面に前記マイクロカプセルを含む層、他方の面に前記顕色剤を含む層を設けた「中用紙」を適宜組み合わせたものや、支持体の片面に前記マイクロカプセルを含む層、他方の面に前記顕色剤を含む層を設けた「中用紙」を適宜組み合わせたものがある。
これらの感圧複写紙は、上用紙もしくは中用紙の前記マイクロカプセルを含む層(以下、「マイクロカプセル層」ということがある。)と、下用紙もしくは中用紙の前記顕色剤を含む層(以下、「顕色剤層」ということがある。)とが接するように組合わされて、上用紙の非塗工面(マイクロカプセル層を設けていない面)もしくは中用紙の顕色剤層面から筆圧、プリンターなどで加圧されると、マイクロカプセル層中のマイクロカプセルのカプセル壁膜(以下、「壁膜」ともいう。)が破壊され、ロイコ染料を溶解または分散状態で含有するカプセルオイルが下用紙もしくは中用紙の顕色剤層面に移行する。その結果、ロイコ染料と顕色剤が反応して、発色する。
また、支持体の同一面にマイクロカプセル層と顕色剤層を積層させる、あるいは同一層に前記マイクロカプセルと前記顕色剤を混在させた、「セルフコンティンド紙」などがある。
【0003】
マイクロカプセルの壁膜としては、メラミン−ホルムアルデヒド縮重合物である、いわゆるメラミン膜と、ウレタン・ウレア−イソシアネート縮重合物である、いわゆるポリウレアウレタン膜が一般的であるが、近年ホルムアルデヒドが監視物質指定となったため、メラミン膜からポリウレアウレタン膜に切り替える動きが出ている。
【0004】
ここで、上述の通り、感圧複写紙は加圧により発色し、情報記録が可能となるが、情報記録時以外には発色させないことが重要である。
一般的に、感圧複写紙は上用紙、中用紙、下用紙を順に丁合し、各種帳票を作製して保管される。この丁合の際に、感圧複写紙が丁合機(コレータ)に接触する、あるいは作製した帳票の梱包作業や輸送の際に、梱包機や荷台に接触するなどして、不用意な加圧により情報記録の前に感圧複写紙が発色してしまうことがある。
このような不用意な加圧による発色(以下、「加圧汚染」という。)は、記録した情報が不明瞭となってしまうという問題がある。
【0005】
感圧複写紙において、従来から加圧汚染を改善することが行われており、特許文献1、特許文献2には、セルロースからなる粉末や澱粉(小麦粉、馬鈴薯、ビーフフラワーなど)からなる粒子、あるいはガラスビーズなどをマイクロカプセル層に配合する技術が開示されている。また、特許文献3にはマイクロカプセル壁膜にアクリルアミドなどをグラフトする技術が、特許文献4には特定のラテックスをマイクロカプセル層のバインダーとして使用する技術が、それぞれ開示されている。
また、特許文献5には、同一層に前記マイクロカプセルと前記顕色剤を混在させたセルフコンティンド紙の加圧汚染を改善するため、前記マイクロカプセルと前記顕色剤を混在させた層にポリアクリル酸ナトリウムを配合する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭59−184695号公報
【特許文献2】特開昭61−163888号公報
【特許文献3】特開昭64−036481号公報
【特許文献4】特開平1−234289号公報
【特許文献5】特開平2−117881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、ポリウレアウレタン膜はメラミン膜よりも強度が高い。そのため、カプセル壁膜がメラミン膜であるマイクロカプセル(以下、「メラミンカプセル」ともいう。)に替え、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であるマイクロカプセル(以下、「ウレアウレタンカプセル」ともいう。)を用いた感圧複写紙は、加圧汚染が改善されるが、情報記録時の発色能力は低下する。
マイクロカプセルの粒子径を大きくすることで、情報記録時の発色能力は改善されるが、ウレアウレタンカプセルはメラミンカプセルより巨大粒子が発生しやすいため、マイクロカプセルの粒子径を大きくすると、感圧複写紙の加圧汚染が著しく低下してしまう。
ここで、巨大粒子とは、一般に粒子径が10μm以下である通常のマイクロカプセルに対し、粒子径が20μmを超えるマイクロカプセルを指す。巨大粒子は加圧により容易に破壊されるため、感圧複写紙のマイクロカプセル層に巨大粒子が存在すると、発色能力は良好である反面、加圧汚染は著しく劣る。
ウレアウレタンカプセルにおいて、これらの従来の技術では、得られるウレアウレタンカプセルの粒度分布を均一にすること、言い換えれば、粒子径の均一性に優れたウレアウレタンカプセルを得ることは困難であり、特に巨大粒子の生成を抑制することは極めて困難であった。
そのため、ウレアウレタンカプセルを用いた感圧複写紙では、加圧汚染を改善しながら十分な発色能力を発揮させた感圧複写紙、即ち、発色能力と加圧汚染のバランスが良好である感圧複写紙を得ることはできなかった。
【0008】
そこで、本発明は、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセルにおいて、粒子径の均一性に優れたマイクロカプセルを提供することを目的とする。また、該マイクロカプセルを用いた、発色能力と加圧汚染のバランスが良好である感圧複写紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討の結果、疎水性液体に有機錫(II)化合物を含有させることにより、粒子径の均一性に優れたマイクロカプセルが得られることを見出した。更に、該マイクロカプセルを用いることにより、発色能力と加圧汚染のバランスが良好である感圧複写紙が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙において、前記疎水性液体がR12SnX12(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表し、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表す。)で表される有機錫(II)化合物を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、粒子径の均一性に優れたウレアウレタンカプセル、及び発色能力と加圧汚染のバランスが良好である感圧複写紙を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
本発明は、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙において、前記疎水性液体がR12SnX12(式中、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表し、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表す。)で表される有機錫(II)化合物を含有する。
【0013】
[有機錫]
本発明のマイクロカプセルは、疎水性液体にR12SnX12で表される有機錫(II)化合物を含有させる。ここで、R1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表し、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表す。
本発明のマイクロカプセルにおいて、疎水性液体に前記有機錫(II)化合物を含有させると、ウレタン・ウレア−イソシアネート縮重合物であるカプセル壁膜を形成する反応において、有機錫(II)化合物がイソシアネートと多価アミン、またはイソシアネートとポリビニルアルコールの反応の触媒として作用し、速やかに反応が進むため、カプセル壁膜の形成速度が均一となる。更に、有機錫(II)化合物は疎水性液体中にわずかに溶けている水を吸着する。その結果、水とイソシアネートとの反応で生成され、カプセル壁膜の形成反応を阻害するカルバミン酸の生成が抑制されるため、粒子径の均一性に優れたマイクロカプセルが得られるものと推測される。
本発明の有機錫(II)化合物において、上述のとおりR1及びR2はそれぞれ独立してメチル基、ブチル基、オクチル基のいずれかを表すが、R1及びR2が同じであること(すなわち、R1=R2)が好ましく、R1及びR2が共にブチル基であるジブチル錫化合物、R1及びR2が共にオクチル基であるジオクチル錫化合物がより好ましい。また、X1及びX2はそれぞれ独立してハロゲン基または炭素数2〜12のカルボン酸基もしくはジカルボン酸基を表すが、X1及びX2が同じであること(すなわち、X1=X2)が好ましい。
本発明で使用する有機錫(II)化合物の具体例としては、ジメチル錫ジクロライド、ジブチル錫ジクロライド、ジオクチル錫ジクロライド、メチルブチル錫ジクロライド、メチルオクチル錫ジクロライド、ブチルオクチル錫ジクロライド、ジメチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジブロマイド、ジオクチル錫ジブロマイド、メチルブチル錫ジブロマイド、メチルオクチル錫ジブロマイド、ブチルオクチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート等が例示可能である。これらの有機錫(II)化合物は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
本発明では、疎水性液体への溶解性が良好であるため、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジネオデカノエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエートが好ましく、発がん性や変異原性等への懸念が比較的小さいため、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエートがより好ましい。
本発明において、疎水性液体が含有する有機錫(II)化合物の配合量は、疎水性液体の全固形分100重量部に対して、0.005〜0.5重量部であることが好ましく、0.01〜0.1重量部であることがより好ましい。
【0014】
[マイクロカプセル]
本発明のマイクロカプセルで使用する各種材料として、マイクロカプセルの壁膜材料、カプセルオイル、ロイコ染料などを例示することができる。
【0015】
本発明のマイクロカプセルの壁膜は、ウレタン・ウレア−イソシアネート縮重合物であるポリウレアウレタン膜であり、主な壁膜材料は、多価アミン及びポリイソシアネートと、乳化剤であるポリビニルアルコールである。
【0016】
本発明で使用する多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、3,3’−ジアミノジプロピルアミン、N,N’,N’’−トリメチルジプロピレントリアミン、N,N’,N’’,N’’’−テトラメチルトリプロピレンテトラミン等が挙げられる。本発明では、カプセル壁膜を形成する反応が速やかに進み、カプセル壁膜の形成速度が均一になり、均質かつ緻密なカプセル壁膜が得られるため、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好ましい。
【0017】
本発明で使用するポリイソシアネートとしては、例えば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等が挙げられ、これらのポリマーであるイソシアヌレート体、ビウレット体等も使用可能である。本発明では、緻密なカプセル壁膜が得られるため、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートが好ましく、両者の併用が特に好ましい。
【0018】
本発明で使用するポリビニルアルコールとしては、例えば、重合度100〜2000の完全ケン化型または部分ケン化型のポリビニルアルコール、カルボキシル基、カルボニル基、アセチルアセトン基などで変性した変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。本発明では、厚さが均一なカプセル壁膜が得られるため、重合度200〜800の部分ケン化型ポリビニルアルコールが好ましい。
【0019】
本発明で使用するカプセルオイルとしては、例えば、フェニルキシリルエタン、ジアリールエタン、ジイソプロピルナフタレン、モノイソプロピルビフェニル、イソブチルビフェニル、部分水素添加ターフェニル、塩素化パラフィン、飽和炭化水素、フタル酸エステル、脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明では、カプセルオイルとして脂肪酸エステルを含有することが好ましく、総炭素数6以上の脂肪酸エステルを含有することがより好ましい。カプセルオイルとして脂肪酸エステルを含有すると、更にカプセルオイルに電子供与性ロイコ染料を含有させて得られるマイクロカプセルを用いることにより、特に低温環境下における発色能力が良好である感圧複写紙が得られる。
本発明で使用する総炭素数6以上の脂肪酸エステルとしては、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸n−プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸イソブチル、ラウリン酸t−ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸n−ブチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、酢酸ヘプチル、酢酸デシル、酢酸ネオペンチル、プロピオン酸ノニル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸ドデシル、酢酸n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル等の脂肪酸モノエステル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、セバチン酸ジオクチル等の脂肪酸ジエステルを挙げることができる。
本発明で使用する脂肪酸モノエステルとしては、総炭素数6〜22が好ましく、8〜22がより好ましい。また、飽和の脂肪酸モノエステルが好ましく、特にラウリン酸メチル、ラウリン酸n−ブチル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸n−ブチル、パルミチン酸メチルが好ましい。
本発明で使用する脂肪酸ジエステルとしては、総炭素数8以上が好ましく、8〜22がより好ましい。また、飽和の脂肪酸ジエステルが好ましく、特にアジピン酸ジエチルが好ましい。
これらの総炭素数6以上の脂肪酸エステルは単独又は2種以上混合して使用してもよい。また、上述のフェニルキシリルエタン、ジアリールエタン、ジイソプロピルナフタレン等と混合して使用してもよい。総炭素数6以上の脂肪酸エステルの含有率(2種以上混合して使用する場合はその合計)は、カプセルオイル中の3〜40重量%であることが好ましく、5〜30重量%であることがより好ましい。
【0020】
本発明で使用するロイコ染料は、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものはすべて使用可能であり、特に制限されるものではない。
青染料として使用できるものとしては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル−3−インドリル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチル−3−インドリル)−4−アザフタリド、N−n−ブチル−3−[4,4'−ビス(N−メチルアニリノ)ベンズヒドリル]カルバゾール等が挙げられる。
黒染料として使用できるものとしては、例えば、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−アミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−n−プロピルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−[N−エチル−N−(3−エトキシプロピル)アミノ]フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−エチル−4−メチルアニリノ)フルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3,7−ビスジメチルアミノベンゾイルフェノチアジン、3−N−エチル−(N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン等が挙げられる。
これらのロイコ染料は、カプセルオイルに溶解または分散状態で含有され、マイクロカプセルの芯物質として内包される。
【0021】
本発明のマイクロカプセルは、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ法など、公知の方法で作製することができる。
本発明では、ポリビニルアルコールを含有する水溶性液体、及び、ポリイソシアネートを含有する疎水性液体を乳化混合し、O/W型エマルジョンとした後に、多価アミンを添加してポリウレアウレタン膜を形成させる界面重合法により、マイクロカプセルを作製することが好ましい。
【0022】
本発明のマイクロカプセルの平均粒子径は、所望する品質、即ち発色能力と加圧汚染のバランスに応じて適宜調整可能であるが、レーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が3.0μm以上であることが好ましい。平均粒子径が3.0μm未満であると、特に支持体として上質紙、再生紙等を使用した場合に、支持体上に塗工したマイクロカプセルが支持体中(パルプ繊維の凹部)に入り込んでしまい、加圧しても破壊されにくくなるため、発色能力が著しく低下することがある。より好ましくは平均粒子径が4.0μm以上であり、さらに好ましくは5.0μm以上である。また、マイクロカプセルの平均粒子径は15.0μm以下であることが好ましい。平均粒子径が15.0μmを超えると加圧汚染が発生しやすくなり、発色能力と加圧汚染のバランスを取ることが困難になることがある。より好ましくは平均粒子径が12.0μm以下であり、さらに好ましくは10.0μm以下である。
なお、レーザー光散乱法によるD50の測定は、MALVERN社製MASTER SIZER Sなどを使用して行うことが可能である。
【0023】
[感圧複写紙]
一つの態様において、本発明は、感圧複写紙である。すなわち、本発明の感圧複写紙は、カプセル壁膜がポリウレアウレタン膜であり、疎水性液体を内包するマイクロカプセルにおいて、該疎水性液体が前記有機錫(II)化合物を含有するマイクロカプセルを少なくとも含む塗工液を、上質紙、再生紙、塗工紙、あるいは合成紙、プラスチックフィルム等のシート状物からなる支持体上に塗工、乾燥して、マイクロカプセル層を設けて成る。マイクロカプセル層には、更にバインダー、ステー剤、増粘剤など、その他の添加剤を必要に応じて含んでもよい。
なお、本発明において、マイクロカプセル層とはマイクロカプセルを含有する層であり、顕色剤層とは顕色剤を含有する層をいう。例えば、本発明の感圧複写紙がセルフコンティンド紙であって、マイクロカプセルと顕色剤を同一層に混在させている場合、マイクロカプセルと顕色剤の両方が含まれる層は、マイクロカプセル層であり顕色剤層でもあるということになる。
【0024】
本発明の感圧複写紙において使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロース、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロースおよびそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
本発明の感圧複写紙において、バインダーの配合量は、マイクロカプセル層の固形分100重量部に対して、5〜30重量部であることが好ましく、10〜20重量部であることがより好ましい。
【0025】
本発明の感圧複写紙において、不用意な加圧によりマイクロカプセルが破壊されないように保護するために、マイクロカプセル層には更にステー剤を含有させることが好ましい。本発明の感圧複写紙において使用するステー剤としては、例えば、澱粉粒、セルロース繊維、天然高分子の微粒子などが挙げられる。
本発明の感圧複写紙において、ステー剤の平均粒子径は所望する品質、即ち発色能力と加圧汚染のバランスに応じて適宜選択可能であるが、ステー剤のレーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)がマイクロカプセルの平均粒子径(D50)の1.5倍以上であることが好ましい。1.5倍より小さいと、ステー剤による保護が十分でないことがある。また、ステー剤の平均粒子径は、マイクロカプセルの平均粒子径の4倍以下であることが好ましい。4倍より大きいと、ステー剤による保護が過剰となり、発色能力が低下することがある。
なお、ステー剤のレーザー光散乱法によるD50の測定は、マイクロカプセルのD50の測定と同様に、MALVERN社製MASTER SIZER Sなどを使用して行うことが可能である。
【0026】
本発明の感圧複写紙がセルフコンティンド紙であって、マイクロカプセルと顕色剤を同一層に混在させている場合、前述のとおり、マイクロカプセルと顕色剤の両方が含まれる層は、マイクロカプセル層であり顕色剤層でもある。
本発明の感圧複写紙において使用する顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものはすべて使用可能であり、特に制限されるものではない。単一種類の顕色剤を用いることもできるし、2種以上の顕色剤を混合して使用することもできる。
これに制限されるものではないが、顕色剤としては、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、4,4'−イソプロピリデンジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4'−n−プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4'−メチルジフェニルスルホン、4−ヒドロキシフェニル−4'−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4'−メチルフェニルスルホン、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2'−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)、国際公開WO97/16420号に記載のジフェニルスルホン架橋型化合物等のフェノール性化合物、国際公開WO02/081229号あるいは特開2002−301873号記載のフェノール性化合物、国際公開WO02/098674号あるいはWO03/029017号に記載のフェノールノボラック型縮合組成物、国際公開WO00/14058号あるいは特開2000−143611号に記載のウレアウレタン化合物、N,N'−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、3、5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、およびこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。このほか、特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0027】
本発明の感圧複写紙において、マイクロカプセル層を塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。また、塗工装置としては、一般的な塗工装置であるロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、バーブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、ダイコーター、カーテンダイコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレーコーター、サイズプレス等の各種装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。
本発明では、エアーナイフコーター、カーテンコーター、カーテンダイコーターを使用してマイクロカプセル層を塗工すると、ロッドブレードコーター等の、ブレード等を押し付けて塗工液を掻き取る塗工装置を使用して塗工するよりも、塗工時にマイクロカプセルが破壊されにくいため好ましい。
本発明の感圧複写紙において、マイクロカプセル層の固形分での塗工量は、所望する感圧複写紙の品質に応じて適宜調整可能であり、特に限定されないが、上用紙もしくは中用紙であれば通常1〜5g/m程度、セルフコンティンド紙であれば通常3〜10g/m程度である。
【0028】
[加圧汚染]
本発明において、加圧汚染に対する耐性は、上用紙もしくは中用紙のマイクロカプセル層面と、下用紙の顕色剤層面とが接するように重ねて一定の圧力(例えば20kg/cm)を加え、破壊されたマイクロカプセルの芯物質が下用紙の記録面(顕色剤層面)を発色させることにより確認できる。あるいは、本発明の感圧複写紙がセルフコンティンド紙である場合は、マイクロカプセル層面の上に上質紙を重ねて一定の圧力(例えば20kg/cm)を加え、破壊されたマイクロカプセルの芯物質が顕色剤層を発色させることにより確認できる。
一般に、マイクロカプセルの粒子径(平均粒子径)が同じであっても、マイクロカプセルの粒子径分布が広いと、粒子径分布が狭い場合と比較して、ステー剤よりも粒子径の大きいマイクロカプセルが相対的に多くなる。このステー剤よりも粒子径の大きいマイクロカプセルは、ステー剤による保護が十分でないため情報記録時より弱い加圧、すなわち、輸送の際の梱包機や荷台に接触するなどでの不用意な加圧でも破壊されやすい。そのため、マイクロカプセルの粒子径分布が広いと、分布が狭い場合と比較して加圧汚染が劣る傾向が見られる。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明をより一層明確に説明するため実施例及び比較例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例の部及び%は、特にことわらない限り重量部及び重量%を表す。
【0030】
[実施例1]
[マイクロカプセルスラリーの調製]
カプセルオイルA(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)100部に、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)4部、ジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名:ミリオネートMR−300)5部、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(DIC社製、商品名:DN902S)5部を105℃に加熱攪拌しながら溶解させて、ロイコ染料溶解液を調製した。
次いで、ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA205、部分ケン化型ポリビニルアルコール、重合度500、固形分5%)120部中に、常温まで冷却した前記ロイコ染料溶液を混合し、薄膜旋回型高速撹拌機を使用して乳化分散を行い、油滴の平均粒子径が6.0μmのO/W型エマルジョンを得た。
次いで、前記O/W型エマルジョンに、撹拌しながら10%ジエチレントリアミン1.0部を添加し、80℃で2時間カプセル壁膜の形成反応を続けた後、常温まで冷却して反応を終了させ、濃度調整のため水を添加して、固形分30%のマイクロカプセルスラリー1を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒子径(D50)は6.5μmであった。
【0031】
[マイクロカプセル層用塗工液の調製]
次いで、下記割合からなる配合物を混合してマイクロカプセル層用塗工液を調製した。
<マイクロカプセル層用塗工液1>
マイクロカプセルスラリー1(固形分30%) 400部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 180部
ステー剤(澱粉粒子、平均粒子径20.0μm) 35部
水 345部
【0032】
次いで、マイクロカプセル層用塗工液1を支持体(坪量40g/mの上質紙)の片面に、固形分での塗工量が2.0g/mとなるようにエアーナイフコーターを使用して塗工した後、乾燥を行ない、感圧複写紙を得た。
【0033】
[実施例2]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0.005部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例3]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0.01部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例4]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0.10部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例5]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0.5部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0034】
[実施例6]
乳化分散の条件を調整し、マイクロカプセルの平均粒径を4.0μmとした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例7]
乳化分散の条件を調整し、マイクロカプセルの平均粒径を5.5μmとした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例8]
乳化分散の条件を調整し、マイクロカプセルの平均粒径を7.2μmとした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例9]
乳化分散の条件を調整し、マイクロカプセルの平均粒径を11.0μmとした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0035】
[実施例10]
カプセルオイルA(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)100部をカプセルオイルA(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)97部及びカプセルオイルB(関東化学社製、ラウリン酸メチル)3部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例11]
カプセルオイルA(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)100部をカプセルオイルA(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)95部及びカプセルオイルB(関東化学社製、ラウリン酸メチル)5部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0036】
[実施例12]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をジオクチル錫ジアセテート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−820)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例13]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をジオクチル錫ジネオデカノエート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−830)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0037】
[実施例14]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−100)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例15]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をジブチル錫ジアセテート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−200)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[実施例16]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をジブチル錫ジネオデカノエート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−280)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0038】
[比較例1]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[比較例2]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を0部とし、乳化分散の条件を調整し、マイクロカプセルの平均粒径を11.0μmとした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0039】
[比較例3]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をオクチル酸錫(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−28)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
[比較例4]
ロイコ染料溶解液中のジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部をネオデカン酸錫(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−50)0.02部とした以外は、実施例1と同様にして感圧複写紙を得た。
【0040】
[比較例5]
[マイクロカプセルスラリー2の調製]
カプセルオイル(JX日鉱日石社製、商品名:SUS296、1−エチルフェニル−1−フェニルエタンと1−フェニル−1−キシリルエタンの混合物)100部に、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)4部、ジオクチル錫ジラウレート(日東化成社製、商品名:ネオスタンU−810)0.02部を105℃に加熱攪拌しながら溶解させて、ロイコ染料溶解液を調製した。
次いで、アニオン性ポリビニルアルコール水溶液(日本酢ビ・ポバール社製、商品名:JP−05、重合度500、固形分5%)120部中に、常温まで冷却した前記ロイコ染料溶液を混合し、薄膜旋回型高速撹拌機を使用して乳化分散を行い、油滴の平均粒子径が6.0μmのO/W型エマルジョンを得た。
次いで、メラミン20部と37%ホルムアルデヒド23.5部とを水70部に添加した後、70℃、20分間攪拌して、メラミンプレポリマーを調製した。
次いで、前記エマルジョンに、撹拌しながら前記メラミンプレポリマーを添加し、80℃で2時間カプセル壁膜の形成反応を続けた後、常温まで冷却して反応を終了させ、濃度調整のため水を添加して、固形分30%のマイクロカプセルスラリー2を得た。得られたマイクロカプセルの平均粒子径(D50)は6.5μmであった。
【0041】
[マイクロカプセル層用塗工液の調製]
次いで、下記割合からなる配合物を混合してマイクロカプセル層用塗工液を調製した。
<マイクロカプセル層用塗工液2>
マイクロカプセルスラリー2(固形分30%) 400部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:PVA117、
固形分10%) 180部
ステー剤(澱粉粒子、平均粒子径20.0μm) 35部
水 345部
【0042】
次いで、マイクロカプセル層用塗工液2を支持体(坪量40g/mの上質紙)の片面に、固形分での塗工量が2.0g/mとなるようにエアーナイフコーターを使用して塗工した後、乾燥を行ない、感圧複写紙を得た。
【0043】
[感圧複写紙の評価]
実施例1〜16、および比較例1〜5で作製した感圧複写紙について、下記評価を行った。
【0044】
[発色能力]
市販の下用紙NW40B(日本製紙社製)の顕色剤層面の上に、作製した感圧複写紙のマイクロカプセル層面を重ね合わせ、ドットインパクトプリンター(エプソン社製)で全面に印字した。印字から1時間後の発色濃度(%)をハンター白色度計(アンバーフィルター使用)で測定した。値が小さい程発色能力が高い。
【0045】
[低温環境下における発色能力(低温発色)]
−5℃の環境下において、市販の下用紙NW40B(日本製紙社製)の顕色剤層面の上に、作製した感圧複写紙のマイクロカプセル層面を重ね合わせ、ドットインパクトプリンター(エプソン社製)で全面に印字した。印字後、−5℃の環境下に30分間静置した後、発色濃度(%)をハンター白色度計(アンバーフィルター使用)で測定した。値が小さい程発色能力が高い。
【0046】
[加圧汚染]
市販の下用紙NW40B(日本製紙社製)の顕色剤層面の上に、作製した感圧複写紙のマイクロカプセル層面を重ね合わせ、20kg/cm2で30秒間加圧した。加圧処理直後の発色濃度と加圧処理前の白紙部の濃度をハンター白色度計(アンバーフィルター使用)で測定し、以下の数値を基準にして評価を行った。
加圧汚染(%)=(加圧処理前の白紙部の濃度)−(加圧処理直後の発色濃度)
○:加圧汚染が6%未満
△:加圧汚染が6%以上10%未満
×:加圧汚染が10%以上
【0047】
評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1から、本発明のマイクロカプセル及びこれを用いた感圧複写紙は、発色能力と加圧汚染のバランスが良好であることがわかる。更に、カプセルオイルとして総炭素数6以上の脂肪酸エステルを含有すると、低温環境下における発色能力が良好である感圧複写紙が得られる。