【解決手段】2種のエアゾール組成物を吐出する2液型エアゾール製品であって、吐出後の吐出物が、一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物を形成し、包囲された内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さい2液型エアゾール製品。
前記内側吐出物が通過する内側経路と、外側吐出物が通過する外側経路とが吐出孔まで独立している吐出部材を備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の2液型エアゾール製品。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のエアゾール製品は、2種のエアゾール組成物を吐出する2液型エアゾール製品であって、一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物を形成し、包囲された内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さいことを特徴とする。
【0017】
本発明における「一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物」とは、吐出直後に形成する吐出物が、一方の吐出物(内側吐出物)が他方の吐出物(外側吐出物)により包み囲われた吐出物であり、内側吐出物の一部を除く全て、好ましくは全てが外側吐出物に包囲され、吐出直後は外部と接触していない吐出物をいう。
【0018】
当該二重吐出物を形成することにより、例えば内側吐出物が臭気を有する組成物である場合でも、吐出直後に臭気が周囲に漏れることを抑制することができる。
【0019】
内側吐出物の一部を除く全てが外側吐出物に包囲される二重吐出物を形成する場合の内側吐出物が包囲されない一部としては、吐出開始直後の先頭面が挙げられる。吐出開始直後は、噴射ボタンを押し込む力の具合や容器内の状態により、内側吐出物が外側吐出物に先んじて吐出される場合があり、この場合の吐出物の先頭面では内側吐出物が外部に露出するおそれがある。しかし、本願発明の効果が損なわれない限り、一部のみが包囲されていない吐出物も、本発明における一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された二重吐出物に含むものとする。
【0020】
また、本発明における「内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さい」とは、内側吐出物が外側吐出物に比べて発泡率が大きく密度が小さいことをいう。具体的には、内側吐出物が発泡性吐出物であり外側吐出物が非発泡性吐出物である場合、内側吐出物および外側吐出物の両方が発泡性吐出物であり内側吐出物の方が発泡時間が長いまたは発泡率が大きい場合などをいう。
【0021】
内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さいことにより、前記二重吐出物は吐出後、外側吐出物を押し広げながら内側吐出物が発泡および拡大し、場合によっては外側吐出物を切り開いて発泡および拡大する。これにより、拡大した内側吐出物の表面に外側吐出物が薄く延ばされて付着した状態となり、両吐出物が接触する面積が広くなるため、内側吐出物と外側吐出物との混合が容易となる。なお、外側吐出物を切り開いて内側吐出物が発泡および拡大した場合は、内側吐出物の一部が露出してもよい。
【0022】
本発明の2液型エアゾール製品の実施形態を添付の図面を参照して説明するが、これらの形態に限定されるものではない。
【0023】
図1(A)および(B)に示すエアゾール製品は、2本のエアゾール製品A1およびA2、ならびに2本のエアゾール製品を連結して両エアゾール製品に充填されたエアゾール組成物を二重吐出物として吐出する2液吐出装置からなる。
【0024】
エアゾール製品A1およびA2は、エアゾール容器と各エアゾール容器に充填されたエアゾール組成物(エアゾール製品A1に充填されたエアゾール組成物a1およびエアゾール製品A2に充填されたエアゾール組成物a2)とからなる。エアゾール容器としては特に限定されず、例えば
図1に示す有底筒状の耐圧容器の開口部にステムを備えたエアゾールバルブが固着されたエアゾール容器などを用いることができる。
【0025】
前記耐圧容器としては下端が底部によって閉じられた円筒状の胴部と、胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部と、その肩部の上端に形成される口部とからなる一体成形体である。肩部と口部の境界には、半径方向内側に凹んだ環状凹部が形成されている。さらに、口部の上端の環状の切り口は、真っ直ぐ上を向いている。前記耐圧容器の材質としては従来のエアゾール容器に用いられているものであれば特に限定はされず、例えばアルミニウムやブリキなどの金属を用いることができる。また、染毛剤などの腐食性の高い内容物を充填する際には、耐圧容器内に樹脂製の内袋やパウチなどを挿入し、耐圧容器に直接内容物が触れないようにしてもよい。
【0026】
前記2液吐出装置は、2本のエアゾール製品A1およびA2を連結する連結部材22、その連結部材22に係合する保持部材21、その保持部材21内で上下動可能に配置し、両エアゾール製品のステム31および32に装着された押ボタン1を備えている。
【0027】
連結部材22は、2つのエアゾール製品A1、A2を互いに連結保持するものであり、エアゾール製品A1、A2のエアゾールバルブと嵌合する円筒部と、それらの円筒部同士を連結する連結部を備えている。さらに、天面にはエアゾールバルブのステム31および32が貫通する開口部が設けられている。
【0028】
保持部材21は、その内部に押ボタン1を上下動可能な状態で保持する上部筒部および連結部材22を覆うように保持する下部筒部を有している。上部筒部の前面には上端中央から下方に延びる矩形状のスパウト溝(前壁凹部)が形成されており、後面には、上端中央から下方に延びる矩形状の操作溝(後壁凹部)が形成されている。
【0029】
押ボタン1は、本体、その前面中央から前方に延伸され、2種類のエアゾール組成物をそれぞれ別々の通路から吐出するための内側吐出孔13と外側吐出孔15を備えたスパウト部16、底部に設けられた各エアゾール製品のステム31および32を装着するステム装着部11を備えている。
【0030】
矩体状の本体内部には、ステム装着部11に装着されたエアゾール製品A1のステム開口部と内側吐出孔13とを連通する本体内通路12、および他方のステム装着部11に装着されたエアゾール製品A2のステム開口部と外側吐出孔15とを連通する本体内通路14が設けられている。本体内通路12および本体内通路14の長さは、二重吐出物の内側吐出物が全て外側吐出物に包囲されやすくなるように、ステム開口部から内側吐出孔までの距離が外側吐出孔よりも短くなるように設けられている。
【0031】
スパウト部16は、直径の異なる内側ノズルと外側ノズルが同心円状に配置された形状であり、内側ノズルの開口部である内側吐出孔13および外側ノズルと内側ノズルとの間で形成された開口部である外側吐出孔15を有する。
【0032】
図1(B)に示す内側ノズルおよび外側ノズルの本体から延伸された長さは同じ、つまり両ノズルの端面(内側吐出孔13および外側吐出孔15)が同一面上に存在するが、二重吐出物の内側吐出物が全て外側吐出物に包囲されやすくなるように、内側ノズルを外側ノズルよりも短くするなど、各エアゾール組成物の特性や発泡性などに応じて各ノズルの長さを適宜調整することができる。
【0033】
図1(A)および(B)に示す実施形態における2液型エアゾール製品のエアゾール組成物が吐出される過程および状態について説明する。まず、押ボタン1を指などで下方向に押圧し、エアゾール製品A1およびA2の両ステムを同時に押し込むことでエアゾールバルブのステム孔が開き、両エアゾール容器内と大気とが連通する。エアゾール製品A1に充填されていたエアゾール組成物a1はステム31の開口部を通り、本体内通路12を経て内側吐出孔13から吐出される(内側吐出物)。同時に、エアゾール製品A2に充填されていたエアゾール組成物a2は、ステム32の開口部を通り、本体内通路14を経て外側吐出孔15から吐出される(外側吐出物)。そして、両吐出物は内側吐出孔13および外側吐出孔15の形状に倣って吐出されるため、内側吐出物が外側吐出物により包囲された二重吐出物を形成する。
【0034】
エアゾール製品A1のステム31から内側吐出孔13までの吐出経路X1と、エアゾール製品A2のステム32から外側吐出孔15までの吐出経路X2とが、それぞれ独立して設けられていることが好ましい。各吐出経路が独立していることにより、吐出されるまで両エアゾール組成物が混ざり合うことなく移動するため、内側吐出物が外側吐出物に包囲された二重吐出物を形成しやすくなる。さらに、エアゾール組成物が2液式染毛剤などの2液が反応する組成物であっても、反応物が吐出経路中で固まり残留することがない。
【0035】
図2に示すエアゾール製品は、1つの耐圧容器内が中栓により分断され、各収容部にエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品B、および各収容部に充填されたエアゾール組成物を二重吐出物として吐出する2液吐出部材4からなる。
【0036】
エアゾール製品Bは、有底筒状の耐圧容器、耐圧容器内を上下に分断する中栓64、中栓64の中心部に挿入されたチューブ装着部材63、耐圧容器の開口部を閉じる2液吐出エアゾールバルブ、2液吐出エアゾールバルブのハウジング61とチューブ装着部材63との間に装着されたチューブ62、および上下の各収容部に充填されたエアゾール組成物(下収容部に充填されたエアゾール組成物b1および上収容部に充填されたエアゾール組成物b2)を有する。
【0037】
前記耐圧容器は、下端が底部によって閉じられた円筒状の胴部と、胴部の上端から上方に向かって縮径するテーパー状の肩部と、肩部上端に環状に形成されたビード部とを備えている。胴部の中央部には、半径方向内側に突出した3本の環状リブが形成されている(
図2参照)。
図2では環状リブが等間隔で設けられているが、1つのリブから構成されてもよい。材質としては従来のエアゾール容器に用いられている物であれば特に限定されず、例えばアルミニウムやブリキなどの金属を用いることができる。
【0038】
中栓64は耐圧容器の内面と当接する円板状のものであり、中心にチューブ装着部材を挿入する挿入孔を有し、側面外周に上下に並んだ2つの環状凹部を有し、そして、環状凹部を繋ぐ円筒面を有している。この環状凹部に、それぞれOリング66が装着される。この中栓64は、耐圧容器の環状リブ挟まれて、耐圧容器内に固定される。そして、Oリング66が耐圧容器の環状リブの間の内面によって押圧され、弾性変形され上下の収容部の間がシールされる。
【0039】
チューブ装着部材63は、円筒状の胴部と、胴部の上部に半径方向外側に広がり中栓64の上面部に係止する上係止爪および胴部の下端に半径方向外側に広がり中栓64の下面部に係止する下係止爪を備えており、これらの係止爪により中栓64の貫通孔に係合している。さらに、チューブ装着部材63の胴部外面に環状の凹部が形成され、この環状凹部にOリング65が装着される。Oリング65を介することでチューブ装着部材63と中栓64間の遮断性を保つことができる。
【0040】
また、チューブ装着部材63は中心にチューブ62を挿入する挿入孔を有し、その挿入孔にチューブ62の下部が装着されている。そして、チューブ62の上部はハウジング61に装着されていることにより、下収容部とハウジング61の内部とが連通する。
【0041】
前記2液吐出エアゾールバルブは、耐圧容器のビード部に固着されるマウンティングキャップと、マウンティングキャップの中央に保持されるハウジング61と、ハウジング61に上下動自在に収容され、内側ステム内通路51および外側ステム内通路52を備えたステム5、内側ステム内通路51とハウジング内部(下部)との間のステム孔を開閉する下ステムラバーおよび外側ステム内通路52とハウジング内部(上部)との間のステム孔を開閉する上ステムラバー、ステム5を常時上向きに付勢し、各ステム孔が各ステムラバーによりシールされる位置にするスプリングとからなる。
【0042】
ハウジング61は、スプリングを支持する底部と、底部から上方に伸びる筒状の胴部と、胴部の上部内面に2つのステムラバーを保持するラバー保持部と、胴部の上部外面に外側に突出するフランジ部と、底部から下方に伸びる筒状部と、底部の中心にハウジング内部(下部)と下収容部とをチューブ62を介して連通する下孔と、フランジ部にハウジング内部(上部)と上収容部とを連通する横孔とを備えている。
【0043】
ステム5は、外筒の中に外筒の内径よりいくらか細い外径の内筒を上端が突出するように、隙間を介して同心状に形成され、外筒と内筒の間の外側ステム内通路52と、内筒内の内側ステム内通路51との2つの独立した通路を備えている。また、内側ステム内通路51の下部とハウジング61内部(下部)とを連通するステム孔、外側ステム内通路52の下部とハウジング61内部(上部)とを連通するステム孔を備える。ステム5の下部が常時スプリングによって上方に付勢されることで、各ステム孔が各ステムラバーにより塞がれ、ハウジング61内部と各ステム内通路とが遮断される。
【0044】
2液吐出部材4は円筒状の本体、その側面から前方に延伸され2種類のエアゾール組成物をそれぞれ別々の通路から吐出するための内側吐出孔41および外側吐出孔42を備えたノズル部、底部に設けられたエアゾール製品のステム5を装着するステム装着部を備えている。また、その内部には、内側吐出孔41と内側ステム内通路51とを連通する吐出経路Y1、および外側吐出孔42と外側ステム内通路52とを連通する吐出経路Y2を備える。
【0045】
ノズル部は、直径の異なる内側ノズルと外側ノズルが同心円状に配置された形状であり、内側ノズルの開口部である内側吐出孔41および外側ノズルと内側ノズルとの間で形成された開口部である外側吐出孔42を有する。また、
図2に示す内側ノズルおよび外側ノズルの本体から延伸された長さは同じ、つまり両ノズルの端面(内側吐出孔41および外側吐出孔42)が同一面上に存在するが、二重吐出物の内側吐出物が全て外側吐出物に包囲されやすくなるように、内側ノズルを外側ノズルよりも短くするなど、各エアゾール組成物の特性や発泡性などに応じて各ノズルの長さを適宜調整することができる。
【0046】
図2に示す実施形態における2液型エアゾール製品のエアゾール組成物が吐出される過程および状態について説明する。まず、エアゾール製品を倒立にして、2液吐出部材4を指などで耐圧容器側(
図2における下方向)に押圧し、エアゾール製品Bのステム5を押し込むことで、各ステムラバーに遮断されていたハウジング内部(下部)と内側ステム内通路51とを連通するステム孔およびハウジング内部(上部)と外側ステム内通路52とを連通するステム孔が開放される。これにより、耐圧容器の下収容部に充填されたエアゾール組成物b1が、チューブ62、ハウジング61内(下部)、ステム孔、内側ステム内通路51を経て内側吐出孔41から吐出される(内側吐出物)。同時に、耐圧容器の上収容部に充填されたエアゾール組成物b2が、ハウジング61内(上部)、ステム孔、外側ステム内通路52を経て外側吐出孔42から吐出される(外側吐出物)。そして、両吐出物は内側吐出孔41および外側吐出孔42の形状に倣って吐出されるため、内側吐出物が外側吐出物により包囲された二重吐出物を形成する。なお、図は正立であるが、使用時には倒立にして使用する。
【0047】
図1に示した実施形態と同様、エアゾール組成物b1の吐出経路Y1およびエアゾール組成物b2の吐出経路Y2が、それぞれ独立して設けられていることが好ましい。このように各吐出経路が独立していることにより、吐出されるまで両エアゾール組成物が混ざり合うことなく移動するため、内側吐出物が外側吐出物に包囲された二重吐出物を形成しやすくなる。
【0048】
図3に示すエアゾール製品Cは、外部容器内に内部容器を有し、内部容器内および外部容器と内部容器との間にエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品であり、
図2に示す2液吐出部材4を装着することで二重吐出物を吐出することができる。
【0049】
エアゾール製品Cは、内部を視認できる外部容器71、連結部材73、内部容器72およびステム5を有する2液吐出エアゾールバルブを有する二重構造容器、ならびに内部容器72に充填された内容物c1および外部容器71と内部容器72との間の空間に充填された内容物c2からなるエアゾール製品である。
【0050】
外部容器71は、内部を視認できる合成樹脂製の耐圧容器であるため、内部容器の形状や大きさを目視で確認することができ、内容物の残量を容易に確認できる。さらに、内部容器の少なくとも一部が内部を視認できるシートで構成されている場合は、内容物の外観残量などを視認することができる。
【0051】
外部容器71は、底部、筒状の胴部、テーパー状の肩部、円筒状の首部およびその上端に肉厚の口部を備えている。首部および口部は同軸に並んでおり、内径を同じとしている。つまり、口部の外周面は、首部の外周面より半径方向外側に突出している。
【0052】
外部容器71としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどのポリエステル、ナイロンなどのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどの透光性を有する合成樹脂からなる有底筒状のパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成型によって成型されたものを使用することができる。筒状のパリソンをダイレクトブロー成型により成型したものでもよい。また、外部容器71は合成樹脂に紫外線吸収剤や顔料を含有して成型することにより、紫外線に対する内容物の安定性を向上させることができる。さらに、外部容器の内面および/または外面に炭素やシリカなどを、透過性を損なわない程度に蒸着することにより、加圧剤や原液中の水分などの透過を防止することができる。なお、合成樹脂以外にもソーダガラスやホウケイ酸ガラスなどのガラスを用いてもよい。その場合は、合成樹脂を変質、分解させるような内容物(2液式染毛剤の1剤:アルカリ)であっても安定に保管できる。
【0053】
内部容器72は、可撓性の収容部、および、収容部の開口部と貼着して一体化し、バルブアッセンブリに連結する連結部材73とからなる。
【0054】
収容部は、複数枚のシートを重ね合わせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着などにより貼り合わせたパウチであり、開口部は連結部材73の貼着部に溶着や接着などで貼着されている。
【0055】
当該パウチを構成するシートとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの耐薬品性に優れた耐薬品シート、ナイロン(NY)、エバール(EVOH)などガスバリア性に優れたガスバリアシートなどの単層シートまたはこれらを積層した積層シートなどの合成樹脂シート、前記樹脂シートにシリカ(Si)やアルミナ(Al
2O
3)、炭素(C)などを蒸着した蒸着樹脂シート、アルミニウム(Al箔)などの金属箔シート、金属箔シートと合成樹脂シートを積層した金属/樹脂シートなどが挙げられる。これらの材質は収容部に充填される内容物や吐出製品の使用目的に応じて適宜選択することができる。なかでも、充填された内容物の外観が視認でき、吐出した時の発泡による変化が強調されることから、少なくとも一部が内部を視認できるシートで構成されたパウチとすることが好ましい。内部を視認できるパウチとしては、合成樹脂シートで製袋したパウチ、合成樹脂シートと蒸着樹脂シートで製袋したパウチ、合成樹脂シートと金属箔シートで製袋したパウチ、一部蒸着していない蒸着樹脂シートで製袋したパウチなどが挙げられ、合成樹脂シートには耐薬品シートとガスバリアシートを積層した積層シートを用いることが、内容物中の噴射剤がパウチを透過してもう一方の内容物へ移ることがなく、内容物の組成が変わらないという理由から好ましい。
【0056】
連結部材73は、収容部の開口部をその外周面に貼着する柱状の貼着部と、パウチの開口部から底部まで延伸された下部筒部、および、2液吐出エアゾールバルブのハウジングと連結する上部筒部を備えている。連結部材の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアセタール等の合成樹脂が挙げられ、パウチを構成するシートの最内層と同じ材質を用いることが、加熱や超音波などによる溶着が容易になるという理由から好ましい。
【0057】
前記2液式エアゾールバルブは
図2に示すものと同様のものが使用できる。また、前述のように
図2に示す2液吐出部材4を装着することで二重吐出物を吐出することができる。
【0058】
図3に示す実施形態における2液型エアゾール製品のエアゾール組成物が吐出される過程および状態について説明する。まず、エアゾール製品を倒立にして、2液吐出部材(図示せず)を指などで耐圧容器側(
図2における下方向)に押圧し、エアゾール製品Cのステム5を押し込むことで、各ステムラバーに遮断されていたハウジング内部(下部)と内側ステム内通路51とを連通するステム孔およびハウジング内部(上部)と外側ステム内通路52とを連通するステム孔が開放される。これにより、内部容器に充填されたエアゾール組成物c1が、連結部材73の下部筒部、ハウジング61内(下部)、ステム孔、内側ステム内通路51を経て内側吐出孔(図示せず)から吐出される(内側吐出物)。同時に、外部容器と内部容器の間の空間に充填されたエアゾール組成物c2が、ハウジング61内(上部)、ステム孔、外側ステム内通路52を経て外側吐出孔(図示せず)から吐出される(外側吐出物)。そして、両吐出物は内側吐出孔および外側吐出孔の形状に倣って吐出されるため、内側吐出物が外側吐出物により包囲された二重吐出物を形成する。なお、図は正立であるが、使用時には倒立にして使用する。
【0059】
図2に示した実施形態と同様、エアゾール組成物c1の吐出経路およびエアゾール組成物c2の吐出経路が、それぞれ独立して設けられていることが好ましい。このように各吐出経路が独立していることにより、吐出されるまで両エアゾール組成物が混ざり合うことなく移動するため、内側吐出物が外側吐出物に包囲された二重吐出物を形成しやすくなる。
【0060】
図3の形態では、内部容器に充填した内容物が内側吐出物になるため、後述する噴射剤の含有量や種類を組み合わせて、外側吐出物よりも吐出後の密度が小さい内容物としている。詳しくは、エアゾール組成物c1の噴射剤の含有量をエアゾール組成物c2よりも多くするなどの方法が挙げられる。なお、内部容器に噴射剤を充填する場合、内部容器内の圧力が高くなり過ぎると内部容器が破裂する危険性があるため、内部容器と外部容器の間の空間には内部容器内の圧力よりも高くしておくことが好ましい。
【0061】
図4に示すエアゾール製品Dは、外部容器内に内部容器を有し、内部容器内および外部容器と内部容器との間にエアゾール組成物が充填されたエアゾール製品であり、
図1に示す押ボタン1と同様の2液吐出装置を装着することで二重吐出物を吐出することができる。
【0062】
エアゾール製品Dは、内部を視認できる外部容器91、2つのエアゾールバルブを有するバルブアッセンブリおよび一方のエアゾールバルブに接続された内部容器94を有する二重構造容器、ならびに内部容器94に充填された内容物d2および外部容器91と内部容器94との間の空間に充填された内容物d1からなるエアゾール製品である。
【0063】
外部容器91としては、
図3に示した実施形態と同様のものが挙げられる。
【0064】
内部容器94は、可撓性の収容部と、その開口部に貼着された連結部材92とからなり、一方のエアゾールバルブにのみ接続されている。
【0065】
収容部は、
図3に示した実施形態と同様に、複数枚のシートを重ね合わせ、または、1枚のシートを折り合わせた後、周縁部を熱溶着や接着などにより貼り合わせたパウチである。収容部を構成するシートとしては、
図3に示した実施形態と同様のものが挙げられる。
【0066】
連結部材92は、下部に収容部の開口部を貼着する面を有する貼着部を備えており、上部に各エアゾールバルブのハウジングと連結する筒状の連結部を備えている。なお、貼着部にシートを接着しても良い。また、連結部材の内部には、流路部材(チューブ)を挿入するための上下に貫通する貫通孔が形成されている。連結部材の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアセタール等の合成樹脂が挙げられ、収容部を構成するシートの最内層と同じ材質を用いることで加熱や超音波などによる溶着が容易になり好ましい。
【0067】
連結部材92の下部筒部には、パウチの開口部から底部に伸びたチューブ93が装着されている。
【0068】
前記バルブアッセンブリは、外部容器91の開口部を閉じるバルブホルダー、そのバルブホルダーに保持され内部容器94に接続された吐出バルブおよび内部容器が接続されておらず、下筒部に外部容器91の底部に伸びたチューブ95が装着された吐出バルブ、ならびに、バルブホルダーおよび両エアゾールバルブを覆うように固定し、かつ、バルブホルダーを外部容器91の開口部に固定するマウンティングカップとからなる。
【0069】
バルブホルダーは、外部容器91の開口部内面に沿って挿入される円柱状の栓部と、外部容器91の上部に配置される円柱状の蓋部と、蓋部の下端に形成され、半径方向外側に突出するフランジ部とを有する。フランジ部は、外部容器91の口部の上面に配置される。栓部の外周には、Oリングを保持する環状凹部が形成されている。また、バルブホルダーには、栓部から蓋部にかけて上下に貫通して形成された2つの筒状のホルダー部を備え、これらのホルダー部に両エアゾールバルブが嵌合される。
【0070】
ホルダー部は、栓部から蓋部にかけて上下に貫通する貫通孔と、その外側に設けられる環状の係止溝と、貫通孔内に下方に向かって縮径するように設けられた環状の段部とを備えている。
【0071】
前記両エアゾールバルブは同じものであるが、一方は内部容器94が接続され、他方はチューブ95を介して外部容器91と内部容器94との間の空間と外部とを連通させるものである。
【0072】
両エアゾールバルブのハウジングは、スプリングを支持する環状の底部と、上部内面に形成されたステムラバーを保持する環状のラバー保持部と、上部外面に形成された半径方向外側に突出する環状のフランジ部と、そのフランジ部の下方に設けられた環状の溝部と、下面に形成された下方に突出する筒状の連結部とからなる。なお、環状の溝部には、Oリングが保持される。
【0073】
両エアゾールバルブは、カバーの上部側面を各ハウジングの半径方向に環状にカシメることによりステムおよびステムラバーを各ハウジングに固定し、ステム孔をステムラバーにより常時シールする。
【0074】
両エアゾールバルブは、バルブホルダーのホルダー部の貫通孔に挿入される。その際、各エアゾールバルブのカバーの下端が係止溝に挿入され、各エアゾールバルブの各Oリングは段部に当接されることで貫通孔と各エアゾールバルブとの間がシールされる。
【0075】
マウンティングカップは、バルブホルダーならびに各エアゾールバルブおよびを覆う円筒状のカバー部と、バルブホルダーのフランジ部と外部容器91の口部とを固定し、カバー部より大きい径の円筒状の固定部とを有する。カバー部は、その上底にエアゾールバルブのステムを通す2つの挿通孔を有している。また、カバー部は、その上底の下面と各エアゾールバルブおよびのカバーの上面とが当接するように下方に押し付けられた状態でカシメられており、上面に凹み部が形成されている。
【0076】
前述のように
図1に示す押ボタン1を両エアゾールバルブのステム81および82に装着することで二重吐出物を吐出することができるエアゾール製品となる。
【0077】
図4に示す実施形態における2液型エアゾール製品のエアゾール組成物が吐出される過程および状態について説明する。まず、押ボタン(図示せず)を指などで下方向に押圧し、エアゾール製品Dのステム81、82を同時に押し込むことでエアゾールバルブのステム孔が開き、外部容器91と内部容器92の間の空間と内部容器92内がそれぞれ大気と連通する。外部容器と内部容器の間の空間に充填されていたエアゾール組成物d1はチューブ95、ハウジング、ステム81の開口部を通り、本体内通路(図示せず)を経て内側吐出孔(図示せず)から吐出される(内側吐出物)。同時に、内部容器94に充填されていたエアゾール組成物d2は、チューブ93、ハウジング、ステム82の開口部を通り、本体内通路(図示せず)を経て外側吐出孔(図示せず)から吐出される(外側吐出物)。そして、両吐出物は内側吐出孔および外側吐出孔の形状に倣って吐出されるため、内側吐出物が外側吐出物により包囲された二重吐出物を形成する。なお、
図3と同じように、噴射剤の含有量や種類を組み合わせて、内部容器に内側吐出物となるエアゾール組成物を充填し、外部容器と内部容器の間の空間に外側吐出物となるエアゾール組成物を充填しても良い。
【0078】
図1に示した実施形態と同様、エアゾール組成物d1の吐出経路およびエアゾール組成物d2の吐出経路が、それぞれ独立して設けられていることが好ましい。このように各吐出経路が独立していることにより、吐出されるまで両エアゾール組成物が混ざり合うことなく移動するため、内側吐出物が外側吐出物に包囲された二重吐出物を形成しやすくなる。
【0079】
本発明の2液型エアゾール製品に係るエアゾール組成物は、原液および噴射剤からなるエアゾール組成物であり、内側吐出物が外側吐出物よりも密度が小さい二重吐出物となるよう、含有する成分および噴射剤の種類や含有量を適宜調整すればよい。
【0080】
外側吐出物
前記外側吐出物としては、ほとんど発泡しない吐出物や、発泡性の低い吐出物が好ましく、例えば、クリーム、ゲル、発泡性の低い泡などが挙げられる。なお、発泡性の低い吐出物とは、単独で吐出し、吐出物が吐出後に発泡して安定した泡を形成したときの25℃における吐出物の密度が0.03〜1.0g/mlであることが好ましい。
【0081】
前記外側吐出物がクリームの場合、当該外側吐出物となるエアゾール組成物は原液中に界面活性剤、油分、水を含有する。
【0082】
前記界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ラウリルベタインなどの両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコン系界面活性剤などが挙げられる。
【0083】
前記油分としては、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーンオイル、油脂などの液体油分、高級アルコール、高級脂肪酸、ロウ類などの固形油分などが挙げられる。
【0084】
前記原液中には界面活性剤、油分、水の他に必要に応じて、1価の低級アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、粉体、有効成分などを含有してもよい。
【0085】
前記原液の含有量は、エアゾール組成物(クリームの場合)中に85〜99.9質量%が好ましく、90〜99.8質量%がさらに好ましい。
【0086】
前記エアゾール組成物(クリームの場合)は、噴射剤として液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスおよびこれらの混合ガスなどを含有してもよい。
【0087】
前記噴射剤として、液化石油ガスを用いた場合は、クリームを発泡させることができ、ジメチルエーテルを用いた場合は、ジメチルエーテルの気化熱で冷却し、冷たいクリームにすることができる。
【0088】
前記液化ガスを含有する場合の含有量は、エアゾール組成物(クリームの場合)中に1〜15質量%が好ましく、2〜10質量%がさらに好ましい。
【0089】
前記噴射剤として、炭酸ガスを用いた場合は、クリームを微発泡させることができ、窒素ガスを用いた場合は、クリームのまま吐出することができる。
【0090】
前記圧縮ガスを含有する場合の含有量は、耐圧容器内の25℃における圧力が0.2〜0.9MPaが好ましく、0.3〜0.8MPaがさらに好ましい。なお、液化ガスと圧縮ガスを併用してもよい。
【0091】
前記外側吐出物がゲルの場合、当該外側吐出物となるエアゾール組成物は原液中に水溶性高分子、水を含有する。
【0092】
前記水溶性高分子としては、例えば、キサンタンガムなどの微生物系多糖類、カラギーナンなどの植物系多糖類、カルボキシビニルポリマーなどのアクリル酸やイタコン酸エステルからなる共重合体などの架橋型アクリル系高分子、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系高分子などが挙げられる。
【0093】
前記原液中には水溶性高分子、水の他に必要に応じて、界面活性剤、1価の低級アルコール、多価アルコール、油分、粉体、有効成分などを含有してもよい。
【0094】
前記原液の含有量は、エアゾール組成物(ゲルの場合)中に60〜95質量%が好ましく、70〜90質量%がさらに好ましい。
【0095】
前記エアゾール組成物(ゲルの場合)は、噴射剤として液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガス、窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスおよびこれらの混合ガスなどを含有してもよい。
【0096】
前記噴射剤として、液化石油ガスを用いた場合は、ゲルを発泡させることができ、ジメチルエーテルを用いた場合は、ジメチルエーテルの気化熱で冷却し、冷たいゲルにすることができる。
【0097】
前記液化ガスを含有する場合の含有量は、エアゾール組成物(ゲルの場合)中に5〜40質量%が好ましく、10〜30質量%がさらに好ましい。
【0098】
前記噴射剤として、炭酸ガスを用いた場合は、ゲルを微発泡させることができ、窒素ガスを用いた場合は、ゲルのまま吐出することができる。
【0099】
前記圧縮ガスを含有する場合の含有量は、耐圧容器内の25℃における圧力が0.2〜0.9MPaが好ましく、0.3〜0.8MPaがさらに好ましい。なお、液化ガスと圧縮ガスを併用してもよい。
【0100】
前記外側吐出物が発泡性の低い泡の場合、当該外側吐出物となるエアゾール組成物は原液中に界面活性剤、水を含有している。
【0101】
前記界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ラウリルベタインなどの両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコン系界面活性剤などが挙げられる。
【0102】
前記原液中には界面活性剤、水の他に必要に応じて、1価の低級アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、油分、粉体、有効成分などを含有してもよい。
【0103】
前記1価の低級アルコールを含有することにより、吐出物の消泡性が良くなり、内側吐出物が外側吐出物の隙間を押し広げ、さらにその隙間で消泡し液状化するため、両吐出物が混ざりやすくなる。
【0104】
前記1価の低級アルコールを含有する場合の含有量は、原液中に3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%が好ましい。前記上限を上回ると、吐出物が発泡しにくくなる傾向がある。また、前記下限を下回ると低級アルコールを含有することによる効果が得られない傾向がある。
【0105】
前記原液の含有量は、エアゾール組成物(発泡性の低い泡の場合)中に90〜99質量%が好ましく、92〜98質量%がさらに好ましい。
【0106】
前記エアゾール組成物(発泡性の低い泡の場合)は、噴射剤として液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスを用いることが好ましく、窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスを混合ガスしてもよい。
【0107】
前記液化ガスを含有する場合の含有量は、エアゾール組成物(発泡性の低い泡の場合)中に1〜10質量%、さらに2〜8質量%であることが好ましい。
【0108】
前記圧縮ガスを含有する場合の含有量は、耐圧容器内の25℃における圧力が0.2〜0.7MPaが好ましく、さらに0.3〜0.6MPaがさらに好ましい。
【0109】
内側吐出物
前記内側吐出物としては、発泡性の高い吐出物が好ましく、例えば、発泡性の高い泡などが挙げられる。発泡性が高い吐出物とは、単独で吐出し、吐出物が吐出後に発泡して安定した泡を形成したときの25℃における吐出物の密度が0.001〜0.10g/mlであることが好ましい。
【0110】
前記内側吐出物が発泡性の高い泡の場合、当該内側吐出物となるエアゾール組成物は原液中に界面活性剤、水を含有している。
【0111】
前記界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEアルキルエーテル、POE・POPアルキルエーテルなどのノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤、ラウリルベタインなどの両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体などのシリコン系界面活性剤などが挙げられる。
【0112】
前記原液中には界面活性剤、水の他に必要に応じて、1価の低級アルコール、多価アルコール、水溶性高分子、油分、粉体、有効成分などを含有してもよい。
【0113】
前記原液の含有量は、エアゾール組成物(発泡性の高い泡の場合)中に25〜95質量%が好ましく、30〜90質量%がさらに好ましい。
【0114】
前記エアゾール組成物は、噴射剤として液化石油ガス、ジメチルエーテルなどの液化ガスを用いることが好ましく、窒素ガス、炭酸ガスなどの圧縮ガスを混合してもよい。
【0115】
前記液化ガスを含有する場合の含有量は、エアゾール組成物(発泡性の高い泡の場合)中に5〜75質量%が好ましく、10〜70質量%がさらに好ましい。
【0116】
前記圧縮ガスを含有する場合の含有量は、耐圧容器内の25℃における圧力が0.2〜0.7MPaが好ましく、0.3〜0.6MPaがさらに好ましい。なお、液化ガスと圧縮ガスを併用してもよい。
【0117】
前述した各エアゾール組成物(外側吐出物となるエアゾール組成物および内側吐出物となるエアゾール組成物)が含有できる有効成分としては、
例えば、
パラフェニレンジアミン、硫酸パラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、メタアミノフェノールなどの酸化染料;
アマランス(赤色2号)、ローズベンガル(赤色105号)、タートラジン(黄色4号)、ファストグリーン(緑色3号)、ブリリアントブルーFCF(青色1号)、レゾルシンブラウン(かっ色201号)、ナフトールグリーンB(緑色401号)、アリズロールパープル(紫色401号)、ナフトールブルーブラック(黒色401号)などの酸性染料
4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、2−ニトロ−p−フェニレンジアミン、1−アミノ−4−メチルアントラキノンなどの直接染料;
2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モノエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンや、アンモニア、水酸化カリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤;
無水亜硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウム、ペンテト酸、リン酸水素2ナトリウム、エチドロン酸、EDTAなどの安定化剤;
トウガラシチンキ、アセチルコリン、センブリエキス、ヨウ化ニンニクエキス、イチョウエキス、センブリ抽出エキス、オトギリソウエキス、ミノキシジル、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、ビタミンB6塩酸塩、γ−オリザノール、サークレチン、クロマカリム、セファランチン、ニコランジル、DL−α−トコフェロール、D−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、酢酸D−α−トコフェロール、ニコチン酸、DL−α−トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ピナシジルなどの血行促進剤;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤;
カチオン性界面活性剤、シリコーン誘導体などのトリートメント剤;
パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌・防腐剤;
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどの紫外線吸収剤;
グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸;
レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどのビタミン類;
アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤;
シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などの各種抽出液;
ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどの消臭・防臭剤;
l−メントール、カンフルなどの清涼剤;
クロロヒドロキシアルミニウムなどの制汗剤;
酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤;
合成香料、天然香料などの香料;などが挙げられる。
【0118】
前述のエアゾール組成物を組み合わせて外側吐出物よりも内側吐出物の密度を小さくすることにより、吐出物が均一に混ざりやすくなる。吐出物の密度を小さくするには、噴射剤の含有量を多くする、蒸気圧の高い液化ガスを使用するなどの方法がある。
【0119】
前記外側吐出物と内側吐出物中に液化ガスを含有する場合の含有比は5/95〜50/50とすることにより、吐出後に内側吐出物が膨張し外側吐出物を押し広げて膨らむため、両吐出物が接触する面積が広くなり、混ざりやすい。
【0120】
前記内側吐出物の密度が外側吐出物の密度よりも小さいことが好ましく、詳しくは内側吐出物の密度と外側吐出物の密度の比率は1.0:1.5〜1.0:200が好ましく、1.0:2.0〜1.0:100がより好ましい。上記の要件を満たすことで、吐出後に内側吐出物が膨張し外側吐出物の隙間を通過しながら押し広げて膨らむため、両吐出物が接触する面積が広くなり、混ざりやすい。しかし、前記上限を超えると、内側吐出物の発泡性が良すぎるため外側吐出物の隙間に入りにくくなり、混ざりにくくなる傾向がある。また、前記下限を下回ると、内側吐出物が外側吐出物を押し広げられず、両吐出物の接触面積が少なく混ざりにくくなる傾向がある。
【実施例】
【0121】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0122】
エアゾール製品A〜H
実施例および比較例に用いる下記の試験用エアゾール製品A〜Hを調製した。
【0123】
試験用エアゾール製品A
下記の原液16g(40質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*1)24g(60質量%)を充填し、試験用エアゾール製品Aを製造した。
【0124】
<原液>
PEG−20ソルビタンココエート(*2) 1.0
POE(20)モノステアレート(*3) 0.1
タルク 1.0
メチルパラベン 0.1
エタノール 5.0
精製水 92.8
合計(質量%) 100.0
*1:ノルマルブタンとイソブタンの混合物、25℃での蒸気圧:0.20MPa
*2:NIKKOL TL−10(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*3:NIKKOL TS−10(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
【0125】
試験用エアゾール製品B
下記の原液16g(40質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*1)24g(60質量%)を充填し、試験用エアゾール製品Bを製造した。
【0126】
<原液>
PEG−20ソルビタンココエート(*2) 0.5
ヒドロキシエチルセルロース(*4) 1.0
シクロメチコン(*5) 5.0
グリセリン 1.0
タルク 0.5
メチルパラベン 0.1
エタノール 20.0
精製水 71.9
合計(質量%) 100.0
*4:HEC−SE850(商品名)、ダイセル化学工業株式会社製
*5:DC−345(商品名)、東レ・ダウコーニング株式会社製
【0127】
試験用エアゾール製品C
下記の原液16g(40質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*1)24g(60質量%)を充填し、試験用エアゾール製品Cを製造した。
【0128】
<原液>
POE(100)硬化ヒマシ油(*6) 3.0
PEG−20ソルビタンココエート(*2) 1.0
ミリスチン酸 (*7) 10.0
セタノール(*8) 1.0
ゼラチン(*9) 1.5
トリエタノールアミン 3.5
精製水 80.0
合計(質量%) 100.0
*6:NIKKOL HCO−100(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*7:LUNAC MY−98(商品名)、花王株式会社製
*8:セタノールTK(商品名)、高級アルコール工業株式会社製
*9:AP−100(商品名)、新田ゼラチン株式会社製
【0129】
試験用エアゾール製品D
下記の原液46g(92質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブから液化ガス(*10)4g(8質量%)を充填し、試験用エアゾール製品Dを製造した。
【0130】
<原液>
PEG−20ソルビタンココエート(*2) 1.0
メチルパラベン 0.1
精製水 98.9
合計(質量%) 100.0
*10:ノルマルブタン、イソブタンおよびプロパンの混合物、25℃での蒸気圧:0.45MPa
【0131】
試験用エアゾール製品E
下記の原液42.5g(85質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブからイソペンタン7.5g(15質量%)を充填した後に、25℃における平衡圧力が0.6MPaとなるように窒素ガスを充填し、試験用エアゾール製品Eを製造した。
【0132】
<原液>
POE(2)セチルエーテル(*11) 1.0
ミリスチン酸(*7) 4.6
ステアリン酸(*12) 2.4
ソルビトール 5.0
グリセリン 10.0
トリエタノールアミン 4.3
精製水 72.7
合計(質量%) 100.0
*11:NIKKOL BC−2(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*12:ステアリン酸550V(商品名)、花王株式会社製
【0133】
試験用エアゾール製品F
下記の原液47.5g(95質量%)をアルミニウム製耐圧容器(満注量:100ml)に充填し、エアゾールバルブを固着した。そして、エアゾールバルブからジメチルエーテル2.5g(5質量%)を充填し、25℃における平衡圧力が0.6MPaとなるように炭酸ガスを充填し、試験用エアゾール製品Fを製造した。
【0134】
<原液>
POE(20)ステアリルエーテル(*13) 1.0
PEG−45ステアレート(*14) 2.0
ステアリルアルコール(*15) 2.0
パルミチン酸イソプロピル(*16) 2.5
精製水 92.5
合計(質量%) 100.0
*13:NIKKOL BS−20(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*14:NIKKOL MYS−45V(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*15:カルコール6850(商品名)、花王株式会社製
*16:IPP(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
【0135】
試験用エアゾール製品G
下記の原液100g(99.8質量%)を内袋を有するアルミニウム製耐圧容器(内袋の満注量:100ml)の内袋に充填し、耐圧容器と内袋の間に窒素ガスをアンダーカップ充填し、エアゾールバルブを固着した。なお、窒素ガスは容器内の25℃における圧力が0.7MPaとなるように窒素ガスを充填し、試験用エアゾール製品Gを製造した。
【0136】
<原液>
カルボキシビニルポリマー(*17) 0.5
トリエタノールアミン 0.2
精製水 99.3
合計(質量%) 100.0
*17:カーボポールULTREZ10(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
【0137】
試験用エアゾール製品H
下記の原液100g(100質量%)を内袋を有するアルミニウム製耐圧容器(内袋の満注量:100ml)の内袋に充填し、耐圧容器と内袋の間に窒素ガスをアンダーカップ充填し、エアゾールバルブを固着した。なお、窒素ガスは容器内の25℃における圧力が0.7MPaとなるように窒素ガスを充填し、試験用エアゾール製品Hを製造した。
【0138】
<原液>
N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム(*18) 1.0
グリセリンステアレート(*19) 1.0
ステアリン酸(*12) 7.0
セタノール(*8) 2.0
ソルビトール 3.0
グリセリン 3.0
メチルパラベン 0.2
水酸化ナトリウム 0.8
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAl(*20) 10.0
精製水 72.0
合計(質量%) 100.0
*18:アミソフトGS−11P(商品名)、味の素株式会社製
*19:NIKKOL MGS−ASEV(商品名)、日光ケミカルズ株式会社製
*20:DRY FLO PURE(商品名)、アクゾノーベル株式会社製
【0139】
実施例1〜6および比較例1〜4
得られた試験用エアゾール製品A〜Gについて下記の評価を行った。結果を表1および2に示す。
【0140】
(1)吐出物の密度
得られた試験用エアゾール製品を25℃の恒温水槽中に1時間保持した後、容積25mlの半球状のガラス容器に吐出した。吐出物の状態が安定したとき(発泡する吐出物の場合は安定した泡を形成したとき)にガラス容器からはみ出た吐出物をすりきり、ガラス容器内の吐出物の質量を測定し、吐出物の密度を算出した。
【0141】
(2)吐出物の状態
25℃の恒温水槽中に1時間保持した試験用エアゾール製品を組み合わせて、
図1に示す2液吐出装置を取り付け、試験用2液型エアゾール製品を製造した。得られた試験用2液型エアゾール製品の内容物を同時に吐出し、吐出物の状態を評価した。評価は次の基準とする。
○1:吐出直後は、内側吐出物が外側吐出物に包囲され、その後内側吐出物が外側吐出物を押し広げ内側吐出物が外側に露出した。
○2:内側吐出物が外側吐出物に包囲され、その後もその状態が維持された。
【0142】
(3)混合容易性
25℃の恒温水槽中に1時間保持した試験用エアゾール製品を組み合わせて、
図1に示す2液吐出装置を取り付け、試験用2液型エアゾール製品を製造した。得られた試験用2液型エアゾール製品の内容物を、同時に手のひらに吐出し、吐出物を指で混ぜ合わせたときの混合容易性を評価した。評価は次の基準とする。
◎:6秒未満で容易に混合できた。
○:7〜9秒で均一に混合できた。
△:10〜15秒で均一に混合できた。
×:16秒以上で均一に混合できた。
【0143】
【表1】
【0144】
【表2】