【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、独立行政法人科学技術振興機構、研究題目「テラバイト時代に向けたポリマーによる三次元ベクトル波メモリ技術の実用化研究」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【解決手段】光源が出力した光を空間光変調器により生成された2次元位相ページデータが光波に載せられた信号光成分、及び情報を持たない参照光成分を生成する記録光生成部2と、信号光成分と参照光成分とによって形成される干渉縞の明暗を記録する情報記録媒体6と、空間光変調器と情報記録媒体との間で、信号光成分の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング機構29とを備え、記録光生成部2は、信号光成分の位相ページデータの各画素を16分割する4行4列の画素からなる位相マスクを有し、位相マスクは、信号光成分の位相を変化させ、空間周波数フィルタリング機構29は、空間周波数フィルタリングされた信号光成分の焦点に相当する位置で、信号光成分の焦点よりも外側に分割して信号構成分を照射する。
光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分、及び情報を持たない参照光成分を生成する記録光生成部と、
前記信号光成分と前記参照光成分とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体と、
前記空間光変調器と前記情報記録媒体との間で、前記信号光成分の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング機構と、を備え、
前記記録光生成部は、前記信号光成分の前記位相ページデータの各画素を16分割する4行4列の画素からなる位相マスクを有し、
前記位相マスクは、前記信号光成分の位相を変化させ、
前記空間周波数フィルタリング機構は、空間周波数フィルタリングされた前記信号光成分の焦点に相当する位置で、位相が変化された前記信号光成分を前記焦点に相当する位置よりも外側に分割して照射することを特徴とする光情報記録再生装置。
前記位相マスクが前記信号光成分に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、前記第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させている、請求項1又は2に記載の光情報記録再生装置。
前記位相マスクの画素は、前記信号構成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、前記直線偏光成分の位相を正の方向にずらす行と負の方向にずらす行とが交互に配列され、かつ、前記直線偏光成分の位相を正の方向にずらす列と負の方向にずらす列とが交互に配列されている、請求項1に記載の光情報記録再生装置。
光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分と、情報を持たない参照光成分と、を干渉させて干渉縞を形成し、前記干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として情報記録媒体に記録する光情報記録再生装置に用いられる位相マスクであって、
前記信号光成分の前記位相ページデータの各画素を16分割する4行4列の画素で、前記信号光成分の位相を変化させて前記信号光成分を分割することを特徴とする位相マスク。
前記信号光成分に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、前記第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させる、請求項7に記載の位相マスク。
前記位相マスクの画素は、前記信号光成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、前記直線偏光成分の位相を正の方向にずらす行と負の方向にずらす行とが交互に配列され、かつ、前記第1直線偏光成分の位相を正の方向にずらす列と負の方向にずらす列とが交互に配列されている、請求項7に記載の位相マスク。
光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分と、情報を持たない参照光成分とを生成する記録光生成工程と、
前記空間光変調器から出力された前記信号光成分の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング工程と、
前記信号光成分と前記参照光成分とを情報記録媒体に照射して前記信号光成分と前記参照光成分とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録工程とを備え、
前記記録光生成工程は、前記信号光成分の前記位相ページデータの各画素を4行4列の画素に分割する位相マスクによって前記信号光成分の位相を変化させ、
前記空間周波数フィルタリング工程は、空間周波数フィルタリングされた前記信号光成分の焦点に相当する位置で、位相が変化された前記信号光成分を前記焦点に相当する位置よりも外側に分割して照射することを特徴とする光情報記録再生方法。
前記記録光生成工程は、前記位相マスクが、前記信号光成分のみの位相を変化させると共に、前記参照光成分の位相をそのまま透過させている、請求項11に記載の光情報記録再生方法。
前記記録光生成工程は、前記位相マスクが前記信号光に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、前記第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させている、請求項12に記載の光情報記録方法。
前記位相マスクは、前記記録光成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、正の方向と負の方向とに位相を行ごとに交互ずらし、かつ、正の方向と負の方向とに位相を列ごとに交互にずらしている、請求項11に記載の情報記録方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[基本構成]
まず、本発明に係る光情報記録再生装置の基本構成について説明する。この光情報記録再生装置は、光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分、及び情報を持たない参照光成分を生成する記録光生成部と、信号光成分と参照光成分とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体と、空間光変調器と情報記録媒体との間で、信号光成分の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング機構とを備えている。
【0019】
記録光生成部は、信号光成分の位相ページデータの各画素を16分割する4行4列の画素からなる位相マスクを有し、位相マスクは、信号光成分の位相を変化させている。また、空間周波数フィルタリング機構は、空間周波数フィルタリングされた信号光成分の焦点に相当する位置で、位相が変化された信号光成分を前記焦点に相当する位置よりも外側に分割して照射する。
【0020】
なお、位相マスクは、信号光成分のみの位相を変化させると共に、参照光成分の位相をそのまま透過させるように構成することができる。また、位相マスクは記信号光成分に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、この第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させるように構成することもできる。さらに、
【0021】
前記位相マスクの画素は、前記信号光成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、前記直線偏光成分の位相を正の方向にずらす行と負の方向にずらす行とが交互に配列され、かつ、前記直線偏光成分の位相を正の方向にずらす列と負の方向にずらす列とが交互に配列されるように構成することもできる。位相マスクをこのように構成した場合、空間周波数フィルタリング機構において、空間周波数フィルタリング機構を構成するフーリエ変換レンズの焦点に相当する位置で信号光を4つの領域に分割して照射することができる。
【0022】
また、位相マスクは、空間光変調器とは別体に設け、光源から出力された光の光路の光源と空間光変調器との間に配置して設けるか、又は、前記空間光変調器に組み込むことによって設けることができる。
【0023】
次に本発明に係る位相マスクの基本構成について説明する。この位相マスクは、光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分と、情報を持たない参照光成分と、を干渉させて干渉縞を形成し、干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として情報記録媒体に記録する光情報記録再生装置に用いられる位相マスクである。この位相マスクは、信号光成分の位相ページデータの各画素を16分割する4行4列の画素で、信号光成分の位相を変化させて信号光成分を分割する。
【0024】
位相マスクは、信号光成分の位相のみを変化させると共に、参照光成分の位相をそのまま透過させているように構成したり、信号光成分に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させるように構成したりすることができる。
【0025】
また、位相マスクの画素は、信号光成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、直線偏光成分の位相を正の方向にずらす行と負の方向にずらす行とが交互に配列され、かつ、第1直線偏光成分の位相を正の方向にずらす列と負の方向にずらす列とが交互に配列されるように構成することもできる。位相マスクをこのように構成した場合、空間周波数フィルタリング機構において、空間周波数フィルタリング機構を構成するフーリエ変換レンズの焦点に相当する位置で信号光を4つの領域に分割して照射することができる。
【0026】
次に、本発明に係る光情報記録再生方法の基本構成について説明する、この光情報記録再生方法は、光源が出力した光を空間光変調器で変調して生成された2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光成分と、情報を持たない参照光成分とを生成する記録光生成工程と、空間光変調器から出力された信号光成分の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング工程と、信号光成分と参照光成分とを情報記録媒体に照射して信号光成分と参照光成分とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録工程とを備えている。記録光生成工程は、信号光成分の位相ページデータの各画素を4行4列の画素に分割する位相マスクによって信号光成分の位相を変化させている。空間周波数フィルタリング工程は、空間周波数フィルタリングされた信号光成分の焦点に相当する位置で、位相が変化された信号光成分を信号光成分の焦点に相当する位置よりも外側に分割して照射する。
【0027】
記録光生成工程は、位相マスクが、信号光成分のみの位相を変化させると共に、参照光成分の位相をそのまま透過させるように構成することができる。また、記録光生成工程は、位相マスクが信号光に含まれる第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させるように構成することができる。
【0028】
位相マスクは、記録光成分をなす直線偏光成分の位相を隣り合う画素同士で相互に1/2πずつずらし、かつ、正の方向と負の方向とに位相を行ごとに交互ずらし、かつ、正の方向と負の方向とに位相を列ごとに交互にずらすように構成することができる。位相マスクをこのように構成した場合、空間周波数フィルタリング機構において、空間周波数フィルタリング機構を構成するフーリエ変換レンズの焦点に相当する位置で信号光を4つの領域に分割して照射することができる。
【0029】
この光情報記録再生装置によれば、情報記録媒体の材料の消費を抑制すると共に均等に消費させること、シフト多重記録におけるシフト選択性を向上させること、及び空間的位相シフト法により位相値を抽出することができる。
【0030】
本発明に係る光情報記録再生装置は、単一光波の中の、信号光と参照光とを同一の経路を進行させ、かつ、2つの偏光成分を信号光と参照光として利用するリターダグラフィの光学系、信号光と参照光とを同一の経路を進行させ、かつ、ホログラム面に対して参照光を垂直に照射させるインラインホログラフィの光学系、及び信号光と参照光とを異なる経路を進行させるオフアクシスホログラフィに適用される。ホログラフィの光学系は、1つの空間光変調器のみを用いて信号光を生成するシングルチャネル偏光ホログラフィ及び2つの中間光変調器を用いて信号光を生成するデュアルチャネル偏光ホログラフィを含んでいる。
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の記載や図面にのみ限定されるものではない。なお、本明細書では、信号光成分を単に信号光といい、参照光成分を単に参照光という。
【0032】
[第1実施形態]
光情報記録再生装置1Aの全体構成について、
図1を参照して、インラインホログラフィの光学系を利用した装置、特に、デュアルチャネルの装置を例にして説明する。
【0033】
この光情報記録再生装置1Aは、信号光及び参照光からなる記録光を生成する記録光生成部2と、この記録光生成部2によって生成された信号光及び参照光を照射するための照射部3と、この照射部3によって照射された信号光と参照光とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体6と、この情報記録媒体6に形成された干渉縞を撮像する撮像部7とを備えている。
【0034】
記録光生成部2は、記録用レーザ光を出力するレーザ照射部10と、レーザ照射部10から照射されたレーザ光から信号光を生成する信号光生成部20と、この信号生成部によって生成された信号光及び信号生成部を通過した参照光との空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング機構29とを備えている。
【0035】
レーザ照射部10は、レーザ光源11と、1/2波長板12と、2つのコリメータレンズ13,15と、空間フィルタ14とから構成されている。なお、レーザ光源11は、直線偏光を出力する光源である。1/2波長板12は、波長板の入射面内に光学軸を配置することで、光学軸に平行な偏光成分と垂直な偏光成分に分離し、その屈折率差によって位相差をπだけ生じさせている。その結果、直線偏光の偏光方位を任意に調整することができる。任意の偏光方位に調整された直線偏光は、コリメータレンズ13、空間フィルタ14及びコリメータレンズ15によって形成されるビームエクスパンダによってビーム径が拡大されて出力されている。
【0036】
このレーザ照射部10と信号光生成部20との間には、2つのミラー17,18と、これら2つのミラー17,18によって反射されることによって形成された楕円偏光を直線偏光に調整する1/4波長板16と、直線偏光の偏光方位を調整する1/2波長板19が配置されている。レーザ照射部10から出力され、この1/2波長板19を通過した直線偏光は、信号光生成部20に入射される。
【0037】
信号光生成部20は、
図2に示すように、偏光ビームスプリッタ21と2つの空間光変調器23,24とを備えている。
【0038】
偏光ビームスプリッタ21は、その内部に透過面22を備えており、入射した偏光に含まれるs偏光成分及びp偏光成分をs偏光とp偏光とに分離している。分離されたs偏光は、透過面22によって反射され、空間光変調器23に向けて照射され、分離されたp偏光は、透過面22を透過して空間光変調器24に照射される。
【0039】
空間光変調器23,24は、格子状に配列された複数の画素を有し、各画素に出射光の位相を変調することができるように構成されている。空間光変調器23,24としては、例えば、液晶素子を有する液晶空間光変調器と1/4波長板とを組み合わせたものを用いることができる。棒状の分子構造をもつ液晶分子が一定方向に配向した場合、その分子配向に平行な軸と垂直な軸を主軸とした複屈折が生じる。その複屈折により、二つの直交する直線偏光に位相差を与える。また、その分子配向の配向度は電気的に変調することができるため、可変位相子となる。空間光変調器は、画素毎に印加電圧を変えることで、二次元的な位相分布を与える。液晶素子を用いる場合、直線偏光基底に対する可変位相子になる。
【0040】
上記液晶空間光変調器の前面に1/4波長板を配置した場合、s偏光又はp偏光の左右円偏光成分の一方の位相が変調される。信号光生成部20は、位相が変調された第1の円偏光成分を信号光として利用し、第1の円偏光成分に直交する第2の円偏光成分を参照光として利用する。2つの空間光変調器23,24から生成された2つの信号光及び2つの参照光は、透過面22で反射されることによってs偏光の信号光及び参照光となり、透過面22を透過することによってp偏光の信号光及び参照光となる。
【0041】
以上の構成を有する記録光生成部2は、情報記録媒体6に情報を記録するときには、信号光と参照光とを照射部3に向けて照射し、情報記録媒体6に記録された情報を再生するときには、参照光のみを照射部3に向けて照射する。具体的には、記録時の入力偏光は、偏光ビームスプリッタ21の透過面22を透過する直線偏光の偏光方位に対して垂直をなすか又は平行をなす偏光以外の偏光であり、出力偏光は、偏光ビームスプリッタ21の透過面22を透過する直線偏光の偏光方位に対して垂直をなす偏光及び平行をなす偏光を重ね合わせている。なお、再生時の入力偏光も記録時の入力偏光と同じであり、再生時の出力偏光は、p偏光の参照光とs偏光の参照光とを重ね合わせたものである。
【0042】
なお、
図3に示す参照光が信号光生成部を通過せずに信号光とは別の光路を進行するオフアクシス型デュアルチャネル偏光ホログラフィの場合、信号光生成部は、
図4に示すように構成することもできる。
【0043】
図3は、オフアクシス型デュアルチャネル偏光ホログラフィの光学系を使用した光情報記録再生装置1Dの概要を示している。なお、光情報記録再生装置1Dについては、
図1に示した光情報記録再生装置1Aと同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成のみについて説明をする。この光情報記録再生装置1Dは、信号光を生成する記録光生成部2aと、この記録光生成部2aによって生成された信号光を照射するための照射部3と、この照射部3によって照射された信号光と参照光とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体6と、この情報記録媒体6に形成された干渉縞を撮像する撮像部7とを備えている。
【0044】
記録光生成部2aは、偏光ビームスプリッタ130を備えており、偏光ビームスプリッタ130で信号光と参照光とを分離している。参照光の光路は、1/2波長板19、1/4波長板、ガルバノミラー4、リレーレンズ5及びミラー3aを備えている。偏光ビームスプリッタ130から出力された参照光は、1/2波長板19及び1/4波長板を通り、ガルバノミラー4によって反射され、次いで、リレーレンズ5によって集光されその後、ミラー3aで反射されて照射部3に入射される。照射部3は、記録時には信号光及び参照光を情報記録媒体に照射し、再生時には、参照光を記録媒体に照射する。
【0045】
信号光生成部30は、
図4に示すように、直線偏光と参照波とを反射する反射ミラー31と、4つのリレーレンズ32,33,34,35と、2つの空間光変調器36,37とで構成されている。反射ミラー31で反射された信号光は、リレーレンズ32により集光され、集光された後に広がった信号光は、リレーレンズ33により平行光に変換されて空間光変調器36に入射される。空間光変調器36は、入射された平行光のうち、ある偏光成分を有する第1直線偏光成分のみを変調し2次元の位相ページデータを載せて第1信号光成分を生成する。また、空間光変調器36から出力された信号光は、リレーレンズ33により集光され、集光された後に広がった信号光は、リレーレンズ34によって平行光に変換され、1/2波長板38を通過して偏光方位を90度回転され、空間光変調器37に入射される。空間光変調器37は、入射された平行光のうち上記の第1直線偏光成分と垂直を成す偏光成分を有する第2直線偏光成分のみを変調し2次元の位相ページデータを載せて第2信号光成分を生成する。空間光変調器37から出力された信号光は、リレーレンズ34及びリレーレンズ35を通り、信号光生成部30から出力される。なお、必要に応じて、リレーレンズ35よりも出力側に1/4波長板39を設けてもよい。
【0046】
この信号光生成部30を利用する場合、記録時の入力偏光及び出力偏光は、2つの空間光変調器36,37の軸に対して平行又は垂直以外の状態である。また、再生時の入力偏光及び出力偏光は前記第1直線偏光成分と前記第2直線偏光成分の重ね合わせた状態である。なお、1/4波長板39を設けた場合、第1直線偏光成分が第1の円偏光成分に変換されると共に、前記第2直線偏光成分が前記第1の円偏光成分に直交する円偏光成分に変換される。記録時及び再生時の出力偏光は、前記した第1円偏光成分と前記第2円偏光成分の重ね合わせとなる。
【0047】
以上の構成を有する信号光生成部20から出力された出力光が2次元の位相ページデータが光波に載せられた信号光である。
図5は、この信号光の一例を示しており、4値位相ページデータを成している。この位相ページデータは、4段階の濃淡で情報を表している。
【0048】
参照光と信号光とは、信号光生成部20から出力された後に、空間周波数フィルタリング機構29によって空間周波数をフィルタリングされる。この空間周波数フィルタリング機構29は、一対のフーリエ変換レンズ26,28と空間フィルタ27とを有している。参照光と信号光とは、フーリエ変換レンズ26によって空間フィルタ27の位置に焦点が合わされている。そして、参照光と信号光とは、空間フィルタ27の位置では参照光と信号光の空間周波数分布に対応するパターンとなり、空間フィルタ27とフーリエ変換レンズ28を通過することによって、空間周波数フィルタリングされた信号光及び参照光になる。
【0049】
照射部3は、情報の記録時には、感光性を有する情報記録媒体6に信号光生成部20によって生成された信号光及び信号光生成部20をそのまま通過した参照光又は信号光生成部30を通過しない参照光を照射することによって情報を光学異方性分布又は屈折率分布して記録する情報記録媒体6に記録する光学系として機能する。一方、照射部3は、情報の再生時には、感光性を有し、かつ光学異方性分布又は屈折率分布として情報が記録された情報記録媒体6に参照光を照射する光学系として機能する。
【0050】
情報記録媒体6は、感光性を有し、照射部3と撮像部7との間に配置される。感光性を有する情報記録媒体6のうち、偏光感受性を有さないホログラフィック記録用の情報記録媒体6としては、光重合性高分子材料などが知られている。一方、感光性を有する情報記録媒体6のうち、偏光感受性を有する偏光ホログラフィック記録用の情報記録媒体6の材料としては、アゾベンゼン系材料、軸選択的光反応性分子添加ポリマー、光架橋性高分子液晶などが知られている。
【0051】
特に、偏光感受性を有する情報記録媒体6は、直線偏光又は楕円偏光を照射すると、照射した偏光の偏光方位に対応する主軸をもつ複屈折又は二色性等の光学異方性が誘起されるという性質を有する。このため、偏光感受性を有する情報記録媒体6を用いれば、原理的に偏光状態が互いに同一でない信号光と参照光を重ね合わせて照射してもホログラムとして情報を記録することが可能である。つまり、偏光ホログラフィック記録の場合には、情報記録媒体6に、3次元複屈折分布又は3次元二色性分布等の3次元光学異方性分布として情報を記録することができる。一方、偏光感受性のない情報記録媒体6を用いるホログラフィック記録の場合には、3次元屈折率分布として情報が記録される。
【0052】
記録した情報は、ホログラムに記録時の参照光と同一方向から再生信号光を照射することによって再生される。このとき、ホログラムから再生信号光が発生する。また、位相値の抽出のために、同時に記録時の信号光と同一方向から一様な位相パターンをもつ位相抽出用参照光を照射する。
図1の構成例のようなインライン型の場合は、再生信号光を位相抽出用参照光としてもよい。
【0053】
撮像部7は、
図6に示すように、撮像素子8を用いて、再生信号光と位相抽出用参照光とを重ね合わせた状態で撮像するシステムである。この撮像部7は、記録時に位相変調を行った信号光と同一の位相変調情報をもつ再生信号光と参照光との干渉縞を2次元画像として撮影するように構成されている。なお、撮像素子8としては、例えば、CCDやCMOS等を用いることができる。
【0054】
そして、この光情報記録再生装置1Aは、以上に説明した構成の他に、位相マスクを備えている。この位相マスクは、ページデータを構成する各画素をさらに4行4列の画素に分割する機能を有している。この位相マスクは、フーリエ変換レンズ26の焦点位置である空間フィルタ27の位置で、空間周波数フィルタリング機構29が備えるフーリエ変換レンズ26によってページデータが乗せられた信号光を、焦点から一定の距離だけ離れた焦点の周囲に4分割して照射させている。この光情報記録再生装置1Aは、この位相マスクが空間光変調器23,24に組み込まれている。
【0055】
図7は、位相マスクを組み込んだ空間光変調器23,24を備える信号光生成部20から出力した信号光を空間周波数フィルタリング機構29によって空間周波数をフィルタリングされた状態を示している。なお、
図7は、説明を容易にするために、一つの空間光変調器、例えば、空間光変調器23から出力された信号光のみを示している。
図7の上段は、空間周波数フィルタリング機構29のフーリエ変換レンズ26とのフーリエ変換レンズ28との間での、信号光の光路の概要を示し、
図7の下段は、焦点P付近のA部における信号光の状態を部分的に示している。
【0056】
信号光は、
図7に示すように、空間周波数フィルタリング機構29を構成するフーリエ変換レンズ26で集光されることによって、フーリエ変換レンズ26から焦点Pに向かうにつれて面積が徐々に小さくなる。そして、焦点Pの位置では、信号光は、本来信号光の焦点Pとなる点よりも外側に一定の距離だけ離れた領域に4分割されている。このように、信号光が4分割されることによって、信号光の焦点面での光強度を弱くすることができる。
【0057】
ホログラフィックメモリでは、参照光の光強度は信号光の光強度よりも強いことが望ましい。しかしながら、信号光を集光して照射した場合、従来のホログラフィックメモリでは、信号光は1箇所の光強度が相対的に強く、その周囲の光強度が弱い態様で照射される。そのため、光強度が大きな1箇所の信号光よりも大きな光強度で参照光を照射することが必要になる。
【0058】
これに対し、この実施形態の光情報記録再生装置1Aのように、焦点Pの位置で信号光を4分割させた場合、光強度が相対的に弱くなる。そのため、この実施形態の光情報記録再生装置1Aでは、参照光の光強度が相対的に弱い参照光を用いることができる。その結果、情報を記録する際、情報記録媒体6の光反応性分子の消費を抑制することができる。また、信号光が本来の焦点Pの位置よりも外側に分散されるため、光反応性分子の消費を均等化することができる。
【0059】
また、信号光が本来の焦点Pとなる点よりも外側に一定の距離だけ離れた領域に4分割されることにより、当該光情報記録再生装置1Aは、信号光と参照光との干渉により形成される干渉縞の間隔を相対的に狭くすることができる。すなわち、参照光は、空間周波数フィルタリング機構29のフーリエ変換レンズ26で集光されることにより、信号光の本来の焦点Pの位置と同じ位置に焦点が合わされて照射される。ただし、信号光は焦点面において焦点Pを中心に分布しており、中心以外の点から広がる信号光と焦点Pから広がる参照光が干渉縞を形成する。この参照光の焦点Pの位置と、信号光の焦点P以外の位置とが接近している場合、信号光と参照光とが干渉して形成する干渉縞の間隔は相対的に広くなる。干渉縞の間隔を狭くするためには、信号光の分布の中心が焦点P以外とし、かつ、その中心位置と参照光の焦点Pの位置とを一定の距離だけ離すことが必要である。
【0060】
本実施形態の光情報記録再生装置1Aは、信号光を参照光の焦点Pよりも外側に一定の距離だけ離れた領域に4分割して照射するので、信号光の分布する4つの中心の位置と参照光の焦点Pの位置とを離すことができる。その結果、干渉縞の間隔を相対的に狭くすることができる。このように、干渉縞の間隔を相対的に狭くした場合、情報記録媒体6に記録される情報のシフト多重記録におけるシフト選択性を向上させることができる。すなわち、情報記録媒体6に情報を多重的に記録するときに、情報記録媒体6のシフト量を小さくすることができる。その結果、情報記録媒体6に記録することができる情報量を多くすることができる。
【0061】
なお、位相マスクの詳細については後述する。
【0062】
[第2実施形態]
次に、
図1、
図8及び
図9を参照して、単一光波の中の、信号光と参照光とを同一の経路を進行させ、かつ、2つの偏光成分を信号光と参照光として利用するリターダグラフィの光学系を利用した光情報記録再生装置1Bの概要を説明する。なお、光情報記録再生装置1Bの基本的な構成は、
図1に示した光情報記録再生装置1Aと同様なので、光情報記録再生装置1Bの全体構成については、
図1を参照して説明する。
【0063】
この光情報記録再生装置1Bは、
図1に示すように、信号光及び参照光からなる記録光を生成する記録光生成部2と、この記録光生成部2によって生成された信号光及び参照光を照射するための照射部3と、この照射部3によって照射された信号光と参照光とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体6と、この情報記録媒体6に形成された干渉縞を撮像する撮像部7とを備えている。
【0064】
記録光生成部2は、記録用レーザ光を出力するレーザ照射部10と、レーザ照射部10から照射されたレーザ光から信号光を生成する信号光生成部20と、この信号光生成部20によって生成された信号光及び信号生成部を通過した参照光の空間周波数をフィルタリングする空間周波数フィルタリング機構29とを備えている。
【0065】
レーザ照射部10は、レーザ光源11と、1/2波長板12と、2つのコリメータレンズ13,15と、空間フィルタ14とから構成されている。なお、レーザ光源は、直線偏光を出力する光源である。このレーザ照射部10は、その構成及び作用は、第1実施形態の光情報記録再生装置1Aのレーザ照射部10と同様である。
【0066】
このレーザ照射部10と信号光生成部20との間には、2つのミラー17,18と、これら2つのミラー17,18によって反射され直線偏光に位相差を生じさせる1/2波長板19及び図示しない1/4波長板が配置されている。1/4波長板は、光学軸に平行な偏光成分と垂直な偏光成分に分離し、その屈折率差によって位相差をπ/2だけ生じさせている。その結果、光学軸の向きを調整することによって、ミラー17,18を通過して楕円偏光となった偏光状態を直線偏光に戻すことができる。1/2波長板19は、さらにその直線偏光の方位を調整することができる。
【0067】
以上の光路を経てレーザ照射部10から出力された直線偏光は、互いに直交する偏光成分を有する信号波用の直線偏光と参照波とに分離され、信号光生成部20に入射される。
【0068】
信号光生成部20は、
図8に示すように、信号波用の直線偏光と参照波とを反射する反射ミラー41と、反射された信号波用の直線偏光と参照波と集光するリレーレンズ42と、リレーレンズ42により集光された後に広がった信号波用の直線偏光と参照波とを平行光に変換するリレーレンズ43とを備えている。また、信号光生成部20は、変換された平行光が入射され、入射された平行光のうち信号波用の直線偏光のみを変調し2次元の位相ページデータを光波に載せて信号光を生成するための空間光変調器45を備えている。さらに、信号光生成部20は、空間光変調器45から出力され、リレーレンズ43によって絞られた参照光と信号光とを平行光に変換する出力用のリレーレンズ44を備えている。
【0069】
この光情報記録再生装置1Bの記録光生成部2では、記録時の入力偏光は、空間光変調器45の軸に対して平行又は垂直以外の偏光であり、記録時の出力偏光は、信号光の偏光成分が空間光変調器45の軸に対して平行をなす偏光である。一方、再生時入力偏光は、空間光変調器45の軸に対して垂直であり、再生時の出力偏光は、空間光変調器45の軸に対して垂直である。なお、必要に応じ、出力用のリレーレンズ44よりも光路の後ろ側に1/4波長板46を配置してもよい。その場合、記録時の出力偏光は、第1円偏光成分の信号光成分と前記第1円偏光成分に直交する第2円偏光成分の参照光成分との重ね合わせになる。また、再生時の出力偏光は、前記した第2円偏光成分と同じ円偏光になる。
【0070】
参照光と信号光とは、信号光生成部20から出力された後に、空間周波数フィルタリング機構29によって空間周波数をフィルタリングされる。この空間周波数フィルタリング機構29は、一対のフーリエ変換レンズ26,28と、空間フィルタ27とを有し、参照光及び信号光を、フーリエ変換レンズ26で空間フィルタ27の位置に焦点を合わさせている。空間フィルタの位置では参照光と信号光の空間周波数分布に対応するパターンとなり、空間フィルタ27とフーリエ変換レンズ28を通過することによって、空間周波数フィルタリングされた参照光と信号光になる。
【0071】
照射部3、情報記録媒体6の構成は、第1実施形態の光情報記録再生装置1Aと同様なので、その説明は省略する。
【0072】
撮像部7は、
図9に示すように、撮像素子8の直前に配置された検光子9を備えている。情報記録媒体6に記録された情報を再生し、再生した情報を撮像する際に、当該撮像部7は、検光子9の透過軸を再生信号光及び位相検出用参照光となった再生照明光の両方が一部透過する方向に調整することにより、撮像素子8上で、再生信号光と位相検出用参照光を干渉させている。また、検光子9の直前に図示しない1/4波長板を配置してもよい。情報記録媒体6に記録された情報を再生し、再生した情報を撮像する際に、1/4波長板は、再生された信号と再生のために用いた参照光との強度比を調整することができる。ただし、この1/4波長板は、必要に応じて設ければよく、必須の構成ではない。
【0073】
この光情報記録再生装置1Bは、以上に説明した構成の他に、偏光依存位相マスクを備えている。偏光依存位相マスクは、空間光変調器45に組み込まれている。ただし、偏光依存位相マスクは、空間光変調器45に組み込んで設けることには限定されず、偏光依存位相マスクを空間変調器45とは別体の1つのデバイスとして設け、偏光依存位相マスクのデバイスを光情報記録再生装置に設けることもできる。
【0074】
[第2実施形態の変形例]
図10は、リターダグラフィの光学系を利用した光情報記録再生装置1Cが独立した1つの偏光依存位相マスクのデバイスを有する装置の一例を示している。なお、この光情報記録再生装置1Cの基本的な構成は、
図1に示した光情報記録再生装置1Bと同様なので、同様の構成については、図面に同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成のみについて説明する。
【0075】
この光情報記録再生装置1Cは、信号光及び参照光からなる記録光を生成する記録光生成部50と、この記録光生成部50によって生成された信号光及び参照光を照射するための照射部3と、この照射部3によって照射された信号光と参照光とによって形成される干渉縞の明暗を光学異方性分布又は屈折率分布として記録する情報記録媒体6と、この情報記録媒体に形成された干渉縞を撮像する撮像部7とを備えている。
【0076】
光情報記録再生装置1Cの記録光生成部50は、偏光依存位相マスク60が独立した1つのデバイスとして設けられている。記録光生成部50は、直線偏光を出力するレーザ照射部10と、偏光依存位相マスクとの間に4つのミラー51,52,53,54を備えており、レーザ照射部10が出力した直線偏光を4つのミラー51,52,53,54で順番に反射して直線偏光を偏光依存位相マスク60に入射している。また、記録光生成部50は、2つのリレーレンズ55,56と、これらリレーレンズ55,56の間に位置するミラー57と、空間光変調器58とを備えている。偏光依存位相マスク60から出力された偏光は、リレーレンズ55を透過し、ミラー57によって反射される。反射された偏光は、リレーレンズ56を透過して空間光変調器58に入射される。空間光変調器58から出力された偏光は、リレーレンズ56を再度透過して照射部3に向かって進行する。
【0077】
この光情報記録再生装置1Cの記録光生成部50では、記録時の入力偏光は、空間光変調器の軸に対して平行又は垂直以外の偏光であり、記録時の出力偏光のうち信号光成分は、偏光方位が空間光変調器の軸に対して平行をなす偏光であり、参照光成分は、偏光光方位が空間光変調器の軸に対して垂直をなす偏光である。一方、再生時入力偏光は、空間光変調器の軸に対して垂直であり、再生時の出力偏光は、空間光変調器の軸に対して垂直である。
【0078】
次に、光情報記録再生装置1Bに設けられる偏光無依存位相マスク及び光情報記録再生装置1A,1B,1Cに設けられる偏光依存位相マスク60の詳細について説明する。
【0079】
偏光無依存位相マスクは、これまでに説明した図面には現れていないが、4行4列の画素によって構成されている。この偏光無依存位相マスクには信号光のみを照射し、信号光の位相を変化させる。一方、偏光依存位相マスク60は、4行4列の画素によって構成されている。この偏光依存位相マスク60は、信号光に含まれるある第1直線偏光成分のみの位相を変化させると共に、第1直線偏光成分に直交する第2直線偏光成分の位相をそのまま透過させる。
【0080】
なお、偏光無依存位相マスク及び偏光依存マスクを4行4列以外の構成にした場合、隣り合う位置での位相差を一定値としたときに、信号光を対称的に4分割したり、又は均等に分割したりすることができ,偏りが生じてしまう。これに対し、偏光無依存位相マスク及び偏光依存マスクを4行4列に構成した場合、信号光を対称的に4分割することができる。そのため、本実施形態の偏光無依存位相マスク及び偏光依存マスクは、4行4列の構成を採用している。
【0081】
この偏光無依存位相マスク及び偏光依存位相マスク60は、(式1)によって表された位相分布の式において、s
11,s
31,s
13,s
33のうち、1つが−1であり、他の3つが1となるように設計されている。その際、(式1)のm
xとm
yとに
図11に示すマトリックスにより与えられた数値を代入して偏光無依存位相マスク及び偏光依存位相マスク60の位相分布が計算される。
図11に示したマトリックスの各マスに示された値のうち、左側に配置された値がm
xに代入される値であり、右側に配置された値がm
yに代入される値である。
【0083】
上記の(式1)を用いて設計された偏光無依存位相マスク及び偏光依存位相マスク60は、
図12(A)から
図12(D)の4つのタイプに分類することができる。以下、この偏光依存位相マスク60の詳細を
図12(A)の偏光無依存位相マスクを例にして説明する。なお、以下の説明において、偏光無依存位相マスクの符号を「60」として説明する。
【0084】
各行及び各列において、隣り合う列の画素同士が、当該偏光無依存位相マスク60に入射された光の位相を、1/2πずらして出力するように形成されている。例えば、最も上段に位置する第1行の各画素は、左から右に向かって正の方向に1/2πずつ位相がずれ、最も左側に位置する第4列の各画素は、上から下に向かって負の方向に1/2πずつ位相がずれている。また、偏光無依存位相マスク60の画素の行は、最も上段に位置する第1行から順番に、正の方向に位相が1/2πずらす行と負の方向に位相が1/2πずつずらす行とが交互に配列されている。一方、偏光無依存位相マスク60の画素の列は、最も左側に位置する第1列から順番に、負の方向に位相が1/2πずつずらす列と正の方向に位相が1/2πずつずらす列とが交互に配列されている。
【0085】
この
図12(A)に示した偏光無依存位相マスク60及び偏光依存位相マスク60の具体的な構造について、
図13〜
図20を参照して説明する。なお、説明の順番は、先に偏光依存位相マスク60について説明し、次に偏光無依存位相マスク60について説明する。
【0086】
[偏光依存位相マスク]
図13〜
図20を参照して、偏光依存マスク60について説明する。なお、偏光依存マスク60は、主に、インラインホログラフィの光学系及びリターダグラフィの光学系に用いられる位相マスクである。
【0087】
(第1形態の偏光依存位相マスク)
第1形態の偏光依存位相マスク61は、
図13に示すように、基板71と、この基板71に積層された波長板アレイ72と、波長板アレイ72と一定の間隔を空けて配置された補償板73とから構成されている。基板71は平坦な板状の部材によって構成されている。波長板アレイ72と補償板73とは、偏光依存位相マスク61の各行及び各列によって異なる形状をそれぞれ有している。以下、
図14〜
図17を参照して各行の波長板アレイ及び補償板の構造について説明する。
【0088】
図14は、
図12(A)に示した偏光依存位相マスク61の第1行を構成する波長板アレイ72及び補償板73の構造を示している。波長板アレイ72は、
図14に示した状態で、底面が平坦に形成され、この底面と上面との間の厚さが列ごとに相互に異なるように形成されている。波長板アレイ72の厚さは、
図14の最も左側に位置する第1列から最も右側に位置する第4列に向かうにしたがって段階的に薄くなるように形成されている。この波長板アレイ72は、速相軸と遅相軸とに沿った偏光成分同士の間に位相差を付与している。これに対し、補償板73は、
図14に示した状態の上面が平坦に形成され、この上面と底面との間の厚さが列ごとに相互に異なるように形成されている。補償板73の厚さは、
図14の最も左側に位置する第1列から最も右側に位置する第4列に向かうにしたがって段階的に厚くなるように形成されている。この補償板73は、速相軸と遅相軸とに沿った偏光成分の一方の位相が変化させずに透過させている。
【0089】
図15は、
図12(A)に示した偏光依存位相マスク61の第2行の構造を示しており、波長板アレイ74は、その厚さが第1列から第4列に向かうにしたがって段階的に厚くなるように形成されている。これに対し、補償板75は、第1列から第4列に向かうにしたがって段階的に薄くなるように形成されている。
【0090】
図16は、
図12(A)に示した偏光依存位相マスク61の第3行の構造を示している。波長板アレイ76は、
図16の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に薄く、第2列の厚さが最も薄く形成されている。また、第3列の厚さが最も厚く、
図16の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に厚く形成されている。これに対し、補償板77は、
図16の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に厚く、第2列の厚さが最も厚く形成されている。また、第3列の厚さが最も薄く、
図16の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に薄く形成されている。
【0091】
図17は、
図12(A)に示した偏光依存位相マスク61の第4行の構造を示している。波長板アレイ78は、
図17の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に厚く、第2列の厚さが最も厚く形成されている。また、第3列の厚さが最も薄く、
図17の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に薄く形成されている。これに対し、補償板79は、
図17の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に薄く、第2列の厚さが最も薄く形成されている。また、第3列の厚さが最も厚く、
図17の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に厚く形成されている。
【0092】
(第2形態の偏光依存位相マスク)
第2形態の偏光依存位相マスク62は、
図18に示すように、基板81と、この基板81上に積層された反射膜82と、反射膜82の上に積層された誘電体板83と、誘電体板83と隙間を空けて配置されたワイヤーグリッド偏光子84とで構成されている。基板81及び反射膜82は、厚さが一定に形成されている。これに対し、誘電体板83は、各行及び各列によって厚さが異なっている。ワイヤーグリッド偏光子84は、2つの直交する直線偏光成分のうち一方の直線偏光成分を透過させ、他方を反射している。そして、このワイヤーグリッド偏光子84を透過した直線偏光成分は誘電体板83によって位相が与えられる。
【0093】
(第3形態の偏光依存位相マスク)
第3形態の偏光依存位相マスク64は、液晶位相マスクである。第3形態の偏光依存位相マスク64は、
図19(A)に示すように、基板91と、この基板91上に配置された2層からなる配向膜92.94と、配向膜94上に積層された補償膜95とを備えている。基板91は平坦に形成されている。2層からなる配向膜92,94のうち、基板91上に積層された第1配向膜92は、第1列から第4列に向かうにしたがって厚さが段階的に薄くなるように形成されている。一方、第1配向膜92の上に積層された第2配向膜94は、厚さが一定に形成されている。これらの第1配向膜92と第2配向膜94との間には、液晶層93が形成されている。この液晶層93は、第2列から第4列に向かうしたがって厚さが段階的に厚く形成されている。そして、補償膜95は厚さが一定に形成されている。
【0094】
図19(B)を参照して、第1配向膜92の構造を具体的に説明する。
図19(B)に示す第1配向膜92は、
図12(A)に示した偏光依存位相マスク61の第1行の位相分布を与える構造である。第1配向膜92は、
図19(B)に示した状態で、底面が平坦に形成され、この底面と上面との間の厚さが列ごとに相互に異なるように形成されている。第1配向膜92の厚さは、
図19(B)の最も左側に位置する第1列から最も右側に位置する第4列に向かうにしたがって段階的に薄くなるように形成されている。なお、第2行から第4行の構造も、偏光依存位相マスクの各行の位相分布に対応した構造にそれぞれ形成されている。
【0095】
以上の構成を備えた第3形態の偏光依存位相マスク64は、液晶分子の配向方位に平行をなす偏光成分に対し、液晶層の厚さに応じた位相を与えている。補償膜95は、
図19の紙面に対して垂直な偏光成分の位相が変化しないように補償している。
【0096】
次に、
図20を参照して、空間光変調器に偏光依存位相マスクを組み込んで、一体に構成された一体型空間光変調器100について説明する。
【0097】
図20に示した一体型空間光変調器100は、液晶空間光変調器106に偏光依存位相マスク62を組み込んで構成した例である。液晶空間光変調器106は、
図20の下から第1透明電極層101、第1配向膜102、液晶層103、第2配向膜104及び第2透明電極層105がこの順番で積層されて構成されている。偏光依存位相マスク62は、
図20において、第1透明電極層101の下側に配置されている。偏光依存位相マスク62は、
図18に示した第2形態の偏光依存位相マスク62と同一の構造であり、ワイヤーグリッド偏光子84が第1透明電極層101の下側に積層されている。なお、偏光依存位相マスク自体62の構成及び作用は第2形態の偏光依存位相マスク62と同一なので、その説明はここでは省略する。
【0098】
[偏光無依存位相マスク]
次に、
図21〜
図25を参照して偏光無依存位相マスク60について説明する。なお、偏光無依存位相マスク60は、主に、オフアクシス型の光学系を利用する場合に用いられる位相マスクである。
【0099】
偏光無依存位相マスク60は、
図21に示すように、基盤121と、この基板121に積層された誘電体板122とから構成されている。なお、偏光無依存位相マスク60は、必要に応じて反射膜126を設けることができる。反射膜126を設ける場合、反射膜126は、基板121と誘電体板122との間に積層される。誘電体板122は、偏光無依存位相マスク60の各行と各列によって異なる形状をそれぞれ有している。以下
図22〜
図25を参照して各行の誘電体板の構造について説明する。
【0100】
図22は、
図12(A)に示した偏光無依存位相マスク60の第1行を構成する誘電体板122の構造を示している。誘電体板は、
図22に示した状態で、底面が平坦に形成され、この底面と上面との間の厚さが列ごとに相互に異なるように形成されている。誘電体板122の厚さは、
図22の最も左側に位置する第1列から最も右側に位置する第4列に向かうにしたがって段階的に薄くなるように形成されている。
【0101】
図23は、
図12(A)に示した偏光無依存位相マスク60の第2行の構造を示しており、誘電体板123は、その厚さが第1列から第4列に向かうにしたがって段階的に厚くなるように形成されている。
【0102】
図24は、
図12(A)に示した偏光無依存位相マスク60の第3行の構造を示している。誘電体板124は、
図24の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に薄く、第2列の厚さが最も薄く形成されている。また、第3列の厚さが最も厚く、
図24の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に厚く形成されている。
【0103】
図25は、
図12(A)に示した偏光無依存位相マスク60の第4行の構造を示している。誘電体板125は、
図25の最も左側に位置する第1列の厚さが2番目に厚く、第2列の厚さが最も厚く形成されている。また、第3列の厚さが最も薄く、
図25の最も右側に位置する第4列の厚さが2番目に薄く形成されている。
【0104】
以上に説明した偏光無依存位相マスク60又は偏光依存位相マスク60を用いて情報記録媒体に多値位相ページデータを記録した場合、空間的位相シフト法を用いて、記録された情報の位相値を抽出することができる。また、情報記録媒体の記憶容量の向上及び転送レートの向上を実現できる。さらに、冒頭に説明したように、オフアクシスホログラフィ方式に対しても位相ページデータを情報記録媒体に記録することができる。
【0105】
以下では、空間的位相シフト法によって、情報記録媒体に記録された情報から位相値を抽出する原理について説明する。
【0106】
位相値の抽出は、
図26に示す情報再生部110により行われる。情報再生部110は、撮像部7に接続されており、情報記録媒体6に参照光を照射して再生され、撮像部7によって撮像された情報に基づいて処理を行っている。この情報再生部6は、例えば、コンピュータにより構成されており、入力装置112と、表示装置113と、演算処理部11等を有している。
【0107】
以下、シングルチャネルの光学系で情報を記録した場合とデュアルチャネルの光学系で情報を記録した場合について、位相値の抽出方法を順番に説明する。
【0108】
[シングルチャネルの場合]
シングルチャネルの光学系で情報を記録した場合、情報記録媒体6に記録された情報を再生したときの再生信号光Us(m
x、m
y)は、(式2)のように表すことができる。この再生信号光の位相は、位相抽出用参照光の位相を基準としたものである。
【0110】
また、再生に使用した位相抽出用参照光U
R(m
x、m
y)は、その位相を0とした場合、次の(式3)のように表すことができる。
【0112】
撮像素子8上での再生信号光と位相抽出用参照光とによる強度I(m
x、m
y)は、次の(式4)のように表すことができる。
【0114】
したがって、位相φ
Sは、(式4)における偏角を求める式を用いて求めることができる。具体的に、位相φSは、(式5)により求めることができる。
【0116】
[デュアルチャネルの場合]
デュアルチャネルの光学系で情報を記録した場合、情報記録媒体6に記録された情報を再生したときの各再生信号光Us
1(m
x、m
y),Us
2(m
x、m
y)は、(式6)のように表すことができる。この各再生信号光の位相は、それぞれに対応する偏光状態を有する各位相抽出用参照光の位相を基準としたものである。
【0118】
また、再生に使用した位相抽出用参照光U
R1(m
x、m
y),U
R2(m
x、m
y)は、その位相を0とした場合、次の(式7)のように表すことができる。
【0120】
撮像素子8上での再生信号光と位相抽出用参照光とによる強度I(m
x、m
y)は、次の(式8)のように表すことができる。
【0122】
したがって、各位相抽出用参照光によって再生された再生信号の位相φ
S1及び位相φ
S2は、(式8)における偏角を求める式を用いてそれぞれ求めることができる。具体的に、位相φSは、(式9)により求めることができる。