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特開2015-164131金属微粒子分散体、導電性基板の製造方法及び導電性基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-164131(P2015-164131A)
(43)【公開日】2015年9月10日
(54)【発明の名称】金属微粒子分散体、導電性基板の製造方法及び導電性基板
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20150814BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20150814BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20150814BHJP
   B22F 9/20 20060101ALI20150814BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20150814BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20150814BHJP
【FI】
   H01B1/22 A
   H01B13/00 503D
   B22F9/00 B
   B22F9/20 E
   C09D11/52
   B22F1/00 K
   B22F1/00 L
   B22F1/00 M
   B22F1/00 R
   B22F1/00 S
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-66808(P2015-66808)
(22)【出願日】2015年3月27日
(62)【分割の表示】特願2011-534163(P2011-534163)の分割
【原出願日】2010年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2009-229073(P2009-229073)
(32)【優先日】2009年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183923
【氏名又は名称】株式会社DNPファインケミカル
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(72)【発明者】
【氏名】北條 美貴子
(72)【発明者】
【氏名】米田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】喜 直信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 武
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴生
【テーマコード(参考)】
4J039
4K017
4K018
5G301
5G323
【Fターム(参考)】
4J039AE07
4J039AE09
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4J039BC02
4J039BC03
4J039BC07
4J039BC16
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4J039BD02
4J039BE12
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4K018BA20
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4K018BD10
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5G301DA06
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5G301DD02
5G301DE01
5G323CA03
5G323CA05
(57)【要約】
【課題】分散性に優れた金属微粒子分散体、該金属微粒子分散体を用いて得られる導電性に優れた導電性基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有する金属微粒子分散体であって、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有し、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする金属微粒子分散体、該金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法、及び該製造方法により製造した導電性基板である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有する金属微粒子分散体であって、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有し、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする金属微粒子分散体。
【請求項2】
前記ポリエーテル骨格が、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの少なくとも一方を構成単位として含む請求項1に記載の金属微粒子分散体。
【請求項3】
前記高分子分散剤の側鎖がポリエーテル骨格であり、主鎖がポリアミン骨格又はポリイミン骨格である請求項1又は2に記載の金属微粒子分散体。
【請求項4】
金属微粒子分散体を構成する金属が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、スズ、鉄、クロム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の金属微粒子分散体。
【請求項5】
前記金属微粒子が、銅微粒子である請求項1〜3のいずれかに記載の金属微粒子分散体。
【請求項6】
前記銅微粒子が、錯化剤及び保護コロイドの存在下で、2価の銅酸化物と還元剤とを媒液中で混合して生成したものである請求項5に記載の金属微粒子分散体。
【請求項7】
前記錯化剤における配位子のドナー原子が、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の金属微粒子分散体。
【請求項8】
前記保護コロイドがタンパク質系保護剤である請求項6又は7に記載の金属微粒子分散体。
【請求項9】
前記高分子分散剤の主鎖がポリエチレンイミンからなる請求項3に記載の金属微粒子分散体。
【請求項10】
前記高分子分散剤の主鎖がポリアリルアミンからなる請求項3に記載の金属微粒子分散体。
【請求項11】
前記分散媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル及びアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜10のいずれかに記載の金属微粒子分散体。
【請求項12】
基材上に、請求項1〜11のいずれかに記載の金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法。
【請求項13】
前記焼成が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる焼成である請求項12に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項14】
前記焼成が、不活性ガス雰囲気下及び/又は還元性ガス雰囲気下で発生する表面波プラズマによるものである請求項13に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項15】
前記焼成が、(i)酸素を含む雰囲気下で165℃以下で焼成する工程、及び(ii)不活性ガス雰囲気下及び/又は還元性ガス雰囲気下で表面波プラズマにより165℃以下で焼成する工程からなるものである請求項12に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれかに記載の製造方法により製造した導電性基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散性の高い金属微粒子分散体、該金属微粒子分散体を用いた導電性基板の製造方法及び該製造方法により得られる導電性基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基材上に導電性の配線を施した回路基板を製造するためには、金属箔を貼り合せた基材上にフォトレジスト等を塗布し、所望の回路パターンを露光し、ケミカルエッチングによりパターンを形成する方法が用いられてきた。この方法では、導電性の配線として金属箔を用いることができるため、体積抵抗率が小さく、高性能の導電性基板を製造することができるが、該方法は工程数が多く、煩雑であるとともに、フォトレジスト材料を要するなどの欠点がある。
【0003】
これに対し、金属微粒子を分散させた塗料でパターンを直接基材に印刷する方法が注目されている。このような基材に直接パターンを印刷する方法は、フォトレジスト等を用いる必要がなく、きわめて生産性の高い方法である。例えば、特許文献1には、粒子径が200nm未満の金属酸化物及び分散媒を金属酸化物分散体であって、分散媒が、多価アルコール及び/またはポリエーテル化合物を含有する金属酸化物分散体が提案されている。特許文献1によれば、該金属酸化物分散体を用いることで、比較的低温での処理で、基板上に金属薄膜を形成することが可能としている。具体的には、平均粒径30nmの酸化第二銅ナノ粒子を、分散媒であるエチレングリコールに分散させた酸化第二銅微粒子分散体を、スライドガラス上に、長さ2cm、幅1cm、厚み20μmになるように塗布し、焼成温度200℃で銅薄膜を形成している(特許文献1、実施例2参照)。
しかしながら、200℃以上の焼成温度であると、例えば基材として、ポリエステル樹脂等の低耐熱性基材を用いた場合には、変形や変色等を起こすため、用いることはできない。
【0004】
ところで、金属微粒子のなかでも、銅微粒子は、良好な電気伝導性を有し、かつ廉価であるために、プリント配線基板などの回路を形成する部材などとして利用することが種々検討されている。プリント配線基板の回路などを形成する方法としては、銅微粒子を分散媒に分散させ、インキ化し、スクリーン印刷やインクジェット方式による印刷によって、基板上に回路を形成し、次いで、加熱して金属微粒子を融着させる方法がある。特に、インクジェット方式の描画は、版を使用せずにパターンを形成できるため、オンデマンドでのパターン形成、パターン修正などに応用することができることから、好適な手法である(特許文献2参照)。
このような方法により、回路等を形成する場合に、銅微粒子の分散性が重要である。すなわち、銅微粒子の一次粒子が著しく凝集した状態であったり、二次粒子の大きさや、形状が不揃いであると、回路等を形成した際に欠陥が生じやすい。また、インクジェット方式により基板上に回路を形成する場合には、インクジェットプリンタのヘッドの吐出ノズルに詰まりが生じたり、吐出曲がりが生じるなどして、微細パターンの形成に不具合が生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2003/51562パンフレット
【特許文献2】特開2002−324966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の課題に対して、本発明者らは、透明基材上に、金属又は金属酸化物微粒子を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法であって、焼成がマイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる焼成であり、かつ金属微粒子焼結膜のパターンが形成されていない基材表面の算術平均粗さ(Ra)が0.2〜4.0nmであることを特徴とする導電性基板の製造方法を提案した(特願2009−60312)。該導電性基板は、導電性に優れ、かつ、基材と導電パターンの密着性に優れるものであった。
しかしながら、塗布液中に含まれる金属又は金属酸化物微粒子を分散させるための分散剤として、有機材料が通常用いられ、該有機物が残存することで、導電性が低下したり、導電性膜の深さ方向に焼結が進行しにくいという不具合があった。この不具合を解消するために、有機物を除去するための焼成を行う必要があり、生産性が低下するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の分散剤が金属微粒子の分散性に高い効果を示し、しかも後の焼成工程で容易に揮散され、金属微粒子焼結体に対して、導電性を妨げることがないことを見出した。特に、金属微粒子が銅微粒子の場合、特定の分散剤が銅微粒子の分散性に高い効果を示し、しかも後の焼成工程で容易に揮散され、銅微粒子焼結体に対して、導電性を妨げることがないことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。なお、本発明において、金属微粒子とは、平均一次粒子径が特定の範囲内のものであれば特に限定されるものではなく、いわゆる金属状態の微粒子に加えて、合金状態の微粒子や、金属酸化物など金属化合物の微粒子なども含むものをいう。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有する金属微粒子分散体であって、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエステル骨格を有し、該ポリエステル骨格が、バレロラクトンから誘導される構成単位、及びカプロラクトンから誘導される構成単位の少なくとも一方を有し、該構成単位の数の合計が、平均値として、10以上であり、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする金属微粒子分散体、
(2)金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有する金属微粒子分散体であって、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有し、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする金属微粒子分散体、
(3)基材上に、上記(1)又は(2)に記載の金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法、及び
(4)上記(3)に記載の製造方法により製造した導電性基板、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金属微粒子分散体は、金属微粒子の分散性が高く、また該分散性が安定的に維持される。また、導電性基板を作製する際に、低温での焼成によって有機物が容易に除去できるため、焼結が進みやすく、導電性に優れる導電性基板を得ることができる。また、マイクロ波表面波プラズマを用いて、導電性基板を製造する場合に、該マイクロ波表面波プラズマ処理によって、分散剤に起因する有機物を除去することができるため、別途有機物除去のための焼成工程を設ける必要がなく、製造工程を簡略化することができる。このように、本発明の金属微粒子分散体を用いた導電性基板の製造方法によれば、導電性に優れる導電性基板を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[金属微粒子分散体]
本発明の金属微粒子分散体は、金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有し、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエステル骨格を有し、該ポリエステル骨格が、バレロラクトンから誘導される構成単位、及びカプロラクトンから誘導される構成単位の少なくとも一方を有し、該構成単位の数の合計が、平均値として、10以上であり、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする。
また、本発明の金属微粒子分散体は、金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有し、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有し、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする。
以下、金属微粒子分散体を構成する各構成材料について詳細に説明する。
【0011】
《金属微粒子》
本発明の金属微粒子分散体は、金属微粒子を含有する。なお、本明細書において、金属微粒子は、上述のように、金属状態の微粒子に加えて、合金状態の微粒子や、金属酸化物など金属化合物の微粒子なども含むものをいう。
金属の種類としては、導電性を有するものであれば特に制限されるものではないが、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持できる点から、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、スズ、鉄、クロム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムなどが挙げられ、これらのうち、金、銀、銅、及びニッケルが好ましく、導電性及び経済性を加味すると、銅及び銀が好ましい。これらの金属は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して、又は合金化して使用してもよい。また、金属化合物としては金属酸化物、金属水酸化物などが挙げられる。具体的には、銀の化合物としては、酸化銀、有機銀化合物等が好ましく、銅の化合物としては、酸化第一銅、酸化第二銅又はこれらの混合物などが好適に挙げられる。これらのうち、特に銅の化合物が好ましく、とりわけ、銅の酸化物(酸化第一銅、酸化第二銅又はこれらの混合物)が好適である。
【0012】
上記金属微粒子の調製方法としては種々の方法があるが、メカノケミカル法などによる金属粉を粉砕して得る物理的な方法;CVD法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法と呼ばれる方法で作製できる。
【0013】
得られた微粒子は、分散体とするために、微粒子にポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子やグラフト共重合高分子のような保護剤、界面活性剤、金属と相互作用するようなチオール基やアミノ基、水酸基、カルボキシル基を有する化合物で被覆することが好ましい。また、合成法によっては、原料の熱分解物や金属酸化物が粒子表面を保護し、分散性に寄与する場合もある。熱分解法や化学還元法などの湿式法で作製した場合は、還元剤などがそのまま微粒子の保護剤として作用することがある。また、後述する本発明で用いられる高分子分散剤を保護剤として直接被覆してもよい。
また、分散体の分散安定性を高めるために、微粒子の表面処理を施したり、高分子、イオン性化合物、界面活性剤等からなる分散剤を添加してもよい。
【0014】
上記微粒子の平均一次粒子径は0.001〜0.5μmの範囲である。この範囲内であると、該金属微粒子分散体を用いて製造した導電性基板において、金属微粒子同士の融着が十分に進行し、非常に高い導電性を得ることができる。以上の観点から、金属微粒子の平均一次粒子径は0.002〜0.2μmの範囲がより好ましい。
なお、上記平均一次粒子径は電子顕微鏡を用いて測定したものであり、通常、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)により測定した観察像から統計処理により算出する。
【0015】
《銅微粒子》
本発明において、金属微粒子としては、好ましい金属の種類として例示したうち、銅の微粒子が特に好ましく挙げられる。
銅微粒子は、高い導電性を有し、かつ微粒子を容易に維持でき、また導電性の他に、経済性、耐マイグレーション性にも優れている。なお、ここで銅微粒子とは、金属の状態のものをいうが、表面が酸化されている微粒子をも含むものである。
【0016】
本発明において、金属微粒子として銅微粒子を用いる場合は、その平均一次粒子径は0.001〜0.5μmの範囲であることが好ましい。この範囲内であると、該銅微粒子の分散体を用いて製造した導電性基板において、銅微粒子同士の融着が十分に進行し、非常に高い導電性を得ることができる。銅微粒子の平均一次粒子径は、小さい方が銅微粒子同士の融着が十分に進行しやすいが、あまりに小さすぎると表面が酸化されやすく、焼結しにくくなったり、また凝集しやすくなり、分散性が低下する。以上の観点から、銅微粒子の平均一次粒子径は、0.002〜0.2μmの範囲がより好ましい。
なお、上記平均一次粒子径は電子顕微鏡を用いて測定したものであり、通常、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)により測定した観察像から統計処理により算出する。
【0017】
銅微粒子の調製方法としては、種々の方法があるが、メカノケミカル法などによる金属粉を粉砕して得る物理的な方法;CVD法、スパッタ法、熱プラズマ法、レーザー法のような化学的な乾式法;熱分解法、化学還元法、電気分解法、超音波法、レーザーアブレーション法、超臨界流体法、マイクロ波合成法等による化学的な湿式法と呼ばれる方法で作製できる。
本発明においては、上述の化学還元法の1種である、錯化剤及び保護コロイドの存在下で、2価の銅酸化物と還元剤とを媒液中で混合して生成することが好ましい。
ここで2価の銅酸化物とは、銅の原子価が2価であり、酸化第二銅、水酸化第二銅及びこれらの混合物を包含するものである。また、2価の銅酸化物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、1価の銅酸化物やその他の金属等の不純物が含まれていてもよいが、1価の銅酸化物は実質的に含まれていないことが好ましい。
【0018】
(錯化剤)
上記銅微粒子の調製方法で用いられる錯化剤とは、該錯化剤が有する配位子のドナー原子と銅イオン又は金属銅とが結合して銅錯体化合物を形成するものである。ドナー原子としては、窒素、酸素、及び硫黄が好適に挙げられ、これらは1種単独であってもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
より具体的には、窒素がドナー原子である錯化剤として、アミン類、イミダゾール及びピリジンなどの窒素含有複素環式化合物、ニトリル類、シアン化合物、アンモニア、アンモニウム化合物、オキシム類などが挙げられる。
【0019】
また、酸素がドナー原子である錯化剤として、カルボン酸類、ケトン類、アルデヒド類、アルコール類、キノン類、エーテル類、リン酸、リン酸系化合物、スルホン酸、スルホン酸系化合物などが挙げられる。
さらに、硫黄がドナー原子である錯化剤として、脂肪族チオール類、脂環式チオール類、芳香族チオール類、チオケトン類、チオエーテル類、ポリチオール類、チオ炭酸類、硫黄含有複素環式化合物、チオシアナート類、イソチオシアナート類、無機硫黄化合物などが挙げられる。
【0020】
また、2種以上のドナー原子を有する錯化剤としては、窒素と酸素を有するものとしてアミノ酸類、アミノポリカルボン酸類、アルカノールアミン類、ニトロソ化合物、ニトロシル化合物;硫黄と酸素を有するものとして、メルカプトカルボン酸類、チオグリコール類、チオン酸類、チオ炭酸類;硫黄及び窒素を有するものとして、アミノチオール類、チオアミド類、チオ尿素類、チアゾール類;硫黄、窒素及び酸素を有するものとして、含硫黄アミノ酸類などが挙げられる。
【0021】
錯化剤の配合量としては、2価の銅酸化物100質量部に対して、0.001〜20質量部程度である。この範囲内であると銅の高い分散性が得られる。なお、この範囲内で錯化剤の配合量を少なくすることで、銅微粒子の一次粒子径を小さくすることができ、一方、配合量を多くすることで、銅微粒子の一次粒子径を大きくすることができる。本発明では、2価の銅酸化物100質量部に対して、錯化剤の配合量を0.05〜15質量部の範囲とすることがより好ましい。
【0022】
(保護コロイド)
上記銅微粒子の調製方法で用いられる保護コロイドは、生成した銅微粒子の分散安定化剤として作用するものであり、種々のものを用いることができる。具体的には、ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、カゼイン酸ナトリウム、カゼイン酸アンモニウムなどのタンパク質系;デンプン、デキストリン、寒天、アルギン酸ナトリウムなどの天然高分子;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース系;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのビニル系;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アンモニウムなどのアクリル酸系;ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
これらのうち、分散安定性などの点から、タンパク質系保護剤が特に好ましい。
保護コロイドの配合量としては、2価の銅酸化物100質量部に対して、1〜100質量部の範囲であることが好ましく、2〜50質量部の範囲がさらに好ましい。この範囲内であると、生成した銅微粒子が分散安定化しやすい。
【0023】
(還元剤)
上記銅微粒子の調製方法で用いられる還元剤は、還元反応中に1価の銅酸化物が生成しないように、還元力が強いものを使用することが好ましい。具体的には、ヒドラジン及びヒドラジン化合物などのヒドラジン系還元剤、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、次亜硝酸ナトリウム、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウムなどが挙げられる。特にヒドラジン系還元剤は、還元力が強く好ましい。
これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。
また、還元剤の使用量は、2価の銅酸化物中に含まれる銅1モルに対して、0.2〜5モルの範囲であることが好ましい。0.2モル以上であると、還元が十分に進行し、銅微粒子が得られる。一方、5モル以下であると、所望の粒子径の銅微粒子が得られる。以上の観点から、好ましい還元剤の使用量は、2価の銅酸化物中に含まれる銅1モルに対して、0.3〜2モルの範囲である。
【0024】
(媒液)
銅微粒子を調製する際の媒液としては、例えば、水などの水系溶媒、アルコール等の有機溶媒を用いることができるが、水系溶媒がより好ましい。
【0025】
(銅微粒子の調製)
銅微粒子を調製する際の反応温度としては、10℃〜媒液の沸点の範囲であることが好ましく、微細な銅微粒子を得るとの観点から、40〜95℃の範囲が好ましく、80〜95℃の範囲がさらに好ましい。また、pHは3〜12の範囲であることが好ましく、反応時間は、還元剤の濃度等により異なるが、通常、10分〜6時間程度である。
【0026】
《高分子分散剤》
本発明で用いられる高分子分散剤は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に、所定のポリエステル骨格又はポリエーテル骨格を有することが特徴である。
これらの高分子分散剤は、その骨格構造に起因して、低温での焼成やマイクロ波表面波プラズマの照射などにより分解されやすく、有機物が残存しにくいため、十分な導電性が得られるものである。特に、主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有するものは、マイクロ波表面波プラズマにより分解されやすく、好ましい。
また、本発明で用いられる高分子分散剤は、金属微粒子分散体の分散安定性の観点からは、1個以上の側鎖(分岐部分)を有する櫛型構造であることが好ましい。このような構造を有する高分子分散剤は、少量を使用するだけでも優れた分散安定性が得られ、低温での焼結性に優れた金属微粒子分散体を得ることができ、かつ該分散体を用いて得られる導電性基板に優れた導電性を付与することができるからである。
【0027】
高分子分散剤の分子量は、金属微粒子の分散性の観点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、500〜20000の範囲が好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値である。
また、本発明においては、2種以上の高分子分散剤を混合して用いることもできる。
【0028】
主鎖にポリエステル骨格を有する高分子分散剤としては、該ポリエステル骨格が、下記一般式(I)で示されるように、バレロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の少なくとも一方を有し、該バレロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の数の合計(下記式(I)におけるmに相当)が、平均値として10以上である。また、金属微粒子の分散性の点から、10〜18の範囲がさらに好ましい。
【0029】
【化1】
【0030】
(一般式(I)中、Rは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基、フェニル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基が置換されたフェニル基、リン酸基、又はスルホン酸基であり、Rは炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、mは1〜20の数を示す。但し、m個ある繰り返し単位中、少なくとも1つはバレロラクトンから誘導される構成単位又はカプロラクトンから誘導される構成単位である。)
本発明において、リン酸基とは下記一般式(a)で示されるものをいい、リン酸エステル基を包含するものである。
【0031】
【化2】
【0032】
(Rは、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基が置換されたフェニル基である。)
また、本発明において、スルホン酸基とは下記一般式(b)で示されるものをいい、スルホン酸エステル基を包含するものである。
【0033】
【化3】
【0034】
(Rは、水素、炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18の直鎖状または分岐状アルキル基が置換されたフェニル基である。)
【0035】
一般式(I)で示される化合物は、モノカルボン酸を出発物質として合成され、一般式(II)に示されるラクトン類を開環付加反応させることにより得られる。
【0036】
【化4】
【0037】
一般式(II)中、Rは炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状アルキレン基を示す。一般式(II)で示されるラクトン類としては、Rが、炭素数2〜6のアルキレン基であることがさらに好ましく、例えば、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトンなどが好適に挙げられる。開環付加反応に際し、これらのラクトン類は1種を単独で用いてもよいし、複数種のラクトン類を混合して用いてもよいが、ε−カプロラクトン及びδ−バレロラクトンのうち少なくともいずれか一方を含む。
【0038】
次に、主鎖にポリエーテル骨格を有する高分子分散剤としては、下記一般式(III)で示されるものが好ましい態様として挙げられる。
【0039】
【化5】
【0040】
一般式(III)中、Rは炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基、フェニル基、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐状アルキル基が置換されたフェニル基、リン酸基、又はスルホン酸基であり、Rは炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、nは1〜30の数を示す。リン酸基及びスルホン酸基については、上述と同様であり、リン酸基については、上記一般式(a)で示されるもの、スルホン酸基については、上記一般式(b)で示されるものが好適である。
一般式(III)で示される化合物は、アルコールを出発物質として合成され、一般式(IV)に示されるアルキレンオキシドを開環付加反応させることにより得られる。
【0041】
【化6】
【0042】
一般式(IV)中、Rは水素、メチル基又はエチル基であり、Rは水素又はメチル基である。なお、Rがエチル基の場合、Rは水素である。一般式(IV)で表されるアルキレンオキシドのうち、特にエチレンオキシド及びプロピレンオキシドが好ましい。
開環付加反応に際し、これらのアルキレンオキシドは1種を単独で用いてもよいし、複数種のアルキレンオキシドを混合して用いてもよいが、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのうち少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。すなわち、主鎖にポリエーテル骨格を有する高分子分散剤としては、該ポリエーテル骨格が、エチレンオキシドから誘導されるポリエチレングリコール、及びプロピレンオキシドから誘導されるポリプロピレングリコールの少なくとも一方を構成単位(ユニット)として有することが好ましい。
また、ポリエチレングリコールユニット及びポリプロピレングリコールユニットの数の合計(上記nに相当)が、平均値として、10以上であることが、金属微粒子の分散性の点から好ましく、特に10〜18の範囲が好ましい。
【0043】
次に、本発明で用いられる高分子分散剤として、側鎖にポリエステル骨格又はポリエーテル骨格を有する場合には、主鎖がポリアミン又はポリイミン骨格であることが好ましい。なお、側鎖を構成するポリエステル骨格及びポリエーテル骨格の構造については、上述の主鎖を構成するポリエステル骨格及びポリエーテル骨格と同様である。
主鎖がポリアミン骨格である場合には、該骨格が、下記一般式(V)に示されるようなポリアリルアミンであることが好ましい。
【0044】
【化7】
【0045】
一般式(V)中、R及びRは、それぞれ独立に水素、又は重合開始剤残基のいずれかであり、R10は水素又は下記一般式(VI)で示される基である。また、pは2〜20であり、2〜8であることがより好ましい。但し、p個あるR10のうち、少なくとも1個は、一般式(VI)で示され、かつR11が下記式(VII)で示される基を有するものである。
【0046】
NHCOR11 ・・・(VI)
【0047】
ここで、R11は、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基又は下記式(VII)で示される基である。
【0048】
【化8】
【0049】
ここで、R12は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基、R13は炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、qは1〜20数を示す。また、一般式(VII)におけるポリエステル骨格は、上述のように、バレロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の少なくとも一方を有することが好ましく、バレロラクトンから誘導される構成単位及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の数の合計(上記q)が、平均値として、10以上であることが、金属微粒子の分散性の点から好ましく、特に10〜18の範囲が好ましい。
【0050】
次に、主鎖がポリイミン骨格である場合には、該骨格が、下記一般式(VIII)に示されるようなポリエチレンイミンであることが好ましい。
【0051】
【化9】
【0052】
ここで、R14及びR15は、それぞれ独立に水素、又は重合開始剤残基のいずれかであり、R16及びR17は、それぞれ水素又は下記一般式(IX)で示される基である。rは2〜20であり、2〜8であることがより好ましい。但し、r個あるR16のうち、少なくとも1個は、一般式(IX)で示され、かつR18が下記式(X)で示される基を有するものである。
【0053】
CH−CH−NHCOR18 ・・・(IX)
【0054】
ここで、R18は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基又は下記式(X)で示される基である。
【0055】
【化10】
【0056】
ここで、R19は炭素数1〜20の直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和の2価の炭化水素基、R20は炭素数2〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基、sは1〜20の数を示す。また、一般式(X)におけるポリエステル骨格は、上述のように、バレロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の少なくとも一方を有することが好ましく、バレロラクトンから誘導される構成単位及びカプロラクトンから誘導される構成単位(ユニット)の数の合計(上記s)が、平均値として、10以上であることが、金属微粒子の分散性の点から好ましく、特に10〜18の範囲が好ましい。
【0057】
本発明の金属微粒子分散体における高分子分散剤の含有量は、金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部以上であると、金属微粒子の分散性が確保され、100質量部以下であると焼成などによって、分散剤由来の有機物を容易に除去することができる。以上の観点から、高分子分散剤の含有量は1〜50質量部の範囲であることがさらに好ましい。
【0058】
《分散媒》
本発明の金属微粒子分散体に用いる分散媒としては、水及び/又は有機系分散媒を用いることができる。有機系分散媒としては、ヘキサン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の脂肪族炭化水素;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)などのエーテル類などが挙げられる。
これらのうち、金属微粒子の分散性等の観点から、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン類、エステル類及びアルコール類が好ましい。また、これらの分散媒は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることもできる。
【0059】
本発明における金属微粒子分散体は、その固形分濃度が5質量%〜90質量%の範囲が好ましく、この範囲となるように分散媒の量が決定される。固形分濃度が5質量%以上であると十分な導電性が得られ、90質量%以下であると、金属微粒子の分散性が確保される。以上の観点から、金属微粒子分散体中の固形分濃度は10〜50質量%の範囲がより好ましい。
【0060】
《金属微粒子分散体の製造方法》
本発明において、金属微粒子分散体の製造方法としては、金属微粒子を合成する際に使用する分散媒や媒液に予め高分子分散剤を添加しておく方法、金属微粒子を分散媒(あるいは媒液)に分散させる際に高分子分散剤を添加する方法などが好ましく挙げられる。
また、得られた金属微粒子を高分子分散剤に分散させる方法も挙げられる。この場合、ビーズミルなどのメディア分散、超音波や流体圧力を利用するメディアレス分散などにより分散させることができる。
【0061】
[導電性基板の製造方法]
次に、上記微粒子分散体を用いた導電性基板の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の製造方法は、基材上に、上述の金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成するものである。なお、ここで、パターン状の金属微粒子焼結膜は、以下「導電パターン」と記載することがある。なお、ここで「導電パターン」という場合には、金属微粒子がいわゆる金属状態で導電性を有する場合をいう。また、金属微粒子が金属酸化物などの金属化合物の場合には、導電性を有する金属微粒子焼結膜を得るために、金属化合物を還元することが必要である。例えば、水素などの還元ガス雰囲気下での焼成により、導電性を有する金属微粒子焼結膜が得られる。
【0062】
《基材》
本発明において用いる基材としては、導電性基板に用いられるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ソーダライムガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、高歪点ガラス、石英ガラス等のガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料を用いることができ、さらに高分子材料、紙などを用いることもできる。また、本発明では後に詳述するように、金属微粒子が低温で焼結されて導電性薄膜が形成されるため、基材に損傷を与えることがなく、高歪点ガラスなど耐熱性の高い特殊なガラスを使わなくてもよく、耐熱性の低い通常のソーダライムガラス等であっても使用することができる。さらには、プラスチックなどの高分子材料や紙も基材とすることができ、特に樹脂フィルムを用いることができる点で非常に有用である。
【0063】
ここで用いられる樹脂フィルムとしては、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ガラス−エポキシ樹脂、ポリフェニレンエーテル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、液晶性高分子化合物などを挙げることができる。
【0064】
基材の厚さについては特に制限はないが、樹脂フィルムなどのプラスチック基材の場合には、通常10〜300μmの範囲である。10μm以上であると、導電パターンを形成する際に基材の変形が抑制され、形成される導電パターンの形状安定性の点で好適である。また、300μm以下であると巻き取り加工を連続して行う場合に、柔軟性の点で好適である。
一方、基材が無機材料である場合には、通常0.1〜10mm程度、好ましくは0.5〜5mmである。
【0065】
《金属微粒子分散体を含む塗布液》
本発明の製造方法で用いられる塗布液は、上述の金属微粒子分散体を含むことが特徴である。本発明の金属微粒子分散体は、上述のように、特定の高分子分散剤を用いることによって、分散性が高く、安定性の高いものである。それと同時に、インクジェット方式による印刷を行う場合に、吐出安定性が高く、良好なパターニング適性が得られる。
また、当該塗布液には、上述の金属微粒子分散体に加えて、塗工適性を向上させるためにさらに分散媒を加えてもよい。ここで用いる分散媒は、金属微粒子分散体の製造過程で用いた分散媒と同じであってもよいし、異なってもよい。
【0066】
また、該塗布液には、金属微粒子分散体の他に、界面活性剤、可塑剤、防カビ剤等の添加剤を適宜配合することができる。また、更に分散性を高めるため、低分子量の分散剤を配合してもよい。
これらのうち、界面活性剤は、金属微粒子の分散性をさらに高めたり、塗工性を向上させることができるため、好適に配合される。界面活性剤として、具体的には、4級アンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤;カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤;エーテル型、エステル型、エーテルエステル型などのノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
さらに、造膜性を高めること、印刷適性を付与すること、及び分散性を高めることを目的として、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、あるいはウレタン樹脂等を樹脂バインダーとして塗布液に添加してもよい。また、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、あるいは安定剤等を添加してもよい。
【0067】
本発明の塗布液中の固形分濃度は、基材に塗布する方法に応じて、適宜決定される。例えば、インクジェット方式の場合には、固形分濃度が5〜60質量%となるように調整される。この範囲であると、粘度が十分に低く、基材への塗布液の印刷が容易である。
【0068】
(印刷方法)
基材上に塗布液を印刷し、印刷層を形成する方法としては特に制限されず、グラビア印刷、スクリーン印刷、スプレーコート、スピンコート、コンマコート、バーコート、ナイフコート、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、ディスペンサ印刷などの方法を用いることができる。これらのうち、微細なパターニングを行うことができるという観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、及びインクジェット印刷が好ましい。特に、本発明の金属微粒子分散体は、分散性に優れているため、インクジェットの吐出ノズルに詰まりが生じたり、吐出曲がりが生じることがなく、インクジェット印刷に適している。
また、本発明の方法によれば、基材上に塗布液を所望のパターンに直接印刷することができるため、従来のフォトレジストを用いた手法に比較して、著しく生産性を向上させることができる。
【0069】
基材上の塗布液は印刷後、通常の方法で乾燥を行ってもよい。乾燥後の印刷部分の膜厚は用途等に応じ、適宜塗布量や金属微粒子の平均一次粒子径等を変化させて制御することができるが、通常、0.01〜100μmの範囲、好ましくは0.1〜50μmの範囲である。
【0070】
《焼成処理》
本発明の製造方法における焼成は、金属微粒子同士が焼結する温度に昇温することにより、あるいはマイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマ(以下「マイクロ波表面波プラズマ」と称することがある。)により行うことができる。なかでも、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマにより行うことが好ましい。焼成にマイクロ波表面波プラズマを用いることで、基材への熱ダメージを少なくすることができる。また、基材の表面が粗化することを防ぐことができるため、透明基材を用いる場合には、導電パターンが形成された部分以外の基材の透明性が確保され、高い透明性を有する導電性基板が得られる。
また、マイクロ波表面波プラズマによる焼成処理は、大面積の処理が可能で、短時間の焼成処理が可能であるため、生産性が極めて高い。
【0071】
さらに、マイクロ波表面波プラズマを用いた焼成は、不活性ガス雰囲気下又は還元性ガス雰囲気下で行うのが、金属微粒子焼結膜の導電性の観点から好ましい。
特に、本発明においては、マイクロ波表面波プラズマを、還元性ガスの雰囲気下で発生させることが好ましく、とりわけ水素ガス雰囲気下で発生させることが好ましい。これにより、金属微粒子表面に存在する絶縁性の酸化物が還元除去され、導電性能の良好な導電パターンが形成される。
【0072】
還元性雰囲気を形成する還元性気体としては、水素、一酸化炭素、アンモニアなどのガス、あるいはこれらの混合ガスが挙げられるが、特に、副生成物が少ない点で水素ガスが好ましい。
なお、還元性気体には、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガスを混合して用いれば、プラズマが発生し易くなるなどの効果がある。
【0073】
マイクロ波表面波プラズマ処理の前に、金属微粒子分散体を含む塗布液を印刷した印刷層に含まれる分散剤等の有機物を除去するために、大気下または酸素を含む雰囲気下、50〜200℃程度の温度で10分から2時間程度焼成することが好ましい。この焼成により、有機物が酸化分解除去され、マイクロ波表面波プラズマ処理において、金属微粒子の焼結が促進される。ただし、本発明では、上述のように、高分子分散剤として特定のものを用いることによって、焼成処理をより低温にしたり、該マイクロ波表面波プラズマ処理の前の焼成処理を省略することができる。
【0074】
より具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの樹脂フィルムを基材として用いる場合、熱による変形を抑えるために、焼成処理は165℃以下の温度条件で行うことが好ましい。また、この焼成処理においては、(i)酸素を含む雰囲気下で165℃以下で焼成する工程、及び(ii)不活性ガス雰囲気及び/又は還元性ガス雰囲気下でマイクロ波表面波プラズマを用いて165℃以下で焼成する工程、の二つの焼成工程で焼成を行うことが好ましい。より緻密な導電膜を得ることが可能となるからである。ここで、酸素を含む雰囲気下における酸素濃度としては、特に制限はないが、酸素濃度が0.1〜30%であることが好ましい。すなわち、酸素を含む雰囲気下には、大気雰囲気下が含まれる。酸素濃度が0.1%以上であれば有機物の分解が促進され、30%以下であれば安全性が高いので好ましい。
本発明の金属微粒子分散体は、添加した高分子分散剤が金属微粒子に何らかの形で吸着していると推測される。そのような分散体を、大気中あるいは酸素を含む雰囲気下で焼成することで、その吸着力は低減し、さらに不活性ガス雰囲気あるいは還元性ガス雰囲気下でマイクロ波表面波プラズマを用いて焼成することにより、高分子分散剤の分解が促進するため、緻密な導電膜が得られると考えられる。
【0075】
(マイクロ波表面波プラズマの発生方法)
前記マイクロ波表面波プラズマの発生方法に特に制限はなく、例えば減圧状態の焼成処理室の照射窓からマイクロ波エネルギーを供給し、該焼成処理室内に照射窓に沿う表面波プラズマを発生させる無電極プラズマ発生手段を用いることができる。
【0076】
前記プラズマ発生手段としては、例えば焼成処理室の照射窓から周波数2450MHzのマイクロ波エネルギーを供給し、該処理室内に、電子温度が約1eV以下、電子密度が約1×1011〜1×1013cm−3のマイクロ波表面波プラズマを発生させることができる。
なお、マイクロ波エネルギーは、一般に周波数が300MHz〜3000GHzの電磁波であるが、例えば、2450MHzの電磁波が用いられる。この際、マイクロ波発振装置であるマグネトロンの精度誤差などのために2450MHz/±50MHzの周波数範囲を持っている。
【0077】
(マイクロ波表面波プラズマの効果)
このようなマイクロ波表面波プラズマは、プラズマ密度が高く、電子温度が低い特性を有し、前記印刷層を低温かつ短時間で焼成処理することが可能であり、緻密かつ平滑な金属微粒子焼結膜を形成することができる。マイクロ波表面波プラズマは、処理面に対して、面内で均一の密度のプラズマが照射される。その結果、他の焼成方式と比べて、面内で部分的に粒子の焼結が進行するなど、不均一な膜が形成されることが少なく、また粒成長を防ぐことができるため、非常に緻密で、平滑な膜が得られる。また、面内処理室内に電極を設ける必要がないので、電極由来の不純物のコンタミネーションを防ぐことができ、また処理材料に対して異常な放電によるダメージを防ぐことができる。
さらに、マイクロ波表面波プラズマは、電子温度が低いため、基材をエッチングする能力が小さく、プラスチック基材に対するダメージを小さくすることができると推察される。
【0078】
マイクロ波表面波プラズマは、上述のように、樹脂基材に対する金属微粒子焼結膜の密着性を高めるのに好適である。この理由としては、マイクロ波表面波プラズマは、金属微粒子焼結膜との界面で水酸基やカルボキシル基などの極性官能基を発生させやすいためと推測される。特にポリエステル基材に対して、還元性ガス雰囲気下で発生するプラズマを用いた場合には、基材のエステル結合に、還元性ガスを有するガスのプラズマが反応し、基材の界面側に改質が起こり、極性の高い反応基が多く発生するために、金属微粒子焼結膜と基材の界面での密着性が向上するものと推察している。
したがって、従来のように、基材表面をあらかじめプラズマ処理等により粗化して、導電パターンとの密着性を向上させる方法に比較しても、本発明の方法は、基材と導電パターントの界面が平滑であり、かつ密着性が高い点で優れている。
【0079】
このように、マイクロ波表面波プラズマにより、焼成処理されて形成された金属微粒子焼結膜は、厚みが10nm〜50μm程度、好ましくは50nm〜5μm程度、さらに好ましくは100〜2000nmである。
【0080】
本発明の導電性基板は、上述のように、基材上に、金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成してなる導電性基板である。
また、本発明の導電性基板における、金属微粒子焼結膜のパターン(導電パターン)の体積抵抗率は、1.0×10−4Ω・cm以下であることが好ましい。
【0081】
本発明の導電性基板は、基材上に密着性よく設けられたパターン状の金属微粒子焼結膜を有し、信頼性、及び導電性に優れた導電性基板である。
このような、本発明の導電性基板を用いた電子部材としては、表面抵抗の低い電磁波シールド用フィルム、導電膜、フレキシブルプリント配線板などに有効に利用することができる。
【実施例】
【0082】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
1.分散剤の構造特定方法
本発明で用いる高分子分散剤の構造を特定する方法としては、以下の方法を用いた。
測定前処理として、サンプル濃度が0.5%になるように、テトラヒドロフラン(THF)で希釈し、静置・濾過後、ゲル浸透クロマトグラフィ法(測定装置;東ソー(株)製,「HLC8220GPC」)で、ポリスチレン換算分子量を測定し、側鎖数を特定した。また、滴定法によりアミン価を、赤外分光法(IR)及び核磁気共鳴法(NMR)から各誘導体を定性し、主鎖及び側鎖の構造を示した。
2.評価方法
この例で得られた、金属微粒子分散体、及び導電性基板について、以下の方法によって評価した。
(1)粒径測定及び分散性評価(走査透過型電子顕微鏡(STEM)観察)
(株)日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡(SEM)「S−4800」を用い、同装置に付属するSTEMによる観察像により、加速電圧30kV、エミッション電流10μAにて、金属微粒子及び金属微粒子分散体の観察を行い、分散性を評価した。金属微粒子の平均一次粒子径については、得られた画像から任意の粒子100個を抽出し、その粒径を計測し、平均することにより求めた。
(2)インクジェット印刷適性
プリンタ「DMP−2831」(FUJI FILM Dimatix社製)を用い、吐出量10pLのカートリッジヘッドを用いて、インクジェット印刷適性について評価した。
(3)導電性(表面抵抗)
表面抵抗計((株)ダイアインスツルメンツ製「ロレスタGP」,PSPタイププローブ)を用いて、金属微粒子焼結膜に4探針を接触させ、4探針法にて表面抵抗を測定した。
(4)膜厚および焼結深度
膜の焼結深度は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察による断面観察により行った。
(株)日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡「S−4800」を用い、加速電圧1kV、加速電流10μAで観察を行った。ミクロトームを用いて試料を切断し、断面観察を行い、焼結膜の膜厚を測定した。また、焼結膜が深さ方向に均一に焼成できているかどうかを、観察像を目視にて確認することで評価した。基板近傍まで均一に焼成できている場合を良好とし、均一に焼成できていない場合を不良とした。
【0083】
製造例1B(銅微粒子)
酸化第二銅64g、保護コロイドとしてゼラチン5.1gを650ミリリットルの純水に添加、混合し、15%のアンモニア水を用いて混合液のpHを10に調整した後、20分かけて室温から90℃まで昇温した。昇温後、撹拌しながら錯化剤として1%のメルカプト酢酸溶液6.4gと、80%のヒドラジン一水和物75gを150mLの純水に混合した液を添加し、1時間かけて酸化第二銅と反応させ、銅微粒子を得た。濾液を洗浄、乾燥し、銅微粒子を得た。得られた銅微粒子について、上記方法により、STEMによる観察を行った結果、平均一次粒子径は0.05μmであった。
【0084】
製造実施例1B(銅微粒子分散体)
225mLのマヨネーズ瓶に、分散剤としてソルスパース41000(ルーブリゾール社製,主鎖:ポリエーテル骨格)3gとトルエン67gを加え攪拌した。
溶解した後、製造例1Bで得られた銅微粒子30gを加え攪拌した。
直径0.3mmのジルコニアビーズ200gを加えて瓶にふたをし、ペイントシェイカーにて3時間振とうさせることで銅色の銅微粒子分散体を得た。
該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0085】
製造実施例2B(銅微粒子分散体)
分散剤をソルスパース71000(ルーブリゾール社製,主鎖:ポリエチレンイミン骨格,側鎖:ポリエーテル骨格,側鎖数4本,プロピレングリコールユニットを平均15ユニット、エチレングリコールユニットを平均2ユニット有する)に変更したこと以外は、製造実施例1Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0086】
製造実施例3B(銅微粒子分散体)
分散剤をソルスパース39000(ルーブリゾール社製,主鎖:ポリエチレンイミン骨格,側鎖:ポリエステル骨格,側鎖数3本,バレロラクトン誘導体ユニットを平均6ユニット、カプロラクトン誘導体ユニットを平均6ユニット有する)に変更したこと以外は、製造実施例1Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0087】
製造実施例4B(銅微粒子分散体)
分散剤をアジスパーPB−821(味の素ファインテクノ製,主鎖:ポリアリルアミン骨格,側鎖:ポリエステル骨格,側鎖数3本,カプロラクトン誘導体ユニットを平均16個有する)に変更したこと以外は、製造実施例1Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0088】
製造実施例5B(銅微粒子分散体)
分散剤をマリアリムAAB−0851(日本油脂(株)製,主鎖:無水マレイン酸骨格,側鎖:ポリエーテル骨格(プロピレングリコールユニット))に変更したこと以外は、製造実施例1Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0089】
製造実施例6B(銅微粒子分散体)
分散剤をEFKA4010(エフカケミカル製,主鎖:トリレンジイソシアネート骨格,側鎖:ポリエーテル骨格,側鎖3本にポリエチレングリコールユニットを2個有し、側鎖1本にカプロラクトンユニットを3個有する)に変更したこと以外は、製造実施例1Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
【0090】
製造実施例7B(銅微粒子分散体)
225mLのマヨネーズ瓶にソルスパース39000(ルーブリゾール社製,前出)4.7gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)48.3gを加え攪拌した。溶解した後、製造例1Bで製造した銅微粒子を47g加え攪拌した。次いで、製造実施例1Bと同様の操作を行って、銅色の銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の粘度は10mPa・sであり、表面張力は26.8mN/mであった。該分散体のインクジェット印刷適性について、上記方法にて、インクの吐出性能を確認した結果、吐出曲がりや詰まりはなく、インクジェットパターニング適性は良好であった。
【0091】
製造実施例8B(銅微粒子分散体)
溶剤をブチルジグリコールアセテートに変更したこと以外は、製造実施例7Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法により、STEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の粘度は12mPa・sであり、表面張力は28.3mN/mであった。該分散体のインクジェット印刷適性について、上記方法にて、インクの吐出性能を確認した結果、吐出曲がりや詰まりはなく、インクジェットパターニング適性は良好であった。
【0092】
製造実施例9B(銅微粒子分散体)
分散剤をソルスパース71000(ルーブリゾール社製、前出)に変更したこと以外は、製造実施例7Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の粘度は12mPa・sであり、表面張力は26.9mN/mであった。該分散体のインクジェット印刷適性について、上記方法にて、インクの吐出性能を確認した結果、吐出曲がりや詰まりはなく、インクジェットパターニング適性は良好であった。
【0093】
製造実施例10B(銅微粒子分散体)
140mLのマヨネーズ瓶にソルスパース71000(ルーブリゾール社製,前出)0.9gとトルエン41.1gを加え攪拌した。溶解した後、製造例1Bで製造した銅微粒子を18g加え攪拌した。次いで、製造実施例1Bと同様の操作で赤銅色の銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の固形分濃度は31.7質量%であり、粘度は1.6mPa・sであり、表面張力は22.5mN/mであった。この分散体のインクジェット印刷適性について、上記方法にて、インクの吐出性能を確認した結果、吐出曲がりや詰まりはなく、インクジェットパターニング適性は良好であった。
【0094】
製造実施例11B(銅微粒子分散体)
分散剤をソルスパース8200(ルーブリゾール社製、主鎖:ポリアミド骨格、側鎖にポリプロピレングリコールユニットを含む、塩基性官能基を含有する櫛型構造)に変更した以外は、製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の固形分濃度は30.9質量%であり、粘度は1.5mPa・sであり、表面張力は23.4mN/mであった。
【0095】
製造実施例12B(銅微粒子分散体)
分散剤をDisperbyk−9076(ビックケミー社製,主鎖:ポリアミン骨格,側鎖にポリエーテル骨格を含む、塩基性官能基含有の高分岐構造)に変更した以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の固形分濃度は32.7質量%であり、粘度は1.2mPa・sであり、表面張力は23.2mN/mであった。
【0096】
製造実施例13B(銅微粒子分散体)
分散剤をDisperbyk−145(ビックケミー社製,主鎖:ポリアミン骨格,側鎖にポリエーテル骨格を含む、塩基性官能基含有の高分岐構造)に変更した以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の固形分濃度は31.2質量%であり、粘度は1.2mPa・sであり、表面張力は22.7mN/mであった。
【0097】
製造実施例14B(銅微粒子分散体)
溶媒をトルエンからBCA(ブチルカルビトールアセテート)に変更したこと以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過した後、上記方法によりSTEMによる観察を行ったところ、凝集のない銅微粒子が確認できた。
この分散体の固形分濃度は31.1質量%であり、粘度は8.3mPa・sであり、表面張力は31.5mN/mであった。この分散体のインクジェット印刷適性を上記方法にて確認した結果、ノズル詰まりや吐出曲がりはなくインクジェットパターニング性は良好であった。
【0098】
製造実施例15B
分散剤を、ソルスパース71000(ルーブリゾール社製,前出)を1.8g、銅微粒子を24g、溶媒をブチルプロピレングリコール34.2gに変更したこと以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。
この分散体の固形分濃度は42.4質量%であり、粘度は11.1mPa・sであり、表面張力は31.2mN/mであった。この分散体のインクジェット印刷適性を上記方法にて確認した結果、ノズル詰まりや吐出曲がりはなくインクジェットパターニング性は良好であった。
【0099】
製造実施例16B
分散剤を、ソルスパース71000(ルーブリゾール社製,前出)を1.2g、銅微粒子を30g、溶媒をメチルエチルジグリコール28.8gに変更したこと以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。
この分散体の固形分濃度は50.9質量%であり、粘度は13.1mPa・sであり、表面張力は30.9mN/mであった。この分散体のインクジェット印刷適性を上記方法にて確認した結果、ノズル詰まりや吐出曲がりはなくインクジェットパターニング性は良好であった。
【0100】
製造実施例17B
分散剤を、ソルスパース71000からDisperbyk−145(ビックケミー社製,前出)を1.89g、銅微粒子を30g、溶媒をトルエンからメチルエチルジグリコール28.1gに変更したこと以外は製造実施例10Bと同様にして銅微粒子分散体を得た。
この分散体の固形分濃度は50.7質量%であり、粘度は6.84mPa・sであり、表面張力は28.4mN/mであった。この分散体のインクジェット印刷適性を上記方法にて確認した結果、ノズル詰まりや吐出曲がりはなくインクジェットパターニング性は良好であった。
【0101】
実施例1B(導電性基板)
製造実施例1Bで得られた分散体を固形分30質量%となるようにトルエンで調整し、厚さ200μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ65FA」、融点:270℃)の平滑面側に、スピンコートにより全面塗布した。次いで、溶媒成分を乾燥させ、有機物を除去するために、160℃で30分間加熱した。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により焼成処理を行った。プラズマ処理による焼成は、水素ガスを用い、水素導入圧力30Pa、マイクロ波出力600Wで、5分間焼成を行い、導電性基板を得た。基板表面の温度を熱電対で測定したところ、プラズマ処理前は25℃に保持されていたものが、プラズマ照射終了時に160℃に到達した。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0102】
実施例2B(導電性基板)
製造実施例2Bで得られた分散体を用いたこと以外は、実施例1Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0103】
実施例3B(導電性基板)
製造実施例3Bで得られた分散体を固形分30質量%となるようにトルエンで調整し、厚さ200μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ65FA」、融点:270℃)の平滑面側に、スピンコートにより全面塗布した。有機物を除去するための加熱は行わなかった。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により焼成処理を行った。プラズマ処理による焼成は、水素ガスを用い、水素導入圧力30Pa、マイクロ波出力600Wで、10分間焼成を行い、導電性基板を得た。基板表面の温度を熱電対で測定したところ、プラズマ処理前は25℃に保持されていたものが、プラズマ照射終了時に160℃に到達した。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0104】
実施例4B(導電性基板)
製造実施例4Bで得られた分散剤を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0105】
実施例5B(導電性基板)
製造実施例1Bで得られた分散剤を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0106】
実施例6B(導電性基板)
製造実施例2Bで得られた分散剤を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0107】
実施例7B(導電性基板)
製造実施例6Bで得られた分散剤を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0108】
実施例8B(導電性基板)
製造実施例7Bで得られた分散剤を用いたこと以外は、実施例3Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0109】
実施例9B(導電性基板)
プラズマ処理条件を、マイクロ波出力650Wとしたこと以外は、実施例1Bと同様にして導電性基板を得た。基板表面の温度を熱電対で測定したところ、プラズマ処理前は25℃に保持されていたものが、プラズマ照射終了時に180℃に到達した。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0110】
実施例10B(導電性基板)
プラズマ処理条件を、マイクロ波出力650Wとしたこと以外は、実施例2Bと同様にして導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。
【0111】
実施例11B(導電性基板)
製造実施例10Bで得られた分散体を固形分30質量%となるようにトルエンで調整し、厚さ200μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「テオネックスQ65FA」、融点:270℃)の平滑面側に、スピンコートにより全面塗布した。次いで、溶媒成分を乾燥させ、有機物を除去するために、大気中160℃で30分間加熱した。
続いて、マイクロ波表面波プラズマ処理装置(MSP−1500、ミクロ電子(株)製)により焼成処理を行った。プラズマ処理による焼成は、水素ガスを用い、水素導入圧力30Pa、マイクロ波出力500Wで、5分間焼成を行い、導電性基板を得た。基板表面の温度を熱電対で測定したところ、プラズマ処理前は25℃に保持されていたものが、プラズマ照射終了時に160℃に到達した。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第2表に示す。
【0112】
実施例12B(導電性基板)
製造実施例11Bで得られた分散体を用いたこと以外は、実施例11Bと同様にして、導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第2表に示す。
【0113】
実施例13B(導電性基板)
製造実施例12Bで得られた分散体を用いたこと以外は、実施例11Bと同様にして、導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第2表に示す。
【0114】
実施例14B(導電性基板)
製造実施例13Bで得られた分散体を用いたこと以外は、実施例11Bと同様にして、導電性基板を得た。得られた基板に変形などはなかった。
得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第2表に示す。
【0115】
比較例1B
分散剤をソルスパース16000(ルーブリゾール社製、主鎖:ポリエチレンイミン骨格、側鎖:12−ヒドロキシステアリン酸エステル)に変更したこと以外は、実施例3Bと同様にして、導電性基板を得た。得られた導電性基板について、上記方法により評価した結果を第1表に示す。得られた基板に変形などはなかったが、導電性基板の表面抵抗は10Ω/□以上と高く、測定することができなかった。マイクロ波表面波プラズマにより、分散剤に起因する有機物が分解されず、残存したためと考えられる。
【0116】
比較例2B
分散剤をオレイルアミンに変更したこと以外は、製造実施例7Bと同様にして、銅微粒子分散体を得た。該分散体を加圧ろ過したところろ過することができなかった。また、STEM観察を行ったところ、凝集体が多く存在しており、インクジェット印刷を試みたが、インクを吐出することができなかった。
【0117】
比較例3B
分散剤をcolorburst2176(ルーブリゾール社製、無水コハク酸)に変更したこと以外は、製造実施例7Bと同様にして、銅微粒子分散体の製造を試みたが、直ちに凝集・沈降し、分散体を得ることはできなかった。
【0118】
比較例4B
分散剤をDisperbyk−116(ビックケミー社製、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレートからなるアクリル分散剤)に変更したこと以外は、製造実施例7Bと同様にして分散体を得た。該分散体を加圧ろ過したところろ過することができなかった。また、STEM観察を行ったところ、凝集体が多く存在しており、インクジェット印刷を試みたが、インクを吐出することができなかった。
【0119】
【表1】
【0120】
【表2】
【0121】
【表3】
【0122】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の金属微粒子分散体を用いて製造した導電性基板は、基材と金属微粒子焼結膜との密着性が高く、かつ導電性に優れる。したがって、該導電性基板は、プリント配線板、多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、電磁波シールドなどに好適に利用される。また、本発明の製造方法は、直接、基材に回路パターンを印刷法により形成することができるため、エッチング法などに比較して生産効率が高い。さらに、金属微粒子の分散剤が易分解性であり、焼成工程を簡略化できるために、製造コストを低減できるとともに、極めて生産効率が高い。
【手続補正書】
【提出日】2015年4月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属微粒子、高分子分散剤、及び分散媒を含有する金属微粒子分散体であって、金属微粒子の平均一次粒子径が0.001〜0.5μmであり、高分子分散剤が主鎖及び側鎖の少なくとも一方にポリエーテル骨格を有し、該ポリエーテル骨格が、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの少なくとも一方を構成単位として含み、該ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの合計ユニット数の平均値が10以上であり、かつ該高分子分散剤の含有量が金属微粒子の含有量100質量部に対して、0.1〜100質量部であることを特徴とする金属微粒子分散体。
【請求項2】
前記高分子分散剤の側鎖がポリエーテル骨格であり、主鎖がポリアミン骨格又はポリイミン骨格である請求項に記載の金属微粒子分散体。
【請求項3】
金属微粒子分散体を構成する金属が、金、銀、銅、ニッケル、白金、パラジウム、スズ、鉄、クロム、インジウム、ケイ素、及びゲルマニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の金属微粒子分散体。
【請求項4】
前記金属微粒子が、銅微粒子である請求項1又は2に記載の金属微粒子分散体。
【請求項5】
前記銅微粒子が、錯化剤及び保護コロイドの存在下で、2価の銅酸化物と還元剤とを媒液中で混合して生成したものである請求項に記載の金属微粒子分散体。
【請求項6】
前記錯化剤における配位子のドナー原子が、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項に記載の金属微粒子分散体。
【請求項7】
前記保護コロイドがタンパク質系保護剤である請求項又はに記載の金属微粒子分散体。
【請求項8】
前記高分子分散剤の主鎖がポリエチレンイミンからなる請求項に記載の金属微粒子分散体。
【請求項9】
前記高分子分散剤の主鎖がポリアリルアミンからなる請求項に記載の金属微粒子分散体。
【請求項10】
前記分散媒が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ケトン、エステル及びアルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜のいずれかに記載の金属微粒子分散体。
【請求項11】
基材上に、請求項1〜10のいずれかに記載の金属微粒子分散体を含む塗布液をパターン状に印刷して印刷層を形成し、該印刷層を焼成処理してパターン状の金属微粒子焼結膜を形成する導電性基板の製造方法。
【請求項12】
前記焼成が、マイクロ波エネルギーの印加により発生する表面波プラズマによる焼成である請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項13】
前記焼成が、不活性ガス雰囲気下及び/又は還元性ガス雰囲気下で発生する表面波プラズマによるものである請求項12に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項14】
前記焼成が、(i)酸素を含む雰囲気下で165℃以下で焼成する工程、及び(ii)不活性ガス雰囲気下及び/又は還元性ガス雰囲気下で表面波プラズマにより165℃以下で焼成する工程からなるものである請求項11に記載の導電性基板の製造方法。
【請求項15】
請求項11〜14のいずれかに記載の製造方法により製造した導電性基板。