(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-16424(P2015-16424A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】破砕機
(51)【国際特許分類】
B02C 18/00 20060101AFI20141226BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20141226BHJP
【FI】
B02C18/40 103Z
B02C18/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-145031(P2013-145031)
(22)【出願日】2013年7月10日
(71)【出願人】
【識別番号】591119624
【氏名又は名称】株式会社御池鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 由和
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀匡
(72)【発明者】
【氏名】長江 弘希
【テーマコード(参考)】
4D065
【Fターム(参考)】
4D065CA12
4D065CA16
4D065CB02
4D065CB07
4D065CC01
4D065CC08
4D065DD08
4D065DD16
4D065EA05
4D065EB02
4D065EB14
(57)【要約】
【課題】断面寸法の比較的小さい被処理物も確実に破砕でき、また、固定刃の交換を容易に行うことができる破砕機を提供すること。
【解決手段】破砕機1は、投入口2a及び排出口2bを有するケーシング2と、ケーシング2内に配列されて複数の回転刃6が設けられた2つのロータ3,3と、ロータ3,3の下側に配置された複数の固定刃8を備える。板状の固定刃8は、一方のロータ3の軸装着部51の外周面に沿った第1弧状部85と、他方のロータ3の回転刃6の軌跡に沿った第2弧状部86を有し、ロータ3の回転軸4に沿って互いに平行に複数枚配列される。固定刃8は、ケーシング2の内側面からロータ3の下方にわたって延在し、固定刃8の第2弧状部86の下方部分が、平面視においてロータ3,3の間に配置されて回転軸4と平行に延びる固定刃支持部材9に支持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物の投入口を上部に有すると共に排出口を下部に有するケーシングと、
上記ケーシングの内側に互いに平行に配置され、回転駆動される2つの回転軸と、
上記回転軸の軸方向に所定間隔をおいて配列された複数の板状の回転刃支持体と、
上記回転刃支持体に着脱可能に取り付けられた回転刃と、
上記回転軸と平行に延在すると共に、平面視において上記2つの回転軸の間に配置され、かつ、上記回転軸よりも排出口側に配置された固定刃支持部材と
平面視において上記ケーシングの内側面と上記固定刃支持部材との間に延在するように配列された複数の固定刃と
を備えることを特徴とする破砕機。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕機において、
上記固定刃は、一方の上記回転軸の外周面に沿った第1弧状部と、他方の上記回転軸により回転駆動される回転刃の軌跡に沿った第2弧状部とを有することを特徴とする破砕機。
【請求項3】
請求項2に記載の破砕機において、
上記固定刃は、上記第1弧状部の側方部分がケーシングの内側面に固定されている一方、上記第2弧状部の下方部分が上記固定刃支持部材に固定されていることを特徴とする破砕機。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の破砕機において、
上記回転刃支持体は、上記回転軸の径方向に突出した回転刃取付け部を有し、
上記回転刃取付け部は上記回転軸の径方向と略平行の回転刃取付面を有し、
上記回転刃は、上記回転刃取付面に接する接触面を有し、
上記回転刃支持体の回転刃取付け部に、回転方向における後方から回転軌跡の接線方向に挿入されたボルトで上記回転刃が固定されていることを特徴とする破砕機。
【請求項5】
請求項4に記載の破砕機において、
上記回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面と上記回転刃の接触面は、いずれか一方に形成した凸部と、他方に形成した凹部とが嵌合してなる嵌合構造を有することを特徴とする破砕機。
【請求項6】
請求項5に記載の破砕機において、
上記嵌合構造は、上記回転軸の径方向に延在する溝及び凸部と、上記回転軸と平行方向に延在する溝及び凸部を有することを特徴とする破砕機。
【請求項7】
請求項5に記載の破砕機において、
上記嵌合構造は、T字状の溝及び凸部を有することを特徴とする破砕機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転刃を有する2つのロータが互いに平行に配置された2軸型の破砕機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば家具や家電製品等の粗大ごみや、タイヤや自転車や木材等の各種の廃棄物を破砕するため、2軸型の破砕機が用いられている。
【0003】
従来の2軸型の破砕機としては、
図12に示すように、ケーシング102内に、2つのロータ103,103を互いに平行に配置したものがある。このロータ103は、モータから回転力が入力される回転軸104と、回転軸104の外周に固定された複数の支持円盤105と、支持円盤105の外周に固定された回転刃106を有する。ケーシング102の内側には、上記ロータ103の回転刃106に近接して配置され、回転する回転刃106と共にせん断動作を行うように固定された固定刃107と、上記2つのロータ103,103の下方に配置された格子状スクリーン108を備える。
【0004】
上記ロータ103に設けられた回転刃106は、支持円盤105の外周を3つの上記回転刃106で取り囲むように形成されている。上記回転刃106は、
図13に示すように、3分の1円弧状に形成されて内周面が支持円盤105の外周面に接する回転刃本体106bと、回転刃本体106bの一端に形成され、径方向に突出して尖端が尖った刃物部106aを有する。回転刃106の刃物部106aにはボルト頭の座面を有するボルト穴109aが設けられており、このボルト穴109aに挿通されたボルト110により、この回転刃106の一端と、隣接する回転刃106の他端とを固定するようになっている。弧状本体106bの他端面には、隣接する回転刃106のボルト穴109aに挿通されたボルト110の先端が螺着するボルト穴109bが設けられている。弧状本体106bの内周面には、この弧状本体106bと支持円盤105とを固定するためのキーが嵌合するキー溝105cが設けられている。上記支持円盤105及び回転刃106は、回転軸106に沿って所定間隔をおいて固定されており、平行に配置された2つのロータ103,103は、互いの支持円盤105及び回転刃106の回転軌跡が軸方向視において重複するように配置されている。
【0005】
上記従来の破砕機101は、モータから回転軸104に入力された回転力により、2つのロータ103が互いに逆向きに回転駆動され、2つのロータ103の対向部分において、回転刃106が上から下に移動する。ケーシング102の上端の投入口から投入された被処理物は、上記2つのロータ103の間に噛み込まれて下方に移動する際に、隣接する回転刃106と回転刃106でせん断されて破砕される。ロータ103の下方に移動した被処理物は、格子状スクリーン108の網目寸法よりも大きい場合、格子状スクリーン108の上に保持され、回転刃106と固定刃107でせん断されて破砕される。回転刃106相互によるせん断動作や、回転刃106と固定刃107によるせん断動作により、被処理物が格子状スクリーン108の網目寸法よりも小さくなると、格子状スクリーン108の網目を通過して下方に落下し、図示しないベルトコンベヤで回収されて破砕機101から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−117133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の破砕機は、ロータ103,103の下方に移動した被処理物を格子状スクリーン108で保持するので、棒状の被処理物が投入された場合、被処理物が2つのロータ103,103の隙間と格子状スクリーン108の網目を通過して抜け落ち、破砕されずに排出される可能性がある。
【0008】
また、回転刃106が、支持円盤105の外周を3つの上記回転刃106で取り囲むように配置され、隣り合う回転刃106の相互がボルト110で固定され、かつ、支持円盤105との間に回転止めのキーが設けられているので、回転刃106に係る部品点数が多く、摩耗等に伴う回転刃106の交換作業に手間がかかるという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の課題は、棒状の被処理物のような断面寸法の比較的小さい被処理物も確実に破砕でき、また、固定刃の交換を容易に行うことができる破砕機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の破砕機は、被処理物の投入口を上部に有すると共に排出口を下部に有するケーシングと、
上記ケーシングの内側に互いに平行に配置され、回転駆動される2つの回転軸と、
上記回転軸の軸方向に所定間隔をおいて配列された複数の板状の回転刃支持体と、
上記回転刃支持体に着脱可能に取り付けられた回転刃と、
上記回転軸と平行に延在すると共に、平面視において上記2つの回転軸の間に配置され、かつ、上記回転軸よりも排出口側に配置された固定刃支持部材と
平面視において上記ケーシングの内側面と上記固定刃支持部材との間に延在するように配列された複数の固定刃と
を備えることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、回転軸が回転駆動され、回転刃支持体に取り付けられた回転刃が回転駆動されることにより、回転刃と回転刃によるせん断動作と、回転刃と固定刃によるせん断動作が行われる。ケーシングの上部の投入口から投入された被処理物は、上記回転刃と回転刃によるせん断動作と、回転刃と固定刃によるせん断動作を受けて破砕される。ここで、例えば棒状の被処理物のように断面の寸法が比較的小さい被処理物が、回転軸と回転軸の間をせん断されることなく通過しても、この被処理物は、ケーシングの内側面と固定刃支持部材との間に延在する複数の固定刃に当接する。また、断面の寸法が比較的小さい被処理物が、複数の固定刃の相互間を通過しても、上記固定刃を支持する固定刃支持部材に当接する。したがって、上記被処理物は、固定刃及び/又は固定刃支持部材によって効果的に抜け止めが行われるので、回転刃と回転刃又は回転刃と固定刃により、効果的に破砕される。その結果、断面寸法の小さい被処理物が処理されることなく抜け落ちる不都合を防止でき、被処理物の破砕効率を高めることができる。
【0012】
一実施形態の破砕機は、上記固定刃は、一方の上記回転軸の外周面に沿った第1弧状部と、他方の上記回転軸により回転駆動される回転刃の軌跡に沿った第2弧状部とを有する。
【0013】
上記実施形態によれば、固定刃の第1弧状部により、一方の回転軸に被処理物が巻き付く不都合を防止できると共に、固定刃の第2弧状部により、他方の回転軸で駆動される回転刃と共にせん断動作を行うことができる。したがって、少ない部品点数により、安定して被処理物のせん断動作を行うことができる破砕機が得られる。ここで、上記第1弧状部の形状は、回転軸の表面に直接沿った形状のほか、例えば回転軸に装着された円環状の部材の外周面に沿う形状であってもよく、要は、実質的に回転軸と同一とみなされる部材の外周面に沿った形状であればよい。
【0014】
一実施形態の破砕機は、上記固定刃は、上記第1弧状部の側方部分がケーシングの内側面に固定されている一方、上記第2弧状部の下方部分が上記固定刃支持部材に固定されている。
【0015】
上記実施形態によれば、固定刃の第2弧状部の下方部分が固定刃支持部材で支持されているので、この第2弧状部と、この第2弧状部に沿って回転駆動される回転刃とで、被処理物が効果的にせん断される。
【0016】
一実施形態の破砕機は、上記回転刃支持体は、上記回転軸の径方向に突出した回転刃取付け部を有し、
上記回転刃取付け部は上記回転軸の径方向と略平行の回転刃取付面を有し、
上記回転刃は、上記回転刃取付面に接する接触面を有し、
上記回転刃支持体の回転刃取付け部に、回転方向における後方から回転軌跡の接線方向に挿入されたボルトで上記回転刃が固定されている。
【0017】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面に、回転刃の接触面が接触した状態で、上記回転刃取付け部に後方から回転軌跡の接線方向に挿入されたボルトで上記回転刃が上記回転刃取付け部に固定されるので、回転刃支持体の回転刃取付け部のボルトを操作することにより回転刃を着脱できる。したがって、従来よりも少ない工程で、回転刃の交換作業を行うことができる。
【0018】
一実施形態の破砕機は、上記回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面と上記回転刃の接触面は、いずれか一方に形成した凸部と、他方に形成した凹部とが嵌合してなる嵌合構造を有する。
【0019】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部の回転刃取付面と回転刃の接触面に設けた嵌合構造により、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を安定して固定することができる。
【0020】
一実施形態の破砕機は、上記嵌合構造は、上記回転軸の径方向に延在する凹部及び凸部と、上記回転軸と平行方向に延在する凹部及び凸部を有する。
【0021】
上記実施形態によれば、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を適切に安定して固定することができると共に、回転軸と平行方向の振れ止めと、回転軸の径方向の振れ止めを行うことができる。
【0022】
一実施形態の破砕機は、上記嵌合構造は、T字状の凹部及び凸部を有する。
【0023】
上記実施形態によれば、比較的簡易な構造により、回転刃支持体の回転刃取付け部に回転刃を適切に安定して固定することができると共に、回転軸と平行方向の振れ止めと、回転軸の径方向の振れ止めを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態の破砕機を示す横断面図である。
【
図13】従来の破砕機が備える回転刃を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態の破砕機を示す横断面図であり、
図2は、
図1の破砕機の平面図である。本実施形態の破砕機1は、家具、家電、自転車、自動車部品、ドラム缶、木材等の種々の廃棄物を破砕して破片にするものであり、ゴミ処理や再生材料の製造等の種々の産業で使用される。
【0027】
この破砕機1は、被処理物の投入口2aが上端に形成され、破砕処理後の被処理物を排出する排出口2bが下端に形成された略直方体のケーシング2と、ケーシング2内に平行に配置され、回転刃6を有して回転駆動される2つのロータ3,3と、各ロータ3,3の下側に配置された固定刃8と、ロータ3,3を回転駆動する図示しないモータで大略構成されている。
【0028】
ケーシング2内のロータ3,3よりも排出口2b側には、矩形断面を有する棒状の固定刃支持部材9が配置されている。この固定刃支持部材9は、平面視において、2つの回転軸4の間に、これらの回転軸4と平行に配置されている。ケーシング2のロータ3,3を挟んで対向する内側面には、フランジ状の2つの側方支持部材10,10が固定されている。これらの側方支持部材10,10は、固定刃支持部材9と略同じ高さに配置されている。
【0029】
ロータ3は、モータから回転力が伝達される円形断面の回転軸4と、回転軸4に外嵌して軸方向に個配列された複数の回転刃支持ユニット5,5,・・・と、回転刃支持ユニット5に取り付けられた回転刃6を有する。
【0030】
回転刃支持ユニット5は、
図3の側面図及び
図4の正面図に示すように、回転軸4に挿通される挿通孔55を有する円環状の軸装着部51と、軸装着部51の外周面に固定された板状の回転刃支持体52を有する。回転刃支持体52は、径方向に突出した回転刃支持部53を有し、この回転刃支持部53には、回転軸4の接線と平行方向を向いた端面に、回転刃6の取付面53aが形成されている。この取付面53aには、
図3の側面視において逆T字状の凹部としての嵌合溝54が設けられている。回転刃支持部53には、取付面53aの背面から取付面53aに向かって回転軸4の接線方向に延在するボルト穴55が設けられている。ボルト穴55は、1つの取付面53aにつき径方向に2つ配列されている。上記取付面53aに、回転刃6が取り付けられる。回転刃支持ユニット5の軸装着部51の挿通孔55の壁面には、回転軸4との間の回り止めのキー11が取り付けられるキー溝56が、中心軸に関して径方向に対称の2か所に形成されている。この回転刃支持ユニット5は、2つの回転軸4,4の夫々に、互いの軸装着部51の端面が接するように複数個配列されて装着されている。各回転軸4,4のケーシング2内の回転軸4方向に対向する壁面の近傍には、軸スペーサ58が装着されており、これにより、回転軸4,4に対する回転刃支持ユニット5の装着位置が調整されて、両方の回転軸4,4に装着された回転刃支持ユニット5の回転刃支持体52が、回転軸4方向に交互に位置するように配列されている。
【0031】
上記ロータ3に設けられた複数の回転刃支持ユニット5は、回転軸4回りに位相をずらして固定されている。これにより、回転刃6が被処理物をせん断する際に回転刃支持ユニット5から回転軸4に作用する抵抗を、回転刃支持ユニット5毎にずらして生じるようにしている。なお、
図1の横断面図には、回転軸4に装着された複数の回転刃支持ユニット5のうち、横断面に近い単一の回転刃支持ユニット5のみを示している。一方のロータ3の回転刃支持ユニット5と、他方のロータ3の回転刃支持ユニット5は、互いに逆向きに装着されている。詳しくは、
図1の横断面図に示すように、2つのロータ3,3の回転刃支持ユニット5に固定された回転刃6の刃先が、互いのロータ3,3の間において、排出口2b側を向くように配置されている。また、一方のロータ3の回転刃支持ユニット5と、他方のロータ3の回転刃支持ユニット5は、互いに約90°の位相差をなして装着されている。
【0032】
図5は回転刃6の平面図であり、
図6は回転刃6の側面図であり、
図7は回転刃6の背面図である。この回転刃6は、正面側に、刃先が径方向に延在するブレード61が形成されている。ブレード61は、回転刃支持ユニット5に取り付けられたときの回転軸4の径方向外側に向かうにつれて、回転方向に突出しており、これにより、
図6の側面図に示すように、回転軸4の径方向外側の先端が鋭角に形成されている。この回転刃6の背面側には、
図7に示すように、T字状に形成された嵌合凸部62が設けられており、この嵌合凸部62には、回転刃支持ユニット5に取り付けられたときの回転軸4の径方向の外側と内側に配列された2つのボルト穴66,66が設けられている。この嵌合凸部62は、高さ方向、すなわち、回転軸4の径方向に延在する部分と、幅方向、すなわち、回転軸4と平行方向に延在する部分とが接続する凸部側面63が、曲面に形成されている。この回転刃6のT字状の嵌合凸部62を、回転支持体52の回転刃支持部53の取付面53aに形成されたT字状の嵌合溝54に嵌合させ、回転支持体53のボルト穴55に挿通されたボルトを回転刃6のボルト穴66に螺着して締結することにより、回転刃6を回転支持体52の回転刃支持部53に固定している。
【0033】
図8は、固定刃8を示す正面図である。固定刃8は、平面視において、ケーシング2の内側面と固定刃支持部材9との間に延在するように配列される。この固定刃8は、
図8の縦方向に延在してケーシング2の内側面に固定される固定縁81と、
図8の横方向に延在する下端縁82と、固定縁81の上端から下方に向かって傾斜する上部傾斜縁84と、上部傾斜縁84に連なり、一方の回転軸4に装着される回転刃支持ユニット5の軸装着部51の外周面に沿った第1弧状部85と、他方の回転軸4に装着される回転刃支持ユニット5に固定される回転刃6の軌跡に沿った第2弧状部86により輪郭が形成されている。固定刃8の下端縁82の両側には、側方支持部材10に嵌合して固定される側方固定部82aと、固定刃支持部材9に嵌合して固定される中央固定部82bとを有する。中央固定部82bは、第2弧状部86の下方に位置しており、互いの先端部が連なっている。この固定刃8は、横断面視においてケーシング2内のロータ3の側方から下方にわたって位置すると共に、平面視において、ロータ3に装着された複数の回転刃支持ユニット5の回転刃支持体52の間に位置するように、回転軸4の延在方向に等間隔をおいて配列される。複数の上記固定刃8は、
図1に示されるように、回転軸4の軸方向視において、第2弧状部86が重複するように配置される。
【0034】
上記構成の破砕機1は、次のように動作する。まず、モータが起動して2つの回転軸4,4を互いに逆方向に回転駆動し、これにより、2つのロータ3,3が互いに逆方向に回転する。ロータ3の回転数は、被処理物が間伐材や剪定材等の木質材である場合、20rpm以上30rpm以下に設定することができる。2つのロータ3,3が互いに逆方向に回転することにより、ロータ3,3の回転刃6が、平面視において2つの回転軸4,4の間に向かうと共に、横断面視において2つの回転軸4,4の間を投入口2aから排出口2bに向かうように駆動される。ケーシング2の投入口2aから投入された被処理物は、回転する上記ロータ3,3によって被処理物が回転軸4,4の間に導かれ、ロータ3の回転刃6の相互作用によりせん断される。被処理物が回転軸4よりも下方に移動すると、固定刃8と回転刃6の作用によりせん断される。
【0035】
ここで、上記固定刃8は、回転刃6の軌跡に沿った第2弧状部86を有するので、回転軸4,4の間を、例えば棒状の被処理物のように断面寸法が比較的小さい被処理物がせん断されることなく通過しても、上記被処理物は固定刃8の第2弧状部86に当接して固定刃8上に留まる。したがって、回転刃6の相互により、或いは、回転刃6と固定刃8により、上記被処理物が確実にせん断される。また、回転軸4,4間でせん断されなかった被処理物の断面寸法が比較的小さく、固定刃8の相互間を通過した場合であっても、この被処理物は、固定刃8の第2弧状部86を支持する固定刃支持部材9に当接し、固定刃支持部材9や固定刃8の上に受け取られる。したがって、断面寸法が比較的小さい被処理物であっても、回転刃6の相互により、或いは、回転刃6と固定刃8により効果的にせん断される。
【0036】
また、断面寸法が比較的小さい被処理物が、ケーシング2の内側面とロータ3の間に落下した場合、ケーシング2の内側面に設けられた側方支持部材10に当接して係止する。側方支持部材10に係止した被処理物は、ロータ3の回転刃6で引き上げられ、回転刃6の相互により、或いは、回転刃6と固定刃8により、せん断される。このように、断面寸法が比較的小さい被処理物がロータ3,3の間から外れて投入されても、側方支持部材10で受け取られて、回転刃6の相互により、或いは、回転刃6と固定刃8により効果的にせん断される。
【0037】
こうしてせん断されて所定寸法よりも小さくなった被処理物は、固定刃8の相互間、及び、固定刃支持部材9と側方支持部材10との間に形成された隙間を通って落下し、ケーシング2の下部の排出口2bから下方に排出される。
【0038】
このように、上記実施形態の破砕機1によれば、例えば細枝の剪定材のような断面積の小さい被処理物が投入されても、回転刃6の相互により、或いは、回転刃6と固定刃8により、効果的に破砕することができる。
【0039】
また、上記実施形態の破砕機1によれば、回転刃支持体52の回転刃支持部53の取付面53aに設けられた嵌合溝54に、回転刃6の嵌合凸部62を嵌合させ、回転刃支持体52の回転刃支持部53の回転方向における背面側からボルト穴55に挿通したボルトによって回転刃6を固定している。したがって、例えば保守作業において、上記回転刃支持部53の背面のボルトを操作することにより回転刃6を着脱できるので、従来よりも少ない工程で回転刃6の交換作業を行うことができる。また、回転刃支持体52の回転刃支持部53の回転方向における背面側からボルト穴55に挿通したボルトにより、回転刃6を固定するので、回転刃支持体52の回転に伴ってボルト穴55に被処理物が詰まる恐れが無い。したがって、ボルトを容易に操作して回転刃6の交換作業を行うことができる。また、ボルト穴55に被処理物が詰まることによりボルトが過剰に締結される不都合を、防止できる。
【0040】
また、上記回転刃6の嵌合凸部62を、回転刃支持部53の取付面53aの嵌合溝54に嵌合しているので、回転刃6を回転刃支持体52の回転刃支持部53に安定して固定することができる。さらに、上記回転刃6の嵌合凸部62と、上記回転刃支持体52の回転刃支持部53の取付面53aに設けられた嵌合溝54とをT字状に形成したので、固定刃6について、回転軸4の軸方向と径方向の振れ止めを効果的に行うことができる。なお、上記実施形態において、回転刃6の嵌合凸部62と、回転刃支持体52の回転刃支持部53の取付面53aの嵌合溝54とをT字状に形成したが、例えば十字状や、I字状等に形成してもよい。また、回転刃6に嵌合凸部62を設け、回転刃支持体52に嵌合溝54を設けたが、回転刃6に嵌合溝を設け、回転刃支持体52に嵌合凸部を設けてもよい。
【0041】
上記実施形態において、回転刃6として、刃先が径方向に延在するブレード61を有するものを用いたが、他の形状の回転刃を用いてもよい。例えば、
図9の平面図、
図10の側面図及び
図11の背面図に示すように、刃先が回転軸4の径方向、すなわち、回転刃支持部53の突出方向の最外縁に形成されて、回転軸4方向、すなわち、回転刃支持部53の厚み方向に延在する回転刃60を用いることができる。この回転刃60は、回転刃支持部53の厚みよりも広い幅に形成され、回転刃支持部53の取付面53aに固定される背面の両側に、傾斜段部165が形成されている。
図9乃至11において、嵌合凸部62、凸部側面63及びボルト穴66は、上記実施形態の回転刃6と同様である。刃先が回転軸4の径方向の最外縁に形成され、回転軸4方向に延在して回転刃支持部53よりも幅広に形成された回転刃60を用いることにより、上記実施形態の回転刃6よりも大きい衝撃力を被処理物に作用することができるので、高い破砕効果が得られる。
【符号の説明】
【0042】
1 破砕機
2 ケーシング
2a ケーシングの投入口
2b ケーシングの排出口
3 ロータ
4 回転軸
5 回転刃支持ユニット
6 回転刃
8 固定刃
52 回転刃支持体
53 回転刃支持部
53a 取付面
54 嵌合溝
61 ブレード
62 嵌合凸部
66 ボルト穴
85 第1弧状部
86 第2弧状部