【解決手段】太陽電池パネルの裏面に設けられたペルチェ素子に接続されるベースプレート2と、ベースプレート2に立設される支柱3と、支柱3に対して当該支柱3の延在方向に配列されて設けられる複数のプレート状のフィン4とを備えるヒートシンク1であって、支柱3の先端3bに向かうに連れて、支柱3の延在方向から見たフィン4の面積が減少している。
太陽電池パネルの裏面に設けられたペルチェ素子に接続されるベースプレートと、前記ベースプレートに立設される支柱と、前記支柱に対して当該支柱の延在方向に配列されて設けられる複数のプレート状のフィンとを備えるヒートシンクであって、
前記支柱の最も先端側に設けられたフィンの面積が他の前記フィンの面積よりも狭いことを特徴とするヒートシンク。
前記支柱の最も先端側に設けられた前記フィンを除き、同一の前記支柱に設けられた前記フィンの形状が、前記支柱の延在方向から見て、矩形の対向する一対の角部を切除した形状とされていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のヒートシンク。
太陽光を電力に変換する太陽電池パネルと、前記太陽電池パネルの裏面に設けられると共に熱を電力に変換するペルチェ素子と、前記太陽電池パネルとの間に前記ペルチェ素子を挟んで配置されるヒートシンクとを備える複合型太陽エネルギー変換装置であって、
前記ヒートシンクとして、請求項1〜7いずれか一項に記載のヒートシンクを備えることを特徴とする複合型太陽エネルギー変換装置。
前記太陽電池パネルに合わせて前記ヒートシンクが水平面に対して30〜35°の角度で傾斜されていることを特徴とする請求項10記載の複合型太陽エネルギー変換装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、太陽エネルギーを用いた発電装置に対して、タワー型のヒートシンクを用いる構成が開示されている。しかしながら、非特許文献1に記載されているように、タワー型のヒートシンクは、強制空冷に適した形状であり、自然対流の条件下では熱抵抗値が高く、冷却効率が悪い。複合型太陽エネルギー変換装置は、一般的に長時間屋外に設置されるものであることからファンを設置することは難しい。このため、複合型太陽エネルギー変換装置に、従来から用いられているタワー型のヒートシンクを用いた場合には、冷却効率が悪く、ペルチェ素子による発電量の増加は期待できない。また、プレートフィン型のヒートシンクは、指向性が高く、風の向きが一様ではない屋外での使用には向かないことから、強制空冷に適した形状である。また、ピン型のヒートシンクも、自然対流の条件下では中央部に熱が籠るため、タワー型のヒートシンクと同様に、強制空冷に適した形状である。
【0007】
このように、従来のヒートシンクは、いずれも強制空冷時に効果を発揮する形状であり、自然対流の条件下において効率的な放熱が行えるものではなかった。
【0008】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、複合型太陽エネルギー変換装置に用いるヒートシンクにおいて、自然対流の条件下における放熱効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0010】
第1の発明は、太陽電池パネルの裏面に設けられたペルチェ素子に接続されるベースプレートと、上記ベースプレートに立設される支柱と、上記支柱に対して当該支柱の延在方向に配列されて設けられる複数のプレート状のフィンとを備えるヒートシンクであって、 上記支柱の最も先端側に設けられたフィンの面積が他の上記フィンの面積よりも狭いという構成を採用する。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記支柱の先端に向かうに連れて、上記支柱の延在方向から見た上記フィンの面積が減少しているという構成を採用する。
【0012】
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、上記フィンの配置間隔が、上記支柱の直径以上の距離とされているという構成を採用する。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜第3いずれかの発明において、上記フィンが円板状であり、全てのフィンが上記支柱を中心とする同心状に設けられているという構成を採用する。
【0014】
第5の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記支柱の延在方向から見た上記フィンの形状が全て矩形であるという構成を採用する。
【0015】
第6の発明は、上記第1〜第4いずれかの発明において、上記支柱の最も先端側に設けられた上記フィンを除き、同一の上記支柱に設けられた上記フィンの形状が、上記支柱の延在方向から見て、矩形の対向する一対の角部を切除した形状とされているという構成を採用する。
【0016】
第7の発明は、上記第6の発明において、上記支柱の延在方向に隣り合う上記フィンにおいて、切除される角部の位置が異なるという構成を採用する。
【0017】
第8の発明は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネルと、上記太陽電池パネルの裏面に設けられると共に熱を電力に変換するペルチェ素子と、上記太陽電池パネルとの間に上記ペルチェ素子を挟んで配置されるヒートシンクとを備える複合型太陽エネルギー変換装置であって、上記ヒートシンクとして、上記第1〜第7いずれかの発明であるヒートシンクを備えるという構成を採用する。
【0018】
第9の発明は、上記第8の発明において、上記ヒートシンクを複数備えるという構成を採用する。
【0019】
第10の発明は、上記第8または第9の発明において、上記太陽電池パネルを傾斜させて支持すると共に太陽に向けて回動させる回動装置を備えるという構成を採用する。
【0020】
第11の発明は、上記第10の発明において、上記太陽電池パネルに合わせて上記ヒートシンクが水平面に対して30〜35°の角度で傾斜されているという構成を採用する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数のプレート状のフィンの面積が、支柱の先端に向かうに連れて、減少している。すなわち、本発明においては、支柱の先端に向かうに連れてフィンが小型化する形状を有している。このような本発明のヒートシンクによれば、屋外等の自然対流の条件下に設置されたときに、どのような方向から風を受けた場合であっても、広い面積で風を受けることができ、放熱効果が高まる。つまり、本発明のヒートシンクでは、全てのフィンが同じ形状(すなわち面積)である場合と比較して、どの方向から見た場合であってもフィンの露出面積が広くなり、一様ではない風を効率的にフィンによって受けることができ、放熱効果が高まる。したがって、本発明によれば、複合型太陽エネルギー変換装置に用いるヒートシンクにおいて、自然対流の条件下における放熱効果を高めることが可能となる。
【0022】
また、同じ形状のフィンを配列した場合には、フィン同士の面が全域において対向しているため、熱源(すなわちベースプレート側)に近いフィンから空間に放出された熱の一部が、隣のフィンに吸収されている。これに対して、本発明によれば、低温側のフィンが高温側のフィンよりも小さいことから、熱源に近いフィンから空間に放出された熱が隣のフィンに吸収され難くなる。この結果、本発明によれば、例えば、同じ形状のフィンを配列した場合と同じ枚数のフィンを設置したときに、フィンの面積の総和は減少するものの、同等の放熱効果を得ることができる。これは、本発明においては、同じ形状のフィンを配列した場合と比較して、放熱に寄与しない無駄な部分が削減されことを意味する。よって、本発明のヒートシンクによれば、無駄な部分が削除され、材料コストの削減及び小型化が可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、さらにフィン同士の間隔を広げる構成や、支柱を水平面に対して傾斜させるように配置することにより、フィン同士の間に熱が籠ることを抑制し、より放熱効果を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態におけるヒートシンクの斜視図である。
【
図2】タワー型のヒートシンクにおいてフィンの間隔を2mmとした場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図3】タワー型のヒートシンクにおいてフィンの間隔を4mmとした場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図4】タワー型のヒートシンクにおいてフィンの間隔を6mmとした場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図5】タワー型のヒートシンクにおいてフィンの間隔を8mmとした場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図6】本発明の一実施形態におけるヒートシンクを用いた場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図7】タワー型のヒートシンクを傾けた場合の風の流れのシミュレーション結果である。
【
図8】本発明の一実施形態におけるヒートシンクの熱拡散のシミュレーション結果である。
【
図9】本発明の一実施形態におけるヒートシンクと同じ枚数のフィンを有するタワー型のヒートシンクの熱拡散のシミュレーション結果である。
【
図10】タワー型のヒートシンクの熱拡散のシミュレーション結果である。
【
図11】本発明の一実施形態におけるヒートシンクと、比較例1のヒートシンクと、比較例2のヒートシンクとにおける、加熱時間とヒートシンク温度との関係を示すグラフである。
【
図12】本発明の一実施形態におけるヒートシンクを備える複合型太陽エネルギー変換装置の第1実施形態の概略構成を示す模式図である。
【
図13】本発明の一実施形態におけるヒートシンクを備える複合型太陽エネルギー変換装置の第2実施形態の概略構成を示す模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態におけるヒートシンクを備える複合型太陽エネルギー変換装置の第3実施形態の概略構成を示す模式図である。
【
図15】シミュレーションに用いた丸型モデルの斜視図である。
【
図16】シミュレーションに用いた角型モデルの斜視図である。
【
図17】シミュレーションに用いた切欠型モデルの斜視図である。
【
図18】切欠型モデルが備えるフィンの形状を説明するための模式図である。
【
図19】シミュレーション結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明に係るヒートシンク及び複合型太陽エネルギー変換装置の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0026】
[ヒートシンク]
本実施形態のヒートシンク1は、太陽光及び熱を電力に変換する複合型太陽エネルギー変換装置(
図2参照)に用いられるものである。なお、複合型太陽エネルギー変換装置の説明については後に行い、まずヒートシンク1について説明を行う。
図1は、本実施形態のヒートシンク1の斜視図である。この図に示すように、本実施形態のヒートシンク1は、ベースプレート2と、支柱3と、フィン4とを備えている。
【0027】
ベースプレート2は、例えばアルミニウムからなる円板状の部材である。このベースプレート2は、表面2a側に支柱3が取り付けられている。このようなベースプレート2は、熱源(すなわち冷却対象)に対して裏面2bが固定され、熱源からの熱を支柱3及びフィン4に伝達すると共に自らも熱の一部を周囲の空間に放散する。なお、ベースプレート2は、例えば接着剤や締結部材(例えばネジ)によって熱源に対して固定される。本実施形態においては、ベースプレート2は、直径が60mm、厚みが5mmとされている。
【0028】
支柱3は、例えばアルミニウムからなる柱状の部材である。この支柱3は、延在方向(すなわち軸方向)がベースプレート2の表面2aと直交する方向を向くように、ベースプレート2の中央部に立設されている。これにより、支柱3は、根元部3aがベースプレート2に固定され、先端3bがベースプレート2から遠ざかる方向に向けられている。なお、支柱3は、溶接によってベースプレート2に対して固定しても良いし、支柱3及びベースプレート2に対してネジ溝を形成して螺合させることでベースプレート2に対して固定しても良い。本実施形態においては、支柱3は、直径が10mmとされている。
【0029】
フィン4は、例えばアルミニウムからなる円板状(プレート状)の部材であり、支柱3に固定されている。このフィン4は、支柱3から伝達された熱を周囲の空間に放散する。本実施形態においては、このフィン4として、第1フィン4aと、第2フィン4bと、第3フィン4cと、第4フィン4dと、第5フィン4eとが設けられている。これらのフィン4は、支柱3の根元部3aから先端3b側に向けて、第1フィン4a、第2フィン4b、第3フィン4c、第4フィン4d、第5フィン4eの順に配列されている。すなわち、本実施形態においては、支柱3に対して、当該支柱3の延在方向に配列されて設けられる複数の円板状のフィン4が設けられている。
【0030】
第1フィン4aは、最も支柱3の根元部3a側に設けられている。この第1フィン4aは、中央部が支柱3に固定され、ベースプレート2に対して間隔を空け配置されている。第2フィン4bは、中央部が支柱3に固定され、第1フィン4aに対して間隔を空けて配置されている。第3フィン4cは、中央部が支柱3に固定され、第2フィン4bに対して間隔を空けて配置されている。第4フィン4dは、中央部が支柱3に固定され、第3フィン4cに対して間隔を空けて配置されている。第5フィン4eは、支柱3の先端3bに設けられている。この第5フィン4eは、中央部が支柱3に固定され、第4フィンに対して間隔を空けて配置されている。
【0031】
本実施形態において、これらのフィン4は、等間隔で配列されており、その配置間隔の距離が支柱3の直径と同じ(すなわち10mm)とされている。また、全てのフィン4は、中央部が支柱3に固定されている。これによって、本実施形態のヒートシンク1においては、支柱3の延在方向(軸方向)から見て、全てのフィン4が支柱3を中心とする同心状に設けられている。
【0032】
また、本実施形態のヒートシンク1においては、支柱3の最も根元部3a側に配置された第1フィン4aの直径が最も大きく、第2フィン4b、第3フィン4c及び第4フィン4dの直径が徐々に小さくなり、支柱3の最も先端3b側に配置された第5フィン4eの直径が最も小さくなっている。つまり、本実施形態のヒートシンク1においては、支柱3の先端3bに向かうに連れて、支柱3の延在方向(軸方向)から見たフィン4の面積が減少している。
【0033】
なお、本実施形態においては、第1フィン4aの直径が60mm、第2フィン4bの直径が50mm、第3フィン4cの直径が40mm、第4フィン4dの直径が30mm、第5フィン4eの直径が20mmとされている。すなわち、フィン4は、支柱3の先端3b側に向かうに連れて10mmずつ縮径されている。また、各フィン4の厚みは1mmとされている。
【0034】
以上のような本実施形態のヒートシンク1においては、複数の円板状のフィン4の面積が、支柱3の先端3bに向かうに連れて、減少している。すなわち、本実施形態のヒートシンク1では、支柱3の先端3bに向かうに連れてフィン4が小型化する形状を有している。このため、屋外等の自然対流の条件下に設置されたときに、どのような方向から風を受けた場合であっても、広い面積で風を受けることができ、放熱効果が高まる。
【0035】
つまり、本実施形態のヒートシンク1では、全てのフィン4が同じ形状(すなわち同じ面積)である場合と比較して、どの方向から見た場合であってもフィン4の露出面積が広くなり、一様ではない風を効率的にフィンによって受けることができ、放熱効果が高まる。したがって、本実施形態のヒートシンク1によれば、複合型太陽エネルギー変換装置に用いるヒートシンクにおいて、自然対流の条件下における放熱効果を高めることが可能となる。
【0036】
また、同じ形状のフィンを配列した場合には、フィン同士の面が全域において対向することになるため、すなわちベースプレート側に近いフィンから空間に放出された熱の一部が、隣のフィンに吸収される。これに対して、本実施形態のヒートシンク1によれば、低温側(先端3b側)のフィン4が高温側(根元部3a側)のフィン4よりも小さいことから、熱源に近いフィン4から空間に放出された熱が隣のフィン4に吸収され難くなる。この結果、例えば、同じ形状のフィンを配列した場合と同じ枚数のフィンを設置したときに、フィンの面積の総和は減少するものの、同等の放熱効果を得ることができる。このため、本実施形態のヒートシンク1によれば、無駄な部分が削除され、材料コストの削減及び小型化が可能となる。
【0037】
また、本実施形態のヒートシンク1においては、さらにフィン4同士の間隔が支柱3の直径と同一とされている。従来のタワー型のヒートシンクにおけるフィン同士の間隔は支柱3の直径と比較すると遥かに小さいものであったため、フィン同士の間を空気が抜けることができず、フィン同士の間に熱が籠り、放熱効果が低下する原因となっていた。これに対して、本実施形態のヒートシンク1においては、フィン4同士の間隔が従来のタワー型のヒートシンクよりも広くされている。このため、従来のタワー型のヒートシンクよりもフィンの数が減少したとしても、自然対流の条件下では、放熱効果が高くなる。
【0038】
また、本実施形態のヒートシンク1においては、支柱3を水平面に対して傾斜させるように配置することが望ましい。支柱3を傾斜させることにより、フィン4同士の間の加熱された空気が上昇気流となってフィン4同士の間から抜け出しやすくなり、より放熱効果を高めることが可能となる。
【0039】
続いて、本実施形態のヒートシンク1の上述の効果について検証するために行ったシミュレーションの結果について説明する。
【0040】
図2〜
図5は、強制空冷を行わない条件の下、タワー型のヒートシンクにおいて風がどのように通過するかについてシミュレーションした結果である。なお、
図2はフィンの間隔を2mmとしたモデルを用いたシミュレーション結果であり、
図3はフィンの間隔を4mmとしたモデルを用いたシミュレーション結果であり、
図4はフィンの間隔を6mmとしたモデルを用いたシミュレーション結果であり、
図5はフィンの間隔を8mmとしたモデルを用いたシミュレーション結果である。これらの図において、線は、風の流れを示している。これらのシミュレーション結果が示すように、フィンの間隔が狭い(例えば、2mmや4mm)場合には、フィンの間を流れる空気が殆ど存在しないことが分かる。一方、フィンの間隔が広い(例えば6mmや8mm)場合には、フィンの間を流れる空気の量が増加していることが分かる。
【0041】
図6は、
図2〜
図5と同じ条件下において、本実施形態のヒートシンク1において風がどのように通過するかについてシミュレーションした結果である。このシミュレーション結果から、フィンの間隔を支柱の直径と同じ10mmに拡大することによって、多くの空気がフィンの間に流れ込んでいることが分かる。このような
図2〜
図6に示すシミュレーション結果から、フィンの間隔を支柱の直径以上の10mm以上とすることによって、フィンの間に流れ込む空気の量を極めて多くすることが可能となることが確認された。
【0042】
図7は、タワー型のヒートシンクを傾けた場合において風がどのように通過するかについてシミュレーションした結果である。この図に示すように、ヒートシンクを傾けた場合には、フィン同士の間で空気が暖められることで形成される上昇気流がフィンによって妨げられにくくなり、フィン同士の間から空気が抜けだしやすくなることが確認された。この結果、ヒートシンクを傾けることにより放熱効果を高めることが可能であることが確認された。なお、ヒートシンクの傾きを水平面に対して30〜35°(すなわち支柱の鉛直面に対する角度が30〜35°)とすることによって、放熱効果を高めることが可能であることが分かった。これは、本実施形態のヒートシンク1においても同様のことが言える。
【0043】
図8〜
図10は、本実施形態のヒートシンク1と、本実施形態のヒートシンク1と同じ形状のフィンを本実施形態のヒートシンク1と同様に5枚有するヒートシンク(以下、比較例1と称する)と、従来のタワー型ヒートシンク(比較例2)とにおける熱拡散の様子をシミュレーションした結果を示す図である。なお、
図8が本実施形態のヒートシンク1のシミュレーション結果であり、
図9が比較例1のシミュレーション結果であり、
図10が比較例2のシミュレーション結果である。
【0044】
図9と
図10との比較から分かるように、強制空冷を行わない環境においては、フィンを密接に多数配置する場合と比較して、フィンを間引いて間隔を広げて配置することによって、周囲への空間の熱の放散量が増加していることが確認できた。また、
図9と
図10との比較から分かるように、フィンを支柱の先端に向けて縮径させた場合であっても、比較例2と同様に、周囲への空間の熱の放散量が減少しないことが確認された。また、
図11は、
図8〜
図10に示す本実施形態のヒートシンク1と、比較例1のヒートシンクと、比較例2のヒートシンクとにおける、加熱時間とヒートシンク温度との関係を示すグラフである。この
図11において、グラフAが本実施形態のヒートシンク1に対応し、グラフBが比較例1のヒートシンクに対応し、グラフCが比較例2のヒートシンクに対応している。この
図11から、本実施形態のヒートシンク1の収束温度が最も低いことが分かる。これは、本実施形態のヒートシンク1が、比較例1のヒートシンク及び比較例2のヒートシンクに対して熱交換(熱の流れ)がスムーズに行われていることを意味し、熱の放散に寄与しない無駄な部分が少なくなっていることを意味している。すなわち、本実施形態のヒートシンク1によれば、無駄な部分が削除され、材料コストの削減及び小型化が可能となることが確認された。
【0045】
[複合型太陽エネルギー変換装置]
(第1実施形態)
図12は、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置10の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置10は、架台11と、発電モジュール12と、上述のヒートシンク1とを備えている。
【0046】
架台11は、設置面に対して固定されると共に、発電モジュール12を支持している。なお、本実施形態において架台11は、水平面に対して発電モジュール12が30〜35°傾斜するように発電モジュール12を支持している。発電モジュール12は、太陽光を電力に変換する太陽電池パネル12aと、太陽電池パネル12aの裏面に設けられると共に熱を電力に変換するペルチェ素子12bとが積層されてなる。ヒートシンク1は、太陽電池パネル12aとの間にペルチェ素子12bを挟んで配置されている。これによって、ヒートシンク1は、ペルチェ素子12bに接続されている。
【0047】
このような本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置10によれば、ヒートシンク1によってペルチェ素子12bの低温側から積極的な放熱が行われ、ペルチェ素子12bによる発電量を増大させることが可能となる。
【0048】
また、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置10では発電モジュール12に合わせてヒートシンク1が傾斜されている。ヒートシンク1を30〜35°傾斜させることによって、放熱効果を高めることができることから、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置10によれば、ペルチェ素子12bによる発電量を増大させることが可能となる。
【0049】
(第2実施形態)
図13は、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置20の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置20は、基台21と、大型の発電モジュール22と、複数のヒートシンク1とを備えている。
【0050】
基台21は、発電モジュール22を支持している。発電モジュール22は、上記第1実施形態と同様に、太陽電池パネル及びペルチェ素子からなる。また、本実施形態においては、複数のヒートシンク1が、発電モジュール22の裏面側に千鳥配置されている。
【0051】
このような本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置20によれば、上記第1実施形態と同様にペルチェ素子による発電量を増大させることができる。また、ヒートシンク1は、
図1に示すように支柱3の先端3b側に向かうに連れてフィン4が縮径する形状を有している。このため、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置20のように密接して配列した場合であっても、隣り合うヒートシンク1のフィン4同士の間隔を広く取ることができ、効率的に熱を放散することが可能となる。
【0052】
(第3実施形態)
図14は、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置30の概略構成を示す模式図である。この図に示すように、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置30は、回動装置31と、発電モジュール32と、複数のヒートシンク1とを備えている。
【0053】
回動装置31は、発電モジュール32を傾斜させて支持すると共に太陽に向けて回動させる。発電モジュール32は、上記第1実施形態と同様に、太陽電池パネル及びペルチェ素子からなる。
【0054】
このような本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置30によれば、発電モジュール32が常に太陽に向くように回動されるため、発電効率を向上させることができる。また、本実施形態の複合型太陽エネルギー変換装置30によれば、複数のヒートシンク1を備えていることから、上記第1及び第2実施形態と同様にペルチェ素子による発電量を増大させることができる。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態におけるフィン4の枚数やフィン4の直径等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、フィン4の数を4枚以下とすることや6枚以上とすることも可能である。
【0057】
また、例えば、各フィン4を同心状に配置せずに偏心させて配置する構成、フィン4の平面視形状を円形でなく他の形状(例えば、多角形形状)とする構成、各フィン4の形状が異なる構成、またはフィン4に複数あるいは単一の貫通孔を形成する構成を採用することも可能である。
【0058】
また、フィン4に対して、多孔質処理を施すことによって、フィン4の表面積を増加させる構成を採用することもできる。このような場合には、フィン4の表面積が増加することで、フィン4からの放散される熱の量も増加し、放熱効果をさらに高めることが可能となる。
【0059】
また、支柱3とフィン4とを着脱可能な別体として形成する構成を採用することも可能である。このような構成を採用することにより、ヒートシンク1の使用場所や仕様に応じて、設置現場にて容易に組み立てることが可能となる。したがって、複合型太陽エネルギー変換装置の製造コストを抑えることが可能となる。
【0060】
次に、
図15〜
図19を参照して、複合型太陽エネルギー変換装置において、フィンの形状を変化させて放熱効果について検証を行ったシミュレーション結果について説明する。本シミュレーションでは、
図15に示す円板状のフィンを有するモデル(以下、丸型モデルと称する)と、
図16に示す正方形状のフィンを有するモデル(以下、角型モデル)と、
図17に示す正方形の角部が切除された形状のフィンを有するモデル(以下、切欠型モデルと称する)との3つのモデルを用いて解析を行った。
【0061】
丸型モデルは、1つのベースプレート50に対して、格子配列された9つの支柱51が接続され、各支柱51に対して、先端に向かうに連れて面積が減少する3つの円板状のフィン52が等間隔で設けられた構造を有している。
【0062】
角型モデルは、1つのベースプレート50に対して、格子配列された9つの支柱51が接続され、各支柱51に対して、先端に向かうに連れて面積が減少する3つの角板状のフィン53が等間隔で設けられた構造を有している。つまり、角型モデルは、丸型モデルと同一のベースプレート50及び支柱51を有し、支柱51に対して当該支柱51の延在から見て正方形状でありかつ面積の異なるフィン53が設けられた構造とされている。
【0063】
切欠型モデルは、1つのベースプレート50に対して、格子配列された9つの支柱51が接続され、各支柱51の先端に矩形状のフィン54が設けられ、当該フィン54とベースプレート50との間に等間隔で2枚のフィン55及びフィン56が設けられた構造とされている。ここで、
図18(a)に示すように、正方形の左上を第1の角Aとし、右回りに各角を第2の角B、第3の角C及び第4の角Dとしたときに、先端のフィン54側のフィン55は、第1の角Aと第3の角Cとが二等辺三角形状に切除されている。一方、ベースプレート50側のフィン56は、
図18(b)に示すように、第2の角Bと第4の角Dとが二等辺三角形状に切除されている。つまり、フィン55及びフィン56は、正方形の対向する一対の角部を切除した形状とされている。さらに、隣り合うフィン55とフィン56において、切除される角部の位置が異なっている。なお、これらのフィン55とフィン56とは、面積が同一である。
【0064】
これらの3つのモデルを支柱51が下を向きかつベースプレート50が水平面に対して傾いた姿勢(
図15〜
図17に示す姿勢)とし、ベースプレート50の表面の中心(ベースプレート50が傾いていない方向における中央)上の温度分布を算出した。
図19は、その算出結果を示すグラフである。なお、
図19に示すグラフにおいて、ベースプレート上の位置の原点は、ベースプレート50の傾いている方向における最も低い箇所としている。
【0065】
図19に示すように、丸型モデルに対して、角型モデルは、ベースプレート50上の温度が低く、放熱効果が高いことが確認された。これは、丸型モデルでは、フィン52が円形であるため、ベースプレート50の垂線方向から見て、隣り合う支柱51に設けられるフィン52同士の間に大きな隙間が生じているのに対して、角型モデルではフィン53同士の隙間が小さくなることによるものと考えられる。つまり、正方形(矩形)のフィンとすることによって放熱を行わない空間(ベースプレート50の垂線方向から見て全くフィンが存在しない空間)を減少させることができ、放熱効果を高めることが可能になる。
【0066】
さらに、
図19に示すように、切欠型モデルは、角型モデルよりもさらにベースプレート50上の温度が低く、放熱効果が高いことが確認された。これは、先端のフィン54とベースプレート50との間に乱流が発生していることによるものと考えられる。つまり、フィン55及びフィン56の角部が切除されることによって形成された空間によって空気の流れ方向が変更され、他の空気流と衝突等することによって乱流が発生し、この乱流によってフィン54から空気への放熱効率が高まったためと考えられる。
【0067】
以上のシミュレーション結果から、支柱51の延在方向から見たフィンの形状を全て矩形とすることによって、角型モデルで示したように、丸型モデルよりも放熱効果が向上することが分かった。
【0068】
また、支柱51の最も先端側に設けられたフィン54を除き、同一の支柱51に設けられたフィン55及びフィン56の形状が、支柱51の延在方向から見て、矩形の対向する一対の角部を切除した形状とされ、さらに支柱51の延在方向に隣り合うフィン55及びフィン56において、切除される角部の位置が異なる構成とすることで、切欠モデルで示したように、角型モデルよりも放熱効果が向上することが分かった。