【実施例】
【0015】
以下、本発明に係る化粧料用電解水の構成例(実施例)をいくつか説明していく。本構成例では、3室型の電解水生成装置(以下、「本装置」という。)を利用した。本装置は、精製水や純水である原水及び、この原水に溶け込んだ支持電解質が循環して流出入する中間室と、この中間室との間に陽イオン交換膜及び陰極が仕切りとして配設され、支持電解質のうちの陽イオンが溶け込むカソード室と、中間室との間に陰イオン交換膜及び陽極が仕切りとして配設され、支持電解質のうちの陰イオンが溶け込むアノード室とから構成される。本装置は、150W又は300Wの定電圧回路を備え、電流値の稼働可能範囲が3A〜25Aである。
【0016】
本装置を用い、中間室で支持電解質が溶け込んだ原水を循環させ、電気分解を行うとともに、カソード室、アノード室に原水をそれぞれ流し入れることにより、カソード室からアルカリ性電解水を、アノード室から酸性電解水を、それぞれ生成することができる。
【0017】
(実施例1)
実施例1は、硫酸カリウム〔K
2SO
4〕を支持電解質としてpH2.63の酸性電解水を得て、これを含んで構成した化粧料用途の化粧料用電解水の例である。
【0018】
実施例1の化粧料用電解水は、原水に化粧用精製水(オルガノ(株)社製)を採用し、この化粧用精製水500mlに30gの硫酸カリウムを溶かして中間液を作製し、これを3室型電解装置で電気分解した。電気分解時の電圧は14.3V、電流値は開始時が7.2A、30分後が8.5Aだった。還元側(カソード室)はpH11.65、流量が1.5L/M(毎分1.5リットル)、酸化側(アノード室)はpH2.63、流量が1.5L/M(毎分1.5リットル)だった。中間液は開始時がpH7、30分後がpH1.3だった。電気分解を中止する等の支障が生じることなく、酸化側(アノード室)でpH2.63の酸性電解水を得ることができた。なお、pHの値は25℃のものである。
【0019】
(実施例2)
実施例2は、炭酸水素ナトリウム〔NaHCO
3〕を支持電解質としてpH6.26の酸性電解水を得て、これを含んで構成した化粧料用途の化粧料用電解水の例である。
【0020】
実施例2の化粧料用電解水は、原水に化粧用精製水(オルガノ(株)社製)を採用し、この化粧用精製水500mlに約65gの炭酸水素ナトリウムを溶かして中間液を作製し、これを3室型電解装置で電気分解した。電気分解時の電圧は16.2V、電流値は開始時が6.5A、15分後が8.1Aだった。還元側(カソード室)はpH11.28(26.5℃)、流量が1.0L/M、酸化側(アノード室)はpH6.26、流量が0.4L/Mだった。中間液は開始時がpH8.20、15分後がpH8.62だった。電気分解を中止する等の支障が生じることなく、酸化側(アノード室)でpH6.26の酸性電解水を得ることができた。なお、アノード室のpH(26.5℃)を除いて25℃のものである。
【0021】
(実施例3)
実施例3は、リン酸二水素ナトリウム〔NaH
2PO
4〕を支持電解質としてpH3.06の酸性電解水を得て、これを含んで構成した化粧料用途の化粧料用電解水の例である。
【0022】
実施例3の化粧料用電解水は、原水に化粧用精製水(オルガノ(株)社製)を採用し、この化粧用精製水500mlに150gのリン酸二水素ナトリウムを溶かして中間液を作製し、これを3室型電解装置で電気分解した。電気分解時の電圧は16.5V、電流値は開始時が4.1A、30分後が6.2Aだった。還元側(カソード室)はpH11.2(26.5℃)、流量が1.0L/M、酸化側(アノード室)はpH3.06、流量が0.4L/Mだった。中間液は開始時がpH3.95、15分後がpH3.65だった。電気分解を中止する等の支障が生じることなく、酸化側(アノード室)でpH3.06の酸性電解水を得ることができた。なお、アノード室のpH(26.5℃)を除いて25℃のものである。
【0023】
上述した実施例1〜3の化粧料用電解水により、官能試験を実施した。まず、成人の男女30人に使用してもらい、化粧用精製水(オルガノ(株)社製)と実施例1の硫酸カリウムを支持電解質として得られた酸性電解水を含む化粧料用電解水とで、肌へのもちもち感(肌がふっくらとして張りのあるさま)の優劣を比べた。その結果を下記[表1]に示す。また、比較例1として、所謂プラセボ効果を除くため、塩化ナトリウムを支持電解質として化粧用精製水(オルガノ(株)社製)を電気分解し、得られた酸性電解水を含んで構成した電解水(以下、「比較例電解水」という。)を用い、比較例電解水と化粧用精製水とにおいても、その得られる肌へのもちもち感の優劣を比べた。
【0024】
【表1】
【0025】
[表1]から、実施例1の化粧料用電解水は化粧用精製水に比べて肌へのもちもち感に優れる、と感じた人が大勢を占めたことが分かる。その一方で、比較例電解水が化粧用精製水に比べて肌へのもちもち感に優れるとは認められなかった。すなわち、肌へのもちもち感を得るには、クラスターの細かな電解水というプラセボによることなく(単に電解水であることだけでは足りず)、電解水中にヒドロキシ基を官能基として含む物質が溶解していることが必要であることが理解される。
【0026】
また、成人の男女30人に使用してもらい、実施例1の硫酸カリウムを支持電解質として得られた酸性電解水を含む化粧料用電解水に比べ、実施例2の炭酸水素ナトリウムを支持電解質として得られた酸性電解水を含む化粧料用電解水や、実施例3のリン酸二水素ナトリウムを支持電解質として得られた酸性電解水を含む化粧料用電解水が、肌へのもちもち感で優れるか否かを比べた。その結果を下記[表2]に示す。
【0027】
【表2】
【0028】
[表2]から、実施例1と実施例2とでは、肌へのもちもち感でどちらが優れるとは言い難く、すなわち同程度のもちもち感を与える化粧料用電解水であることが理解される。また、実施例3の化粧料用電解水は、実施例1の化粧料用電解水は化粧用精製水に比べて肌へのもちもち感に優れる、と感じた人が大勢を占めたことが分かる。リン酸二水素ナトリウムを支持電解質として得られた酸性電解水を含む化粧料用電解水が肌へのもちもち感にもっとも優れる理由は、その電離度による、または、分子内のヒドロキシ基の数が多い(酸性電解水中において、リン酸二水素イオンは分子内に2つのヒドロキシ基を含み、炭酸水素イオンや硫酸水素イオンは分子内に1つのヒドロキシ基を含む。)ことによるものと示唆される。そして、実施例1〜3の化粧料用電解水を構成する酸性電解水は、pH2.0〜7.0であって、ヒドロキシ基を官能基として含む物質が溶解しているという特徴で共通している。
【0029】
以上から、実施例1〜3の化粧料用電解水は、少なくとも化粧用精製水に比べて肌のもちもち感に優れ、電解水の特徴である水分子(クラスター)が小さいことを鑑みれば、肌の深部へ浸透し、そのもちもち感を持続的かつ効果的に付与することができるものと期待される。したがって、実施例1〜3の化粧料用電解水は、そのものを化粧料として利用することができるのみならず、例えば、化粧料を構成するに際して従来の精製水に代えて本発明に係る化粧料用電解水を用い、各種の化粧料を構成したりすることもできる。
【0030】
各種の化粧料として、例えば、ファンデーション、口紅、ほお紅、アイメイク、おしろいまたはボディパウダー、メイクアップ除去剤としてのメイクアップ剤、ボディパウダー、ネイルエナメル 、除光液(リムーバー)としてのマニキュアまたはペディキュア剤、シャンプー、パーマ剤、整髪剤、ヘアブリーチ剤、ヘアカラー剤、ヘアーコンディショナー剤としての毛髪手入れ用製剤、育毛剤・ヘアトニックとしての発毛促進あるいは発毛抑制をする剤、シェービング剤、脱毛剤・除毛剤としての除毛剤または除毛補助剤、制汗剤または身体防臭剤、サンスクリーン剤としての外部の影響から防護するため皮膚に直接接触させる製剤、入浴剤、美白用化粧料保湿、肌荒れ防止用化粧料、抗酸化用化粧料、しわ・たるみ改善用化粧料、創傷治癒・細胞賦活用化粧料、アクネ用化粧料、敏感肌用化粧料、抗老化用化粧料としてのスキンケア剤等を構成するための精製水に変わる水として、本発明に係る化粧料用電解水が適用できる。
【0031】
以上、本発明の実施形態を例示して詳述したが、上述したとおり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載した事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことができる。すなわち、本発明に係る化粧料用電解水は、電気分解して得られる酸性電解水にヒドロキシ基を官能基として含む物質が溶解している限り、上述した無機物質以外にも各種の物質(化合物)を支持電解質として採用することができる。
【0032】
さらに、本発明に係る化粧料用電解水は、pH2.0〜7.0であって、ヒドロキシ基を官能基として含む物質が溶解している酸性電解水に、電気分解して得られるアルカリ性電解水、その他の精製水又は純水を加えた構成であってもよく、上記したような酸性電解水のみの構成であってもよく、どちらの構成例であっても特許を受けようとする発明の範囲に含まれるものである。