特開2015-164593(P2015-164593A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-164593(P2015-164593A)
(43)【公開日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】医療ヘッドギア
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20150821BHJP
【FI】
   A61M16/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】51
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-117246(P2015-117246)
(22)【出願日】2015年6月10日
(62)【分割の表示】特願2011-511854(P2011-511854)の分割
【原出願日】2009年5月29日
(31)【優先権主張番号】61/056,924
(32)【優先日】2008年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/056,917
(32)【優先日】2008年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/056,913
(32)【優先日】2008年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ResMed Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ブラシュチキエウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ヴイ・ナッティー
(57)【要約】
【課題】少なくとも(i)皮膚に面するファブリック層と(ii)最も外側のファブリック層と(iii)ファブリック層間に位置するプラスチックまたは金属層を含む医療ヘッドギアファブリック。
【解決手段】好ましくは、これらの層ならびにファブリック内に存在してもよい任意のさらなる層は、少なくとも実質的に積層体の構造を有する実質的に一体のファブリックを形成するために熱成形される。好ましくは、ファブリックはまた、ファブリック層間に位置する発泡層を含む。好ましくは、プラスチック層(iii)を有する一実施形態では、プラスチック層は、ナイロン、プラスチックストリップの形態である。好ましくは、金属層(iii)を有する一実施形態では、金属層は、アルミニウムストリップの形態である。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の顔に睡眠時無呼吸フェイスマスクを支持する睡眠時無呼吸ヘッドギアであって、
患者の皮膚に接触するように構成されたクラウンセクション皮膚対向ファブリック層を含み、クラウンセクション外側ファブリック層を含み、かつクラウンセクション皮膚対向ファブリック層とクラウンセクション外側ファブリック層との間に配置されたクラウンセクション第一発泡層を含む、熱成形クラウンセクションであって、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層、クラウンセクション外側ファブリック層、及びクラウンセクション第一発泡層が、熱成形された、熱成形クラウンセクションと、
睡眠時無呼吸フェイスマスクに取り付けられるように構成された4つの熱成形ストラップアームセクションであって、各熱成形ストラップアームセクションが、患者の皮膚に接触するように構成されたストラップアーム皮膚対向ファブリック層を含み、ストラップアーム第一発泡外側ファブリック層を含み、かつストラップアーム皮膚対向ファブリック層とストラップアーム外側ファブリック層との間に配置されたストラップアーム第一発泡層を含み、ストラップアーム皮膚対向ファブリック層、ストラップアーム外側ファブリック層、及びストラップアーム第一発泡層が共に熱成形された、4つの熱成形ストラップアームセクションと、
を備え、4つの熱成形ストラップアームセクションのそれぞれがジョイントで熱成形クラウンセクションに接続された睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項2】
熱成形クラウンセクションが、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層とクラウンセクション外側ファブリック層との間に配置されたクラウンセクション第二発泡層を含む請求項1に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項3】
各熱成形ストラップアームセクションが、ストラップアーム皮膚対向ファブリック層とストラップアーム外側ファブリック層との間に配置されたストラップアーム第二発泡層を含む請求項1または2に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項4】
熱成形ストラップアームセクションの2つが上側ストラップアームセクションであり、かつ2つの熱成形ストラップアームセクションが下側ストラップアームセクションである請求項1から3のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項5】
熱成形クラウンセクションが、患者の頭の頂部に延在するように構成された請求項1から4のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項6】
熱成形クラウンセクションが、熱成形による可変の高さを有する請求項1から5のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項7】
睡眠時無呼吸ヘッドギアが、可変の厚さを有する3Dプロファイルを有する請求項1から5のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項8】
各熱成形ストラップアームセクションが、単一積層構造を有する請求項1から7のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項9】
ファスナ層が、熱成形ストラップアームセクションのうちの少なくとも一つの、好ましくは熱成形ストラップアームセクションの全ての、ストラップアーム外側ファブリック層の外面に取り付けられている請求項1から8のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項10】
ストラップアーム外側ファブリック層が、フェイスマスクを睡眠時無呼吸ヘッドギアに取り付けるためのファスナ層と係合するループ材を含む請求項9に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項11】
ファスナ層が、ストラップアームセクションの端部に配置されている請求項9または10に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項12】
睡眠時無呼吸ヘッドギアが着用されたとき熱成形クラウンセクションでのシームまたはエッジが患者の皮膚から離れて配置されるように構成されるよう、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層、クラウンセクション外側ファブリック層、及びクラウンセクション第一発泡層が熱成形されている請求項1から11のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項13】
睡眠時無呼吸ヘッドギアが着用されたとき各熱成形ストラップアームセクションでのシームまたはエッジが患者の皮膚から離れるように構成されるよう、ストラップアーム皮膚対向ファブリック層、ストラップアーム外側ファブリック層、及びストラップアーム第一発泡層が熱成形されている請求項1から12のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項14】
クラウンセクション第二発泡層が、クラウンセクション第一発泡層とは異なる密度を有する請求項2から13のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項15】
ストラップ第一発泡層およびストラップアーム第二発泡層が、同じ密度を有する請求項3から14のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項16】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層およびクラウンセクション外側ファブリック層のうちの少なくとも1つが、クラウンセクション第一発泡層に積層されている請求項1から15のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項17】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層およびクラウンセクション外側ファブリック層のうちの少なくとも1つが、クラウンセクション第二発泡層に積層されている請求項1から16のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項18】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層およびストラップアーム外側ファブリック層のうちの少なくとも1つが、ストラップアーム第一発泡層に積層されている請求項1から17のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項19】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層およびストラップアーム外側ファブリック層のうちの少なくとも1つが、ストラップアーム第二発泡層に積層されている請求項1から18のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項20】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層のうちの少なくとも1つが、ソフトで伸縮可能なファブリックを含む請求項1から19のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項21】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層が、ナイロンライクラ(登録商標)ブレンドまたはマイクロファイバニットファブリックである請求項1から20のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項22】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層が、ナイロンライクラ(登録商標)ブレンドまたはマイクロファイバニットファブリックである請求項1から21のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項23】
クラウンセクション第一発泡層およびストラップアーム第一発泡層は、通気性がある請求項1から22のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項24】
クラウンセクション第一発泡層およびストラップアーム第一発泡層のうちの少なくとも1つが、ポリウレタン発泡体を含む請求項1から23のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項25】
各熱成形ストラップアームセクションは、フックアンドループ材を用いて、調節可能な有効長を有する請求項1から24のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギア。
【請求項26】
睡眠時無呼吸フェイスマスクと、
患者の顔に睡眠時無呼吸フェイスマスクを支持するための請求項1から25のいずれか一項に記載の睡眠時無呼吸ヘッドギアと、
を備える睡眠時無呼吸フェイスマスクシステム。
【請求項27】
患者の顔に睡眠時無呼吸フェイスマスクを支持する睡眠時無呼吸ヘッドギアを製造する方法であって、
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層、クラウンセクション外側ファブリック層、及びクラウンセクション皮膚対向ファブリック層とクラウンセクション外側ファブリック層との間に配置されたクラウンセクション第一発泡層を熱成形して、熱成形クラウンセクションを形成するステップであって、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層が、患者の皮膚に接触するように構成された、ステップと、
4つのストラップアームセクションを熱成形するステップであって、各ストラップアームセクションが、ストラップアーム皮膚対向ファブリック層、ストラップアーム外側ファブリック層、及びストラップアーム皮膚対向ファブリック層とストラップアーム外側ファブリック層との間に配置されたストラップアーム第一発泡層を含み、各ストラップアーム皮膚対向ファブリック層が、患者の皮膚と接触するように構成された、ステップと、
各ジョイントを用いて、熱成形クラウンセクションに4つの熱成形ストラップアームセクションを接続するステップと、
を備え、睡眠時無呼吸フェイスマスクを患者の顔に支持するため、4つの熱成形ストラップアームセクションが睡眠時無呼吸フェイスマスクに取り付けられるように構成された、方法。
【請求項28】
熱成形クラウンセクションが、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層とクラウンセクション外側ファブリック層との間に配置されたクラウンセクション第二発泡層を含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
各熱成形ストラップアームセクションが、ストラップアーム皮膚対向ファブリック層とストラップアーム外側ファブリック層との間に配置された、ストラップアーム第二発泡層を含む請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
2つの熱成形ストラップアームセクションが上側ストラップアームセクションであり、かつ2つの熱成形ストラップアームセクションが下側ストラップアームセクションである請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
熱成形クラウンセクションが、患者の頭の頂部で延在するように構成される請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
クラウンセクション層を熱成形するステップが、可変の高さを、熱成形クラウンセクションに提供するステップを含む請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
クラウンセクション層を熱成形するステップ、およびストラップアームセクションを熱成形するステップが、可変の厚さを有する3Dプロファイルを有する睡眠時無呼吸ヘッドギアを提供する請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
各熱成形アームストラップセクションが、単一積層構造を形成する請求項27から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
熱成形アームストラップセクションのうちの少なくとも一つのストラップアーム外側ファブリック層の外面に、ファスナ層を提供するステップをさらに含む請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
ストラップアーム外側ファブリック層が、フェイスマスクを睡眠時無呼吸ヘッドギアに取り付けるためのファスナ層と係合するループ材を含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ファスナ層が、ストラップアームセクションの端部に配置される請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
睡眠時無呼吸ヘッドギアが着用されたとき、熱成形クラウンセクションにシームまたはエッジが患者の皮膚から離れて配置されるよう構成されるように、クラウンセクション皮膚対向ファブリック層、クラウンセクション外側ファブリック層、およびクラウンセクション第一発泡層が熱成形される請求項27から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
睡眠時無呼吸ヘッドギアが着用されたとき、各熱成形ストラップアームセクションにシームまたはエッジが患者の皮膚から離れて配置されるよう構成されたストラップアーム皮膚対向ファブリック層、ストラップアーム外側ファブリック層、およびストラップ第一発泡層が熱成形される請求項27から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
クラウンセクション第二発泡層が、クラウンセクション第一発泡層とは異なる密度を有する請求項28から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ストラップアーム第一発泡層およびストラップアーム第二発泡層が、同じ密度を有する請求項29から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層およびクラウンセクション外側ファブリック層を、クラウンセクション第一発泡層に積層するステップをさらに備える請求項27から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層およびクラウンセクション外側ファブリック層を、クラウンセクション第二発泡層に積層するステップをさらに備える請求項27から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層およびストラップアーム外側ファブリック層のうちの少なくとも一つを、ストラップアーム第一発泡層に積層するステップをさらに備える請求項27から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層およびストラップアーム外側ファブリック層のうちの少なくとも一つを、ストラップアーム第二発泡層に積層するステップをさらに備える請求項27から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層およびストラップアーム皮膚対向ファブリック層のそれぞれが、ソフトで伸縮可能なファブリックを含む請求項27から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
クラウンセクション皮膚対向ファブリック層が、ナイロンライクラ(登録商標)ブレンドまたはマイクロファイバニットファブリックである請求項27から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
ストラップアーム皮膚対向ファブリック層が、ナイロンライクラ(登録商標)ブレンドまたはマイクロファイバニットファブリックである請求項27から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
クラウンセクション第一発泡層およびストラップアーム第一発泡層が、通気可能である請求項27から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
クラウンセクション第一発泡層およびストラップアーム第一発泡層のうちの少なくとも一つが、ポリウレタン発泡体を含む請求項27から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
各熱成形ストラップアームセクションが、フックアンドループ材を用いて、調節可能な有効長さを有する請求項26から50のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、以下の米国仮特許出願、すなわち、2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,924号、2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,917号、および2008年5月29日に出願されたシリアル番号第61/056,913号に対する優先権を主張し、先の特許関連文書は全て、参照により、そのそれぞれの全体が本明細書に組込まれる。
【0002】
本発明は、医療ヘッドギアファブリックに関し、より詳細には、睡眠時無呼吸を治療するヘッドギアに関する。
【背景技術】
【0003】
睡眠時無呼吸などの呼吸状態を治療する医療ヘッドギアは、状態の性質および重症度に応じて変わる。いくつかの従来の睡眠時無呼吸ヘッドギア設計では、ヘッドギアは、中間硬質性(柔軟性がある状態と屈曲性がある状態との間のどこかの状態)を有する材料から作製され、それにより、この硬質性は、以降で述べる定義によって規定されるように「硬質(rigid)」ではない。図1は、3つの層、すなわち、(i)外側ナイロンLYCRA(登録商標)層102、(ii)呼吸可能発泡層104、(iii)皮膚に面するナイロンLYCRA(登録商標)層106を有する1つの従来の睡眠時無呼吸ヘッドギアファブリック100についての部分断面分解図を示す。3つの層102、104、106は、図1に(分解形態で)示す3層積層体を形成するために炎積層される。
【0004】
従来、ヘッドギア100は、炎積層によって作られている。炎積層は、特定の用途のための機能を提供するために、ファブリックおよび/または発泡体/ネオプレンを永久的に接合するために、通常テキスタイル業界で使用されるプロセスである。より具体的には、ポリウレタン(PU)発泡体および2つのナイロン/スパンデックス混合物は、3層複合体を形成する。PUは、炎積層マシンの一方の側に給送され、同じ側に、ファブリックも給送される。発泡体の上部表面は、粘着性がある状態を生成するために、直接炎に接触することによって溶融される。溶融した発泡体およびファブリックは、次に、2つの材料を共に圧搾するために圧縮ローラを通して給送され、溶融した発泡体をファブリックの細孔内に押込める。冷却されるにつれて、接着物が形成される。このプロセスは、その後、他のファブリックを発泡体に接着するために繰返される。
【0005】
熱成形は、靴の中敷などの積層体製品を作るために使用される従来のプロセスであるが、医療ヘッドギアファブリックおよび/または睡眠時無呼吸ヘッドギアファブリックを作るために慣例的に使用されるとは思われていない。
【0006】
特許文献4(「Cotner」)は、睡眠時無呼吸の治療用の鼻マスクを開示する。Cotnerのマスクは、弾性的にコンプライアントな材料から作られたストラップおよび塑性変形可能な鼻クリップを含む。変形可能鼻クリップは、薄いアルミニウムから製造されてもよい。
【0007】
特許文献5(「Blaszczykiewicz」)は、伸縮性があり呼吸可能で積層されたネオプレン代替物から作られた顎ストラップを含む睡眠時無呼吸ヘッドギアを開示する。
顎ストラップの内部表面は、LYCRA(登録商標)ファブリックから作られる。顎ストラップの外部表面は、UBLループ材料から作られる。
【0008】
特許文献6(「Jestrabek-Hart」)は、2つのパネルを含む睡眠時無呼吸を治療するヘッドギアを開示する。各パネルは、以下の層、すなわち、(i)軟質で屈曲性がある手触りがよい布の皮膚に面する層、(ii)プラスチック層(耳を取り囲む領域だけ)、(iii)軟質で屈曲性がある発泡体層、および(iv)表面層の外側の布を含む。直ぐに明確にはならないが、表面層の外側の布、層(iv)は、フック・ループファスナファブリック(特に、フック面)で作られた材料層によって、覆われる、部分的に覆われる、かつ/または、置換えられてもよいことが明らかである。Jestrabek-Hartの図5に示すように、Jestrabek-Hartヘッドギアファブリックは、そのプラスチック層の一方の面だけに発泡体を有する。この構造は、プラスチック層が外側ファブリックを通して裂けることを可能にする可能性がある。同様に、この構造は、発泡体を持たないプラスチック層の面に低い程度の軟質性を有することになる。
【0009】
特許文献7(「Ho」)は、メッシュに似たパネルおよび後部(rear)接合部片を含むヘッドギアを開示する。パネルは、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物から作られる。後部接合部片は、LYCRA(登録商標)積層化発泡体またはネオプレンから作られる。
【0010】
特許文献8(「Ging」)は、ヨークおよびストラップを含む呼吸マスクを開示する。ストラップは、積層化ファブリックおよび発泡体で作られる。Gingは、1つの商業的に入手可能な材料が、Accumed,Inc.(米国)によって製造された「ブレス−O−プレン(Breath-O-Prene)」(商標)であることを開示している。ヨークは、ストラップに取付けられ、ナイロンまたはポリプロピレンなどのある程度硬質のプラスチックで作られる。Gingのマスクのヨークは、ストラップの外側に取付けられ、ストラップ自体の積層体構造内に埋め込まれないことが留意される。Gingのファブリックは、その埋め込みプラスチックを留めるために、ソーイングまたはクランピングなどの別個の取付け機構を必要とすると思われる。同様に、Gingは、ヘッドギアまたは睡眠時無呼吸ヘッドギアではなくマスクを対象とする。
【0011】
特許文献9(「Bordewick」)は、マスクホルダおよび安定化バンドを含む鼻マスクを開示する。マスクホルダは、ガラス充填ナイロンなどの硬質または半硬質材料から作られる。
【0012】
特許文献10(「Baker」)は、睡眠時無呼吸を治療するヘッドギア組立体を開示する。Bakerの組立体は、クラウンストラップおよび顎ストラップを含む。顎ストラップおよびクラウンストラップは、軟質の水分ウィッキングファブリックを有する、両面上に積層された呼吸可能な弾性発泡体材料で作られる。外側ファブリックは、LYCRA(登録商標)スパンデックスおよび銀などの抗菌剤を含む。
【0013】
関連技術セクションディスクレーマの説明:特定の出版物が、関連技術セクションの本説明において先に論じられる範囲内で、これらの議論は、論じられた出版物(たとえば、公開特許)が、特許法の目的のために従来技術であるという承認として考えられるべきではない。たとえば、論じられた出版物の一部または全ては、時間的に十分に早期でない可能性がある、時間的に十分に早期に開発された主題を反映しない可能性がある、かつ/または、特許法の目的のために、要するに従来技術になるのに十分に有効でない可能性がある。特定の出版物は、関連技術セクションの本説明において先に論じられる範囲内で、参照により、そのそれぞれの全体が本文書に全て組込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,924号
【特許文献2】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,917号
【特許文献3】米国仮特許出願シリアル番号第61/056,913号
【特許文献4】米国特許第6,019,101号
【特許文献5】米国特許第6,269,814号
【特許文献6】米国特許第6,470,886号
【特許文献7】米国特許第6,805,117号
【特許文献8】米国特許第7,047,972号
【特許文献9】米国特許出願公開第2006/0081250号
【特許文献10】米国特許出願公開第2007/0181135号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の実施形態は、少なくとも(i)皮膚に面するファブリック層と(ii)最も外側のファブリック層と(iii)ファブリック層間に位置する「硬質(rigid)」(定義の章を参照)プラスチック材料などの硬質材料層を含む医療ヘッドギアファブリックを対象とする。好ましくは、これらの層ならびファブリック内に存在してもよい任意のさらなる層は、少なくとも実質的に積層体の構造を有する実質的に一体のファブリックを形成するために熱成形される。好ましくは、ファブリックはまた、ファブリック層間に位置する発泡層を含む。好ましくは、プラスチック層(iii)を有する一実施形態では、プラスチック層は、ナイロン、プラスチックストリップの形態である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の種々の実施形態は、以下の目的、特徴、および/または利点、すなわち、
(1)本発明のヘッドギアファブリックで作られるヘッドギアにおいて、より肉厚でより快適な形状を生成するための熱成形による積層、
(2)人間の頭部の丸みにより自然に適合する本発明のヘッドギアファブリックで作られるヘッドギアを生成するための熱成形による積層、
(3)患者の顔からの隙間を提供するための、ヘッドギアファブリックにおける金属層の使用、
(4)患者の顔に快適さを提供するための、ヘッドギアファブリックにおける金属層の使用、
(5)ヘッドギアにおいてかさばりを低減するかまたはなくすための、硬質プラスチック層の使用、
(6)ヘッドギアの呼吸マスク部分に接続するための、外部プラスチック部品を置換えるための、硬質プラスチック層および/または金属層の使用、
(7)別個のナイロン硬化部材および/またはヨークを置換えるための、硬質プラスチック層および/または金属層の使用、
(8)組立体の複雑さを低減するための、好ましくはファブリックと一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(9)組立てられたファブリックが分解される可能性を減らすための、好ましくはファブリックと一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(10)より魅力的な視覚的外観を有する、より清潔に見えるヘッドギアを作るための、好ましくはファブリックと一体に形成される、硬質プラスチック層の使用、
(11)ストラップアームに直進の剛性を付加するための、硬質プラスチック層の使用、
(12)ヘッドギアの調整可能性を高めるための、金属層の使用、および/または、
(13)皮膚に沿って逃げる加圧空気量が減少するかまたはなくなるように、睡眠時無呼吸ヘッドギアを十分しっかり顔に当てて保持するのに役立つための、特にストラップアームセクションにおける改善された硬質性
の1つまたは複数を示す可能性がある。
【0017】
本発明は、添付図面に関連して以下の詳細な説明を読むことによってより完全に理解され、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】従来技術の医療ヘッドギアファブリックの部分断面図である。
図2】本発明による医療ヘッドギアファブリックの第1の実施形態の部分断面図である。
図3】本発明による医療ヘッドギアファブリックの第2の実施形態の部分断面図である。
図4】本発明による医療ヘッドギアファブリックの第3の実施形態の部分断面図である。
図5】本発明による睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の部分断面図である。
図6】本発明による第1の睡眠時無呼吸ヘッドギアの実施形態と第2の睡眠時無呼吸ヘッドギアの実施形態の両方に相当する睡眠時無呼吸ヘッドギアの全体幾何形状の上面正投影図を示す。
図7】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態の斜視図を示す。
図8】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態の斜視図を示す。
図9】睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の上面正投影図を示す。
図10】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の斜視図を示す。
図11】人によって操作されるときの、睡眠時無呼吸ヘッドギアの第2の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
I.ヘッドギアファブリック構造
理解されるように、本発明の実施形態は、同時に、ヘッドギアデバイスに安定性および完全性を提供しながら、装着者に快適さおよび屈曲性を示す材料で作製されたヘッドギアファブリックおよびデバイスを提供する。
【0020】
ヘッドギアの実施形態は、種々の材料層から作製される。ヘッドギアのセクションまたは部分に応じて、層が、変わってもよく、または、変わらなくてもよい。図2(一定比例尺に従っていない)が参照され、図2は、皮膚に面するファブリック層206と、発泡層208と、硬質材料層210と、外側ファブリック層212とを含む医療ヘッドギアファブリック200を示す。皮膚に面するファブリック層は、皮膚に面する表面202を含む(参照数字201は、皮膚、頭皮、またはこのファブリックが面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。皮膚に面する層は、皮膚にとって快適な任意の軟質のファブリックから作製されてもよい。ファブリックはまた、伸縮性、弾性、および/またはウィッキング特性を示してもよい。例は、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物およびマイクロファイバニットファブリックを含むが、それに限定されない。この層の主要な利益は、人の皮膚との最小の摩擦を提供することである。ニットファブリックは、多孔性で、空気流が発汗を低減することを可能にすることが好ましい。皮膚に面するファブリックは、組立体の次の層への、水分のウィッキング、すなわち輸送を促進する化学物質によって処理されてもよい。
【0021】
発泡体層208は、クッション作用を提供し、好ましくは呼吸可能であり、水分が、毛管引力によって皮膚から外部雰囲気へ去ることを可能にするのを補助する。発泡体は、限定はしないがポリウレタン発泡体を含む、セクション104について上述した発泡体などの多孔性ストレッチエラストマ発泡体から作製されてもよい。
【0022】
硬質材料層210は、外部支持体または構造(通常、外部表面上の同様な構造に適用される硬化部材またはヨークなど)についての必要性無しで、構造に完全性を提供する任意の硬質材料である。材料は、構造に対して完全性を提供するのに十分な強度を有するが、同様にある程度の屈曲性を可能にする任意のプラスチック、複合、金属、またはセラミック材料であってよい。材料の例は、熱可塑性材料および繊維強化熱可塑性材料を含むが、それに限定されない。熱可塑性材料の例は、ポリアミドを含むが、それに限定されない。ポリアミドの例は、ナイロン6およびナイロン12を含むが、それに限定されない。
【0023】
硬質材料210は、硬質材料210が並置される層あるいは硬質材料210の上または下に配置される層(すなわち、層206、208、212)の寸法に比べて寸法(すなわち、周長)が小さくすることができることにより、硬質材料210の鋭いエッジが、人の皮膚に対して刺激をもたらして、組立てられた構造のエッジを通過して延びないよう、組立体の中心に置かれるようにすることができる。この硬質材料は、以下のヘッドギア幾何形状の章でさらに述べるように、人の顔および頭頂部へのデバイスの固有でかつ適切な設置を提供するために、組立体、特に、ヘッドギアデバイスのストラップアームセクションに対してある程度の剛性を提供する。
【0024】
外側ファブリック層212は、外側表面204を含み、ナイロンLYCRA(登録商標)混合物またはマイクロファイバニットファブリックなどの層206を作製するのに使用される材料と同様の材料であってよい。外側ファブリック層212は、さらに、ヘッドギアを人の所定場所に保持する力を生成するために、フック材料と係合する手段を提供する一連の小さなループなどの取付け手段を含んでもよい。構造200は、例に過ぎず、さらなる層、または、図2に示すのと異なる順序で配設される層を含んでもよい。たとえば、層208および210の順序は逆であってもよい。
【0025】
皮膚刺激のいかなる機会も減少させるため、皮膚から離れて位置する1つだけのシームまたはエッジを有する完成品を外側ファブリック層212上に提供するために、層が、以下でさらに述べるように、共に熱成形されるかまたは熱硬化されることが好ましい。熱成形が好ましいが、本明細書の実施形態は、この作製プロセスに限定されず、いくつかの変形は、隣接する層の一部または全てが、互いに全く積層されないことを含んでもよい。同様に、一体構造を形成するために、隣接する層の全てが、共に積層される実施形態では、炎積層などの他の積層プロセスが使用されてもよい。
【0026】
ファブリック200は、良好な直進の剛性を有し、直進の剛性とは、プラスチック層が、特定の方向にヘッドギアのあるセクション(たとえば、ストラップアームセクション)を向けるのに役立つことを意味し、それが、睡眠時無呼吸ヘッドギアフェイスマスクなどのフェイスマスクにとって、ファブリック200を使用した医療ヘッドギアの組立てを容易にするのに役立ち得る。これは、より広い範囲の患者の頭部サイズに対処するために、大量の異なるサイズのヘッドギアについての必要性を不要にし得る。ヘッドギアの任意の特定のセクションに限定しないが、ファブリック200などの層状構造は、以下のヘッドギア幾何形状の章でさらに論じられるヘッドギアのストラップアームセクションで使用されることが好ましい。
【0027】
図3(一定比例尺に従っていない)は、皮膚に面するファブリック層306と、発泡層308と、金属層310と、外側ファブリック層312とを含む医療ヘッドギアファブリック300を示す。皮膚に面するファブリック層306は、皮膚に面する表面302を含む(参照数字301は、皮膚、頭皮、またはこのファブリックが面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。発泡層308は、好ましくは、呼吸可能であり、層208に関連して先に論じたのと同じ材料から作製されてもよい。金属層310は、好ましくは、アルミニウムで作られ、さらに一層好ましくは、亜鉛めっきしたアルミニウムで作られる。外側ファブリック層312は、外側表面304を含み、好ましくは、上記層212を作製するのに使用されるのと同様の材料から作られる。ファブリックまたは構造200について先に述べたように、層308および310などのファブリックまたは構造300における層の順序は、逆であってもよい。同様に、さらなる層が存在してもよい。
【0028】
構造200またはファブリック200の場合と同様に、皮膚刺激のいかなる機会も減少させるため、皮膚から離れて位置する1つだけのシームまたはエッジを有する完成品を外側ファブリック層312または表面304上に提供するために、構造またはファブリック300の層が、以下でさらに述べるように、共に熱成形されるかまたは熱硬化されることが好ましい。熱成形が好ましいが、本明細書の実施形態は、この作製プロセスに限定されず、いくつかの変形は、隣接する層の一部または全てが、互いに全く積層されないことを含んでもよい。同様に、一体構造を形成するために、隣接する層の全てが、共に積層される実施形態では、炎積層などの他の積層プロセスが使用されてもよい。
【0029】
ファブリック300は、良好な成形性を有する。金属層は、(i)少数のサイズのヘッドギアがより広い範囲の患者頭部サイズに対処するのに役立ち、(ii)快適さのための隙間および間隔を生成するのに役立つ。
【0030】
図4(一定比例尺に従っていない)は、皮膚に面するファブリック層356と、発泡層358と、金属層360と、硬質プラスチック層362と、外側ファブリック層364とを含む医療ヘッドギアファブリック350を示す。皮膚に面するファブリック層は、皮膚に面する表面352を含む(参照数字351は、皮膚、頭皮、またはこのファブリックが面するかまたは接触することを意図される患者の他の部分を示す)。層356、358、360、362、および364について使用される材料は、ファブリック200および300の作製で使用される材料と同じかまたは同様であってよく、同じセクションは、先に論じたように、同じかまたは同様のファブリックを使用し得る。
【0031】
図5は、クラウンセクション524およびストラップセクション526を含むヘッドギア500の部分断面図を示す。クラウンセクション524は、第1のクラウンセクション層502と、第2のクラウンセクション層504と、第3のクラウンセクション層506と、第4のクラウンセクション層508とを含む。接合部510は、クラウンセクション524をストラップセクション526に接続する。ストラップセクション526は、第1のストラップアームセクション層512と、第2のストラップアームセクション層514と、第3のストラップアームセクション層516と、第4のストラップアームセクション層518と、第5のストラップアームセクション層520と、ファスナ層522とを含む。図5はまた、層が、図6に示すヘッドギアセクション524、526、528に対してどこに位置するかを示す。
【0032】
第1のクラウンセクション層および第4のクラウンセクション層502および508はそれぞれ、好ましくは、軟質で伸縮性があるファブリック、先に論じた材料またはファブリック/構造200、300、および350と同じかまたは同様のものから作られる。あるいは、第4のクラウンセクション層508の一部または全ては、睡眠時無呼吸フェイスマスク(図示せず)などのヘッドギアへの他のコンポーネントの取付けを容易にするために、フック・ループファスナ材料などのファスナ材料から作られてもよい。第2のクラウンセクション層504は、好ましくは、10lb密度の発泡体などの比較的高い密度の発泡体から作られる。第3のクラウンセクション層506は、好ましくは、7lb密度の発泡体などの比較的低い密度の発泡体から作られる。
【0033】
第1のストラップアームセクション層および第5のストラップアームセクション層512および520はそれぞれ、好ましくは、軟質で伸縮性があるファブリックから作られる。あるいは、第5のストラップアームセクション層の一部または全ては、睡眠時無呼吸フェイスマスク(図示せず)などのヘッドギアへの他のコンポーネントの取付けを容易にするために、フック・ループファスナ材料などのファスナ材料から作られてもよい。この代替法の下では、ファスナファブリックが第5層として既に存在することになるため、ファスナ層522を有するファスナセクション528は、もはや必要とされない可能性がある。第2および第4のストラップアームセクション層514、518はそれぞれ、好ましくは、7lb密度の発泡体などの比較的低い密度の発泡体から作られる。第3のストラップアームセクション層516は、ファブリック200に関連して先に論じたように、硬質プラスチック層などの硬質材料である。別法としてまたは付加的に、この層516は、ファブリック300に関連して先に論じたように、金属、セラミック、または複合層であり得る。
【0034】
先に論じた層のそれぞれの厚さ、強度、および硬度は、特定のヘッドギアデバイスについて必要とされるサイズおよび強度に応じて変わってもよい。
【0035】
II.全体ヘッドギア幾何形状
先に論じた医療ヘッドギアファブリックは、いろいろな幾何学的に形作られたヘッドギア設計で使用されてもよい。本発明の一部の好ましい実施形態では、異なる積層体構造を有する異なるファブリックが、ヘッドギアの異なるセクションについて使用される。
【0036】
図6は、本発明による2つの例示的な睡眠時無呼吸ヘッドギアの第1の実施形態500および第2の実施形態600に共通の睡眠時無呼吸ヘッドギア全体幾何形状の上面正投影図を示す。
図6に示すように、ヘッドギア500は、クラウンセクション524、4つのストラップアームセクション526a、526b、526c、526d、およびファスナセクション528を含む。図6に示すように、ヘッドギア600は、クラウンセクション624、4つのストラップアームセクション626a、626b、626c、626dを含む。
【0037】
ヘッドギア500とヘッドギア600との間の主要な差は、ヘッドギア500が、そのストラップアームセクションにファブリック300を使用し、一方、ヘッドギア600が、そのストラップアームセクションにファブリック200を使用することである。この全体の幾何形状500、600が好ましいが、本発明による医療デバイスヘッドギアファブリックの使用は、図6に示されるものに必ずしも限定されない。ストラップアームおよびクラウンセクションを含むこのヘッドギア幾何形状設計は、複数のセクションを有し、異なるセクションが異なる厚さを有するため、3Dヘッドギアと呼ばれることがある。
【0038】
図7および8は、患者の顔からの隙間および/または患者の顔に対する快適さを提供するために、ヘッドギアファブリック300における金属層の使用によって容易にされる多用途性を示す。
【0039】
図9〜11は、ファブリック200から作られ硬質プラスチック層を含むヘッドギア600が、本明細書で述べる利点をもたらすのに役立つために、どのように形作られ、操作され得るかを示す。
【0040】
III.ファブリック形成プロセス
炎積層は、本発明に従って医療ヘッドギアファブリックを作るために使用され得るが、好ましいプロセスではない。好ましい熱成形プロセスは、3層複合体を形成するために、ポリウレタン(PU)発泡体および2つのナイロン/スパンデックス混合物を利用する。PUは、積層マシンの一方の側に給送され、同じ側に、ファブリックも給送される。発泡体の上部表面は、粘着性がある状態を生成するために、直接炎に接触することによって溶融される。溶融した発泡体およびファブリックは、次に、2つの材料を共に圧搾するために圧縮ローラを通して給送され、溶融した発泡体をファブリックの細孔内に押込める。冷却されるにつれて、接着物が形成される。このプロセスは、その後、他のファブリックを発泡体に接着するために繰返される。熱成形は、以前に積層した複合体を取得し、熱(炎ではない)および圧力の組合せを利用して、複合体内で永久的な形状および可変の高さを生成する。
【0041】
本発明の医療ヘッドギアに似た多層製品の場合、最終複合体は、通常、2つの別個の2層積層体サブ組立体を取得し、これらのサブ組立体間にプラスチックを挿入し、これらの層間にある程度の接着剤を噴霧し、次に、サブ組立体を共に熱成形することによって生成される。熱成形プロセスからの熱および圧力は、その後、接着剤の反応を引起こし、サブ組立体および挿入物を共に接着する。熱成形は、患者の快適さを増すために、より大きな厚さと柔らかさをヘッドギアに提供する。熱成形プロセスは、ファブリック200などのプラスチック層を有する医療ヘッドギアファブリック、または、ファブリック300などの金属層を有するファブリックを作るために使用され得る。
【0042】
本明細書で述べるファブリックおよびヘッドギアは、装着者の頭部上での安定性およびコントロールを維持しながら、装着者に快適さと屈曲性を提供する全てがテキスタイルで、完璧に柔らかくドレープ性があるデバイスを提供する。ファブリックおよびデバイスの完全性は、内的に提供されるのであって、デバイスに快適さを付加するために外的に提供されるのではない。ファブリックの皮膚表面側には縫い目もシームも存在しない。したがって、本明細書で述べるファブリックおよびデバイスによって、皮膚刺激が低減される、かつ/または、軽減される。
【0043】
定義
以下の定義は、特許請求の範囲の解釈および構築を容易にするために提供される。
【0044】
本発明:本発明の少なくとも一部の実施形態を意味する。本文書を通して「本発明」の種々の特徴に対する参照は、特許請求される全ての実施形態または方法が、参照される特徴を含むことを意味しない。
【0045】
第1、第2、第3など(「序数(ordinal)」):別途述べない限り、序数は、(たとえば、あるグループの種々のメンバーを)区別するかまたは識別するのに役立つだけである。序数の単なる使用は、連続する数値の制限も連続性の(serial)制限も意味しない。
【0046】
硬質プラスチック:発泡体より少なくとも実質的に硬質である任意のプラスチック層である。
【0047】
先に設けられた定義が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)通常の平易で慣れ親しんだ意味に矛盾しない範囲内で、上記定義は、本質的に補助であると考えられるものとする。先に設けられた定義が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)通常の平易で慣れ親しんだ意味に矛盾する範囲内で、上記定義が、コントロールするものとする。先に設けられた定義が、ある局面において、通常の平易で慣れ親しんだ意味より広い場合、上記定義は、相応して特許請求の範囲を広くすると考えられるものとする。
【0048】
特許権者が、適用可能な法律の下で、自分自身の辞書編集者として働く範囲内で、先に定義された言葉を除いて、特許請求の範囲のセクションに現れる全ての言葉が、(辞書および/または技術的用語集などの文書によって一般に示される)その通常の平易で慣れ親しんだ意味をとるものとし、また、本明細書において特に定義されるものと考えられないものとすることがさらに指示される。特許請求の範囲で使用される言葉または用語が、2つ以上の代替の通常の平易で慣れ親しんだ意味を有する状況では、技術的実現可能性に矛盾せずかつ明細書と直接的に矛盾しない最も広い定義がコントロールするものとする。
【0049】
別途明示的に特許請求の範囲の言語で提供されない限り、不可能性または著しい実現可能性の問題が、記載のステップ順序(または、記載のステップ順序の一部分)が使用されることを左右する範囲内でだけ、方法ステップまたはプロセス特許請求の範囲のステップが、特許請求の範囲でステップが記載される順序と同じ時間的順序で実施される必要があるだけである。ステップ順序に関するこの広い解釈は、特許請求されるステップの代替の時間順序付けが、本文書で特に述べられるかまたは論じられるかによらず使用される。
【0050】
さらに、本発明において、以下の実施例を含むことも好ましい。
(実施例1)
医療ヘッドギアファブリックであって、
皮膚に面するファブリック層と、
外側ファブリック層と、
前記ファブリック層間に位置する硬質材料層とを備える医療ヘッドギアファブリック。
(実施例2)
隣接する層は全て、一体積層体構造を形成するために互いに熱硬化される実施例1に記載のファブリック。
(実施例3)
前記硬質材料は、プラスチック、金属、セラミック、または複合材料を含む実施例1に記載のファブリック。
(実施例4)
前記プラスチック材料は、熱可塑性材料を含む実施例3に記載のファブリック。
(実施例5)
前記熱可塑性材料は、ポリアミドを含む実施例4に記載のファブリック。
(実施例6)
前記ポリアミドは、ナイロン6またはナイロン12を含む実施例5に記載のファブリック。
(実施例7)
前記複合材料は、繊維強化複合材料を含む実施例3に記載のファブリック。
(実施例8)
前記金属は、アルミニウムを含む実施例3に記載のファブリック。
(実施例9)
前記ファブリック層間に位置する発泡層をさらに備える実施例1に記載のファブリック。
(実施例10)
前記皮膚に面するファブリック層は、軟質の伸縮性ファブリックを含む実施例1に記載のファブリック。
(実施例11)
前記外側層は、ニットファブリックを含む実施例1に記載のファブリック。
(実施例12)
前記皮膚に面するファブリック層および前記外側ファブリック層は、軟質のナイロンファブリックを含む実施例1に記載のファブリック。
(実施例13)
前記熱硬化された一体積層体構造は前記外側ファブリック層上にシームを備え、前記皮膚に面するファブリック層はシームレスである実施例2に記載のファブリック。
(実施例14)
ヘッドギアデバイスであって、
クラウンセクションと、
ストラップセクションとを備え、
前記クラウンセクションおよび前記ストラップセクションは、皮膚に面するファブリック層と、外側ファブリック層と、前記ファブリック層間に位置する発泡層とを備え、
前記ストラップセクションは、前記ファブリック層間に位置する硬質材料層をさらに備えるヘッドギアデバイス。
(実施例15)
隣接する層は全て、一体積層体構造を形成するために互いに熱硬化される実施例14に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例16)
前記硬質材料は、プラスチック、金属、セラミック、または複合材料を含む実施例14に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例17)
前記プラスチック材料は、熱可塑性材料を含む実施例16に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例18)
前記熱可塑性材料は、ポリアミドを含む実施例17に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例19)
前記ポリアミドは、ナイロン6またはナイロン12を含む実施例18に記載のファブリックヘッドギアデバイス。
(実施例20)
前記複合材料は、繊維強化複合材料を含む実施例16に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例21)
前記金属は、アルミニウムを含む実施例16に記載のヘッドギアデバイスファブリック。
(実施例22)
前記皮膚に面するファブリック層および前記外側ファブリック層は、軟質の伸縮性ファブリックを含む実施例15に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例23)
前記皮膚に面するファブリック層および前記外側ファブリック層は、軟質のナイロンファブリックを含む実施例15に記載のヘッドギアデバイス。
(実施例24)
クラウンセクションおよびストラップセクションを有するヘッドギアデバイスを作製するプロセスであって、
クラウンセクションを形成するために、皮膚に面するファブリック層、外側ファブリック層、および前記ファブリック層間に位置する発泡層を共に熱成形するステップと、
ストラップセクションを形成するために、皮膚に面するファブリック層、外側ファブリック層、前記ファブリック層間に位置する発泡層、および前記ファブリック層間に位置する硬質材料層を共に熱成形するステップと、
を含むプロセス。
(実施例25)
前記クラウンセクションおよび前記ストラップセクションは、接合部において共に形成される実施例24に記載のプロセス。
【符号の説明】
【0051】
200、300、350 医療ヘッドギアファブリック
202、302、352 皮膚に面する表面
204、304、354 外側表面
206、306、356 皮膚に面するファブリック層
208、358 発泡層
210 硬質材料層
212、312、364 外側ファブリック層
308 発泡層
310、360 金属層
362 硬質プラスチック層
500、600 ヘッドギア
502、504、506、508 クラウンセクション層
510 接合部
512、514、516、518、520 ストラップアームセクション層
522 ファスナ層
524、624 クラウンセクション
526 ストラップセクション
528 ファスナセクション
526a、526b、526c、526d、626a、626b、626c、626d ストラップアームセクション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】
2015164593000001.pdf