【課題】間欠回転するテーブルの周囲に左右一対のグリッパーが複数組設置されたロータリー式の袋移送装置において、袋サイズ(袋幅)の変更に伴って左右のグリッパーの間隔調整を行った場合に、グリッパーの把持部の把持面が傾いたり、袋の移送経路が変わるのを防止する。
【解決手段】グリッパー2,2の各アーム5の基部に、第1支持軸8及び第2支持軸9が設定される。一端がテーブル1に連結され水平面内で揺動可能な第1リンク14の他端が、第2リンク15の中央に連結され、第2リンク15の一端が第1支持軸8に連結され、第2リンク15の他端に設置された摺動部材がテーブル1に形成された長孔内を摺動する。長孔は基準面Nに平行である。一端がテーブル1に連結された規制リンク24の他端が第2支持軸9に連結される。
水平面内で回転する搬送体と、前記搬送体に設置され前記搬送体の回転に伴い環状の移動経路に沿って移動する左右一対のグリッパーが複数組と、各左右一対のグリッパーが前記移動経路に沿って移動する過程で左右のグリッパーの相互の間隔を水平面内で広げ又は狭める間隔調整機構を備え、各グリッパーがアームと前記アームの先端部に設置された把持部からなり、左右のグリッパーの把持部で袋の左右を把持し、環状の移送経路に沿って移送する袋移送装置において、前記間隔調整機構は、前記左右一対のグリッパーの各アームごとに配置されたアーム支持機構と、各アーム支持機構を作動させる駆動力伝達機構を備え、各アームの基部に水平方向に所定距離離れて第1及び第2支持部が設定され、前記アーム支持機構は、一端が前記搬送体に連結され水平面内で揺動可能な第1リンクと、一端が前記第1支持部に連結され、中央が前記第1リンクの他端に連結された第2リンクと、前記第2リンクの他端の移動方向が前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し垂直となるように規制する第1規制機構と、前記第2支持部に連結され、前記第2支持部の移動方向が前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し平行となるように規制する第2規制機構からなり、前記第1リンクと第2リンク及び第1規制機構によりスコットラッセル機構が構成され、前記駆動力伝達機構が前記第2リンクに駆動力を伝達して前記スコットラッセル機構を作動させることを特徴とする袋移送装置。
前記搬送体が鉛直な軸を中心に間欠的に等角度ずつ回転するテーブルであり、前記テーブルの周囲に左右一対のグリッパーが複数組配置され、前記移動経路が円形であることを特徴とする請求項1に記載された袋移送装置。
中心が前記軸と一致し昇降可能な円筒カムが前記テーブルの下方位置に設置され、前記駆動力伝達機構が、中間位置が前記テーブルに連結され水平面内で揺動自在とされた揺動レバーと、前記円筒カムと揺動レバーの間に配置され、中間位置が前記テーブルに軸支され、一端に前記円筒カムのカム面上を転動するカムフォロワを有し、他端が前記揺動レバーの一端に接触するカムレバーと、前記揺動レバーより前記テーブルの外周側に配置され、一端が前記テーブルに連結され水平面内で揺動自在とされた第3リンクと、前記揺動レバーと第3リンクの間で前記テーブルの半径方向に沿って延在し、一端が前記揺動レバーの他端に連結され、他端が前記第3リンクの他端に連結された第4リンクと、一端が各アーム支持機構の前記第2リンクに連結された一対の第5リンクと、一端が前記第4リンクの中間位置に連結され、他端が前記第5リンクの他端に連結された一対の第6リンクと、一端が前記テーブルに連結され、他端が前記第5リンクの他端に連結された一対の第7リンクからなり、前記カムレバーの前記カムフォロワが前記円筒カムのカム面上を転動することにより、駆動力伝達機構を介して各アーム支持機構の前記第2リンクに駆動力が伝達されることを特徴とする請求項2に記載された袋移送装置。
前記テーブルにグリッパー位置調整リングが設置され、前記グリッパー位置調整リングは中心が前記軸と一致し、前記テーブルと共に間欠的に回転し、前記テーブルに対し相対的に回転可能とされ、前記第7リンクの一端が前記グリッパー位置調整リングに連結されていることを特徴とする請求項3に記載された袋移送装置。
前記第1規制機構が、前記第2リンクの他端に設置された第1摺動部材と、前記第1摺動部材が嵌る第1長孔が形成され前記搬送体に設けられた第1規制部材からなり、前記第1摺動部材が前記第1長孔の長さ方向に沿って摺動可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された袋移送装置。
前記第2規制機構が、一端が前記搬送体に連結され他端が前記第2支持部に連結された規制リンクからなり、前記規制リンクは前記一端の連結箇所を軸として水平面内で揺動可能であり、前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し垂直な方向に延在していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された袋移送装置。
前記第2規制機構が、前記第2支持部に設置された第2摺動部材と、前記第2摺動部材が嵌る第2長孔が形成され前記搬送体に設けられた第2規制部材からなり、前記第2摺動部材が前記第2長孔の長さ方向に沿って摺動可能であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された袋移送装置。
左右一対のグリッパーが偶数組存在するダブル型袋移送装置であり、隣接する2組の左右一対のグリッパーがそれぞれ共通の駆動力伝達機構を有し、隣接する2組の左右一対のグリッパーのうち前記移動経路の下流側の2つのグリッパーのアーム支持機構同士を連結する第1連結リンク、及び前記移動経路の上流側の2つのグリッパーのアーム支持機構同士を連結する第2連結リンクが設置され、隣接する2組の左右一対のグリッパーに同じ動きをさせることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載された袋移送装置。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、袋詰め包装機に設置された袋移送装置が記載されている。この袋移送装置は、間欠回転するテーブルと、テーブルの周囲に等角度間隔で配置された複数組の左右一対のグリッパーを備える。左右一対のグリッパーは、テーブルの回転に伴い、円形の移動経路に沿って間欠的に移動する。各グリッパーはアームと、アームの先端部に設置された把持部を有する。左右一対のグリッパーの各アームは、基部がテーブルに軸支され、水平面内で互いに線対称的に揺動可能である。
【0003】
上記袋移送装置は、左右一対のグリッパーの相互の間隔を調整するための間隔調整機構として、テーブルの下方に昇降可能に設置された円筒カムとL状レバー、及び星形カムと係止ピンを備える。円筒カムは、中心軸がテーブルの回転軸と一致し、上端がカム面である。L状レバーはテーブルに軸支されて鉛直面内で揺動可能であり、一端に円筒カムのカム面上を転動するカムフォロワを有し、他端にアームの尾部に当接してアームを揺動させる押圧ローラを有する。星形カムは、テーブルと共に同軸で回転し、テーブルに対し相対的に適宜角度回転させ、かつ位置決めすることができる。係止ピンはアームに固定されている。
【0004】
上記袋移送装置において、テーブルが間欠回転する過程で、カムフォロワがカム面上を転動し、カム面の形状(起伏)に対応して昇降し、それに伴い、左右のグリッパーの各アームが開閉し、左右のグリッパーの間隔(特に把持部同士の間隔)が、所定範囲内で広がり又は狭められる。左右のグリッパーの間隔が所定値まで狭まると、係止ピンが星形カムに当接する。左右のグリッパーの間隔の最大値は円筒カムのカム面の最大高さで決まり、左右のグリッパーの間隔の最小値は星形カムにより規制される。
上記袋移送装置において、袋サイズ(特に袋幅)を変更する場合には、袋幅に応じて、左右のグリッパーの間隔の最大値及び最小値を調整する必要がある。これは、円筒カムを昇降させ、かつ星形カムをテーブルに対し相対的に回転させることにより行うことができる。
【0005】
特許文献2には、特許文献1と同様に、間欠回転するテーブルと、テーブルの周囲に等角度間隔で配置された複数組の左右一対のグリッパーを備える袋移送装置が記載されている。この袋移送装置では、左右のグリッパーの間隔を調整する間隔調整機構として、特許文献1の円筒カムと星形カムに代えて、袋幅設定カムと寄り幅調整カムが設置されている。なお、寄り幅とは、テーブルが間欠回転する過程で、左右のグリッパーの間隔が最も広がってから最も狭まるまでに各グリッパーの把持部が移動する間隔であり、左右のグリッパーの間隔の最大値と最小値の差の1/2である。
【0006】
特許文献3、4に記載された袋移送装置では、左右のグリッパーの間隔を調整する間隔調整機構として平行リンクを設けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に記載された袋移送装置では、袋サイズ(袋幅)の変更に伴って左右のグリッパーの間隔を調整するに際し、各アームを基部を中心として水平面内で揺動させている。このため、特定のサイズ(袋幅)の袋以外では、グリッパーの把持部の把持面が袋の幅方向に対して傾き、グリッパーの間隔を狭めて袋口を開口したとき開口形状が変形し、例えば被包装物の充填が安定して行えないことがあり、一方、グリッパーの間隔を広げて袋口を閉じたとき、袋の両縁部(グリッパーの把持部に把持された箇所)が傾斜し、袋口のシールが安定して行えないことがある。また、各アームを水平面内で揺動させると、グリッパーの把持部の把持面が袋の厚み方向(テーブルの半径方向)にずれる。このため、袋サイズ(袋幅)によって袋の移送経路が変わり(袋の移送経路が袋の厚み方向にずれる)、開口工程、充填工程、シール工程等において安定した処理が行えないことがある。
【0009】
特許文献3,4に記載された袋移送装置では、グリッパーの把持部を支持する平行リンクの傾斜を変えることにより、左右のグリッパーの間隔を調整でき、その際に把持部の把持面が袋の幅方向に対して傾くことがない。しかし、平行リンクの性質上、左右のグリッパーの間隔を変えたとき、把持部の把持面が袋の厚み方向にずれる(袋の移送経路が袋の厚み方向にずれる)が、この動きは規制できない。
また、上記のようにグリッパーの把持部の把持面が袋の幅方向に対して傾いたり、グリッパーの把持部の把持面が袋の厚み方向にずれて袋の移送経路が変わるという問題は、グリッパーが前記移動経路を移動する過程で左右の間隔を広げ又は狭める場合にも、同様に起こり得る。
【0010】
本発明は、袋詰め包装機等で用いられる袋移送装置において、袋サイズ(袋幅)の変更に伴って左右のグリッパーの間隔調整を行った場合、又はグリッパーが移動経路を移動する過程で左右の間隔を広げ又は狭める場合に、グリッパーの把持部の把持面が傾いたり、袋の移送経路が袋の厚み方向にずれるのを実質的に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、水平面内で回転する搬送体と、前記搬送体に設置され前記搬送体の回転に伴い環状の移動経路に沿って移動する左右一対のグリッパーが複数組と、各左右一対のグリッパーが前記移動経路に沿って移動する過程で左右のグリッパーの相互の間隔を水平面内で広げ又は狭める間隔調整機構を備え、各グリッパーがアームと前記アームの先端部に設置された把持部からなり、左右のグリッパーの把持部で袋の左右を把持し、環状の移送経路に沿って移送する袋移送装置において、前記間隔調整機構は、左右一対のグリッパーの各アームごとに配置されたアーム支持機構と、各アーム支持機構を作動させる駆動力伝達機構からなり、各アームの基部に水平方向に所定距離離れて第1及び第2支持部が設定され、前記アーム支持機構は、一端が前記搬送体に連結され水平面内で揺動可能な第1リンクと、一端が前記第1支持部に連結され、中央が前記第1リンクの他端に連結された第2リンクと、前記第2リンクの他端の移動方向が前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し垂直となるように規制する第1規制機構と、前記第2支持部に連結され、前記第2支持部の移動方向が前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し平行となるように規制する第2規制機構からなり、前記第1リンクと第2リンク及び第1規制機構によりスコットラッセル機構が構成され、前記駆動力伝達機構が前記第2リンクに駆動力を伝達して前記スコットラッセル機構を作動させることを特徴とする。
なお、本発明において、「平行」及び「垂直」という用語は、厳密な意味での平行及び垂直の関係のみでなく、略平行及び略垂直の関係を含む。また、本発明において、「第1」,「第2」,・・・という番号は、単なる区別のためにのみ付与している。
【0012】
上記袋移送装置において、前記搬送体は、例えば鉛直な軸を中心に間欠的に等角度ずつ回転する1つのテーブルであり、この場合、テーブルの周囲に左右一対のグリッパーが複数組配置され、前記移動経路が円形である。ただし、搬送体は複数の部材からなるものでもよく、また連続的に回転するものでもよい。例えば特開2002-302227号公報に記載されているように、複数の部材からなる無端チェーンが環状経路に沿って一定速度で回転する場合も、この無端チェーンは本発明でいう搬送体に含まれる。
【0013】
前記搬送体が鉛直な軸を中心に間欠的に等角度ずつ回転するテーブルである場合、前記グリッパーの間隔を調整するため、特許文献1に記載された袋移送装置と同様に、カム駆動方式を採用することが好ましい。この場合、テーブルの下方位置に、中心が前記軸と一致する円筒カムが昇降可能に設置される。駆動力伝達機構は、例えば、中間位置が前記テーブルに連結され水平面内で揺動自在とされた揺動レバーと、前記円筒カムと揺動レバーの間に配置され、中間位置が前記テーブルに軸支され、一端に前記円筒カムのカム面を転動するカムフォロワを有し、他端が前記揺動レバーの一端に接触するカムレバーと、前記揺動レバーより前記テーブルの外周側に配置され、一端が前記テーブルに連結され水平面内で揺動自在とされた第3リンクと、前記揺動レバーと第3リンクの間で前記テーブルの半径方向に沿って延在し、一端が前記揺動レバーの他端に連結され、他端が前記第3リンクの他端に連結された第4リンクと、一端が各アーム支持機構の前記第2リンクに連結した一対の第5リンクと、一端が前記第4リンクの中間位置に連結され、他端が前記第5リンクの他端に連結された一対の第6リンクと、一端が前記テーブルに軸支され、他端が前記第5リンクの他端に連結された一対の第7リンクからなる。前記カムレバーのカムフォロワが前記円筒カムのカム面を転動し、前記駆動力伝達機構を介して各アーム支持機構の第2リンクに駆動力が伝達される。
この袋移送装置において、必要に応じて、テーブルにグリッパー位置調整リングを設置することができる。前記グリッパー位置調整リングは中心が前記軸と一致し、前記テーブルと共に間欠的に回転し、かつ前記テーブルに対し相対的に回転可能とされる。この場合、前記第7リンクの一端は前記グリッパー位置調整リングに連結する。
【0014】
以上述べた袋移送装置において、前記第1規制機構は、例えば、前記第2リンクの他端に設置された第1摺動部材と、前記第1摺動部材が嵌る第1長孔が形成され前記搬送体に設けられた第1規制部材からなり、前記第1摺動部材は前記第1長孔の長さ方向に沿って摺動可能とされる。前記第1長孔は前記搬送体に形成してもよく(この場合、前記搬送体の一部が前記第1規制部材に相当する)、又は前記第1長孔を前記搬送体とは別の部材に形成し、前記別の部材を前記搬送体に設置してもよい(この場合、前記別の部材が前記第1規制部材に相当する)。前記第1長孔の長さ方向は、前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し垂直とされる。
以上述べた袋移送装置において、前記第2規制機構は、例えば、一端が前記搬送体に連結され他端が前記第2支持部に連結された規制リンクからなる。前記規制リンクは前記一端の連結箇所を軸として水平面内で揺動可能であり、かつ前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し垂直な方向(前記第1長孔の長さ方向に平行)に延在する。
また、前記第2規制機構は、例えば、前記第2支持部に設置された第2摺動部材と、前記第2摺動部材が嵌る第2長孔が形成され前記搬送体に設けられた第2規制部材からなり、前記第2摺動部材は前記第2長孔の長さ方向に沿って摺動可能とされる。前記第2長孔は前記搬送体に形成してもよく(この場合、前記搬送体の一部が前記第2規制部材に相当する)、又は前記搬送体とは別の部材に形成し、前記別の部材を前記移動体に設置してもよい(この場合、前記別の部材が前記第2規制部材に相当する)。前記第2長孔の長さ方向は、前記左右のグリッパーの把持部に把持される袋の幅方向に対し平行(前記第1長孔の長さ方向に垂直)とされる。
【0015】
上記袋移送装置は、左右一対のグリッパーが偶数組存在し、隣接する2組の左右一対のグリッパーの把持部の把持面が実質的に同一平面内にあり、かつ隣接する2組の左右一対のグリッパーが同時に相互の間隔を水平面内で広げ又は狭めるようになった、いわゆるダブル型(例えば特開2004−244085号公報参照)の袋移送装置にも適用できる。この場合、隣接する2組の左右一対のグリッパーがそれぞれ共通の駆動力伝達機構を有し、隣接する2組の左右一対のグリッパーのうち前記移動経路の下流側の2つのグリッパーのアーム支持機構同士を連結する第1連結リンク、及び前記移動経路の上流側の2つのグリッパーのアーム支持機構同士を連結する第2連結リンクが設置され、隣接する2組の左右一対のグリッパーに同じ動きをさせる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、袋サイズ(袋幅)の変更に伴って左右のグリッパーの間隔調整を行った場合に、グリッパーの把持部の把持面が傾いたり、袋の移送経路が変わるのを実質的に防止できる。また、グリッパーが移動経路を移動する過程で左右の間隔を広げ又は狭める場合にも、グリッパーの把持部の把持面が傾いたり、袋の移送経路が袋の厚み方向にずれるのを実質的に防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1〜
図15を参照して、本発明に係る袋移送装置について具体的に説明する。
図1〜3に、例えばロータリー式袋詰め包装機(特許文献1参照)に適用される袋移送装置を示す。
この袋移送装置は、特許文献1に記載された袋移送装置と同様に、水平面内で等角度ずつ間欠的に回転するテーブル1と、テーブル1の周囲に等角度間隔(テーブル1が一度に回転する角度と同じ角度)で配置され、円形の移動経路に沿って移動する左右一対のグリッパー2,2を複数組と、テーブルの下方位置に設置され、中心がテーブル1の軸線Oと一致し、昇降可能で上端がカム面である円筒カム3と、左右一対のグリッパー2,2が前記移動経路に沿って移動する過程で左右のグリッパー2,2の相互の間隔を水平面内で広げ又は狭める間隔調整機構4を備える。円筒カム3はテーブル1の間欠回転と同期して同じ角度回転し、テーブル1が停止すると同じ角度逆回転して元の位置に復帰する。また、この袋移送装置は、テーブル1を間欠的に回転させる駆動源と、円筒カム3を昇降させる駆動源、及び円筒カム3を正逆回転させる駆動源を備える(駆動源はいずれも図示せず)。
なお、円筒カム3のカム面は、上記の例では上端に上向きに形成されているが、円筒カムの下端に下向きに形成することもできる(この場合、後述する付勢部材の力を作用させる方向が逆になる)。また、円筒カム3を昇降させる駆動源を設置せず、手動によるハンドル操作で昇降させることもできる。
【0019】
図1〜3において、左右のグリッパー2,2は、それぞれアーム5とアーム5の先端部に設置された把持部6からなり、この把持部6,6で袋7(
図2参照)の左右側縁部が把持され、左右のグリッパー2,2が前記移動経路を移動するのに伴い、袋7は円形の移送経路に沿って移送される。袋7が例えば特許文献1に記載された平面視長方形の平袋(上方が開口した3方シール袋)であれば、左右のグリッパー2,2は、前記移動経路又は移送経路の接線に垂直な鉛直面N(
図1参照:テーブル1の軸線Oを通る鉛直面)に対し対称的に配置され、かつ前記移動経路を移動するのに伴い、前記鉛直面Nに対し対称的に相互の間隔を広げ又は狭めるようになっている。なお、左右のグリッパー2,2のこの配置を、本発明では基準配置といい、前記鉛直面Nを基準面(以下、基準面N)という。いうまでもなく、基準面Nはテーブル1上に設定された平面であり、テーブル1の間欠回転に伴い軸線Oを中心として同じく間欠回転する。また、テーブル1に設置された左右一対のグリッパー2,2は全ての組がこの基準配置をとる。
【0020】
各アーム5の基部に、第1支持部(第1支持軸8)及び第2支持部(第2支持軸9)が設定されている。第1支持軸8と第2支持軸9の中心を通る鉛直面は、把持部6の把持面に平行(把持部6,6に把持される袋7の幅方向に平行)に設定され、第1支持軸8と第2支持軸9は前記鉛直面内で水平方向に所定距離離れている。
間隔調整機構4は、各アーム5ごとに配置されたアーム支持機構11と、各アーム支持機構11を作動させる駆動力伝達機構12を備える。なお、駆動力伝達機構12は一対のグリッパー2,2ごとに設置されている。
【0021】
アーム支持機構11は、一端がテーブル1上に突出する軸13に連結され、水平面内で揺動可能な第1リンク14と、一端が第1支持軸8に連結され、中央が第1リンク14の他端に連結された第2リンク15と、第2リンク15の他端の移動方向を規制する第1規制機構16と、第2支持軸9の移動方向を規制する第2規制機構17からなる。第1リンク14はテーブル1の上に、第2リンク15はテーブル1の下に配置されている。第1リンク14の他端と第2リンク15の中央は、鉛直な軸18を介して連結され、軸18はテーブル1に形成された穴19内に配置されている。
【0022】
第1規制機構16は、第2リンク15の他端の移動方向を、前記基準面Nに対し平行(把持部6,6に把持される袋7の幅方向に対し略垂直)となるように規制するもので、第2リンク15の他端に設置された第1摺動部材21と、第1摺動部材21が嵌る第1長孔22が形成された第1規制部材からなる。この例では、第1長孔22がテーブル1に形成されているので、テーブル1の一部(特に第1長孔22の周辺領域)が前記第1規制部材に相当するということができる。第1長孔22は前記基準面Nに対し平行に形成され、第1摺動部材21が第1長孔22内に嵌り、第1長孔22に沿って摺動可能とされている。なお、前記第1長孔22をテーブル1とは別の部材に形成し、前記別の部材をテーブル1に固定することもでき(後述する第2規制部材69参照)、この場合、前記別の部材が前記第1規制部材に相当することになる。
第1リンク14と第2リンク15及び第1規制機構16によりスコットラッセル機構が構成され、第2リンク15の他端(第1摺動部材21)が前記基準面Nに対し平行に移動するとき、第2リンク15の一端(第1支持軸8)は、前記基準面Nに対し垂直に移動する。
【0023】
第2規制機構17は、第2支持軸9の移動方向が前記基準面Nに対し略垂直となるように規制するもので、一端がテーブル1の中心に近い側で該テーブル1に軸23を介して水平面内で揺動自在に連結された規制リンク24からなる。規制リンク24は、前記基準面Nに対し略平行に延在し、他端が第2支持軸9に連結されている。第2支持軸9の移動経路は円弧となり、移動方向は前記基準面Nに対し厳密な意味で垂直ではないが、規制リンク24の長さを長く設定することにより前記移動経路は大径の円弧(近似的な直線)となり、前記移動方向を前記基準面Nに対し垂直に近づける(略垂直とする)ことができる。
【0024】
駆動力伝達機構12は、中間位置がテーブル1に固定された軸25に回転自在に連結し、水平面内で揺動自在とされた揺動レバー26と、円筒カム3と揺動レバー26の間に配置され、中間位置がテーブル1に固定されたブラケット27の軸28に回転自在に連結し、鉛直面内で揺動自在とされたカムレバー29(特許文献1のL状レバー14参照)を備える。カムレバー29は、一端にテーブル1の回転に伴い円筒カム3のカム面上を転動するカムフォロワ31を有し、他端に揺動レバー26の一端に接触するローラ32を有する。駆動力伝達機構12は、さらに、揺動レバー26よりテーブル1の外周側に配置され、一端がテーブル1に連結され水平面内で揺動自在とされた第3リンク33と、揺動レバー26と第3リンク33の間で前記基準面Nに沿って延在し、一端が揺動レバー26の他端に連結され、他端が第3リンク33の他端に連結された第4リンク34と、一端が各アーム支持機構11,11の第2リンク15の中央位置に連結された一対の第5リンク35,35と、一端が第4リンク34の中央位置に連結され、他端が第5リンク35,35の他端(軸36)に連結された一対の第6リンク37,37を有する。なお、揺動レバー26の軸25から他端(第4リンク34との連結部)までの長さと、第3リンク33の一端(テーブル1との連結部)から他端(第4リンク34との連結部)までの長さは等しく設定されている。
【0025】
図3に明確に示すように、テーブル1上に、中心がテーブル1の軸Oと一致し、テーブル1と共に間欠回転するグリッパー位置調整リング38が設置されている。グリッパー位置調整リング38はテーブル1上に配置された複数のガイド部材39によりガイドされ、テーブル1に対し相対的に回転可能であり、テーブル1上にグリッパー位置調整リング38を回転させる駆動機構40が設置されている。駆動機構40は、出力軸がねじ軸41であるモータ42と、グリッパー位置調整リング38に設置されたナット部材43からなり、ねじ軸41がナット部材43に螺合している。ねじ軸41が回転するとナット部材43が移動し、グリッパー位置調整リング38がテーブル1上を摺動しながら回転する。
【0026】
駆動力伝達機構12の一部として、一端がグリッパー位置調整リング38に連結され、他端が軸36において第5リンク35の他端(第6リンク37の他端でもある)に連結された一対の第7リンク44,44が設置されている。
図2に示すように、グリッパー位置調整リング38と第7リンク44は、テーブル1を上下に貫通する軸45により連結されている。テーブル12には、軸45が嵌る円弧状の長孔46が形成されている。グリッパー位置調整リング38が軸Oを中心として回転するとき、軸45は長孔46内を摺動し軸Oを中心として回転する。
また、駆動力伝達機構12の一部として、一端がテーブル1に連結され、他端が第1リンク14に連結された付勢部材(引張ばね47)がテーブル1上に設置されている。この引張ばね47は、カムレバー29のカムフォロワ31を円筒カム3のカム面に押し付ける作用を有する。
【0027】
一対の第7リンク44,44は、グリッパー位置調整リング38及び駆動機構40等と共に、グリッパー位置調整機構48を構成する(作用については後述)。なお、袋移送装置は、前記グリッパー位置調整機構48を有しない場合もあり得るが、その場合、一対の第7リンク44,44の一端は、テーブル1に直接連結させる。
左右のグリッパー2,2の配置が前記基準配置であるとき(
図1,3に示す配置状態)、各一対の第5リンク35,35、第6リンク37,37及び第7リンク44,44は、前記基準面Nに対し対称的に配置される。
図1において、グリッパー2,2の相互の間隔(把持部6,6の間隔)はD1である。グリッパー2の把持部6の把持面は前記基準面Nに対し垂直な鉛直面上にある。また、左右の把持部6,6に把持された袋7の幅方向は前記基準面Nに対し垂直である。
【0028】
円筒カム3が昇降すると、カムレバー29のカムフォロワ31が昇降し、カムレバー29が鉛直面内で揺動し、揺動レバー26が水平面内で揺動し、第4リンク34が前記基準面Nに略沿って移動し、第6リンク37,37及び第5リンク35,35を介して、前記スコットラッセル機構(第1リンク14、第2リンク15及び第1規制機構16からなる)の一部である左右の第2リンク15,15に駆動力が伝達される。なお、第5リンク35、第6リンク37及び第7リンク44の連結点である軸36は、第7リンク44により円弧上を移動するように拘束されている。また、各一対の第2リンク15,15、第5リンク35,35及び第6リンク37,37は、前記基準面Nを挟んで対称的に移動する。
【0029】
第2リンク15の他端(第1摺動部材21)は、第1規制機構16により、移動方向が前記基準面Nに対し平行になるように規制されているから、第2リンク15の一端(アーム5の第1支持軸8)は、前記基準面Nに対し垂直に移動する。この移動方向は、把持部6,6に把持された袋7の移送経路の接線方向ということもできる。
アーム5の第1支持軸8が移動するのに伴い、当然アーム5の第2支持軸9も移動する。先に述べたとおり、このときの第2支持軸9の移動方向は、前記基準面Nに対し略垂直である。
アーム5の基部を支持する第1支持軸8及び第2支持軸9が、前記基準面Nに対し垂直及び略垂直に移動することにより、アーム5は前記基準面Nに対し略垂直に移動し、それに伴い、グリッパー2,2の相互の間隔(把持部6,6の間隔)が変化する。
【0030】
図4に、円筒カム3を所定高さ下降させたときの各レバー及びリンクの位置、並びにグリッパー2,2の位置を示す。左右のグリッパー2,2は、前記基準面Nを挟んで対称的に移動しており、グリッパー2,2(把持部6,6)の相互の間隔が2点鎖線で示すD1から実線で示すD2へと広がっている。グリッパー2,2(把持部6,6)の相互の間隔が広がっても、把持部6,6の把持面は略同一平面(前記基準面Nに対し略垂直な面)上に維持され、かつ実質的に袋7の厚み方向(把持部6,6に把持された袋7の移送経路の放線方向)に変位しない。いうまでもなく、テーブル1に設置された左右一対のグリッパー2,2は全ての組がこの新たな基準配置をとる。
このように、本発明に係る袋移送装置では、袋サイズ(袋幅)に対応してグリッパー2,2(把持部6,6)の相互の間隔を変更する場合に、特許文献1に記載された袋移送装置と同様に、円筒カム3を昇降させるが、その際に、グリッパー2,2の把持部6,6の把持面が傾いたり、袋の移送経路が変わる(袋の厚み方向にずれる)のを実質的に防止できる。
【0031】
一方、テーブル1が間欠的に回転する過程で円筒カム3が逆回転したとき、カムレバー29のカムフォロワ31が、円筒カム3のカム面上を転動して昇降し、カムの駆動力は、先ほど説明したと同様に、駆動力伝達機構12を構成する揺動レバー26及び各リンクを介して、各アーム支持機構11,11の第2リンク15,15に伝達される。グリッパー2,2は前記移動経路に沿って間欠的に移動し、その移動の過程で(間欠停止中に)、円筒カム3のカム面の形状(起伏)に対応して、アーム5,5が前記基準面Nに対し略垂直に移動し、グリッパー2,2の相互の間隔(把持部6,6の間隔)が変化する。この場合も、先ほど説明したと同様に、把持部6,6の把持面は略同一平面(前記基準面Nに対し略垂直な面)上に維持され、かつ実質的に袋7の厚み方向(把持部6,6に把持された袋7の移送経路の放線方向)に変位しない。
このように、本発明に係る袋移送装置では、グリッパーが前記移動経路を間欠的に移動する過程で左右の間隔を広げ又は狭める場合にも、グリッパーの把持部の把持面が傾いたり、袋の移送経路が変わるのを実質的に防止できる。
【0032】
続いて、
図5を参照し、グリッパー位置調整機構48の作用について説明する。
モータ42(
図3参照)を作動させ、ねじ軸41を回転させると、グリッパー位置調整リング38がテーブル1に対し相対的に回転し(回転方向を矢印dで示す)、一対の第7リンク44,44の一端がグリッパー位置調整リング38とともに移動する。これにより、各一対の第7リンク44,44、第6リンク37,37、第5リンク35,35が、それぞれ前記基準面Nに対し非対称な位置に移動し、それに伴い、一対の第2リンク15,15も前記基準面Nに対し非対称な位置に移動する。
【0033】
その結果、左右のグリッパー2,2は、元の間隔D1をほぼ保ちながら前記基準面Nに対し略垂直方向に変位(2点鎖線の位置から実線の位置へ変位)する。また、左右のグリッパー2,2の中心を通る鉛直面(中心面M)も、前記基準面Nから変位(変位量Da)する。前記中心面Mは前記基準面Nに平行である。このような左右のグリッパー2,2の配置を、本発明では偏心配置という。なお、変位量Daの大きさは所定の範囲内で任意に選択できる。
円筒カム3を昇降させ、又はテーブル1を間欠的に回転させる(同時に円筒カム3を正逆回転させる)と、左右のグリッパー2,2は基本的に前記偏心配置を保ったまま、前記中心面Mを挟んで略対称的にその間隔を広げ又は狭める。左右のグリッパー2,2が前記偏心配置を取る場合でも、円筒カム3を昇降させたとき、又は左右のグリッパー2,2が前記移動経路に沿って間欠的に移動する間、把持部6,6の把持面は略同一平面(前記基準面Nに対し略垂直な面)上に維持され、かつ実質的に袋7の厚み方向(把持部6,6に把持された袋7の移送経路の放線方向)に変位しない。
【0034】
次に、左右のグリッパー2,2が上記偏心配置をとることの意義(1例目)について、簡単に説明する。
図1〜3に示す袋移送装置が、例えば特許文献1に記載されたような袋詰め包装機に組み込まれ、グリッパー2,2の各停止位置において、グリッパー2,2への袋の供給、袋口の開口、袋への被充填物の充填、袋の開口部のシール、シール部の冷却、及びグリッパー2,2からのシール済みの袋の開放等の袋詰め工程が順次行われるものとする。このような袋詰め包装機では、一般に、前記各工程を行う給袋装置、開口装置、充填装置、シール装置、冷却装置等が、各停止位置に、前記基準面Nを基準として設置されている。具体的にいえば、例えば給袋装置は、グリッパー2,2に供給する袋の中心線(袋の幅方向中心を通る直線)が前記基準面N上に位置するように設置され、開口装置は、一対の吸盤が前記基準面N上で進退するように設置され、液状物の充填装置は、充填ノズルが前記基準面N上で昇降するように設置されている。
【0035】
このような袋詰め包装機において、例えば
図6(a)に示す袋49に液状物を充填する場合、左右のグリッパー2,2の配置が前記基準配置であると、次のような問題が生じる。なお、袋49は上端コーナー部にスパウト51が取り付けられたスパウト付き袋であり、水平な上縁部(開口部52)が開口幅Wで開口している。開口部52の中心線C(開口部52の幅方向中心を通る直線)は袋49の中心線C0からずれている(ずれ幅G)。
給袋装置により左右のグリッパー2,2(把持部6,6)に供給された袋49は、中心線C0が前記基準面N上に位置する。グリッパー2,2が開口工程が行われる停止位置に停止すると、
図6(a)に2点鎖線で描いたように、吸盤53が前進して袋49の面に吸着するが、その吸着位置は袋49の中心線C0上(基準面N上)であり、開口部52の中心線Cからずれ幅Gだけずれているから、これでは開口部52の開口に支障が生じる。また充填工程においても、充填ノズルが開口部52の中心線Cから大きくずれた中心線C0上(基準面N上)で昇降するから、開口部52への挿入に支障が生じる。
【0036】
仮に、吸盤53の吸着位置を調整し、同吸着位置が開口部52の中心線C上にくるようにすれば、開口部52の開口に支障が生じなくなる。また、仮に充填ノズルの昇降位置を調整し、同充填ノズルが開口部52の中心線C上で昇降するようにすれば、開口部52への挿入に支障が生じなくなる。しかし、このような調整は開口装置と充填装置に留まらず、後続の他の装置でも行う必要があり、また、使用する袋の種類が通常の平袋に変われば、元の通りに基準面N上に調整し直す必要があるので、袋詰め包装機の生産性が大きく低下する要因となる。
なお、このようなコーナースパウト付き袋を用いる袋詰め包装機は、例えば特開2009−220853号公報に記載されている。
【0037】
一方、左右のグリッパー2,2の配置を偏心配置とすれば、上記の問題は一気に解決される。袋詰め工程を実施する開口装置、充填装置、及びその他の装置は基準面Nを基準として設置されたままでよい。給袋装置のみ、左右のグリッパー2,2(把持部6,6)に供給される袋49の開口部52の中心線Cが基準面N上に位置するように調整する必要がある。
図6(b)は、グリッパー2,2(把持部6,6)の中心を通る鉛直面(中心面M)を基準面Nから変位させ(変位量G)、開口部52の中心線Cを基準面N上に位置させた状態を示す。このように、左右のグリッパー2,2の配置を偏心配置とすることにより、吸盤53の吸着位置は開口部52の中心線C上(基準面N上)となり、充填ノズルは開口部52の中心線C上(基準面N上)で昇降し、開口及び充填に支障が生じない。後続の他の装置でも同様である。
【0038】
次に、左右のグリッパー2,2が上記偏心配置をとることの意義(2例目)について、簡単に説明する。
図1〜3に示す袋移送装置が、例えばスパウト取付装置(特許第3261543号公報参照)に組み込まれ、グリッパー2,2の各停止位置において、グリッパー2,2への袋の供給、袋口のコーナーカット(コーナースパウトの場合のみ)、袋口の開口、袋口へのスパウトの挿入及び袋とスパウトの仮シール、袋とスパウトの本シール、シール部の冷却、及びグリッパー2,2からのスパウト取付済みの袋(スパウト付き袋)の開放等のスパウト取付工程が順次行われるものとする(前記特許第3261543号公報の装置では、袋とスパウトの本シール後液状物の充填が行われているが、このスパウト取付装置では液状物の充填は行われないものとする)。
【0039】
スパウト取付装置により、
図7(a)に示す平面視長方形の袋54の上端の開口部55の中央部にスパウト56を取り付ける場合、グリッパー2,2(把持部6,6)の配置は前記基準配置とされ、前記各工程を行う給袋装置、開口装置、スパウト挿入及び仮シール装置、本シール装置、冷却装置等が、各停止位置に、前記基準面Nを基準として設置される。具体的にいえば、例えば給袋装置は、グリッパー2,2(把持部6,6)に供給する袋54の幅方向の中心を通る中心線C0が前記基準面N上に位置するように設置され、開口装置は、一対の吸盤57が前記基準面N上で進退するように設置され、スパウト挿入及び仮シール装置は、スパウト56が前記基準面N上で下降して袋54の開口部55内に挿入されるように設置される。
【0040】
このスパウト取付装置を用い、例えば
図7(b)に示す袋58の両縁部を、斜めにカットされたコーナー部開口59が水平になるようグリッパー2,2(把持部6,6)で把持し、同コーナー部開口59の中央部にスパウト56を取り付ける場合、左右のグリッパー2,2(把持部6,6)の配置が前記基準配置のままであると、スパウト56の挿入位置がコーナー部開口59の中心線Cからずれる(ずれ幅H)。
一方、
図7(c)に示すように、左右のグリッパー2,2(把持部6,6)の中心を通る鉛直面(中心面M)を基準面Nから変位させ(変位量H)、前記ずれ幅Hを解消することにより、スパウト56の挿入位置をコーナー部開口59の中心線Cに一致させることができる。スパウト取付工程を実施するスパウト挿入及び仮シール装置、及びその他の装置は基準面Nを基準として設置されたままでよい。給袋装置のみ、左右のグリッパー2,2(把持部6,6)に供給される袋58のコーナー部開口59の中心線Cが基準面N上に位置するように調整する必要がある。このように、左右のグリッパー2,2の配置を偏心配置とすることにより、スパウト56をコーナー部開口59の中央部に挿入し、取り付けることができる。
【0041】
続いて、前記第1規制機構16及び第2規制機構17の代替機構について、
図8〜10を参照して説明する。
図8〜10において、
図1〜3に示す袋移送装置と実質的に同等の部材には同じ番号を付与している。
第1規制機構16は、アーム支持機構11の第2リンク15の他端の移動方向を、前記基準面Nに対し平行(前記把持部6に把持される袋7の幅方向に対し略垂直)となるように規制するもので、上記の例では、第2リンク15の他端に設置された第1摺動部材21と、第1長孔22が形成された第1規制部材(テーブル1の一部)からなる。代替機構の一例を
図8を参照して説明すると、代替の第1規制機構16Aは、一端がテーブル1に水平面内で揺動自在に連結された規制リンク61からなる。規制リンク61は、前記基準面Nに対し略垂直に延在し、一端がテーブル1に設置された支持軸62に連結されて水平面内で揺動自在であり、他端が第2リンク15の他端に連結されている。第2リンク15の他端は前記基準面Nに対し略平行に移動可能(移動経路63)であり、第1リンク14と第2リンク15及び第1規制機構16Aにより近似的にスコットラッセル機構が構成され、第2リンク15の他端が前記移動経路63に沿って移動するとき、第2リンク15の一端(第1支持軸8)は、前記基準面Nに対し略垂直に移動する。
【0042】
第2規制機構17は、第2支持軸9の移動方向が前記基準面Nに対し略垂直となるように規制するもので、上記の例では、テーブル1に水平面内で揺動自在に連結された規制リンク24からなる。代替機構の一例を
図9を参照して説明すると、代替の第2規制機構17Aは、第1支持軸8の移動方向を規制するスコットラッセル機構(第1リンク14、第2リンク15、第1規制機構16)と同様のものであり、水平面内で揺動可能な第1リンク64(第1リンク14と同等)、一端が第2支持軸9に連結され、中央が第1リンク64の他端に連結された第2リンク65(第2リンク15と同等)と、第2リンク65の他端の移動方向を規制する第1規制機構66(第1規制機構16と同等)からなる。これにより、第2リンク15の一端(第1支持軸8)が、前記基準面Nに対し垂直に移動するとき、第2リンク65の一端(第2支持軸9)も前記基準面Nに対し垂直に移動する。
【0043】
第2規制機構17の代替機構の他の一例を
図10に示す。代替の第2規制機構17Bは、第2支持軸9に設置された第2摺動部材67(この例では第2支持部9に水平面内で回転自在に設置されたローラ)と、第2摺動部材67が嵌る第2長孔68が形成され、テーブル1に水平に固定された第2規制部材69からなる。第2長孔68は前記第1長孔22の長さ方向に対し垂直(前記基準面Nに対し垂直)であり、第2摺動部材67が第2長孔68内に嵌り、第2長孔68の長さ方向に沿って摺動可能とされている。この例では、第2摺動部材67には、一対のアーム5,5の各第2支持軸9に設置された計2つの第2摺動部材67、67に対応して、2つの第2長孔68,68が形成されている。なお、先に記載した第1規制部材(第1長孔22が形成されたもの)と同様に、第2長孔68をテーブル1に形成することもできる。これにより、第2リンク15の一端(第1支持軸8)が、前記基準面Nに対し垂直に移動するとき、第2支持軸9も前記基準面Nに対し垂直に移動し、グリッパー2,2は前記基準面Nに対し垂直に、かつ互いに対称的に移動する。
【0044】
図11〜13に、ダブル型の袋移送装置(以下、W型袋移送装置という)を示す。
図11〜13において、
図1〜3に示すシングル型の袋移送装置と実質的に同等の部材には適宜同じ番号を付与している。W型袋移送装置は、例えばダブル型のロータリ式袋詰め包装機(特開2004−244085号公報参照)に適用される。以下、
図11〜13に示すW型袋移送装置について、
図1〜3に示すシングル型の袋移送装置との相違部分を中心に説明する。
W型袋移送装置では、水平面内で等角度ずつ間欠的に回転するテーブル1の周囲に左右一対のグリッパーが偶数対設置され、テーブル1が間欠的に回転するのに伴い、左右一対のグリッパーはそれぞれ円形の移動経路に沿って移動し、それに伴い、左右一対のグリッパーに把持された袋は円形の移送経路に沿って移送される。
【0045】
図11において、隣接する2組の左右一対のグリッパー(グリッパー71a,71bとグリッパー72a,72b)が、前記移動経路又は移送経路の接線に垂直な鉛直面N(テーブル1の軸線Oを通る鉛直面)に対し対称的に配置されている。また、グリッパー71a,71bは前記鉛直面Nに平行でかつ前記鉛直面Nから移動経路の下流側に一定距離(距離L)離れた鉛直面N1に対し対称的に配置され、グリッパー72a,72bは前記鉛直面Nに平行でかつ前記鉛直面Nから移動経路の上流側に一定距離(距離L)離れた鉛直面N2に対し対称的に配置されている。グリッパー71a,71bは、前記移動経路を移動するのに伴い、前記鉛直面N1に対し対称的に相互の間隔を広げ又は狭め、グリッパー72a,72bは、前記移動経路を移動するのに伴い、前記鉛直面N2に対し対称的に相互の間隔を広げ又は狭めるようになっている。W型袋移送装置における隣接する2組の左右一対のグリッパー71a,71b,72a,72bのこの配置を、本発明では基準配置といい、前記鉛直面N,N1,N2を基準面(以下、基準面N、基準面N1、基準面N2)という。いうまでもなく、基準面N、基準面N1、基準面N2はテーブル1上に設定された平面であり、テーブル1が間欠回転するのに伴い軸線Oを中心として間欠回転する。また、テーブル1に設置された左右一対のグリッパー全てが、隣接する左右一対のグリッパーと共にこの基準配置をとる。
【0046】
W型袋移送装置では、2組の左右一対のグリッパー71a,71b,72a,72bに対しそれぞれアーム支持機構11が設置され、かつ共通の駆動力伝達機構12が設置されている。駆動力伝達機構12の第5リンク35,35の他端は、それぞれグリッパー71bとグリッパー72aの第2リンク15,15の中央に連結されている。また、グリッパー71a,71bのうち下流側のグリッパー71aと、グリッパー72a,72bのうち下流側のグリッパー72aのアーム支持機構11,11が、第1連結リンク73に連結され、かつ上流側のグリッパー71b,72bのアーム支持機構11,11が第2連結リンク74に連結されている(
図12,13参照)。より具体的には、第1連結リンク73は、グリッパー71a,72aのアーム支持機構11,11の一部である第1リンク14,14に連結され、第2連結リンク74は、グリッパー71b,72bのアーム支持機構11,11の一部である第1リンク14,14に連結されている。このため、グリッパー71bのアーム支持機構11の動きがそのままグリッパー72bのアーム支持機構11に伝達され、かつグリッパー72aのアーム支持機構11の動きがそのままグリッパー71aのアーム支持機構11に伝達される。その結果、グリッパー71a,72aが同期して同じ動きをし、かつグリッパー71b,72bが同期して同じ動きをする。
また、駆動力伝達機構12の一部として設置された2つの付勢部材(引張ばね47)は、それぞれ一端がテーブル1に連結され、他端がグリッパー71a,72bの第1リンク14,14に連結されている。
【0047】
図11において、グリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの相互の間隔(把持部6,6の間隔)はいずれもD3である。グリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの各把持部6の把持面は、前記基準面Nに対し垂直な鉛直面上にあり、実質的に同一平面上にある。同じく、左右の把持部6,6に把持される袋の幅方向はいずれも前記基準面Nに対し垂直である。
【0048】
円筒カム3が昇降すると、
図1〜3に示すシングル型の袋移送装置と同様に、カムレバー29のカムフォロワ31が昇降し、駆動力伝達機構12を構成する揺動レバー26及び各リンクを介して、グリッパー71b,72aの各アーム支持機構11,11の第2リンク15,15に駆動力が伝達される。その結果、グリッパー71b,72aが前記基準面Nに対し略垂直にかつ互いに対称的に移動し、同時にグリッパー71a,72bが前記基準面Nに対し略垂直にかつ対称的に移動する。一対のグリッパー71a,71bの移動は前記基準面N1を挟んで対称的であり、かつ一対のグリッパー72a,72bの移動は前記基準面N2を挟んで対称的である。
【0049】
図14に、円筒カム3を所定高さ下降させたときの各レバー及びリンクの位置、並びにグリッパー71a,71b,72a,72bの位置を示す。グリッパー71a,71bは前記基準面N1を挟んで略対称的に移動し、グリッパー72a,72bは前記基準面N2を挟んで略対称的に移動し、グリッパー71a,71b(把持部6,6)及びグリッパー72a,72b(把持部6,6)の相互の間隔が、D3(
図11参照)からD4へと狭くなっている。グリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの相互の間隔が変化しても、それぞれの把持部6,6の把持面は略同一平面(前記基準面Nに対し略垂直な面)上に維持され、かつ実質的に袋の厚み方向(把持部6,6に把持された袋の移送経路の放線方向)に変位しない。
【0050】
このように、本発明に係るW型袋移送装置では、円筒カム20を昇降させることにより、袋サイズ(袋幅)に対応してグリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの左右の把持部の間隔を変更することができるが、その際に、グリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの各把持部6の把持面が傾いたり、袋の移送経路が変わる(袋の厚み方向にずれる)のを実質的に防止できる。
詳細な説明は省略するが、テーブル1が間欠的に回転し(同時に円筒カム3が正逆回転する)、カムレバー29のカムフォロワ31が、円筒カム3のカム面上を転動して昇降する場合も同様である。
【0051】
続いて、
図15を参照し、グリッパー位置調整機構48の作用について説明する。
モータ42(
図13参照)を作動させ、ねじ軸41を回転させると、グリッパー位置調整リング38がテーブル1に対し相対的に回転し(回転方向を矢印dで示す)、一対の第7リンク44,44の一端がグリッパー位置調整リング38とともに移動する。これにより、各一対の第7リンク44,44、第6リンク37,37、第5リンク35,35が、それぞれ前記基準面Nに対し非対称な位置に移動し、それに伴い、グリッパー71b,72aの各アーム支持機構11,11の第2リンク15,15も前記基準面Nに対し非対称な位置に移動する。同時に、グリッパー71a,72bの各アーム支持機構11,11の第2リンク15,15も同方向に移動する。
【0052】
その結果、グリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bは、元の間隔D3をほぼ保ちながら前記基準面Nに対し略垂直方向に変位(変位量Db)する。変位後の左右のグリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの中心を通る鉛直面(中心面M1,M2)は、基準面N1,N2に対し変位量Dbだけずれている。前記中心面Mは前記基準面N1,N2に平行である。このようなグリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bの配置を、本発明では偏心配置という。いうまでもなく、テーブル1に設置された左右一対のグリッパー全てが、隣接する左右一対のグリッパーと共にこの新たな偏心配置をとる。
円筒カム3を昇降させ、又はテーブル1を間欠的に回転させると、2組のグリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bは基本的に前記偏心配置を保ったまま、前記中心線M1,M2を挟んで略対称的にその間隔を広げ又は狭める。2組のグリッパー71a,71b及びグリッパー72a,72bが偏心配置を取る場合でも、これらが前記移動経路に沿って移動する間、把持部6,6の把持面は略同一平面(前記基準面Nに対し略垂直な面)上に維持され、かつ実質的に袋の厚み方向(把持部6,6に把持された袋の移送経路の放線方向)に変位しない。