特開2015-165375(P2015-165375A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-165375(P2015-165375A)
(43)【公開日】2015年9月17日
(54)【発明の名称】食事摂取誘導システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/22 20120101AFI20150821BHJP
【FI】
   G06Q50/22 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-55540(P2014-55540)
(22)【出願日】2014年2月28日
(71)【出願人】
【識別番号】509192640
【氏名又は名称】黒木 一成
(72)【発明者】
【氏名】黒木 一成
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】料理の内容によって、ユーザの健康状態を維持するために最適な食事摂取に要する時間と順番へと誘導することができ、楽しい食事をしながら、健康管理が可能となる食事摂取誘導システム。
【解決手段】それぞれの器に盛り付けられた料理の内容によって、ユーザに適した食事摂取に要する時間と順番にユーザを誘導する食事摂取誘導手段と、ユーザが実際に摂取した食事の内容や順番、食事に要した時間を検出する食事摂取検出手段と、該食事摂取検出手段で得られたデータを分析し、ユーザの健康状態などを監視する監視手段と、該監視手段による監視結果をユーザまたはユーザに関連のある人に対して伝達する、監視結果伝達手段とからなる食事摂取誘導システム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの器に盛り付けられた料理の内容によって、ユーザに適した食事摂取に要する時間と順番にユーザを誘導する食事摂取誘導手段と、ユーザが実際に摂取した食事の内容や順番、食事に要した時間を検出する食事摂取検出手段と、該食事摂取検出手段で得られたデータを分析し、ユーザの健康状態などを監視する監視手段と、該監視手段による監視結果をユーザまたはユーザに関連のある人に対して伝達する、監視結果伝達手段とからなる食事摂取誘導システム。
【請求項2】
前記器とユーザが食事を摂取する際に利用される、箸、スプーン、フォーク、ナイフにはユニークなコードが割り当てられた無線ICチップを設けておき、盛り付けられた料理の内容やユーザがどの料理を摂取したのかを該無線ICチップから検出する前記食事摂取検出手段を備える、請求項1記載の食事摂取誘導システム。
【請求項3】
前記食事摂取誘導手段は、擬人的媒体を通じて前記食事摂取の順番や時間にユーザを誘導する、請求項1または請求項2記載のインタラクティブな食事摂取誘導システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食事摂取誘導システムに関し、たとえば、宅配食などのあらかじめ盛り付けられた料理の内容により、ユーザに適した食事摂取に要する時間と順番へと誘導し、同時に、ユーザが実際に摂取した食事内容、摂取時間、順番を検出し、その検出結果を分析する、新規な食事摂取誘導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活習慣病や認知症の予防対策への関心の高まりから、食べる順番や食べ方を指導する栄養指導が重要視されている。
【0003】
また、孤食する独居者の増加に伴う、抑うつ状態、寂しさからのQOL(Quality Of Life)の低下が問題となっている。
【0004】
従来、食事中のユーザの心拍数から食事摂取の停止や速度をゆっくりすることを促す方法が、開示されている。
【0005】
たとえば、特許文献1に開示される方法によると、耳たぶに取り付けた装置から心拍数を計測し、食事摂取の停止や速度をアドバイスする。
【0006】
さらに、特許文献2に開示される方法によると、無線タグを備えた食器に、盛り付けられた料理、料理の重量、その食事を摂取するユーザの個人データなどを、あらかじめ食事の前に記憶させ、食後に無線タグを読み取りながら、ユーザが食べ残した料理の量を入力し、ユーザの食事摂取量を演算する。演算された食事摂取量の履歴を蓄積したものから栄養管理のアドバイスをおこなう。
【特許文献1】特開2007−48180号公報
【特許文献2】特開2005−267519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された方法では、ユーザに対して効果的な健康管理が可能になるという効果を期待できるものの、依然として、未病や予防といった観点からの血糖値を抑える食事摂取の順番や、認知症の抑止効果やリハビリ効果のある食事摂取方法や順番へと誘導することができなかった。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な食事摂取誘導システムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、ユーザに対してインタラクティブに反応することによって、食事摂取の誘導効果を高めるとともに、楽しい食事を演出し、QOL(Quality Of Life)の向上も可能とする、食事摂取誘導システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施形態との対応関係を示したものであり、本発明を何ら限定するものではない。
【0011】
[第1の発明]本発明は、それぞれの器に盛り付けられた料理の内容によって、あらかじめ設定した食事摂取に要する時間や順番にユーザを誘導する食事摂取誘導手段と、ユーザが実際に摂取した食事内容、摂取時間、順番を検出する食事摂取検出手段と、食事摂取検出手段で得られたデータを分析し、ユーザの健康状態などを監視する監視手段と、該監視手段による監視結果をユーザまたはユーザに関連のある人に対して伝達する、監視結果伝達手段とからなる食事摂取誘導システムである。
【0012】
第1の発明において、食事摂取検出トレイ(3:実施例で例示する参照符号。以下同様。)上には、それぞれの料理が盛り付けられた料理器(D1−D4)が設置され、食事摂取誘導手段(2)は食事摂取検出トレイ(3)を挟んでユーザ(2000)の正面前方に配置される。食事摂取誘導手段(2)はユーザ(2000)の食事摂取に要する時間や順番、食事内容に関連する情報を、監視手段(7)から読みだして、たとえば、音声などによって出力する。食事摂取検出手段(3、31A−35A)は、たとえば、食事摂取器具(35B)に取り付けられたICチップ(35C)から発信された電波を、食事摂取検出トレイ(3)上の料理器(D4)の設置位置に設けられたアンテナ(34A)が受信することによって、ユーザが実際に摂取した食事を検出する。監視手段(7)は、そのときの検出データに基づいて、データ分析をおこなう。データ分析の結果、ユーザ(2000)の健康状態に異変があると判断されれば、監視結果伝達手段(7,1000,8,9)がユーザやユーザに関連のある人に対して伝達する。
【0013】
第1の発明によれば、それぞれの器に盛り付けられた料理の内容から、ユーザに適した食事摂取に要する時間や順番を設定し、ユーザを誘導することにより血糖値の上昇あるいは下降を抑止する効果や認知症の予防あるいは進行を抑止する効果も期待できる。
【0014】
また、ユーザが実際に摂取した食事内容、摂取時間、順番のデータや過去のデータなどに基づいて、データ分析をおこないユーザの健康状態を監視することができる。
【0015】
さらに、分析されたデータおよび分析結果をユーザまたはユーザに関連のある人に伝達することにより、ユーザの健康管理を一層強化させることができる。
【0016】
[第2の発明]本発明は、器やユーザが食事を摂取する際に利用される、箸、スプーン、フォーク、ナイフにはユニークなコードが割り当てられた無線ICチップを設けておき、ユーザがどの料理を摂取したかを無線ICチップから検出する食事摂取検出手段を備える、請求項1記載の食事摂取誘導システムである。
【0017】
第2の発明において、たとえば、食事摂取検出トレイ(3)上の料理器(D4)の設置位置に設けられたアンテナ(34A)に、食事摂取器具(35B)である、箸、スプーン、フォーク、ナイフのうち、少なくとも1つが受信可能な範囲に近付くことにより、料理器(D4)に設けられたICチップ(34C)と食事摂取器具(35B)に設けられたICチップ(35C)のコードを検出することにより、ユーザが実際に摂取した料理の料理器(D4)を知ることができる。
【0018】
また、ユーザが実際に料理を摂取するのに要した時間や、次の料理を摂取するまでの間隔などを記録することが可能となる。
【0019】
たとえば、デジタルカメラなどにより、ユーザの口や料理器に盛り付けられた料理を撮像し、その結果、得られた画像に基づいて、ユーザの摂取した食事や健康状態を分析するという方法も考えられる。しかし、この方法では、外乱光など、撮像する場所によっては識別するのが困難な場合も生じ得る。また、システムが煩雑になるなどの問題も生じ得るため、望ましい方法ではない。
【0020】
第2の発明によれば、器、箸、スプーン、フォーク、ナイフなどに設けられた無線ICチップのコードを検出する方法で、ユーザが実際に摂取した料理を知ることができるので、簡便なシステムが可能となる。
【0021】
[第3の発明]本発明は、食事摂取誘導手段は、擬人的媒体を通じて、あらかじめ設定した食事摂取の順番にユーザを誘導する、請求項1または請求項2の食事摂取誘導システムである。
【0022】
第3の発明によれば、たとえば、ぬいぐるみ型コミュニケーションロボットなどの擬人的媒体(エージェント)が用いられ、音声あるいはそのコミュニケーションロボットの動作によって、食事摂取の順番にユーザを誘導する。したがって、ユーザに対してインタラクティブに反応することによって食事摂取の誘導効果を高めるとともに、楽しい食事を演出し、QOL(Quality Of Life)の向上も可能とする、食事摂取誘導システムを提供することが可能となる。
【0023】
なお、上に述べた無線ICチップは、一般に「非接触ICチップ」、「無線ICタグ」、または「ICタグ」などと呼ばれることがある。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、料理の内容によって、ユーザの健康状態を維持するために最適な食事摂取に要する時間と順番へと誘導することができ、楽しい食事をしながら、健康管理が可能となる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の食事摂取誘導システムの構成を示す図解図である。図1において、符号1は、料理の内容によってユーザ2000に適した食事摂取に要する時間と順番へと誘導する食事摂取誘導システムを示している。本発明の食事摂取誘導システムは、食事摂取誘導装置2と、食事摂取検出トレイ3及び監視装置7とを備えて構成されている。
【0027】
食事摂取誘導装置2は、ユーザ2000が実際に摂取した食事内容、摂取時間、順番を検出するための食事摂取検出トレイ3とバス99で接続され、食事の順番情報や実際に摂取した食事の情報とを比較してユーザの健康などを監視する監視装置7とは、インターなどの通信ネットワーク1000を介して通信可能に接続されている。また、この監視装置7は、ユーザ2000またはユーザ2000に関連のある人のパーソナルコンピュータ8及び携帯電話9とも通信可能に接続されている。ここで、監視装置7とユーザ2000またはユーザ2000に関連のある人との間の通信はHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)などの通信プロトコルを用いておこなわれる。ただし、通信経路および通信プロトコルは、その他の形式であってもよい。
【0028】
食事摂取誘導装置2は、擬人的媒体の一例である、ぬいぐるみ型コミュニケーションロボットの発話や動作を通じて、食事摂取を誘導することによって、ユーザ2000に対してインタラクティブな食事摂取誘導システムを実現する。
【0029】
なお、実施例では擬人的媒体としてぬいぐるみタイプのコミュニケーションロボットを利用するが、人間の様な発話や動作が可能なロボットやヒューマノイドなども、この擬人的媒体として十分機能できる。
【0030】
図2は、食事摂取誘導装置2の擬人的媒体の一例である、ぬいぐるみ型コミュニケーションロボットが図示される。この食事摂取誘導装置2は、頭部2A、胴体2B、右腕2CR、左腕2CL、脚2Iが設けられ、頭部2Aには、口2E、眼球2D、耳2F、鼻2Gが取り付けられている。
【0031】
頭部2Aは胴体2Bによって、旋回・俯仰可能に支持され、また、眼球2Dも可動的に保持されている。また、胴体2Bにはスピーカ2Hが内蔵されている。
【0032】
図3は、食事摂取誘導装置2の制御回路を示すブロック図である。この図3に示すように、食事摂取誘導装置2にはCPU(Central Processing Unit)20Jが内蔵されていて、このCPU20Jが、通信路であるバス99を通して、図1に示す食事摂取検出トレイ3に結合される。CPU20Jは、食事摂取検出トレイ3からユーザ2000が摂取した食事に関するデータをこのバス99を通してリアルタイムにうけとることができる。なお、通信路はバス99であっても、その他の形式の通信路であっても、さらには無線であっても、有線であってもよい。
【0033】
CPU20Jには、バス99を通して、ROM(Read Only Memory)20Lが結合される。このROM20Lには主として、後述の図16図20のフローチャートで表現されるプログラムが予め記憶されているとともに、各食事フェーズの動作と発話(音声)を対応的に設定しているシーンテーブルTBL4とモーションテーブルTBL5も記憶されている。RAM20K(Random Access Memory)は、監視装置7から食事摂取順番テーブルTBL1と本日の献立テーブルTBL3が転送され記憶される。また、ユーザが実際に摂取した食事に関するデータが記憶される食事摂取実測テーブルTBL2とともにワーキングメモリとしても利用される。
【0034】
モータ制御ボード20Mは、たとえば、DSP(Digital Signal Processor)で構成され、図2に示す食事摂取誘導装置2の各腕や頭部の各軸モータを制御する。すなわち、モータ制御ボード20Mは、CPU20Jからの制御データを受け、右腕2CRを前後や左右に動かすことができるように、X、YおよびZ軸のそれぞれの角度を制御する3つのモータ(図3ではまとめて「右腕モータ」として示す。)20Qの回転角度を調整する。また、モータ制御ボード20Mは、左腕2CLの3つのモータ(図3ではまとめて「左腕モータ」として示す。)20Rの回転角度も調整する。
モータ制御ボード20Mは、また、頭部2Aの旋回角や俯仰角を制御する3つのモータ(図3ではまとめて、「頭部モータ」として示す。)200の回転角度を調整する。
モータ制御ボード20Mは、また、眼球2Dを動かす眼球モータ20Pも制御する。
【0035】
なお、上述のモータは、制御を簡単化するためにそれぞれステッピングモータまたはパルスモータであるが、直流モータであってもよい。
【0036】
スピーカ2Hには、CPU20Jから音声出力ボード20Nを介して、合成音声データが与えられ、そのデータに従った音声または声が関連情報として出力される。
【0037】
図4は、食事摂取検出トレイ3の一例である。この食事摂取検出トレイ3は、複数個の料理器D1−D4、複数個のアンテナ31A−35A、食事摂取器具35Bなどによって構成される。
【0038】
各料理器の設置場所と箸置きにはアンテナが設けられており、後述するICチップのコード読み取りや、ICチップの電源供給のための電波を発信している。
【0039】
図5は、食事摂取検出トレイ3の制御回路を示すブロック図である。この図5が示すように、食事摂取検出トレイ3は、アンテナ31A−35A、アンテナ切替回路303、RF回路302、CPU301、RAM300、ROM304、バッテリ305などで構成されている。
【0040】
例えば、料理器D4に盛られた料理を摂取しようとした場合、アンテナ34Aより電波が発信され、箸のICチップ35Cと料理器D4のICチップ34Cのコードが読み込まれる。なお、コード読み取りやICチップの電源供給のための電波発信はROM304に記憶されているプログラムがCPU301によって実行され、各アンテナが一定間隔で切り替わり作動するようにアンテナ切替回路303が制御されることにより実現される。
【0041】
これにより、隣接するアンテナが誤ってICチップのデータを読み込む事を防止することができる。
【0042】
読み取られたICチップ35Cと34Cのデータは読み取り時刻データと共にRAM300に格納された後、バス99を経由してRAM20Kの食事摂取実測テーブルTBL2に格納される。
【0043】
料理器D1−D4は、調理された料理を盛り付けるための器である。料理器が置かれる食事摂取検出トレイ3上の設置場所は、料理器の底部の構造に合うよう凹んでおり、凹みに合った料理器しか置けない構造となっている。
【0044】
食事摂取器具35Bは、ユーザが食事をする際に使用する器具である。食事摂取器具としては、箸、スプーン、フォーク、ナイフなどの少なくとも1つが用いられる。
【0045】
料理器D1−D4、食事摂取器具35Bには、「非接触型IC(Integrated circuit)などと呼称される、無線機能を有するICチップが、1つずつ設けられている。さらに、そのICチップ31C−35Cにはユニークなコードが1つずつ与えられている。
【0046】
図6は、ICチップ31C−35Cの制御回路を示すブロック図である。ICチップは、アンテナ4A、RF(radio frequency)回路4B、給電回路4D、制御回路4C、レジスタ4E、ROM4F、不揮発メモリ4Gなどによって構成される。
【0047】
アンテナ4Aは、食事摂取検出トレイ3上のアンテナ31A−35Aからの電波を受信し、アンテナ31A−35Aに対して電波を発信する。RF回路4Bは、不揮発性メモリ4Gのデータを電波に変換し発信する。給電回路4Dは、アンテナ4Aの電波によって発生した起電力をもとに、ICチップ全体に電力を供給する。
【0048】
ROM4Fには、不揮発性メモリ4Gに記憶されているユニークなコードを発信させるためのプログラムが記憶されている。これらのプログラムは、制御回路4Cによって実行される。または、集積回路によって実現してもよい。
【0049】
なお、食事摂取検出トレイ3上のアンテナ31A−35Aと、料理器D1−D4や食事摂取器具35Bに設けられているICチップ31C−35Cのアンテナ4Aとの通信強度(つまり、互いの電波が届く距離)であるが、料理器D1−D4のICチップ31C−34Cは底面に設けられており、近接状態にあるので読み取れる。また、食事摂取器具35BにはICチップ35Cが先端部分に設けられているので、食事摂取器具35Bが料理器D1−D4に触れる程度に設定されればよい。例えば、料理器D1−D4の深さを考慮して7cm程度に設定されている。
【0050】
図7は、監視装置7の制御回路を示すブロック図である。監視装置7は、図7に示すようなに、CPU7A、RAM7B、ROM7C、ハードディスク7Dなどで構成されている。監視装置7として、パーソナルコンピュータまたはワークステーションなどが用いられる。
【0051】
監視装置7には、図8に示すような食事摂取実測データ部70、食事摂取順番データ部71、個人情報データ部72、本日の献立データ部73、料理データ記憶部74、健康状態分析部76、および健康状態判断出力部75などを実現するためのプログラムおよびデータが記憶されている。これらのプログラムおよびデータは必要に応じて、図7に示すRAM7Bにロードされ、CPU7Aによってプログラムが実行される。
【0052】
図9は個人データの例を示す図、図10は料理データの例を示す図、図11は本日の献立テーブルの例を示す図、図12は食事摂取順番テーブルの例を示す図、図13は実際にユーザが食事を摂取した食事摂取実測テーブルの例を示す図である。
【0053】
図8において、個人情報データ部72は、ユーザごとの個人情報を示す個人データを記憶している。個人データには、図9のように、ユーザID、名前、性別、生年月日、および測定血圧の上下値などの情報が記憶されている。
【0054】
料理データ記憶部74は、料理器単位の料理データとして記憶している。料理データには、図10のように、料理ID、料理名のほか、エネルギー(kcal)、炭水化物(g)、および塩分(g)などの情報が記憶されている。
【0055】
ユーザ2000に配膳される料理が完成すると、図11のように、料理器No,料理ID、料理名FN、材料FM、産地FS、感覚FTなどの情報が入力され、食事を摂取するユーザのID、膳Noとともに、本日の献立テーブルTBL3として、本日の献立データ部73に記憶される。
【0056】
図12において、本日の献立テーブルTBL3が決まると、摂取する料理器D1−D4に盛られた料理の順番と必要な摂取間隔SCLK1が決定され、食事摂取順番テーブルTBL1として、食事摂取順番データ部71に記憶される。
【0057】
さらに、食事摂取順番テーブルTBL1の各順番には、ユーザ2000に対し、次に摂取する料理器D1−D4の料理を食事摂取誘導装置2が指差したり、コミュニケーションしながら食事を楽しんでもらうため、あらかじめ設定されたモーションやシナリヲを動きや音声で出力するためのシーンNoが付加されている。
【0058】
図13において、食事摂取実測テーブルTBL2には、実際にユーザが摂取した料理の料理器D1−D4と、次に摂取した料理器D1−D4の料理との摂取間隔が記憶される。
【0059】
図14は、シーンテーブルTBL4の一例である。このシーンテーブルTBL4には、シーンNoに対応する記憶領域が設定されていて、各記憶領域には、料理器D1−D4に盛り付けされた料理に対する、食事摂取誘導装置2がおこなうモーションNoMNO、発話情報SCCが設定されている。
【0060】
たとえば、シーンNoの実施例(S10)では、料理器D4には「野菜サラダ」が盛り付けられているので、モーションNoMNO(SM10)は食事誘導装置2の頭部2Aを料理器D4の方向を見ているように稼働させ,右腕2CRで指差しながら、「はじめに、(FN:野菜サラダ)を食べてね。」という発話をおこなう。このように、モーションNoMNO、発話情報SCCは料理器D4に盛られた料理に対応して訴求する動作および音声である。
【0061】
実施例(S30)では、さらにまた、食事の順番誘導で料理を重複して摂取する場合などは、モーションNoMNO(SM30)は食事誘導装置2の頭部2Aを、うなずくように上下に動作させ、「良く噛んでたべてね。」という発話をおこない、楽しい食事を演出することもできる。
【0062】
なお、上述のモーションNoMNO、発話情報SCCは単なる一例であり、食事摂取検出トレイ3上の器の位置や個数、およびそれらに関連する発話の内容、食事摂取誘導装置2が発する音声、あるいはどのような動作をおこなうかは、任意に変更することが可能である。
【0063】
さらに、発話情報SCCは、前述した本日の献立テーブルTBL3の内容により変更される。
【0064】
次に、該食事摂取誘導システムを、食事を開始する前の処理、食事中の処理、および食事後の処理に大別して説明する。
【0065】
図16は、食事摂取誘導装置2、食事摂取検出トレイ3、監査装置7の初期設定の流れを示すフローチャートである。
【0066】
[食事を開始する前の処理]
食事摂取検出トレイ3は、各料理器D1−D4に料理が盛り付けられた状態でユーザの前に配膳され、食事摂取誘導装置2や監視装置7などと接続し、電源が投入された時点で準備は完了となる。なお、接続は有線であっても無線でも構わない(S161)。
【0067】
電源が投入されると、食事摂取誘導装置2のCPU20Jは、監視装置7と通信を行い、本日の献立データ部73から本日の献立テーブルTBL3、食事摂取順番データ部71から食事摂取順番テーブルTBL1を読み込み、RAM20Kに記憶される(S162)。
【0068】
準備が完了し、ユーザ2000は食事を開始するのであるが、食事摂取検出トレイ3に、あらかじめ設置されていた食事摂取器具35BのICチップ35Cが、アンテナ35Aから離れたことを認識し、すなわちユーザ2000が食事摂取器具35Bを手に持ち、食事を開始したことを認識すると、食事摂取の順番誘導が開始となる。
【0069】
図17は、食事摂取誘導装置2、食事摂取検出トレイ3、監査装置7の食事開始からの一連の動作の流れを示すフローチャートである。
【0070】
[食事中の処理]
食事摂取器具35BのICチップ35Cが、アンテナ35Aから離れた事を確認すると(S171)、CPU20Jはユーザ2000を食事摂取順番テーブルTBL1の順番の食事へと導くため、食事摂取誘導装置2に動作および/または発話の制御を行う。
【0071】
CPU20Jは、RAM20Kに記憶されている本日の献立テーブルTBL3、食事摂取順番テーブルTBL1から、ROM20Lに記憶されているシーンテーブルTBL4、モーションテーブルTBL5から、必要な情報を読み込み、食事摂取誘導装置2に動作および/または発話の制御を行う(S176,S178)。
【0072】
読み込まれた食事摂取順番テーブルTBL1は順番に実行される(S174)。
【0073】
はじめに、食事摂取誘導装置2は、たとえば、「おはよう!今日もいっぱい食べようね。」などの会話と動作を交えながら、ユーザとのコミュニケーションの準備をおこなう。準備のための会話は、朝食、昼食、夕食の時間帯によって数種類のパターンが用意されている。
【0074】
たとえば、食事摂取順番テーブルTBL1の順番の3では、本日の献立テーブルTBL3からD4の情報である料理名FN、材料FM、産地FS、感覚FTを読み出し、シーンテーブルTBL4からS11の情報であるモーションNoMNOと発話情報SCCを読み出す。
【0075】
モーションNoMNOの1シーンの食事摂取誘導装置2の動作情報はモーションテーブルTBL5に記憶されている。
【0076】
読み出された情報から、食事摂取誘導装置2は料理器D4を指差する動作を行いながら「レタスは、シャキシャキしているね。」と発話をおこなう(S175〜S178)。
【0077】
食事摂取間隔クロックCLK1には、次に摂取する食事までに必要な時間間隔である、摂取間隔SCLK1が記憶される。
【0078】
図18は、1秒ごとに処理をおこなうTIMER割り込み動作の流れを示すフローチャートである。
【0079】
食事摂取間隔クロックCLK1は、1秒ごとに減算され(S182)、食事摂取間隔クロックCLK1の値が0になった事が確認されると、食事摂取順番テーブルTBL1の次の動作が実行される(S1771)。
【0080】
以後、食事摂取器具35Bが箸置きに置かれるまで、食事摂取順番テーブルTBL1のフレームごとに繰り返し実行される。
【0081】
しかし、指差した料理をユーザが実際に摂取間隔通りに摂取するとは限らない。そのため、実際に摂取した料理と食事摂取に要した時間を、食事摂取実測テーブルTBL2に記録する必要がある。
【0082】
図19は、食事摂取検出トレイ3上のアンテナ31A−35Aが、食事摂取器具35Bを認識したとき、おこなわれる割り込み動作の一連の流れを示すフローチャートである。
【0083】
ユーザ2000は、たとえば、食事摂取誘導装置2に誘導され、食事摂取器具35Bを手に取り料理器D4に盛り付けられた料理を摂取しようとする。食事摂取器具35Bが料理器D4に近付くと、アンテナ34Aが食事摂取器具35BのICチップ35Cを受信することにより、CPU20Jは摂取したことを確認する。
【0084】
CPU20Jは、アンテナ34Aが、食事摂取器具35BのICチップ35Cを検出すると、摂取した料理器が何であるかを食事摂取実測テーブルTBL2に記録し(S192)、同時に、実測摂取間隔SCLK2も記録する(S193)。
【0085】
食事摂取実測間隔クロックCLK2は、食事摂取器具35BのICチップ35Cが、アンテナ31A−35Aの何れかに検出されるまで、1秒ごとに加算されていく(S183)。
【0086】
以後、アンテナ31A−34Aの何れかが、食事摂取器具35BのICチップ35Cが検出される都度、すなわち食事摂取実測テーブルTBL2のフレームごとに料理器D1−D4と実測摂取間隔SCLK2が、繰り返し記憶される。
【0087】
図20は、食事が終了したときにおこなう、健康状態分析の一連の動作の流れを示すフローチャートである。
【0088】
[食事後の処理]
ユーザ2000が、すべての食事を完食するか、あるいは食事を中断したい場合、食事摂取器具35Bを摂取器具置きに戻すことにより、アンテナ35Aが食事摂取器具35BのICチップ35Cを検知することにより、CPU20Jは食事を終了したことを認識し、食事摂取の誘導が終了する(S1772)。
【0089】
食事摂取の誘導が終了すると、食事摂取実測テーブルTBL2は監視装置7の食事摂取実測データ部70へと転送される。
【0090】
健康状態分析部76では食事摂取順番テーブルTBL1と食事摂取実測テーブルTBL2のデータを比較分析し、食事の摂取順番および食事に要した時間から、ユーザ2000の健康状態の分析をおこなう(S201)。
【0091】
健康状態分析部76で分析した結果、例えば、食事摂取の間隔が短かかったり、あるいは、摂取誘導した食事の順番を間違える頻度が高いなど、健康状態に異変が生じている可能性があれば、健康状態判断出力部75は、ユーザおよびユーザに関係のある人のパーソナルコンピュータ8や携帯電話9に、インターネット1000を経由して通知を行う(S203)。
【0092】
その他、食事摂取誘導システム1、食事摂取誘導装置2、食事摂取検出トレイ3、監視装置7、ICチップ31C−35Cまたは各部の構成、処理内容、処理順序、データの構成などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
図1】本発明の一実施例の食事摂取誘導システムの全体的な構成を示す図解図である。
図2図1実施例における食事摂取誘導装置の擬人的媒体一例を示す図解図である。
図3図1実施例における食事摂取誘導装置の制御回路を示すブロック図である。
図4図1実施例における食事摂取検出トレイの一例を示す図解図である。
図5図4実施例における食事摂取検出トレイの制御回路の一例を示すブロック図である。
図6図5実施例におけるICチップの制御回路の一例を示すブロック図である。
図7図1実施例における監視装置の制御回路の一例を示すブロック図である。
図8図7実施例における監視装置の機能的構成の一例を示す図である。
図9図1実施例における個人データの一例を示す図である。
図10図1実施例における料理データの一例を示す図である。
図11図1実施例における本日の献立テーブルの一例を示す図である。
図12図1実施例における食事摂取順番テーブルの一例を示す図である。
図13図1実施例における食事摂取実測テーブルの一例を示す図である。
図14図1実施例におけるシーンテーブルの一例を示す図である。
図15図1実施例におけるモーションテーブルの一例を示す図である。
図16】食事摂取誘導システムの起動時におこなう処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図17】食事摂取誘導システムの全体的な処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図18】摂取間隔や実測摂取間隔などを測定するTIMER割り込みの流れの一例を説明するフローチャートである。
図19】食事摂取検知トレイのアンテナが食事摂取器具を検知したときの流れの一例を説明するフローチャートである。
図20】食事摂取検知トレイの箸置きのアンテナが食事摂取器具を検知して、最終処理をおこなう流れの一例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0094】
1 食事摂取誘導システム
2 食事摂取誘導装置
3 食事摂取検出トレイ
7 監視装置
8 パーソナルコンピュータ
9 携帯電話
99 通信バス
31A−35A アンテナ
31C−35C ICチップ
D1−D4 料理器
35B 食事摂取器具
1000 インターネット
2000 ユーザ
図1
図2
図3
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図20