【構成】 ボディ管やりとり継手10は、円筒状の継手本体50を備え、内部にケーブルが挿通される複数の鞘管(102)とそれらを収容するボディ管(104)とを備えるケーブル保護管路(100)の施工に用いられる。継手本体50の端部には、円筒状に形成されるゴム製の接合部材52が設けられる。接合部材52は、継手本体50の端部に外嵌されて固定される径大部52aと、ボディ管部材(60,70)の外径と略同じ大きさの内径を有しかつ継手本体50の端部から軸方向外側に突出する径小部52bとを有する。また、接合部材52の径小部52bの外周面には、締め付け具合を調整可能な締め部材54が設けられる。
【背景技術】
【0002】
従来、通信ケーブル等のケーブルを地中に配線する際には、大口径のボディ管に複数の小口径の鞘管を収容したケーブル保護管路を地中に施工し、各鞘管内にケーブルを挿通することが知られている。
【0003】
このようなケーブル保護管路を施工する際には、特許文献1に開示されているように、先ず、施工区間の両端に対してダクトスリーブを備えるハンドホールを設置した後、各ダクトスリーブに対して複数の鞘管ダクトスリーブを備えるロータス管を装着する。続いて、一方のハンドホールに設けた鞘管ダクトスリーブのそれぞれに鞘管部材を接続すると共に、ダクトスリーブにボディ管部材を接続し、その後、鞘管部材およびボディ管部材のそれぞれを順次連結していく。そして、ケーブル保護管路が他方のハンドホールの近傍に達すると、その場所でやりとり配管を行う。すなわち、最終番目の各鞘管部材と他方のハンドホールに設けた各鞘管ダクトスリーブとを、各鞘管ダクトスリーブに対してスライド可能に挿通された鞘管短管と長さ調整用の鞘管部材とを用いてやりとり接続すると共に、最終番目のボディ管部材と他方のハンドホールに設けたダクトスリーブとを、ボディ管やりとり継手(スライド管)および長さ調整用のボディ管部材を用いてやりとり接続する。
【0004】
ここで、ボディ管(ボディ管部材)のやりとり接続に用いられるボディ管やりとり継手としては、従来、
図13に示すようなゴム輪接合タイプのやりとり継手が用いられる。
図13に示す従来のボディ管やりとり継手1は、ボディ管部材を受容可能な内径を有する円筒状の継手本体2を備える。また、継手本体2の両端部の内周面には、ゴム輪溝3が形成されており、このゴム輪溝3には止水用のゴム輪4が装着される。このようなボディ管やりとり継手1は、長さ調整用のボディ管部材5(
図14参照)に対してスライド可能に接続されて使用される。
【特許文献1】特開2008−278734号公報 [H02G 9/10]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ボディ管やりとり継手1に対して長さ調整用のボディ管部材5を接続(挿入)するときには、ゴム輪4による抵抗が大きく作用するので、ボディ管やりとり継手1とボディ管部材5とを手作業で接続することは難しい。このため、従来工法では、
図14に示すように、接続工具として荷締め機6などを用いてボディ管やりとり継手1とボディ管部材5とを接続していた。しかしながら、荷締め機6を用いる接続には手間および時間がかかる。また、従来工法では、ボディ管やりとり継手1の内周面から内方に突出するように装着されるゴム輪4をボディ管部材5の管端が適切に乗り越えることができるように、ボディ管部材5の管端外周面5aには、ディスグラインダ等を用いて面取り加工を行う必要がある。しかしながら、この面取り加工には手間および時間がかかる。
【0006】
さらに、
図15に示すように、ボディ管やりとり継手1を用いてボディ管をやりとり接続する際にも、ゴム輪4による抵抗が大きく作用する。このため、従来工法では、抜け止め用の荷締め機7をセットすると共に、接続用の荷締め機6を用いてボディ管やりとり継手1をスライドさせてボディ管部材5と接続していたが、このようなやりとり接続には手間および時間がかかる。特に、ボディ管やりとり継手1の管軸とハンドホール8側のボディ管部材5の管軸とがずれた状態(角度ずれまたは芯ずれの状態)においては、ゴム輪4の抵抗がより大きくなって、施工が困難となる。
【0007】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、ボディ管やりとり継手およびそれを用いたボディ管のやりとり接続方法を提供することである。
【0008】
この発明の他の目的は、施工時間を短縮できる、ボディ管やりとり継手およびそれを用いたボディ管のやりとり接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、内部にケーブルが挿通される鞘管と鞘管を収容するボディ管とを備えるケーブル保護管路の施工に用いられるボディ管やりとり継手であって、ボディ管部材を受容可能な内径を有する円筒状の継手本体、ゴム製であって、継手本体の端部に外嵌されて固定される径大部と、ボディ管部材の外径と略同じ大きさの内径を有しかつ継手本体の端部から軸方向外側に突出する径小部とを有する円筒状の接合部材、および径小部の外周面に設けられる締め部材を備える、ボディ管やりとり継手である。
【0010】
第1の発明では、ボディ管やりとり継手は、内部にケーブルが挿通される鞘管と鞘管を収容するボディ管とを備えるケーブル保護管路を施工する際に、ボディ管(ボディ管部材)同士をやりとり接続するために用いられる。ボディ管やりとり継手は、継手本体、接合部材および締め部材を備える。継手本体は、円筒状に形成され、ボディ管部材を受容可能な内径を有する。継手本体の端部には、円筒状に形成されるゴム製の接合部材が設けられる。接合部材は、継手本体の端部に外嵌されて固定される径大部と、ボディ管部材の外径と略同じ大きさの内径を有しかつ継手本体の端部から軸方向外側に突出する径小部とを有する。また、接合部材の径小部の外周面には、締め付け具合を調整可能な締め部材が設けられる。
【0011】
このようなボディ管やりとり継手を用いてボディ管のやりとり接続を行う際には、接合部材の径小部に設けられる締め部材を締め付けない状態で、ボディ管やりとり継手に対してボディ管部材を挿入またはスライドさせる。そして、やりとり接続が終わった後に締め部材を締め込むことによって、ボディ管やりとり継手とボディ管部材とを固定する。このため、挿入またはスライド時にボディ管部材(またはボディ管やりとり継手)に作用する抵抗は小さく、ボディ管部材を手作業で簡単に挿入またはスライドさせることができるので、施工時間が短縮される。また、ゴム輪接合タイプの従来のボディ管やりとり継手と違い、ボディ管やりとり継手に接続する側のボディ管部材の管端に対して面取り加工を行う必要がないので、施工時間が短縮される。
【0012】
第1の発明によれば、ボディ管を容易にやりとり接続することができ、施工時間を短縮できる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明に従属し、継手本体の内径は、ボディ管部材の外周面との間に隙間が形成される大きさに設定される。
【0014】
第2の発明では、継手本体の内径は、ボディ管部材(ボディ管)の外径よりも若干大きくなるように設定され、継手本体にボディ管部材を差し込んだ際には、継手本体の内周面とボディ管部材の外周面との間には、隙間が形成される。これにより、継手本体とボディ管部材との接続部分で可撓性が生じ、この部分で角度を付けることが可能になる。
【0015】
第2の発明によれば、やりとり接続するボディ管(ボディ管部材)同士に軸ずれが生じた場合にも、これらを容易にやりとり接続することができる。
【0016】
第3の発明は、第1または第2の発明に係るボディ管やりとり継手を用いたボディ管のやりとり接続方法であって、(a)ボディ管やりとり継手の接合部材の径小部に設けられる締め部材を締め付けない状態として、当該ボディ管やりとり継手に対してボディ管部材を接続してボディ管やりとりユニットを用意するステップ、(b)ボディ管やりとりユニットを用いて、所定間隔で設置されたボディ管の端部同士をやりとり接続するステップ、および(c)ボディ管やりとり継手が備える締め部材を締め込むステップを含む、ボディ管のやりとり接続方法である。
【0017】
第3の発明では、ステップ(а)において、ボディ管やりとりユニットを用意する。つまり、ボディ管やりとり継手の接合部材の径小部に装着される締め部材を締め付けない状態で、ボディ管やりとり継手に対して長さ調整用のボディ管部材を接続する。また、ステップ(b)において、ボディ管やりとりユニットを用いて、所定間隔で設置されたボディ管(ボディ管部材)の端部同士をやりとり接続する。すなわち、ボディ管やりとりユニットの一方端を所定間隔で設置されたボディ管の一方に接続した後、ボディ管やりとりユニットを伸ばし、ボディ管やりとりユニットの他端を所定間隔で設置されたボディ管の他方に接続する。そして、ステップ(c)において、接合部材の径小部に装着される締め部材を締め込んで、接合部材の径小部の内周面とボディ管部材の外周面とを密着させ、ボディ管やりとり継手とボディ管部材とを固定する。
【0018】
第3の発明によれば、第1の発明と同様の作用効果を奏し、ボディ管を容易にやりとり接続することができ、施工時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、ボディ管を容易にやりとり接続することができ、施工時間を短縮できる。
【0020】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1および
図2を参照して、この発明の一実施例であるボディ管やりとり継手10は、通信ケーブルや電力ケーブル等のケーブル(図示せず)を地中に配線するためのケーブル保護管路100の施工において、ボディ管104のやりとり接続に用いられる。
【0023】
ケーブル保護管路100は、内部にケーブルが挿通される小口径の複数の鞘管102と、これら鞘管102を収容して保護する大口径のボディ管104とを備え、ケーブル保護管部材12およびボディ管やりとり継手10などを用いて施工される。後述するように、鞘管102のそれぞれは、複数の鞘管部材22,64,68,72を軸方向に連結することによって構成され、ボディ管104は、複数のボディ管部材20,60,66,70を軸方向に連結することによって構成される。
【0024】
先ず、ケーブル保護管路100の施工に用いる主要部材の1つであるケーブル保護管部材12について説明する。
図3および
図4に示すように、ケーブル保護管部材12は、その軸方向の端部同士を接続して連続させることによってケーブル保護管路100を形成するものであり、ボディ管部材20と、ボディ管部材20の内部に所定の配置態様で収容される複数の鞘管部材22と、これら鞘管部材22をスライド可能に所定の配置態様で保持する整列部材24とを含む。
【0025】
図5に示すように、ボディ管部材20は、ボディ管104を構成するための直管状の部材であり、土圧などの外力に耐え得る強度を有する。具体的には、ボディ管部材20は、円筒状に形成される直管部26を含み、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって形成される。直管部26の一方端部には、拡径されたゴム輪受口28が形成され、他端部は差口30とされる。ゴム輪受口28には、先端付近の内周面にゴム輪溝が形成されており、このゴム輪溝に止水用のゴム輪32が装着される。ボディ管部材20の長さは、たとえば5210mmであり、ボディ管部材20(直管部26)の内径は、たとえば250mmである。このようなボディ管部材20は、ゴム輪受口28に他のボディ管部材20の差口30を差し込んでゴム輪接合することによって、ボディ管104を形成する。
【0026】
図6に示すように、鞘管部材22は、ボディ管104内で複数のケーブル収容スペースを個別に確保する鞘管102を構成するための直管状の部材である。この実施例では、8つの鞘管部材22aおよび6つの鞘管部材22bがボディ管部材20の内部に所定の配置態様で収容されている(
図3および
図4参照)。なお、説明の際に鞘管部材22aと鞘管部材22bとを区別する必要がない場合には、単に鞘管部材22と記載する。
【0027】
具体的には、鞘管部材22は、円筒状に形成される直管部34を含み、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって形成される。直管部34の一方端部には、拡径された接着受口36が形成され、他端部は差口38とされる。鞘管部材22の長さは、たとえば5110mmである。また、鞘管部材22aの内径は、たとえば50mmであり、鞘管部材22bの内径は、たとえば30mmである。なお、鞘管部材22の長さがボディ管部材20の長さよりも小さい理由は、鞘管部材22の接着受口36の受容長さがボディ管部材20のゴム輪受口28の受容長さよりも小さく設定されているためであり、鞘管部材22同士を接合したものとボディ管部材20同士を接合したものとでは、ほぼ同じ長さとなる。このような鞘管部材22は、接着受口36に他の鞘管部材22の差口38を差し込んで接着接合することによって、鞘管102を形成する。
【0028】
また、
図3および
図4に示すように、整列部材24は、ボディ管部材20内において各鞘管部材22を所定の配置態様に整列させた状態で保持するものである。整列部材22は、スポンジ等の軟質材料によって複数の貫通孔40を有する円板状に形成され、軸方向に移動可能かつ軸周りに回転可能な状態でボディ管部材20の直管部26の両端部に配置される。各貫通孔40には、対応する鞘管部材22が軸方向にスライド(摺動)可能に挿通される。
【0029】
続いて、
図7を参照して、ボディ管やりとり継手10の構成について具体的に説明する。
図7に示すように、ボディ管やりとり継手10は、ボディ管104をやりとり接続するために用いられる直管状の部材であり、継手本体50、接合部材52および締め部材54を備える。
【0030】
具体的に説明すると、継手本体50は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルおよびABS等の合成樹脂によって円筒状に形成される所謂プレーン管であって、土圧などの外力に耐え得る強度を有する。継手本体50の長さは、たとえば1000mmである。また、継手本体50は、後述する長さ調整用のボディ管部材60および端末用のボディ管部材70(以下、まとめて「ボディ管部材60,70」と言うことがある。)を受容可能な内径を有する。
【0031】
この実施例では、継手本体50の内径は、ボディ管部材60,70の外径よりも若干大きくなるように設定され、継手本体50にボディ管部材60,70を差し込んだ際には、継手本体50の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間には、若干の隙間が形成される。これにより、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分で可撓性が生じ、この部分で角度を付けることが可能になる。たとえば、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分で0−6°程度の角度を付けることができるように、継手本体50の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間の隙間の大きさが設定される。具体的には、この実施例では、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分のそれぞれにおいて3°の曲げ角度が取れるようにされる。これにより、両側合わせて6°の曲げ角度を取れるようになり、10mRの曲がりに対応可能となる。ただし、継手本体50の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間には必ずしも隙間が形成される必要はない。
【0032】
継手本体50の両端部には、EPDMなどのゴムによって円筒状に形成される接合部材(ゴムジョイント)52が設けられる。接合部材52は、径大部52aと、径小部52bと、径大部52aおよび径小部52bの端部同士を連結する鍔部52cとを含む。接合部材52の径大部52aは、継手本体50の外径と略同じ大きさの内径を有し、継手本体50の端部に外嵌めされる。一方、接合部材52の径小部52bは、ボディ管部材60,70の外径と略同じ大きさの内径を有し、継手本体50の管端から軸方向外側に延びる。接合部材52の軸方向長さは、たとえば150mmであり、その厚みは、たとえば7mmである。
【0033】
また、接合部材52の径大部52aおよび径小部52bの外周面のそれぞれには、ステンレス製や合成樹脂製などの締め部材(締めバンド)54が設けられる。締め部材54は、ボルト締め付け機構または結束バンド機構(図示せず)などを有する環状の帯体であって、その内径(締め具合)を任意に調整できる。
【0034】
接合部材52の径大部52aに装着される締め部材54は、径大部52aと継手本体50の端部とを接合したときに締め込まれる。これによって、継手本体50と径大部52a(延いては接合部材52)とが固定されて抜け止めされると共に、径大部52aの内周面と継手本体50の外周面とが密着してこの間が止水される。ただし、接合部材52の径大部52aと継手本体50の端部とは、必ずしも締め部材54を用いて固定される必要はなく、接着接合などによって固定されてもよい。
【0035】
一方、接合部材52の径小部52bに装着される締め部材54は、ボディ管やりとり継手10に対してボディ管部材60,70を挿入またはスライドさせるときには、締め付けていない状態、つまり緩めたままの状態または取り外した状態とされる。そして、やりとり接続が終わってボディ管やりとり継手10とボディ管部材60,70との軸方向位置を固定するときに締め込まれる。締め部材54を締め付けていない状態では、ボディ管部材60,70に作用する接合部材52の抵抗は小さいので、ボディ管部材60,70を手作業で簡単に挿入したりスライドさせたりすることができる。そして、締め部材54を締め付けることによって、ボディ管部材60,70と径小部52bとが固定されると共に、径小部52bの内周面とボディ管部材60,70の外周面とが密着してこの間が止水される。
【0036】
このようなボディ管やりとり継手10には、
図8に示すように、その一方端部から長さ調整用のボディ管部材60が差し込まれ、これによってボディ管やりとりユニット62が形成される。長さ調整用のボディ管部材60は、施工現場でボディ管部材20を必要長さに切断する等して製作されるボディ管部材であって、その両端部は差口とされる。ボディ管やりとりユニット62は、ボディ管やりとり継手10またはボディ管部材60をスライドさせることによって、その軸方向長さを自由に変化させることができる。
【0037】
以下、
図9−
図12を参照して、ケーブル保護管部材12およびボディ管やりとり継手10などを用いて、所定の施工区間に対してケーブル保護管路100を施工する施工方法について説明する。なお、
図10−
図12では、図面の簡略化のため、代表して1つの鞘管部材22(鞘管102)を示し、他の鞘管部材22の図示を省略している。
【0038】
ケーブル保護管路100を施工する際には、先ず、施工区間の一方端に第1ハンドホール106aを設け、他端に第2ハンドホール106bを設ける。そして、第1ハンドホール106aを起点として第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100を順次施工していく。
【0039】
具体的には、
図9に示すように、先ず、起点側の第1ハンドホール106aが備えるダクトスリーブ108に対して、複数の鞘管ダクトスリーブ110を備えるボルト固定式ロータス管112を取り付ける。ダクトスリーブ108およびボルト固定式ロータス管112は、ハンドホール106a,106bに対してボディ管部材20および鞘管部材22を接続するための部材であり、複数の鞘管ダクトスリーブ110は、ケーブル保護管路100が備える鞘管102の本数や配列などに応じて設けられる。なお、ダクトスリーブ108およびボルト固定式ロータス管112については、公知技術であるので、この技術に関する詳しい説明および図示は省略する。
【0040】
続いて、
図10に示すように、鞘管ダクトスリーブ110のそれぞれに端末用の鞘管部材64を差し込んで接続すると共に、ダクトスリーブ108に端末用のボディ管部材66を差し込んで接続する。ここで、端末用のボディ管部材66としては、ボディ管部材20と同様のものを用いるとよい。また、端末用の鞘管部材64としては、たとえば2本の鞘管部材22を連結および切断する等して、その先端部が端末用のボディ管部材66から100−200mm程度突出するように長さが調整されたものが用いるとよい。これは、次の鞘管部材22との接合を容易にするためである。
【0041】
なお、第1ハンドホール106aに対してボディ管部材20および鞘管部材22を接続するための部材ないし構造は、上述のものに限定されず、公知技術を適宜採用し得る。たとえば、ボルト固定式ロータス管112を用いる代わりに、ボディ管用のロータス管と鞘管用の鞘管ダクトスリーブとが予めユニット化されたロータス管ユニットを用いるようにしてもよい。後述する終点側の第2ハンドホール106bに対しても同様である。
【0042】
図10に戻って、第1ハンドホール106aに対して端末用の鞘管部材64およびボディ管部材66を接続すると、続いて、ケーブル保護管部材12(つまり複数の鞘管部材22およびボディ管部材20のそれぞれ)を順次接続して、第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100を施工する。
【0043】
具体的に説明すると、端末用の鞘管部材64およびボディ管部材66に対してケーブル保護管部材12を接続する際には、端末用の鞘管部材64の接着受口に対し、それと配置位置が対応するケーブル保護管部材12の鞘管部材22の差口38を挿入して、それらを接着接合する。この際には、ケーブル保護管部材12の鞘管部材22をボディ管部材20から外側に引き出して、引き出した鞘管部材22の差口38の外面に塩化ビニル樹脂系やエポキシ樹脂系などの接着剤を塗布し、端末用の鞘管部材64の接着受口に挿入するとよい。この作業を1本ずつ繰り返して、複数の鞘管部材22の全ての接続作業が終了すると、端末用のボディ管部材66のゴム輪受口に対し、ケーブル保護管部材12のボディ管部材20の差口30を挿入して、それらをゴム輪接合する。後続するケーブル保護管部材12を接続する作業もこれと同様に行うとよい。なお、上述のような構成のケーブル保護管部材12を用いることにより、ボディ管部材20内で所定の配置位置に整列保持された鞘管部材22を順次引き出して接続作業を行うことができるので、鞘管部材22を他の鞘管部材22と混同することなく、正確かつ簡単に接続することができる。
【0044】
第2ハンドホール106bの近傍までケーブル保護管路100が施工されると、続いて、
図11および
図12に示すように、ケーブル保護管路100の終点部の施工を行う。
【0045】
具体的には、第1ハンドホール106a側と同様にして、第2ハンドホール106bが備えるダクトスリーブ108に対してボルト固定式ロータス管112を装着する。そして、ボルト固定式ロータス管112の各鞘管ダクトスリーブ110に対して、端末用の鞘管部材68をスライド可能に挿通すると共に、ダクトスリーブ108のゴム輪受口に対して端末用のボディ管部材70の差口を挿入してそれらをゴム輪接合する。ここで、端末用のボディ管部材70としては、ボディ管部材20を1000mm程度の長さに切断する等して製作される両端差口の短尺のボディ管部材が用いられる。また、端末用の鞘管部材68としては、鞘管部材22を1100mm程度の長さに切断する等して製作される短尺の鞘管部材が用いられる。
【0046】
そして、
図11に示すように、所定の直線区間114を残してケーブル保護管路100が施工された状態になると、続いて、鞘管102およびボディ管104のやりとり接続を行う。すなわち、第1ハンドホール106aを起点として順次接続した最終番目のケーブル保護管部材12の鞘管部材22およびボディ管部材20のそれぞれと、第2ハンドホール106bに接続した端末用の鞘管部材68およびボディ管部材70のそれぞれとを、ボディ管やりとり継手10などを用いてやりとり接続し、2つのハンドホール106a,106bを連結する一連のケーブル保護管路100を形成する。
【0047】
具体的には、先ず、残った直線区間114の長さを測定し、それに応じた長さを有する長さ調整用の鞘管部材72およびボディ管部材60を製作する。長さ調整用の鞘管部材72およびボディ管部材60は、鞘管部材22およびボディ管部材20を必要長さに適宜切断する等して製作するとよい。そして、長さ調整用のボディ管部材60とボディ管やりとり継手10とを接続したボディ管やりとりユニット62(
図8参照)を用意する。なお、長さ調整用の鞘管部材72のそれぞれは、ボディ管やりとりユニット62内に予め挿入しておくとよい。
【0048】
ここで、この実施例のボディ管やりとり継手10では、ゴム輪接合タイプの従来のボディ管やりとり継手(
図13参照)と比較して、長さ調整用のボディ管部材60とボディ管やりとり継手10とを接続するときのボディ管部材60の挿入抵抗が小さいので、荷締め機などの接続工具を用いることなく手作業でスムーズに接続作業を行うことができる。また、ボディ管部材の外径よりも小さい内径を有するゴム輪を用いる従来のボディ管やりとり継手と違って、この実施例のボディ管やりとり継手10では、接合部52の径小部52bの内径とボディ管部材60,70の外径とは略同一であるので、ボディ管やりとり継手10に接続するボディ管部材60,70の管端に対して面取り加工を行う必要がない。さらに、従来のボディ管やりとり継手では、長さ調整用のボディ管部材と接続するとき、奥(挿入側と反対側)のゴム輪の手前までしか長さ調整用のボディ管部材を挿入できない。これは、奥のゴム輪部分まで長さ調整用のボディ管部材を挿入してしまうと、奥のゴム輪が転んでしまい、接続作業をやり直す必要が生じるからである。これに対して、この実施例のボディ管やりとり継手10では、ゴム輪の転びを気にする必要がなく、長さ調整用のボディ管部材60を奥まで挿入可能であり(
図8参照)、また、長さ調整用のボディ管部材60がボディ管やりとり継手10を突き抜けた状態となっても容易に戻せるので問題ない。
【0049】
ボディ管やりとりユニット62等を用意できると、続いて、
図12に示すように、長さ調整用の鞘管部材72の一方端を対応する鞘管部材22に接続すると共に、ボディ管やりとりユニット62の一方端をボディ管部材20に接続する。すなわち、複数の鞘管部材22の接着受口36のそれぞれに対して対応する鞘管部材72の一方の差口を挿入してそれらを接着接合した後、ボディ管部材20のゴム輪受口28にボディ管部材60の一方の差口を挿入してそれらをゴム輪接合する。
【0050】
そして、長さ調整用の鞘管部材72の他端を端末用の鞘管部材68に接続すると共に、ボディ管やりとりユニット62の他端を端末用のボディ管部材70に接続する。すなわち、各鞘管部材68を外側に順次スライドさせて、鞘管部材68の接着受口のそれぞれに対して対応する鞘管部材72の他方の差口を挿入してそれらを接着接合する。その後、ボディ管やりとり継手10を外側にスライドさせてボディ管やりとりユニット62を伸ばし、ボディ管やりとり継手10の端部を端末用のボディ管部材70の差口に挿入する。
【0051】
ここで、この実施例のボディ管やりとり継手10では、ゴム輪接合タイプの従来のボディ管やりとり継手と比較して、ボディ管部材60に対してボディ管やりとり継手10をスライドさせるときの抵抗、およびボディ管やりとり継手10の端部にボディ管部材70の差口を接続(挿入)するときの抵抗が共に小さい。このため、抜け止め用の荷締め機および接続用の荷締め機などを用いることなく、手作業で簡単にやりとり接続を行うことができる。また、やりとり接続する際の抵抗が小さいことから、やりとり接続するボディ管104の管軸同士がずれた状態(角度ずれまたは芯ずれの状態)、つまりボディ管やりとり継手10の管軸とボディ管部材70の管軸とがずれた状態においても、やりとり接続することが可能である。特に、継手本体50の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間に隙間を形成して、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分に可撓性を持たせる(角度調整可能とする)ことで、たとえば3°程度の大きな軸ずれが生じた場合にも、適切に対応できるようになる。また、この実施例のボディ管やりとり継手10では、ゴム輪接合タイプの従来のボディ管やりとり継手と違い、長さ調整用のボディ管部材60を奥まで挿入可能であるので、ボディ管やりとりユニット62の縮小時の長さを短くできる。これにより、この実施例のボディ管やりとり継手10では、やりとり接続時の作業スペースを広くとることができるので、従来のボディ管やりとり継手と比較して施工性が向上する。
【0052】
やりとり接続が終わると、ボディ管やりとり継手10の接合部材52の径小部52bに装着した締め部材54のそれぞれを締め込む。これによって、ボディ管やりとり継手10(継手本体50)とボディ管部材60,70との軸方向位置が固定されると共に、接合部材52の径小部52bの内周面とボディ管部材60,70の外周面とが密着してこの間が止水される。なお、締め部材54を締め込んだ施工後の状態では、ボディ管やりとり継手10に対するボディ管部材60,70の軸方向位置は固定されるが、地震時などに大きな力が作用したときには、ボディ管部材60,70はスライドしてその揺れ(伸縮)を吸収することができる。
【0053】
以上の施工作業によって、
図1に示すような、2つのハンドホール106a,106bを連結する一連のケーブル保護管路100が形成される。その後、ケーブル保護管路100の各鞘管102の内部(ケーブル収容スペース)には、適宜ケーブルが挿通される。
【0054】
上述のように、この実施例では、長さ調整用のボディ管部材60とボディ管やりとり継手10とを接続する(ボディ管やりとりユニット62を用意する)作業は、荷締め機などの接続工具を用いることなく手作業で容易に行うことができるので、作業効率が向上して施工時間が短縮される。具体的には、荷締め機などを用いる従来のボディ管やりとり継手では、長さ調整用のボディ管部材とボディ管やりとり継手との接続に15分程度かかっていたところ、この実施例のボディ管やりとり継手10では、5分程度で接続できるので、この接続作業において約10分の時間短縮を図ることができる。
【0055】
また、ボディ管やりとり継手10に接続する側のボディ管部材60,70の管端に対して面取り加工を行う必要がないので、施工時間を短縮できる。具体的には、ボディ管部材の管端の面取り作業には、一ヶ所あたり15分程度かかっていたところ、2ヶ所分の面取り作業を省略できるので、この面取り作業の省略で約30分の時間短縮を図ることができる。
【0056】
さらに、抜け止め用の荷締め機を用いることなくやりとり接続できるので、施工時間を短縮できる。具体的には、抜け止め用の荷締め機の取り付け作業には、15分程度かかっていたところ、この取り付け作業の省略で約15分の時間短縮を図ることができる。
【0057】
さらにまた、ボディ管やりとり継手10とボディ管部材70とのやりとり接続を手作業で簡単に行うことができるので、作業効率が向上して施工時間を短縮できる。具体的には、荷締め機などを用いる従来のボディ管やりとり継手では、ボディ管部材とボディ管やりとり継手とのやりとり接続に15−60分程度かかっていたところ、この実施例のボディ管やりとり継手10では、5−30分程度で接続できるので、このやりとり接続作業において10−30分程度の時間短縮を図ることができる。
【0058】
以上のように、この実施例では、各種作業の効率化を図ることができ、接合部材52の径小部52bに装着した締め部材54の締め付け工程(10分程度)が必要になることを加味しても、やりとり接続の工程に要する時間を1時間程度は短縮できる。
【0059】
すなわち、この実施例によれば、ボディ管104を容易にやりとり接続することができ、施工時間(工期)を大幅に短縮することができる。
【0060】
また、この実施例によれば、やりとり接続する対象となるボディ管104の管軸同士がずれた状態においても、これらをやりとり接続することが可能である。特に、継手本体50の内周面とボディ管部材60,70の外周面との間に隙間を形成することで、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分に可撓性を持たせる(角度調整可能とする)ことができるので、やりとり接続するボディ管104同士に軸ずれが生じた場合にも、これらを容易にやりとり接続することができる。
【0061】
さらに、継手本体50とボディ管部材60,70との接続部分に可撓性を持たせることで、ボディ管やりとり継手10は、ケーブル保護管路100の曲管部分にも適用可能となる。
【0062】
さらにまた、長さ調整用のボディ管部材60を奥まで挿入可能であるので、やりとり接続時の作業スペースを広くとることができ、やりとり接続が容易となる。
【0063】
なお、上述のケーブル保護管路100の施工方法においては、ボディ管部材20と鞘管部材22とが整列部材24を介して一体化されたケーブル保護管部材12を用いたが、ケーブル保護管部材の態様はこれに限定されず、公知のケーブル保護管部材(鞘管部材およびボディ管部材)を適宜利用できる。たとえば、鞘管部材とボディ管部材とは一体化されていなくてもよい。また、たとえば、複数の鞘管部材を個別に識別できるように、鞘管部材のそれぞれに対して識別情報を付与しておくこともできる。識別情報の付与方法は、たとえば、鞘管部材をカラー化して色分けすることであってもよいし、色分けしたり個別の番号を記載したりしたテープやキャップ等を鞘管部材に取り付けることであってもよい。
【0064】
また、上述の実施例では、第2ハンドホール106bの近傍でやりとり接続を行う施工方法にボディ管やりとり継手10を用いることを例示したが、これに限定されず、施工区間の中央部などのハンドホール106a,106bから離れた位置においてやりとり接続を行う施工方法にボディ管やりとり継手10を用いることもできる。この際には、ボディ管やりとりユニット62としては、ボディ管やりとり継手10の両端部から長さ調整用のボディ管部材60を差し込んだものを用いることもできる。つまり、ボディ管やりとりユニット62は、2つのボディ管部材60を備えていてもよい。
【0065】
さらに、上述の実施例では、継手本体50の両端部に接合部材52および締め部材54を設けたが、これに限定されず、ボディ管やりとり継手10は、継手本体の一方端部のみに接合部材および締め部材を備えるものであってもよい。たとえば、ダクトスリーブ108の一方端部をゴム輪受口とする代わりに、その一方端部に接合部材および締め部材を設け、ダクトスリーブ108にやりとり機能を持たせた継手をボディ管やりとり継手10としてもよい。
【0066】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。