(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-16574(P2015-16574A)
(43)【公開日】2015年1月29日
(54)【発明の名称】集塵装置及び集塵穿孔装置
(51)【国際特許分類】
B28D 7/02 20060101AFI20141226BHJP
B28D 1/14 20060101ALI20141226BHJP
【FI】
B28D7/02
B28D1/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-143548(P2013-143548)
(22)【出願日】2013年7月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 司
(72)【発明者】
【氏名】釜江 信
【テーマコード(参考)】
3C069
【Fターム(参考)】
3C069AA04
3C069BA09
3C069BC05
3C069CA07
3C069DA07
(57)【要約】
【課題】穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができ、スムーズで安定した穿孔作業を実現することができる。
【解決手段】穿孔工具100が挿入される挿入口12と粉塵を吸引するための吸引口13が設けられ、穿孔箇所に被せるように配置される集塵カバー1と、粉塵を減圧吸引する吸引機2と、集塵カバー1の吸引口13と吸引機2とに接続される吸引管3と、吸引管3内の吸引機2による減圧雰囲気下で吸引機2側に圧縮空気を噴出して、減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成する圧縮空気噴出手段を備える集塵装置であり、圧縮空気噴出手段は、例えばエアコンプレッサー41と、吸引管3の一部となる管材44に設けられ且つエアコンプレッサー41から供給される圧縮空気を管材44内に噴出する噴出ノズル43で構成するとよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔工具が挿入される挿入口と粉塵を吸引するための吸引口が設けられ、穿孔箇所に被せるように配置される集塵カバーと、
粉塵を減圧吸引する吸引機と、
前記集塵カバーの前記吸引口と前記吸引機とに接続される吸引管と、
前記吸引管内の前記吸引機による減圧雰囲気下で前記吸引機側に圧縮空気を噴出して、前記減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成する圧縮空気噴出手段と、
を備えることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
前記圧縮空気噴出手段が、エアコンプレッサーと、管材に設けられ且つ前記エアコンプレッサーから供給される圧縮空気を前記管材内に噴出する噴出ノズルとから構成され、
前記管材が前記吸引管の一部として着脱可能に設けられることを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
【請求項3】
前記圧縮空気噴出手段が、前記吸引機の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように圧縮空気を噴出することを特徴とする請求項1又は2記載の集塵装置。
【請求項4】
前記集塵カバーが、
内部が空洞状に形成され、先端近傍からエアを噴出する穿孔工具を挿入可能で開口が前記挿入口を構成する挿入筒部と粉塵を減圧吸引するための吸引口が設けられているベースパッドと、
前記ベースパッド内の減圧により、前記挿入筒部に挿入される前記穿孔工具と前記挿入筒部との間に一部が圧入されるようにして前記挿入筒部に係止可能な略筒状の係止体と、
から構成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の集塵装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の集塵装置と、
前記集塵カバーの前記挿入口から挿入され、圧縮空気の供給で作動する穿孔工具とを有し、
前記圧縮空気噴出手段を構成するエアコンプレッサーから前記穿孔工具に圧縮空気が供給される
ことを特徴とする集塵穿孔装置。
【請求項6】
立設するガイドレールに沿って下向きに移動可能に穿孔工具が取り付けられると共に、
請求項1〜4の何れかに記載の集塵装置の前記集塵カバーが下向きに設けられ、前記集塵カバーの前記挿入口から前記穿孔工具が挿入される
ことを特徴とする集塵穿孔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンクリート構造物に削岩機で穿孔する場合等の穿孔作業時に生ずる粉塵を集塵する集塵装置及び集塵穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートや外壁材等に穿孔を施す際、穿孔する箇所にカバーを被せ、カバーに穿孔工具を貫通させた状態にし、穿孔工具のビットによる穿孔に応じて発生する粉塵を、カバーに形成されている吸引口から吸引管を介して吸引機で吸引して集塵することにより、粉塵の飛散を防止する集塵装置が知られている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−80744号公報
【特許文献2】特開2008−68328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記穿孔内やカバー内の粉塵を吸引する集塵装置では、粉塵の量が多かったり、穿孔箇所から吸引機に至る吸引管の長さが長い場合等に、吸引機の吸引力では粉塵が吸い込みきれずに、穿孔内やカバー内で粉塵が詰まってしまい、穿孔の障害となることが多々生ずる。特に、下向きに穿孔する場合や長尺穿孔を行う場合には、切粉の量が増えるため、集塵ができずに穿孔内やカバー内に粉塵が溜まってしまう可能性が高くなり、ひどい場合には穿孔の継続ができなくなってしまう。そのため、穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができる集塵装置が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができ、スムーズで安定した穿孔作業を実現することができる集塵装置及び集塵穿孔装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の集塵装置は、穿孔工具が挿入される挿入口と粉塵を吸引するための吸引口が設けられ、穿孔箇所に被せるように配置される集塵カバーと、粉塵を減圧吸引する吸引機と、前記集塵カバーの前記吸引口と前記吸引機とに接続される吸引管と、前記吸引管内の前記吸引機による減圧雰囲気下で前記吸引機側に圧縮空気を噴出して、前記減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成する圧縮空気噴出手段とを備えることを特徴とする。
これによれば、吸引管内に減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成して、低圧空間の吸引で吸引機による減圧吸引を補助し、穿孔内や集塵カバー内の粉塵に対する吸引力を非常に強めることができる。従って、粉塵の量が多い場合、穿孔箇所から吸引機に至る吸引管の長さが長い場合、下向きに穿孔する場合、長尺穿孔を行う場合等、既存の集塵装置では粉塵の吸引が難しかった穿孔作業でも、穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができ、スムーズで安定した穿孔作業を実現することができる。
【0007】
本発明の集塵装置は、前記圧縮空気噴出手段が、エアコンプレッサーと、管材に設けられ且つ前記エアコンプレッサーから供給される圧縮空気を前記管材内に噴出する噴出ノズルとから構成され、前記管材が前記吸引管の一部として着脱可能に設けられることを特徴とする。
これによれば、噴出ノズルが内設される管材を吸引管の一部として組み込むだけで、既存の集塵装置等にも圧縮空気噴出手段を簡単に設置することができ、汎用性を高めることができる。また、吸引管の途中箇所で粉塵が詰まることもより確実に防止できる。また、吸引管に対して管材を着脱可能とすることにより、吸引管や管材を容易に清掃することが可能となる。特に、穿孔工具として削岩機やエアハンマードリル等の圧縮空気の供給を行うものを用いる場合にはエアコンプレッサーが必要となる為、穿孔工具用エアコンプレッサーを併用して、効率的に集塵を行うことができる。
【0008】
本発明の集塵装置は、前記圧縮空気噴出手段が、前記吸引機の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように圧縮空気を噴出することを特徴とする。
これによれば、吸引機の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように吸引機側に噴出する圧縮空気により、吸引機に向かっての粉塵の搬送を補助することができ、吸引機の粉塵回収効率をより高めることができる。
【0009】
本発明の集塵装置は、前記集塵カバーが、内部が空洞状に形成され、先端近傍からエアを噴出する穿孔工具を挿入可能で開口が前記挿入口を構成する挿入筒部と粉塵を減圧吸引するための吸引口が設けられているベースパッドと、前記ベースパッド内の減圧により、前記挿入筒部に挿入される前記穿孔工具と前記挿入筒部との間に一部が圧入されるようにして前記挿入筒部に係止可能な略筒状の係止体とから構成されることを特徴とする。
これによれば、穿孔工具が挿入される挿入筒部に係止体を圧入して穿孔工具と挿入筒部の間を略閉塞することが可能であるから、先端近傍からエアが噴出される穿孔工具で穿孔した場合にも、穿孔工具とその挿入口との間の隙間から、エアの戻りで粉塵が飛散することを防止することができると共に、粉塵の集塵効率を一層向上することができる。
【0010】
本発明の集塵穿孔装置は、本発明の集塵装置と、前記集塵カバーの前記挿入口から挿入され、圧縮空気の供給で作動する穿孔工具とを有し、前記圧縮空気噴出手段を構成するエアコンプレッサーから前記穿孔工具に圧縮空気が供給されることを特徴とする。
これによれば、エアコンプレッサーによる圧縮空気を、吸引管内への圧縮空気の噴出と穿孔工具の作動の双方に用いることが可能となり、効率的なエネルギー利用を図りながら且つ低コストで、確実に集塵して穿孔作業を行うことができる。
【0011】
本発明の集塵穿孔装置は、立設するガイドレールに沿って下向きに移動可能に穿孔工具が取り付けられると共に、本発明の集塵装置の前記集塵カバーが下向きに設けられ、前記集塵カバーの前記挿入口から前記穿孔工具が挿入されることを特徴とする。
これによれば、穿孔内や集塵カバー内に粉塵が溜まりやすい下向きの穿孔でも確実に集塵しながら穿孔作業を行うことができると共に、より容易且つ正確に下向きの穿孔を真っ直ぐに形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができ、スムーズで安定した穿孔作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態の集塵装置及び穿孔工具を示す斜視説明図。
【
図3】実施形態の集塵穿孔装置におけるエアの流れを説明する説明図。
【
図4】
図1のA部におけるエアの流れを説明する説明図。
【
図5】実施形態の集塵装置及び穿孔工具の使用例を示す斜視図。
【
図6】実施形態の集塵装置における集塵カバーの変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の集塵装置及び集塵穿孔装置〕
本発明による実施形態の集塵装置は、
図1及び
図2に示すように、内部が空洞のベースパッド11を有し、穿孔工具100が挿入される挿入口12と粉塵を吸引するための吸引口13が設けられ、穿孔Pを形成する穿孔箇所に被せるように配置される集塵カバー1と、粉塵を減圧吸引して集塵する吸引機2と、集塵カバー1の吸引口13と吸引機2とに接続される吸引管3と、吸引管3内の吸引機2による減圧雰囲気下で吸引機2側に圧縮空気を噴出して、減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成する圧縮空気噴出手段を備える。
【0015】
圧縮空気噴出手段は、複数の吐出口を有するエアコンプレッサー41と、エアコンプレッサー41に供給管42を介して接続される噴出ノズル43とから構成されており、噴出ノズル43は管材44に貫通するように設けられ、その根元側の基端部431が供給管42に接続される。また、噴出ノズル43の先端近傍は屈曲して形成され、管材44内に設けられており、噴出ノズルの先端部432は管材44の軸方向に略沿うように配設され、図示例では管材44の内周壁から離間して軸中心近くに配置されている。
【0016】
管材44は、例えば所定長の塩化ビニール管等であり、吸引管3の一部として着脱可能に設けられ、管材44の一方の端部に集塵カバー1側の吸引部分管31が接続され、他方の端部に吸引機2側の吸引部分管32が接続される。管材44が吸引部分管31、32に接続された状態では、噴出ノズル43の先端部432は吸引機2側に向けて配置され、本実施形態では吸引機2の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように配置される。
【0017】
エアコンプレッサー41の作動時には、噴出ノズル43はエアコンプレッサー41から供給される圧縮空気を先端部432から管材44内に噴出し、更に、吸引機2とエアコンプレッサー41の作動時には、噴出ノズル43は、吸引機2の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように先端部432から圧縮空気を噴出するようになっている。
【0018】
更に、本実施形態では、上記集塵装置と、エアコンプレッサー41から供給される圧縮空気の供給で作動する削岩機等の穿孔工具100によって集塵穿孔装置を構成している。穿孔工具100は、穿孔ロッド101の先端近傍にビット102が設けられ、供給される圧縮空気をビット102の所定箇所から噴出し、穿孔で生ずる粉塵を圧縮空気で穿孔P内から外に排出可能になっている。穿孔工具100の穿孔ロッド101は、穿孔時には集塵カバー1の挿入口12に挿入され、穿孔ロッド101の先端側とビット102とが集塵カバー1の空洞内に配置される。
【0019】
そして、集塵穿孔装置における穿孔工具100は、供給管45を介してエアコンプレッサー41に接続され、圧縮空気噴出手段を構成するエアコンプレッサー41から圧縮空気を供給されて、作動するようになっている。
【0020】
集塵穿孔装置におけるエアの流れは
図3の太線矢印に示すようになっている。即ち、エアコンプレッサー41から穿孔工具100に作動させるためのエアが供給され、穿孔工具100の先端近傍から穿孔P内に噴出するエアが集塵カバー1内に流れ、吸引機2の減圧吸引により、集塵カバー1から吸引機2の方に吸引管3内をエアが流れる。また、同じエアコンプレッサー41から噴出ノズル43に供給されるエアは、管材44内で噴出ノズル43から噴出され、前述の減圧吸引によるエアの流れと合流して吸引機2の方に流れるようになっている。
【0021】
本実施形態の集塵装置及び集塵穿孔装置で集塵しながら穿孔を行う際には、例えば
図5に示すように、コンクリート躯体等の穿孔面300に支持架台200を設置し、支持架台200のガイドレール201を立設させ、ガイドレール201に取付ユニット202によって穿孔工具100を取り付ける。取付ユニット202はガイドレール201に係合され、ガイドレール201に沿って移動可能になっており、取付ユニット202を介在して取り付けられる穿孔工具100も、ガイドレール201に沿って移動可能で、図示例では穿孔の進行に応じて下向きに移動可能となる。
【0022】
また、穿孔面300の穿孔する箇所に集塵カバー1を被せるように配置し、集塵カバー1の挿入口12に穿孔工具100の穿孔ロッド101を挿入し、穿孔ロッド101の先端側の一部とビット102を集塵カバー1の空洞内に配置する。図示例では、集塵カバー1を下向きにして穿孔面300上に設け、この集塵カバー1内に穿孔ロッド101の先端側の一部とビット102を配置している。
【0023】
その後、エアコンプレッサー41を作動して供給管45を介して穿孔工具100に圧縮空気を供給し、供給される圧縮空気で作動する穿孔工具100の穿孔ロッド101及びビット102で穿孔して穿孔面300に穿孔Pを形成していくと共に、穿孔で生ずる粉塵を穿孔P内から外に排出するように圧縮空気CAを穿孔P内に噴出し、圧縮空気CAの噴出で外に排出される粉塵が集塵カバー1内に流れていく。本例では、ガイドレール201に沿って穿孔工具100が下向きに移動するので、穿孔Pはガイドレール201と平行な方向で真っ直ぐに下向きに穿孔されていく。
【0024】
これに合わせて、吸引機2を作動させ、吸引管3を介して集塵カバー1の吸引口13から減圧吸引を行う。この吸引機2の減圧吸引では、
図4に示すように、吸引管3内に気流VFが発生し、この気流VFの流れによって集塵カバー1内の粉塵が吸引機2内に集塵されていく。
【0025】
同時に、
図4に示すように、エアコンプレッサー41から供給管42を介して圧縮空気を噴出ノズル43に供給し、噴出ノズル43の先端部432から、吸引機2の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように圧縮空気を噴出する。噴出ノズル43からの吸引管3内への圧縮空気の噴出により、吸引機2の減圧吸引による減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間が、吸引管3内の噴出された圧縮空気の後方に生成され、この低圧空間にエアが吸引されるようにして気流CFが発生する。そして、気流CFの流れによっても集塵カバー1内の粉塵が吸引機2内に集塵されていく。
【0026】
尚、吸引管3内への圧縮空気の噴出は、吸引機2側に圧縮空気を噴出するものであれば方向或いは位置は限定されず適宜であるが、吸引機2の減圧吸引で発生する気流方向に略沿うように圧縮空気を噴出すると、吸引機2に向かっての粉塵の搬送を補助し、吸引機2の粉塵回収効率をより高めることができて好ましく、又、内周壁から離間した位置で噴出すると、管材44或いは吸引管3の内周壁の壁面抵抗や内周壁への圧縮空気の衝突で発生する乱流の影響を極力無くし、吸引機2の粉塵回収効率をより高めることができて好ましい。
【0027】
また、吸引管3内に噴出する圧縮空気の流速、圧力は、例えば吸引機2の減圧吸引による発生気流よりも高速で圧縮空気を噴出する等、吸引機2による減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を噴出によって生成可能なものであれば適宜である。
【0028】
本実施形態によれば、吸引管3内に減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成して、低圧空間の吸引で吸引機2による減圧吸引を補助し、穿孔P内や集塵カバー1内の粉塵に対する吸引力を非常に強めることができる。従って、粉塵の量が多い場合、穿孔箇所から吸引機2に至る吸引管の長さが長い場合、下向きに穿孔する場合、長尺穿孔を行う場合等、既存の集塵装置では粉塵の吸引が難しかった穿孔作業でも、穿孔で生ずる粉塵を確実に吸引することができ、スムーズで安定した穿孔作業を実現することができる。
【0029】
また、圧縮空気噴出手段を、エアコンプレッサー41と、管材44に設けられる噴出ノズルで構成し、管材44を吸引管3の一部として着脱可能とすることにより、噴出ノズル43が内設される管材44を吸引管3の一部として組み込むだけで、既存の集塵装置等にも圧縮空気噴出手段を簡単に設置することができ、汎用性を高めることができる。また、吸引管3の途中箇所で粉塵が詰まることもより確実に防止できる。また、吸引管3に対して管材44を着脱可能とすることにより、吸引管3や管材44を容易に清掃することが可能となる。
【0030】
また、エアコンプレッサー41による圧縮空気を、吸引管3内への圧縮空気の噴出と穿孔工具100の作動の双方に用いることが可能となり、効率的なエネルギー利用を図りながら且つ低コストで、確実に集塵して穿孔作業を行うことができる。
【0031】
また、本実施形態の集塵装置で集塵しながら、ガイドレール201に沿って穿孔工具100を下向きに移動して穿孔することにより、例えば穿孔内に溜まった粉塵でビット102の先端が逃げて孔が曲がる等の事態を生ずることがなく、穿孔P内や集塵カバー1内に粉塵が溜まりやすい下向きの長尺穿孔でも確実に集塵しながら穿孔作業を行うことができると共に、より容易且つ正確に下向きの穿孔を真っ直ぐに形成することができる。
【0032】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明は、各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含むものであり、下記変形例も包含する。
【0033】
例えば集塵カバー1の変形例として、
図6に示すように、内部が空洞状に形成されているベースパッド11を、穿孔工具100を挿入可能で、開口が挿入口12を構成する挿入筒部14と、粉塵を減圧吸引するための吸引口13が設けられているものとし、更に、挿入筒部14に係止可能な略筒状の係止体15を設け、ベースパッド11内の減圧により、挿入筒部14に挿入される穿孔工具100或いはその穿孔ロッド101と挿入筒部14との間に、係止体15の一部が圧入される構成としてもよい。
【0034】
係止体15は、挿入筒部14に係止可能な筒体151と、筒体151に内装され、筒体151よりも弾性率が高い筒状の高弾性材152とから構成される。筒体151は、例えば塩化ビニール管等の樹脂製素材で形成され、本例では挿入筒部14の内径と略一致する外径を有する円筒状に形成されている。本例の高弾性材152は、筒状のスポンジで形成され、筒体151に嵌め込むように内装されているが、高弾性材152は、ゴム等の筒体151よりも弾性率が高い適宜の弾性材とすることが可能である。また、高弾性材152の中心穴には穿孔工具100或いは穿孔ロッド101が挿入可能になっており、その中心穴は周縁が穿孔工具100或いはその穿孔ロッド101に略接触する大きさになっている。
【0035】
係止体15は、吸引機2の減圧吸引及び噴出ノズル43からの圧縮空気の噴出による低圧空間の減圧吸引時に、ベースパッド11内の減圧により、係止体15の一部が穿孔ロッド101と挿入筒部14との間に圧入されると共に、筒体151の外周面が挿入筒部14の内周面に当接して摩擦で引っ掛かるようにして、係止体15が挿入筒部14に係止されるこの際、穿孔ロッド101の外周に設けられている係止体15の筒状の高弾性材152は、穿孔ロッド101への接触状態を維持しつつ穿孔動作に伴う穿孔ロッド101の動きに追従することが可能であるから、穿孔ロッド101と挿入筒部14との間の隙間は、筒体151と高弾性材152によって穿孔動作を通じて常時閉塞される。
【0036】
本変形例の集塵カバー1を用いることにより、吸引機2の減圧吸引及び低圧空間の減圧吸引により、穿孔工具100が挿入される挿入筒部14に係止体15を強く圧入し、穿孔工具100と挿入筒部14の間を確実に閉塞することが可能であるから、先端近傍からエアが噴出される穿孔工具100で穿孔した場合にも、穿孔工具100とその挿入口12との間の隙間から、エアの戻りで粉塵が飛散することを確実に防止することができると共に、粉塵の集塵効率を一層向上することができる。
【0037】
尚、係止体15の構成は本例に限定されず適宜であり、例えば筒体151の圧入方向の後部の位置に、外周に突出するフランジ或いは所定間隔を開けて複数箇所で半径方向に外側に突出する突起を設けたもの、或いは筒体151を圧入方向の後側に向かって漸次拡径するテーパー状の外周面を有するようにしたもの、或いはゴム等の弾性材で形成される略筒状の筒体151だけで構成されるものとしてもよく、又、略円筒形の他、ベースパッド11の挿入筒部14の形状に合わせて、四角筒、六角筒、8角筒など多角筒形としてもよい。
【0038】
また、穿孔工具100は、削岩機等の穿孔ロッド51及びビット52のように、ドリル部が挿入口12に挿入されるエアーハンマードリルなど先端近傍からエアを噴出するものに限定されず、ハンマードリル、振動ドリル、コアドリル、電動ハンマ、等コンクリート構造物を穿孔することができるものであれば、適宜適用可能である。また、圧縮空気噴出手段の噴出ノズルは、上記例の他にも、吸引機2による減圧吸引の減圧雰囲気よりも圧力が低い局所的な低圧空間を生成可能なものであれば適宜であり、例えば吸引管3の適宜箇所に直接差し込む方式のノズルとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、例えばコンクリート構造物に削岩機で穿孔する場合等に利用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1…集塵カバー 11…ベースパッド 12…挿入口 13…吸引口 14…挿入筒部 15…係止体 151…筒体 152…高弾性材 2…吸引機 3…吸引管 31、32…吸引部分管 41…エアコンプレッサー 42…供給管 43…噴出ノズル 431…基端部 432…先端部 44…管材 45…供給管 100…穿孔工具 101…穿孔ロッド 102…ビット 200…支持架台 201…ガイドレール 202…取付ユニット 300…穿孔面 P…穿孔 CF…エアコンプレッサーの圧縮空気の噴出による気流 VF…吸引機の減圧吸引による気流 CA…圧縮空気