特開2015-166095(P2015-166095A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-166095(P2015-166095A)
(43)【公開日】2015年9月24日
(54)【発明の名称】被加工材の打ち抜き方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/04 20060101AFI20150828BHJP
   B21D 28/02 20060101ALI20150828BHJP
   B21D 43/00 20060101ALI20150828BHJP
【FI】
   B21D28/04 Z
   B21D28/02 C
   B21D43/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-40660(P2014-40660)
(22)【出願日】2014年3月3日
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】中村 和泉
【テーマコード(参考)】
4E048
【Fターム(参考)】
4E048CA02
4E048CA09
(57)【要約】
【課題】1枚又は複数枚の薄板を重ねた被加工材の打ち抜き加工を行う場合、パイロットピンがパイロット孔に引っ掛かることがなく、精度の高い打ち抜き加工を得ることができる被加工材の打ち抜き方法及び装置を提供する。
【解決手段】予め形成されたパイロット孔17にパイロットピン18を嵌入して被加工材15の位置決めを行い、上型13の下降に伴ってストリッパ16で被加工材15を下型11に押圧してパンチ及びダイによって被加工材15に打ち抜き加工を行う方法において、パイロットピン18の昇降手段23を上型13に設け、パンチが下死点に達した後で、ストリッパ16が被加工材15を下型11に押圧しているときに、昇降手段23によりパイロットピン18を強制的にパイロット孔17から引き抜く。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め形成されたパイロット孔にパイロットピンを嵌入して被加工材の位置決めを行い、上型の下降に伴ってストリッパで前記被加工材を下型に押圧してパンチ及びダイによって前記被加工材に打ち抜き加工を行う方法において、
前記パイロットピンの昇降手段を前記上型に設け、前記パンチが前記被加工材を打ち抜いた後、前記ストリッパが前記被加工材を前記下型に押圧しているときに、前記昇降手段により前記パイロットピンを強制的に前記パイロット孔から引き抜くことを特徴とする被加工材の打ち抜き方法。
【請求項2】
請求項1記載の被加工材の打ち抜き方法において、前記被加工材は重ねられた2枚又は3枚以上の薄板であることを特徴とする被加工材の打ち抜き方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の被加工材の打ち抜き方法において、前記昇降手段は、前記パイロットピンを上昇させるエアシリンダを有していることを特徴とする被加工材の打ち抜き方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載の被加工材の打ち抜き方法において、前記昇降手段は、スプリングによって上方に付勢された前記パイロットピンを下位置に固定するロック機構と、前記パンチが下死点位置にあることを検知して、前記ロック機構を解除するロック解除機構とを有することを特徴とする被加工材の打ち抜き方法。
【請求項5】
予め形成されたパイロット孔にパイロットピンを嵌入して被加工材の位置決めを行い、上型の下降に伴ってストリッパで前記被加工材を下型に押圧してパンチ及びダイによって前記被加工材に打ち抜き加工を行う被加工材の打ち抜き装置において、
前記被加工材を打ち抜いた後、前記ストリッパが前記被加工材を前記下型に押圧しているときに、前記パイロットピンを前記パイロット孔から強制的に引き抜く昇降手段を設けたことを特徴とする被加工材の打ち抜き装置。
【請求項6】
請求項5記載の被加工材の打ち抜き装置において、前記被加工材は重ねられた2枚又は3枚以上の薄板であることを特徴とする被加工材の打ち抜き装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の被加工材の打ち抜き装置において、前記昇降手段は、前記パイロットピンの上部に設けられたエアシリンダを有していることを特徴とする被加工材の打ち抜き装置。
【請求項8】
請求項5又は6記載の被加工材の打ち抜き装置において、前記昇降手段は、スプリングによって上方に付勢された前記パイロットピンを下位置に固定するロック機構と、前記パンチが下死点位置にあることを検知して、前記ロック機構を解除するロック解除機構とを有することを特徴とする被加工材の打ち抜き装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被加工材(例えば、1枚又は重ねられた複数枚の薄板)を所定形状に打ち抜く方法、及びこの方法を用いた打ち抜き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
積層鉄心の製造においては、生産性の向上を図る目的から、薄板鋼板(磁性鋼板、薄板材)を複数枚重ねた状態で、打ち抜き加工して積層鉄心を得る方法が従来から提案されている。例えば、2枚の薄板を重ねて打ち抜きを行う場合、重ねた2枚の薄板が互いにずれないように金型装置(打ち抜き装置)に送るので、重ねた2枚の薄板の送り方向に一定の距離だけ離間した位置にかしめ又はスポット溶接を施して薄板同士を接合したり(特許文献1参照)、薄板の片側端面を溶接して一体化して(特許文献2参照)、重ね合わせた薄板を金型装置に送る際のずれを防止している。
【0003】
ところで、通常、薄板を金型装置で打ち抜き形成する際には、図6(A)、(B)に示すように、薄板70を金型装置71の加工位置に正確に位置決めするため、薄板70にパイロット孔72を形成し、このパイロット孔72に金型装置71のパイロットピン73を嵌入させて薄板70の位置決めをすると共にストリッパ74で押圧して、打ち抜き加工を行っている。そして、打ち抜き加工が終了すると、上型75を上昇させてパンチ及びストリッパ74を上昇させると共にパイロットピン73を上昇させ、パイロット孔72からパイロットピン73を脱孔して、次の打ち抜きステーションに送っている。
パイロットピン73の脱孔は、薄板70をガイドレール76で押さえるようにしてパイロット孔72からパイロットピン73を抜いている。なお、77はダイが固定された下型を、78はパイロットピン73を付勢するスプリングを示す。また、mはセンターラインを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭52−39880号公報
【特許文献2】特開2005−348456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このパイロットピン73の脱孔に関し、2枚の薄板70を重ねて打ち抜き加工を行う場合は、薄板70の側端部又は側端部近傍が接合されているのみで、薄板70の全面に亘って接合されているものではない。このため、ガイドレール76で薄板70を支持した状態でパイロットピン73を引き抜くと、薄板70同士の接合されていない領域が開く動きをして、パイロットピン73が薄板70に引っ掛かった状態となって抜け難くなり、この状態で強引にパイロットピン73を引き抜くので、パイロット孔72の周辺が変形し、以降の工程において、パイロット孔72を用いる位置決め精度が著しく低下するという問題があった。このような問題は2枚の薄板を重ねた場合だけでなく、1枚又は3枚以上の薄板を重ねた場合にも発生していた。
【0006】
また、例えば0.1mm以下の薄板をクリーンな環境を維持するため無給油で打ち抜き加工を行うことがあり、このような場合も、パイロットピンがパイロット孔に引っ掛かってパイロット孔の周辺が変形し、以降の工程において材料の位置決め精度が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、1枚又は複数枚の薄板を重ねた被加工材の打ち抜き加工を行う場合、パイロットピンがパイロット孔に引っ掛かることがなく、精度の高い打ち抜き加工を得ることができる被加工材の打ち抜き方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的に沿う第1の発明に係る被加工材の打ち抜き方法は、予め形成されたパイロット孔にパイロットピンを嵌入して被加工材の位置決めを行い、上型の下降に伴ってストリッパで前記被加工材を下型に押圧してパンチ及びダイによって前記被加工材に打ち抜き加工を行う方法において、
前記パイロットピンの昇降手段を前記上型に設け、前記パンチが前記被加工材を打ち抜いた後、前記ストリッパが前記被加工材を前記下型に押圧しているときに、前記昇降手段により前記パイロットピンを強制的に前記パイロット孔から引き抜く。
【0009】
第2の発明に係る被加工材の打ち抜き方法は、第1の発明に係る被加工材の打ち抜き方法において、前記被加工材は重ねられた2枚又は3枚以上の薄板である。
【0010】
第3の発明に係る被加工材の打ち抜き方法は、第1、第2の発明に係る被加工材の打ち抜き方法において、前記昇降手段は、前記パイロットピンを上昇させるエアシリンダを有している。
【0011】
第4の発明に係る被加工材の打ち抜き方法は、第1、第2の発明に係る被加工材の打ち抜き方法において、前記昇降手段は、スプリングによって上方に付勢された前記パイロットピンを下位置に固定するロック機構と、前記パンチが下死点位置にあるのを検知して、前記ロック機構を解除するロック解除機構とを有する。
【0012】
第5の発明に係る被加工材の打ち抜き装置は、予め形成されたパイロット孔にパイロットピンを嵌入して被加工材の位置決めを行い、上型の下降に伴ってストリッパで前記被加工材を下型に押圧してパンチ及びダイによって前記被加工材に打ち抜き加工を行う被加工材の打ち抜き装置において、
前記被加工材を打ち抜いた後、前記ストリッパが前記被加工材を前記下型に押圧しているときに、前記パイロットピンを前記パイロット孔から強制的に引き抜く昇降手段を設けた。
【0013】
第6の発明に係る被加工材の打ち抜き装置は、第5の発明に係る被加工材の打ち抜き装置において、前記被加工材は重ねられた2枚又は3枚以上の薄板である。
【0014】
第7の発明に係る被加工材の打ち抜き装置は、第5、第6の発明に係る被加工材の打ち抜き装置において、前記昇降手段は、前記パイロットピンの上部に設けられたエアシリンダを有している。
【0015】
そして、第8の発明に係る被加工材の打ち抜き装置は、第5、第6の発明に係る被加工材の打ち抜き装置において、前記昇降手段は、スプリングによって上方に付勢された前記パイロットピンを下位置に固定するロック機構と、前記パンチが下死点位置にあることを検知して、前記ロック機構を解除するロック解除機構とを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る被加工材の打ち抜き方法及び装置は、パイロットピンをパイロット孔から抜く場合に、ストリッパで被加工材を押さえているので被加工材を動かすことなく、パイロットピンの引き抜きができる。
特に、被加工材が薄板を複数枚重ね合わせたものであっても、その非接合領域が開いてしまうことなく、パイロットピンがパイロット孔に引っ掛かることなくスムーズに脱孔し、パイロット孔の周辺を変形させることがない。
これによって、パイロット孔周辺の変形による位置決め精度の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置の説明図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置の説明図である。
図3】本発明の第2の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置の説明図である。
図4】本発明の第2の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置の説明図である。
図5】本発明の第2の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置の説明図である。
図6】(A)、(B)は従来例に係る被加工材の打ち抜き方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
続いて、添付した図面を参照して、本発明を具体化した実施の形態について説明する。
図1図2に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置10は、内側にダイが設けられた下型11と、ダイと対となるパンチを有し、下型11に対して昇降可能に設けられた上型13と、上型13に取付けられ、下型11の上を通過する被加工材15をスプリングを介して押圧保持するストリッパ16と、上型13に昇降可能に設けられ、ストリッパ16を貫通して被加工材15に予め形成された複数のパイロット孔17にそれぞれ挿通するパイロットピン18と、被加工材15の両側をそれぞれガイドするガイド部材19を有している。以下、被加工材の打ち抜き装置10について、更に詳細に説明する。
【0019】
被加工材15はこの実施の形態では、2枚の磁性鋼板からなる薄板20、21を重ね合わせ、複数箇所をかしめ積層して形成されている。なお、被加工材15は1枚(例えば、無給油でプレス加工を行う場合)であっても、3枚以上であっても本発明は適用されるが、薄板が複数枚の場合は、一体化するために、1)かしめ結合、2)端部を溶接又はロウ付け、又は3)一部又は全体を接着剤を用いて接合しておくのが好ましい。
【0020】
平面視して円形のパイロット孔17の形成にあっては、被加工材15をストリッパ16で下型(ダイを含む)11に押圧し、上型13に固定されたパンチで打ち抜き形成する。このパイロット孔17の形成は、この被加工材の打ち抜き装置10の前側のステーションで行ってもよいし、別の金型装置で行ってもよい。
【0021】
上型13にはパイロットピン18の昇降手段23が設けられている。この昇降手段23は上型13内を上下に貫通するシリンダ部24と、パイロットピン18の上端にロッド部24aを介して取付けられ、シリンダ部24を上下するピストン25と、ピストン25を常時下方に付勢する(押し下げる)スプリング26とを有している。シリンダ部24の下部には、流体通路27が設けられ、例えば、圧縮空気を流体通路27からシリンダ部24の下部に入れた場合は、パイロットピン18が上昇するようになっている。なお、シリンダ部24、ピストン25、ロッド部24a、スプリング26及び流体通路27を有してエアシリンダ29が形成される。図1図2において、30、31はシリンダ部24の上蓋及び下蓋を示す。
【0022】
流体通路27には図示しない配管を介して電磁弁が接続され、必要な場合、圧縮空気をシリンダ部24内に供給し、ピストン25をスプリング26に対向して押し上げ、パイロットピン18を押し上げる。または電磁弁を操作してシリンダ部24の空気を抜いてスプリング26によってパイロットピン18を押し下げる。
【0023】
この被加工材の打ち抜き装置(以下、単に「打ち抜き装置」又は「金型装置」ともいう)10を用いた、被加工材15の打ち抜き方法について以下に説明する。
図2に示すように、予め、パイロット孔17が形成された被加工材15を打ち抜き装置10に搬送手段で所定位置まで搬入し、上昇状態(即ち、上限位置)のパイロットピン18を、シリンダ部24のエアを抜いてスプリング26によって押下げ、パイロット孔17に嵌入させ、被加工材15を下型11の所定位置に位置決めする。
【0024】
次に上型13を下降させて、図1に示すように、ストリッパ16によって被加工材15を下型11に押し付け、更に、上型13と共に下降する図示しないパンチ、及び下型11に設けられたダイによって被加工材15に打ち抜き加工を行う。以上の動作によってパンチは下降し、下死点の位置で上方向にパンチ(即ち、上型に同じ)の向きが変わろうとする。このパンチ(上型)が下死点にあることを検知して又はパンチが被加工材の打ち抜きを完了したことを確認して、流体通路27に電磁弁を開いて圧縮空気を供給し、ピストン25を上昇させ、パイロットピン18をパイロット孔17から抜く。シリンダ部24への圧縮空気の供給が遅れる場合は、パンチの下死点の前から電磁弁を開いてもよい。
【0025】
この動作によって、被加工材15をストリッパ16で押さえた状態で、パイロットピン18をパイロット孔17から強制的に引き抜くので、被加工材15を構成する薄板20、21の移動やずれが生じないため、パイロット孔17の変形が無くなり、次の工程(又はステーション)でも、被加工材15をパイロット孔17を用いて正確に位置決めできる。
【0026】
続いて、図3図5を参照しながら、本発明の第2の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置33について説明する。図1図2に示す被加工材の打ち抜き装置10と同一の構成要素については、同一の番号を付して詳しい説明を省略する。
本発明の第2の実施の形態に係る被加工材の打ち抜き装置33は、内側には図示しないダイが設けられた下型11と、昇降可能となって図示しないパンチが設けられた上型34とを有している。上型34には、図示しないガイドロッド及びスプリングを介してストリッパ35が設けられ、上型34の下降時に被加工材15を下型11に押圧固定する。
【0027】
パイロットピン36は上型34を上下に貫通し、上型34の上部にはパイロットピン押さえ板38が設けられている。このパイロットピン押さえ板38は下型11に支持部材39で連結され、上型34が昇降しても固定高さ位置を保つようになっている。
上型34には、パイロットピン36の昇降手段40が設けられ、パンチが下死点に到達した後、強制的にパイロットピン36を被加工材15のパイロット孔17から引き抜くようになっている。
【0028】
この昇降手段40は、スプリング41によって上方に付勢されたパイロットピン36を下位置(上型34に対するパイロットピン36の最下部位置)に固定するロック機構42と、パンチ(具体的には上型)が下死点位置にあることを検知して、その後ロック機構42を解除するロック解除機構43とを有しているが、この実施の形態においては、ロック機構42とロック解除機構43が一体となって不可分に構成される。
【0029】
ロック機構42は、上型34の中間部に設けられた水平孔46に配置され、パイロットピン36の中間部に設けられた拡径部36aの段44に掛止するストッパ部45を先側に有するカム部材47と、カム部材47をパイロットピン36側に付勢するスプリング48とを有している。カム部材47には水平方向に長い上下に貫通する長孔49が設けられている。
【0030】
ロック解除機構43は、先側テーパー部50がカム部材47の長孔49内に配置され、下端がストリッパ35に固定された操作ピン51を有している。そして、操作ピン51が上昇した時点では、カム部材47を外側方向(即ち、パイロットピン36の方向とは逆方向)に移動させ、段44に掛止していたストッパ部45を段44から外し、パイロットピン36をスプリング41によって上方に移動させるようになっている。
【0031】
続いて、以上のように構成されている被加工材の打ち抜き装置33を用いた被加工材の打ち抜き方法について説明する。まず、図3に示すように、被加工材15を下型11上の所定位置に搬送する。この動作は、上型34を上昇させ、パイロットピン36の段44にカム部材47の先側にあるストッパ部45を掛止させた状態で行う。なお、段44にストッパ部45を掛止させる動作については後述する。
【0032】
次に、図4に示すように、上型34を下降させ、ストリッパ35で被加工材15を押圧すると共に、パイロットピン36をパイロット孔17に入れて、被加工材15の位置決めを行う。パイロットピン36は上型34の下降と共に、パイロット孔17に嵌入し、パンチが下死点に届いた位置で、操作ピン51の先側テーパー部50が上昇し、ストッパ部45が段44から外れる。これによって、図5に示す通り、パイロットピン36が上に上がり、被加工材15のパイロット孔17から円滑に抜ける。
【0033】
この後、図3に示すように、上型34が上昇するが、ストリッパ35はスプリング41に押圧されて特定高さ位置を保ち、パイロットピン36はパイロットピン押さえ板38によって上昇位置が制限されるので、段44にカム部材47が掛止する。以上の動作によって、パイロットピン36の高さ位置が保持されるので、被加工材15の通板を行うことができる。
【0034】
本発明の実施の形態においては、以上の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で寸法変更、形状変更をすることも可能である。
例えば、昇降手段は以上の実施の形態に限定されず、パイロットピンを上型(パンチ)が下死点位置に達した時に又は直前、直後に、上昇させる手段(例えば、他の構造のシリンダ、電動モータ、電磁石、他の機構のカム等)を含む。
【符号の説明】
【0035】
10:被加工材の打ち抜き装置、11:下型、13:上型、15:被加工材、16:ストリッパ、17:パイロット孔、18:パイロットピン、19:ガイド部材、20、21:薄板、23:昇降手段、24:シリンダ部、24a:ロッド部、25:ピストン、26:スプリング、27:流体通路、29:エアシリンダ、30:上蓋、31:下蓋、33:被加工材の打ち抜き装置、34:上型、35:ストリッパ、36:パイロットピン、36a:拡径部、38:パイロットピン押さえ板、39:支持部材、40:昇降手段、41:スプリング、42:ロック機構、43:ロック解除機構、44:段、45:ストッパ部、46:水平孔、47:カム部材、48:スプリング、49:長孔、50:先側テーパー部、51:操作ピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6