【解決手段】 成形品加熱装置は、複数の成形品2を搬送する搬送路300と、搬送路に沿って設けられた加熱部30と、を有する。搬送路は、複数のスプロケット321〜328と、各々が一つの成形品を保持して、搬送方向にて隣り合う2つが接する複数の搬送部材330と、複数の搬送部材を搬送方向に沿って案内して複数のスプロケットに係合させる案内レール340と、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の幾つかの態様によれば、1ステージ方式と2ステージ方式の利点を併せ持つ1.5ステージ方式にて、同時射出成形個数N(Nは2以上の整数)をn回に分けてM(M=N/n)個ずつブロー成形する際に、n回のブロー成形動作間での成形温度差を小さくして成形品質を向上させる射出延伸ブロー成形装置を提供することができる。
【0010】
本発明の他の幾つかの態様によれば、1.5ステージ方式でのブロー成形部にてM個のプリフォームを同時にブロー成形する際の、M個のプリフォームの温度差を小さくして成形品質を向上させる射出延伸ブロー成形装置を提供することができる。
【0011】
本発明のさらに他の幾つかの態様によれば、1.5ステージ方式にて、同時射出成形個数Nと同時ブロー成形個数Mとの比を容易に変更できる汎用性を高めた射出延伸ブロー成形装置を提供することができる。
【0012】
本発明のさらに他の幾つかの態様によれば、無端状チェーンを用いないことから連続搬送と間欠搬送を並存させることができる成形品加熱装置を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1態様に係る射出延伸ブロー成形装置は、
N(Nは2以上の整数)個のプリフォームを射出成形する射出成形部と、
前記射出成形部から搬出された前記N個のプリフォームを強制冷却する冷却部と、
冷却された前記N個のプリフォームを連続搬送して加熱する加熱部と、
加熱された前記N個のプリフォームをn(nは2以上の整数)回に分け、一度にM(M=N/n:Mは自然数)個のプリフォームをM個の容器に延伸ブロー成形するブロー成形部と、
を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第1態様によれば、1.5ステージ方式において、同時に射出成形されたN個のプリフォームをn回に分けてM個ずつブロー成形動作する各回での成形温度差や個々のプリフォームの温度差を小さくすることができる。それにより、容器間の成形品質を均一化することができる。同時に射出成形されたN個のプリフォームをn回に分けてブロー成形すると、最初の回でブロー成形されるM個のプリフォーム温度は、最後の回でブロー成形されるM個のプリフォーム温度よりも高い傾向となる。これは、射出成形後からブロー成形開始までの時間が、最初の回の方がその後の回よりも必然的に短くなるからである。換言すれば、射出成形とブロー成形とをインラインで行なうため、プリフォームは射出成形時の熱を保有したまま容器にブロー成形されるという1ステージ方式の熱エネルギー上の利点が、n回に分けてブロー成形する1.5ステージ方式では成形品質の点で欠点の要因となる。
【0015】
本発明の第1態様では、プリフォームが保有する射出成形時の熱がn回のブロー成形動作間のプリフォーム温度に与える影響を、射出成形部から搬出されたN個のプリフォームを、冷却媒体を利用して強制冷却することで緩和した。温度降下勾配は、プリフォーム温度が高いほど著しいので、プリフォームを強制冷却すると、加熱開始前でのN個のプリフォームの個々の温度差が、強制冷却をしない場合(自然冷却の場合)よりも小さくなる。これにより、射出成形部の射出キャビティ毎でプリフォームの温度がばらついても、強制冷却することで射出キャビティ毎の温度のばらつきを低減できる。また、プリフォームを強制冷却しても、2ステージ方式のように室温まで冷却する必要はないので、プリフォームが保有する射出成形時の熱をブロー成形に利用する利点は維持される。
【0016】
本発明の第2態様に係る射出延伸ブロー成形装置は、
N(Nは2以上の整数)個のプリフォームを射出成形する射出成形部と、
前記射出成形部から搬出された前記N個のプリフォームを連続搬送して加熱する加熱部と、
加熱された前記N個のプリフォームをn(nは2以上の整数)回に分け、一度にM(M=N/n:Mは自然数)個のプリフォームをM個の容器に延伸ブロー成形するブロー成形部と、
を有することを特徴とする。
【0017】
間欠搬送にてN個のプリフォームを加熱すると、加熱部内の温度分布の影響を受ける。つまり間欠搬送では、加熱部内にて停止する個々のプリフォームをピンポイント加熱することになり、加熱部の入り口と出口付近にて停止しているプリフォーム温度が低くなる傾向がある。また、加熱部内のヒーターの一部で出力が低いなどの不具合がある場合、間欠搬送だとその影響を受けやすい。本発明の第1及び第2態様のように連続搬送とすると、ピンポイント加熱でなく全体加熱となり、個々のプリフォームは同じ熱履歴となることから、停止時の加熱に伴う悪影響が生ずることがない。よって、同時にブロー成形されるM個のプリフォームの温度差を小さくすることができる。
【0018】
本発明の第1,第2態様では、前記加熱部は、前記N個のプリフォームのうち、最初にブロー成形されるM個のプリフォームと、その後にブロー成形されるM個のプリフォームとを、一列で連続搬送中に加熱することができる。
【0019】
N個のプリフォームのうち、最初にブロー成形されるM個のプリフォームと、その後にブロー成形されるM個のプリフォームとを、一列で間欠搬送する場合、最初のM個のプリフォーム加熱部内にて停止している時間に亘って、次のM個のプリフォームは加熱部への搬入が待機され、加熱部への搬入タイミングの差が大きくなる。このように、同時射出成形後の加熱開始時期が、M個のプリフォームを単位として異なるが、加熱前に強制冷却することで、加熱部に最初に搬入される最初のM個のプリフォームと、次のM個のプリフォームとの温度差をより小さくできる。連続搬送であれば、加熱部への搬入タイミングの差は小さくなるからである。プリフォームの温度降下は待機時間が長いほど大きいが、連続搬送すると、最初のM個のプリフォームと次のM個のプリフォームとの温度差を小さくできる。結果として、同時に射出成形されたN個のプリフォームをn回に分けてM個ずつブロー成形動作する各回での成形温度差を小さくすることができる。
【0020】
本発明の第1態様では、前記N個のプリフォームの各々はネック部を有し、前記射出成形部は、前記ネック部を上向きとした正立状態にて前記N個のプリフォームを射出成形し、前記加熱部は、前記ネック部を下向きとした倒立状態にて前記N個のプリフォームを加熱し、前記冷却部は、反転部と、前記反転部の第1面に設けられたN個の第1冷却ポットと、前記反転部の第1面と対向する第2面に設けられたN個の第2冷却ポットと、を有することができる。
【0021】
こうすると、プリフォームを倒立搬送して加熱できるので、加熱部にてプリフォームを倒立搬送する搬送部材の構造を簡易化できる。また、冷却部は、反転動作中でもN個のプリフォームを強制冷却することができる。
【0022】
本発明の第1態様では、前記N個の第1冷却ポットと前記N個の第2冷却ポットの各々の外壁に凹部が形成され、前記反転部は冷却媒体の流路を有し、前記流路は、前記N個の第1冷却ポットの前記凹部と連通することで前記冷却媒体を流通させる第1流路と、前記N個の2冷却ポットの前記凹部と連通することで前記冷却媒体を流通させる第2流路と、を含むことができる。
【0023】
このように、第1,第2冷却ポットの外壁に冷却媒体を直接接触させることで、冷却効率を向上させることができる。しかも、第1,第2の冷却ポットはプリフォームサイズが異なると変更されるが、第1,第2の冷却ポットの外壁周面に凹部を形成しておくだけで、流路が形成された反転部を共用することができる。
【0024】
本発明の第1態様では、Mを偶数としたとき、前記反転部の前記第1面及び前記第2面の各々には、冷却ポット挿入孔として、n列の各列にてM/2個の小径孔とM/2個の大径孔とが列方向にて交互に等ピッチで形成することができる。
【0025】
径の大きいプリフォームは射出成形部での射出成形個数をN/2に減少される。この場合、反転部に形成されたn列の各列にてM/2個の大径孔に冷却ポットを配置することで、第1,第2面の各々にN/2個の冷却ポットを配置できる。一方、径の小さなプリフォームはN個同時に射出成形することができるため、各M/2個の小径孔と大径孔とを用いて、第1,第2面の各々にN個の冷却ポットを配置できる。径の小さなプリフォームのための冷却ポットを同一サイズとした場合、大径孔に挿入した時の隙間をライナー等で埋めることができる。
【0026】
本発明の第1態様では、前記冷却部は、前記射出成形部にて前記N個のプリフォームを射出成形するのに要する射出成形サイクルタイム以上の時間に亘って、前記N個のプリフォームを強制冷却することができる。
【0027】
このように、射出成形サイクルタイム以上の冷却時間を確保することで、n回のブロー成形動作の各回でのプリフォームの温度差をより小さくすることができる。
【0028】
本発明の第1態様では、第mサイクルにて射出成形された正立状態の前記N個のプリフォームが、前記N個の第1冷却ポットにて保持された後に前記反転部により反転されて倒立状態にて冷却されている間に、第(m+1)サイクルにて射出成形された正立状態の前記N個のプリフォームが、前記N個の第2冷却ポットにて保持されて冷却されても良い。
【0029】
このように、第mサイクルにて射出成形されたN個のプリフォームが第1冷却ポット内で冷却されている時間は、第(m+1)サイクルにて射出成形されたN個のプリフォームが第2冷却ポットに保持されるまで続行される。こうして、射出成形サイクルタイム以上の冷却時間を確保することができる。
【0030】
本発明の第1態様では、前記加熱部は、射出成形サイクルがk(kは2以上の整数)サイクル分の(k×N)個のプリフォームが搬送される搬送路のうち一部の連続搬送路に沿って配置することができる。
【0031】
本発明の第1態様では、前記搬送路は、複数のスプロケットと、各々が一つのプリフォームを保持して、搬送方向にて隣り合う2つが接する複数の搬送部材と、前記複数の搬送部材を前記搬送方向に沿って案内して前記複数のスプロケットに係合させる案内レールと、を有することができる。
【0032】
本発明の第3態様に係る成形品加熱装置は、
複数の成形品を搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って設けられた加熱部と、
を有し、
前記搬送路は、複数のスプロケットと、各々が一つの成形品を保持して、搬送方向にて隣り合う2つが接する複数の搬送部材と、前記複数の搬送部材を前記搬送方向に沿って案内して前記複数のスプロケットに係合させる案内レールと、を有することを特徴とする。
【0033】
本発明の第1態様及び第3態様では、無端状チェーンを用いなくても、複数の搬送部材を一定ピッチで連続搬送することができる。例えば、連続駆動されるスプロケットに係合している上流の搬送部材が、その下流にてスプロケットと非係合の搬送部材を押動して、案内レールに沿って複数の搬送部材を搬送できるからである。また、無端状チェーンを用いないので、連続搬送された下流側の搬送部材を、間欠駆動されるスプロケットと係合させることで間欠搬送することもでき、搬送路上にて連続搬送と間欠搬送とを並存させることができる。また、同時ブロー成形個数Mを変更しても、個々の搬送部材を用いて対応することができる。なお、無端状チェーンを用いない構造は、成形装置用の加熱装置または結晶化装置用の加熱装置として広く利用することができ、必ずしも1.5ステージの射出延伸ブロー成形装置に限定されない。
【0034】
本発明の第1,第3態様では、搬送方向にて隣り合うM個の搬送部材は、連結部材により連結されて一つの搬送治具を構成し、
前記複数のスプロケットのうち前記搬送方向にて隣り合う一部のスプロケットは連続駆動され、前記複数のスプロケットのうち前記搬送方向にて隣り合う他の一部のスプロケットは、前記一部のスプロケットよりも高速回転で間欠駆動することができる。
【0035】
こうすると、M個のプリフォームまたは複数の成形品を単位とした連続搬送及び間欠搬送を実施しやすくなる。例えば、上流の搬送部材と係合する間欠駆動のスプロケット(搬出装置)を、その下流の連続駆動のスプロケットよりも高速駆動することで、上流側の搬送部材を連続搬送されている下流側の搬送部材と接するように送り出すことができる。また、連続搬送された下流側のM個の搬送部材の一部を同様に高速に間欠駆動することで、一つの搬送治具を連続搬送から間欠搬送に変換することが可能となる。なお、1.5ステージの射出延伸ブロー成形装置以外の加熱装置では、搬送方向にて隣り合う複数の搬送部材が、連結部材により連結されて一つの搬送治具を構成すれば良い。
【0036】
本発明の第1態様では、前記冷却部は、冷却された前記N個のプリフォームを、n個の搬送治具に受け渡すことができる。
【0037】
こうすると、同時に射出成形されたN個のプリフォームを強制冷却して温度差を小さくした上で、n個の搬送部材の各々にM個のプリフォームを搭載して、連続搬送中にプリフォームを加熱することができる。
【0038】
本発明の第1態様では、前記n個の搬送治具を一つずつ搬出駆動して、前記搬送治具の中で先頭の搬送部材を、前記複数のスプロケットの中で最上流に位置する駆動スプロケットに係合させる搬出装置をさらに有することができる。
【0039】
こうすると、n個の搬送治具を一つずつ搬出して連続搬送路に一列で供給することができる。
【0040】
本発明の第1態様では、加熱された前記M個のプリフォームを、前記ブロー成形部に間欠搬送する間欠搬送機構をさらに有することができる。
【0041】
これにより、成形品質に影響がある加熱部で連続搬送する一方で、連続搬送後はブロー成形動作単位であるM個のプリフォームを間欠搬送することができる。
【0042】
本発明の第1態様では、
前記射出成形部から前記N個のプリフォームを取出す取出し装置と、
前記取出し装置から前記N個のプリフォームを前記冷却部に搬送する搬送装置と、
をさらに有し、
前記射出成形部は、前記N個のプリフォームを、第1方向と平行なn列の各列にてM個ずつ同時に射出成形し、Mを偶数としたとき、前記n列の各列にて前記第1方向での中心位置にて隣り合う2つのプリフォームの第1間隔が、他の2つのプリフォームの第2間隔とは異なり、
前記取出し装置は、前記n列の各列M個のプリフォームを前記射出成形部より前記第1方向と直交する第2方向に沿って搬出し、かつ、前記第2方向でのプリフォームの配列ピッチを狭ピッチに変換し、
前記搬送装置は、前記第1間隔を変更することで前記第1,第2間隔を一致させ、
前記冷却部は、前記N個のプリフォームを、前記第1方向と平行なn列の各列にてM個ずつ強制冷却することができる。
【0043】
こうして、冷却部での強制冷却と加熱部での連続加熱とを、射出成形ピッチよりも狭めて実施できるので、装置が小型化する。特に、射出成形時には、n列の各列にて列方向にて中心位置にて隣り合う2つのプリフォームの第1間隔は、ホットランナー型のノズル配置の関係で、他の2つのプリフォームの第2間隔と異なるように設定される。その場合でも、受け渡し装置が第1,第2間隔を一定に設定できるので、n列の各列にてプリフォームは等間隔で配列することができる。それにより、加熱部にて連続搬送されるプリフォーム間隔も一定とすることができ、連続搬送中にて隣り合うプリフォーム同士からの相互の影響を均一にすることができる。
【0044】
本発明の第4態様に係る射出延伸ブロー成形装置は、
N(Nは2以上の整数)個のプリフォームを、第1方向と平行なn(nは2以上の整数)列の各列にてM(M=N/n:Mは自然数)個ずつ同時に射出成形する射出成形部と、
前記射出成形部より前記第1方向と直交する第2方向に搬出された前記N個のプリフォームを、前記第1方向と平行なn列の各列にてM個ずつ強制冷却する冷却部と、
冷却された前記N個のプリフォームがM個ずつ前記第1方向に搬出され、前記N個のプリフォームを迂回経路に沿って連続搬送して加熱する加熱部と、
加熱された前記N個のプリフォームをn回に分け、一度にM個のプリフォームが前記第2方向に沿って間欠搬送されて搬入され、M個のプリフォームからM個の容器に同時に延伸ブロー成形するブロー成形部と、
を有することを特徴とする。
【0045】
この射出延伸ブロー成形装置は本発明の第1態様と同様に動作することに加えて、第2方向に沿って射出成形部、冷却部及びブロー成形部が配列され、加熱部は少なくとも冷却部と第1方向で隣接する領域にて迂回して配置される。よって、装置の第2方向での全長を短くできる。1.5ステージ方式の加熱部は射出成形時の熱を保有するプリフォームを加熱する上に、加熱搬送路を迂回して形成できるので、第1方向での全幅の増大も抑制され。よって、装置の設置面積を縮小できる。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の好適な実施の形態について、比較例を参照して詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0048】
1.射出延伸ブロー成形装置
図1は射出延伸ブロー成形装置の平面図、
図2は射出延伸ブロー成形装置の正面図である。
図1及び
図2において、射出延伸ブロー成形装置の機台1には、射出成形部10、冷却部20、加熱部30及びブロー成形部40が設けられている。
【0049】
本実施形態は、射出成形とブロー成形とをインラインで接続した1ステージ方式であるが、同時射出成形個数と同時ブロー成形個数とを不一致とした1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置である。この射出延伸ブロー成形装置は、射出成形部10と加熱部30との間に冷却部20を有する。冷却部20は、射出成形部10から搬出されたプリフォームを強制冷却するものである。この点で、射出成形部10にて射出成形直後のプリフォームを、射出コア型及び/または射出キャビティ型にて、離型できる温度まで強制冷却するものとは明確に異なる。
【0050】
本実施形態は、同時に射出成形されたN個のプリフォームをn回に分けてM個ずつブロー成形動作する各回での成形温度差を、加熱前に強制冷却することで小さくし、それにより、容器間の成形品質を均一化するものである。
【0051】
ここで、1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置の平面レイアウトは次の通りである。
図1及び
図2に示すように、射出成形部10は、N個のプリフォームを、第1方向D1と平行なn(nは2以上の整数)列の各列にてM(M=N/n:Mは自然数)個ずつ同時に射出成形する。冷却部20は、射出成形部10より第1方向D1と直交する第2方向D2に搬出されたN個のプリフォームを、第1方向D1と平行なn列にて各列M個ずつ強制冷却する。加熱部30は、冷却されたN個のプリフォームがM個ずつ第1方向D1に搬出され、N個のプリフォームが迂回経路に沿って連続搬送して加熱する。ブロー成形部40は、加熱されたN個のプリフォームをn回に分け、一度にM個のプリフォームが第2方向D2に沿って間欠搬送されて搬入され、M個のプリフォームからM個の容器に同時に延伸ブロー成形する。
を有することを特徴とする。
【0052】
この射出延伸ブロー成形装置は、機台1上にて第2方向D2に沿って射出成形部10、冷却部20及びブロー成形部40が配列され、加熱部30は少なくとも冷却部20と第1方向D1で隣接する領域にて迂回して配置される。よって、装置の第2方向D2での装置全長を短くできる。1.5ステージ方式の加熱部30は射出成形時の熱を保有するプリフォームを加熱する上に、加熱搬送路を迂回して形成できるので、第1方向Bでの装置全幅の増大も抑制され。よって、装置の設置面積を縮小できる。
【0053】
2.射出成形部
射出成形部10は、
図1に示す4本のタイバー100に沿って型締め駆動する型締め機構102を有する。型締め機構102により、
図2に示す射出コア型104が射出キャビティ型106と型締めされる。射出装置110がホットランナー型にノズルタッチして樹脂を射出することで、プリフォームが射出成形される。
【0054】
図1に示すように、射出成形部10にて同時に射出成形されるプリフォーム個数Nは例えば最大24個(3列×8個)とされる。プリフォーム径が大きい場合には、各列で4個のプリフォーム配列とされ、3列で計N=12個とされる。例えば、射出成形部10は、1.5リットル容器の成形時にはN=24個の射出キャビティ型106が配置され、5リットル容器の成形時にはN=12個の射出キャビティ型106が設けられる。射出コア型104及び射出キャビティ型106は冷媒によりプリフォームを強制冷却する機能を有し、射出コア型104及び射出キャビティ型106より離型できる温度までプリフォームは冷却される。本実施形態の冷却部20は、射出コア型104及び射出キャビティ型106での冷却とは異なる。
【0055】
射出成形部10には、射出成形されたN個のプリフォームを取り出す取出し装置120が設けられている。取出し装置120は、N個(例えば3列×8個)の保持部材例えばポット122を、射出コア型104の下方の受け取り位置と、タイバー100で囲まれた空間よりも外方の受け渡し位置とに、水平移動可能としている。このポット122の水平移動中に、ポット122の列ピッチは、受け取り位置での広ピッチ(射出成形ピッチ)から受け渡し時の狭ピッチへと変換される。なお、受け渡し位置に描かれた3つのポット122のうち、2つは口径及び長さの大きいプリフォーム用ポットであり(受け取り位置のポットと同じ)、他の一つは口径及び長さの小さいプリフォーム用ポットである。つまり、プリフォームサイズに応じて、ポット122のサイズや数は変更される。なお、
図2では受け取り位置と受け渡し位置とにそれぞれポット122が実線で描かれているが、実際にはいずれか一方の位置のみに停止している。
【0056】
ここで、取出し装置120を備えた射出成形部10については、例えば本出願人による特許第4148576号公報に開示されたプリフォーム成形装置の技術を用いることができるが、これに限定されない。
【0057】
3.冷却部
射出成形されたN個のプリフォームは、プリフォームを強制冷却する冷却部20に搬送される。このために、
図2に示すように、プリフォーム搬送装置50が設けられている。プリフォーム搬送装置50は、
図2に示す受け渡し位置にある3列のポット122に保持されたN個のプリフォームを、冷却部20まで搬送する。プリフォーム搬送装置50は、
図3(A)(B)に示すプリフォーム保持具500と、プリフォーム保持具500を
図2のA方向にて昇降する第1エアシリンダー510と、プリフォーム保持具500及び第1エアシリンダー510を
図2のB方向に水平移動させる第2エアシリンダー520とを有する(
図2参照)。
【0058】
プリフォーム保持具500は、
図3(A)に示すように、
図2に示すポット122に保持されたプリフォーム2のネック部2Aの端面に当接可能な中空の保持具本体502と、保持具本体502に移動可能に支持されたコア504及びロッド506とを有する。コア504は、図示しない駆動機構によりロッド506を下降させて、プリフォーム2のネック部2Aに嵌入可能である。プリフォーム2は、コア504及びロッド506に形成された吸引孔を介して吸引されることで、保持具本体502に吸着される。また、プリフォーム2の保持を解除するには、
図3(B)に示すように、コア504がネック部2Aより離出され、吸引もオフされる。
【0059】
なお、
図1に示すように射出成形部10での3列の各列でのプリフォーム(射出キャビティ)の配列ピッチを一定でなく、ホットランナー型での均一な樹脂経路長を確保するために、中心でのピッチを拡げることがある。この場合、プリフォーム搬送装置50は、各列のプリフォームの配列ピッチを一定に揃える機能を有することができる。
【0060】
冷却部20は、例えば
図4に示すように、反転部200と、反転部200の第1面201に設けられたN個の第1冷却ポット210と、反転部200の第1面201と対向する第2面202に設けられたN個の第2冷却ポット220と、を有することができる。第1,第2冷却ポット210,220は、冷媒通路230を循環する冷媒により冷却されている。また、第1,第2冷却ポット210,220は、プリフォーム2を吸引する吸引孔240を有する。反転部200は、軸204の廻りに反転可能である。反転部200は、
図2に示す駆動源例えばサーボモータ206により駆動されるボールねじによって昇降可能である。
【0061】
ここで、本実施形態では、射出成形部10は、ネック部2Aを上向きとした正立状態にてN個のプリフォーム2を射出成形している。反転部200は、正立状態のプリフォーム2を、ネック部2Aを下向きとした倒立状態に反転させることができる。つまり、冷却時間中に反転動作させることができ、反転時間等を別途確保することなく冷却時間を長く確保できる。
【0062】
また、本実施形態では、冷却部20は、射出成形部10にてN個のプリフォーム2を射出成形するのに要する射出成形サイクルタイム以上の時間に亘って、N個のプリフォーム2を強制冷却することができる。
【0063】
このために、第mサイクルにて射出成形された正立状態のN個のプリフォーム2が、N個の第1冷却ポット210にて保持された後に反転部200により反転されて倒立状態にて冷却されている間に、第(m+1)サイクルにて射出成形された正立状態のN個のプリフォームが、N個の第2冷却ポット220にて保持されて冷却される。つまり、反転部200には、第mサイクルのN個のプリフォーム2と、第(m+1)サイクルのN個のプリフォーム2とが一時的に存在する。このため、第mサイクルのN個のプリフォーム2は、第(m+1)サイクルのN個のプリフォーム2の射出成形サイクルタイム以上の時間に亘って強制冷却されていることが分かる。
【0064】
冷却部20では、プリフォーム2を射出成形サイクルタイム以上の時間に亘って強制冷却することで、室温までは冷却できないが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製プリフォームの場合であれば、離型温度からさらに10℃前後降温させて、70℃〜80℃程度の温度まで冷却される。
【0065】
冷却部20での強制冷却は、冷却後の温度もさることながら、同時に射出成形されたN個のプリフォーム2の温度を、加熱開始タイミングを変えて加熱する場合であっても、加熱直前のN個のプリフォーム2の温度差を抑制することにある。射出成形時の保有熱を有するプリフォームは、自然冷却では自然冷却時間に依存して加熱直前のN個のプリフォーム2に明らかな温度差が認められるからである。
【0066】
このように、本実施形態は1.5ステージ方式の射出延伸ブロー成形装置でありながら、射出成形部10から搬出後のプリフォーム2を強制冷却している。ただし、冷却されたプリフォーム2は室温まで冷却される必要はなく、射出成形時の熱を保有していることには変わりはないので、1ステージ方式の装置のエネルギー効率上の利点を共有できる。
【0067】
4.加熱部
加熱部30は、冷却されたN個のプリフォーム2を延伸適温まで加熱するものである。本実施形態では、加熱部30は、ネック部2Aを下向きとした倒立状態にてN個のプリフォーム2を加熱するものである。本実施形態ではさらに、N個のプリフォーム2を連続搬送しながら加熱するものである。
【0068】
このために、加熱部30は、k(kは2以上の整数)サイクル分の(k×N)個のプリフォーム2が搬送される閉ループまたは循環ループをなす搬送路300のうち一部の連続搬送路310に沿って配置されている。搬送路300は、複数のスプロケット321〜328(
図1参照)と、複数のスプロケット321〜328に係合可能であって、各々が一つのプリフォーム2を保持する複数の搬送部材330(
図5及び
図6参照)と、複数の搬送部材330を搬送方向に沿って案内する案内レール340(
図5及び
図6参照)と、を有することができる。本実施形態では、搬送路300には、上流側の連続搬送路310と下流側の間欠搬送路312とが並存している。
【0069】
搬送部材330は、
図5及び
図6に示すように、自転軸331の一端部(上端部)にネック部2Aに挿入される保持部332が固定され、自転軸331の他端部(下端部)には自転駆動力が付与されるスプロケット333が固定されている。スプロケット333は、
図1の加熱部30に配される固定または可動チェーン350に係合して自転軸331と共に自転する。
【0070】
加熱部30は、高さ方向にて多段で搬送方にて間隔をおいて配置されたヒーター例えばクォーツヒーター30Aと反射鏡(図示せず)とを連続搬送路310の両側に配置して構成することができる。加熱部30内では、ヒーターの背面から熱風を吹き出してもよく、この熱風を加熱部30内にてプリフォーム2の搬送方向に沿って導くことができる。なお、加熱されるプリフォーム2を自転させるので、温度むらが発生することがない。
【0071】
自転軸331には、遮熱部材360がスライダー361に支持されている。スライダー361は、
図6に示すように、カム362によって押し上げられると、遮熱部材360がプリフォーム2のネック部2Aを包囲して遮熱することができる。
【0072】
図7に示すように、搬送方向にて隣り合う2つの搬送部材330は、互いにが接するリング状部材334を有する。このリング状部材334は、自転軸331に対して回転ベアリング335を介して支持されている。リング状部材334の外周は例えば円形であり、隣り合うリング状部材334は転接可能である。こうすると、湾曲搬送路でも隣り合うリング状部材334は転接関係を維持できる。
【0073】
図7に示すように、搬送方向にて連続するM(例えばM=8)個の搬送部材330は、連結部材371により連結されて一つの搬送治具370を構成することができる。連結部材371は、一つの自転軸331を例えば上流側にて隣り合う他の自転軸331と連結する内側リンク372と、一つの自転軸331を例えば下流側にて隣り合うさらに他の自転軸331と連結する外側リンク373とを含んで構成される。内側リンク372と外側リンク373との連鎖である連結部材371がチェーンを形成し、このチェーン(連結部材)371が
図1に示す複数のスプロケット321〜328に噛合される。つまり、本実施形態では無端状チェーンは用いられず、M個の搬送部材330を連結する連結部材371がチェーンを形成している。
【0074】
なお、
図7に示すようにM個の搬送部材330を連結して搬送治具370を構成する場合、同時ブロー成形個数Mが異なる仕様では、個数Mに合わせて搬送治具370を用意しなければならない。これに対して、非連結の搬送部材330を用いる場合には、同時ブロー成形個数Mの変化に対する対応が容易となる。ただし、連結せずに個々の搬送部材330を用いる場合には、スプロケット231〜238等の連続・間欠駆動部材に係合するチェーンに相当する部材を、個々の搬送部材330に設けておく必要がある。
【0075】
搬送路300に配置された複数のスプロケット321〜328のうち、例えば、スプロケット321,323,324は連続回転駆動スプロケット、スプロケット325,327は間欠駆動スプロケット、スプロケット322,326,328は従動スプロケットとすることができる。連続駆動源は例えばスプロケット324を駆動し、その駆動力はベルト328A,328Bを介して他の連続駆動スプロケット321,323に伝達される。間欠駆動源は例えばスプロケット325を駆動し、その駆動力はベルト329を介して他の間欠駆動スプロケット327に伝達される。このように、搬送路300の上流経路320は連続駆動であり、下流経路312は間欠駆動であり、ループ状の搬送路300に連続・間欠駆動が並存している。
【0076】
図2に示す冷却部20の下方には、(n+1)以上の数例えば4つの搬送治具370を並列駆動する並列駆動装置380が配置されている。この並列駆動装置380は、
図8(A)(B)に示すように、各軸端部の各2つのスプロケット381,382に掛け渡された2つのチェーン383に多数の搬送レール384の両端を取り付けて構成される。この搬送レール384の各々には、
図1の従動スプロケット328で案内される一つの搬送治具370が長手方向からスライドインされ、その搬送治具370の8つのリング状部材334が搬送レール384に載置されて支持される。
【0077】
その後、スプロケット381,382の一方が1ステップ分だけ回転され、搬送レール384が1ステップ分だけ移送される。この動作を繰り返すことで、並列駆動装置380には常時4つの搬送治具370が配置される。そして、
図2に示すように、下流側のn(n=N/Mで本実施形態ではn=3)個の搬送治具370に、冷却部20(反転部200)からプリフォーム2が受け渡される。
【0078】
また、並列駆動装置380に配置される4列の搬送治具370の中の先頭列は、
図1に示すように、例えばエアシリンダー等で構成される搬出装置(図示省略)により矢印C方向に押し出される。これにより、プリフォーム2が搭載された8つの搬送部材330(搬送治具370)が順次、連続駆動スプロケット321と係合して連続搬送されることになる。
【0079】
ここで、説明の便宜上、
図1及び
図8(B)では、一つの搬送治具370の中の先頭の搬送部材330(またはプリフォーム2)の位置を、先頭以外の他の7つと区別するためにマーキングしている。
図8(B)の先頭列の搬送治具370の中の先頭の搬送部材330が、搬出装置により搬出されて最上流の連続駆動スプロケット321と係合される。その後は、連続駆動スプロケット321から搬送治具370に連続搬送力が付与される。
【0080】
連続搬送路310に存在する3つの連続駆動スプロケット321,323,324と係合する各搬送治具370(搬送部材330)に駆動力が付与されることで、それよりも上流側にて連続駆動スプロットと非係合の他の搬送治具370(搬送部材330)が押動され、複数の搬送治具370が連続搬送路310に沿って連続搬送される。
【0081】
プリフォーム2の射出成形工程、冷却工程、加熱工程の概略の搬送動作を、
図9を参照して説明する。なお、図中の矢印に付した符号のうち、I1〜I8はそれぞれ間欠搬送を意味し、C1〜C3は連続搬送を意味する。
【0082】
射出成形部10で射出成形されたN個のプリフォーム2は、取出し装置120によりポット122がI1方向に間欠搬送された後にポット122から取り出される。プリフォーム2は、搬送装置50を介して冷却部20に受け渡され、冷却部20にてI2方向に反転されて、並列駆動装置380上の3つの搬送治具370にM個ずつ分けて搭載される。
【0083】
並列駆動装置380上の先頭の搬送治具370は、図示しない搬出装置により矢印I3方向に間欠的に搬送されて、連続搬送路310に搬出される。連続搬送路310では、連続駆動スプロケット321,323,324の駆動力と、前後の搬送部材370がリング状部材334で密接することにより、複数の搬送治具370が連続搬送される。その過程で、プリフォーム2は加熱部30により自転されながら加熱される。
【0084】
図1においては、搬送路300の下流側の間欠搬送路312は、間欠搬送が終了した直後の状態を示している。連続駆動スプロケット324に係合している搬送治具370Bの上流側には、一つの搬送治具370分の長さだけ空白の領域が存在している。つまり、連続駆動スプロケット324に係合している搬送治具370の上流側の複数の搬送治具370は、間欠駆動スプロケット325,327の間欠駆動により、連続搬送よりも速い速度で間欠搬送される(
図9の矢印I4参照)。
【0085】
図1の状態から連続駆動スプロケット324が連続駆動を続けることで、連続駆動スプロケット324に係合している搬送治具370は連続搬送される。このとき、間欠駆動スプロケット325は、搬送治具370と係合して従属的に回転する。やがては、間欠搬送路312で間欠停止している上流側の搬送治具370とリング状部材334を介して密接し、そのタイミングで間欠搬送が実施される。それにより、連続駆動スプロケット324に係合している搬送治具370の上流側には、一つの搬送治具370分の長さだけ空白の領域が再度存在することになる。以降は、この動作が繰り返し実施される。また、間欠駆動が繰り返される度に、
図8(A)に示す並列駆動装置380の搬送レール384に一つずつ搬送治具370が搬入される(
図9の矢印I5参照)。それと同期して、
図9の矢印I3で示す通り、連続搬送路310に新たなM個のプリフォーム2を搭載した搬送治具370が間欠供給される。
【0086】
5.ブロー成形部
ブロー成形部40は、M個のプリフォームを吹き込みエアーと延伸ロッドの縦軸駆動で二軸延伸して容器に成形するものである。図示しないブローキャビティ型、ブローコア型及び必要により底型が型締めされる。これらの構造は周知であるので、説明を省略する。加熱部30よりブロー成形部40にM個のプリフォーム2を移送する間欠搬送機構400が設けられている。間欠搬送機構400は、例えば一対のネック保持板401,402で構成される。
図1では、一対のネック保持板401,402はそれぞれ移動前後の位置で示されているが、実際には一対のネック保持板401,402によりネック部2Aを保持してプリフォーム2が搬送される。
【0087】
本実施形態では、ブロー成形部40ではプリフォーム2が正立状態でブロー成形され、一対のネック保持板401,402により正立状態でプリフォーム2が搬送される。一対のネック保持板401,402は、ブロー成形されたM個の容器を取出し部60にて取り出す動作にも兼用される。
【0088】
加熱部30よりブロー成形部40にM個のプリフォーム2を搬送するために、図示しないM個の搬送アームが使用される。この搬送アームの動作として、
図2に示すように、搬送路300の下流にて間欠搬送された搬送治具370からM個のプリフォーム2を図示D方向に倒立状態で取出し、図示F方向に反転して正立状態とする(
図9の矢印I6参照)。
【0089】
搬送アームはさらに、
図2に示すように、配列ピッチが加熱時の挟ピッチからブロー成形時の広ピッチに変換する機能も有する。
図2の矢印D,Fの付近には、口径及び長さの小さいM=8個のプリフォームを反転しピッチ変換する様子と、口径及び長さの大きいM=4個のプリフォームを反転しピッチ変換する様子とを、参考のために描かれている。
【0090】
その後、搬送アームから一対のネック保持板401,402にプリフォーム2が受け渡されて、ブロー成形部40に搬入される(
図9の矢印I7参照)。なお、プリフォーム2をブロー成形部40に搬入する
図9の矢印I7の動作と、ブロー成形後の容器を取出し部60に搬出する
図9の矢印I8の動作とは、共に一対のネック保持板401,402を用いて同時に実施できる。
【0091】
6.実施形態の射出延伸ブロー成形装置の作用・効果
本実施形態によれば、1.5ステージ方式において、同時に射出成形されたN個のプリフォームをn回に分けてM個ずつブロー成形動作する各回での成形温度差を小さくすることができる。このことを、比較例と対比しながら
図10を参照して説明する。
【0092】
図10には、本実施形態でのプリフォーム温度TEと比較例である特許文献5の1.5ステージ方式の装置でのプリフォーム温度TCとを示している。本実施形態では、N=24個のプリフォームを同時に射出成形し、強制冷却、加熱後にM=8個ずつブロー成形した。比較例では、8個のプリフォームを同時に射出成形し、間欠搬送による加熱後に4個ずつブロー成形した。
【0093】
図10に示す時間T1は本実施形態の冷却部20での強制冷却期間であり、時間T2は比較例での加熱部での間欠搬送時間であり、時間T3は本実施形態での加熱部30での連続搬送時間である。
【0094】
図10に示す比較例では、最初にブロー成形される4個のプリフォームは、加熱によって特性TC1に従って昇温され、2回目にブロー成形される4個のプリフォームは、加熱によって特性TC2に従って昇温される。特性TC1,TC2の相違は、加熱直前の温度にあり、両者間には比較的大きな温度差Δtが生じている。この温度差Δtは、
図10に示すようにブロー成形時にも生じている。
【0095】
一方、
図10に示す本実施形態では、最初にブロー成形される8個のプリフォームは、加熱によって特性TE1に従って昇温され、2回目、3回目にそれぞれブロー成形される各8個のプリフォームは、加熱によって特性TE2,TE3に従ってそれぞれ昇温される。特性TE1〜TE3の相違も加熱直前の温度ではあるが、それらの間の温度差ΔTは、比較例のΔtと比べて格段に小さくなる。この小さな温度差ΔTは、
図10に示すようにブロー成形時にも生じている。
【0096】
このように、同時に射出成形されたプリフォームをn回に分けてブロー成形する1.5ステージ方式では、最初の回でブロー成形されるプリフォーム温度は、その後の回でブロー成形されるプリフォーム温度よりも高い傾向となる。これは、射出成形後から加熱開始までの時間が、最初の回の方が後の回よりも必然的に短くなるからである。特に加熱部は、同時に射出成形されたプリフォームのうち、最初にブロー成形されるプリフォームと、その後にブロー成形されるプリフォームとを、一列で搬送中に加熱する場合に顕著である。こうすると、同時射出成形後の加熱開始時期が、ブロー成形個数のプリフォームを単位として異なる。
【0097】
図11は、
図10のプリフォーム温度をさらに詳細に解析し、
図10と同じ特許文献5(1.5ステージ方式)のプリフォーム温度TC1,TC2を比較例1とし、特許文献1等の2ステージ方式のプリフォーム温度TD1〜TD3を比較例2とし、本実施形態のプリフォーム温度TE1〜TE3と比較した熱履歴の図である。
【0098】
図11では、本実施形態での強制冷却期間T1が開始される前では、比較例1のプリフォーム温度TCと本実施形態のプリフォーム温度TEは同一に推移する条件とした。
図11から明らかなように、本実施形態での強制冷却期間T1では急激な勾配で温度降下するが、強制冷却期間T1の経過後の自然冷却時の温度降下勾配θ2は、強制冷却期間がなく自然冷却され続ける比較例1の温度降下勾配θ1よりも小さい。これは、本実施形態では強制冷却期間T1によりプリフォーム温度TEが比較例1のプリフォーム温度TCよりも低くなっているからであり、プリフォーム温度が低いほど温度降下率は低くなるからである。
【0099】
加えて、比較例1では加熱部にて間欠搬送するため、最初にブロー成形されるプリフォーム群が少なくとも加熱部内にて停止している時間に亘って、その後にブロー成形されるプリフォーム群は加熱部への搬入が待機され、加熱部への搬入タイミングの差が大きくなる。加熱部への搬入タイミングが送れ、その待機時間に亘って比較的大きい温度降下勾配θ1でプリフォーム温度TCが降下するため、加熱部に最初に搬入されるプリフォーム温度TC1と次に搬入されるプリフォーム温度TC2との差が大きくなる。
【0100】
一方、本実施形態のように連続搬送であれば、加熱部30への搬入タイミングの差は小さい。本実施形態にて加熱部30に順次搬入されるプリフォームの温度TE1,TE2,TE3の温度差は、搬入タイミング差と温度降下勾配θ2に依存するが、いずれも値が小さいために、プリフォームの温度TE1,TE2,TE3の温度差は比較的小さくなる。
【0101】
このように、冷却部20での強制冷却と加熱部30での連続搬送との相乗効果(温度降下勾配の減少と加熱部への搬入タイミング差の短縮)により、加熱部30に順次搬入されるプリフォームの温度TE1,TE2,TE3の温度差を小さくできることが分かる。なお、本実施形態での連続加熱期間T3は、加熱開始温度が低いために、比較例1の間欠加熱期間T2よりも長くなる。
【0102】
ここで、冷却部20での強制冷却と加熱部30での連続搬送とのいずれか一方を実施するだけでも、比較例1よりもプリフォームの温度TE1,TE2,TE3の温度差を小さくすることができる。よって、本実施形態にて冷却部20を用いないか、あるいは冷却部20にて冷却媒体を用いずに自然冷却しても、加熱部30にて連続搬送することで、比較例1よりもブロー成形品質を向上させることができる。
【0103】
一方、比較例2では、室温のプリフォームを加熱部に搬入するので、加熱部への搬入段階でのプリフォーム温度TD1,TD2,TD3の差は、本実施形態及び比較例1よりも小さくなる。しかし、比較例2では室温からブロー適温に昇温させるのに加熱期間T4が極めて長くなり、そのために消費エネルギーも大きくなり、加熱路の全長が長くなる点は改善の余地がない。
【0104】
本実施形態では、プリフォームが保有する射出成形時の熱がn回のブロー成形動作間のプリフォーム温度に与える影響を、射出成形部10から搬出されたN個のプリフォームを、冷却部20での強制冷却することで緩和した。プリフォームを強制冷却すると、加熱開始前でのN個のプリフォームの個々の温度差が、強制冷却をしない場合(自然冷却)よりも小さくなるからである。また、プリフォームを強制冷却しても、室温まで冷却する必要はないので、プリフォームが保有する射出成形時の熱をブロー成形に利用する利点は維持される。
【0105】
ここで、ブロー成形特性はプリフォーム温度と密接な関係があり、温度が高ければ延伸しやすく、温度が低ければ延伸しにくい。よって、同時に射出成形されたプリフォームを各回に分けてブロー成形する1.5ステージ方式では、各回にてプリフォーム温度差が生じてしまう。本実施形態では、各回での成形温度差を
図10に示すΔTとして比較例のΔtよりも格段に小さくすることができる。よって、本実施形態ではブロー成形品質が各回でばらつくことを抑制できる。
【0106】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるものである。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【0107】
7.取出し装置120の変形例
図1及び
図2に示す取出し装置120として、特許第4148576号公報に開示された構成に付加される構成について、
図12〜
図14(A)(B)を参照して説明する。取出し装置120は、射出成形部10とその外部へと移動する2つのレール本体120Aと、2つのレール本体120A上にてピッチ変換可能にポット122を支持する複数列例えば3列のポット支持台123A〜123を有する。中央のポット支持第123Aはレール本体120Aに固定され、その両側のポット支持台123B,123Cはレール本体120Aに対して移動可能である。3列のポット支持台123A〜123Cは、ポット支持孔124を有し、ポット支持孔124には吸引口124Aが形成されている。
【0108】
図13(A)に示す中央のポット支持台123Aと、
図13(B)に示す両側のポット支持台123B,123Cには、吸引口124Aに連通する吸引流路125(125A,125B)が設けられている。
図13(A)に示すように、固定のポット支持台123Aの吸引流路125Aは両端にて開口され、レール本体120Aに設けられた吸引流路126と常時連通している。一方、
図13(B)に示すように、可動のポット支持台123B,123Cの吸引流路125Bは側面125Cにて開口され、2つのレール本体120Aを連結する2つの連結部127に設けられた吸引流路128と連通している。
【0109】
一方の連結部127には、ピッチ変換駆動部129として2つのエアシリンダー129A,129Bが支持されている。一方のエアシリンダー129Aのロッドは固定のポット支持台123Aに形成された孔123A1を介して可動のポット支持台123Bに固定されている。他方のエアシリンダー129Bのロッドは可動のポット支持台123Cに固定されている。
【0110】
図14(A)は広ピッチ状態を示している。このとき、可動のポット支持台123B,123Cの吸引流路125Bは2つの連結部127に設けられた吸引流路128と連通している。広ピッチ状態は、射出成形部10にてプリフォームを受け取るときに設定されるので、3つのポット支持台123A〜123Cに支持されたポット122(
図1及び
図2参照)内にプリフォームを吸引して支持することができる。
【0111】
図14(B)は狭ピッチ状態を示している。このとき、可動のポット支持台123B,123Cの吸引流路125Bは2つの連結部127に設けられた吸引流路128と不連通となる。狭ピッチ状態は、取出し装置120が射出成形部10の外部の
図2に示す受け渡し位置に到達した後または到達前に設定される。
図2に示す受け渡し位置では、プリフォームの受け渡しのために吸引状態を解除する必要があるが、狭ピッチ開始時に吸引流路128と不連通になるため、バキュームは自動的に解除される。なお、可動のポット支持台123B,123Cの吸引流路125Bは2つの連結部127に設けられた吸引流路128と不連通となるとプリフォームを吸引できないが、プリフォームの吸引は射出成形部10にてプリフォームを受け取るときのみに実施すれば足りるので、問題はない。また、固定のポット支持台123Aについては他の可動のポット支持台123B、123Cよりバキュームの影響が長く残りやすい。このため、別途エア供給回路を固定ポット支持台123Aに連通できる形で設け、狭ピッチ開始時にエアを送り込むことで、プリフォーム2と固定ポット支持台123Aとの分離を促進する手段を実施してよい。
【0112】
8.プリフォーム搬送装置50の変形例
図1に示すプリフォーム搬送装置50は、
図3(A)(B)に示す構成の変形例について、
図15(A)(B)及び
図16(A)(B)を参照して説明する。
図15(A)(B)に示すベース盤530は、
図2に示す第1,第2エアシリンダー510,520により垂直・水平移動される。このベース盤530には、固定板531と可動板532とが支持されている。固定板531と可動板532には、
図3(A)(B)に示すプリフォーム保持具500に代えて、あるいは
図16(A)(B)に示すプリフォーム保持具540が支持される。
【0113】
固定板531と可動板532の間隔はギャップ変換駆動部であるエアシリンダー533により、
図15(A)に示す広ギャップG1と
図15(B)に示す狭ギャップG2とに変換される。
【0114】
図15(A)に示す広ギャップG1は、射出成形部10でのホットランナー型の樹脂出口のレイアウトの関係から発生する。広ギャップG1が生じていると、固定板531及び可動板532に支持されているn=3列の各列にて支持されるM=8個のプリフォームの配列ピッチが一定とならない。そこで、プリフォーム搬送装置50が冷却部20にプリフォームを受け渡す前に、
図15(A)に示す広ギャップG1から
図15(B)に示す狭ギャップG2へと変換され、n=3列の各列にて支持されるM=8個のプリフォームの配列ピッチを一定に揃えている。これにより、冷却部20、加熱部30及びブロー成形部40でのプリフォーム配列ピッチを一定に揃えることができる。特に本実施形態では加熱部30にて連続搬送しているので、個々のプリフォームが隣り合うプリフォームからの影響を一定にする必要があることから、連続搬送されるプリフォームの配列ピッチを一定にすることが重要である。なお、M=4個のような径が大きいプリフォームにて実施する場合は、逆にギャップを広げることで、配列ピッチを一定にしても構わない。
【0115】
図15(A)(B)に示す固定板531と可動板532には、
図3(A)(B)に示すプリフォーム保持具500に代えて、
図16(A)(B)に示すプリフォーム保持具540が支持される。このプリフォーム保持具540は、保持具本体541と、保持具本体541に固定されたコア542と、保持具本体541に対して可動の天面シール部材543とを有する。
【0116】
固定板531(可動板532)には吸引通路531A(532A)が形成され、この吸引通路531A(532A)は保持具本体541とコア542を介してプリフォーム2のネック部2Aに連通される。
【0117】
天面シール部材543は、保持具本体541に対して昇降自在に支持されると共に、付勢部材例えば圧縮コイルスプリング544により常時下方に移動付勢されている。
【0118】
取出し装置120のポット122に支持されたプリフォーム2上にプリフォーム保持具540が配置され、プリフォーム保持具540が
図2に示す第1のエアシリンダー510により下降されると、コア542がプリフォーム2のネック部2Aに挿入されると共に、天面シール部材543によりネック部2Aの天面がシールされる。このとき、天面シール部材543は圧縮コイルスプリング544の弾力性により当接時の衝撃を緩和すると共に、天面シール性を維持する。
【0119】
その後バキュームオンされると、プリフォーム2がプリフォーム保持具540側に吸引され、取出し装置120のポット122に支持されたプリフォーム2がプリフォーム保持具540に受け渡される。プリフォーム保持具540が冷却部20にプリフォーム2を搬送するとバキュームオフされ、プリフォーム2は
図4に示す冷却ポット220に受け渡される。
【0120】
9.冷却部の変形例
次に、
図17〜
図20を参照して冷却部20の変形例について説明する。
図17に示す冷却部20は、
図4と同様に回転軸204を中心として回転する反転部200を有する。
図17に示す冷却部20には、
図18(A)〜
図18(C)に示すようなサイズの異なるプリフォームを冷却する冷却ポット210A〜210Cを装着することができる。
【0121】
そのために、
図19に示すように、反転部200にはポット挿入孔として小径孔250Aと大径孔250Bとが設けられている。n=3列の各列にM/2=4個の大径孔250BがピッチPで形成されている。n=3列の各列にはさらにM/2=4個の小径孔250Aが大径孔250Bと交互に形成されている。小径孔250A及び大径孔250Bの配列ピッチはP/2である。
【0122】
図18(A)に示す径の大きいプリフォーム2は射出成形部10での射出成形個数をN/2に減少される。この場合、反転部200に形成されたn列の各列にてM/2個の大径孔250Bに、
図18(B)に示す冷却ポット210Aを配置することで、第1,第2面201,202の各々にN/2個の冷却ポット210Aを配置できる。
【0123】
一方、
図18(B)または
図18(C)に示すような径の小さなプリフォームはN個同時に射出成形することができるため、各M/2個の小径孔250Aと大径孔と250Bを用いて、第1,第2面201,202の各々にN個の冷却ポット210Bまたは210Cを配置できる。径の小さなプリフォームのための冷却ポットを同一サイズとした場合、大径孔250Bに
図18(B)または
図18(C)に示す冷却ポット210B,210Cを挿入した時の隙間を、ライナー等で埋めることができる。
【0124】
なお、反転部200の大径孔250Bに挿入される冷却ポット210Aは、
図20(A)に示すポット固定板260Aにより反転部200に固定され、それにより小径孔250Aが閉鎖される。反転部200の小径孔250Aに挿入される冷却ポット210B,210Cは、
図20(B)に示すポット固定板260Bにより反転部200に固定される。
【0125】
図18(A)〜
図18(C)に示すように、いずれの冷却ポット210A〜210Cにも、外壁に凹部211が形成されている。本実施形態では冷却ポット210A〜210Cの外壁の上下二段にて、周方向に連通する凹部211が形成されているが、一段だけでもよい。
【0126】
一方、反転部200は冷却媒体例えば冷水の流路230A〜230Dを有する。上下二段で水平に延びる流路230A,230Bは、冷却ポット210A〜210Cの上下二段の凹部211と連通することで冷却媒体を流通させる。それにより、凹部211は冷媒流路の一部となる。
【0127】
このように、冷却ポット210A〜210Cの外壁に冷却媒体を広い面積で直接接触させることで、冷却効率を向上させることができる。しかも、冷却ポット210A〜210Cはプリフォームサイズが異なると変更されるが、冷却ポット210A〜210Cの外壁周面に凹部211を共通して形成しておくだけで、流路230A〜230Dが形成された反転部200を共用することができる。
【0128】
10.加熱部30の下流の反転受け渡し装置
図2に示す反転方向Fまたは
図9に示す反転方向I6と、
図2に示す上昇方向Dにプリフォーム2を搬送して、
図1に示す間欠搬送機構400にプリフォーム2を受け渡す反転受け渡し機構70について、
図21〜
図23を参照して説明する。
【0129】
図21〜
図23に示すように、反転受け渡し機構70は、ガイド軸700に沿ってリニアベアリング701を介して昇降する昇降板702と一体で移動する昇降部710を有する。昇降板702は、昇降駆動部例えばサーボモータ711により駆動するボールねじ712に螺合するナット部713を有する。
【0130】
昇降部710には、M個の一対のチャック720Aと、M個の一対のチャック720Bとが、
図22に示すように上下2箇所に設けられた開閉駆動部例えばエアシリンダー730A,730Bにより同時に開閉駆動可能に支持されている。
図22に示すエアシリンダー730Aは、
図22にて左側に位置するチャック720A,720Bを同時に開閉駆動し、
図22に示すエアシリンダー730Bが
図22の右側に示すチャック720A,720B(
図22では720Bのみが図示されている)を同時に開閉駆動する。
【0131】
M個の一対のチャック720Aと、M個の一対のチャック720Bとは、回転軸731と共に、回転軸731を回転中心として回転される。回転軸731には溝付プーリー732が固定される。回転駆動部例えばサーボモータ733により回転駆動される溝付プーリー734と、回転軸731に固定された溝付プーリー732とにはタイミングベルト735が掛け渡されている。
【0132】
昇降部710が下降位置にあるとき、加熱部30にて加熱された倒立状態のM個のプリフォームが、下側に位置するM個の一対のチャック720Bが閉鎖駆動されて保持される。その後、昇降部710が上昇したのち、M個の一対のチャック720Aと、M個の一対のチャック720Bとが回転軸731を回転中心として回転される。それにより、M個の一対のチャック720Bが上側に位置され、
図2の矢印Fで示すようにプリフォーム2が倒立状態から正立状態に反転される。
【0133】
11.ブロー成形部及び間欠搬送機構
図24は、ブロー成形部40及び間欠搬送機構400の具体例を示している。
図25はブロー成形部40の正面図である。間欠搬送機構400は、搬入部410と搬出部420とを一体的に
図24の第2方向D2に往復駆動する。この往復駆動は、往復駆動部例えばサーボモータ430の回転軸に固定された2つのピニオンギア431,431と、それらと噛合されて直線駆動される2つのラック432(
図24では部分的にみ示す)により実現される。搬入部410と搬出部420とは、ラック432,432と一体的に往復駆動される。その往復駆動により、搬入部410はプリフォーム受取位置P1とブロー成形位置P2との間を往復し、搬出部420はブロー成形位置P2と取出し位置P3との間を往復する。なお、
図24では搬入部410がプリフォーム受取位置P1とブロー成形位置P2との2箇所に実線で描かれているが、搬入部410はいずれか一方のみにて停止される。
【0134】
搬入部410は、M個のプリフォームを搬送するM個の搬送部材411を有する。M個の搬送部材411の各々は、一対のチャック412を有する。搬出部420は、M個の容器を搬送する一対のチャック422,422から成る搬送部材421を有する。これらの一対のチャック412,422は、
図24に示す複数例えば4つの開閉駆動部の一例であるエアシリンダー440の駆動力がリンク機構441を介して伝達されることで、一体で開閉駆動される。
【0135】
図25に示すように、搬入部410のM個の搬送部材411によりブロー成形部40のブロー成形位置P2にM個のプリフォーム2が、
図25の紙面と直交する方向から搬入される。このとき、ブローキャビティ型41は型開きされている。その後、ブローキャビティ型41や図示しないブローコア型及び必要により設けられる底型が型締めされる。それにより、M個のプリフォーム2はブロー成形部40に受け渡される。その後、M個の搬送部材411の一対のチャック412が開放駆動され、
図24に示すブロー成形位置P2からプリフォーム受取位置P1に移動される。同時に、搬出部420が取出し位置P3からブロー成形位置P2に搬入され、一対のチャック422が開放された状態で待機される。
【0136】
その後、ブロー成形部40にて、M個のプリフォーム2からM個の容器が成形されると、搬出部420の一対のチャック422が閉鎖駆動されて、M個の容器のネック部を挟持する。これと同時に、プリフォーム受取位置P1では、搬入部410のM個の一対のチャック412が閉鎖駆動されて、次のM個のプリフォーム2を挟持する。その後、搬出部420はM個の容器をブロー成形位置P2から取出し位置P3に搬出し、搬入部410はM個のプリフォーム2をプリフォーム受取位置P1からブロー成形位置P2に移動する。これを繰り返すもことで、ブロー成形部40でのブロー成形動作が連続して実施される。
【0137】
次に、
図21〜
図23に示す反転受け渡し機構70から
図24に示す間欠搬送機構400の搬入部410へのプリフォーム2の受渡し動作について、
図26及び
図27を参照して説明する。
【0138】
図26及び
図27に示すT0〜T4は時間軸で変化するタイミングであり、T0からT4に変化する。
図26及び
図27は、T0からT4に変化する時間軸上での一対のチャック720A(以下、一対の第1チャックと称する)と一対のチャック412(以下、一対の第2チャックと称する)の動作を示している。これらの動作は、
図24に示すプリフォーム受渡し位置P1にて実施される。
【0139】
タイミングT0では、開放状態の一対の第2チャック412の下方で、一対の第1チャック720Aに挟持されたプリフォーム2が待機している。次のタイミングT1では、一対の第1チャック720Aに挟持されたプリフォーム2が上昇されて、開放状態の一対の第2チャック412の間にネック部が配置される。
【0140】
さらにその後、タイミングT2にて開放状態の一対の第2チャック412が閉鎖駆動される。よって、タイミングT2では、プリフォーム2のネック部は、一対の第1チャック720Aと一対の第2チャック412の双方で挟持される。
【0141】
その後、タイミングT3で一対の第1チャック720Aが下降移動される。それにより、プリフォーム2は一対の第1チャック720Aから一対の第2チャック412に受け渡される。
【0142】
なお、その後、一対の第2チャック412はプリフォーム受取位置P1からブロー成形位置P2に搬送される。さらにその後に、一対の第1チャック720Aは下降された後に、
図21に示すサーボモータ733の駆動により回転されて、新たなM個のプリフォーム2を挟持した第1チャック720Bが、
図26及び
図27のタイミングT0にて示す位置に設定される。さらにその後に、ブロー成形位置P2からプリフォーム受渡し位置P1に一対の第2チャック412が復帰され、
図26及び
図27のタイミングT0にて示す位置に設定される。以降は、上述したプリフォーム受渡し動作が繰り返される。