【解決手段】エアゾール容器11と、そのエアゾール容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材15とからなるエアゾール装置(吐出装置)10。エアゾール容器11の肩カバー14には、エアゾール容器11の全体の方向を認識させる平面壁21(方向認識部)が設けられており、上下方向に延びる案内溝29(第1吐出部材ガイド)が設けられている。一方、吐出部材15の装着体17には、案内溝29に挿入される案内凸部40(第1肩カバーガイド部)が設けられている。この案内溝29と案内凸部40とが、装着体17を肩カバー14(エアゾール容器11)に装着させるときに装着体17をガイドする案内機構となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吐出容器と吐出部材とは、吐出容器のステムと吐出部材の押ボタンとの係合、吐出容器と吐出部材の本体の係合の2箇所を連結して装着される。また、押ボタン等の操作で外れないように強固に係合される。そのため、吐出容器と吐出部材とを脱着可能に構成しても、それらの装着は煩雑である。
特許文献1の噴射部材は、押ボタンと噴射部材本体とが一体化されているが、ヒンジで連結されているにすぎず、それぞれ独立して係合することになる。その一方、いずれか一方を先に不完全な状態で装着すると、他方の装着も不完全な状態となりやすい。特に、噴射部材本体とエアゾール容器とを装着した後、押ボタンとステムとを装着する場合、噴射部材本体とエアゾール容器との装着が不完全(噴射部材本体がエアゾール容器に対して傾斜した状態)であると押ボタンとステムの位置がずれるため、押ボタンとステムの装着も不完全になりやすい。このような状態で噴射操作すると、押ボタンとステムの装着部分から内容物が漏れるという問題が起こる。
さらに、特許文献1の噴射部材は、エアゾール容器の金属製の環状凹部と直接着脱させるため、繰り返し着脱を行うと、係合突起などが劣化するという問題もある。
本発明は、着脱が確実に、かつ、容易にできる吐出部材を備えた吐出装置ならびにその吐出装置に用いられる吐出容器、吐出部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の吐出装置は、弁棒を有する吐出容器と、その吐出容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材とからなる吐出装置であって、前記吐出容器は、容器本体と、その容器本体を閉じ、弁棒を備えたバルブアッセンブリと、、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の肩カバーとを備えており、前記吐出部材は、前記弁棒に装着される押ボタンと、肩カバーに装着される装着体とを備えており、前記肩カバーに方向認識機構が設けられており、前記肩カバーと装着体との間に、装着体を肩カバーに装着させるときに装着体を案内する案内機構が設けられていることを特徴としている。
なお、吐出容器としては、容器本体と、その容器本体を閉じ、1つの弁棒を有するバルブアッセンブリと、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の
肩カバーとを備えた吐出容器(1つの弁棒を有する吐出容器);容器本体と、その容器本体を閉じ、2つまたは複数の弁棒を有するバルブアッセンブリと、2つまたは複数の弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の肩カバーとを備えた吐出容器(2つまたは複数の弁棒を有する吐出容器);2つまたは複数の容器本体と、それぞれの容器本体を閉じ、1つの弁棒を有するバルブアッセンブリと、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定され、かつ、2つまたは複数の容器本体またはバルブアッセンブリを連結させる筒状の肩カバーとを備えた吐出容器(2連式の吐出容器)が挙げられる。
【0006】
本発明の吐出装置は、前記装着体に装着体を肩カバーから取り外すときに操作する脱離操作機構が設けられていてもよい。
本発明の吐出装置は、前記方向認識機構と案内機構が弁棒を介して直線上に設けられており、前記脱離操作機構が前記直線と直交する直線上に設けられていてもよい。
本発明の吐出装置は、前記方向認識機構が肩カバーの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする肩カバーの平面部(方向認識部)からなるのが好ましい。しかし、肩カバーの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする部位(方向認識部)を有していればよい。
本発明の吐出装置は、前記容器本体またはバルブアッセンブリに容器方向認識機構が設けられてもよい。この容器方向認識機構は、容器本体またはバルブアッセンブリの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする部位(容器方向認識部)からなるのが好ましい。
本発明の吐出装置は、前記脱離操作機構が前記装着体の外周に設けられた係合片であり、前記係合片が下部に設けられ内側にある肩カバーと係合する係合爪と、上部に設けられ係合を解除する押部と、その中央に設けられた軸部とを備えており、その係合爪と肩カバーとが係合するように付勢されており、前記押部が係合片を軸部周りに回転させ、係合爪と肩カバーとの係合を解除された状態で、装着体の外周よりも突出するように形成されていてもよい。
本発明の吐出装置は、前記肩カバーの上端が弁棒の上端より高くてもよい。
【0007】
本発明の吐出容器は、本発明の吐出装置に用いるための吐出容器であって、容器本体と、その容器本体を閉じ、弁棒を備えたバルブアッセンブリと、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の肩カバーとを備えており、前記肩カバーには方向認識機構が設けられており、前記肩カバーにはその肩カバーに付け替え可能に取り付けられる吐出部材を肩カバーに装着させるときに吐出部材を案内する吐出部材ガイド部が設けられていることを特徴としている。前記肩カバーの上端開口部を閉じる封止材が設けられていることが好ましい。
本発明の吐出部材は、本発明の吐出装置に用いるための吐出部材であって、前記弁棒に装着される押ボタンと、肩カバーに付け替え可能に装着される装着体とを備えており、前記装着体には、装着体を肩カバーに装着させるときに装着体を案内する肩カバーガイド部が設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の吐出装置は、弁棒を有する吐出容器と、その吐出容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材とからなる吐出装置であって、前記吐出容器は、容器本体と、その容器本体を閉じ、弁棒を備えたバルブアッセンブリ、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の肩カバーとを備えており、前記吐出部材は、前記弁棒に装着される押ボタンと、肩カバーに装着される装着体とを備えており、前記肩カバーに方向認識機構が設けられており、前記肩カバーと装着体との間に、装着体を肩カバーに装着させるときに装着体を案内する案内機構が設けられているため、吐出部材を吐出容器に対して安定した向きで、かつ、確実に装着することができる。特に、消費者が装着する場合でも、誤った方向での装着を防止し、押ボタンの弁棒への装着および肩カバーへの装着体の装着を実質的に同時に確実に行うことができる。また吐出容器の装飾(容器本体のデザイン
)が吐出部材の向きと合わせるように施されている場合、使用者は正確に吐出部材を吐出容器に装着できる。
特に、2つまたは複数の弁棒を有する吐出容器または2連式の吐出容器であって、それぞれの弁棒から吐出される内容物が異なる場合、毎回同じ向きで吐出部材を吐出容器に装着することにより、吐出部材内で2つの内容物が混じることがない。さらに、内容物が2液式染毛剤などの2つの原液を混合することによって効果を発揮する内容物である場合、一度使用することにより吐出部材内に残った一方の原液が、他方の原液と反応して内容物が劣化することを防止することができる。
このような吐出装置であって、前記装着体に装着体を肩カバーから取り外すときに操作する脱離操作機構が設けられている場合、より一層簡単に、かつ、確実に吐出部材の装着が可能となる。
【0009】
本発明の吐出装置であって、前記方向認識機構と案内機構が弁棒を介して直線上に設けられており、前記脱離操作機構が前記直線と直交する直線上に設けられている場合、吐出部材の装着体を肩カバーに対して正確な向きにあわせやすく、吐出部材の装着が一層容易である。
本発明の吐出装置であって、前記方向認識機構が肩カバーの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする肩カバーの平面部(方向認識部)からなる場合、目視で吐出容器の向きが確認でき、吐出部材の誤装着を一層防止でき、また、その形成も容易である。なお、方向認識機構が肩カバーの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする部位(方向認識部)からなる場合、吐出容器の向きが確認でき、吐出部材の誤装着を防止できる。
本発明の吐出装置であって、前記容器本体またはバルブアッセンブリに容器方向認識機構が設けられている場合、肩カバーを吐出容器のバルブ機構の向きに合わせて正確に固着することができる。例えば、肩カバーの前側と、バルブ機構のディップチューブの延びる向きとを合わせることにより、使用時に傾ける方向と吐出容器内のディップチューブの延びる向きを合わせることができ、内容物を最後まで吐出することができる。特に、容器本体またはバルブアッセンブリの外形が容器本体の軸を中心に非点対称とする部位(容器方向認識部)とする場合、その製造が容易である。
本発明の吐出装置は、前記脱離操作機構が前記装着体の外周に設けられた係合片であり、前記係合片が下部に設けられ内側にある肩カバーと係合する係合爪と、上部に設けられ係合を解除する押部と、その中央に設けられ軸部とを備えており、その係合爪と肩カバーとが係合するように付勢されており、前記押部が係合片を軸部周りに回転させ、係合爪と肩カバーとの係合を解除された状態で、装着体の外周よりも突出するように形成されている場合、肩カバーの係合・解除が簡単に、かつ、確実にでき、吐出部材の取り外しが簡単である。
本発明の吐出装置は、前記肩カバーの上端が弁棒の上端より高い場合、吐出部材を取り外しても弁棒が突出することがないため、バルブ機構が肩カバーによって保護される。また、肩カバーの開口部に封止材を設けるだけで、詰め替え用製品とすることもできる。
【0010】
本発明の吐出装置に用いるための吐出容器であって、容器本体と、その容器本体を閉じ、弁棒を備えたバルブアッセンブリと、弁棒を通し、容器本体またはバルブアッセンブリに固定される筒状の肩カバーとを備えており、前記肩カバーには方向認識機構が設けられており、前記肩カバーにはその肩カバーに付け替え可能に取り付けられる吐出部材を肩カバーに装着させるときに吐出部材を案内する吐出部材ガイド部が設けられているため、詰め替え操作が容易な吐出容器とすることができる。また、前記肩カバーの上端開口部を閉じる封止材が設けられている場合は、大きなキャップが不要になり、原料の使用量を減らしてより環境にやさしい詰め替え用容器となる。
本発明の吐出装置に用いるための吐出部材であって、前記弁棒に装着される押ボタンと、肩カバーに付け替え可能に装着される装着体とを備えており、前記装着体には、装着体を肩カバーに装着させるときに装着体を正しい装着向きに案内する肩カバーガイド部が設
けられているため、装着時の破損が少なく、何度でも再利用ができ、かつ、その取り扱いが容易である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1のエアゾール装置10は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材15とからなる。
エアゾール容器11は、容器本体12と、その容器本体12を閉じるエアゾールバルブ13と、容器本体12および/またはエアゾールバルブ(バルブアッセンブリ)13に固定される肩カバー14とを備えている。肩カバー14には、エアゾール容器11の方向を認識できるように平面壁21(方向認識部)が設けられている。
吐出部材15は、エアゾールバルブ13のステムに装着される押ボタン16と、肩カバー14に装着される装着体17とを備えている。装着体17には、装着体17を肩カバー14から取り外すときに操作する脱離操作部22が設けられている。
そして、肩カバー14と装着体17との間に、装着体17を肩カバー14(エアゾール容器11)に装着させるときに装着体17をガイドする案内機構23(第1案内機構)が設けられている。
このエアゾール装置10のエアゾール容器11と吐出部材15とを分離することにより、エアゾール容器11内の内容物が無くなっても吐出部材15を再利用することができる。一方、
図2bに示すように、エアゾール容器11の開口部に封止材19を設けることにより、詰め替え用のエアゾール容器となる。詰め替え用のエアゾール容器の封止材19を開封し、エアゾール容器11と吐出部材15とを連結することにより、エアゾール装置10として使用することができる。
【0013】
初めに
図2に基づいてエアゾール容器11について説明をする。
容器本体12は、
図2bに示すように、円筒状の胴部、テーパー状の肩部およびその上端に環状に形成されたビード部12aを備えた金属製の耐圧容器である。
この容器本体12は、たとえば、アルミニウムなどの金属円盤をインパクト加工および絞りしごき加工により有底筒状に成形し、または金属カップを絞りしごき加工により有底筒状に形成し、内面に合成樹脂コートを設け、ついで、その胴部上端にネッキング加工を施して肩部および首部を形成し、首部上端にカーリング加工を施してビード12aを形成して成形される。しかし、合成樹脂、ガラス等で容器本体を成形してもよい。この場合、ビード部12aの代わりに、容器本体の上部に外方に突出したフランジが設けられる。
【0014】
エアゾールバルブ13は、容器本体12のビード12aにクリンプされるマウンティングカップ13aと、そのマウンティングカップの中央に保持されるハウジング13bと、そのハウジング13b内に上下移動自在に収容され、ステム孔を有するステム(弁棒)13cと、ハウジング内でステム孔を閉じるステムラバー13dと、ステム13cを常時上
向きに付勢するバネ13eとを有している。なお、ハウジング13bの下端には、容器本体12内に延びるディップチューブ13fが設けられている。このエアゾール容器11は、マウンティングカップ13aの端部(ビード部12aを覆うマウント部)および/またはビード部12aが肩カバー14と係合する係合段部12bを構成する。
ディップチューブ13fは、容器本体12内の内容物を吸い上げるためのものであり、その下端の開口部が容器本体12の底部近辺で開口するように長さが設定されている。特に、クリームやパック剤などのガス量が少ない高級化粧品などの場合、
図2dに示すように、ディップチューブ13fの下部を使用時に容器本体12を傾ける方向(
図2dでは前方)に合わせて湾曲させ、その先端が底部の縁部を向くように配置することで、内容物の残量を極めて少なくすることができる。
なお、エアゾールバルブ13のマウンティングカップ13aにマーク等を設け、製造ライン上でそのマークを認識させることにより、肩カバー14の方向とエアゾールバルブ13の方向を合わせるようにしてもよい。
【0015】
図2bに戻って、肩カバー14は、容器本体12の係合段部12bと係合する円筒状の下部内周壁25と、その下部内周壁の外周に同軸に設けられる円筒状の下部外周壁26と、下部内周壁の上方に縮径して同軸に設けられる筒状の上部周壁27とからなる。下部内周壁25の上端、下部外周壁26の上端および上部周壁27の下端は、リング状の連通板28によって連結している。
下部内周壁25の下端には、半径方向内側に突出した係合爪25aが環状に形成されている。この係合爪25aが、容器本体12の係合段部と係合する。なお、係合爪25aは、複数の爪が環状に設けられていてもよい。また、係合爪25aと容器本体12とは、回転しないように強く固定する。
下部外周壁26には、下端から上方に向かって形成された係合溝26aが2つ等間隔に設けられている。この左右の係合溝26aは、後述する装着体17の脱離操作部22と係合する(
図3b、c参照)。また、係合溝26aと容器本体12の軸とを結ぶ線は、後述する平面壁21と容器本体12の軸とを結ぶ線と直交するように設けられている。これにより、吐出部材15の向きを確認しながら、装着することができる。
【0016】
図2aに示すように、上部周壁27は、湾曲壁27aと、その両端を繋ぐ平面壁21と、それらの上端に設けられるリング状の上壁27bとからなり、平面視で円を割線で切り欠いた形状を呈している。また、湾曲壁27aであって、平面壁21と中心を挟んで相対する部位が、上部周壁27の上下にわたって切り欠かれており、上下方向に延びる案内溝29となっている。上壁27bも同様に切り欠かれている。なお、上部周壁27の上壁27bは、中央に配置されるエアゾールバルブ13のステム13cよりも高くなっている(
図2b、c参照)。
平面壁21(第1方向認識部)は、吐出部材15を装着する際、円筒状の容器本体の方向を認識するための第1方向認識機構となる。この実施形態では、平面壁21は、エアゾール容器11の前方を向いており、前方を示すものである。なお、この平面壁21は、後述するように装着体17の平面部37bと相対するように構成されており、第2吐出部材ガイド部ともなっており、吐出部材を誤った向きで装着するのを防止することができる(
図1a参照)。
案内溝29は、装着体17を肩カバー14に装着させるときに装着体17を正しい向きへの案内を補助する第1吐出部材ガイド部である。また、案内溝29は、平面壁21の反対側にあるため、エアゾール容器11の後方を示し、第2方向認識部としての効果も奏する。
前述したように、リング状の上壁27bの中央孔(エアゾール容器11の開口部)を塞ぐように上部周壁27の上壁27bの上に封止材19(
図2bの想像線)を設けることによりステムを保護することができ、簡単な構造で詰め替え用の吐出容器となる。
この実施形態では、第1方向認識機構と第2方向認識機構を有しているが、肩カバーの
外形を容器本体の軸を中心に非点対称とする方向認識部を備えていればよい。しかし、平面壁21は、視覚によって認識しやすく、かつ、成形が容易であるため、特に好ましい。
【0017】
次に
図3に基づいて吐出部材15の説明を行う。
押ボタン16は、下端にステム13cを受け入れるステム係合部31aを備えた扁平な本体31と、その前面に設けられる噴射孔32aを備えた筒状のノズル部32と、その後面に設けられる板状の押部33とからなる。ステム係合部31aと噴射孔32aとは、内部で連通している。また、本体31の前方下端には、装着体17と連続するノズル部32を挟むようにヒンジ34が平行に設けられている(
図1a、c参照)。さらに、本体31は、後述する装着体17の保護部36の側部の湾曲内壁39bに向かって略前方に突出する突出部31bを備えている。この突出部31bを備えているため、吐出部材を取り外す際に押ボタン16の押部33を上方に持ち上げてステム係合部31aからステムを外す操作しても、突出部31bが湾曲内壁39bの当接部39dと当接し、押ボタン16が必要以上に押し上げられないように構成されている。そのため、この取り外し操作の回動軸となるヒンジ34の負担を軽減でき、ヒンジ34がちぎれたりすることが防止できる。
しかし、押ボタンは、押部33を省略し、本体31の上端で押し下げるようにしてもよい。また、噴射孔を本体31に直接設け、ノズル部32を省略してもよい。さらに、押ボタンと装着体を別体としてヒンジ部34を省略してもよい。押ボタンは、ステムを受け入れるステム係合部、前方に設けられる噴射孔、および、それらを繋ぐボタン内通路を備えていればよい。
【0018】
装着体17は、肩カバー14の下部外周壁26を覆う円筒状の装着部35と、その上端に設けられる保護部36とを備えている。
保護部36は、装着部35の前部上方に設けられ、第2肩カバーガイド部を備えた前部37と、その装着部35の後部上方に、かつ、前部37の平面部37bに対して容器本体の軸を介して相対するように設けられ、第1肩カバーガイド部を備えた後部38と、前部37と後部38とを連続し、かつ、押ボタン16を囲む側部39とを備えている。また、装着体17には、装着体17と肩カバー14とを脱離可能操作できる脱離操作部22が設けられている。しかし、脱離操作部22を設けず、装着体17の装着部35の内面と、肩カバー14の下部外周壁26の外周とを嵌合させ、脱離可能としてもよい。
【0019】
前部37は、装着部35の前部上端から容器本体の軸に向かって延びるテーパー部37aと、その上端から垂直方向に延びる平面部37bとを備えている。この平面部37bの上端にヒンジ34が連続している。つまり、前部37は、押ボタン16の噴射孔32a(ノズル部32)より下方に位置する。また、平面部37bは、装着部35を肩カバー14の下部外周壁26に装着したとき、肩カバー14の平面壁27bと近接して平行となるように構成されている(
図1a参照)。つまり、この平面部37bが、第2肩カバーガイド部となる。
後部38は、装着部35の後部上端から肩カバー14の上部周壁27の案内溝29に挿入される案内凸部40を備えている。後部38は、装着部35の後側上端から上方に延びる支持壁38aと、上下に延びる案内凸部40と、支持壁38aと案内凸部40とを連結する連結片38bとから構成される。この案内凸部40が、第1肩カバーガイド部となる。
側部39は、装着部35の側部上端から押ボタン16の両側を囲むように上方に延びる湾曲外壁39aと、その湾曲外壁39aと同軸に設けられた湾曲内壁39bと、それらの上端を繋ぐ天壁39cとからなる。
【0020】
脱離操作部22は、装着部35の下端から側部39の湾曲外壁39aに向かって上下に延びるスリット41と、そのスリット41内に配置される係合片42とからなる。
係合片42は、
図3bに示すように、下部に設けられ、肩カバー14の係合溝26aと
係合する係合爪42aと、上部に設けられ、係合状態を解除する押圧部42bと、中央に設けられた軸部42cとを備えており、係合爪42aと係合溝26aとが係合状態を維持するように付勢されている。この実施形態では、軸部42cは、装着体17のスリット41と係合片42とを連続するヒンジとなっており、係合片42が装着体17の湾曲外壁39aと平行の状態で、係合爪42aが係合溝26aと係合するように構成されている。また、押圧部42bは、
図3cに示すように、係合爪42aと係合溝26aとが解除状態(係合片42が上部が内側に傾いている状態)で湾曲外壁39a(外周ラインL)より外方に突出するように形成されており、係合が確実に解除されるまで押圧部42を摘まむことができる。
【0021】
図1のエアゾール装置10は、エアゾール容器11の肩カバー14の係合溝26aと吐出部材15の脱離操作部22とからなる脱離操作機構を備えているため、係合爪42aを破損することなくエアゾール容器11から吐出部材15を容易に付け替えることができる。そのため、エアゾール容器11内の内容物を使いきった後、吐出部材15を取り外すことにより、吐出部材15の再利用ができる。なお、取り外した吐出部材15は、エアゾール容器11の肩カバー14の開口部に封止体19が設けられた製品を購入し、封止体を取り外し、肩カバーの平面壁21(第1方向認識部)を視認しながら装着体の平面部37bを合わせて被せることにより、装着体の案内凸部40が肩カバーの案内溝29に挿入されて、さらに案内されながら吐出部材15を正しい向きに取り付けることができ、簡単にエアゾール装置10を再構築することができる。
【0022】
次に、エアゾール容器11の肩カバー14に装着体17を取り付けるとき、案内溝29内に案内凸部40を挿入し、装着体17を肩カバー14に案内させながら取り付けることができる。つまり、肩カバー14の第1吐出部材ガイド部と、装着体17の第1肩カバーガイド部とからなる第1案内機構23を備えているため、装着体17がエアゾール容器11に対して傾斜した状態や誤った方向で装着することがない。特に、装着体17と押ボタン16とがヒンジで連結されていても、押ボタン16のステム係合部31aにステム13cの先端を合わせることができ、確実に装着することができる。なお、第1案内機構23は、装着体17に第1吐出部材ガイド部として案内溝を設け、肩カバー14に第1肩カバーガイド部として案内凸部を設けてもよい。
さらに、本実施形態では、エアゾール容器11の肩カバー14に装着体17を取り付けるとき、肩カバー14の平面壁21と装着体17の平面部37bとが近接して平行するように構成されているため、つまり、肩カバーの第2吐出部材ガイド部と第2肩カバーガイド部とからなる第2案内機構を備えているため、一層正確に装着体17を肩カバー14に装着することができる。
【0023】
図4のエアゾール装置50は、エアゾール容器11と、そのエアゾール容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材51とからなる。エアゾール容器11は、
図1のエアゾール容器11と実質的に同じものであり、同様の方向認識機構を有する肩カバー14を備えている。
吐出部材51は、エアゾールバルブ13のステム13cに装着されるトリガー式の押ボタン52と、肩カバー14に装着される装着体53とを備えている。装着体53には、
図1の装着体17と同様に、脱離操作部22が設けられている。つまり、エアゾール装置50は、
図1のエアゾール装置10と同様に、肩カバー14の係合溝26aと脱離操作部22とからなる脱離操作機構を備えている。
【0024】
押ボタン52は、
図4b、cに示すように、下端にステム13cを受け入れるステム係合部31aを備えた前後に延びる柱状の本体31と、その前面に設けられる噴射孔32aを備えた筒状のノズル部32と、ノズル部32の基部下面から前下方向に向かって延びるトリガー54と、本体31の後部から後方に向かって突出する連結部55とからなる。ス
テム係合部31aと噴射孔32aとは、内部で連通している。連結部55の先端は、回転軸55aを備えており、後述する装着体53の軸受けと回転自在に連結する。
装着体53は、肩カバー14の下部外周壁26を覆う円筒状の装着部35と、その装着部35の上端に設けられた保護部53aとからなる。装着部35は、
図1の吐出部材15の装着部35と実質的に同じものである。
保護部53aは、その装着部35の前部上方に設けられ、第2肩カバーガイド部を備えた前部56と、その装着部35の後部上方に、かつ、前部56の平面部56bに対して容器本体の軸を介して相対するように設けられ、第1肩カバーガイド部を備えた後部57と、前部56と後部57とを連続し、かつ、押ボタン52を囲む側部58とを備えている。
【0025】
前部56は、装着部35の前部上端から容器本体の軸に向かって延びる水平部56aと、その内端から垂直方向に延びる平面部56bとを備えている。前部56は、押ボタン52の噴射孔32a(ノズル部32)より下方に位置する。また、平面部56bは、装着部35を肩カバー14の下部外周壁26に装着したとき、肩カバー14の平面壁21と重なるように隣接されている(
図4a参照)。そのため、この平面部56bが、第2肩カバーガイド部となる。
後部57は、装着部35の後部上端から肩カバー14の上部周壁27の案内溝29に挿入される案内凸部59を備えており、後部57の上端に回転軸55aを挟む2つの軸受部57bが形成されている。詳しくは、後部57は、装着部35の後側上端から上方に延びる支持壁57aと、その支持壁57aの上端に設けられ、押ボタン52の回転軸55aの端部をそれぞれ受ける2つの軸受部57bと、上下に延びる平行な案内凸部59と、それぞれ軸受部57bと案内凸部59とを連結する平行な連結片57cとから構成される。この案内凸部59が、第1肩カバーガイド部となる。
側部58は、装着部35の側部上端から上方に延びる湾曲外壁58aと、押ボタン52の本体31に沿って延びる垂直内壁58bと、それらの上端を連結する天壁58cとからなる。側部58の前方部58dは、テーパー面となっており、前部56の平面部56bの上端に連結している。この垂直内壁58bに囲まれるように押ボタン52が配置される。
【0026】
このように構成されているため、エアゾール装置50も、
図1のエアゾール装置10と同様に、エアゾール容器11の向きに合わせて吐出部材51を容易に付け替えることができる。また、
図4bに示すように、エアゾール容器11に吐出部材51を取り付けるとき、肩カバーの平面壁21に装着部の平面部56bの向きを合わせ吐出部材51を被せることにより、案内溝29内に案内凸部59が挿入され、吐出部材の装着体53を肩カバー14に案内させながら取り付けることができる。特に、装着体53と押ボタン52とが軸及び軸受部で連結しているにもかかわらず、押ボタン52が傾斜してエアゾール容器11のステム13cと装着することがない。さらに、エアゾール容器11の肩カバー14の平面壁21と装着体53の平面部56bとが近接して平行するように構成されているため、一層正確に吐出部材51をエアゾール容器11に装着することができる。
【0027】
図5のエアゾール装置60は、エアゾール容器61のバルブアッセンブリ63が容器本体62の開口部より上方に突出した突出部63aを備えており、その突出部に容器方向認識機構となる平面部75(容器方向認識部)が設けられたものである。このように、バルブアッセンブリ63が容器方向認識機構を備えているため、エアゾール容器61の肩カバー64を取り付けるとき、バルブアッセンブリ63の方向を認識でき、エアゾール容器61の製造が容易となる。
エアゾール装置60は、エアゾール容器61と、そのエアゾール容器に付け替え可能に取り付けられる吐出部材65とからなる。
【0028】
エアゾール容器61は、
図6aに示すように、容器本体62と、その容器本体62を閉じるバルブアッセンブリ63と、容器本体62および/またはバルブアッセンブリ63に
固定される肩カバー64とを備えている。
容器本体62は、円筒状の胴部、テーパー状の肩部、円筒状の首部および上端の肉厚の顎部62aを備えた耐圧容器である。首部の内面と顎部62aの内面とは、連続しており垂直面からなる円筒状となっており、開口部の内面62bを構成している。このような容器本体62は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレンなどの合成樹脂から有底筒状のパリソンを成形し、そのパリソンを軸方向に伸ばしながら内部に空気を吹き込んで膨らます2軸延伸ブロー成形によって成形することができる。また、耐圧ガラスから成形してもよい。
【0029】
バルブアッセンブリ63は、容器本体62の開口部を閉じるバルブホルダー66と、そのバルブホルダー66に支持または保持されるバルブ機構67と、そのバルブホルダー66を覆い、かつ、バルブホルダー66を容器本体62に固定するカバーキャップ68とを備えている。
バルブホルダー66は、容器本体62の開口部に挿入される円筒状の栓部71と、容器本体62の上端開口部に配置された柱状の蓋部72とからなる。また、容器本体62の顎部62aの上端と係合させ、バルブホルダー66を支持するために、栓部71と蓋部72との間に半径方向外側に突出したフランジ部73が形成されている。バルブホルダー66の中心には、上下に貫通し、バルブ機構67を保持するバルブ保持部74が形成されている。そして、蓋部72は、円柱体から一部が鉛直方向に延びる平面で切り欠いた形状を呈しており、平面視では円の一部が切りかかれた形状を呈しており、円柱体を切り欠いた部分は平面部69となっている。
【0030】
バルブ機構67は、バルブ保持部74内に支持されるステム67a、ステムラバー67b、バネ67cとからなる。なお、ステム67a、ステムラバー67b、バネ67cを収容するハウジングを備えていてもよい。
カバーキャップ68は、容器本体62、バルブホルダー66およびバルブ機構67の上端を覆う天面を有する筒状のマウント部68aと、その下端に形成され、バルブホルダー66およびバルブ機構67を容器本体62に固定する筒状の固着部68bとからなる。マウント部68aは、バルブホルダー66の蓋部72と同様に、円柱体から一部が鉛直方向に延びる平面で切り欠いた形状を呈しており、平面視では円の一部が切りかかれた形状を呈しており、円柱体を切り欠いた部分は平面部75となっている。つまり、カバーキャップ68の平面部75とバルブホルダー66の平面部69とは隣接して沿うように構成されている。そして、カバーキャップ68のマウント部68aが突出部63aとなり、その平面部75(容器方向認識部)がバルブアッセンブリ63の容器方向認識機構となる。なお、容器方向認識機構として、エアゾール容器61の外形を容器本体62の軸を中心として非点対称とする他の容器方向認識部を備えていればよい。
固着部68bは、バルブホルダー66のフランジ73と容器本体62の顎部62aを挟む部位である。この容器本体62の顎部62aまたはその顎部62aを覆う固着部68bが、肩カバー64と係合する係合段部となる。
【0031】
肩カバー64は、上部周壁76がカバーキャップ68のマウント部68aを覆うように同形状(案内溝を備えていない)となっており、下部外周壁77の下端に外方に突出する係合爪77a(
図5a参照)が2つ等間隔に設けられている。他の構成は、
図1の肩カバー14と実質的に同じであり、下部内周壁25、下部内周壁25と下部外周壁77と上部周壁を連結する連通板28を有している。
上部周壁76は、カバーキャップ68のマウント部68aを囲む湾曲壁76aと、その両端を繋ぐ平面壁76bと、それらの上端に設けられるリング状の上壁76cとからなり、平面視で円を割線で切り欠いた形状を呈している(
図6b、参照)。そして、平面壁76bが、吐出部材65を装着する際、円筒状の容器本体の方向を認識するための方向認識部となる。平面壁76bは、エアゾール容器61の前方を示すものである。さらに、この
平面壁76bは、後述するように装着体17の平面部37bと近接して平行となるように構成されており、吐出部材ガイド部となる(
図5a参照)。
この肩カバー64の中央孔(エアゾール容器61の開口部)を塞ぐように上部周壁76の上壁76cの上に封止材19を設けることにより、詰め替え用の吐出容器となる。
【0032】
図5に戻って、吐出部材65は、バルブアッセンブリ63のステムに装着される押ボタン16と、肩カバー64に装着される装着体78とを備えている。押ボタン16は、
図1の押ボタン16と実質的に同じものである。
装着体78は、後部79が肩カバー64の湾曲壁76aと隣接して沿うように構成されている点以外は、
図1の装着体17と実質的に同じであり、装着部35と、保護部36の前部37、側部39とを備えており、係合片42からなる脱離操作部を備えている。なお、係合片42には、肩カバーの係合爪77aと係合するスリット42dが形成されている。
【0033】
後部79は、装着部35の後部上端から肩カバー64の上部周壁76と隣接して重なる案内凸部80を備えている。後部79は、装着部35の後側上端から上方に延びる支持壁79aと、上下に延びる案内凸部80と、支持壁79aと案内壁80とを連結する連結片79bとから構成される。この案内凸部80が、第1肩カバーガイド部となる。
【0034】
このように構成されているため、エアゾール装置60も、
図1のエアゾール装置10および
図4のエアゾール装置50と同様に、エアゾール容器11の向きに合わせて吐出部材61を容易に、かつ、正確に付け替えることができる。
【0035】
実施形態では、1つの弁棒を有する吐出容器(エアゾール容器)を開示してきた。しかし、本発明の吐出装置の吐出容器は、2つの弁棒を有するエアゾール容器や2連式のエアゾール容器であってもよい。例えば、国際公開番号WO2012/086818号のような2つの弁棒を有するエアゾール容器を用いてもよい。また、特開2012−224376号の
図5のような2連式のエアゾール容器を用いてもよい。