【解決手段】昇圧型電源装置は、入力電圧VINから昇圧電圧AVDDを生成する電源回路Xと;所定の制御信号SDに基づいて昇圧電圧AVDDの生成停止が指示されたときに昇圧電圧AVDDの放電を開始し、昇圧電圧AVDDが第1閾値電圧Vth1を下回ったときに昇圧電圧AVDDの放電を停止する出力放電回路Yと;を有する。
前記出力放電回路は、前記昇圧電圧の生成停止が指示されている状態で前記昇圧電圧が前記第1閾値電圧よりも高い前記第2閾値電圧を上回ったときに前記昇圧電圧の放電を再開することを特徴とする請求項1に記載の昇圧型電源装置。
前記出力放電回路は、さらに、前記昇圧電圧の印加端と前記スイッチとの間に挿入された抵抗を含むことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれか一項に記載の昇圧型電源装置。
【背景技術】
【0004】
<第1の発明に関連する背景技術>
近年、IC(Integrated Circuit)には、EOS(Electrical Over Stress)などの瞬間的なサージ電圧に対する耐性が求められている。例えば、IC内部の低耐圧素子が7Vまでしか耐えられず、且つ数ミリ秒にわたる20〜30Vのサージ電圧が印加される可能性がある場合、このサージ電圧への対策が要求される。
【0005】
従来技術では、例えばIC外部にバリスタなどのESD(Electrostatic Discharge)対策素子を付加したり、ICの前段に高耐圧LDO(Low Drop Out)チップを設けることにより、ICの入力端子に所定以上の電圧が印加されないようにしていた。或いは、IC内部を全て高耐圧素子で構成することにより、サージ電圧に対する耐性を備えるようにしていた。
【0006】
或いは、IC内部に高耐圧のエミッタフォロア回路を設けることにより、サージ電圧がIC内部の低耐圧素子に印加されるのを回避する技術も考案されている。具体的には、高耐圧のNPN型トランジスタのエミッタを低耐圧素子に接続し、ベースを所定電圧(例えば5V)の降伏電圧特性を持つツェナーダイオードに接続したエミッタフォロア回路を設ける。これにより、降伏電圧を超える電圧を、低耐圧素子に印加させないようにする。
【0007】
また、複数の放電回路と過電圧検出回路とを用いてESDとEOSとの双方から内部回路を保護する過電圧保護回路や、複数のESD保護回路と演算増幅器とを用いてEOSに対する耐久性を向上させたタイミングコントローラチップが開示・提案されている(例えば特許文献1や特許文献2を参照)。
【0008】
<第2の発明に関連する背景技術>
図8は、昇圧型電源装置の一従来例を示す図である。本従来例の昇圧型電源装置は、トランジスタN1をオン/オフさせることにより、入力電圧VINから昇圧電圧AVDDを生成する構成とされていた。また、本従来例の昇圧型電源装置は、その昇圧動作を停止するに際して、トランジスタN2をオンすることにより、昇圧電圧AVDDを急速に放電する構成とされていた。
【0009】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献3を挙げることができる。
【0010】
<第3の発明に関連する背景技術>
【0011】
従来、電気機器への電源供給等を行う回路として、様々な形態の電源回路が利用されている。このような電源回路の一形態として、液晶表示パネルを駆動するゲートドライバにゲート電圧を供給する電源ICを例に挙げ、その構成等について以下に簡潔に説明する。
【0012】
図17は、当該電源IC(従来例)についての構成の一部、およびその周辺の装置との接続形態を概略的に示したものである。本図に示すように、当該電源IC100は、各外部端子(Ta、Tb、T
RD)を有している。外部端子Taは基準ゲート電圧VGHの入力端子として用いられ、外部端子Tbはゲートドライバ200との接続に用いられ、外部端子T
RDは外付け抵抗400(電源IC100から見て、外付けの部品となっている)との接続に用いられる。
【0013】
また外部端子Tbには、ゲートドライバ200を介して液晶表示パネルが接続されており、外部端子T
RDには、外付抵抗400を介して定電圧源500(電圧値をVcとする)が接続されている。ゲートドライバ200は、映像信号に同期するように液晶表示パネル300のゲート線(TFT[Thin Film Transistor]のゲートに接続されている)を適宜選択し、このゲート線に電源IC100から入力されるゲート電圧を供給する。なお、
図17に示されている各部(100〜500)は、他の部品とともに、液晶表示装置を形成している。
【0014】
電源IC100は、コントローラ101、および各スイッチ素子(102、103)を有しており、それぞれ
図17に示すように接続されている。コントローラ101は、前段側回路から送られる制御信号FLKに基づいて、各スイッチ素子(102、103)における導通/非導通の切替を制御する。より具体的には、スイッチ素子102を導通させてスイッチ103を非導通とする期間(ON期間)と、スイッチ素子103を導通させてスイッチ102を非導通とする期間(OFF期間)とが、制御信号FLKが示すタイミングに応じて切り替わるように、当該制御がなされる。
【0015】
これにより外部端子Tbの電圧は、基準ゲート電圧VGHの変調により生成されたゲート電圧VGHMとなり、このゲート電圧VGHMがゲートドライバ200へ出力される。なお、ON期間では、外部端子Taと外部端子Tbの間が導通し、外部端子Taから入力される電力を用いた充電により、ゲート電圧VGHMは基準ゲート電圧VGHと同等にまで上がる。これにより、ゲート電圧VGHMは、Hレベル(各TFTをONとする状態)となる。
【0016】
一方、OFF期間では、外部端子Tbと外部端子T
RDの間が導通し、外付け抵抗400を介した外部への放電により、ゲート電圧VGHMは電圧Vcと同等にまで下る。そのため、ゲート電圧VGHMは、Lレベル(各TFTをOFFとする状態)となる。このようにゲート電圧VGHMは、HレベルとLレベルが交互に現れる略パルス波形となる。
【0017】
ここで外付け抵抗400は、いわゆるゲートシェーディング機能(以下、「GS機能」と略記する)を実現させる部品である。GS機能は、画面のちらつき(フリッカー)の抑制を主な目的とする機能である。GS機能によれば、ゲート電圧の波形に傾斜をつけることで、ゲートドライバからの距離に起因する波形のなまりが均一化され、TFTのON/OFFのタイミングのずれが低減されることにより、画面のちらつきが抑制される。
【0018】
外付け抵抗400は、液晶表示パネル300が有するパネル容量とともにCR回路を形成し、外付け抵抗400を介した外部への放電をCR放電とする。これにより、ゲート電圧VGHMの波形の立下り部分には傾斜が付けられ、GS機能が実現されることになる。なお、外付け抵抗400には接地点(GND)ではなく、定電圧源500が接続されていることにより、ゲート電圧VGHMの下り過ぎ(電圧Vcを下回ること)は防止される。
【0019】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献4を挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
<第1の発明が解決しようとする課題>
しかしながら、上記に開示されている技術では、例えばICの外部にESD対策素子や高耐圧LDOチップを設ける場合、セット全体のサイズやセット全体のコストの増加につながるという問題があった。またICの内部を全て高耐圧素子で構成する場合、IC自体のコストアップにつながるという問題があった。
【0022】
またICの内部にエミッタフォロア回路を設ける場合、内部回路には、入力電圧よりもNPN型トランジスタのベース−エミッタ間電圧分だけ低い電圧しか供給できないので、入力電圧の減電時において、動作しない可能性があった。従って、入力電圧が内部回路の動作可能電圧範囲であっても、内部回路が動作不能となる場合があった。
【0023】
第1の発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、低耐圧素子を含む内部回路がサージ電圧により破壊されるのを簡易な構成により回避できるとともに、サージ電圧発生時や減電時においても内部回路が動作可能である過電圧保護回路、並びに、これを集積化して成る半導体装置を提供することを目的とする。
【0024】
<第2の発明が解決しようとする課題>
図8に示した従来例の昇圧型電源装置であれば、昇圧動作の停止後に昇圧電圧AVDDを自然放電させる構成に比べて、昇圧電圧AVDDを急速に放電することができるので、負荷の意図しない動作を未然に回避することが可能である。
【0025】
しかしながら、上記従来例の昇圧型電源装置では、昇圧電圧AVDDの放電によって昇圧電圧AVDDが入力電圧VINよりも低くなったときに、入力電圧VINの印加端からコイルL、ダイオードD、抵抗R、及び、トランジスタN2を介して接地端に至る経路で電流が流れてしまい、消費電力(例えばスタンバイ時の消費電力)が不要に増大するという課題があった。
【0026】
第2の発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、昇圧電圧を適切に放電することのできる昇圧型電源装置を提供することを目的とする。
【0027】
<第3の発明が解決しようとする課題>
図17に示した従来例の電源ICによれば、GS機能を有しつつゲートドライバにゲート電圧を供給することが可能となっている。しかしGS機能を発揮させるためには、電源ICに外付けするための外付け抵抗が必要である。このことは、液晶表示装置の製造に要する部品の増大につながるため、製造コスト等の観点から好ましいとは言えない。
【0028】
また外付け抵抗を電源ICに外付けする場合は、電源ICに、外付け抵抗を接続するための外部端子(PIN)を設けておく必要がある。このことは、電源ICの外部端子数の増大につながるため、製造コスト等の観点から好ましいとは言えない。
【0029】
第3の発明は、上述した問題に鑑み、GS機能を有しつつゲートドライバにゲート電圧を供給することが可能でありながら、製造コスト等を抑えることが容易となる電源回路の提供を目的とする。また当該電源回路を備えた液晶表示装置の提供をも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
<第1の発明>
本明細書中に開示されている種々の発明のうち、第1の発明に係る過電圧保護回路は、Pチャンネル型電界効果トランジスタであり、ソースが入力端子に接続され、ドレインが内部回路に接続された第1トランジスタと、前記第1トランジスタのゲートと接地端との間に接続された第1抵抗と、前記入力端子の印加電圧が予め定められた閾値を上回っている間に、前記第1トランジスタのソースとゲートと短絡させる短絡回路と、を備えたことを特徴とする構成(第1−1の構成)とされている。
【0031】
なお、上記第1−1の構成から成る過電圧保護回路は、前記短絡回路が、Pチャンネル型電界効果トランジスタであり、ソースが前記入力端子に接続され、ドレインが前記第1トランジスタのゲートに接続された第2トランジスタと、前記第2トランジスタのゲートと前記入力端子との間に接続された第2抵抗と、前記第2トランジスタのゲートと接地端との間に接続された第1ツェナーダイオードと、を備えたことを特徴とする構成(第1−2の構成)にするとよい。
【0032】
また、上記第1−2の構成から成る過電圧保護回路は、前記入力端子の電圧が前記閾値を上回っている間に、前記入力端子から前記内部回路に対して定電圧を供給するバイパス回路を備えたことを特徴とする構成(第1−3の構成)にするとよい。
【0033】
また、上記第1−3の構成から成る過電圧保護回路は、前記バイパス回路が、コレクタが前記入力端子に接続され、エミッタが前記内部回路に接続されたNPN型トランジスタと、前記NPN型トランジスタのベースと接地端との間に接続された第2ツェナーダイオードと、前記NPN型トランジスタのベースと前記入力端子との間に接続された第3抵抗と、を備えたことを特徴とする構成(第1−4の構成)にするとよい。
【0034】
また、上記第1−4の構成から成る過電圧保護回路は、前記第1トランジスタ、前記第2トランジスタ、前記NPN型トランジスタが、いずれも、前記内部回路を構成する素子よりも高耐圧であることを特徴とする構成(第1−5の構成)にするとよい。
【0035】
また、第1の発明に係る半導体装置は、上記第1−1〜第1−5いずれかの構成から成る過電圧保護回路を集積化した構成(第1−6の構成)とされている。
【0036】
また、第1の発明に係る電源装置は、上記第1−6の構成から成る半導体装置を有する構成(第1−7の構成)とされている。
【0037】
また、第1の発明に係る液晶表示装置は、上記第1−7の構成から成る電源装置を有する構成(第1−8の構成)とされている。
【0038】
また、第1の発明に係る電子機器は、上記第1−8の構成から成る液晶表示装置を有する構成(第1−9の構成)とされている。
【0039】
なお、上記第1−9の構成から成る電子機器は、タブレットPCである構成(第1−10の構成)にするとよい。
【0040】
<第2の発明>
本明細書中に開示されている種々の発明のうち、第2の発明に係る昇圧型電源装置は、入力電圧から昇圧電圧を生成する電源回路と;所定の制御信号に基づいて前記昇圧電圧の生成停止が指示されたときに前記昇圧電圧の放電を開始し、前記昇圧電圧が第1閾値電圧を下回ったときに前記昇圧電圧の放電を停止する出力放電回路と;を有する構成(第2−1の構成)とされている。
【0041】
なお、上記第2−1の構成から成る昇圧型電源装置において、前記出力放電回路は、前記昇圧電圧の生成停止が指示されている状態で前記昇圧電圧が前記第1閾値電圧よりも高い前記第2閾値電圧を上回ったときに前記昇圧電圧の放電を再開する構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0042】
また、上記第2−2の構成から成る昇圧型電源装置において、前記第1閾値電圧と前記第2閾値電圧は、前記入力電圧に応じて変動する可変電圧である構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0043】
また、上記第2−3の構成から成る昇圧型電源装置において、前記出力放電回路は、前記昇圧電圧と前記第1閾値電圧及び前記第2閾値電圧とを比較して比較信号を出力するコンパレータと、前記制御信号と前記比較信号に応じて放電制御信号を生成する論理ゲートと、前記放電制御信号に応じて前記昇圧電圧の印加端と接地端との間を導通/遮断するスイッチと、を含む構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0044】
また、上記第2−4の構成から成る昇圧型電源装置において、前記スイッチは、Nチャネル型電界効果トランジスタである構成(第2−5の構成)にするとよい。
【0045】
また、上記第4の構成から成る昇圧型電源装置において、前記スイッチは、Pチャネル型電界効果トランジスタである構成(第6の構成)にするとよい。
【0046】
また、上記第2−4〜第2−6いずれかの構成から成る昇圧型電源装置において、前記出力放電回路は、さらに、前記昇圧電圧の印加端と前記スイッチとの間に挿入された抵抗を含む構成(第2−7の構成)にするとよい。
【0047】
また、第2の発明に係る液晶表示装置は、上記第2−7の構成から成る昇圧型電源装置を有する構成(第2−8の構成)とされている。
【0048】
また、第2の発明に係るテレビは、上記第2−8の構成から成る液晶表示装置を有する構成(第2−9の構成)とされている。
【0049】
<第3の発明>
本明細書中に開示されている種々の発明のうち、第3の発明に係る電源回路は、液晶表示パネルを駆動するゲートドライバにゲート電圧を供給する電源回路であって、前記ゲートドライバに接続される接続端子と、略パルス波形の前記ゲート電圧を生成し、前記接続端子を介して前記ゲートドライバへ出力するゲート電圧生成回路と、が設けられた集積回路として形成されており、前記集積回路内に、前記ゲート電圧の波形に傾斜を付ける傾斜付与部が設けられた構成(第3−1の構成)とする。
【0050】
第3−1の構成によれば、GS機能を有しつつゲートドライバにゲート電圧を供給することが可能でありながら、製造コスト等を抑えることが容易となる。
【0051】
また、上記第3−1の構成において、基準ゲート電圧が入力される電圧入力端子と、前記基準ゲート電圧より低電圧に設定された低電圧部と、を備え、前記ゲート電圧生成回路は、前記接続端子を前記電圧入力端子へ接続することにより、前記ゲート電圧をHレベルとし、前記接続端子を前記低電圧部へ接続することにより、前記ゲート電圧をLレベルとする構成(第3−2の構成)としてもよい。第3−2の構成によれば、基準ゲート電圧を変調するようにして、ゲート電圧を生成することが可能となる。
【0052】
また上記第3−2の構成としてより具体的には、前記傾斜付与部は、与えられた指示に応じて前記傾斜の傾きを変更可能に設定する構成(第3−3の構成)としてもよい。
【0053】
また上記第3−3の構成としてより具体的には、前記傾斜付与部は、前記接続端子から前記低電圧部へ流れる電流の値を前記指示に応じて設定する、可変電流源回路によって形成されている構成(第3−4の構成)としてもよい。
【0054】
また上記第3−4の構成としてより具体的には、前記可変電流源回路は、前記接続端子と前記低電圧部の間に設けられた抵抗と、前記抵抗と前記接続端子の間に設けられたスイッチ素子と、前記抵抗と前記スイッチ素子の間の電圧値が前記指示に応じた電圧値となるように、前記スイッチ素子を制御するオペアンプと、を備えた構成(第3−5の構成)としてもよい。
【0055】
また上記第3−3の構成としてより具体的には、前記傾斜付与部は、前記接続端子と前記低電圧部の間に設けられ、かつ、前記指示に応じて抵抗値を設定する可変抵抗によって形成されている構成(第3−6の構成)としてもよい。
【0056】
また上記第3−6の構成としてより具体的には、前記可変抵抗は、前記液晶表示パネルが有するパネル容量とともにCR回路を形成し、前記液晶表示パネルから前記低電圧部への放電をCR放電とする構成(第3−7の構成)としてもよい。
【0057】
また上記第3−1〜第3−7いずれかの構成としてより具体的には、前記ゲート電圧が所定の下限値に達したときに、前記接続端子と前記低電圧部との間を非導通とする電圧保護回路を備えた構成(第3−8の構成)としてもよい。
【0058】
また第3の発明に係る液晶表示装置は、上記第3−1〜第3−8いずれかの構成に係る電源回路を備えた構成(第3−9の構成)とする。本構成によれば、上記構成に係る電源回路の利点を享受することが可能となる。
【0059】
また、第3の発明に係るテレビは、上記第3−9の構成から成る液晶表示装置を有する構成(第3−10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0060】
<第1の発明の効果>
第1の発明によれば、低耐圧素子を含む内部回路がサージ電圧により破壊されるのを簡易な構成により回避できるとともに、サージ電圧発生時や減電時においても内部回路が動作可能である過電圧保護回路、並びに、これを集積化して成る半導体装置を提供することができる。
【0061】
<第2の発明の効果>
第2の発明によれば、昇圧電圧を適切に放電することのできる昇圧型電源装置を提供することが可能となる。
【0062】
<第3の発明の効果>
第3の発明に係る電源回路によれば、GS機能を有しつつゲートドライバにゲート電圧を供給することが可能でありながら、製造コスト等を抑えることが容易となる。また、第3の発明に係る液晶表示装置によれば、第3の発明に係る電源回路の利点を享受することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0064】
<液晶表示装置>
図1は、液晶表示装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例の液晶表示装置1は、電源IC10と、ゲートドライバ20と、液晶表示パネル30とを有するほか、電源IC10に外付けされるディスクリート素子として、コイルL1と、ダイオードD1と、キャパシタC1と、を有する。また、液晶表示装置1は、上記各部品の他、映像信号(例えばテレビ放送信号)を受信する回路等も有しており、この映像信号を用いて液晶表示パネル30に映像を表示するようになっている。
【0065】
電源IC10は、入力電圧VIN(例えば5V)を受けてゲートドライバ20などへの電力供給(AVDD、VGHMなど)を行う。
【0066】
ゲートドライバ20は、電源IC10からゲート電圧VGHMの供給を受け、これを用いて、液晶表示パネル30の各ゲート線へゲート信号(垂直走査信号)を出力する。すなわち、ゲートドライバ20は、映像信号に同期するように液晶表示パネル30のゲート線を順に選択し、電源IC10側に接続させる。これにより、電源IC10側に接続されているゲート線に、ゲート電圧VGHMがゲート信号の電圧として入力されることになる。
【0067】
なお、液晶表示装置1には、液晶表示パネル30へソース信号を出力するソースドライバ(不図示)も設けられる。また、このソースドライバとゲートドライバ20は、例えば液晶駆動ICとして、一体的に形成されていても構わない。
【0068】
液晶表示パネル30は、マトリクス状に配された複数の画素電極、画素電極毎に設けられたTFT[thin film transistor]、各行のTFTのゲートに接続されたゲート線(スキャンライン)、及び、各列のTFTのソースに接続されたソース線(データライン)などを有しており、供給されるゲート信号やソース信号に応じて、任意の文字や画像を表示する。すなわち、液晶表示パネル30は、ゲート信号やソース信号に応じてバックライトの透過度合を画素毎に調節するように動作し、その結果として上記の表示を実現する。
【0069】
<電源IC>
電源IC10(半導体装置)は、制御部11と、ゲートパルス変調部12と、スイッチングレギュレータ部13と、過電圧保護部14(過電圧保護回路)と、減電圧保護部15と、温度保護部16と、ショート保護部17と、リセット部18と、を集積化したモノリシック半導体集積回路装置である。
【0070】
また、電源IC10は、外部との電気的な接続を確立する手段として、外部端子T1〜T9を有する。外部端子T1(入力端子)は、入力電圧VINの入力端子である。外部端子T2は、イネーブル信号ENの入力端子である。外部端子T3は、シリアルクロック信号SCLKの入力端子である。外部端子T4は、シリアルデータ信号SDAの入出力端子である。外部端子T5は、変調制御信号FLK(パルス信号)の入力端子である。外部端子T6は、所定電力(一定の基準ゲート電圧VGH)の入力端子である。外部端子T7はゲート電圧VGHMの出力端子であり、ゲートドライバ20が接続される。外部端子T8は、昇圧電圧AVDDの帰還端子である。外部端子T9は、スイッチング端子である。
【0071】
制御部11は、電源IC10の各部動作を統括的に制御する。例えば、ゲートパルス変調部12の動作に関わる保護電流値Svや放電電流値Si、ないしは、スイッチングレギュレータ部13の目標電圧値は、いずれも制御部11によって変更可能に設定される。制御部11は、外部端子T3及びT4を介して、電源IC10外部との間で2線式のシリアル双方向通信を行う機能を備えており、上記の各種設定値は、いずれも外部から任意に変更することが可能である。
【0072】
なお、保護電圧値Svは、基準ゲート電圧VGHより小さく設定される値である。設定された保護電圧値Svや放電制御値Siの情報(デジタル情報)は、制御部11からゲートパルス変調部12へ送出されることにより、ゲートパルス変調部12の動作に反映されることになる。
【0073】
ゲートパルス変調部12は、変調制御信号FLKに応じて基準ゲート電圧VGH(例えば20〜30V)に所定の変調処理を施すことにより、ゲート電圧VGHMを生成し、これを外部端子T7から出力する。ゲートパルス変調部12の構成や動作については、改めてより詳細に説明する。
【0074】
スイッチングレギュレータ部13は、電源IC10に外付けされるコイルL1、ダイオードD1、及び、キャパシタC1と共に、昇圧型スイッチングレギュレータを形成する。なお、電源IC10の外部において、コイルL1の第1端は、入力電圧VINの印加端に接続されている。コイルL1の第2端とダイオードD1のアノードは、いずれも、外部端子T9に接続されている。ダイオードD1のカソードは、昇圧電圧AVDDの出力端に接続される一方、外部端子T8にも接続されている。キャパシタC1は、昇圧電圧AVDDの出力端と接地端との間に接続されている。
【0075】
過電圧保護部14は、入力電圧VINが過電圧状態であるか否かを監視し、その監視結果に基づいて内部回路(制御部11など)への電力供給経路を導通/遮断する。
【0076】
減電圧保護部15は、過電圧保護部14を介して入力される入力電圧VINが減電圧状態であるか否かを監視し、その監視結果をリセット部18に伝達する。
【0077】
温度保護部16は、電源IC10のジャンクション温度Tjが所定の上限値(例えば175℃)を上回っているか否かを監視し、その監視結果をリセット部18に伝達する。
【0078】
ショート保護部17は、昇圧電圧AVDDに地絡(接地端またはそれに準ずる低電位端への短絡)が生じているか否かを監視し、その監視結果をリセット部18に伝達する。
【0079】
リセット部18は、減電圧保護部15から入力される減電圧保護信号、温度保護部16から入力される温度保護信号、ショート保護部17から入力されるショート保護信号、及び、外部端子T2から入力されるイネーブル信号ENに基づいて、シャットダウン信号SDを生成し、これを電源IC10の各部(制御部11、ゲートパルス変調部12、及び、スイッチングレギュレータ部13など)に出力する。
【0080】
<過電圧保護部>
図2は、過電圧保護部14の一構成例を示す回路図である。本構成例の過電圧保護部14は、Pチャンネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタP1(第1トランジスタ)と、抵抗R1(第1抵抗)と、Pチャンネル型MOS電界効果トランジスタP2(第2トランジスタ)と、抵抗R2(第2抵抗)と、ツェナーダイオードZD1(第1ツェナーダイオード)と、NPN型バイポーラトランジスタNTr1(NPN型トランジスタ)と、抵抗R3(第3抵抗)と、ツェナーダイオードZD2(第2ツェナーダイオード)と、を有する。なお、過電圧保護部14には、外部端子T1を介して入力電圧VINが入力される。過電圧保護部14は、入力電圧VINが過電圧状態でないときには、入力電圧VINをほとんど低下させることなく、低耐圧素子から成る内部回路(制御部11や減電圧保護部15など、
図2では不図示)への出力電圧VOUTとして出力する一方、入力電圧VINが過電圧状態であるときには、入力電圧VINを所定の上限値にクランプした上で内部回路への出力電圧VOUTとして出力する。この過電圧保護動作については、後ほど詳細に説明する。
【0081】
Pチャンネル型MOS電界効果トランジスタP1(以下「トランジスタP1」という)のソースは、外部端子T1に接続されている。トランジスタP1のドレインは、内部回路に接続されている。
【0082】
抵抗R1の第1端は、接地端に接続されている。抵抗R1の第2端は、トランジスタP1のゲートと、Pチャンネル型MOS電界効果トランジスタP2(以下、「トランジスタP2」という)のドレインとに接続されている。
【0083】
トランジスタP2のソースは、外部端子T1とトランジスタP1のソースとの接続ノードに接続されている。トランジスタP2のドレインは、トランジスタP1のゲートと抵抗R1との接続ノードに接続されている。トランジスタP2のゲートは、抵抗R2とツェナーダイオードZD1のカソードとの接続ノードに接続されている。
【0084】
抵抗R2の第1端は、外部端子T1とトランジスタP1のソースとの接続ノードに接続されている。抵抗R2の第2端は、ツェナーダイオードZD1を介して接地端に接続されている。
【0085】
ツェナーダイオードZD1のカソードは、抵抗R2の第2端に接続されている。ツェナーダイオードZD1のアノードは、接地端に接続されている。
【0086】
NPN型バイポーラトランジスタNTr1(以下「トランジスタNTr1」という)のエミッタは、トランジスタP1のドレインと内部回路との接続ノードに接続されている。トランジスタNTr1のベースは、抵抗R3とツェナーダイオードZD2のカソードとの接続ノードに接続されている。トランジスタNTr1のコレクタは、外部端子T1と抵抗R3との接続ノードに接続されている。
【0087】
抵抗R3の第1端は、外部端子T1とトランジスタP1のソースとの接続ノードに接続されている。また、抵抗R3の第2端は、ツェナーダイオードZD2を介して接地端に接続されている。
【0088】
ツェナーダイオードZD2のカソードは、抵抗R3の第2端に接続されている。ツェナーダイオードZD2のアノードは、接地端に接続されている。
【0089】
なお、以上に説明したトランジスタP1、トランジスタP2、及び、トランジスタNTr1は、いずれも、内部回路を形成する素子よりも高耐圧な特性を持つものを用いる。より具体的には、内部回路を構成する素子が7Vまでしか耐えられず、且つ20〜30Vのサージ電圧が想定される場合、30V程度の電圧に耐えられるものを用いる。
【0090】
次に、過電圧保護部14の動作について、
図3を適宜参照しながら説明する。
図3は、過電圧保護部14の入出力特性図である。なお、
図3の横軸は時間の経過を示しており、縦軸は電圧の大きさを示している。また、
図3中の破線は入力電圧VINの挙動を示しており、実線は出力電圧VOUTの挙動を示している。なお、
図3では、入力電圧VINが緩やかに過電圧状態に至る場合(左側)と、入力電圧VINが急峻に過電圧状態に至る場合(右側)の2種類について、過電圧保護部14の入出力特性が例示されている。
【0091】
本実施形態では、トランジスタP2、抵抗R2、及びツェナーダイオードZD1は、入力電圧VIN(例えば通常時5V)が所定の閾値を上回る場合、つまり入力電圧VINが過電圧状態となった場合に、トランジスタP1のソースとゲートとの間を短絡させる短絡回路として動作する。またトランジスタNTr1、抵抗R3、及びツェナーダイオードZD2は、入力電圧VINが過電圧状態となった場合に、外部端子T1から入力される入力電圧VINを所定の上限値にクランプした上で内部回路への出力電圧VOUTとして出力するバイパス回路として動作する。
【0092】
なお上記の閾値は、内部回路の耐圧性能に基づいて、予め定められているものとする。例えば、内部回路が7Vの印加電圧までに耐えられる場合、これよりも少し低い電圧を閾値として定める。
【0093】
例えば、ツェナダイオードZD1の降伏電圧を5Vとし、トランジスタP2のオンスレッショルド電圧を0.7Vとした場合、入力電圧VINが5.7Vを上回ったときにトランジスタP2がオンとなって、トランジスタP1のゲート・ソース間が短絡される。すなわち、5Vの降伏電圧を持つツェナダイオードZD1を用いることにより、上記の閾値は5.7Vに設定される。
【0094】
まず、入力電圧VINが所定の閾値を上回らない場合、つまり入力電圧VINが過電圧状態ではない場合の動作について説明する。
【0095】
入力電圧VINが過電圧状態ではない場合、トランジスタP2のソースとゲートとの間には、トランジスタP2のオンスレッショルド電圧を上回るような電位差は生じない。このため、トランジスタP2はオフとなり、トランジスタP1のソースとゲートとの間は短絡されることはない。
【0096】
上記の状態において、トランジスタP1のソースには、入力電圧VINが印加される。またトランジスタP1のゲートは、抵抗R1を介して接続される接地端により、基準電位となる。この結果、トランジスタP1のソースとゲートとの間に、トランジスタP1のオンスレッショルド電圧を超える電位差が生じた状態となる。
【0097】
このため、トランジスタP1はオンとなり、外部端子T1から入力される入力電圧VINがほぼ低下することなく出力電圧VOUTとして内部回路に供給されることとなる。
【0098】
また、入力電圧VINが過電圧状態でない場合には、トランジスタP1がオンであるため、トランジスタNTr1のエミッタには、ほぼ入力電圧VIN(通常時5V)が印加される。ここで、ツェナダイオードZD2の降伏電圧を5Vとすると、トランジスタNTr1のベースとエミッタとの間には、トランジスタNTr1のオンスレッショルド電圧を上回るような電位差は生じない。このため、トランジスタNTr1はオフとなり、バイパス回路としての動作を停止した状態となる。
【0099】
次に、入力電圧VINが過電圧状態である場合の動作について説明する。
【0100】
入力電圧VINが過電圧状態である場合、トランジスタP2のゲートはツェナーダイオードZD1により定電圧(例えば5V)に維持されるが、トランジスタP2のソースにはこの定電圧を超える入力電圧VINが印加される。このため、トランジスタP2のソースとゲートとの間にトランジスタP2のオンスレッショルド電圧を上回る電位差が生じる。これにより、トランジスタP2がオンとなり、トランジスタP1のソースとゲートとが短絡する。
【0101】
これにより、トランジスタP1のゲート−ソース間には電位差がなくなってトランジスタP1がオフとなり、外部端子T1から内部回路へ過電圧状態の入力電圧VIN、つまりサージ電圧が印加されるのを回避する。
【0102】
また、入力電圧VINが過電圧状態である場合、トランジスタP1がオフであるため、トランジスタP1を介した内部回路への電力供給経路は遮断される。しかしながら、トランジスタNTr1のエミッタからは、ツェナダイオードZD2の降伏電圧(例えば5V)からトランジスタNTr1のベース・エミッタ間降下電圧(例えば0.7V)を差し引いた定電圧(例えば4.3V)が内部回路への出力電圧VOUTとして印加される。結果として、過電圧状態において、内部回路が動作停止するのを回避する。
【0103】
以上に説明した本実施形態によれば、過電圧状態ではない場合は、外部端子T1からトランジスタP1を経由して内部回路に至る経路で、入力電圧VINをほとんど低下させることなく内部回路への出力電圧VOUTとして供給するとともに、バイパス回路の動作を停止させる。また過電圧状態である場合は、外部端子T1から内部回路へのサージ電圧を遮断するとともに、バイパス回路により上限値がクランプされた出力電圧VOUTを内部回路へ供給する。
【0104】
これにより、低耐圧素子を含む内部回路がサージ電圧により破壊されるのを簡易な構成により回避できる。また、バイパス回路により、サージ電圧発生時においても内部回路への電圧供給が可能であるため、内部回路の動作停止やリセットの発生を回避できる。
【0105】
さらに減電時について説明する。従来技術のように、仮に入力電圧VINの印加端と内部回路との間に高耐圧のエミッタフォロワ回路を設置し、このエミッタフォロア回路のみを用いて内部回路へ定電圧を供給する構成とした場合、エミッタフォロア回路を構成するNPN型トランジスタのベース−エミッタ間電圧分だけ常時ロスが発生する。従って、入力電圧VINが内部回路の動作限界電圧(例えば3.3V)を上回っていても、エミッタフォロワを介して内部回路に供給される電圧(VIN−0.7V)が上記の動作限界電圧を下回っている場合には、内部回路が動作不能となるおそれがあった。これに対して本実施形態によれば、通常動作時にはトランジスタP1を介して、入力電圧VINをほとんど低下させることなく内部回路へ供給することができる。従って、内部回路の動作限界電圧(例えば3.3V)の近傍まで入力電圧VINが低下したとしても、内部回路が動作可能である。
【0106】
<タブレットPCへの適用>
図4は、液晶表示装置1を搭載した電子機器(タブレットPC)の外観図である。本構成例の電子機器Aは、本体の前面や背面に搭載される撮像部A1と、ユーザ操作を受け付ける操作部A2(各種ボタンなど)と、文字や映像(撮影画像を含む)を表示する表示部A3と、を有する。なお、表示部A3には、ユーザのタッチ操作を受け付けるためのタッチパネル機能が搭載されている。先述の液晶表示装置1は、表示部A3として電子機器Aに搭載することが可能である。
【0107】
<スイッチングレギュレータ部>
図5は、スイッチングレギュレータ部13の第1構成例を示す図である。第1構成例のスイッチングレギュレータ部13は、電源回路Xと、出力放電回路Yと、を含む。
【0108】
電源回路Xは、入力電圧VINから昇圧電圧AVDDを生成するための回路ブロックであり、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタ(出力用トランジスタ)X1と、スイッチング制御部X2と、エラーアンプX3と、デジタル/アナログ変換器X4と、発振器X5と、過電圧保護部X6と、過電流保護部X7と、抵抗X8及びX9と、を含む。
【0109】
トランジスタX1のドレインは、外部端子T9に接続されている。トランジスタX1のソースおよびバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタX1のゲートは、スイッチング制御部X2に接続されている。
【0110】
スイッチング制御部X2は、エラーアンプX3から入力される誤差電圧Verrが小さくなるように、トランジスタX1のオン/オフ制御(電圧フィードバック制御)を行う。また、スイッチング制御部X2は、上記の電圧フィードバック制御と並行して、トランジスタX1に流れるスイッチ電流Iが所定の目標値と一致するように、トランジスタX1のオン/オフ制御(電流フィードバック制御)を行う。また、スイッチング制御部X2は、リセット部18から入力されるシャットダウン信号SDに基づいて、昇圧電圧AVDDの生成動作を停止する機能を備えている。より具体的に述べると、スイッチング制御部X2は、シャットダウン信号SDがローレベル(シャットダウン時の論理レベル)とされたときに、トランジスタX1をオフさせて昇圧電圧AVDDの生成動作を停止する。また、スイッチング制御部X2は、過電圧検出部X6や過電流検出部X7から入力される保護信号に基づいて、昇圧電圧AVDDの生成動作を停止する機能も備えている。
【0111】
エラーアンプX3は、抵抗X8及びX9の接続ノードから反転入力端(−)に入力される帰還電圧Vfb(昇圧電圧AVDDの分圧電圧)と、デジタル/アナログ変換器X4から非反転入力端(+)に入力される参照電圧Vrefとの差分を増幅して誤差電圧Verrを生成し、この誤差電圧Verrをスイッチング制御部X2に送出する。なお、エラーアンプX3は、入力電圧VINの供給を受けて動作する。
【0112】
デジタル/アナログ変換器X4は、制御部11から入力されるデジタル信号REF(例えば6ビット信号)をアナログ変換して参照電圧Vrefを生成する。
【0113】
発振器X5は、トランジスタX1のスイッチング周波数を定めるためのクロック信号を生成し、これをスイッチング制御部X2に送出する。
【0114】
過電圧保護部X6は、昇圧電圧AVDDを監視して過電圧保護信号を生成し、これをスイッチング制御部X2に送出する。
【0115】
過電流保護部X7は、トランジスタX1に流れるスイッチ電流Iを監視して過電流保護信号を生成し、これをスイッチング制御部X2に送出する。
【0116】
抵抗X8及びX9は、外部端子T8と接地端との間に直列接続されており、互いの接続ノードから帰還電圧Vfb(昇圧電圧AVDDの分圧電圧)を出力する抵抗分割回路として機能する。
【0117】
上記構成から成る電源回路Xの基本動作(直流/直流変換動作)について説明する。
【0118】
トランジスタX1がオン状態にされると、コイルL1には入力電圧VINの印加端からトランジスタX1を介して接地端に向けたスイッチ電流Iが流れ、その電気エネルギが蓄えられる。なお、トランジスタX1のオン期間において既にキャパシタC1に電荷が蓄積されていた場合、負荷(
図5では不図示)にはキャパシタC1から出力電流が流れることになる。このとき外部端子T9の電位はトランジスタX1を介してほぼ接地電位まで低下するので、ダイオードD1は逆バイアス状態となり、キャパシタC1からトランジスタX1に向けて電流が流れ込むことはない。一方、トランジスタX1がオフ状態にされると、コイルL1に生じた逆起電圧により、そこに蓄積されていた電気エネルギが放出される。このとき、ダイオードD1は順バイアス状態となるため、ダイオードD1を介して流れる電流は、出力電流として負荷に流れ込むとともに、キャパシタC1を介して接地端にも流れ込み、キャパシタC1を充電することになる。上記の動作が繰り返されることにより、負荷には、入力電圧VINよりも高い昇圧電圧AVDDが供給される。
【0119】
このように、電源回路Xは、トランジスタX1のオン/オフ制御によってエネルギ貯蔵素子であるコイルL1を駆動することにより、入力電圧VINから昇圧電圧AVDDを生成する昇圧型電源装置(昇圧型DC/DCコンバータ)の一構成要素として機能する。
【0120】
出力放電回路Yは、シャットダウン信号SDに基づいて昇圧電圧AVDDの放電を行う回路ブロックであり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ(出力放電用トランジスタ)Y1と、コンパレータY2と、ANDゲートY3と、抵抗Y4〜Y6と、を含む。
【0121】
トランジスタY1のドレインは、抵抗Y6を介して外部端子T8に接続されている。トランジスタY1のソース及びバックゲートは、いずれも接地端に接続されている。トランジスタY1のゲートは、ANDゲートY3の出力端(ゲート信号G1の印加端)に接続されている。すなわち、トランジスタY1は、ゲート信号(放電制御信号)G1に応じて昇圧電圧AVDDの印加端と接地端との間を導通/遮断するスイッチとして機能する。
【0122】
コンパレータY2は、抵抗Y4及びY5の接続ノードから非反転入力端(+)に入力されるモニタ電圧Va(=AVDD×α(ただし0<α≦1))と、反転入力端(−)に入力される基準電圧Vth1及びVth2とを比較して比較信号Scを生成する。基準電圧Vth1及びVth2は、いずれも入力電圧VINに応じて変動する可変電圧(例えば、Vth1=VIN×1.1×α、Vth2=VIN×1.2×α)である。
【0123】
比較信号Scがハイレベル(=VIN)である場合には、モニタ電圧Vaと基準電圧Vth1が比較される。そして、モニタ電圧Vaが基準電圧Vth1を下回ると、比較信号Scがハイレベルからローレベル(=0V)に立ち下げられる。比較信号Scがローレベルである場合には、モニタ電圧Vaと基準電圧Vth2が比較される。そして、モニタ電圧Vaが基準電圧Vth2を上回ると、比較信号Scがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。このように、コンパレータY2にヒステリシス特性を付与しておくことにより、出力放電動作の意図しないオン/オフ発振を回避することが可能となる。
【0124】
ANDゲートY3は、第1入力端(反転入力極性)に入力されるシャットダウン信号SDと第2入力端(非反転入力極性)に入力される比較信号Scとの論理積演算を行ってゲート信号G1を生成し、これをトランジスタY1のゲートに送出する。従って、シャットダウン信号SDがローレベル(シャットダウン時の論理レベル)であって、かつ、比較信号Scがハイレベル(AVDD低下時の論理レベル)である場合に限り、ゲート信号G1がハイレベル(=VIN)となり、その余の場合にはゲート信号G1がローレベル(=0V)となる。
【0125】
抵抗Y4及びY5は、外部端子T8と接地端との間に直列接続されており、互いの接続ノードからモニタ電圧Va(昇圧電圧AVDDの分圧電圧)を出力する抵抗分割回路として機能する。
【0126】
抵抗Y6は、外部端子T8とトランジスタY1のドレインとの間に挿入されている。このような構成とすることにより、出力放電回路Yでは、キャパシタC1の容量値と抵抗Y6の抵抗値に応じた時定数に基づいて昇圧電圧AVDDの放電が行われる。
【0127】
上記構成から成る出力放電回路Yは、シャットダウン信号SDに基づいて昇圧電圧AVDDの生成停止が指示されたときに昇圧電圧AVDDの放電を開始する。そして、出力放電圧回路Yは、昇圧電圧AVDDの放電を開始した後、モニタ電圧Va(昇圧電圧AVDDに相当)が閾値電圧Vth1を下回ったときに昇圧電圧AVDDの放電を停止する。さらに、出力放電回路Yは、昇圧電圧AVDDの放電を停止した後、モニタ電圧Vaが閾値電圧Vth1よりも高い閾値電圧Vth2を上回ったとき(例えば、入力電圧VINの減電圧異常により、入力電圧VINに応じた閾値電圧Vth2がモニタ電圧Vaを下回ったとき)に昇圧電圧AVDDの放電を再開する。以下では、このような出力放電動作について具体例を挙げて説明する。
【0128】
図6は、出力放電動作の一例(入力電圧VINに減電圧異常が生じてシャットダウンが行われるときの様子)を示すタイムチャートであり、上から順に、昇圧電圧AVDD、入力電圧VIN、ゲート信号G1、シャットダウン信号SD、及び、比較信号Scが描写されている。なお、ここでは、説明を簡単とするために、コンパレータY2において昇圧電圧AVDDと閾値電圧Vth1及びVth2が直接的に比較されているものと仮定する。
【0129】
時刻t1において、減電圧異常による入力電圧VINの低下が始まり、時刻t2において、入力電圧VINが閾値電圧Vth(UVLO)を下回ると、シャットダウン信号SDがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。このとき、昇圧電圧AVDDは、閾値電圧Vth1(=VIN×1.1)よりも高いので、比較信号Scはハイレベルとなっている。従って、ゲート信号G1がハイレベルとなるので、トランジスタY1がオンとなり、外部端子T8と接地端との間が導通される。その結果、昇圧電圧AVDDが急速に放電されるので、負荷の意図しない動作を未然に回避することが可能となる。
【0130】
その後、時刻t3において、昇圧電圧AVDDが閾値電圧Vth1を下回ると、比較信号Scがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。従って、ゲート信号G1がローレベルとなるので、トランジスタY1がオフとなり、外部端子T8と接地端との間が遮断される。その結果、昇圧電圧AVDDの放電が停止されるので、昇圧電圧AVDDが入力電圧VINよりも低くなることを防止することが可能となり、延いては、入力電圧VINの印加端からコイルL1、ダイオードD1、抵抗Y6、及び、トランジスタY1を介して接地端に至る経路で不要な電流が引き抜かれることを防止することが可能となる。
【0131】
時刻t3以降も、減電圧異常に起因して入力電圧VINの低下が継続する場合には、入力電圧VINの低下に伴って、閾値電圧Vth1及びVth2も同様の傾向で徐々に低下していく。そして、昇圧電圧AVDDが閾値電圧Vth2を上回る(言い換えれば、閾値電圧Vth2が昇圧電圧AVDDを下回る)と、比較信号Scがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。従って、ゲート信号G1がハイレベルとなるので、トランジスタY1がオンとなり、外部端子T8と接地端との間が導通される。その結果、昇圧電圧AVDDの放電動作が再開される。
【0132】
以後も、入力電圧VINの低下が続く限り、トランジスタY1のオン/オフが繰り返されて昇圧電圧AVDDの放電動作が断続的に行われる。なお、トランジスタY1のゲート信号G1を生成するANDゲートY3は、入力電圧VINの供給を受けて動作しているので、入力電圧VINがトランジスタY1のオンスレッショルド電圧Vth以下まで低下すると、トランジスタY1をオンさせることができなくなり、出力放電動作が終了となる。
【0133】
また、
図6では、減電圧保護によるシャットダウン時を例に挙げて説明を行ったが、温度保護によるシャットダウン時、ショート保護によるシャットダウン時、または、イネーブル信号ENによるシャットダウン時のいずれにおいても、基本的に上記と同様の出力放電動作が行われる。ただし、入力電圧VINの低下が生じていない場合には、昇圧電圧AVDDが閾値電圧Vth1を下回って出力放電動作が停止されて以後、出力放電動作が再開されることはないので、昇圧電圧AVDDは、自然放電によって閾値電圧Vth1から入力電圧VINまで低下することになる。
【0134】
図7は、スイッチングレギュレータ部13の第2構成例を示す図である。第2構成例のスイッチングレギュレータ部13は、第1構成例とほぼ同様の構成であり、出力放電用トランジスタとしてPチャネル型MOS電界効果トランジスタY7を用いた点と、トランジスタY7を駆動するためのレベルシフタY8を追加した点に特徴を有している。そこで、第1構成と同様の構成要素については、
図5と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2構成例の特徴部分について重点的な説明を行う。
【0135】
トランジスタY7のソース及びバックゲートは、いずれも抵抗Y6を介して外部端子T8に接続されている。トランジスタY7のドレインは、接地端に接続されている。トランジスタY7のゲートは、レベルシフタY8の出力端(ゲート信号G2の印加端)に接続されている。
【0136】
レベルシフタY8は、昇圧電圧AVDDの供給を受けて、ANDゲートY3の出力信号の論理反転とレベルシフトを行うことによりゲート信号G2を生成し、これをトランジスタY7のゲートに送出する。すなわち、ANDゲートY3の出力信号がハイレベル(=VIN)であるときには、ローレベル(=0V)のゲート信号G2が生成され、ANDゲートY3の出力信号がローレベル(=0V)であるときには、ハイレベル(=AVDD)のゲート信号G2が生成される。
【0137】
このような構成とすることにより、第2構成例のスイッチングレギュレータ部13は、先出の第1構成例と同様、昇圧電圧AVDDを適切に放電することが可能となる。また、出力放電用トランジスタとしてPチャネル型MOS電界効果トランジスタY7を用いた構成であれば、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタY1を用いた構成と異なり、たとえ入力電圧VINが0Vまで低下した場合であっても、トランジスタY7をオンとして、昇圧電圧AVDDを放電することが可能となる。
【0138】
なお、上記では、液晶表示装置に搭載される昇圧型電源装置を例に挙げて説明を行ったが、その他の用途に供される昇圧型電源装置全般にも広く適用することが可能である。
【0139】
<ゲートパルス変調部>
[第1構成例]
次に、ゲートパルス変調部12の第1構成例について、詳細な説明を行う。
図11は、ゲートパルス変調部12およびその周辺の第1構成例を示す図である。本図に示したように、ゲートパルス変調部12は、各スイッチ(51、52)、可変電流源回路53、DAC[Digital to Analog Converter]54、コンパレータ55、及び、コントローラ56を有している。
【0140】
スイッチ51は、一端が外部端子T6に接続されており、他端がスイッチ52の一端に接続されている。またスイッチ52の他端は、可変電流源回路53(MOSFET53aおよび抵抗53b)を介して、接地されている。また各スイッチ(51、52)の接続ノードは、外部端子T7に接続されている。各スイッチ(51、52)は、例えばトランジスタにより形成されており、コントローラ56の指示に応じて、両端間の開閉が切替えられる。なお、開状態のときは両端間が非導通であり、閉状態のときは両端間が導通する。
【0141】
可変電流源回路53は、スイッチ52と接地点の間を流れる電流の値を、変更可能に設定する回路である。可変電流源回路53は、MOSFET(スイッチ素子)53a、抵抗53b、DAC53c、およびオペアンプ53dを有している。
【0142】
MOSFET53aは、ドレインがスイッチ52に接続されており、ソースが抵抗53bの一端に接続されている。また抵抗53bの他端は接地されている。このように抵抗53bは、外部端子T7と接地点(低電圧部)の間に設けられている。
【0143】
DAC53cは、入力側が制御部11に接続されており、出力側がオペアンプ53dの非反転入力端子に接続されている。DAC53cには、制御部11から、放電制御値Siの情報が入力されるようになっている。またオペアンプ53dは、反転入力端子がMOSFET53aと抵抗53bとの接続ノードに接続されており、出力端子がMOSFET53aのゲートに接続されている。MOSFET53aは、オペアンプ53dの出力信号に応じて、抵抗53bと外部端子T7の間の導通度を調節するように動作する。
【0144】
このような構成により、可変電流源回路53は、MOSFET53aと抵抗53bとの接続ノードに現れる電圧が放電制御値Siに応じた電圧値となるようにし、スイッチ52から接地点に流れる電流の値がほぼ一定となるようにする。制御部11側で放電制御値Siが変更されると、これに応じて、スイッチ52から接地点に流れる電流の値も変更されることになる。
【0145】
DAC54は、入力側が制御部11に接続されており、出力側がコンパレータ55の非反転入力端子に接続されている。DAC54には、制御部11から、保護電圧値Svの情報が入力されるようになっている。またコンパレータ55は、反転入力端子が外部端子T7に接続されており、出力端子がコントローラ56に接続されている。
【0146】
コントローラ56は、外部端子T5に接続されており、変調制御信号FLKやコンパレータ55の出力信号に基づいて各スイッチ(51、52)の開閉の切替を制御する。より具体的には、コントローラ56は、変調制御信号FLKがHレベルであるときには、スイッチ51を閉じてスイッチ52を開き、変調制御信号FLKがLレベルであるときには、スイッチ51を開いてスイッチ52を閉じる。但し、コントローラ56は、コンパレータ55の出力信号がHレベルのとき(電圧VGHMの値が、保護電圧値Svより小さくなるとき)には、変調制御信号FLKの状態に関わらずスイッチ52を開状態に固定する。
【0147】
次に、ゲートパルス変調部12の動作等についてより詳細に説明する。先述した通り、コントローラ56は、変調制御信号FLKに応じて各スイッチ(51、52)の開閉を切替える。スイッチ51が閉じられたとき(変調制御信号FLKがHレベルのとき)は外部端子T6と外部端子T7が導通し、外部端子T6から入力される電力を用いて、外部端子T7の接続先(ゲートドライバ20や液晶表示パネル30)に向けた充電が行われる。これにより、ゲート電圧VGHMは、基準ゲート電圧VGHと同等にまで上がり、Hレベル(液晶表示パネル30のTFTをONとする状態)となる。
【0148】
一方、スイッチ52が閉じられたとき(変調制御信号FLKがLレベルのとき)は、外部端子T7は可変電流源回路53を介して接地点に導通し、外部端子T7の接続先(ゲートドライバ20や液晶表示パネル30)からこの接地点に向けた放電が行われる。これにより、ゲート電圧VGHMは下がることになる。このようにしてゲート電圧VGHMは、略パルス波形となるように生成される。
【0149】
ここで可変電流源回路53の動作により、当該放電の電流値は、放電電流値Siとなるように制御される。放電制御値Siが小さいほど、当該放電は緩やかに進むことになる。そのため、ゲート電圧VGHMの波形の立下りの部分には、放電制御値Siに応じた傾きの傾斜が付くことになる。
【0150】
また、先述したように、ゲート電圧VGHMの値が保護電圧値Svより小さくなるときには、コントローラ56によってスイッチ52が開状態に固定され、当該放電は停止される。つまりコントローラ56は、ゲート電圧VGHMをモニターし、ゲート電圧VGHMが保護電圧値Svに達したときにスイッチ52を開状態とし、外部端子T7と接地点との間を非導通とする。
【0151】
そのため、保護電圧値Svがゲート電圧VGHMの下限値となり、ゲート電圧VGHMが保護電圧値Svを下回ることは回避される。なおゲート電圧VGHMの値が保護電圧値Svに略一致しているとき、ゲート電圧VGHMはLレベル(液晶表示パネル30のTFTをOFFとする状態)である。
【0152】
図12は、ゲート電圧VGHMおよび変調制御信号FLKの波形、ならびに、ゲートドライバ20において生成されるゲート信号の波形のグラフを例示している。なお、当該グラフでは、横軸と縦軸がそれぞれ時間と電圧を表している。上述したゲートパルス変調部12の動作により、基準ゲート電圧VGHが変調され、
図12に示すような波形のゲート電圧VGHMが生成されることになる。
【0153】
図12に示すように、ゲート電圧VGHMの波形は、概ね、変調制御信号FLKの波形に同期してHレベルとLレベルが交互に現れるパルス波形であり、HレベルおよびLレベルが、それぞれ基準ゲート電圧VGHおよび保護電圧値Svとなっている。
【0154】
但し、ゲート電圧の波形の立下り部分には、放電制御値Siに応じた傾きの傾斜が付いている。これにより電源IC10は、GS機能(ゲートシェーディング機能)を発揮するようになっている。なお放電制御値Siは変更が可能であるため、当該傾斜の傾きは調節可能である。そのため電源IC10によれば、例えば液晶表示パネル30の仕様に応じてGS機能が最も有効となるように、当該傾斜の傾きを調節しておくことが可能である。
【0155】
図17に示した従来例(電源IC100)との比較における、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10の主な特長について、以下に説明する。
【0156】
第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10は、内部に可変電流源回路53が設けられたことにより、外付け抵抗(
図17に示す外付け抵抗400に相当)を要することなく、GS機能を発揮することが可能である。そのため電源IC10によれば、GS機能を有しながらも、液晶表示装置の製造に要する部品の増大を抑え、製造コスト等を抑えることが可能である。
【0157】
また、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10は、外付け抵抗の接続が不要となっているため、外付け抵抗を接続するための外部端子(
図17に示す外部端子T
RDに相当)を設けておく必要がない。そのため電源IC10によれば、外部端子の数(PINの数)の増大を抑え、製造コスト等を抑えることが可能である。
【0158】
また、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10は、ゲート電圧VGHMのモニター結果に応じてスイッチ52を制御するため、定電圧源(
図17に示す定電圧源500に相当)を要することなく、ゲート電圧VGHMの下り過ぎを防止することが可能である。そのため、電源IC10によれば、ゲート電圧VGHMの下り過ぎを防止しながらも、液晶表示装置の製造に要する部品の増大を抑え、製造コスト等を抑えることが可能である。
【0159】
また、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10は、保護電圧値Svや放電制御値Siの設定値を更新するだけで、ゲート電圧VGHMの下限値や波形の立下り部分の傾きを変更することが可能である。そのため、電源IC10によれば、これらの調節を容易に行うことが可能である。
【0160】
[第2構成例]
次に、ゲートパルス変調部12の第2構成例について説明する。なお、第2構成例は、可変電流源回路の代わりに可変抵抗回路が設けられた点およびこれに関連する点を除き、基本的に第1構成例と同等である。以下の説明では、第1構成例と異なる部分の説明に重点を置き、第1構成例と同等の部分については説明を省略することがある。
【0161】
図13は、ゲートパルス変調部12およびその周辺の第2構成例を示す図である。本図に示したように、ゲートパルス変調部12は、各スイッチ(51、52)、DAC54、コンパレータ55、コントローラ56、および、可変抵抗回路57を有している。
【0162】
可変抵抗回路57は、可変抵抗57aおよびDAC57bを有している。可変抵抗57aは、一端がスイッチ52に接続されており、他端は接地されている。またDAC57bには、制御部11から、設定抵抗値Srの情報が入力されるようになっている。なお設定抵抗値Srは、保護電圧値Svなどと同様に、制御部11において変更可能に設定される値である。可変抵抗57aの抵抗値は、DAC57bの出力信号に基づいて、現状の設定抵抗値Srに設定されるようになっている。
【0163】
このように、第2構成例のゲートパルス変調部12においては、外部端子T7と接地点との間に可変抵抗57aが設けられている。これにより、液晶表示パネル30のパネル容量(C)と可変抵抗57a(R)によってCR回路が形成されるため、外部端子T7の接続先(ゲートドライバ20や液晶表示パネル30)から当該接地点に向けた放電は、このCR回路の作用によってCR放電となる。
【0164】
その結果、ゲート電圧VGHMの波形の立下り部分には、当該CR回路の時定数(可変抵抗57aの抵抗値等によって定まる)に応じた傾きの傾斜が付くことになる。この傾きは、可変抵抗57aの抵抗値(つまり設定抵抗値Sr)の変更を通じて調節可能である。
【0165】
以上に説明した通り、可変抵抗回路57は、第1構成例の可変電流源回路53に準じた機能を発揮するようになっている。これにより、第2構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10も、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10と同等の特長を有したものとなっている。
【0166】
[第3構成例]
次に、ゲートパルス変調部12の第3構成例について説明する。なお、第3構成例は、ゲートパルス変調部12の主要な構成およびこれに関連する点を除き、基本的に第1構成例と同等である。以下の説明では、第1構成例と異なる部分の説明に重点を置き、第1構成例と同等の部分については説明を省略することがある。
【0167】
図14は、ゲートパルス変調部12およびその周辺の第3構成例を示す図である。本図に示したように、第3構成例のゲートパルス変調部12は、可変電流源回路53、コントローラ56、各MOSFET(58、60)、および、逆流防止用のダイオード59を有している。なお、可変電流源回路53の構成は、第1構成例のものと同等である。
【0168】
MOSFET60は、ソースが外部端子T6に接続されており、ドレインが可変電流源回路53(MOSFET53aおよび抵抗53b)を介して接地されている。なおMOSFET60とMOSFET53aの間には、アノードがMOSFET60に接続されるようにダイオード59が設けられている。またMOSFET60のソースとダイオード59のアノードとの接続ノードは、外部端子T7に接続されている。
【0169】
MOSFET58は、ドレインがオペアンプ53dの出力端とMOSFET53aのゲートとの接続ノードに接続されており、ソースが接地されている。MOSFET(58、60)のゲートは、コントローラ56に接続されている。これにより各MOSFET(58、60)は、コントローラ56の指示に応じて、ON/OFF(ソース−ドレイン間の導通/非導通)が切替えられる。
【0170】
コントローラ56は、外部端子T5に接続されており、変調制御信号FLKに基づいて各スイッチ(51、52)の開閉の切替を制御する。より具体的には、コントローラ56は、変調制御信号FLKがHレベルであるときには、各MOSFET(58、60)をONとし、変調制御信号FLKがLレベルであるときには、各MOSFET(58、60)をOFFとする。
【0171】
上述した構成により、第3構成例のゲートパルス変調部12は次のように動作する。変調制御信号FLKがHレベルのとき、MOSFET60がONとなることで外部端子T6と外部端子T7が導通し、外部端子T6から入力される電力を用いて、外部端子T7の接続先(ゲートドライバ20や液晶表示パネル30)に向けた充電が行われる。これによりゲート電圧VGHMは、基準ゲート電圧VGHと同等にまで上がり、Hレベル(液晶表示パネル30のTFTをONとする状態)となる。なおこのときMOSFET58はONであるため、MOSFET53aはOFFとなっている。
【0172】
一方、変調制御信号FLKがLレベルのときには、MOSFET58がOFFとなることで、外部端子T7は可変電流源回路53を介して接地点に導通する。これにより、外部端子T7の接続先(ゲートドライバ20や液晶表示パネル30)からこの接地点に向けた放電が行われ、ゲート電圧VGHMが下がる。その結果、ゲート電圧VGHMはLレベル(液晶表示パネル30のTFTをOFFとする状態)となる。
【0173】
ここで第1構成例の場合と同様、可変電流源回路53の動作により、当該放電の電流値は放電制御値Siとなるように制御される。そのため、ゲート電圧VGHMの波形の立下りの部分には、放電制御値Siに応じた傾きの傾斜が付くことになる。その結果、電源IC10は、第1構成例の場合と同様にGS機能を発揮することが可能である。
【0174】
[その他の構成例]
先述した第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10の回路構成は、従来例(
図17を参照)に比べ、ゲート電圧VGHMのモニターに用いられるモニター用回路(DAC54およびコンパレータ55を含む回路)や、可変電流源回路53などが加えられたものとなっている。この点、例えば
図15に示すように、可変電流源回路53は加えられず、モニター用回路が加えられた回路構成とすることも可能である。
【0175】
図15に示す回路構成によれば、外付け抵抗40(
図17に示す外付け抵抗400に相当)やこれを接続するための外部端子T
RDは省略されないが、定電圧源(
図17に示す定電圧源500に相当)を要せずにゲート電圧VGHMの下り過ぎを抑制し得る点で、従来例に比べて有利となる。
【0176】
また各実施形態に係る電源IC10の回路構成について、所定信号(例えば、減電圧保護部15または温度保護部16による監視結果の信号)に応じて外部端子T7を地絡させる急速放電回路が設けられても良い。
図16はその一例として、第1構成例のゲートパルス変調部12を備えた電源IC10に急速放電回路19を加えた回路構成を示している。急速放電回路19は、所定信号に応じてON/OFFが切替るMOSFET19aを有しており、MOSFET19aがONとなったときに外部端子T7を地絡させる。急速放電回路19は、例えば電圧や温度の異常発生時に外部端子T7を地絡させ、急速に放電が行われるようにして機器を保護する役割を果す。
【0177】
以上に説明した通り、電源IC10は、液晶表示パネル30を駆動するゲートドライバ20にゲート電圧VGHMを供給する回路であって、ゲートドライバ20に接続される外部端子T7と、略パルス波形のゲート電圧VGHMを生成し、外部端子T7を介してゲートドライバ20へ出力するゲートパルス変調部12と、が設けられた集積回路(IC)として形成されている。そしてこの集積回路内には、ゲート電圧VGHMの波形に傾斜を付ける機能部(傾斜付与部)が設けられている。
【0178】
電源IC10によれば、GS機能を有しつつゲートドライバ20にゲート電圧VGHMを供給することが可能でありながら、製造コスト等を抑えることが容易となっている。
【0179】
また電源IC10は、一定の基準ゲート電圧VGHが入力される外部端子T6と、基準ゲート電圧VGHより低電圧に設定された低電圧部(例えば第1実施形態の場合は、抵抗53bに接続された接地点)とを備え、ゲートパルス変調部12は、外部端子T7を外部端子T6へ接続することにより、ゲート電圧VGHMをHレベルとし、外部端子T7を低電圧部へ接続することにより、ゲート電圧VGHMをLレベルとするようになっている。これにより電源IC10は、基準ゲート電圧VGHを変調するようにして、ゲート電圧VGHMを生成する。
【0180】
また傾斜付与部は、与えられた指示に応じて前記傾斜の傾きを変更可能に設定するようになっている。すなわち、第1構成例および第3構成例の場合は、傾斜付与部は、外部端子T7から低電圧部へ流れる電流の値を放電制御値Si(与えられた指示)に応じて設定する、可変電流源回路53によって形成されている。一方、第2構成例の場合は、傾斜付与部は、外部端子T7と低電圧部の間に設けられ、かつ、設定抵抗値Sr(与えられた指示)に応じて抵抗値を設定する可変抵抗57aによって形成されている。なお可変抵抗57aは、液晶表示パネル30が有するパネル容量とともにCR回路を形成し、液晶表示パネル30から低電圧部への放電をCR放電とするものである。
【0181】
<テレビへの適用>
図9は、液晶表示装置1を搭載したテレビの一構成例を示すブロック図である。また、
図10A〜
図10Cは、それぞれ液晶表示装置1を搭載したテレビの正面図、側面図、及び、背面図である。本構成例のテレビBは、チューナ部B1と、デコーダ部B2と、表示部B3と、スピーカ部B4と、操作部B5と、インタフェイス部B6と、制御部B7と、電源部B8と、を有する。
【0182】
チューナ部B1は、テレビBに外部接続されるアンテナB0で受信された受信信号から所望チャンネルの放送信号を選局する。
【0183】
デコーダ部B2は、チューナB1で選局された放送信号から映像信号と音声信号を生成する。また、デコーダ部B2は、インタフェイス部B6からの外部入力信号に基づいて、映像信号と音声信号を生成する機能も備えている。
【0184】
表示部B3は、デコーダ部B2で生成された映像信号を映像として出力する。表示部B3としては、先述の液晶表示装置1を好適に用いることができる。
【0185】
スピーカ部B4は、デコーダ部B2で生成された音声信号を音声として出力する。
【0186】
操作部B5は、ユーザ操作を受け付けるヒューマンインタフェイスの一つである。操作部B5としては、ボタン、スイッチ、リモートコントローラなどを用いることができる。
【0187】
インタフェイス部B6は、外部デバイス(光ディスクプレーヤやハードディスクドライブなど)から外部入力信号を受け付けるフロントエンドである。
【0188】
制御部B7は、上記各部B1〜B6の動作を統括的に制御する。制御部B7としては、CPU[central processing unit]などを用いることができる。
【0189】
電源部B8は、上記各部B1〜B7に電力供給を行う。電源部B8としては、先述の電源IC10を好適に用いることができる。
【0190】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。例えば、バイポーラトランジスタとMOS電界効果トランジスタとの相互置換や、各種信号の論理レベル反転は任意である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。