(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-167831(P2015-167831A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】歯科用印象材設置システム
(51)【国際特許分類】
A61C 9/00 20060101AFI20150901BHJP
B01F 9/22 20060101ALI20150901BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
A61C9/00 Z
B01F9/22
B01D19/00 102
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-46907(P2014-46907)
(22)【出願日】2014年3月10日
(11)【特許番号】特許第5535412号(P5535412)
(45)【特許公報発行日】2014年7月2日
(71)【出願人】
【識別番号】513212578
【氏名又は名称】株式会社ユーデント
(74)【代理人】
【識別番号】100153268
【弁理士】
【氏名又は名称】吉原 朋重
(72)【発明者】
【氏名】黒木 克二郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅徳
【テーマコード(参考)】
4D011
4G036
【Fターム(参考)】
4D011AA06
4D011AB06
4D011AC04
4D011AC06
4D011AD03
4G036AA26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】印象材を混合・練和する工程から印象材を印象採得用器具へ移設する工程まで、印象材への気泡混入の機会を低減させる。
【解決手段】攪拌脱泡用容器4を公転させながら自転させることにより、歯科用印象材の材料の攪拌と脱泡を同時に行う攪拌脱泡装置2と、攪拌脱泡用容器内で生成された歯科用印象材を所定の場所へ設置する際に使用する印象材押出装置と、を有し、攪拌脱泡用容器が、底部に開口部と、該開口部を開閉可能に塞ぐ栓部と、を有し、印象材押出装置が、開口部を開状態とした攪拌脱泡用容器を固定する容器固定部と、歯科用印象材を上から押さえ、開口部から押し出す印象材押出部と、を有し、開口部から押し出される歯科用印象材を、歯の型を取るための所定の場所へ設置することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌脱泡用容器を公転させながら自転させることにより、該容器内に投入された患者一人の歯型の印象採得1回分の使用量として計量された歯科用印象材及び水の攪拌と脱泡とを同時に行う攪拌脱泡装置と、前記攪拌脱泡用容器内で生成された前記歯科用印象材を印象採得用トレー又は印象採得用シリンジへ設置する際に使用する印象材押出装置と、を有する歯科用印象材設置システムであって、
前記攪拌脱泡用容器が、底部に開口部と、該開口部を開閉可能に塞ぐ栓部と、を有し、
前記印象材押出装置が、
前記開口部を開状態とした前記攪拌脱泡用容器を固定する容器固定部と、
前記歯科用印象材を上から押さえ、前記開口部から押し出す印象材押出部と、を有し、
前記開口部が、前記攪拌脱泡用容器内面から該攪拌脱泡用容器外面へ通じ、該外面外側に突き出た前記歯科用印象材の流路を形成し、
前記栓部が、弾性部材を材料とし、前記攪拌脱泡用容器内側に山型形状を成して突出し、該山型形状の底辺部位が前記攪拌脱泡用容器内面と隙間なく連なる頭部と、前記流路と隙間なく接し、前記流路の長さと同じ長さである胴体部と、前記流路出口の外周より大きく前記流路出口を隙間なく塞ぐ尻部と、を有し、
前記開口部から押し出される前記歯科用印象材を、前記印象採得用トレー又は印象採得用シリンジへ設置することを特徴とする歯科用印象材設置システム。
【請求項2】
前記攪拌脱泡用容器の底部が、該底部の中央に向かって傾斜した形状であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用印象材設置システム。
【請求項3】
前記印象材押出部が、該印象材押出部の上端と下端とを連通させ、該下端に接する空間の空気を外部へ逃がす通気部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用印象材設置システム。
【請求項4】
前記通気部が、前記印象材押出部の側面に配置される溝であること特徴とする請求項3に記載の歯科用印象材設置システム。
【請求項5】
前記容器固定部が、前記開口部と接続され、該開口部から吐出された前記歯科用印象材を前記所定の器具まで導くガイド部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の歯科用印象材設置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水と練和させた歯科用印象材をトレーやシリンジなどの印象採得用器具に設置するシステムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療において良い治療結果を得るためには、高精度で緻密な印象を採得することが重要であるという側面がある一方で、歯科治療の現場においては、アルギン酸系の粉末と水とを混合、練和して作成される印象材が良く使用される。
【0003】
ここで、アルジネート印象材(アルギン酸印象材)は、安価で操作が簡単であるという利点を有するが、術者による練和の技術度により物性に大きな差が生じるという欠点を有する。より具体的には、アルジネート印象材は、通常、術者がラバーボウルとスパチュラを使用し、粉末と水を練和して状態を整え使用するが、その物性上、短時間で練和する必要があり、練和過程において、技術力の低い術者ほど、印象材に多くの気泡が混入する。なお、技術力の高い術者が印象材を練和したとしても、作業の特性上、印象材にはある程度の量の気泡が混入することは避けられない。
【0004】
そうすると、空気は温度に応じ膨張・収縮する性質を有するため、印象材に混入した気泡も周囲の温度に応じ膨張・収縮し、良い治療結果を得るために緻密な印象採得を行うという観点において問題が生ずる。また、採得した印象表面の気泡に石膏泥が入り込めば、石膏面に微妙な凹凸が生じるため、滑沢な石膏模型を得ることができないという問題も生じる。
【0005】
そのような状況下、近年、歯科治療の現場では、印象材と水を専用容器に入れ、当該容器を公転させながら自転させることによって、印象材の攪拌と脱泡を同時に行う攪拌脱泡装置を使用する機会が増えている。この装置を使用すれば、練和後における印象材の、術者の技術力の高低に基づく物性のバラツキは低減される。
【0006】
しかしそれでも、歯科治療において印象材を使って印象を採得する場合、最終的には上記の専用容器内にある練和後の印象材を印象採得用のトレー又はシリンジにスパチュラなどを使用して術者自らが移設せねばならず、その工程における気泡の混入は必ず生じてしまう。
【0007】
一方で、上記した攪拌脱泡装置の専用容器に改良を加えることによって、当該装置の脱泡性能を向上させる研究・開発が盛んに行われている。例えば、特許文献1では、上記専用容器の底部形状に工夫を加えることで、脱泡性能を向上させた攪拌脱泡装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−218309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来技術においても、攪拌脱泡装置の専用容器から練和後の印象材を印象採得用のトレー又はシリンジへ手作業で移設する工程、つまり、印象材に気泡を混入させてしまう工程が残存してしまうという問題点があった。
【0010】
また、印象材と水を混合してから印象材が硬化するまでの時間は一定であるところ、従来、上記の印象採得用のトレー又はシリンジへ手作業で移設する工程は複数回に渡り行われ、時間がとられるため、歯型の印象採得の作業に充当される時間が短くなるという問題点があった。
【0011】
さらに、上記の印象採得用のトレー又はシリンジへ手作業で移設する工程は、細かい操作を短時間で繰り返し行う必要があるため、術者の熟練度の違いが当工程の作業時間の多寡に影響し、その結果として歯型の印象採得の作業に充当される時間にもバラツキが出るという問題点があった。
【0012】
そこで本発明では、上記問題点に鑑み、印象材を混合・練和する工程から印象材を印象採得用器具へ移設する工程まで、印象材への気泡混入の機会を低減させると共に、歯科治療に充当できる時間を延ばし、高精度で緻密な印象採得に基づく治療結果の改善に寄与する歯科用印象材設置システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
開示する歯科用印象材設置システムの一形態は、攪拌脱泡用容器を公転させながら自転させることにより、該容器内に投入された患者一人の歯型の印象採得1回分の使用量として計量された歯科用印象材及び水の攪拌と脱泡を同時に行う攪拌脱泡装置と、前記攪拌脱泡用容器内で生成された前記歯科用印象材を印象採得用トレー又は印象採得用シリンジへ設置する際に使用する印象材押出装置と、を有する歯科用印象材設置システムであって、前記攪拌脱泡用容器が、底部に開口部と、該開口部を開閉可能に塞ぐ栓部と、を有し、前記印象材押出装置が、前記開口部を開状態とした前記攪拌脱泡用容器を固定する容器固定部と、前記歯科用印象材を上から押さえ、前記開口部から押し出す印象材押出部と、を有し、前記開口部が、前記攪拌脱泡用容器内面から該攪拌脱泡用容器外面へ通じ、該外面外側に突き出た前記歯科用印象材の流路を形成し、前記栓部が、弾性部材を材料とし、前記攪拌脱泡用容器内側に山型形状を成して突出し、該山型形状の底辺部位が前記攪拌脱泡用容器内面と隙間なく連なる頭部と、前記流路と隙間なく接し、前記流路の長さと同じ長さである胴体部と、前記流路出口の外周より大きく前記流路出口を隙間なく塞ぐ尻部と、を有し、前記開口部から押し出される前記歯科用印象材を、前記印象採得用トレー又は印象採得用シリンジへ設置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
開示する歯科用印象材設置システムは、印象材を混合・練和する工程から印象材を印象採得用器具へ移設する工程まで、印象材への気泡混入の機会を低減させると共に、歯科治療に充当できる時間を延ばし、高精度で緻密な印象採得に基づく治療結果の改善に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態に係る攪拌脱泡装置を示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器を示す図である。
【
図3】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器の断面を示す図(その1)である。
【
図4】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器の断面を示す図(その2)である。
【
図5】本実施の形態に係る印象材押出装置を示す図である。
【
図6】本実施の形態に係る印象材押出部の平面断面図である。
【
図7】本実施の形態に係る歯科用印象材設置システムの動作の流れを説明するフローチャートである。
【
図8】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器の使用状態を示す図である。
【
図9】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器及び容器固定部の使用状態を示す図(その1)である。
【
図10】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器及び容器固定部の使用状態を示す図(その2)である。
【
図11】本実施の形態に係る印象採得用器具を示す図である。
【
図12】本実施の形態に係る攪拌脱泡用容器及び容器固定部の使用状態を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
(本実施の形態に係る歯科用印象材設置システムの構造)
【0017】
図1乃至6を用いて、本実施の形態に係る歯科用印象材設置システム(以下、単に「当システム」という。)1の構造について説明する。当システム1は、歯科用印象材22と液体(以下、単に「水」という。)を混合・練和すると共に、練和後の歯科用印象材22を印象採得用器具24へ設置するためのシステムであり、当システム1は、攪拌脱泡装置2、印象材押出装置12を有する。なお、歯科用印象材22とは、アルジネート印象材(アルギン酸印象材)の他、歯科用の印象材であれば、その種類は限定されない。
【0018】
図1で示すように、攪拌脱泡装置2は、攪拌脱泡用容器(以下、単に「容器」という。)4を備え、印象材22と水を入れた容器4を公転させながら自転させることによって、印象材22と水の攪拌と脱泡を同時に行う装置である。攪拌脱泡装置2では、主として、容器4の公転による遠心力で脱泡が行われ、容器4の自転と公転との相互作用によって材料の攪拌(混合、練り合わせ)が行われる。
【0019】
なお、容器4を公転させながら自転させる構造としては、遊星歯車装置を用いた構造(例えば特開昭61−290946号公報)、ベルト及びプーリと自在継手を用いた構造(例えば実開平5−32110号公報)、公転駆動用と自転駆動用に別々のモータを用いた構造(例えば実開平9−29086号公報)等がある。
【0020】
図2で示すように、容器4は、容器本体26と蓋28とを有し、容器本体26の中に印象材22と水とを入れ、これらを攪拌・脱泡するための容器である。
図3に容器本体26の側面断面図を示す。
図3で示すように、容器4は、底部10にある開口部6、開口部6を開閉可能に塞ぐ栓部8を有する。開口部6は、底部10の略中央に位置し、容器4内で練和された印象材22を容器4の外部へ吐出させる際に使用する。そのため、印象材22の練和時、開口部6は栓部8にて閉じられている。
また、栓部8は、開口部6の開閉動作を容易にするため、脱着のし易い弾力を備えた樹脂、ゴム又はシリコンなどを材料とする。
【0021】
さらに栓部8は、容器4に装着した際に容器4内側となる部位が山型形状となっている。栓部8が当該形状となることで、容器4内の印象材22と水とが移動し易くなり、これらの攪拌処理効率が高くなる。
【0022】
また、
図4で示すように、容器4は、底部10の形状を、底部10中央(栓部8)に向かって下方に傾斜した形状としても良い。容器4の底部形状をこのようにすることで、練和された印象材22を容器4の外部へ吐出させる動作をスムーズに行うことができる。
【0023】
図5に印象材押出装置12の模式図を示す。印象材押出装置12は、攪拌脱泡装置2において練和された印象材22を、容器4から印象採得用器具24へ移設させる装置である。
図5で示すように、印象材押出装置12は、容器固定部14、印象材押出部16、ガイド部20を有する。
【0024】
容器固定部14は、攪拌脱泡装置2で印象材22を練和させた後、栓部8を取り外し開口部6を開状態とした容器4を印象材押出装置12へ固定するための部位である。容器固定部14は、容器4を上から挿入すれば、容器4が所定の位置でホールドされるカップ形状であることが好適である。
【0025】
印象材押出部16は、容器固定部14に固定された容器4内に存在する印象材22を上方から均一な力で押さえ、印象材22を底部10にある開口部6から外部へ吐出させるための部位である。なお、開口部6から吐出される印象材22は、印象採得用器具24へ設置(充填)される。
【0026】
図6に印象材押出部16の平面断面図を示す。
図6で示すように、印象材押出部16は、側面に溝状機構である通気部18を有し、通気部18は、印象材押出部16の下端と上端とを連通させることによって、印象材押出部16下端面に接する空間にある空気を外部へ逃がす(放出させる)役割を果たす部位である。なお、通気部18は、印象材押出部16側面の溝状機構に限られず、印象材押出部16の下端と上端とを連通させる機能を備えれば、内側に孔状機構を設けて実現させる形態としても良い。また、設置される通気部18の数は限定されない。通気部18を設けることによって、印象材22と印象材押出部16下端面の間に存在する空気を外部へ逃がすことができるため、開口部6からの印象材22の吐出動作をスムーズに行うことができる。
【0027】
図5で示すように、ガイド部20は、開状態となった開口部6に接続され、開口部6から吐出される印象材22を、印象材22の移設先である印象採得用器具24へ首尾よく移設できるようにガイドする部位である。
図5で示すように、ガイド部20は、容器固定部14の下端に配置され、筒型形状とすることが好適である。
(本実施の形態に係る歯科用印象材設置システムの動作)
図7乃至12を用いて、当システム1の動作について説明する。
図7は当システム1の動作を説明するフローチャートである。
【0028】
S10において、当システム1の操作者は、容器4の開口部6に栓部8を取り付け、開口部6を閉状態とする。その後、操作者は、計量器などで適量(患者一人の歯型の印象採得1回分)の歯科用印象材22と水を計量し、容器本体26の中に投入すると共に、容器4の蓋28を閉める。そして操作者は、印象材22と水が入った容器4を攪拌脱泡装置2が備える容器ホルダに固定する。
【0029】
S20において、操作者は、攪拌脱泡装置2のスイッチを操作することによって、攪拌脱泡装置2を稼働させ、容器4の中の印象材22と水とを攪拌、脱泡させる。印象材22と水を入れた状態の容器4が公転の動作及び自転の動作をすることによって、印象材22と水の攪拌と脱泡が同時に行われる。
【0030】
S30において、操作者は、攪拌脱泡装置2のスイッチを操作することによって、攪拌脱泡装置2の稼働を停止させる。なお、攪拌脱泡装置2は自動停止する形態でも良い。そして操作者は、攪拌脱泡装置2の容器ホルダから容器4を取り出す。さらに
図8で示すように、操作者は、容器4の蓋28を取り外すと共に、開口部6から栓部8を取り外し、開口部6を開状態とする。なお、印象材22は、ある程度の粘性を有するため、開口部6から自然に流れ出すことは無い。次に
図9で示すように、操作者は、開口部6を開状態とした容器4を容器固定部14に設置し、所定の位置に容器4を固定する。
【0031】
S40において
図10で示すように、操作者は、容器4の上方から印象材押出部16を容器4内へ挿入し、印象材22を上から押さえるように継続して力を加えると共に、開口部6から印象材22を吐出させる。このとき、印象材22と印象材押出部16との間にある空気は、通気部18を介して、印象材押出部16の外へと放出される。それと同時に、操作者は、
図11で示すような印象採取用のトレー24を、開口部6と接続されたガイド部の下で待機させると共に、ガイド部20(開口部6)から吐出された印象材22をトレー24上に盛り付ける。
【0032】
また
図12で示すように、操作者は、ガイド部20に印象採取用のシリンジ24を差し込み、ガイド部20(開口部6)から吐出された印象材22をシリンジ24の中へ充填させる形態としても良い。
【0033】
その後、トレー24上に盛り付けられた印象材22やシリンジ24内に充填された印象材22は、通常の歯科治療と同様に使用され、患者の歯の型の印象採得が行われる。
このように当システム1は、操作者(術者)の技術の巧拙に関係なく、気泡を混入させることなく、印象材22を印象採得用器具24へ設置することができる。
【0034】
また上記のように、当システム1は、印象材22の混合・練和工程から印象採得用器具24への移設工程まで、印象材22へ気泡が混入する機会を低減させることができる。
【0035】
ここで、印象材22及び水を混合してから印象材22が硬化するまでの時間は一定であるため、印象材22及び水の混合・練和から印象材22の印象採得用器具24への設置の時間が短縮されれば、その短縮された分だけ患者の歯型の印象採得作業に割ける時間を相対的に長くすることができる。
【0036】
また、栓部8が、容器4に装着した際に容器4内側となる部位が山型形状となっているため、容器4内の印象材22及び水が移動し易くなった結果、印象材22及び水の攪拌処理効率が高くなり、従来必要であった容器4に投入した印象材22及び水の手作業による初期攪拌が不要となる。
【0037】
上記のような理由から当システム1は、容器4から印象材22を印象採得用器具24へ移設させる作業の手間及び時間を減らし、患者の歯型の印象採得作業に割ける時間を相対的に長くすることができるため、高精度で緻密な印象採得に基づく治療結果の改善に寄与することができる。
【0038】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 歯科用印象材設置システム
2 攪拌脱泡装置
4 攪拌脱泡用容器
6 開口部
8 栓部
10 容器底部
12 印象材押出装置
14 容器固定部
16 印象材押出部
18 通気部
20 ガイド部
22 歯科用印象材
24 印象採得用器具
26 攪拌脱泡用容器の容器本体
28 攪拌脱泡用容器の蓋