(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168055(P2015-168055A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】ドリルチャック
(51)【国際特許分類】
B23B 31/173 20060101AFI20150901BHJP
B23B 31/12 20060101ALI20150901BHJP
B23P 9/02 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
B23B31/173 C
B23B31/12 C
B23P9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-38755(P2015-38755)
(22)【出願日】2015年2月27日
(31)【優先権主張番号】10 2014 002 969.7
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】DE
(71)【出願人】
【識別番号】597007204
【氏名又は名称】ロェーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シェンク
【テーマコード(参考)】
3C032
【Fターム(参考)】
3C032BB03
3C032BB06
3C032HH01
(57)【要約】
【課題】テーパー状の基本形状を有する締付スリーブを備えたドリルチャックにおいて、内周面について容易に変更を加えることができるようにしつつ、金属材料を用いてテーパー状の基本形状を容易に実現することができるようにする。
【解決手段】締付スリーブ(2)は、金属製のテーパ状の外側スリーブ(10)と、樹脂を用いて形成されたテーパ状の内側スリーブ(11)との2つの部分を備えており、外側スリーブ(10)を、内側スリーブ(11)に、半径方向にセンタリングすべく、外側スリーブ(10)の内周面には、センタリング用リング部(12)が備えられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック駆幹体(5)と、チャック駆幹体(5)のチャック軸(6)まわりに回転可能なテーパ状の基本形状を有する締付スリーブ(2)とを備え、この締付スリーブ(2)の回転によって複数の締付あご(3)の位置・姿勢をチャック駆幹体(5)に対してシフト可能であるドリルチャックにおいて、
締付スリーブ(2)は、金属製のテーパ状の外側スリーブ(10)と、樹脂を用いて形成されたテーパ状の内側スリーブ(11)との2つの部分を備えており、外側スリーブ(10)を、内側スリーブ(11)に、半径方向にセンタリングすべく、外側スリーブ(10)の内周面には、センタリング用リング部(12)が備えられることを特徴とするドリルチャック。
【請求項2】
センタリング用リング部(12)は、2つ備えられ、外側スリーブ(10)の縁の側に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドリルチャック。
【請求項3】
センタリング用リング部(12)は、軸方向先端側の縁に、半径方向内側へと突き出すように曲げ加工して得られるリングフランジ(13)または突出部により形成され、このリングフランジ(13)または突出部が、内側スリーブ(11)に設けられたリング凹部(14)に噛み合っていることを特徴とする請求項1または2に記載のドリルチャック。
【請求項4】
チャック軸(6)に対して傾斜して延びる案内受入部に、複数の締付あご(3)が、長さ方向に位置ズレ可能に案内されており、締付あご(3)の外側歯切部は、締付スリーブ(2)により回転可能なネジ切リング(7)の内側ネジ切部に噛み合っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のドリルチャック。
【請求項5】
内側スリーブ(11)の内周面には、インターロック機構の掛け止め部及びロック部の少なくとも一方について、位置・姿勢をシフトさせるための切替・調整用カム部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のドリルチャック。
【請求項6】
内側スリーブ(11)またはチャック駆幹体(5)に、保護キャップ(15)が回転可能に取り付けられ、この保護キャップ(15)が、外側スリーブ(10)のための突き当て部をなすことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のドリルチャック。
【請求項7】
テーパ状の外側スリーブ(10)の外周面にはローレット加工部(4)が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のドリルチャック。
【請求項8】
ローレット加工部(4)は、テーパー状の外側スリーブ(10)における、先端及び後端の縁から離間した中間領域の全体に、軸方向に断続することなく延びていることを特徴とする請求項7に記載のドリルチャック。
【請求項9】
外側スリーブ(10)のテーパ角が3°から30°の間、または、10°から20°の間であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のドリルチャック。
【請求項10】
ドリルチャックのための金属製のテーパ状の締付スリーブ(10)の外周面に、ローレット加工部を設ける方法において、ローレット加工部(4)を設ける際には、テーパー角によって決まる線に平行でない経路に沿って、ローレット工具の位置・姿勢を前記外周面に対してシフトさせていくことを特徴とする方法。
【請求項11】
テーパ角と、前記経路の傾斜角との間の差が1°と10°との間、または、2°と5°との間であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
テーパ状の基本形状を有する金属製のベース体と、外周面に設けられたローレット加工部(4)とを備える締付スリーブにおいて、ローレット加工部(4)を形成するローレット歯切部の切込み深さが、ローレット加工部(4)の一方の縁部から他方の縁部に向かって減少していくことを特徴とするクランプスリーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパー状の基本形状を有する締付スリーブを備えたドリルチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
ドリルチャックには、チャック駆幹体と、チャック駆幹体のチャック軸まわりに回転可能な締付スリーブとが備えられる。この締付スリーブが、テーパー状の基本形状を有する。この締付スリーブにより、複数の締付あごの位置・姿勢を、チャック駆幹体に対してシフト可能である。
【0003】
このような種類のドリルチャックは、現状の技術において広く普及しており、このドリルチャックの締付スリーブは、樹脂を用いて製造されるのが常である。また、技術水準により、円筒状の外周面を有するスチール製の締付スリーブが知られている。また、特許文献1によると、インターロック機構を備えるドリルチャックに、別体の2つの部分からなる締付スリーブが備えられ、締付スリーブの外筒部が金属からなり、内筒が樹脂からなる。外筒及び内筒のいずれも、円筒形の基本形状を有する。金属の外筒は、外側からの作用に対する耐力を向上させるのであり、一方、樹脂を用いて製造される内筒は、切替・調整用のカム面及びインターロック機構を低コストで設けることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP0785041B(特許3864289)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レンチを用いずに作動させるドリルチャックにおいて、金属の締付スリーブの基本形状をテーパー状とすることは、技術水準により知られていない。というのは、特には、次のような問題があるからである。すなわち、加える締付力を増大させるために必要なローレット加工について、テーパー状の締付スリーブの外周面に、工程上の確実性が得られるように施すべきだからである。
【0006】
そのため、本発明の根底をなす課題は、導入部で述べたようなドリルチャックにおいて、内周面について容易に変更を加えることができるようにしつつ、金属材料を用いてテーパー状の基本形状を容易に実現することができ、しかも、ドリルチャックのドリリング特性に悪影響を与えないものを提供することにある。
【0007】
また、さらなる課題は、金属を用いて製造されるテーパー状の締付スリーブにおける外周面に、欠陥のないローレット加工を、工程上の確実性が得られるように施すことができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題におけるドリルチャックの部分は、導入部で述べたようなドリルチャックにおいて、次のようであることにより解決される。すなわち、締付スリーブが、金属製のテーパー状の外側スリーブと、樹脂を用いて製造されるテーパー状の内側スリーブとの2つの別体の部分を備えてなり、外側スリーブを内側スリーブに、半径方向にセンタリングすべく、外側スリーブの内周面には、センタリング用リング部が備えられる。このセンタリング用リング部は、チャック軸を中心軸とする短円筒をなすか、または、内側の端面もしくはエッジが、チャック軸に垂直な面内にて、チャック軸上の点を中心とする円に沿って延びる。
【発明の効果】
【0009】
上記の形態は、次のような利点と結びついている。外側スリーブの位置・姿勢を内側スリーブに精確に合わせることにより、同心回転特性に悪影響を与えることがないようにすることができる。したがって、内側スリーブ及びチャック軸に対する外側スリーブの位置・姿勢の合わせ(アラインメント)のエラーによってアンバランスが生じることがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態のドリルチャックについての斜視図である。
【
図2】
図1のドリルチャックの側面を示し、左半部はチャック軸に沿った縦断面を示す半断面・半側面図である。
【
図3】
図2のIII-III断面を示す横断面図である。
【
図4】別の実施形態のドリルチャックについての、
図1と同様の斜視図である。
【
図5】
図4のドリルチャックについての、別の方向から見た斜視図である。
【
図6】
図4のドリルチャックについての、
図2と同様の半断面・半側面図である。
【
図7】
図4のドリルチャックについての、後方から見た平面図である。
【
図8】さらなる実施形態のドリルチャックについての、
図2と同様の半断面・半側面図である。
【
図9】
図8のドリルチャックについての、後方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましくは、センタリング用リング部は、二重に設けられるとともに、外側スリーブの縁の側に設けられる。このような実施形態であると、外側スリーブと内側スリーブとの間の、相互の精確な位置・姿勢のアライメントが、先端側の縁及び後端側の縁に設けられた2つのセンタリング用リング部により、確実に実現できる。このようにして、軸方向の全長にわたって、相互の精確な位置・姿勢のアライメントを確実に実現できる。
【0012】
コスト面、及び、製造の容易さという点からは、次のようであると好ましい。すなわち、軸方向先端側の縁に、半径方向内側へと突き出すように曲げ加工して得られるリングフランジまたはリング状突出部が設けられ、このリングフランジまたは突出部が、内側スリーブに設けられたリング凹部に噛み合っているならば好ましい。
【0013】
実際の実施により、次のようであれば良いことが確かめられた。チャック軸に対して傾斜して延びる案内受入部に、複数の締付あごが、長さ方向に位置ズレ可能に案内されている。そして、締付あごの外側歯切部は、締付スリーブにより回転可能なネジ切リングの内側ネジ切部に噛み合わされている。
【0014】
内側スリーブの内面には、インターロック機構の掛け止め部及び/またはロック部(すなわち、これらの少なくとも一方)の位置・姿勢(位置及び姿勢の少なくとも一方、以下同様)をシフトさせるべく、切替・調整用カム部が設けられているならば好ましい。これらの具体的な構造については、本件出願人による特許文献1などの多数の文献を参照することができるので、詳細には述べないが、一実施形態によると、概略次のとおりである。インターロック機構は、チャック駆幹体と締付スリーブとの間にて作用するように設けられており、チャック駆幹体の外周面に設けられた歯切部へと、掛け止め部がバネ力に抗して半径方向内側へと押し込まれることでインターロックが行われる。特には、中間スリーブが締付スリーブに対して回転した際に、切替・調整用カム部の作用により、掛け止め部が差し込まれたインターロック状態と、掛け止め部が外れ出た連動解除状態との間のシフトが行われる。より詳しい例において、掛け止め部が周方向に延びる板バネ状の部材の一端に設けられ、この板バネ状の部材の一部が中間スリーブを貫くようにはめ込まれ、この部分により掛け止め部が、切替・調整用カム部の作用を受けて半径方向内側への押し込み及びその解除が行われる。また、板バネ状の部材の他の一部には、中間スリーブと締付スリーブとの間の回転状態を解除可能に固定するためのロック部が形成され、締付スリーブの内面に設けられた他の切替・調整用カム部の作用により、回転状態の固定及び解除が行われる。切替・調整用カム部は、特には、凹部により設けられ、ドリルチャックの横断面において、凹部の底面が、調整スリーブの他の部分の内面と滑らかに連続する。
【0015】
ワークをドリリングして突き抜ける際に損傷を受けるのを防ぐべく、内側スリーブまたはチャック駆幹体に、保護キャップが回転可能に取り付けられる。この保護キャップは、外側スリーブのための突き当て部として設けられる。
【0016】
レンチを用いることなくドリルチャックの操作を行う際に、締付スリーブの位置・姿勢をシフトさせ、これにより、ドリルチャックの開閉を行うべく、大きな力を加えることができるようにするためには、テーパー状の外側スリーブの外周面に、ローレット(ナーリング)加工部を設ける。
【0017】
ローレット加工部は、テーパー状の外側スリーブにおける、先端及び後端の縁から離間した中ほどの領域の全体に、軸方向に断続することなく延びているならば、好ましい。
【0018】
外側スリーブのテーパー角が3度と30度との間、特には、10度と20度との間であるならば望ましい。ここで、テーパー角の選択は、ドリルチャックが取り付けられるドリリング機械のケーシングの配置及び形状に合わせるようにして行うことができる。したがって、ドリルチャックの設計は、ドリリング機械の設計に合わせることができる。テーパー状の外周面を通じて、切りくずやドリリング・ダストが、より排出されやすくなることも知られた。というのは、切りくずやドリリング・ダストが、ドリリング機械のケーシングにおけるドリル先端側の稜部へと導かれることがないからである。
【0019】
本発明における方法に関する部分は、ローレット加工部を、テーパー状の金属の締付スリーブの外周面に、次のようにして設けることにより解決される。すなわち、ローレット加工部を設けるにあたり、ローレット加工の工具は、前記外周面における次のような経路に沿って位置・姿勢をシフトしていくようにして設けることにより解決される。ここでの経路は、テーパー角によって決まる線に平行でない。
【0020】
専門家の見解によると、幾何学的な理由及び形態・トポロジー的な理由からも、「整合しあった」ローレット加工部をテーパー状の締付スリーブに、工程上の高い信頼性でもって形成することは不可能であった。というのは、外側スリーブの外径が拡大することにより、不均一なローレットパターンが形成されるからである。このような不均一なローレットパターンは、設計・デザイン上の観点から許容できないものであり、顧客から拒否される。本発明の方法によってはじめて、次のようなことが可能となる。すなわち、テーパー状の金属の締付スリーブにローレット加工部を設けるにあたり、視覚的な外観にローレット加工の欠陥部が含まれないようにすることが可能となる。
【0021】
これに関連して、前記経路とテーパー角との間の開きが1度と10度との間、特には、2度と5度との間であるならば望ましいことが明らかとなった。
【0022】
本発明の対象は、さらには、次のような外側スリーブである。すなわち、テーパー状の基本形状を有する金属の基体を備え、外周面に設けられたローレット加工部を備える外側スリーブであって、ローレット加工部を構成するローレット歯切部の切り込み深さは、ローレット加工部の一方の縁から他方の縁へと向かうにつれて減少する。
【0023】
次に、図面に示されている実施例を参照しつつ、本発明について詳しく説明する。
【0024】
図面に示された本発明の各実施例のいずれにおいても、ドリルチャック1には、チャック駆幹体5と、チャック駆幹体5のチャック軸6まわりに回転可能な締付スリーブ2とが備えられる。ここで、締付スリーブ2は、テーパー状の基本形状を有している。締付スリーブ2の回転により、図示の各実施例において、複数の締付あご3は、チャック軸6に対して傾斜して延びるように設けられた案内受入部中にて、長手方向に位置ズレ可能に案内されており、締付あご3の外向き歯切部は、締付スリーブ2により回転可能なネジ切リング7の内向き歯切部に噛み合っている。図示のドリルチャック1には、さらに、インターロック機構8が備えられる。このインターロック機構8の基本的な構造は、上記特許文献1のインターロック機構と同一であり、上記特許文献1に、インターロック機構8の詳細が示されている。このインターロック機構8には、特には、チャック駆幹体5の歯切部16に組み合わされて作動する掛け止め部が備えられる。この掛け止め部は、ネジ切リング7に回転不能に接続された中間スリーブに設けられるかまたは取り付けられ、締付スリーブ2の内面に形成された切替・調整用カム面により、位置・姿勢がシフトされる。掛け止め部をそれぞれの切替状態にて固定するのに役立つロック部も、同様に、締付スリーブ2の内面に形成された切替・調整用カム面によって作動が行われる。
【0025】
本発明の基本的な理解のためには、締付スリーブ2がテーパー状の基本形状を有する。この締付スリーブ2は、テーパー状の金属の外側スリーブ10と、樹脂を用いて形成された内側スリーブ11との2つの別体の部材からなる。外側スリーブ10を内側スリーブ11に対して、半径方向からのセンタリングを行うべく、外側スリーブ10の内周面に、少なくとも一つのセンタリング用リング部12が備えられる。図示の各実施例においては、外側スリーブ10の軸方向先端側の端部と軸方向後方の端部とに、合わせて2つのセンタリング用リング部12が備えられる。軸方向先端側のセンタリング用リング部12は、半径方向内側へと突き出すように曲げ加工して得られるリングフランジ13により設けられる。このリングフランジ13は、内側スリーブ11に設けられたリング状凹部14に噛み合っている。
【0026】
チャック駆幹体5(
図2)に、または、内側スリーブ11(
図6)に、保護キャップ15が、回転可能に取り付けられる。保護キャップ15は、外側スリーブ10のための軸方向の突き当て部として設けられる。したがって、保護キャップ15は、外側スリーブ10の姿勢・位置をさらに固定する作用を行う。
【0027】
テーパー状の外側スリーブ10の外周面には、ローレット加工部4が形成されている。このローレット加工部4は、両縁から離間した、中間領域の全体にわたって、軸方向に断続することなく延びており、実際上、ローレットパターンに欠陥が生じていない。
【0028】
外側スリーブ10のテーパー角は、3度と30度との間である。
【0029】
正確なローレットパターンをなすようにローレット加工部4を外側スリーブ10に設けるのを可能にすべく、次のような工程が行われる。ローレット加工部4を刻み込む際、外周面に対してローレット加工具を、ある経路に沿って動かして行く。この経路は、外周面上におけるテーパー角によって決まる線に対して平行でない。そして、テーパー角と、上記経路の傾きの角度との差は、1度と10度との間であり、特には2度と5度との間である。
【0030】
このような工程により、外側スリーブ10におけるテーパー状の基本形状を有する金属のベース体には、外周面を形成するローレット加工部4が、次のようなローレット歯切部によって形成される。すなわち、ローレット加工部4の一方の縁から他方の縁へと向かって、切り込み深さが減少するローレット歯切部によって形成されている。
【符号の説明】
【0031】
1…ドリルチャック; 2…締付スリーブ; 3…締付あご;
4…ローレット加工部; 5…チャック駆幹体; 6…チャック軸;
7…ネジ切リング; 8…インターロック機構; 9…中間スリーブ;
10…外側スリーブ; 11…内側スリーブ;
12…センタリング用リング部; 13…リングフランジ;
14…リング状凸部; 15…保護キャップ;
16…チャック駆幹体の外周面のリング状の歯切部