【解決手段】一般に、実施形態によれば、画像形成装置は、画像形成部と、熱源と、ジョブキューと、コントローラと、を備える。画像形成部は、シートに画像を形成する。熱源は、シートを加熱する。ジョブキューは、受け付け順にジョブを登録する。コントローラは、ジョブキュー内のジョブを熱源の制御温度の異なるジョブグループに組分けし、2つ以上のジョブグループがジョブキュー内にある場合、ジョブキュー内のジョブを同一ジョブグループ毎に並び替えるとともに、ジョブグループの順序を、全ジョブグループの実行完了までの時間が最も短くなるように並べる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、画像形成装置100の構成を模式的に示す図である。
画像形成装置100は、消色不可な消色不可トナーや消色不可インク等の消色不可色材によりシートに画像を形成する消色不可画像形成ジョブと、消色可能な消色トナーや消色インク等の消色可能色材によりシートに画像を形成する消色画像形成ジョブと、消色可能色材によるシート上の画像を消色する消色ジョブとを実行可能である。
【0009】
消色可能色材は、呈色性化合物、顕色剤、消色剤を含む。呈色性化合物は、例えば青に発色するロイコ染料が挙げられる。顕色剤は、例えばフェノール類が挙げられる。消色剤は、加熱されると呈色性化合物と相溶し、顕色剤と親和性を有さない物質が挙げられる。消色可能色材は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用により発色し、消色温度以上の加熱により呈色性化合物と顕色剤との相互作用が絶たれて消色する。
【0010】
本実施形態では、画像形成装置100は、消色トナーおよび消色不可トナーにより画像を形成するものとする。また、画像形成装置100は、消色トナーによる画像を消色するものとする。
【0011】
画像形成装置100は、給紙カセット11、給紙トレイ12、給紙部13、搬送路14、搬送ローラ15、搬送ベルト16、第1、第2画像形成部17、18、熱源19、排紙部20、排紙トレイ21、コントローラ22、ディスプレイ23、および操作部24を備える。
【0012】
給紙カセット11は、画像形成処理対象のシートを積載する。
給紙トレイ12は、消色トナーによる画像が形成されたリユース処理対象のシートを積載する。
給紙部13は、画像形成装置100が消色トナーによる消色画像形成ジョブおよび消色不可トナーによる消色不可画像形成ジョブを実行する際には、給紙カセット11からシートを取り出し、搬送路14に給紙する。給紙部13は、画像形成装置100が消色ジョブを実行する際には、給紙トレイ12からシートを取り出し、搬送路14に給紙する。
【0013】
搬送路14は、給紙カセット11および給紙トレイ12から排紙トレイ21までのシートの経路であり、シートを下流に向かってガイドする。
搬送ローラ15は、搬送路14の適宜の位置にあり、シートを下流側に送る。
搬送ベルト16は、搬送路14中にあり、ベルト面上にシートを静電気によって吸着し、シートを熱源19まで送る。
【0014】
第1画像形成部17は、第2画像形成部18の下流にあり、搬送ベルト16が搬送するシートに対し、消色トナーによる画像を形成する。第1画像形成部17は、青一色の消色トナーのみで画像を形成するものとするが、複数色の消色トナーを用いて画像を形成してもよい。
【0015】
第2画像形成部18は、搬送ベルト16が搬送するシートに対し、消色不可トナーによる画像を形成する。第2画像形成部18は、黒一色の消色不可トナーのみで画像を形成するものとするが、複数色の消色不可トナーを用いて画像を形成してもよい。
画像形成部17、18は、例えば、レーザ光学系により感光体上に形成した静電潜像を現像器により現像し、感光体上のトナー像をシートに転写する。
【0016】
熱源19は、ヒータ191、ヒートローラ192、および温度センサ193を備える。
ヒータ191は、ヒートローラ192の内部または周囲にあり、ヒートローラ192を加熱する。コントローラ22は、ヒータ191の出力を調整することにより、ヒートローラ192を昇温したり降温したり、維持したりしてヒートローラ192の温度を目標の制御温度範囲内(制御温度)にする。
【0017】
ヒートローラ192は、一対あり、シートの各面に接触する。ヒートローラ192は、画像形成部17、18が画像を形成したシートを加熱し、シートに画像を定着させる役割と、消色トナーによる画像があるシートを加熱し、該画像を消色する役割とを兼ねる。
温度センサ193は、ヒートローラ192の周囲に設けられ、ヒートローラ192の温度を検知する。
排紙部20は、熱源19を通過したシートを排紙トレイ21に排出する。
【0018】
コントローラ22は、プロセッサ221、メモリ222、およびHDD223(Hard Disk Drive)を備え、画像形成装置100全体を制御する。プロセッサ221は、メモリ222やHDD223が格納するプログラムを実行することにより、画像形成装置100の各種の機能を実現する。
【0019】
ディスプレイ23は、タッチパネル等であり、画面を表示するとともに、ユーザの入力を受け付ける操作部も兼ねる。
操作部24は、ボタンやキーを備え、ユーザの入力を受け付ける。
【0020】
図2は、HDD223内のジョブキュー24を示す図である。
コントローラ22は、消色画像形成ジョブ、消色ジョブ、および消色不可画像形成ジョブの実行指示を受け付けると、HDD223内の記憶領域であるジョブキュー24に該ジョブを登録する。
【0021】
ジョブキュー24は、受け付け順にジョブを登録する。コントローラ22は、ジョブキュー24内において、最も早く処理される先頭側から順にジョブを実行するとともに、実行したジョブをジョブキュー24から削除する。
【0022】
図3は、各ジョブ実行時の熱源19の制御温度範囲を示す図である。
消色トナーの定着温度は150〜160℃、消色不可トナーの定着温度は170〜190℃、消色トナーの消色温度は200〜220℃である。そこで、コントローラ22は、熱源19の制御温度範囲を、消色トナーによる消色画像形成ジョブ時には150〜160℃とし、消色不可トナーによる消色不可画像形成ジョブ時には170〜190℃とし、消色トナーによる画像の消色ジョブ時には200〜220℃とする。
【0023】
コントローラ22は、例えばジョブを消色画像形成ジョブ、消色ジョブ、消色不可画像形成ジョブの順に受け付ける場合、消色画像形成ジョブ実行後に消色ジョブを実行する際に熱源19を40℃昇温させる必要があり、消色ジョブ実行後に消色不可画像形成ジョブを実行する際に熱源19を30℃降温させる必要がある。従って、受け付け順にジョブを実行していた従来は、ジョブの受け付け順によっては熱源19の温度変更をたびたび行う必要があり、全てのジョブ完了までの時間が長くなるという問題があった。本実施形態の画像形成装置100は、後述するが、各種のジョブを受け付ける場合、熱源19の昇温、降温を可能な限り行う必要がないように、ジョブキュー24内のジョブを並び替える構成となっている。
【0024】
図4は、コントローラ22によるジョブ実行処理のフローチャートである。
コントローラ22は、ジョブキュー24内に熱源19の制御温度範囲が異なる複数のジョブがあるか否かを判定する(Act1)。
【0025】
図5は、ジョブキュー24内のジョブを並び替えた状態を示す図である。
本実施形態では、ジョブキュー24内には、先頭側から消色画像形成ジョブ1、消色ジョブ1、消色不可画像形成ジョブ1、消色画像形成ジョブ2、消色ジョブ2、消色不可画像形成ジョブ2があるものとする。
【0026】
コントローラ22は、制御温度範囲が異なる複数のジョブがある場合(Act1:YES)、ジョブキュー24内のジョブを、制御温度範囲が等しい同一ジョブグループA〜C毎に並び替えるとともに、ジョブグループA〜Cの順序を、全ジョブグループA〜Cの実行完了までの時間が最も短くなるように並べる(Act2〜Act4)。なお、ジョブグループとは、1つのジョブのみからなる場合も含むものとする。
【0027】
具体的に、コントローラ22は、まず、熱源19の昇温速度が熱源19の降温速度よりも大きいか否かを判定する(Act2)。ここで、熱源19の昇温速度が降温速度よりも大きいか否かはメモリ222に予め記憶されており、コントローラ22はメモリ222を参照して該判定を行う。
【0028】
コントローラ22は、熱源19の昇温速度が降温速度よりも大きいと判定する場合(Act2:YES)、ジョブキュー24内のジョブを熱源19の制御温度範囲の異なるジョブグループA〜Cに組分けする。本実施形態では、コントローラ22は、ジョブキュー24内のジョブのうち、消色ジョブ1、2を消色ジョブグループAとし、消色不可画像形成ジョブ1、2を消色不可画像形成ジョブグループBとし、消色画像形成ジョブ1、2を消色画像形成ジョブグループCとして組分けする。各グループA〜Cを熱源19の制御温度範囲が低い順に並べると、
図3を参照して消色画像形成ジョブグループC、消色不可画像形成ジョブグループB、消色ジョブグループAの順となる。
【0029】
コントローラ22は、ジョブキュー24内において先頭側から熱源19の制御温度範囲が低い順にジョブグループA〜Cを並べる。この際、コントローラ22は、同一ジョブグループA〜C内では、ジョブキュー24への登録が早い順にジョブを先頭側に並べる。すなわち、コントローラ22は、ジョブキュー24内においてジョブを先頭側から順に、消色画像形成ジョブ1、消色画像形成ジョブ2、消色不可画像形成ジョブ1、消色不可画像形成ジョブ2、消色ジョブ1、消色ジョブ2と並び替える(Act3)。
【0030】
このように、本実施形態では、同一の制御温度範囲のジョブを連続して並べるので、熱源19の温度変更の機会を減らすことができ、ジョブ完了までの時間を短くできる。また、ジョブの実行がジョブグループA〜C間で遷移する際に熱源19の温度変更が必要となるが、熱源19の温度変更を、熱源19が昇温しやすい場合には昇温により行うため、熱源19の温度変更を迅速に行うことができ、ジョブ完了までの時間をより短くできる。
【0031】
図6は、ジョブキュー24内のジョブを並び替えた状態の他の例を示す図である。
コントローラ22は、熱源19の昇温速度が降温速度よりも小さいと判定する場合(Act2:NO)、まず、上記と同様にジョブキュー24内のジョブを熱源19の制御温度範囲の異なるジョブグループA〜Cに組分けする。続いて、コントローラ22は、ジョブキュー24内において先頭側から熱源19の制御温度範囲が高い順にジョブグループA〜Cを並べる。具体的に、コントローラ22は、ジョブキュー24内においてジョブを先頭側から順に、消色ジョブ1、消色ジョブ2、消色不可画像形成ジョブ1、消色不可画像形成ジョブ2、消色画像形成ジョブ1、消色画像形成ジョブ2と並び替える(Act4)。
【0032】
このように、本実施形態では、熱源19が降温しやすい場合には、熱源19の温度変更を降温によって行うようにジョブグループA〜Cを並べるため、ジョブ完了までの時間を短くできる。
【0033】
図4に戻って、コントローラ22は、熱源19の温度がジョブキュー24内の先頭のジョブに対応した制御温度範囲内にあるか否かを判定する(Act5)。コントローラ22は、熱源19の温度が先頭のジョブに対応した制御温度範囲内にない場合(Act5:NO)、熱源19を、熱源19の温度が先頭のジョブに対応した制御温度範囲内に収まるまで昇温または降温させる(Act5:NO、Act6)。なお、コントローラ22は、Act1においてジョブキュー24内に熱源19の制御温度範囲が等しいジョブのみがある場合(Act1;NO)、上記Act5を行う。
【0034】
コントローラ22は、熱源19が先頭のジョブに対応した制御温度範囲内になると(Act5:YES)、該先頭のジョブを実行した後(Act7)、該先頭のジョブをジョブキュー24から削除する(Act8)。
【0035】
コントローラ22は、ジョブキュー24が空になるまで(Act9:NO)Act5〜Act9:NOを繰り返し、ジョブキュー24が空になると(Act9:YES)、ジョブ実行処理を終了させる。
【0036】
(変形例)
図7は、ジョブキュー24内のジョブを並び替えた状態の他の例を示す図である。
各ジョブには優先度を設定できる。例えば、消色不可画像形成ジョブ1は優先度の高い設定であるものとする。コントローラ22は、ジョブを並び替える際に優先度の高いジョブがある場合、優先度の高いジョブ(消色不可画像形成ジョブ1)をジョブキュー24内において先頭側に並べ、その後ろに、各ジョブグループA〜Cを並べてもよい。
【0037】
図8は、現在の熱源19の温度を考慮してジョブを並び替えた際の熱源19の制御温度の推移および経過時間を示す図である。
図8では、縦軸に熱源19の制御温度をとり、横軸に経過時間をとっている。
ここでは、話を簡単にするために、現在、ジョブキュー24内に、消色不可画像形成ジョブ、消色画像形成ジョブ、消色ジョブの順にジョブが登録されているものとする。また、消色不可画像形成ジョブの制御温度を190℃とし、消色画像形成ジョブの制御温度を160℃とし、消色ジョブの制御温度を220℃とする。熱源19は、昇温速度のほうが降温速度よりも大きいものとする。
【0038】
前記実施形態では、この場合、コントローラ22は、
図8の点線で示すように、ジョブキュー24内のジョブを制御温度が低い順に消色画像形成ジョブ、消色不可画像形成ジョブ、消色ジョブと並び替える。
【0039】
本変形例では、コントローラ22は、現在の熱源19の温度を考慮して全ジョブ(全ジョブグループ)の実行完了までの時間が最も短くなるようにジョブ(ジョブグループ)を並び替える。具体的に、コントローラ22は、例えば消色ジョブを行った直後である等して熱源19が210℃と消色ジョブの制御温度220℃に近い場合、ジョブキュー24内のジョブを制御温度が高い順に消色ジョブ、消色不可画像形成ジョブ、消色画像形成ジョブと並び替える。
【0040】
本変形例では、熱源19は昇温速度のほうが降温速度よりも大きいにもかかわらず、各ジョブ間の熱源19の温度変更を降温により行うため、各ジョブ間の温度変更に多少時間がかかる。しかしながら、本変形例では、
図8の点線で示す熱源19の制御温度が低い順にジョブを並び替える場合に比べ、一番初めのジョブの実行までにかかる時間を大幅に短縮できるため、各ジョブ間の温度変更に多少時間がかかっても、全体としてはジョブ完了までにかかる時間を短縮できる。
【0041】
コントローラ22は、熱源19の制御を、幅を持たせた制御温度範囲を目標として行わなくてもよく、上記
図8での変形例で説明したように、1つの制御温度を目標として行ってもよい。
画像形成装置は、消色トナーを用いる画像形成部および熱源のみを備えていてもよく、消色不可トナーを用いる画像形成部(本実施形態の第2画像形成部18)は無くてもよい。
【0042】
前記実施形態における各処理の順序は、前記実施形態で例示した順序と異なっていてもよい。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。