【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)日本機械学会2013年度年次大会予稿集にて、平成25年9月7日に発表した。 (2)管工機材設備総合展にて、平成25年9月13日に発表した。 (3)日本機械学会第21回機械材料・材料加工技術講演会予稿集にて、平成25年11月7日に発表した。
【課題】繊維強化熱可塑性樹脂部材の導電性の有無に関わらず融着を実現できるとともに、接合強度及びリサイクル性を向上させることができる繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【解決手段】一対の接合部材(1,2)の間に接合部材の面方向に延在するように複数の炭素繊維で構成される抵抗発熱体(3)を配置し、その後、一対の接合部材を密着させるように面方向とは交差する方向に一対の接合部材を加圧しながら抵抗発熱体に通電することにより一対の接合部材を融着する。
前記一対の接合部材の少なくとも一方と前記抵抗発熱体との間に熱可塑性樹脂を配置する工程を更に含む、請求項1〜4のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法。
前記抵抗発熱体は、カーボンナノファイバ、短繊維の炭素繊維、又は長繊維の炭素繊維のいずれかであり、熱可塑性樹脂の内部に分散されている、請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法。
前記熱可塑性樹脂は、前記繊維強化熱可塑性樹脂部材の母材となる熱可塑性樹脂と同一材料である、請求項5〜7のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法。
【背景技術】
【0002】
近年、熱可塑性樹脂を母材とした炭素繊維強化熱可塑性樹脂(以下、『CFRTP』(Carbon Fiber Reinforced Thermoplastics)という。)が、電気自動車や航空宇宙機器、情報端末の分野などで注目されている。CFRTPは、耐衝撃性及びリサイクル性に優れ、プレス成形や射出成形による量産が可能であるため、様々な分野への応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、CFRTPの母材である熱可塑性樹脂は、溶融粘度が高く、強化材の変形能が乏しい。このため、CFRTP部材は、比較的単純な形状に限られ、当該CFRTP部材を用いて大型構造材を製造するには、複数のCFRTP部材を互いに融着する必要がある。
【0004】
従来、CFRTP部材の融着方法として、例えば、特許文献1(特開2012−16867号公報)及び特許文献2(特開2012−187903号公報)に記載された融着方法が知られている。
【0005】
特許文献1には、一対のCFRTP部材の間に化学的表面処理を施した金属製の抵抗発熱体を配置し、当該一対のCFRTP部材が密着するように加圧しながら、抵抗発熱体に通電することにより一対のCFRTP部材を融着する融着方法が記載されている。
【0006】
特許文献2には、一対のCFRTP部材を重ね合わせ、当該重ね合わせた部分を、CFRTP部材の厚み方向に加圧しながら、当該厚み方向に電圧を印加することにより、一対のCFRTP部材を融着する融着方法が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1態様によれば、少なくとも一方の接合部材が繊維強化熱可塑性樹脂部材である一対の接合部材を接合する融着方法であって、
前記一対の接合部材の間に、前記接合部材の面方向に延在するように複数の炭素繊維で構成される抵抗発熱体を配置する工程と、
前記一対の接合部材を密着させるように前記面方向とは交差する方向に前記一対の接合部材を加圧しながら、前記抵抗発熱体に通電することにより、前記一対の接合部材を融着する工程と、
を含む、繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0015】
本発明の第2態様によれば、前記抵抗発熱体は、複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束で構成される、第1態様に記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記抵抗発熱体は、前記複数の炭素繊維を開繊処理した開繊炭素繊維シートで構成される、第1態様に記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する
【0017】
本発明の第4態様によれば、前記開繊炭素繊維シートは、繊維方向が通電方向に対して平行になるように配置される、第3態様に記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0018】
本発明の第5態様によれば、前記抵抗発熱体は、熱可塑性樹脂の内部に配置されている、第1〜4態様のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0019】
本発明の第6態様によれば、前記一対の接合部材の少なくとも一方と前記抵抗発熱体との間に熱可塑性樹脂を配置する工程を更に含む、第1〜4態様のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0020】
本発明の第7態様によれば、前記抵抗発熱体は、カーボンナノファイバ、短繊維の炭素繊維、又は長繊維の炭素繊維のいずれかであり、熱可塑性樹脂の内部に分散されている、第1態様に記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0021】
本発明の第8態様によれば、前記熱可塑性樹脂は、前記繊維強化熱可塑性樹脂部材の母材となる熱可塑性樹脂と同一材料である、第5〜7態様のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0022】
本発明の第9態様によれば、前記抵抗発熱体は、両端部が電極に接触するように配置され、
前記電極と前記接合部材との間には、絶縁シートが配置されている、第1〜8態様のいずれか1つに記載の繊維強化熱可塑性樹脂部材の融着方法を提供する。
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、ここでは、同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0024】
《第1実施形態》
本発明の第1実施形態に係るCFRTP部材の融着方法について、
図1を用いて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るCFRTP部材の融着方法を示す概略説明図である。
【0025】
まず、
図1に示すように、一対のCFRTP部材1,2の間に、CFRTP部材1(又は2)の面方向に延在するように抵抗発熱体として複数の炭素繊維で構成される炭素繊維シート3を配置する。炭素繊維シート3は、例えば、数千〜数万本の炭素繊維で構成されるものである。
【0026】
次いで、一対のCFRTP部材1,2を密着させるようにCFRTP部材1(又は2)の面方向とは交差する方向(例えば、直交する方向)に一対のCFRTP部材1,2を加圧しながら、炭素繊維シート3に電圧を印加して通電する。これにより、炭素繊維シート3からジュール熱が発生し、一対のCFRTP部材1,2の炭素繊維シート3との接触部分が溶融する。その後、炭素繊維シート3への通電を停止すると、一対のCFRTP部材1,2の溶融部分が冷却され、一対のCFRTP部材1,2の融着が完了する。
【0027】
本第1実施形態に係る融着方法によれば、抵抗発熱体として複数の炭素繊維で構成される炭素繊維シート3を用いている。炭素繊維は導電性を有するので、炭素繊維シート3に通電することで、炭素繊維シート3からジュール熱を発生させて、一対のCFRTP部材1,2の炭素繊維シート3との接触部分を溶融させることができる。
【0028】
また、本第1実施形態に係る融着方法によれば、抵抗発熱体として炭素繊維シート3を用いるので、特許文献1の融着方法のように融着後に金属製の抵抗発熱体が融着部に残留することはない。一方、融着後の融着部には炭素繊維が含まれることになるので、当該融着部を炭素繊維で強化することができる。従って、接合強度及びリサイクル性を向上させることができる。なお、特許文献2の融着方法では、一対のCFRTP部材の母材となる熱可塑性樹脂のみが融着され、融着部には炭素繊維が含まれないので、本第1実施形態に係るCFRTP部材の融着方法に比べて接合強度は低くなる。
【0029】
なお、CFRTP部材1,2の母材である熱可塑性樹脂として、例えば、PPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などのスーパーエンジニアプラスチックを用いた場合には、融着時に塩素や硫黄などの腐食性ガスが生じる。特許文献1の融着方法のように抵抗発熱体として金属製の抵抗発熱体を用いた場合には、当該腐食性ガスにより抵抗発熱体に腐食や劣化が生じる恐れがある。
【0030】
これに対して、本第1実施形態に係る融着方法によれば、抵抗発熱体として炭素繊維シート3を用いるので、腐食性ガスにより抵抗発熱体に腐食や劣化が生じることを抑えることができる。
【0031】
また、本第1実施形態に係る融着方法によれば、CFRTP部材1,2の面方向に延在するように炭素繊維シート3を配置し、当該炭素繊維シート3に通電するようにしているので、CFRTP部材1,2が導電性を有する部材である必要性を無くすことができる。また、一対のCFRTP部材1,2の間に樹脂シートなどの絶縁部材を配置しても、一対のCFRTP部材1,2を融着させることができる。さらに、一対のCFRTP部材1,2に高圧力を加える必要性を無くすことができる。
【0032】
なお、特許文献2の融着方法では、CFRTP部材の厚み方向に電圧を印加するようにしているので、当該電圧を印加する部分しか融着させることができない。すなわち、融着部の面積は電圧を印加するための電極の面積に依存する。また、特許文献2の融着方法では、融着部の形状が、単純な平坦面ではなく、パイプの継ぎ手部分のような湾曲面である場合には、融着が困難である。
【0033】
これに対して、本第1実施形態に係る融着方法によれば、CFRTP部材1,2の面方向に延在するように配置した炭素繊維シート3に電圧を印加するようにしているので、融着部の面積は炭素繊維シート3の面積に依存することになる。炭素繊維シート3は、電極に比べて面積や形状を変更することは容易である。従って、融着部の形状が、パイプの継ぎ手部分のような湾曲面であっても容易に融着することができる。
【0034】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態に係るCFRTP部材の融着方法について、
図2及び
図3を用いて説明する。
図2及び
図3は、本発明の第2実施形態に係るCFRTP部材の融着方法を示す概略説明図である。
図2では、一対のCFRTP部材1,2の近傍部分を斜視図で示している。
図3では、一対のCFRTP部材1,2の近傍部分を断面図で示している。
【0035】
まず、
図2に示すように、一対のCFRTP部材1,2の間に、CFRTP部材1(又は2)の面方向に延在するように抵抗発熱体として複数の炭素繊維を束ねた炭素繊維束4を配置する。このとき、炭素繊維束4は、両端部が電極(例えば、銅板)5,6に接触するように配置する。また、このとき、CFRTP部材1,2と炭素繊維束4との間には熱可塑性樹脂シート7,8を配置し、CFRTP部材2と電極5,6との間には絶縁シート9,10を配置する。
【0036】
次いで、
図3に示すように、一対のCFRTP部材1,2を密着させるようにCFRTP部材1(又は2)の面方向とは交差する方向にプレス機10により一対のCFRTP部材1,2を加圧しながら、炭素繊維束4に電圧を印加して通電する。これにより、炭素繊維束4からジュール熱が発生し、一対のCFRTP部材1,2の炭素繊維束4との接触部分が溶融する。その後、炭素繊維束4への通電を停止すると、一対のCFRTP部材1,2の溶融部分が冷却され、一対のCFRTP部材1,2の融着が完了する。
【0037】
本第2実施形態に係る融着方法によれば、抵抗発熱体として炭素繊維束4を用いるので、接合強度及びリサイクル性を向上させることができるとともに、腐食性ガスにより抵抗発熱体に腐食や劣化が生じることを抑えることができる。
【0038】
また、本第2実施形態に係る融着方法によれば、CFRTP部材1,2の面方向に延在するように配置した炭素繊維束4に通電するようにしているので、CFRTP部材1,2が導電性を有する部材である必要性を無くすことができる。
【0039】
また、本第2実施形態に係る融着方法によれば、CFRTP部材1,2と炭素繊維束4との間に熱可塑性樹脂シート7,8を配置するようにしているので、炭素繊維束4から発生したジュール熱は熱可塑性樹脂シート7,8を介してCFRTP部材1,2に伝達されることになる。これにより、炭素繊維束4から発生したジュール熱がCFRTP部材1,2に直接伝達されることによってCFRTP部材1,2の表面が焦げるようなことを抑えることができる。また、CFRTP部材1,2の表面をより均一に溶融させることができる。なお、熱可塑性樹脂シート7,8は、CFRTP部材1,2の母材となる熱可塑性樹脂と同一材料であることが好ましい。これにより、熱可塑性樹脂シート7,8とCFRTP部材1,2とがより一体化し、接合強度を一層向上させることができる。
【0040】
また、本第2実施形態に係る融着方法によれば、電極5,6とCFRTP部材1,2との間に絶縁シート9,10が配置されているので、電極5,6からCFRTP部材1,2への漏電を防止することができる。また、CFRTP部材1,2の両端部の電圧が上昇して、当該両端部が焦げることを抑えることができる。なお、絶縁シート9,10としては、例えば、耐熱性及び絶縁性に優れたポリイミドフィルムを用いることが好適である。
【0041】
なお、本第2実施形態では、CFRTP部材1と炭素繊維束4との間、及びCFRTP部材2と炭素繊維束4との間の両方に熱可塑性樹脂シートを配置したが、本発明はこれに限定されない。CFRTP部材1と炭素繊維束4との間、及びCFRTP部材2と炭素繊維束4との間のいずれか一方のみに熱可塑性樹脂シートを配置してもよい。
【0042】
また、本第2実施形態では、炭素繊維束4と熱可塑性樹脂シート7,8とを別個の部材であるものとしたが、本発明はこれに限定されない。炭素繊維束4と熱可塑性樹脂シート7,8とは、あらかじめ一体化されていてもよい。すなわち、熱可塑性樹脂の内部に炭素繊維束4を配置するようにしてもよい。
【0043】
《第3実施形態》
次に、本発明の第3実施形態に係るCFRTP部材の融着方法について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4及び
図5は、本発明の第3実施形態に係るCFRTP部材の融着方法を示す概略説明図である。
図4では、一対のCFRTP部材1,2の近傍部分を斜視図で示している。
図5では、一対のCFRTP部材1,2の近傍部分を断面図で示している。
【0044】
本第3実施形態に係る融着方法が前記第2実施形態に係る融着方法と異なる点は、炭素繊維束4に代えて、複数の炭素繊維を開繊処理した開繊炭素繊維シート12を用いる点である。それ以外の点は同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0045】
本第3実施形態に係る融着方法によれば、抵抗発熱体として開繊炭素繊維シート12を用いることで、接合強度をより一層向上させることができる。また、開繊炭素繊維シート12は、電極に比べて面積や形状を変更することは容易であるので、融着部の形状がパイプの継ぎ手部分のような湾曲面であっても容易に融着することができる。
【0046】
なお、開繊炭素繊維シート12は、繊維方向(炭素繊維が延在する方向)が通電方向(電極5から電極6に向かう方向)に対して平行になるように配置されることが好ましい。これにより、接合強度をより一層向上させることができる。
【0047】
(接合強度の評価試験)
次に、本発明に係るCFRTP部材の融着方法が、接合強度を向上させる効果を有することを確認するために行った試験結果について説明する。
【0048】
ここでは、抵抗発熱体としてニクロム線、炭素繊維束、開繊炭素繊維シートのいずれかを用いた4つの試験片を作製した。抵抗発熱体として開繊炭素繊維シートを用いた試験片は、繊維方向を通電方向に対して平行にした試験片と、繊維方向を通電方向に対して垂直にした試験片の2種類作製した。その後、各試験片に対して引張せん断試験を行った。なお、抵抗発熱体以外の部材(例えば、CFRTP部材)の形状、寸法等は、各試験片とも同一とした。
【0049】
図6は、引張せん断試験により得られた荷重−変位線図である。
図6より、抵抗発熱体として炭素繊維束、開繊炭素繊維シートを用いた試験片では、抵抗発熱体としてニクロム線を用いた試験片よりも、融着部が破断するときの荷重が大きくなっていることが分かる。また、
図6より、開繊炭素繊維シートの繊維方向を通電方向に対して平行にした試験片では、開繊炭素繊維シートの繊維方向を通電方向に対して垂直にした試験片よりも、融着部が破断するときの荷重が更に大きくなっていることが分かる。
【0050】
図7は、引張せん断試験により得られた引張せん断強度を示すグラフである。
図7において、引張せん断強度τ1は融着部が破断したときの荷重を融着部の面積で除算した値を示し、引張せん断強度τ2は融着部が破断したときの荷重を継手部分の面積で除算した値を示している。なお、「融着部の面積」とは、実際に融着している部分の面積をいい、「継手部分の面積」とは、一対のCFRTP部材を重ね合わせた部分(接触面)の面積をいう。
【0051】
図7より、抵抗発熱体として炭素繊維束、開繊炭素繊維シートを用いた試験片では、抵抗発熱体としてニクロム線を用いた試験片よりも、引張せん断強度τ2が大きくなっていることが分かる。また、
図7より、開繊炭素繊維シートの繊維方向を通電方向に対して平行にした試験片では、開繊炭素繊維シートの繊維方向を通電方向に対して垂直にした試験片よりも、引張せん断強度τ2が大きくなっていることが分かる。
【0052】
また、
図7より、抵抗発熱体として開繊炭素繊維シートを用いた試験片では、引張せん断強度τ1と引張せん断強度τ2とが同程度になっていることが分かる。引張せん断強度τ1と引張せん断強度τ2とが同程度であるということは、継手部分の全体にわたって融着が行われていることを意味する。すなわち、引張せん断強度τ1と引張せん断強度τ2との差が小さい方が、接合強度が強いと言える。
【0053】
以上により、本発明に係るCFRTP部材の融着方法が、接合強度を向上させる効果を有することが確認された。
【0054】
なお、前記では、融着対象の一対の接合部材として、一対のCFRTP部材1,2を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明に係る融着方法によれば、接合部材は導電性を有する必要がないので、例えば、ガラス繊維などの導電性を有しない繊維により強化された繊維強化熱可塑性樹脂部材を接合部材として用いてもよい。また、当該繊維強化熱可塑性樹脂部材は、一対の接合部材の両方に用いられることに限定されるものではなく、いずれか一方に用いられればよい。
【0055】
また、前記では、一対のCFRTP部材1,2を密着させるように加圧するものとしたが、当該加圧はCFRTP部材1,2の外部から加えられることに限定されない。例えば、CFRTP部材1,2が管形状である場合には、CFRTP部材1,2をジュール熱により溶融させた際の体積膨張により、CFRTP部材1,2に内圧がかかる。本発明に係る融着方法における加圧は、この内圧による加圧であってもよい。この場合、炭素繊維シートに電圧を印加する装置のみ備えればよく、本発明に係る融着方法の実施に要するコストを抑えることができる。
【0056】
また、前記では、複数の炭素繊維で構成される抵抗発熱体として、一方向に且つ連続的に炭素繊維が配向された炭素繊維束4や開繊炭素繊維シート12を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、抵抗発熱体として、カーボンナノファイバ、短繊維の炭素繊維、又は長繊維の炭素繊維のいずれかを用いてもよい。但し、この場合、取扱いを容易にするため、当該炭素繊維は熱可塑性樹脂の内部にあらかじめ分散させておくことが好ましい。
【0057】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。