【解決手段】トレイと、搬送部と、接着剤付与部と、シート検知部と、制御部とを備え、トレイは、綴じ処理の対象となるシートを積載し、搬送部は、トレイの積載面上にシートを搬送し積載する。接着剤付与部は、トレイ上にシートが積載される毎に積載されるシートの上面に接着剤を付着させ、シート検知部は、搬送部によりトレイへ向けて搬送されるシートを検知する。制御部は、トレイ上に積載されているシートの内の最上位のシートに接着剤を付着させようとしている際に、接着剤付与の対象となる最上位のシートの次にトレイ上に積載されるべき次シートがトレイへ向けて搬送されていることがシート検知部によって検知されない場合に、最上位のシートに対する接着剤付与部による接着剤付与動作を行わせない。
トレイ上に積載されるシートに対し、前記トレイ上にシートが積載される毎に積載される最上位のシート上面に接着剤を付着させて前記トレイ上に積載されるシート束を綴じるシート綴じ装置にシートを供給するシート搬送装置であって、
前記シート綴じ装置にシートを搬送する搬送部と、
前記搬送部による前記シート綴じ装置へのシート搬送の有無を判定する判定部と、
前記シート綴じ装置に対し、前記シート搬送装置から搬送されるシートへの接着剤付与を要求する付与要求部と、
前記判定部にて、次シートを前記シート綴じ装置に搬送すると判定される場合に、前記次シートの直前に前記シート綴じ装置の前記トレイへ向けて搬送されたシートへの接着剤付与を要求するシート搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0009】
<装置全体説明>
図1は、実施形態による後処理装置1(いわゆるフィニッシャ)および当該後処理装置1に接続される画像形成装置7の概略縦断面図である。
【0010】
本実施形態による画像形成装置7は、例えば、いわゆる給紙カセットを含むシート供給部708から不図示の搬送ローラ等により搬送されるシートに対して画像形成部706による画像形成処理を施す。画像形成部706にて画像を形成されたシートは、搬送ローラ等からなる搬送部707によって後処理装置1へ向けて搬送される。
【0011】
搬送部707によるシート搬送経路における最下流に位置する搬送ローラ付近にはシート検知センサS1および厚さセンサH1が設けられている。シート検知センサS1は、例えば、反射式もしくは透過式の光学式センサや、レバーと光学式センサ等の組み合わせからなる機械式センサであり、搬送部707によって後処理装置1へ向けて搬送されるシートの有無を検知する。また、厚さセンサH1は、例えば回転可能に支持されるレバーと光学式センサ等の組み合わせからなる機械式センサであり、搬送部707によって後処理装置1へ向けて搬送されるシートの通過により回転する上記レバーの回転量を光学式センサ等によって検知することで、当該シートの厚さ(厚紙か普通紙か等)を検知する。
【0012】
本実施形態による後処理装置1は、例えば、後処理装置1と通信可能に接続される画像形成装置7から出力されるシートを受け取り、当該シートに対して綴じ処理、折り処理、孔あけ処理などの各種処理を施す。
【0013】
後処理装置1は、大まかに、処理機能として例えば綴じ処理部T、折り処理部B、ステイプラW,孔あけ部109などを備えている。
【0014】
画像形成装置7にて画像を形成されたシートは、まず孔あけ部109を通過する。シートに対する孔あけを行なう場合には、この時点で孔あけ部109によるシートへの孔あけを行なう。
【0015】
孔あけ部109を通過したシートは、フラッパ117により、その搬送先を搬送路110および搬送路108のいずれかに切り替えられる。
【0016】
シートに対して孔あけ処理のみを行ないたい場合や、孔あけ部109を通過したシートをそのまま装置外に排出したい場合には、シートはフラッパ117および搬送ローラR1等によって搬送路108へと導かれ、さらにフラッパ107および搬送ローラR2等によって搬送路119へと導かれ、搬送ローラR3等により第1排出トレイ106上に排出される。
【0017】
一方、シートに対して綴じ処理部Tによる綴じ処理を施したい場合、搬送路108まで導いたシートをさらにフラッパ107および搬送ローラR2等によって搬送路120へと導き、搬送ローラR4等によってバッファトレイ104上へと排出する。
図2は、綴じ処理部T周辺の概略構成を示す縦断面図である。
【0018】
バッファトレイ104上に排出されたシートはその後、
図1の紙面上で反時計回りに回転するパドル103によって叩かれながら処理トレイ102上に落下し、処理トレイ102上に順次積載される。このように、処理トレイ102は、綴じ処理の対象となるシートを積載する役割を有している。したがって、本実施の形態では、例えば、搬送ローラR1、R2およびR4、フラッパ117および107、不図示の搬送ガイド、バッファトレイ104およびパドル103等が、「搬送部」に相当する。
【0019】
綴じ処理部Tは、複数枚のシートを接着により綴じる。綴じ処理部Tは、処理トレイ102上に積載されるシートの上面に糊付けを行なう糊付け部101(接着剤付与部)を備えている。綴じ処理部Tは、処理トレイ102上にシートが積載されるたびに、当該シートの上面に糊付け部101による糊付けを行なう。ただし、例えば10枚のシート束を綴じたい場合には、10枚目のシートの上面には糊付けは行なわない。
図3は、糊付けされたシート束が処理トレイ102上に積載されている状態を示す図である。
【0020】
綴じ処理の対象となる複数枚のシートすべてが処理トレイ102上に積載され、当該複数枚のシート束の内の最上位のシート以外のシートの上面に対する糊付けが完了したら、これら複数枚のシートが重なった状態で押圧機構D(押圧部)によって当該糊付け位置に対応する位置を処理トレイ102に向けて押圧する。ここでの糊付け部101は、シート上に液状の糊を噴射するものであり、押圧機構Dによる押し付けによってこれら複数枚のシート同士は糊で強固に接着され、シート綴じ処理が完了する(
図4を参照)。
【0021】
一方、孔あけ部109を通過したシートに対して折り処理やステイプル処理を行ないたい場合には、フラッパ117によってシートを搬送路110へと導き、スタッカ111上へと排出したシートに対してステイプラWによるステイプル処理や、折り処理部Bによる折り処理を施す。具体的に、折り処理部Bは、例えばステイプラWによるステイプル処理を施されたシート束を折りブレード112と折りローラ113とによって折り曲げ、折り増しローラ114により折り目をさらに挟み込んだ後、排出ローラ115によって第3排出トレイ116上に折り曲げられたシート束を排出する。
【0022】
また、シート検知センサS2および厚さセンサH2が搬送路120に沿って配置されている。シート検知センサS2は、例えば、反射式もしくは透過式の光学式センサや、レバーと光学式センサ等の組み合わせからなる機械式センサであり、搬送路120を搬送されるシートの有無を検知する。すなわち、シート検知センサS2によりシートが検知される時は、綴じ処理の対象として綴じ処理部Tに供給されるシートがあることを意味する。また、厚さセンサH2は、例えば回転可能に支持されるレバーと光学式センサ等の組み合わせからなる機械式センサであり、搬送ローラR2等によってバッファトレイ104へ向けて搬送されるシートの通過により回転する上記レバーの回転量を光学式センサ等によって検知することで、当該シートの厚さ(厚紙か普通紙か等)を検知する。
【0023】
図5は、押圧機構Dによる一連の押し付け動作について説明するための遷移図である。押圧機構Dは、糊付け部101(接着剤付与部)により接着剤を付着させた第1のシートの上に積載される第2のシートの上面を押圧し、第1のシートと第2のシートとを接着させる役割を有している。同図に示すように、押圧機構Dは、例えば、押さえ部材101r、ガイド部材101g、モータ101z、カム101x、ラックギア101y、モータ101m、ピニオンギア101f、被ガイド部材101n、ピン101q等を備えることができる。
【0024】
以下、押圧機構Dの動作について説明する。
【0025】
モータ101zの出力軸にはカム101xが取り付けられており、モータ101zを回転駆動することによりカム101xは回転する。カム101xにはピン101qが設けられており、このピン101qは押さえ部材101rに形成されたガイド溝101t内でスライドする。
【0026】
また、押さえ部材101rには、さらに被ガイド部材101nが設けられており、この被ガイド部材101nはガイド部材101gのガイド溝により往復動可能にガイドされている。
【0027】
したがって、モータ101zを回転駆動すると、カム101xのピン101qも回転し、移動するピン101qによってガイド溝101tを介して押さえ部材101rに駆動力が伝わり、押さえ部材101rはガイド部材101gのガイド溝に沿って往復動する。
【0028】
また、押さえ部材101rの端部には、ガイド部材101gのガイド溝の延びる方向と直交する方向(押さえ方向)に延びるラックギア101yが形成されている。このラックギア101yには、モータ101mの出力軸に取り付けられたピニオンギア101fが噛み合っており、モータ101mを回転駆動することにより、ガイド部材101gとともに押さえ部材101rをラックギア101yの延びる方向で往復動させることができる。したがって、モータ101mの回転を制御することにより、処理トレイ102上に積載されるシート束を押圧する力を制御することができる。なお、ここでは押さえ部材101rの往復動作をラック&ピニオン機構によって制御しているが、これに限られるものではなく、より強い力で押圧した場合には、例えば、ラックギアの代わりにウォームギアをモータ101mの出力軸に取り付けたラック&ウォームギア機構を採用してもよい。
【0029】
綴じ処理によって綴じられた複数枚のシートからなるシート束は、その後、例えば処理トレイ102に設けられている不図示の排出部材によって第2排出トレイ105上に排出される。
図6は、処理トレイ102および綴じ処理部T周辺を斜め上方から見た場合の概略構成を示す分解斜視図である。
【0030】
図7は、綴じ処理部Tにおける糊付け部101の構成の一例を示す部分分解斜視図である。同図に示すように、糊付け部101は、糊付けヘッド101a(糊付けユニット)と、供給管101dと、シャフト101cと、モータ101bなどを備えている。糊付けヘッド101は、外周面にウォームギアが形成されているシャフト101cによって、
図7に示す矢印方向に往復動可能に支持されている。シャフト101cは、モータ101cの出力軸に連結されており、モータ101cの回転駆動によって回転する。これにより、モータ101が正転するとシャフト101cのウォームギアの作用によって糊付けヘッド101aは一方に向けて移動し、モータ101が逆転するとシャフト101cのウォームギアの作用によって糊付けヘッド101aは他方に向けて移動する。
【0031】
このようにして往復動可能に支持されている糊付けヘッド101aには、不図示のポンプにより、供給管101dを経由して液状の糊が供給される。糊付けヘッド101aに供給される液状の糊は、糊付けヘッド101aに設けられているノズル101anから、処理トレイ102上に積載されたシートの上面の所望の領域へと噴射される。
【0032】
このように、綴じ処理部T(糊付け部)では、糊付け対象となるシート上の互いに異なる複数の「所定の糊付け対象領域」の少なくともいずれかに選択的に糊付け可能となっている。この複数の「所定の糊付け対象領域」は、シートに対する位置を予め設定されている。なお、糊付けヘッド101aとして、圧電素子やサーマル素子の駆動により感圧接着剤を吐出するインクジェット方式のプリンタヘッドと同様な構成を採用することもできる。
【0033】
なお、ここでは、一例として綴じ処理部Tが、後処理装置1内の
図1に示す位置に配置されている構成を例示したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば孔あけ部109や折り処理部B等の装置内の他の箇所に設けることもできる。
【0034】
図8は、実施形態によるシート綴じ装置を備える後処理装置1の制御ブロックの一例を示す図である。
【0035】
図8に示すように、後処理装置1は、一部を説明すると、例えば、CPU801、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)802、MEMORY803、HDD(Hard Disk Drive)804、糊付けヘッド101a、モータ101m、モータ101z、モータ101b、孔あけ部109、ステイプラW、折り処理部B、通信インターフェース805、シート検知センサS2、厚さセンサH2、搬送部(上述)などを備えている。
【0036】
ASIC802、MEMORY803、HDD804、モータ101m、モータ101bおよび通信インターフェース805等の後処理装置1に備わる各種アクチュエータやセンサ類等は、パラレスバスやシリアルバス等の通信線を介してCPU801と通信可能に接続されている。
【0037】
CPU801は、シート検知センサS2や厚さセンサH2にて検知される情報を取得する。また、CPU801は、後処理装置1が不図示のメディアセンサ等を備えている場合には、当該メディアセンサにおける検知結果も取得する。
【0038】
CPU801は、例えばHDD804や装置外からダウンロードされるプログラムをMEMORY803にロードさせて実行することにより、例えば糊付けヘッド101a、モータ101m、モータ101z、モータ101b、通信インターフェース805、搬送部などを制御する。
【0039】
本実施の形態によるシート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1において、CPU801は、シート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1における各種処理を行う役割を有しており、またMEMORY803、HDD804等に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。なお、CPU801は、同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)により代替することも可能であることは言うまでもない。また、HDD804についても同様に、例えばフラッシュメモリ等の記憶装置により代替可能である。
【0040】
MEMORY803は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができ、例えばシート綴じ装置およびこれを備える後処理装置1において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0041】
このような構成により、CPU801(枚数情報取得部、厚さ情報取得部)は、接着により綴じるシート束を構成するシート枚数を示す枚数情報やシートの厚さを示す情報を、画像形成装置7に備わるCPU701から、通信インターフェース705および805を介して取得することも可能となっている。
【0042】
図9は、実施形態による後処理装置1に接続可能な画像形成装置7の制御ブロックの一例を示す図である。
【0043】
図9に示すように、画像形成装置7は、一部を説明すると、例えば、CPU701、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)702、MEMORY703、HDD(Hard Disk Drive)704、通信インターフェース705、画像形成部706、シート搬送部707、シート供給部708、シート検知センサS1、厚さセンサH1などを備えている。
【0044】
ASIC702、MEMORY703、HDD704および通信インターフェース705等の画像形成装置7に備わる各種アクチュエータやセンサ類等は、パラレスバスやシリアルバス等の通信線を介してCPU701と通信可能に接続されている。
【0045】
CPU701は、シート検知センサS1や厚さセンサH1にて検知される情報を取得する。また、CPU701は、画像形成装置7が不図示のメディアセンサ等を備えている場合には、当該メディアセンサにおける検知結果も取得する。
【0046】
CPU701は、例えばHDD704や装置外からダウンロードされるプログラムをMEMORY703にロードさせて実行することにより、例えば糊付けヘッド101a、モータ101m、モータ101z、モータ101b、通信インターフェース805などを制御する。
【0047】
本実施の形態による画像形成装置7において、CPU701は、画像形成装置7における各種処理を行う役割を有しており、またMEMORY703、HDD704等に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。なお、CPU701は、同等の演算処理を実行可能なMPU(Micro Processing Unit)により代替することも可能であることは言うまでもない。また、HDD704についても同様に、例えばフラッシュメモリ等の記憶装置により代替可能である。
【0048】
MEMORY703は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、VRAM(Video RAM)、フラッシュメモリ等から構成されることができ、例えば画像形成装置7において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0049】
このような構成により、CPU701は、接着により綴じるシート束を構成するシート枚数を示す枚数情報や綴じ処理の対象となるシートの厚さ(坪量)を示す情報を、通信インターフェース705を介して後処理装置1へと送信することが可能となっている。
【0050】
また、ここでは、CPU801が基本的には後処理装置1における演算処理を担い、CPU701が基本的には画像形成装置7における演算処理を担う場合を例示するが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、分散処理の観点から、CPU801が画像形成装置7における演算処理を補助的に行ったり、CPU701が後処理装置1における演算処理を補助的に行ったりすることもできる。また、後処理装置1および画像形成装置7の内いずれか一方のCPUにて実行されるプログラムを、後処理装置1および画像形成装置7の内のいずれか他方もしくは両方に備わる記憶領域に格納しておくこともできる。
【0051】
<シート綴じ装置の詳細説明>
続いて、実施形態によるシート綴じ装置の詳細について説明する。
【0052】
図10および
図11は、実施形態によるシート綴じ装置における処理の流れの一例について説明するためのフローチャートである。なお、ここで示す処理の流れはあくまで一例であり、例えば複数の判定処理や設定値取得処理の実行順序については、結果として同じ処理結果を得ることができればその先後は問わないし、その一部または全部の処理を並行して実行させてもよい。
【0053】
CPU801(枚数情報取得部)は、画像形成装置7のCPU701から、後処理装置1におけるシート綴じ処理の対象となるシート束を構成するシートの枚数を示す枚数情報を取得する(ACT101)。画像形成装置7のCPU701は、当該枚数情報を、例えば、複数枚のシートに対して画像形成処理(後処理として綴じ処理を指定)を実行する場合の「プリントジョブ」等から取得することができる。
【0054】
CPU801は、例えばHDD804に格納されている
図12に示すようなデータテーブル等から、取得された枚数情報に対応する押圧設定パラメータを取得する(ACT102、ACT103、ACT112)。
図12に示すデータテーブルでは、綴じ処理の対象となるシート束を構成するシート枚数(束構成シート枚数)や綴じ処理の対象となるシートの種別(シート種別)等の各条件に応じた押圧力および押圧期間が予め規定されている。
【0055】
なお、ここでは、各条件に応じた押圧力および押圧期間が、データテーブルのかたちでHDD804等に予め格納されている場合を例示するが、結果として各種条件に対応した押圧力や押圧期間等の設定値を取得することができればよい。したがって、例えば、HDD804等に予め演算式を格納しておき、シート枚数等の引数を入力することで所望の押圧力や押圧期間等の設定値を算出する構成を採用することもできることは言うまでもない。
【0056】
ACT102、ACT103およびACT112に示すように、CPU801(押圧制御部)は、
図12に示すデータテーブルの設定値に基づいて、綴じ対象であるシート束の総枚数が所定枚数(
図12に示す例では49枚)を上回る場合に、押圧機構D(押圧部)による第2の押圧力での押圧時の押圧期間が、所定枚数以下のときよりも長くなるように設定している(多数枚用の設定値群の選択)。
図12に示すデータテーブルでは、例えば、綴じ対象であるシート束を構成するシート枚数が「49枚以下」である場合、処理トレイ102上に2番目に積載されたシートに対する押圧処理は、「普通紙」に対しては押圧力F1=0.05[N]で押圧持続期間T1(1.0[Sec])に設定され、「厚紙」に対しては押圧力F1=0.08[N]で押圧持続期間T1(1.5[Sec])に設定される。
【0057】
接着剤を挟んだシートを押圧して接着する場合における押圧持続期間が、接着剤によるシート接着力の強度にある程度比例する場合がある。したがって、綴じ処理の対象となるシート束が所定の枚数(例えば50枚など)を超える場合には、所定枚数以下の枚数のシート束を押圧する場合に比べて押圧持続期間を長くすることで、厚いシート束の綴じ処理を安定的に行うことができる。
【0058】
また、一般に、厚いシート束ほど、当該シート束を使用する際(各シートに印字されている情報等を閲覧する場合など)に、ページをめくる動作等によって綴じ部分に加わる力が大きくなる傾向がある。したがって、厚みのあるシート束ほど強力に接着することが好ましく、この観点からも、綴じ処理の対象となるシート束が所定枚数を超える厚みとなる場合に、押圧持続期間を長くして強固に綴じることが好ましい。
【0059】
また、CPU801(押圧制御部)は、画像形成装置7から取得される枚数情報に基づいて、
図12に示すデータテーブルの設定値に基づいて、第1の枚数だけ積載されたシート束を第1の押圧力で押圧させるとともに、第1の枚数のシート束に更にシートを追加積載した状態である第2の枚数(例えば、綴じ対象であるシート束を構成するシートをすべて積載した状態)のシート束を第1の押圧力よりも高い第2の押圧力で押圧させる。
図12に示すデータテーブルでは、例えば、綴じ対象である「普通紙」のシート束を構成するシート枚数が「49枚以下」である場合、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に2番目に積載されたシート(積載枚数が第1の枚数である状態)に対する押圧処理は押圧力F1=0.05[N]に設定され、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されたシート(積載枚数が第2の枚数である状態)に対する押圧処理は押圧力Fn=0.10[N]に設定される。
【0060】
なお、
図12に示す例では、綴じ対象であるシート束のうち2番目に処理トレイ102上に積載されるシートについての押圧力F1から、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されるシートの一つ前に積載されるシートについての押圧力Fn−1までは同じ値とし、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されたシートについての押圧力Fnだけを高い値としている。
【0061】
すなわち、
図12に示す例では、押圧力については、
F1=F2=F3=・・・=Fn−1<Fn
という関係に設定されている。
【0062】
もちろん、押圧力および押圧持続期間についての設定値は、上記例に限られるものではなく、例えば、シートが積載されるごとに押圧力および押圧持続期間が順次増加するように、
F1<F2<F3<・・・<Fn−1<Fn
とすることもできるし、シート積載過程において途中で何枚かのシートに対して連続して同じ設定値が適用されるように、
F1<F2=F3<・・・=Fn−1<Fn
といった設定内容とすることもできる。
【0063】
また、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されるシートについての押圧力Fnを最大とする場合に限らず、
F1<F2=F3<・・・<Fn−1=Fn
といった設定内容とすることもできる。
【0064】
このように、第1の枚数よりも多い第2の枚数まで追加積載された状態のシート束(例えば、積載シート枚数が30枚)に対する押圧力を、第1の枚数だけ積載された状態のシート束(例えば、積載シート枚数が15枚)を押圧する際の押圧力に比べて強くすることにより、第2の積載枚数まで積載されるまでは比較的弱い第1の押圧力での簡易な押圧によって、積載されてゆく1枚1枚のシートをある程度接着させておき、第2の積載枚数に到達した際に第1の押圧力よりも強い第2の押圧力によって第2の積載枚数となったシート束を強力に押圧することで、第2の積載枚数となったシート束を構成する各シート間を均一な力で追加的に接着させることができる。
【0065】
これにより、トレイ上に積載されるシートの枚数が第2の積載枚数に到達するまでは押圧力の弱い簡易な押圧動作を繰り返すことによって綴じ処理を進めることができるため、シート積載枚数が第2の積載枚数に到達するまでのシート押圧動作に要する時間を短縮することができ、綴じ処理全体としてのスループットの向上に寄与することができる。
【0066】
また、トレイ上に積載されるシートの枚数が第2の積載枚数に到達した際に、強い第2の押圧力による押圧を行うことにより、シート束を構成する各シート間を均一な力で再度押圧することができ、結果として美しい仕上がりの綴じ処理を実現することができる。
【0067】
また、一般に、シート積載枚数が増してゆくと、最上位に位置するシートを上方から押下しようとすると、最上位に位置するシートよりも下に積載されているシート束がクッションとなってしまうため、最上位に位置するシート(例えば30番目に積載されたシート)とその直下に位置するシート(例えば29番目に積載されたシート)とを十分に圧着させるのに必要とされる押圧力は強くなってゆく。本実施の形態によるシート綴じ装置によれば、シート積載枚数の増加に伴う押圧力の不足による不具合が生じることがなく、シート束の接着時における接着不良等の発生を抑制することができる。
【0068】
また、仮に綴じ処理の対象としてのシート束全体をトレイ上に積載してからまとめて押圧しようとすると、本実施の形態による構成に比べて極めて大きい力で押圧する必要があり、このような極大の押圧力での押圧を可能とする押圧機構を採用しようとすると、押圧機構は大型となりやすく且つ省スペース化の観点での問題もある。これに対し、本実施の形態によるシート綴じ装置によれば、シート全体を一度にまとめて押圧してシート束全体を接着させる場合に比べ、小さい力での押圧でも十分な接着力を実現することができるため、押圧機構そのものの大幅な小型化を図ることができ、省エネルギー化および省スペース化の観点で大きな効果を奏する。また、全体をまとめて押圧しようとすると、押圧機構が大型化するだけでなく、押圧時間も伸びてしまう。また、押圧時間が短ければ、押圧対象であるシートの次にトレイ上に積載される次シートの搬送動作を遅らせる必要はないが、押圧時間が長くなると、押圧対象であるシートの次にトレイ上に積載される次シートの搬送を行う際に直前のシートに対する押圧動作が完了するまで待機しなければならない場合がある。結果、トレイへ向けたシート搬送のスループットを、シート綴じ装置の押圧時間に応じた生産性まで抑える必要が生ずる。つまり、最後にシート束全体を纏めて押圧することで、最終的にまとめて押圧するだけでシート束全体を接着させようとすると、多大な時間がかかってしまうところを、積載される各シートについての押圧時間を適度な時間とし、シート束全体を最終的にまとめて押圧するときの時間は一枚一枚を接着させるときの時間よりもやや長くさせることで、全体として接着にかかる時間の総和を短くすることでき、生産性を向上させることができる。
【0069】
さらに、CPU801(押圧制御部)は、画像形成装置7から取得される枚数情報に基づいて、
図12に示すデータテーブルの設定値に基づいて、第1の枚数だけ積載されたシート束を第1の期間だけ押圧させるとともに、第2の枚数のシート束を第1の期間よりも長い第2の期間だけ押圧させるように設定する。
図12に示すデータテーブルでは、例えば、綴じ対象である「普通紙」のシート束を構成するシート枚数が「49枚以下」である場合、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に2番目に積載されたシート(積載枚数が第1の枚数である状態)に対する押圧処理は押圧持続期間T1(1.0[Sec])に設定され、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されたシート(積載枚数が第2の枚数である状態)に対する押圧処理は押圧持続期間T2(5.0[Sec])に設定される。
【0070】
なお、
図12に示す例では、綴じ対象であるシート束のうち2番目に処理トレイ102上に積載されるシートについての押圧持続期間T1から、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されるシートの一つ前に積載されるシートについての押圧持続期間Tn−1までは同じ値とし、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されたシートについての押圧持続期間Tnだけを長くしている。
【0071】
すなわち、
図12に示す例では、押圧持続期間については、
T1=T2=T3=・・・=Tn−1<Tn
という関係に設定されている。
【0072】
もちろん、押圧持続期間についての設定値は、上記例に限られるものではなく、例えば、シートが積載されるごとに押圧持続期間が増加するように、
T1<T2<T3<・・・<Tn−1<Tn
とすることもできるし、シート積載過程において途中で何枚かのシートに対して連続して同じ設定値が適用されるように、
T1<T2=T3<・・・=Tn−1<Tn
といった設定内容とすることもできる。
【0073】
また、綴じ対象であるシート束のうち処理トレイ102上に最後に積載されるシートについての押圧持続期間Tnを最大とする場合に限らず、
T1<T2=T3<・・・<Tn−1=Tn
といった設定内容とすることもできる。
【0074】
接着剤を挟んだシートを押圧して接着する場合における押圧持続期間が、接着剤によるシート接着力の強度にある程度比例する場合があることを考慮し、綴じ処理の対象となるシート束が第2の枚数であるときには、第1の枚数のシート束を押圧する場合に比べて押圧持続期間を長くすることで、厚いシート束の綴じ処理をより安定的に行うことができる。
【0075】
一般に、シート積載枚数が増してゆくと、最上位に位置するシートを上方から押下しようとすると、最上位に位置するシートよりも下に積載されているシート束がクッションとなってしまうため、最上位に位置するシートとその直下に位置するシートとを十分に圧着させるのに必要とされる押圧力は強くなってゆく。
【0076】
そこで、接着剤を挟んだシートを押圧して接着する場合における押圧持続期間が、接着剤によるシート接着力の強度にある程度比例する場合があることを考慮し、綴じ処理の対象となるシート束が第2の枚数であるときには、第1の枚数のシート束を押圧する場合に比べて押圧持続期間を長くすることで、厚いシート束の綴じ処理をより安定的に行うことができる。本実施の形態によるシート綴じ装置によれば、シート積載枚数の増加に伴う押圧力の不足を押圧期間を延ばすことにより補い、シート束の綴じ処理時における接着不良等の発生を抑制している。
【0077】
CPU801(厚さ情報取得部)は、綴じ処理の対象となるシートの厚さに関する厚さ情報を厚さセンサH1またはH2による検知結果もしくは画像形成装置7のCPU701から取得する(ACT104)。
【0078】
CPU801(押圧制御部)は、CPU801(厚さ情報取得部)にて取得される厚さ情報に基づいて、綴じ処理の対象となるシート束を構成するシートの一部または全部が第1の厚さ(例えば、普通紙の厚さ)よりも厚い第2の厚さ(例えば、厚紙の厚さ)である場合に、
図12に示すデータテーブルの設定値を参照して、第2の押圧力の第1の押圧力に対する増加率を、第1の厚さのシートのみから構成されるシート束を綴じる場合よりも高くするように設定する(ACT105)。
【0079】
一般に、厚いシートから構成されるシート束ほど、接着による綴じ処理を行う場合に高い押圧力を要することが知られている。そこで、本実施の形態では、
図12のデータテーブルに示すように、綴じ処理の対象となるシート束の一部(例えば、表紙や挿入紙のみが厚紙である場合など)または全部が厚紙等の厚いシートである場合には、当該厚いシートよりも薄いシートのみから構成されるシート束の綴じ処理時の押圧力よりも強い押圧力によって圧着させる。
【0080】
また、CPU801(押圧制御部)は、CPU801(厚さ情報取得部)にて取得される厚さ情報に基づいて、綴じ処理の対象となるシート束を構成するシートの一部または全部が第1の厚さ(例えば、普通紙の厚さ)よりも厚い第2の厚さ(例えば、厚紙の厚さ)である場合に(ACT104,Yes)、
図12に示すデータテーブルの設定値を参照して、第2の期間の第1の期間に対する増加率を、第1の厚さのシートのみから構成されるシート束を綴じる場合よりも高くするように設定する(ACT105)(
図12のデータテーブルを参照)。
【0081】
一般に、厚いシートから構成されるシート束ほど、接着による綴じ処理を行う場合に高い押圧力を要することが知られている。そこで、本実施の形態では、綴じ処理の対象となるシート束の一部(例えば、表紙や挿入紙のみが厚紙である場合など)または全部が厚紙等の厚いシートである場合には、「当該厚いシートよりも薄いシートのみから構成されるシート束」の綴じ処理時の押圧持続期間よりも長い期間だけ圧着させる。
【0082】
上述のようにして行われる押圧動作のパラメータ設定処理(ACT101〜ACT105)に続いて、CPU801は、画像形成装置7から搬送されてくる綴じ処理の対象であるシートをフラッパおよび搬送ローラによって処理トレイ102上に導く(ACT106)。なお、押圧動作のパラメータ設定処理(ACT101〜ACT105)は、綴じ処理の対象となるシート束を構成する各シートを処理トレイ102上に積載する毎に行うこともできるが、これら各シートの搬送を開始する前に各シートに対応する押圧動作の設定パラメータを一括して設定しておくようにしてもよい。
【0083】
上述のようにして、CPU801(押圧制御部)は、押圧対象となるシートが、綴じ処理の対象であるシート束の内の最後に処理トレイ102上に積載されるシートである場合(ACT107,Yes)、
図12に示すデータテーブルから取得される設定パラメータに基づいて、押圧力Fn(第2の押圧力)および押圧持続期間Tn(第2の期間)で押圧機構Dによる押圧処理を行わせる(ACT114)。
【0084】
一方、CPU801(押圧制御部)は、押圧対象となるシートが、綴じ処理の対象であるシート束の内の最初または最後に処理トレイ102上に積載されるシートではない場合(ACT107,No)(ACT108,No)、
図12に示すデータテーブルから取得される設定パラメータに基づいて、押圧力F1〜押圧力Fn−1(第1の押圧力)および押圧持続期間T1〜押圧持続期間Tn−1(第1の期間)で押圧機構Dによる押圧処理を行わせる(ACT109)。
【0085】
次に、CPU801(制御部)は、処理トレイ102上に積載されているシートの内の「最上位のシート」に対して接着剤を付着させようとしている際に、接着剤付与の対象となる「最上位のシート」の次に処理トレイ102上に積載されるべき「次シート」が処理トレイ102へ向けて搬送されていることがシート検知センサS1もしくはS2によって検知されない場合に(ACT110,No)、「最上位のシート」に対する糊付け部101(接着剤付与部)による接着剤付与動作を行わせないように制御する。
【0086】
換言すれば、CPU801(制御部)は、接着剤付与の対象となる「最上位のシート」の次に処理トレイ102上に積載されるべき「次シート」が処理トレイ102へ向けて搬送されていることがシート検知センサS1もしくはS2によって検知される場合(ACT110,Yes)にのみ、「最上位のシート」に対する糊付け部101(接着剤付与部)による接着剤付与動作を行わせる(ACT111)。
【0087】
ここで、「最上位のシートに対して接着剤を付着させようとしている際に」とは、例えば、トレイ上に積載されているシートが、綴じ処理の対象であるシート束における表表紙もしくは裏表紙ではなく「通常であれば接着剤を付与すべきシート」である場合に、当該シートに対して接着剤を付着させようとしている状態を意味している。また、言い換えると、「最上位のシートに対して接着剤を付着させようとしている際に」とは、シートに対し接着剤を付与するために待機している状態やシートに対して接着剤を塗布するための動作を開始している状態の概念を含む。
【0088】
また、ACT110において、「次シート」が処理トレイ102へ向けて搬送されているか否かを判定する際には、CPU801(供給情報取得部)にて例えば画像形成装置7(外部機器)からのシート供給の有無を示す信号(供給情報)を取得し、CPU801(供給情報取得部)にて当該信号を受信した場合には「次シート」が処理トレイ102上に搬送されると判定するようにしてもよい。
【0089】
さらに、ACT110において、画像形成装置7に備わるCPU701(判定部)において搬送部707等による後処理装置1(シート綴じ装置を含む)へのシート搬送の有無を判定させ、「次シート」を後処理装置1に搬送すると判定される場合にのみ、「次シート」の直前に処理トレイ102へ向けて搬送されたシートへの接着剤付与をCPU701(付与要求部)から後処理装置1に要求(コマンド送信)するようにしてもよい。
【0090】
なお、ここでの「直前」とは、順次搬送される複数枚のシートの中での搬送順序における直前を意味する。例えば、第1のシート、第2のシート、第3のシートの順に3枚の綴じ対象であるシートが搬送される場合、第2のシート(次シート)の直前のシートは第1のシートであり、第3のシート(次シート)の直前のシートは第2のシートとなる。
【0091】
図13は、綴じ処理の対象となるシート束の内の最初に処理トレイ102上に積載されるシート(Sheet1)の上面に対して糊付けヘッド101aによる接着剤付与が行われる様子を示す図である。
図13に示すように接着剤付与されたSheet1の上に次シート(Sheet2)が排出され積載されると、CPU801(押圧制御部)は押圧機構の押さえ部材101rを降下させてSheet2の上面を押圧力F1で押圧持続期間T1だけ押下し、Sheet1とSheet2を接着剤によって圧着させる(
図14)。
【0092】
図14に示すように押下されたSheet2の上面には、Sheet1と同様に糊付けヘッド101aによる接着剤付与が行われ(
図15)、接着剤付与されたSheet2の上に次シート(Sheet3)が排出され積載されると、CPU801(押圧制御部)は押圧機構の押さえ部材101rを降下させてSheet3の上面を押圧力F2で押圧持続期間T2だけ押下し、Sheet1〜Sheet3を圧接させる(
図16)。
【0093】
このように、接着剤付与〜押圧の一連の処理を、処理トレイ102上にシートが積載される毎に行ってゆく。ここで、例えば綴じ処理の対象となるシート束が計6枚(Sheet1〜Sheet6)である場合、CPU801(押圧制御部)は、綴じ対象である6枚のシートから構成されるシート束の内の最後に処理トレイ102上に積載されるシート(Sheet6)については接着剤付与を行うことなく、押圧力Fnで押圧持続期間Tnでの押圧処理のみを行う(
図16)。
【0094】
ただし、上述のACT110にて示したように、例え接着剤付与を行う予定のシートに対する接着剤付与動作を行おうとしている場合であっても、次のシートの処理トレイ102上への積載が行われることを示す情報がCPU801にて取得されない場合には、当該接着剤付与動作は行わせない(
図18)。
【0095】
このような処理アルゴリズムによって接着剤付与動作を制御することにより、例えば、シート綴じ処理の実行途中に画像形成装置7側もしくは後処理装置1側にてシート詰まり等のマシントラブルや給紙カセット内のシートが無くなった場合等に後処理装置1におけるシート綴じ処理が中断しても、綴じ処理が途中まで行われたシート束(例えば、
図18に示すSheet1およびSheet2)の上面に接着剤が付与されることがない。これにより、シート綴じ処理が途中まで行われたシート束においても、シート束の表面に付与された接着剤が露出した状態となることがなく、シート綴じ処理が中断したシート束の取り扱い時の利便性を向上させることができる。もちろん、CPU801は、このようにシート綴じ処理が中断された場合(綴じ対象となる次シートが来ない場合)でも、押圧機構の押さえ部材101rを降下させて、接着剤の付与が中断された最上位のシートの上面をそのシートに応じた押圧力で押下する。これにより、シート詰まり等の何らかの中断事由によってシート綴じ処理が中断した場合でも、接着剤を付着された状態で積載されている途中までのページのシート群をとりあえず圧着させておくことにより、上記中断事由が解消されたときに、当該圧着させた途中まで(例えば、計5枚のシート束の3枚目まで)のシート束に対して綴じ処理を途中から(例えば、計5枚のシート束の4枚目から)再開させることも可能となる。
【0096】
また、上述の例では、第1の枚数だけ処理トレイ102上に積載されているシート束を押圧する場合に比べて、第2の枚数だけ処理トレイ102上に積載されているシート束を押圧する場合の方が押圧力および押圧持続期間の両方の設定値が押圧効果を高める方向に変更されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば第1の枚数だけ処理トレイ102上に積載されているシート束を押圧する場合に比べて、第2の枚数だけ処理トレイ102上に積載されているシート束を押圧する場合の押圧力および押圧持続期間のいずれか一方の設定値のみを、押圧効果を高める方向に変更するように設定してもよい。
【0097】
上述の後処理装置での処理における各動作は、例えば、メモリ802に格納されているシート綴じプログラムをCPU801に実行させることにより実現されるものである。
【0098】
(変形例)
なお、上述の実施の形態において、シートへの糊付けを行なう糊付けユニットは、必ずしも液状の糊を噴射するものに限られるものではなく、例えば以下のようないくつかの他の態様が挙げられる。
(1)両面に糊が付された両面テープの貼り付け
(2)ペースト状の糊の塗布
(3)液状の糊の塗布
(4)スティック状の糊の塗布
【0099】
例えば、上記(1)のような構成を採用する場合、接着剤付与部として
図19および
図20に示すようなテープスタンプ装置50を備えることができる。
テープスタンプ装置50は、用紙Pの縦整合方向の後端が突き当って用紙Pの先端を揃える位置決め部306に近接して取り付けられている。
【0100】
テープスタンプ装置50は、テープヘッド52と、テープヘッド52を傾動可能に保持するスタンプスタンド53とを有する。テープヘッド52は、
図19に示すように、位置決め部306の用紙載置面306Aに対して上方に角度θ(0度<θ<90度)を有する待機姿勢と、用紙載置面306Aと平行な姿勢のプレス姿勢との間を傾動可能とする。テープヘッド52は待機位置において、用紙載置面306Aに用紙Pを積載可能な最大高さよりも上方に上昇し、傾斜することにより、処理トレイ102へ落下供給される用紙Pを位置決め部306に受け入れ容易としている。勿論、テープヘッド52は待機位置で傾斜していなくても良い。
【0101】
テープヘッド52を待機位置からプレス姿勢に傾動し、加圧力Fを加えて用紙Pとカット粘着シート部(後述)とを接着させ、再び待機位置に戻る一連の動作をテープヘッドスタンプ動作と称す。
【0102】
テープヘッドスタンプ動作を行う機構は、スタンプスタンド53に形成した上下方向に長い第1長孔54と、上端が第1長孔54よりも低い第2長孔55と、第1長孔54に係合する第1係合ピン56、第2長孔55に係合する第2係合ピン57とを有し、テープヘッド52の側面に第1係合ピン56と第2係合ピン57を取り付ける。第1係合ピン56はテープヘッド52の側面に対し、長手方向に長い補助長孔(不図示)に係合している。これは、第2係合ピン57が第2長孔55の上端に達した後に、第1係合ピン56が第1長孔54の上端まで移動できるようするもので、前記第1係合ピン56が補助長孔を移動することで、テープヘッド52は第2係合ピン57を支点として傾動を開始する。
【0103】
また、テープヘッド52に対し、不図示の加圧力付与部で発生する加圧力Fをばね等の第1弾性体58を介して下方に向けて付与する。テープヘッド52に加圧力Fが付与されると、テープヘッド52は、ばね等の第2弾性体59の弾性力に抗して下方に移動する。第1係合ピン56が第2長孔55の上端位置に達すると、テープヘッド52は
図30の水平姿勢になり、この水平姿勢を維持して降下し、用紙Pの表面に、後述するテープの転写当接面が当接する。この状態で第1弾性体58に加圧力Fが加えられても、テープヘッド52はこれ以上降下せず、第1弾性体58を縮め、用紙Pに両面粘着シートが貼り付けられる。
【0104】
そして、加圧力Fを解除すると、第2弾性体59に蓄勢されていた弾性力が解放され、テープヘッド52を待機位置まで戻す。その際、用紙Pに対して貼り付けられた両面粘着シートの貼り付け部分がカット粘着シート部として残る。
【0105】
テープヘッド52内には、テープ状の両面粘着シート31を破線で示す帯状の台紙テープ32の片面に剥離可能に貼り付けてロール状に巻回したロールテープ33が配置され、ロールテープ33の始端側が巻取り軸34に巻き取られる。また、ロールテープ33は、2か所の折り返しローラ35と、縦整合方向に沿って離隔対向する転写当接面形成ローラ36,37に、巻回される。また、巻取り軸34はモータM等で構成されるテープ巻取機構により回転駆動され、ロールテープの巻き取りを行う。第1転写当接面形成ローラ36と第2転写当接面形成ローラ37は、テープヘッド52の下面から下方に突出し、縦整合方向におけるローラ間を転写当接面38とする。また、テープヘッド52の下面52Aにおいて、転写当接面38に対応する部分は壁面に形成され、台紙テープ32が接する。
【0106】
第1転写当接面形成ローラ36と、第2転写当接面形成ローラ37との間に沿った方向(以下、幅方向とする)において、モータMの回転を制御することにより、ロールテープ33の繰出し量を調整し、第1転写当接面形成ローラ36から幅方向に繰出される両面粘着シート31の幅を調整することができる。両面粘着シート31の幅が短いと、用紙P間の接着力が弱い。例えば用紙Pが厚紙である場合、用紙の腰が強いので、用紙束のページ捲りの際に接着を剥がす方向に大きな剥離力が加わりやすい。その際、両面粘着シート31の幅が広いと、それだけ接着力が強くなる。また、用紙Pが薄い場合には、接着部に加わる剥離力は弱い。
【0107】
したがって、転写当接面38に繰出される両面粘着シート31の幅を調整することで、接着強度を調整することができる。
【0108】
また、例えば
図2に示した押圧機構Dは、接着剤塗布を行う糊付け部101とは独立した機構となっていたが、
図19に示す機構を採用すれば、両面粘着シート31を繰り出している状態でシートを押下すれば「接着剤付与」を行うことができ、台紙テープ32における両面粘着シート31が剥がれた部分を露出した状態でシートを押下すれば接着剤を付与することなくシートの押下のみを行うことができる。
【0109】
また、上述の実施の形態では、糊を「塗布」すると表現している場合でも、単にシート上に糊を「塗る」場合だけでなく、スプレーのように吹き付ける場合はもちろんのこと、例えば
図19に示したようなテープ式の糊を貼り付ける場合や、スタンプ式の糊付けを行なうような場合も含む意味であるものとする。すなわち、その処理の結果としてシート表面に糊がつけばよい。また、接着剤が単体でシートに付着する場合に限らず、例えば、シート状の基材の両面に接着剤が塗布されている両面粘着シートを基材ごとシート上に貼り付ける構成も採用可能である。
【0110】
また、上述の実施の形態では、一例として感圧式の糊を接着剤として用いる構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、本実施形態に適用する接着剤は、高熱あるいは低熱を受けることにより粘着力が低減あるいはほぼ消滅するリユースに適したものであってもよい。また、接着部が用いる接着剤は、光を受けることにより粘着力が低減あるいはほぼ消滅するものであってもよい。
【0111】
また、上述の実施の形態における「シート」とは、必ずしも紙に限らず、例えば、OHP用のフィルムシートなど、糊によって綴じることが可能なシート状の媒体であれば採用可能である。
【0112】
また、上述の実施の形態では、後処理装置1に対する接着剤付与要求を画像形成装置7のCPU701から送信する構成を例示したが、これに限られるものではなく、例えば、後処理装置1へのシート搬送のみを行う自動原稿搬送装置から上記接着剤付与要求を後処理装置1に対して送信することもできる。
【0113】
更に、シート綴じ装置およびこれを備える後処理装置を構成するコンピュータにおいて上述した各動作を実行させるプログラムを、シート綴じプログラムとして提供することができる。本実施の形態では、発明を実施する機能を実現するための当該プログラムが、装置内部に設けられた記憶領域に予め記録されている場合を例示したが、これに限らず同様のプログラムをネットワークから装置にダウンロードしても良いし、同様のプログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶させたものを装置にインストールしてもよい。記録媒体としては、プログラムを記憶でき、かつコンピュータが読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であっても良い。具体的に、記録媒体としては、例えば、ROMやRAM等のコンピュータに内部実装される内部記憶装置、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカード等の可搬型記憶媒体、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、回線上の伝送媒体などが挙げられる。またこのように予めインストールやダウンロードにより得る機能は装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と共働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0114】
なお、プログラムは、その一部または全部が、動的に生成される実行モジュールであってもよい。
【0115】
また、上述の実施の形態にてプログラムをCPUやMPUに実行させることにより実現される各種処理は、その少なくとも一部を、ASIC802にて回路的に実行させることも可能であることは言うまでもない。
【0116】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。