(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168212(P2015-168212A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構
(51)【国際特許分類】
B41F 31/14 20060101AFI20150901BHJP
B41F 7/26 20060101ALI20150901BHJP
B41F 7/36 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
B41F31/14 C
B41F7/26
B41F7/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-46284(P2014-46284)
(22)【出願日】2014年3月10日
(71)【出願人】
【識別番号】514060396
【氏名又は名称】上海光華印刷機械有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100081455
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100170966
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 正紀
(72)【発明者】
【氏名】喬 俊偉
(72)【発明者】
【氏名】趙 潔紅
(72)【発明者】
【氏名】▲ショ▼ 広穎
【テーマコード(参考)】
2C034
2C250
【Fターム(参考)】
2C034BB01
2C034BB03
2C034BB04
2C034BB06
2C250DC07
(57)【要約】
【課題】 優良な性能の指標を獲得することができ、印刷品の画面がシャープで、段落がはっきりし、質感を豊かにする印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の提供。
【解決手段】 インキ均し部に上、下インキ均し部を含む。上インキ均し部に第1、第2の振り金ローラ、第1、第2のインキ均しローラ及び中間ブリッジローラを含む。下インキ均し部に第3、第4の振り金ローラ、第3〜第5のインキ均しローラを含む。第3振り金ローラは第3及び第4のインキ着けローラに接触する。第4振り金ローラは第1、第2のインキ着けローラに接触する。給水装置に水元、水元ローラ、水着けローラ、水切ローラ、水振りローラ、練りローラ及び水均しローラを含む。インキ着けローラは版胴、水元ローラ及び水振りローラに接触する。練りローラは水振りローラ及び第3振り金ローラに接触し、水均しローラと水着けローラの下部に接触する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
版胴、版、インキ供給部、インキ着け部及びインキ均し部を含むインキング装置及び版胴の右下に位置する水元及び水元の上に位置する水元ローラを有する給水装置を含む印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構であって、
前記インキ供給部は、版胴の上に位置するインキツボ、インキツボの右に位置するインキ元ローラとインキツボローラの右に非連続的に接触するインキ呼出しローラを含み、
前記インキ着け部は、左から右まで版胴の上に接触する第1〜第4のインキ着けローラを含み、
前記インキ均し部は、第1振り金ローラ、第2振り金ローラ、第1インキ均しローラ、第2インキ均しローラ及び中間ブリッジローラを含む上インキ均し部と、第3振り金ローラ、第4振り金ローラ、第3〜第5のインキ均しローラを含む下インキ均し部を含み、
(i)前記第1振り金ローラの左上部と前記インキ呼出しローラの右下部とは、非連続的に接触し、
(ii)前記第1振り金ローラは、第1インキ均しローラの左上部と第2インキ均しローラの上部にそれぞれ接触し、
(iii)前記第2振り金ローラは、前記第1インキ均しローラの左下部、第2インキ均しローラの右下部と中間ブリッジローラの上部にそれぞれ接触し、
(iv)前記第3振り金ローラは、中間ブリッジローラの左下部、第3インキ均しローラの右下部、第3インキ着けローラの右上部及び第4インキ着けローラの上部にそれぞれ接触し、
(v)前記第4インキ均しローラは、第3インキ均しローラの左上部及び第5インキ均しローラの右上部に接触し、
(vi)第4振り金ローラは、前記第5インキ均しローラの左下部、前記第1インキ着けローラの上部及び前記第2インキ着けローラの左上部にそれぞれ接触し、
給水装置は、水着けローラ、水切ローラ、水振りローラ、練りローラ及び水均しローラを含み、
(vi)前記水着けローラは、前記版胴の右部、前記水元ローラの左上部及び前記水振りローラの左下部にそれぞれ接触し、
(vii)前記練りローラは、前記水振りローラの上部及び前記第3振り金ローラの右下部にそれぞれ接触し、前記水均しローラと前記水着けローラの下部に接触する、
ことを特徴とする印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項2】
前記上インキ均し部は、前記第1インキ均しローラの上部に接触する第1金ローラを含み、
前記下インキ均し部は、前記第3インキ着けローラの上部に接触する第2金ローラと、前記第4インキ着けローラの右下部に接触する第3金ローラと、前記第2インキ着けローラの右上部、前記第3インキ着けローラの左上部及び前記第5インキ均しローラの右下部にそれぞれ接触するインキローラと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項3】
前記下インキ均し部は、前記第4振り金ローラの左上部に接触する第6インキ均しローラを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項4】
前記下インキ均し部は、前記第1インキ着けローラの左上部に接触する第4金ローラを含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項5】
前記上インキ均し部には、中間ブリッジローラと第2振り金ローラに、前記下インキ均し部と接触あるいは分離することを実現するスイング機構が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項6】
前記スイング機構は、第1エアーシリンダー、第1レバーと第1ブラケットを含み、
前記第1エアーシリンダーは、印刷機のL、Rのフレームに対応して取り付けられ、
前記第1レバーの回転センターは、前記第2振り金ローラ両端の第1メタルに対応してセットして取り付けられ、
前記第1レバーの先端は、前記第1エアーシリンダーのピストンロッドに対応して連結され、
前記第1ブラケットは、前記中間ブリッジローラの両端の軸端に対応して接続され、かつ、前記第1レバーの反対側の軸端と連結する、
ことを特徴とする請求項5に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項7】
前記給水装置には、前記練りローラと前記水振りローラに、インキング装置に接触あるいは分離することを実現する着脱機構が設置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【請求項8】
前記着脱機構は、固定受座、第2エアーシリンダー、第2レバー及び第2ブラケットを含み、
前記固定受座は、印刷機のL、Rのフレームに対応して取り付けられ、
前記第2エアーシリンダーは、前記固定受座に対応して接続され、
前記第2レバーの先端は、前記第2エアーシリンダーに対応して連結され、
前記第2レバーの回転センターは、前記水振りローラ両端の第2メタルに対応してセットして取り付けられ、
前記第2ブラケットは、前記練りローラの両端の軸端に対応して接続され、かつ、前記第2レバーの中央部に連結する、
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構に関し、特に、優良な性能の指標を獲得することができ、印刷品の画面がシャープで、段落がはっきりし、質感を豊かにすることができる印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構に関連する。
【背景技術】
【0002】
湿し水、インキ供給システムは現代のオフセット印刷機にとって、一つの重要なコンポーネントである。その中にインキング装置と給水装置を含む。
【0003】
インキング装置は、インキを均一にして定量的に版に転移させるものである。転移されたインキの均一性や用量の大きさは、印刷物の品質に影響を与える。給水装置は、印刷中に適当な湿し液を安定的に均一に版に着けるものである。それによって水とインキのバランスが取れていることを保証するものである。これは、オフセット印刷のキーテクノロジーである。
【0004】
この目標を実現するために、オフセット印刷機の湿し水、インキ供給システムを配列するレイアウトで、インキングの電気配線を考慮して、合理的な設計がなされるべきである。
【0005】
異なるローラの配列機構は、湿し水、インキ供給システムの特性もそれぞれ異なっており、その性能は直接に印刷品質の優劣に影響を与える。従って、通常は印刷機を製造するため、インキ付け係数、インキ均し程度、インキタック、スクリーン線数、インキ転移率、の五つの性能の指標を使っている。これらをもって、湿し水、インキ供給システムの性能に対して評価を行う。
【0006】
図1及び
図2は、従来技術の二つの典型的な印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構を示す図である。
図1において、1は版胴、2はインキツボ、3はインキツボローラ、4はインキ呼出しローラ、5は第1振り金ローラ、6は第1金ローラ、7は第2インキ均しローラ、8は第1インキ均しローラ、9は第2振り金ローラ、10は第6インキ均しローラ、11は中間ブリッジローラ、12は第3振り金ローラ、13は第3インキ均しローラ、14は第5インキ均しローラ、15は第4振り金ローラ、16は第1インキ着けローラ、17は第2インキ着けローラ、18は第3インキ着けローラ、19は第4インキ着けローラ、20はインキローラ、21は第3金ローラ、22は水着けローラ、23は水元、24は水均しローラ、25は水元ローラ、26は水切ローラ、27は水振りローラである。
また、
図2において、1は版胴、2はインキツボ、3はインキツボローラ、4はインキ呼出しローラ、5は第1振り金ローラ、6は第1インキ均しローラ、7は第2振り金ローラ、8は中間ブリッジローラ、9は第3振り金ローラ、10は第3インキ均しローラ、11は第4インキ均しローラ、12は第5インキ均しローラ、13は第4振り金ローラ、14は第1インキ着けローラ、15は第2金ローラ、16は第2インキ着けローラ、17は第3インキ着けローラ、18は第4インキ着けローラ、19はインキローラ、20は第1金ローラ、21は水着けローラ、22は水均しローラ、23は水元、24は水元ローラ、25は水切ローラである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構によれば、以下のような問題があった。
まず、水とインキのバランスが良くなく、印刷品の品質も悪くなっていた。また、インキ付け係数、インキ均し程度、インキタック、スクリーン線数、インキ転移率という五つの優良な性能の指標を獲得することができなかった。
【0008】
本発明の目的は、優良な性能の指標を獲得することができ、印刷品の画面がシャープで、段落がはっきりし、質感を豊かにすることができる印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の提供にある。
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、版胴、版、インキ供給部、インキ着け部及びインキ均し部を含むインキング装置及び版胴の右下に位置する水元及び水元の上に位置する水元ローラを有する給水装置を含む印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構であって、前記インキ供給部は、版胴の上に位置するインキツボ、インキツボの右に位置するインキ元ローラとインキツボローラの右に非連続的に接触するインキ呼出しローラを含み、前記インキ着け部は、左から右まで版胴の上に接触する第1〜第4のインキ着けローラを含み、前記インキ均し部は、第1振り金ローラ、第2振り金ローラ、第1インキ均しローラ、第2インキ均しローラ及び中間ブリッジローラを含む上インキ均し部と、第3振り金ローラ、第4振り金ローラ、第3〜第5のインキ均しローラを含む下インキ均し部を含み、(i)前記第1振り金ローラの左上部と前記インキ呼出しローラの右下部とは、非連続的に接触し、(ii)前記第1振り金ローラは、第1インキ均しローラの左上部と第2インキ均しローラの上部にそれぞれ接触し、(iii)前記第2振り金ローラは、前記第1インキ均しローラの左下部、第2インキ均しローラの右下部と中間ブリッジローラの上部にそれぞれ接触し、(iv)前記第3振り金ローラは、中間ブリッジローラの左下部、第3インキ均しローラの右下部、第3インキ着けローラの右上部及び第4インキ着けローラの上部にそれぞれ接触し、(v)前記第4インキ均しローラは、第3インキ均しローラの左上部及び第5インキ均しローラの右上部に接触し、(vi)第4振り金ローラは、前記第5インキ均しローラの左下部、前記第1インキ着けローラの上部及び前記第2インキ着けローラの左上部にそれぞれ接触し、給水装置は、水着けローラ、水切ローラ、水振りローラ、練りローラ及び水均しローラを含み、(i)前記水着けローラは、前記版胴の右部、前記水元ローラの左上部及び前記水振りローラの左下部にそれぞれ接触し、(ii)前記練りローラは、前記水振りローラの上部及び前記第3振り金ローラの右下部にそれぞれ接触し、前記水均しローラと前記水着けローラの下部に接触する、ことを特徴とする印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構を提供するものである。
【0010】
以上の構成において、前記上インキ均し部は、前記第1インキ均しローラの上部に接触する第1金ローラを含み、前記下インキ均し部は、前記第3インキ着けローラの上部に接触する第2金ローラと、前記第4インキ着けローラの右下部に接触する第3金ローラと、前記第2インキ着けローラの右上部、前記第3インキ着けローラの左上部及び前記第5インキ均しローラの右下部にそれぞれ接触するインキローラと、を含む、ことが望ましい。
【0011】
また、前記下インキ均し部は、前記第4振り金ローラの左上部に接触する第6インキ均しローラを含む、ことが望ましい。
【0012】
また、前記下インキ均し部は、前記第1インキ着けローラの左上部に接触する第4金ローラを含む、ことが望ましい。
【0013】
また、前記上インキ均し部には、中間ブリッジローラと第2振り金ローラに、前記下インキ均し部と接触あるいは分離することを実現するスイング機構が設置されている、ことが望ましい。
【0014】
この場合、前記スイング機構は、第1エアーシリンダー、第1レバーと第1ブラケットを含み、前記第1エアーシリンダーは、印刷機のL、Rのフレームに対応して取り付けられ、前記第1レバーの回転センターは、前記第2振り金ローラ両端の第1メタルに対応してセットして取り付けられ、前記第1レバーの先端は、前記第1エアーシリンダーのピストンロッドに対応して連結され、前記第1ブラケットは、前記中間ブリッジローラの両端の軸端に対応して接続され、かつ、前記第1レバーの反対側の軸端と連結する、ことが望ましい。
【0015】
また、前記給水装置には、前記練りローラと前記水振りローラに、インキング装置に接触あるいは分離することを実現する着脱機構が設置されている、ことが望ましい。
【0016】
この場合、前記着脱機構は、固定受座、第2エアーシリンダー、第2レバー及び第2ブラケットを含み、前記固定受座は、印刷機のL、Rのフレームに対応して取り付けられ、
前記第2エアーシリンダーは、前記固定受座に対応して接続され、前記第2レバーの先端は、前記第2エアーシリンダーに対応して連結され、前記第2レバーの回転センターは、前記水振りローラ両端の第2メタルに対応してセットして取り付けられ、前記第2ブラケットは、前記練りローラの両端の軸端に対応して接続され、かつ、前記第2レバーの中央部に連結する、ことが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構によれば、インキ付け係数、インキ均し程度、インキタック、スクリーン線数とインキ着けローラのインキ転移率など性能の指標が更に優良になる。
【0018】
このうち、第3インキ着けローラのインキ転移率と第4インキ着けローラのインキ転移率のトータルは、4本インキ着けローラのインキ転移率のトータルの86.4%である。
【0019】
第1インキ着けローラのインキ転移率は、4本インキ着けローラのインキ転移率のトータルの3.6%である。
【0020】
インキ付け係数、インキ均し程度,インキタック,スクリーン線数と、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構とを比較した結果は次の通りである。
(1)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ付け係数は、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ付け係数の間に介在する。
(2)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ均し程度は、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ均し程度を比べると、5〜14%大きい。
(3)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキタックは、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキタックを比べると、4〜9%大きい。
(4)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのスクリーン線数は、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのスクリーン線数を比べると、9〜27%大きい。
本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の各性能の指標は印刷機に水とインキのバランス、さらに印刷品質に対する重要な役割を果たしている。それによって印刷品の画面がシャープで、段落がはっきりしていて、豊かな質感を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】従来の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の説明図である。
【
図2】従来の他の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の説明図である。
【
図3】本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の説明図である。
【
図4】(a)は本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構における中間ブリッジローラのスイング機構の説明図であり、(b)は(a)の側面図である。
【
図5】(a)は本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構におけるインキング装置及び給水装置の着脱機構の説明図であり、(b)は(a)の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明をより良く理解するために、具体的な実施例及び図面に基づき詳細に説明を行う。
【0023】
図3は、本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構を示す図であり、版胴1,版1’、インキング装置及び給水装置400を含む。
【0024】
版1’は、版胴1の表面にコーティングされており、版1’の天地方向の長さは、版胴1の周長の70%−80%である。
【0025】
インキング装置は、インキ供給部100と、インキ均し部200と、インキ着け部300と、を含む。
【0026】
インキ供給部100は、インキツボ2と、インキツボローラ3と、インキ呼出しローラ4と、を含む。このうち、インキツボ2は版胴1の上部に位置し、インキツボローラ3はインキツボ2の右に位置し、インキ呼出しローラ4はインキツボローラ3の右に位置してインキの適量供給のため非連続的に接触する。
【0027】
インキ着け部300は、版胴1の上に位置し、第1〜第4のインキ着けローラ(16〜19)を含む。
【0028】
インキ均し部200は、上インキ均し部と下インキ均し部を含む。上インキ均し部には、第1振り金ローラ5と、第1インキ均しローラ6と、第2インキ均しローラ7と、第2振り金ローラ8と、中間ブリッジローラ9と、第1金ローラ10と、を含む。
【0029】
このうち、第1振り金ローラ5は、左上部がインキ呼出しローラ4の右下部に非連続的に接触し、右下部が第1インキ均しローラ6の左上部に接触し、下部が第2インキ均しローラ7の上部に接触する。また、第2振り金ローラ8は、第1インキ均しローラ6の左下部と第2インキ均しローラ7の右下部及び中間ブリッジローラ9の上部に接触する。第1金ローラ10は、第1インキ均しローラ6の上部に接触する。
【0030】
下インキ均し部は、第3振り金ローラ11と、第3〜第5のインキ均しローラ12〜14と、第4振り金ローラ15と、第2金ローラ20と、第3金ローラ21と、インキローラ22と、を含む。
【0031】
このうち、第3振り金ローラ11は、中間ブリッジローラ9の左下部及び第3インキ均しローラ12の右下部に接触する。
【0032】
第4インキ均しローラ13は、第3インキ均しローラ12の左上部及び第5インキ均しローラ14の右上部に接触する。第4振り金ローラ15は、第5インキ均しローラ14の左下部に接触する。第4振り金ローラ15は、第1インキ着けローラ16の上部及び第2インキ着けローラ17の左上部に接触する。
【0033】
第3振り金ローラ11は、第3インキ着けローラ18の右上部及び第4インキ着けローラ19の上部に接触する。第2金ローラ20は、第3インキ着けローラ18の上部に接触する。第3金ローラ21は、第4インキ着けローラ19の右下部に接触する。インキローラ22は、第2インキ着けローラ17の右上部と第3インキ着けローラ18の左上部及び第5のインキ均しローラ14の右下部にそれぞれ接触する。
【0034】
給水装置400は、水元23と、水元ローラ24と、水着けローラ25と、水切ローラ26と、水振りローラ27と、練りローラ28と、水均しローラ29と、を含む。
【0035】
このうち、水元23は版胴1の右下に位置し、水元ローラ24は水元23の上部に位置し、水切ローラ26は水元ローラ24の右上部に接触する。
【0036】
水着けローラ25は、版胴1の右部と水元ローラ24の左上部及び水振りローラ27の左下部にそれぞれ接触する。練りローラ28は、水振りローラ27の上部及び第3振り金ローラ11の右下部にそれぞれ接触する。水均しローラ29は、水着けローラ25の下部に接触する。
【0037】
本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムにおけるインキ転移の経路を説明すると、インキツボ2に溜められたインキは、インキツボローラ3とインキ呼出しローラ4を順次通って、第1振り金ローラ5に転移する。第1振り金ローラ5に転移したインキは、更に、第1インキ均しローラ6と第2インキ均しローラ7をそれぞれ通って第2振り金ローラ8に転移する。
【0038】
第2振り金ローラ8に転移したインキは、中間ブリッジローラ9を通って第3振り金ローラ11に転移する。第3振り金ローラ11に転移したインキは、ここで2つの経路に分岐する。
【0039】
1つの経路は、第3振り金ローラ11から直接に第3インキ着けローラ18と第4インキ着けローラ19に転移する経路である。もう1つの経路は、第3振り金ローラ11から第3インキ均しローラ12と第4インキ均しローラ13及び第5インキ均しローラ14を通って、第4振り金ローラ15に転移し、第4振り金ローラ15から第1インキ着けローラ16と第2インキ着けローラ17にそれぞれ転移する経路である。
【0040】
第1〜第4のインキ着けローラ16〜19に転移したインキは、更に、版胴1の表面に取り付けた版1に転移する。第3インキ着けローラ18に残留したインキが第2インキ着けローラ17に転移できるように、第2インキ着けローラ17の右上部と第3インキ着けローラ18の左上部に、1本のインキローラ22を設置する。
【0041】
また、インキの均一性を向上させるために、第1インキ均しローラ6の上部に、1本の第1金ローラ10を設置する。また、第3インキ着けローラ18の上部に、1本の第2金ローラ20を設置し、第4インキ着けローラ19の右下部に、1本の第3金ローラ21を設置する。
【0042】
本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの湿し水の転移の経路を説明すると、水舟23に溜められた湿し水は、水元ローラ24で水切ローラ26に通して調整した後に水着けローラ25に転移させる。
【0043】
水着けローラ25は、受け取った湿し水を十分にならして、版1’に転移させる。水着けローラ25から版1’に転移された湿し水を更に平均に分配するように、水着けローラ25の下に1本の水均しローラ29を設置し、水着けローラ25の上に1本の水振りローラ27を設置し、水振りローラ27に1本の練りローラ28を設置する。
【0044】
図4(a)及び
図4(b)に示すように、インキング装置の中間ブリッジローラ9と第2振り金ローラ8に、スイング機構を設置する。このスイング機構は、1セットの第1エアーシリンダー31,31’と、1セットの第1レバー32,32’及び1セットの第1ブラケット33,33’を含む。
【0045】
このうち、第1エアーシリンダー31,31’は、取付ピン34、34’で印刷機のL,Rのフレーム50,50’にそれぞれ対応して取り付けられている。第1レバー32,32’の回転センターは、第2振り金ローラ8の両端の第1メタル80,80’に対応してセットして取り付けられる。
【0046】
この第1レバー32,32’の先端は、第1エアーシリンダー31,31’のピストンロッドに対応して連結される。第1ブラケット33,33’は、中間ブリッジローラ9の両端の軸端に対応して接続され、第1レバー32,32’の反対側の軸端と連結される。
【0047】
印刷機を一時停止する時は、インキ供給装置が作動を続けているので、スイング機構での第1エアーシリンダー31,31’のピストンロッドの引き出し量を制御することにより、中間ブリッジローラ9が第2振り金ローラ8を巻いて揺れ動くことを実現する。
【0048】
それによって、上インキ均し部と下インキ均し部の分離を実現する。これにより、インキ着け部300にインキを供給することを一時に停止でき、また、再起動した際に、最初にインキ色が濃すぎることによる不良の印刷品枚数を有効に減らすことができる。
【0049】
図5(a)と
図5(b)に示すように、給水装置400に練りローラ28と水振りローラ27の着脱機構を設置する。これにより、給水装置とインキング装置の接触(ON)あるいは分離(OFF)を実現し、印刷品の極端な乳化を防止するため、水とインキのバランスを達成する。
【0050】
この着脱機構は、1セットの固定受座41,41’と、1セットの第2エアーシリンダー42,42’と、1セットの第2レバー43,43’と、1セットの第2ブラケット44,44’と、を含む。このうち、固定受座41,41’は、印刷機のL,Rのフレーム50,50’に対応して取り付けられる。第2エアーシリンダー42,42’は、元軸ピン45,45’で固定受座41,41’に対応してそれぞれ接続される。
【0051】
第2レバー43,43’の先端は、取付ピン46,46’で第2エアーシリンダー42,42’のピストンロッドに対応してそれぞれ連結される。第2レバー43,43’の回転センターは、水振りローラ27両端の第2メタル270,270’に対応してセットして取り付けられる。第2ブラケット44,44’は、練りローラ28の両端の軸端に対応して接続され、第2レバー1セットの43,43’の中央部に連結される。
【0052】
本発明の湿し水、インキ供給システムの配列機構は、優れたインキング性能があって、通常のインキ付け係数,インキ均し程度,インキタック,スクリーン線数とインキ転移率などの5つの指標に対して評価を行う。このうち、インキ付け係数,インキ均し程度,インキタック,スクリーン線数の数値は大きいほど良い。
【0053】
第3インキ着けローラのインキ転移率と第4インキ着けローラのインキ転移率が大きいほど良くて、インキ着けローラのインキ巻きが良くなる。第1インキ着けローラのインキ転移率は小さいほど良くて、インキ均し程度が良くなる。
【0054】
本発明の湿し水、インキ供給システムの配列機構は、第3インキ着けローラのインキ転移率と第4インキ着けローラのインキ転移率のトータルが、4本インキ着けローラのインキ転移率のトータルの86.4%である。第1インキ着けローラのインキ転移率は4本インキ着けローラのインキ転移率のトータルの3.6%である。
【0055】
本発明の湿し水、インキ供給システムの配列機構のインキ付け係数,インキ均し程度,インキタック,スクリーン線数と、
図1と
図2に示した従来の二つの典型的な印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構とをそれぞれ比較した結果は次の通りである。
【0056】
(1)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ付け係数は、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ付け係数の間に介在する。
(2)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ均し程度と、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキ均し程度を比べると、5〜14%大きい。
(3)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキタックと、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのインキタックを比べると、4〜9%大きい。
(4)本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムのスクリーン線数と、従来の二つの印刷機用湿し水、インキ供給システムのスクリーン線数を比べると、9〜27%大きい。
【0057】
図6〜
図10は、本発明の印刷機用湿し水、インキ供給システムの配列機構の変更例を以下説明する。いずれも、
図3に示した湿し水、インキ供給システムの配列機構の基礎上で変更するものである。なお、
図3と同じ内容については同一の符号を付しているので、重複する説明は省略する。
【0058】
第1の変更例として、例えば、
図6に示すように、第1振り金ローラ5と第2振り金ローラ8の間の第2インキ均しローラ7を取り消し、最初に湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成するようにしても良い(機構は簡略化して表示している。以下同じ。)。
【0059】
また、第2の変更例として、
図7に示すように、第1インキ均しローラ6の第1金ローラ10を取り消して、2番目の湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成するようにしても良い。
【0060】
また、第3の変更例として、
図8に示すように、第1振り金ローラ5と第2振り金ローラ8の間の第2インキ均しローラ7と第1金ローラ10取り消して、3番目の湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成するようにしても良い。
【0061】
また、第4の変更例として、
図9に示すように、インクの均一性を向上させるために、第1振り金ローラ15の左上部に1本の第6インキ均しローラ30と接触して、もう一つの湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成するようにしても良い。
【0062】
更に、第5の変更例として、
図10に示すように、第1インキ着けローラ16の左上部に1本の第4金ローラ40と接触して、もう一つの湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成するようにしても良い。
【0063】
また、
図6、
図7、
図8、
図9及び
図10に示された変化した図例に対して、配列組み合わせを行い、もっと多くの形式の湿し水、インキ供給システムの配列機構を形成することができる。
【0064】
以上の実施例は本発明の説明のためのみであって、その範囲を制限するものではない。この技術分野の技術者は、本発明の精神と範囲を離れない状態で様々な変更や変形することもできる。そのため全ての同等な技術も本発明の範疇に属するべきであり、特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0065】
1 版胴
1’ 版
2 インキツボ
3 インキツボローラ
4 インキ呼出しローラ
5 第1振り金ローラ
6 第1インキ均しローラ
7 第2インキ均しローラ
8 第2振り金ローラ
9 中間ブリッジローラ
10 第1金ローラ
11 第3振り金ローラ
12 第3のインキ均しローラ
13 第4インキ均しローラ
14 第5のインキ均しローラ
15 第4振り金ローラ
16 第1のインキ着けローラ
17 第2のインキ着けローラ
18 第3のインキ着けローラ
19 第4のインキ着けローラ
20 第2金ローラ
21 第3金ローラ
22 インキローラ
16 第1インキ着けローラ
17 第2インキ着けローラ
18 第3インキ着けローラ
19 第4インキ着けローラ
20 第2金ローラ
21 第3金ローラ
22 インキローラ
23 水元
24 水元ローラ
25 水着けローラ
26 水切ローラ
27 水振りローラ
28 練りローラ
29 水均しローラ
30 第6インキ均しローラ
31,31’ 第1エアーシリンダー
32,32’ 第1レバー
33,33’ 第1ブラケット
34,34’取付ピン
40 第4金ローラ
41,41’ 固定受座
42,42’ 第2エアーシリンダー
43,43’ 第2レバー
44,44’ 第2ブラケット
45,45’ 元軸ピン
46,46’ 取付ピン
50,50’ フレーム
80,80’ 第1メタル
100 インキ供給部
200 インキ均し部
300 インキ着け部
400 給水装置
270,270’ 第2メタル