(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168359(P2015-168359A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】ドアパッド
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20150901BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
B60J5/00 501A
B60J5/00 501Z
B60R13/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-45483(P2014-45483)
(22)【出願日】2014年3月7日
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏
【テーマコード(参考)】
3D023
【Fターム(参考)】
3D023BA01
3D023BB08
3D023BD03
3D023BE24
(57)【要約】
【課題】ドアライニングの表面を保護しつつ、ドアライニングの表面に設けられている操作部に容易にアクセス可能とする。
【解決手段】ドアパッド10は、操作部2aが設けられているドアライニング2の表面のうち操作部2a以外の領域を覆う本体部11と、ドアライニング2の表面のうち操作部2aの領域に設けられて本体部11に接続され、開閉することによって操作部2aの露出と被覆とを切り替える開閉部12と、を備える。開閉部12は、上方から下方に向かうスライド動作によって開状態になるファスナー51によって本体部11に結合されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部が設けられているドアライニングの表面のうち前記操作部以外の領域を覆う本体部と、
前記ドアライニングの表面のうち前記操作部の領域に設けられて前記本体部に接続され、開閉することによって前記操作部の露出と被覆とを切り替える開閉部と、
を備える、
ことを特徴とするドアパッド。
【請求項2】
前記開閉部の周縁部の少なくとも一部を前記本体部に留めるファスナーを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドアパッド。
【請求項3】
前記開閉部の下部は前記本体部に接続され、
前記ファスナーは、前記開閉部の両側部を前記本体部に留め、
前記ファスナーは、上方から下方に向かうスライド動作によって開状態になる、
ことを特徴とする請求項2に記載のドアパッド。
【請求項4】
前記本体部の上部を前記ドアライニングの上部に引っ掛けにより留める鉤型留め具を備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のドアパッド。
【請求項5】
前記本体部の前記上部以外の周縁部を前記ドアライニングに貼り合わせまたは噛み合いにより留める留め具を備える、
ことを特徴とする請求項4に記載のドアパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の後部座席においてキャンバスシート地を用いてドアの内張り部分などの内装を保護するシート形成器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−56586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るシート形成器において、ドアの内張り部分を覆うキャンバスシート地は、複数のゴムひもリングなどの止め用フックまたはドアガラスに吸着する吸盤などの固定部材によってドアライニングに取り付けられる。しかしながら、ドアライニングに設けられている各種の操作スイッチやドアノブなどを操作するためには、固定部材による固定を解除して、キャンバスシート地を取り外す必要が生じる場合がある。このためドアライニングの表面を保護しつつ、ドアライニングの表面に設けられた操作部に容易にアクセス可能とすることが望まれている。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ドアライニングの表面を保護しつつ、ドアライニングの表面に設けられている操作部に容易にアクセスすることが可能なドアパッドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るドアパッドは、操作部が設けられているドアライニングの表面のうち前記操作部以外の領域を覆う本体部と、前記ドアライニングの表面のうち前記操作部の領域に設けられて前記本体部に接続され、開閉することによって前記操作部の露出と被覆とを切り替える開閉部と、を備える。
【0007】
(2)上記(1)に記載のドアパッドは、前記開閉部の周縁部の少なくとも一部を前記本体部に留めるファスナーを備える。
【0008】
(3)上記(2)に記載のドアパッドでは、前記開閉部の下部は前記本体部に接続され、前記ファスナーは、前記開閉部の両側部を前記本体部に留め、前記ファスナーは、上方から下方に向かうスライド動作によって開状態になる。
【0009】
(4)上記(1)から(3)の何れか1つに記載のドアパッドは、前記本体部の上部を前記ドアライニングの上部に引っ掛けにより留める鉤型留め具を備える。
【0010】
(5)上記(4)に記載のドアパッドは、前記本体部の前記上部以外の周縁部を前記ドアライニングに貼り合わせまたは噛み合いにより留める留め具を備える。
【発明の効果】
【0011】
上記(1)に記載の態様に係るドアパッドによれば、操作部の露出と被覆とを切り替える開閉部を備えることにより、本体部を含むドアパッドの全体を取り外す必要無しに、容易に操作部にアクセスすることができる。
【0012】
上記(2)に記載の態様に係るドアパッドによれば、ファスナーの開閉によって開閉部を容易に開閉することができる。
【0013】
上記(3)に記載の態様に係るドアパッドによれば、開閉部の上部が何処にも接続されていない状態であれば、ファスナーの開放に伴って開閉部の上部が自重により下方に向かい捲れるようにして開閉部が開状態になる。これにより開閉部を容易に開状態にすることができる。
【0014】
上記(4)に記載の態様に係るドアパッドによれば、引っ掛けによる鉤型留め具を備えることにより、本体部の上部をドアライニングの上部に容易に脱着することができる。
【0015】
上記(5)に記載の態様に係るドアパッドによれば、ドアライニングへの装着時に本体部に所望の張力を作用させて、弛みや皺などが生じることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るドアパッドの構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るドアパッドの平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るドアパッドの上部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るドアパッドについて添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態によるドアパッド10は、
図1に示すように、車両1の後部座席に犬や猫などのペットを載せる場合、または幼児を載せる場合などにおいて、ドアライニング2の表面を覆うように装着される。
ドアパッド10は、例えば、ウレタン樹脂材の表面にPVC(ポリビニールクロライド)などの合成皮革が積層されたシート状に形成され、立体縫製による表面形状を有している。
【0018】
ドアパッド10は、
図2に示すように、本体部11と、開閉部12と、を備えている。
本体部11は、後述する各種の操作スイッチや操作部材などを備える操作部2aが設けられているドアライニング2の表面のうち操作部2a以外の領域を覆う。本体部11は、周縁部および内部に立体縫製による複数のステッチ21が設けられている。本体部11は、ドアライニング2の表面に設けられているスピーカー(図示略)の領域において網目状に形成されたメッシュ部22を備えている。
【0019】
図3に示すように、本体部11の上部11aには、車両1の前後方向にレール状に伸びる鉤型の第1鉤型留め具23が縫い付けられている。また、ドアライニング2の上部2bには、車両1の前後方向にレール状に伸びる鉤型の第2鉤型留め具32がリベット31によって固定されている。第1鉤型留め具23および第2鉤型留め具32は、相互の引っ掛けにより本体部11の上部11aをドアライニング2の上部2bに留めて固定する。
【0020】
本体部11の上部11a以外の周縁部、つまり側部11b、下部11c、および後述する開閉部12との境界部11dには、ドアライニング2の表面との間に面ファスナー24および複数のスナップ25が設けられている。面ファスナー24は、互いの張り合わせによって結合されるとともに、引き剥がしによって結合が解除される第1部材および第2部材(図示略)を備えている。面ファスナー24は、本体部11に装着されている第1部材とドアライニング2に装着されている第2部材との貼り合わせによって本体部11をドアライニング2に留めて固定する。複数のスナップ25の各々は、互いの噛み合いによって結合されるとともに、噛み合いの解消によって結合が解除される第1凹凸部材および第2凹凸部材(図示略)を備えている。複数のスナップ25の各々は、本体部11に装着されている第1凹凸部材とドアライニング2に装着されている第2凹凸部材との噛み合いによって本体部11をドアライニング2に留めて固定する。
【0021】
開閉部12は、ドアライニング2の表面のうち操作部2aの領域を覆うように設けられ、本体部11の境界部11dの一部、例えば境界部11dの下部に接続されている。開閉部12は、開閉することによって操作部2aの露出と被覆とを切り替える。
なお、操作部2aは、例えば、スライドドアの開閉を操作するスイッチ41、パワーウィンドウの開閉を操作するスイッチ42、並びにスライドドアのロックおよびアンロックを操作するスイッチ43などを備えている。
【0022】
開閉部12は、下部12aが本体部11の境界部11dの下部に接続されている。開閉部12の上部12bは、ドアライニング2の上部2bなどに対して固定されていない、いわば自由端の状態となっている。開閉部12の下部12aおよび上部12b以外の周縁部、つまり車両1の前後方向における前方側および後方側の2つの側部12cの各々には、本体部11の境界部11dとの間にファスナー51が設けられている。ファスナー51は、スライダー(図示略)が上方から下方に向かうスライド動作によって開状態になり、スライダー(図示略)が下方から上方に向かうスライド動作によって閉状態になる。ファスナー51は、閉状態において開閉部12の側部12cを本体部11に留めて固定し、開状態において開閉部12の側部12cの本体部11に対する固定を解除する。
【0023】
開閉部12は、2つの側部12cのファスナー51が開状態になると、上部12bが自重または操作者の捲り操作によって鉛直方向下方に向かい捲れるようにして、操作部2aを露出させる。
開閉部12は、操作者によって鉛直方向下方から上方に向かいスライダーがスライド操作されることによって、2つの側部12cのファスナー51が閉状態になると、操作部2aを被覆する。
【0024】
上述したように、本実施形態によるドアパッド10によれば、ファスナー51の操作によって操作部2aの露出と被覆とを切り替える開閉部12を備えることにより、開閉部12を容易に開閉することができる。これにより、操作部2aを含むドアライニング2の表面を保護しつつ、本体部11を含むドアパッド10の全体を取り外す必要無しに容易に操作部2aにアクセスすることができる。
【0025】
さらに、鉛直方向(つまり上下方向)のスライド動作によって開閉するファスナー51を備えることにより、ファスナー51の開放に伴って開閉部12の上部12bが自重により下方に向かい捲れるようにして開閉部12が開状態になる。これにより開閉部12を容易に開状態にすることができる。
【0026】
さらに、相互の引っ掛けにより固定される第1鉤型留め具23および第2鉤型留め具32を備えることにより、本体部11の上部11aをドアライニング2の上部2bに容易に固定することができる。
さらに、面ファスナー24および複数のスナップ25を備えることにより、本体部11の上部11a以外の周縁部をドアライニング2に装着する際に、本体部11に所望の張力を作用させて、弛みや皺などが生じることを容易に防ぐことができる。
【0027】
なお、上述した実施形態において、開閉部12は、上部12bが下方に向かい捲れるようにして開状態になるように構成されるとしたが、これに限定されない。
例えば、ファスナー51が下方から上方に向かうスライド動作によって開状態になるように設けられて、下部12aが上方に向かい捲れるようにして開状態になるように構成されてもよい。
また、ファスナー51が上下方向以外の他の方向、例えば車両1の前後方向または斜め方向などにおけるスライド動作によって開状態になるように設けられて、これらの方向に向かい捲れるようにして開状態になるように構成されてもよい。
【0028】
なお、上述した実施形態において、ファスナー51、面ファスナー24、およびスナップ25の各々は、結合と結合解除とを繰り返して行なうことができる他の留め具に変更されてもよい。さらに、第1鉤型留め具23および第2鉤型留め具32は、ファスナーまたは面ファスナーなどのように、結合と結合解除とを繰り返して行なうことができる他の留め具に変更されてもよい。
【0029】
なお、上述した実施形態において、ドアパッド10の材質をウレタン樹脂材および合成皮革としたが、これに限定されず、他の材質によって構成されてもよい。
【0030】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1…車両、2…ドアライニング、2a…操作部、10…ドアパッド、11…本体部、12…開閉部、23…第1鉤型留め具、24…面ファスナー(留め具)、25…スナップ(留め具)、32…第2鉤型留め具、51…ファスナー
【手続補正書】
【提出日】2015年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の操作スイッチや操作部材を備える操作部が設けられているドアライニングの表面のうち前記操作部以外を覆う本体部と、
前記本体部に接続され、閉状態では前記操作部を覆い、開状態では前記操作部を露出させて前記操作部へのアクセスを可能とする開閉部と、
を備える、
ことを特徴とするドアパッド。
【請求項2】
前記開閉部の周縁部の少なくとも一部を前記本体部に留めるファスナーを備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のドアパッド。
【請求項3】
前記開閉部の下部は前記本体部に接続され、
前記ファスナーは、前記開閉部の両側部を前記本体部に留め、
前記ファスナーは、上方から下方に向かうスライド動作によって開状態になる、
ことを特徴とする請求項2に記載のドアパッド。
【請求項4】
前記本体部の上部を前記ドアライニングの上部に引っ掛けにより留める鉤型留め具を備える、
ことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のドアパッド。
【請求項5】
前記本体部の前記上部以外の周縁部を前記ドアライニングに貼り合わせまたは噛み合いにより留める留め具を備える、
ことを特徴とする請求項4に記載のドアパッド。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係るドアパッドは、
各種の操作スイッチや操作部材を備える操作部が設けられているドアライニングの表面のうち前記操作部以
外を覆う本体部と、
前記本体部に接続され、
閉状態では前記操作部を覆い、開状態では前記操作部を露出させて前記操作部へのアクセスを可能とする開閉部と、を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】