【解決手段】ブリスター包装体10は、カバー部材20と、封止シート30とを備える。カバー部材20は、物品が収納される複数の収納凹部21a,21bと、各収納凹部の端縁から延設され各収納凹部の周囲に設けられたフランジ部22a,22bとを有する。封止シート30は、フランジ部22a,22bに対して剥離可能且つ再貼付可能に貼付され、収納凹部21a,21bの開口部を覆っている。例えば、カバー部材20に第2切断補助線26a,26bが、封止シート30に第1切断補助線36a,36bがそれぞれ形成されている。第2切断補助線26a、第1切断補助線36aに沿ってカバー部材20及び封止シート30を切断することにより、収納凹部21aの開封に用いられる摘み部37aが形成される。
前記第1切断補助線の少なくとも一部は、前記第2切断補助線に対して、当該各切断補助線を用いて開封される前記収納凹部と反対側に突出して形成されている、請求項2に記載のブリスター包装体。
前記封止シートは、前記摘み部となる部分に形成された前記非粘着領域と、前記収納凹部との間に、前記フランジ部と接着する粘着領域を有する、請求項4に記載のブリスター包装体。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態の一例について詳細に説明する。
実施形態において参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法比率などは、現物と異なる場合がある。具体的な寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0015】
なお、本明細書において、「略**」の用語は、「略全域」を例に挙げて説明すると、全域はもとより実質的に全域と認められるものを含む意図である。
【0016】
実施形態の説明では、上下左右、表裏等の方向を示す用語を使用するが、その方向と各構成要素との関係が限定されるものではない。本発明の第1実施形態であるブリスター包装体10の場合は、包装体が吊り下げられた状態を基準とした方向を用いる。より詳しくは、封止シート30の面に対して直交する方向であって、カバー部材20側から見たときの方向を用いる。
【0017】
以下では、2つの収納凹部を有するブリスター包装体を例示するが、収納凹部の数はこれに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、収納凹部に収納される物品(図示せず)は特に限定されず、上記のように、医薬品、乾電池、口腔衛生用品、化粧品、ネジ等の機械部品、菓子等の食品、玩具などが例示できる。収納凹部の形状や寸法は、収納する物品の形状、寸法、個数等によって適宜設定される。
【0018】
また、以下では、収納凹部21a,21bの周囲に形成されたフランジ部を、それぞれフランジ部22a,22bとする。フランジ部22a,22bの境界は、切断補助線26b(第2切断補助線)が形成された位置とする。
【0019】
<第1実施形態>
以下、
図1〜
図8を参照しながら、第1実施形態である包装体10について詳細に説明する。
図1は、ブリスター包装体10の正面図であり、
図2及び
図3は、それぞれ
図1のAA線断面図、BB線断面図である。
【0020】
図1〜
図3に示すように、ブリスター包装体10は、カバー部材20と、封止シート30とを備える。カバー部材20は、物品が収納される複数の収納凹部21a,21bと、各収納凹部の端縁から延設され各収納凹部の周囲に設けられたフランジ部22a,22bとを有する。封止シート30は、フランジ部22a,22bに対して剥離可能且つ再貼付可能に貼付され、収納凹部21a,21bの開口部を覆っている。
【0021】
ブリスター包装体10において、封止シート30は、カバー部材20と対向する表面に形成された粘着剤層32(
図3参照)を介して、フランジ部22a,22bの裏面(以下、「被貼付面」という場合がある)に剥離可能且つ再貼付可能に貼付されている。即ち、ブリスター包装体10は、一旦開封した収納凹部21a,21bを再封できる、所謂リシール機能を有する包装体である。
【0022】
ブリスター包装体10(カバー部材20及び封止シート30)は、例えば正面視において左右よりも上下に長い略矩形形状を有する。カバー部材20は、封止シート30よりも大きく、フランジ部22a,22bが封止シート30の周端縁から四方(上下左右)に張り出していることが好適である。ブリスター包装体10の周端縁には、例えばカバー部材20のみからなる領域が存在する。また、封止シート30の周端縁は、略全域がフランジ部22の裏面に貼付されていることが好適である。
【0023】
ブリスター包装体10には、切断補助線が形成されている。切断補助線は、収納凹部21a,21bを開封するための必須構成要素であると共に、本実施形態では、さらにブリスター包装体10を3つの部分に分割するために使用される。詳しくは後述するように、ブリスター包装体10は、収納凹部21a,21bの開封の有無が一目で分かる改ざん防止機能を有する。ブリスター包装体10には、切断補助線に沿ってカバー部材20及び封止シート30を切断することで、収納凹部21a,21bを開封する際に用いられる摘み部が形成される。以下では、摘み部を形成するための開封を「1次開封」、摘み部を用いた収納凹部21a,21bの開封を「2次開封」又は単に「開封」という場合がある。
【0024】
ブリスター包装体10は、例えば上から順に、切断補助線により区画されたヘッダー部11c、第1ケース11a、及び第2ケース11bを有する。第1ケース11a,11bは、それぞれ収納凹部21a,21bを有し、分割後においても各収納凹部に物品を収納しておくことができる。ヘッダー部11cは、例えば商品名やデザイン等の表示部として機能し、デザイン等に応じて適当な寸法に設定される。本実施形態では、カバー部材20に切断補助線26a,26b(第2切断補助線)が、封止シート30に切断補助線36a,36b(第1切断補助線)がそれぞれ形成されている。
【0025】
ブリスター包装体10は、店頭で吊り下げ陳列されることを想定した形態とすることができる。ヘッダー部11cの上端縁近傍には、例えば左右方向の略中央部に、ハンガーフック等が通される吊り下げ孔25が形成されている。吊り下げ孔25は、カバー部材20を厚み方向(表裏方向)に打ち抜いて形成することができる。封止シート30には、吊り下げ孔25を避けるように正面視略U字状の切欠き34が形成されている。
【0026】
以下、
図4〜
図7をさらに参照しながら、カバー部材20及び封止シート30の構成について、それぞれ詳説すると共に、改ざん防止構造について詳説する。
図4は、
図2のC部拡大図である。
図5は、隠蔽層33(ハッチング部分)の配置を示す図である。
図6及び
図7(
図6のDD線断面図)は、1次開封により摘み部37aが形成された状態を示す図である。
【0027】
カバー部材20は、上下に所定間隔をあけて並設された2つの収納凹部21a,21bを有する。即ち、収納凹部21a,21bは、互いにつながっておらず、それぞれ独立している。収納凹部21a,21bは、例えば正面壁と、正面壁の周端縁から正面壁に略直交して延設された側壁とをそれぞれ有する。開口部は、正面壁と略同一の面積を有し、正面壁及び開口部は、いずれも正面視略矩形形状に形成されている。本実施形態では、収納凹部21a,21bの形状及び寸法は互いに略同一であるが、当該形状や寸法は、上記のように収納する物品に応じて適宜変更できる。また、各収納凹部の形状等は、互いに異なっていてもよい。
【0028】
フランジ部22a,22bは、収納凹部21a,21bの周囲に形成されている。即ち、フランジ部22a,22bは、各収納凹部21a,21bの端縁から四方に延設されている。フランジ部22a,22bは、封止シート30が貼付される部分であると共に、各収納凹部21a,21bを区画する部分でもある。
【0029】
フランジ部22a,22bの幅は、封止シート30とのシール性等の観点から、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。フランジ部22a,22bの幅は、例えば収納凹部21aの上端縁から上方に延設される部分を除いて略同一の幅を有する。収納凹部21aの上端縁から上方に延設される部分は、他の部分よりも幅広に形成されており、その上端縁近傍には吊り下げ孔25が形成されている。なお、各フランジ部22a,22bは、互いに略同一平面上に形成されている。
【0030】
フランジ部22a,22bの裏面には、封止シート30の摘み形成予定部35a,35b及びその近傍に対応する領域を除いて、封止シート30が貼付されていることが好適である。即ち、フランジ部22の裏面は、摘み形成予定部35a,35b及びその近傍に対応する領域を除く略全域が被貼付面であって、カバー部材20と封止シート30との間には、1次開封前において指が入るような隙間が存在しないことが好ましい。
【0031】
ここで、摘み形成予定部35a(摘み形成予定部35bについても同様)とは、切断補助線26a,36aに沿ってカバー部材20及び封止シート30を切断したときに摘み部37aとなる部分である。ブリスター包装体10が設計通りに1次開封された場合には、摘み形成予定部35aと摘み部37aの形態(形状及び寸法)は同じになる。
【0032】
カバー部材20は、収納凹部21aよりも上部に形成された切断補助線26aと、収納凹部21aと収納凹部21bとの間に形成された切断補助線26bとを有する。切断補助線26a,26bは、左右方向に沿って略直線状に、且つカバー部材20の全幅に亘って形成されることが好適である。切断補助線26bは、例えば収納凹部21aと収納凹部21bとの間の略真ん中を横切って、切断補助線26aと略平行に形成される。切断補助線26a,26bの両端には、各切断補助線に沿ったカバー部材20の切断を容易にすべく、カバー部材20の外端縁を切欠いてノッチ24a,24bを形成することが好ましい。
【0033】
切断補助線26a,26bとしては、ハーフカット線、ミシン目線、又はこれらの組み合わせが挙げられる。ミシン目線は、カバー部材20の厚み方向に貫通する貫通孔と非貫通部が交互に配列されてなる線である。貫通孔の正面視形状は、特に限定されず、真円形状、楕円形状、三角形状等の多角形状、直線状、V字状、Y字状などが例示できる。また、貫通孔のピッチ(間隔)も特に限定されず適宜設定できる。
【0034】
カバー部材20は、非透明な材料から構成されてもよいが、収納凹部21a,21bに収納された物品等が見えるように、透明又は半透明のプラスチックシートから構成されることが好ましい。プラスチックシートの構成材料は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等が例示できる。カバー部材20は、従来公知の射出成形法やシート成形法によって形成することができる。カバー部材20の厚みは、例えば0.1〜2mmであり、好ましくは0.2〜1mmである。また、カバー部材20には、商品名やデザイン等を表示する印刷が施されていてもよいし、種々のタックシールが貼付されていてもよい。
【0035】
封止シート30は、物品が収納された収納凹部21a,21bの開口部を塞ぐための部材である。封止シート30は、収納凹部21a,21bの周囲に設けられたフランジ部22a,22bに剥離可能且つ再貼付可能に貼付されることで、収納凹部21a,21bの開口部を閉塞する。封止シート30は、一旦フランジ部22a,22bから剥離した後も、元の状態に戻すことにより収納凹部21a,21bを再封することができる。
【0036】
図4に示すように、封止シート30は、基材31と、基材31の表面に形成された粘着剤層32と、粘着剤層32の一部を覆って形成された隠蔽層33とを有する。封止シート30の形状は、基材31の形状により決定される。基材31は、例えば正面視略矩形形状を有する。基材31は、カバー部材20のフランジ部22が封止シート30よりも外側に延出するように、カバー部材20よりも一回り小さく形成されている。
【0037】
基材31の構成材料は、特に限定されず、紙、合成紙、樹脂フィルム等が例示できる。これらのうち、合成紙又は樹脂フィルムを用いることが好ましい。基材31は、単層構造、積層構造のいずれであってもよく、また基材31上には、粘着剤層32、隠蔽層33以外の層、例えば金属蒸着層や、商品名、デザイン、商品説明(例えば、物品の説明や包装体の開封方法)等を表示するための印刷層などが形成されていてもよい。基材31の厚みは、例えば0.05〜1.0mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmである。基材31は、非透明な材料から構成されていても透明な材料から構成されていてもよい。基材31が透明又は半透明の樹脂フィルムから構成された場合には、封止シート30を通して、収納凹部21a,21bに収納された物品等を目視することができる。
【0038】
粘着剤層32は、常温で粘着性を有する粘着剤(感圧粘着剤)から構成される。粘着剤層32は、カバー部材20に対向する基材31の表面に形成される。本実施形態では、基材31の表面の略全域に粘着剤層32が形成されている。粘着剤層32の厚みは、3〜50μm程度であり、好ましくは10〜30μm程度である。
【0039】
粘着剤層32を構成する粘着剤は、常温で粘着性を有し、フランジ部22a,22b等に対して剥離可能且つ再貼付可能なものであれば特に限定されず、溶剤系、水系、ホットメルト系、UV系など、従来公知の粘着剤を用いることができる。粘着剤層32の粘着面(表面)の剥離強度は、3〜20N/25mmであることが好ましく、5〜15N/25mmがより好ましい。ここで、粘着面の剥離強度とは、JIS Z 0237の180度剥離に準じた方法で測定された値である。具体的には、粘着剤層32を形成した100mm×25mmの樹脂フィルム(試験片)をポリエチレンテレフタレート製の被着体に貼り付け、300mm/分の速度で180度に試験片を引っ張り、試験片が剥離したときの最大応力値である。
【0040】
隠蔽層33は、粘着剤層32の粘着性を隠蔽するための層であって、その表面はカバー部材20や物品等に接着しない非粘着面となる。即ち、封止シート30の表面において、隠蔽層33が設けられていない領域は粘着剤層32が露出した粘着領域となり、隠蔽層33が設けられた領域は粘着剤層32が隠蔽された非粘着領域となる。
【0041】
図5に示すように、隠蔽層33は、カバー部材20の収納凹部21a,21bに対応する部分、即ち封止シート30の表面において収納凹部21a,21bを覆う領域に設けられることが好適である。これにより、収納凹部21a,21bに収納された物品が封止シート30に接着することを防止できる。詳しくは後述するように、隠蔽層33は、摘み形成予定部35a,35bの表面にも設けられている。
【0042】
隠蔽層33は、例えば粘着剤層32の表面に樹脂フィルムを貼付することで形成できる。これにより、粘着剤が滲み出ることなく、隠蔽層33が設けられた領域を非粘着領域とすることができる。本実施形態では、セパレータ33zの一部を粘着剤層32上に残すことで隠蔽層33が形成されている(後述の
図8参照)。なお、非粘着領域の形成方法は、これに限定されず、マスキング剤(例えば、紫外線硬化型樹脂を含む紫外線硬化型インキ等)を5〜30μm程度の厚みで粘着剤層32上に塗布する方法や、粘着剤層32を選択的に形成する方法等であってもよい。
【0043】
封止シート30は、収納凹部21aに対応する部分よりも上部に形成された切断補助線36aと、収納凹部21aと収納凹部21bとの間隙に対応する部分に形成された切断補助線36bとを有する。切断補助線36a,36bは、切断補助線26a,26bと同様に、互いに略平行であり、封止シート30の全幅に亘ってそれぞれ形成されることが好適である。一方、切断補助線36a,36bは、切断補助線26a,26bとは異なり、非直線状に形成されている。
【0044】
切断補助線36a,36bは、ハーフカット線、ミシン目線、又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。切断補助線36a,36bにミシン目線を適用する場合、貫通孔の正面視形状は特に限定されないが、好ましくはV字状又はY字状である。
【0045】
切断補助線36aの少なくとも一部は、カバー部材20に形成される切断補助線26aよりも上部に形成されることが好適である。即ち、切断補助線36aの少なくとも一部は、切断補助線26aと表裏方向に重なっておらず、切断補助線26aに対して収納凹部21aと反対側に突出して形成されていることが好適である。同様に、切断補助線36bの少なくとも一部は、切断補助線26bに対して、切断補助線26b,36bを用いて開封される収納凹部21bと反対側(即ち、収納凹部21a側)に突出して形成されていることが好適である。
【0046】
切断補助線36aは、例えば両端部だけが切断補助線26aと重なり、封止シート30の幅方向略中央部で切断補助線26aから最も離間するように形成されることが好適である。また、切断補助線36aは、一部だけ急峻に突出するのではなく、切断補助線36aの両端部から中央部に向かって徐々に切断補助線26aから離れることが好適である。
【0047】
本実施形態では、切断補助線36a,36bの正面視形状が互いに略同一であり、摘み形成予定部35a,35bの正面視形状も互いに略同一である。ゆえに、切断補助線36a,36b、摘み形成予定部35a,35bで共通する内容は、切断補助線36a、摘み形成予定部35aを例に挙げて以下説明する。
【0048】
切断補助線36aは、例えば正面視において、緩やかな山形に形成される。当該山の頂上(頂点)は、封止シート30の幅方向中央部の近傍に形成されることが好ましい。切断補助線36aの両端部から山の頂点までは、緩やかな曲線状に形成されてもよいが、好ましくは略直線状に形成される。なお、当該山の頂上にあたる部分は、切断補助線26aと略平行に形成されていてもよい。
【0049】
封止シート30は、切断補助線26a,36aにより形成される摘み形成予定部35aを有する。摘み形成予定部35aは、正面視において、切断補助線26aと切断補助線36aとの間に位置しており、例えば略三角形状を有する。摘み形成予定部35aの突出長さ(上下方向長さ)は、切断補助線26aと切断補助線36aとの間隔を大きくするほど長くなる。
【0050】
封止シート30は、摘み形成予定部35aの最も突出した部分(以下、「最大突出部」という)を含む部分、即ち切断補助線36aの頂点を含む部分に、フランジ部22aと接着しない非粘着領域を有することが好適である。本実施形態では、摘み形成予定部35a,35bの表面のうち、封止シート30の幅方向中央部の近傍のみに隠蔽層33が設けられ、当該最大突出部を含む部分に非粘着領域が形成されている。非粘着領域は、より広い範囲に形成されてもよいが、1次開封後における収納凹部21aの封止性を考慮すると、本実施形態では最大突出部の近傍に限定して形成されることが好ましい。
【0051】
なお、隠蔽層33は、連続した1つの非粘着領域を形成している。非粘着領域は、封止シート30の幅方向略中央部において、摘み形成予定部35aよりも上から摘み形成予定部35bを超えて収納凹部21bに対応する部分まで、上下方向に連続している。
【0052】
図6及び
図7に示すように、カバー部材20及び封止シート30を、切断補助線26a,36aに沿って切断することにより摘み部37aが形成される。摘み部37aは、封止シート30をフランジ部22aから剥離して収納凹部21aを開封する2次開封に用いられる部分であって、指で摘まれて当該剥離の起点となる部分である。即ち、1次開封により、カバー部材20は切断補助線26aに沿って真っ直ぐ切断され、封止シート30は切断補助線36aに沿って山形に切断される。これにより、第1ケース11aからヘッダー部11cが切り離されると共に、摘み部37aが形成される。
【0053】
摘み部37aは、第1ケース11aの上端縁に形成される。摘み部37aは、フランジ部22aの端縁よりも上方に突出しており、第1ケース11aの幅方向略中央部に頂点をもつ正面視三角形状を有する。即ち、第1ケース11aの幅方向略中央部に摘み部37aの最大突出部が形成されている。最大突出部及びその近傍の表面には、隠蔽層33が設けられ、非粘着領域が形成されている。なお、ヘッダー部11cの封止シート30には、摘み部37aに対応した正面視三角形状の切欠きが形成される。
【0054】
図8は、上記構成を備えたブリスター包装体10の製造方法の一例を示す図である。
図8は、所望の形状にカットされた基材31の表面に粘着剤層32を介して長尺状のセパレータ33zが貼付された長尺体30zを示している。長尺体30zは、例えば長手方向に沿って複数並んだ基材31の列を2つ有する。セパレータ33zは、カバー部材20が貼付されるまでの間、粘着剤層32の粘着面(表面)を保護すると共に、その一部が隠蔽層33を形成する。セパレータ33zには、カット線38が形成されており、例えばカット線38で囲まれた部分以外の裏面に剥離剤が塗られている。このため、セパレータ33zを剥離すると、カット線で囲まれた部分のみが基材31の表面に残って隠蔽層33が形成される。セパレータ33zを剥離した後、カバー部材20を各基材31の表面に貼付することにより、ブリスター包装体10が製造される。
【0055】
以上のように、上記構成を備えたブリスター包装体10では、収納凹部21aの開封に必要な摘み部37aを形成するために、切断補助線26a,36aに沿ってカバー部材20及び封止シート30を切断する必要がある。つまり、ブリスター包装体10では、収納凹部21aを開封するにあたり、第1ケース11aからヘッダー部11cが切り離され、包装体の形状が大きく変化する。したがって、流通過程において悪戯等で収納凹部21aが開封された場合には、開封されたことが一目で分かる。なお、収納凹部21bを開封する場合にも、第2ケース11bから第1ケース11aが切り離され、包装体の形状が大きく変化するため、開封されたことが一目で分かる。
【0056】
ブリスター包装体10では、1次開封により形成された摘み部37aを下方に引っ張ることで、収納凹部21aを開封(2次開封)することができる(
図7参照)。このとき、通常は摘み部37aの最大突出部が指で摘まれるが、最大突出部には非粘着領域が形成されており粘着剤層32が露出していないため、例えば指に粘着剤が付着することを防止できる。また、最大突出部及びその近傍に非粘着領域を形成してフランジ部22aに対する貼付を防止することで、切断補助線36aに沿った封止シート30の切断が容易になる。即ち、目的とする形状の摘み部37aを形成し易くなる。
【0057】
封止シート30の表面とフランジ部22aとを接着する粘着剤層32は、再貼付可能であるから、収納凹部21aを一旦開封した後、収納凹部21aを再封することができる。このように、ブリスター包装体10は、リシール機能及び改ざん防止機能を有する。ブリスター包装体10は、例えば衛生面が重要視される物品の包装に好適である。
【0058】
なお、上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。
図9〜
図11Bに設計変更の例(上記実施形態の変形例)を示す。
【0059】
図9はブリスター包装体10vの正面図、
図10は
図9のEE線断面図である。
図9及び
図10に示すように、ブリスター包装体10vには、切断補助線36aの頂点を含む部分に形成される非粘着領域と、収納凹部21aに対応する部分に形成される非粘着領域との間に、粘着剤層32が露出した粘着領域39aが形成されている点で、ブリスター包装体10と異なる。また、収納凹部21aに対応する部分に形成される非粘着領域と、切断補助線36bの頂点を含む部分に形成される非粘着領域との間、及び切断補助線36bの頂点を含む部分に形成される非粘着領域と、収納凹部21bに対応する部分に形成される非粘着領域との間にも、粘着領域39a,39bがそれぞれ形成されている。
【0060】
即ち、ブリスター包装体10vでは、上記各非粘着領域を形成する隠蔽層33ac、33a、33ab、33bがつながっておらず互いに分離しており、収納凹部21a,21bの全周囲に封止シート30vが貼付される。これにより、1次開封後においても、収納凹部21a,21bを密閉することができる。
【0061】
図11Aは、ブリスター包装体10wの正面図である。
図11Aに示すように、ブリスター包装体10wの封止シート30wには、切込み40a,40bが形成されている。切込み40aは、第1ケース11awの下部において、左右のフランジ部22aに対応する部分に形成されている。切込み40bは、第2ケース11bwの下部において、左右のフランジ部22bに対応する部分に形成されている。例えば、摘み部37aを引っ張って封止シート30wを剥離する場合に、封止シート30wの剥離が切込み40aの位置で止まり、封止シート30wがフランジ部22から完全に剥がれてしまうことが防止される。なお、切込み40a,40bの形状はこれに限定されず、封止シート30wの完全な剥離を防止するストッパーとなる種々の形状が挙げられる。
【0062】
図11Bは、ブリスター包装体10xの正面図である。
図11Bに示すように、ブリスター包装体10xの封止シート30xには、強粘着領域41a,41b(ドット表示した部分)が形成されている。強粘着領域41a,41bは、粘着剤層32を形成する粘着剤よりも粘着力が強い粘着剤を、例えば粘着剤層32上に塗布して形成することができる。強粘着領域41a,41bは、それ以外の領域(隠蔽層33が設けられていない領域)よりも剥離強度が高いので、封止シート30xを剥離する際のストッパーとなる。
【0063】
強粘着領域41aは、切込み40aと同様に、第1ケース11axの下部において、左右のフランジ部22aに対応する部分に形成される。さらに、強粘着領域41aは、収納凹部21aの下端縁から延設されるフランジ部22aに対応する部分にも形成される。即ち、収納凹部21aの下部を囲むように、正面視略U字状に強粘着領域41aが形成されている。なお、強粘着領域41aは、摘み形成予定部35bにかからない範囲に設けられることが好適である。強粘着領域41bについても、第2ケース11bxにおいて強粘着領域41aと同様の位置に形成されている。当該構成によれば、ブリスター包装体10wの場合と同様に、摘み部37aを引っ張って封止シート30xを剥離する場合に、封止シート30xの剥離が強粘着領域41aの位置で止まり、封止シート30xがフランジ部22から完全に剥がれてしまうことが防止される。さらに、収納凹部21aの下端縁から延設されるフランジ部22aと封止シート30xとの接着力が強くなり、当該フランジ部の封止シート30xからの剥離が高度に抑制される。これにより、収納凹部21aに収納された物品の脱落が防止される。なお、強粘着領域41a,41bは、正面視U字状に限定されず、例えば、第1ケース11ax、第2ケース11bxの左右のフランジ部22a,22bに対応する部分にのみポイント的に設けられてもよい。
【0064】
また、第1実施形態及びその変形例において、切断補助線26aと重なるように切断補助線36aを直線状に形成した場合も、摘み部を形成することができる。この場合は、フランジ部22aの端縁よりも上方に突出した摘み部は形成されないが、切断補助線36aが形成される部分に非粘着領域を形成することにより、カバー部材と封止シートとの間に指を入れることが可能となり、非粘着領域を形成した部分が摘み部となり得る。
【0065】
<第2実施形態>
以下、
図12及び
図13を参照しながら、第2実施形態であるブリスター包装体50について詳細に説明する。以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態と同一又は類似の構成要素については重複する説明を省略する。
図12は、ブリスター包装体50の断面図である。
図13は、ブリスター包装体50を1次開封して、摘み部63a,63bを形成した状態を示す図である。
【0066】
図12に示すように、ブリスター包装体50は、カバー部材51の切断補助線55及び封止シート60の切断補助線61が2つの収納凹部52a,52bの間のみに形成されている点で、ブリスター包装体10と異なる。さらに、ブリスター包装体50は、カバー部材51が、封止シート60の摘み形成予定部62a,62bとの間に隙間を形成するための凹部54を有する。そして、
図13に示すように、ブリスター包装体50では、切断補助線55,61に沿ってカバー部材51及び封止シート60を切断することにより、包装体が第1ケース65aと第2ケース65bに分離されると共に、2つの摘み部63a,63bが形成される。即ち、ブリスター包装体50には、1次開封により、凹部54が設けられた部分に2つの摘み部63a,63bが形成される。
【0067】
凹部54は、各収納凹部52a,52bとつながっていてもよいが、1次開封後における収納凹部52a,52bの密閉性の観点から、収納凹部52a,52bとの間に封止シート60が貼付されるフランジ部53a,53bを有することが好適である。凹部54は、例えば収納凹部52a,52bよりも深さが浅く(側壁の表裏方向長さが短い)、カバー部材51の幅方向中央部の近傍に設けられる。切断補助線55は、凹部54の上下方向略中央部を通り、カバー部材51の全幅に亘って正面視略直線状に形成されることが好適である。また、切断補助線61は、例えば切断補助線55と表裏方向に対して重なるように形成される。
【0068】
<第3実施形態>
以下、
図14を参照しながら、第3実施形態であるブリスター包装体70について詳細に説明する。以下では、第1、第2実施形態との相違点を主に説明し、第1、第2実施形態と同一又は類似の構成要素については重複する説明を省略する。
図14は、ブリスター包装体70の一部を示す正面図である。
【0069】
図14に示すように、ブリスター包装体70は、封止シート80のみに切断補助線83a,83b(第1切断補助線)が形成されている点で、ブリスター包装体10,50と異なる。そして、ブリスター包装体70では、切断補助線83a,83bに沿って封止シート80を切断することにより、収納凹部72a,72bを開封する際の剥離起点となる摘み部がそれぞれ形成される。
【0070】
封止シート80には、2本の切断補助線83a,83bが、例えば封止シート80の全幅に亘って形成されている。摘み形成予定部84aは、切断補助線83aの一部を収納凹部72aと反対側に突出させることで形成でき、摘み形成予定部84bは、切断補助線83bの一部を収納凹部72bと反対側に突出させることで形成できる。
図14に示す例では、1次開封により、互いに反対側に突出した正面視略半円形状の摘み部が形成される。
【0071】
封止シート80は、2本の切断補助線83a,83bに挟まれた帯状部82を有する。そして、各収納凹部72a,72bに対応する部分に設けられた隠蔽層81a,81bに加えて、帯状部82の表面にも隠蔽層81abが設けられている。
図14に示す例では、カバー部材71のフランジ部73に切欠き74が形成されており、帯状部82の長手方向一端部を指で摘むことができるように構成されている。
【0072】
ブリスター包装体70によれば、2本の切断補助線83a,83bに沿って帯状部82を切断することにより、収納凹部72a,72bを開封するための摘み部がそれぞれ形成される。なお、帯状部82の表面は、非粘着領域であるため、一旦帯状部82を切断した場合には元の状態に戻すことはできない。つまり、本実施形態においても、収納凹部72a,72bを開封するためには、帯状部82を切除するという包装体の大きな形状変化を伴う。したがって、収納凹部72a,72bが開封された場合には、一目で判断することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態や変形例を組み合わせた構成とすることもできる。
例えば、第1及び第2実施形態と同様に、ブリスター包装体70のカバー部材71に切断補助線を形成して、収納凹部72aを含む部分と、収納凹部72bを含む部分とに包装体を分割できるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、各収納凹部に対応する部分に隠蔽層を設ける構成を示したが、例えば、各収納凹部に収納される物品を固定するために、隠蔽層を設けない、又は部分的に隠蔽層を設けた構成としてもよい。