【解決手段】端綴じ処理を行う場合に、第1の搬送路(ベルト221およびその上に配置されたガイド板)上で位置決めされて端綴じされた用紙束の先端を一対の折りローラ243の間に導くガイド板241を設け、中綴じ折り処理または端綴じ処理の何れの処理が行われた場合も、折りローラ243から用紙搬送方向下流側に向けて第2の搬送路250上を用紙束が搬送されるようにすることにより、中綴じ折り処理を行う場合と端綴じ処理を行う場合とで用紙束の搬送経路を共通化させ、これによって綴じ折り装置20の構成を簡素化できるようにする。
用紙束の中央部を綴じるとともに、その綴じた部分で上記用紙束を二つ折りする中綴じ折り処理と、上記用紙束の端部を綴じる端綴じ処理とを行うことが可能になされた綴じ折り装置であって、
上記中綴じ折り処理または上記端綴じ処理を行うために上記用紙束が搬送される第1の搬送路と、
上記中綴じ折り処理を行う場合に、上記第1の搬送路上で上記用紙束を綴じ処理する位置および折り処理する位置を決めるとともに、上記端綴じ処理を行う場合に、上記第1の搬送路上で上記用紙束を綴じ処理する位置を決める位置決め部と、
上記中綴じ折り処理を行う場合に、上記位置決め部により上記折り処理のために位置決めされた上記用紙束を巻き込んで二つ折りする一対の折りローラと、
上記端綴じ処理を行う場合に、上記位置決め部により位置決めされた位置で綴じ処理された上記用紙束の先端を上記一対の折りローラの間に導くガイド部と、
上記中綴じ折り処理または上記端綴じ処理が行われた上記用紙束が上記折りローラから用紙搬送方向下流側に向けて搬送される第2の搬送路と、を備えたことを特徴とする綴じ折り装置。
上記ガイド部は、上記一対の折りローラのうち、用紙搬送方向上流側の折りローラの外周面と同芯状にカーブする曲面を含むガイド板であることを特徴とする請求項1に記載の綴じ折り装置。
上記ガイド部は、上記用紙束の先端を上記一対の折りローラの間に導くガイド位置に対して着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の綴じ折り装置。
上記ガイド部は、上記中綴じ折り処理を行う場合に上記位置決め部により位置決めされた位置に上記用紙束が搬送されることを許容する退避位置と、上記端綴じ処理を行う場合に上記位置決め部により位置決めされた位置で綴じ処理された上記用紙束の先端を上記一対の折りローラの間に導くガイド位置との間を移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の綴じ折り装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
<システム全体構成>
図1は、本実施形態による綴じ折り装置を含む製本システム1の全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の製本システム1は、丁合装置10と綴じ折り装置20とからなる。
【0016】
丁合装置10は、用紙の束を積載してその最上位の1枚だけを取り出す給紙部11を縦方向に複数個並べて設けてある。給紙部11は、用紙束を積載する給紙板12と、最上位の用紙の下流側(図示左側)の端の上面に圧接する給紙ローラ13と、この給紙ローラ13に下から圧接する分離板14とを有する。給紙ローラ13が回転すると、給紙板12に積載された用紙束のうち最上位の用紙が下流側に送られる。分離板14はウレタンゴム等で形成され、2枚目以降の用紙がこの分離板14に当接し、1枚目の用紙に連れられて送られるのが阻止される。
【0017】
各給紙部11から送り出された用紙は、縦搬送路15を上から下へ搬送されながら、互いに合流して重ねられる。各給紙ローラ13の駆動軸には図示しない電磁クラッチが設けられている。この電磁クラッチは、各用紙が縦搬送路15で重なったときに互いに用紙の先端どうしが揃って重なるようなタイミングで、各段の給紙ローラ13の駆動をスタートさせる。
【0018】
縦搬送路15の最下部には、切り替えゲート16が設けられている。この切り替えゲート16は、縦搬送路15を搬送されながら重ねられた用紙束をスタッカ17へ送るか、綴じ折り装置20へ送るかを切り替える。切り替えゲート16を綴じ折り装置側20側に切り替えたとき、用紙束はブリッジ18を経由して、綴じ折り装置20の搬入口21に導入される。
【0019】
綴じ折り装置20は、中綴じ折り処理と端綴じ処理とを選択的に行うことが可能に構成されている。中綴じ折り処理は、用紙束の搬送方向の中央部をステープルで綴じ、綴じた中央ラインで用紙束を二つ折りして冊子にする処理である。端綴じ処理は、用紙束の搬送方向の先端近傍をステープルで綴じ、用紙束を折らずに排出する処理である。
【0020】
<中綴じ折り処理>
中綴じ折り処理を行う場合、丁合装置10から搬入された用紙束は、略直線状に所定間隔を空けて配置された2つのベルト221,231およびそれよりも若干高い位置に搬送面を有するガイド板(
図2に符号221b,231bで示す)により形成される第1の搬送路上を搬送されて、下流側のベルト231に設けられたストッパ231aに当接して停止する。なお、中綴じ折り処理を行う場合、ガイド板241(ガイド部)は、
図1に示すガイド位置からあらかじめ外されている。
【0021】
その後、上流側のベルト221に設けられたバックジョガー221aが用紙束の後端に当接する。そして、必要に応じてバックジョガー221aが複数回往復して用紙束の後端に当接し、用紙束の前後方向を揃える。このとき、図示しないサイドジョガーも用紙束の幅方向(用紙束の搬送方向に直交する方向)の両側から挟むように当接して、用紙束の幅方向の端部も揃える。
【0022】
このように用紙束が揃えられた状態で、ステープラ222が駆動し、用紙束が搬送方向の中央部で綴じられる。ステープラ222は用紙束に表側からコの字型の針を打ち込み、その裏側でクリンチャ223が、用紙束の裏側に突き出した針の足を折り曲げる。その後、用紙束の綴じた位置が折りナイフ242の真上にくるように、2つのベルト221,231が駆動され、用紙束がその後端をバックジョガー221aに押されて前進させられる。そして、図示しないクランク駆動機構により駆動された折りナイフ242が用紙束の中央を一対の折りローラ243の間に押し込むことにより、用紙束を折り曲げる。すなわち、折りローラ243は、折り処理のために位置決めされた用紙束を巻き込んで二つ折りする。
【0023】
以上のように、下流側のベルト231に設けられたストッパ231aは、中綴じ折り処理を行う場合に、第1の搬送路上で用紙束を綴じ処理する位置および折り処理する位置を決める位置決め部に相当する。このように綴じ処理および折り処理が行われた用紙束は、折りローラ243および搬送ローラ244により、折り目を先頭にして、第2の搬送路250を経由して小口断裁部25へ送られる。
【0024】
小口断裁部25では、用紙束がベルト251,252により搬送され、先端の折り目がストッパ253aに当接して停止する。その後、可動刃254と紙押さえ255とが下降すると、紙押さえ255が用紙束の小口(開き側)近傍を押さえる。そのまま可動刃254がさらに下降すると、紙押さえ255のバネ圧が増すとともに、可動刃254と固定刃256とが摺接し、用紙束の小口が断裁されて切り揃えられる。切りくずは固定刃256の下方に落下し、ラインL1に沿って設けられた図示しないガイド板上の勾配を滑り落ちて、屑箱Bに導入される。
【0025】
その後、ベルト251とは別に設けられたストッパ用ベルト253が駆動されてストッパ253aが退避し、用紙束はベルト251,252により搬送されてスタッカ26に排出される。このときスタッカベルト261は、1つの用紙束が排出されるたびに所定量駆動される。これにより、複数の用紙束は、その上をスタッカコロ262に押さえられて、スタッカトレイ263上にうろこ状に並べて重ねられる。
【0026】
なお、用紙束を構成している用紙の枚数が少ない場合など、断裁が不要な場合は、小口断裁部25で断裁を行わずに用紙束を通過させることもできる。また、ラインL1を境として小口断裁部25を取り外すことも可能で、スタッカ26を第2の搬送路250の出口に直接接続させることもできる。
【0027】
<端綴じ処理>
端綴じ処理を行う場合は、
図1に示すガイド位置にガイド板241があらかじめ装着されている。また、第1の搬送路の途中(上流側のベルト221と下流側のベルト231との間で、ガイド板241よりも上流側かつクリンチャ223よりも下流側の位置)に端綴じストッパ224が進出して、丁合装置10から搬入されてくる用紙束を待機する。この端綴じストッパ224は、端綴じ処理を行う場合に、第1の搬送路上で用紙束を綴じ処理する位置を決める位置決め部に相当する。
【0028】
端綴じ処理の場合は、丁合装置10から搬入されてきた用紙束は、その先端が端綴じストッパ224に当接して停止する。この状態で、上流側のベルト221に設けられたバックジョガー221aが用紙束の後端に当接する。そして、必要に応じてバックジョガー221aが複数回往復して用紙束の後端に当接し、用紙束の前後方向を揃える。このとき、図示しないサイドジョガーも用紙束の幅方向の両側から挟むように当接して、用紙束の幅方向の端部も揃える。
【0029】
このように用紙束が揃えられた状態で、ステープラ222が駆動し、用紙束が先端近傍で綴じられる。このとき、ステープラ222は用紙束に表側からコの字型の針を打ち込み、その裏側でクリンチャ223が、用紙束の裏側に突き出した針の足を折り曲げる。その後、2つのベルト221,231が駆動され、用紙束はその後端をバックジョガー221aに押されて前進する。このとき、用紙束の搬送方向下流側の先端は、ガイド板241によって一対の折りローラ243の間に導入される。このように、綴じ処理された用紙束は、折りローラ243および搬送ローラ244により、第2の搬送路250を経由して下流側へ送られる。さらに、用紙束はベルト251,252により搬送され、スタッカ26に排出される。
【0030】
<ガイド板241および折りローラ243の構成例>
図2は、本実施形態によるガイド板241および折りローラ243の構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態のガイド板241は、一対の折りローラ243a,243bの間へ用紙束をスムーズに導くことができる形状になっている。すなわち、ガイド板241は、一対の折りローラ243a,243bのうち、用紙搬送方向上流側の折りローラ243aの外周面と同方向にカーブする曲面部241aを有している。この曲面部241aは、一対の折りローラ243a,243bが後述するように所定間隔以上に開いたときに、用紙束をその隙間に導くように曲面が形成されている。
【0031】
一対の折りローラ243a,243bどうしは、中綴じ折り処理の場合は用紙束の厚さに応じてあらかじめ間隔が調整される。その間隔は、二つ折り後の用紙束の厚さよりも若干狭い程度である。これにより、折りナイフ242で突き入れた用紙束は、折りローラ243a,243bの間隔をこじ開けるようにして通過する。折りローラ243a,243bは、互いに近づく方向に図示しないバネで付勢されているから、そのバネ圧によって用紙束に折り目が付与される。
【0032】
用紙束の厚さが薄い場合には、折りローラ243a,243bは互いに接触するように位置が調整される。この場合、用紙束は、互いに接触した折りローラ243a,243bの間に折りナイフ242により突き入れて、折り目が付与される。しかし、用紙束が分厚い場合に、折りローラ243a,243bが互いに接触していては用紙束が折りローラ243a,243bの間隔をこじ開けることができない。そのため、用紙束が通過するときの折りローラ243a,243bの変位が適度となるように、あらかじめ間隔が調整される。
【0033】
これに対し、端綴じ処理の場合は、折りローラ243a,243bの間隔はあらかじめ所定以上(好ましくは最大)に開いておく。
図2は、折りローラ243a,243bの間隔を最大に開いた状態を示している。この状態において、上流側の折りローラ243aの外周面の一部と、ガイド板241の曲面部241aとが、互いに略同芯状に対向するように構成している。このような構成とすることにより、一対の折りローラ243a,243bの間へ用紙束がスムーズに導入される。端綴じ処理の場合、折りローラ243a,243bは単なる搬送ガイドの役割でしかなく、その間を用紙束がスムーズに通過さえできればよい。
【0034】
<折りローラ間隔調整部の構成例>
図3〜
図6は、折りローラ243a,243bの間隔調整部の構成例を示す図である。このうち
図3は、折りローラ243a,243bどうしが互いに接触している、すなわち間隔を最も小さくした状態を示す図である。
図4は、
図3を右側(用紙搬送方向上流側)から見た状態を示す図である。また、
図5は、折りローラ243a,243bどうしを最も離間させた状態を示す図である。
図6は、
図5を右側(用紙搬送方向上流側)から見た状態を示す図である。
【0035】
図3〜
図6に示すように、折りローラ243a,243bの軸は、左右のフレーム271に支持された支軸272を中心に揺動可能に設けられたレバー273に支持されている。2つのレバー273どうしは、バネ274が掛けられて付勢されるとともに、カムフォロア275が立設され、その間にカム276が配置されている。このカム276を手動レバー277の操作により回転させ、2つのカムフォロア275の間の距離を変えることにより、折りローラ243a,243bの間隔を調整することができるようになされている。
【0036】
手動レバー277は、剛性部277aと弾性部277bとにより構成されており、弾性部277bの先端に取手278が設けられている。取手278の裏側には突起280が設けられている。この突起280が、フレーム271に複数設けられた開口281の何れかに挿入されることにより、手動レバー277の位置が決められる。すなわち、折りローラ243a,243bの間隔を変える動作は、フレーム271の内側から手で左右両方の取手278を内側に引き、弾性部277bを変形させて突起280を開口281から抜き、異なる開口281を選択して突起280を挿入することによって行われる。
【0037】
<折りローラ間隔検知部の構成例>
図4および
図6に示すように、左右のフレーム271には、レバー282が設けられている。このレバー282は、支軸283を中心として回動可能である。レバー282の支軸283より図面上方側の端部282aは、突起280と接触可能な位置に設けられている。一方、レバー282の支軸283より図面下方側の端部282bは、レバー282が回動したときに赤外センサ284をふさぐ位置に設けられている。
【0038】
図6に示すように、折りローラ243a,243bを最も離間させた状態においては、突起280がレバー282の一端282aに当たり、支軸283を中心としてレバー282を回動させる。すると、レバー282の他端282bが赤外センサ284をふさぐようになっている。これにより、レバー282の他端282bが赤外センサ284により検知される。
【0039】
一方、折りローラ243a,243bが最も離間しているとき以外は、
図4に示すように、突起280はレバー282の一端282aに当たっておらず、レバー282の他端282bは赤外センサ284で検知されていない。したがって、折りローラ243a,243bが最も離間している状態であるか否かを、赤外センサ284により検知することができる。
【0040】
<ガイド板241の着脱機構>
ガイド板241は、端綴じストッパ224により位置決めされた位置で綴じ処理された用紙束の先端を一対の折りローラ243a,243bの間に導くガイド位置に対して、着脱可能に設けられている。
図7は、
図4に示した構成のうちフレーム271およびガイド板241と、ガイド板241の着脱機構とを示した図であり、用紙搬送方向下流側から見た状態を示す図である。
【0041】
図7に示すように、ガイド板241は、ツマミネジ245により、フレーム271に取り付けられた取付部材246に対し固定されている。このツマミネジ245を手動で操作することにより、ガイド板241を着脱できるように構成されている。中綴じ折り処理を行う場合はガイド板241を取り外し、端綴じ処理を行う場合はガイド板241を取り付ける。ガイド板241を取り外した場合、用紙束は、あらかじめ固定されているガイド板232(
図2参照)によって下流側のベルト231へと搬送される。
【0042】
<ガイド検知部の構成例>
図7に示すように、ガイド板241の一方の端に磁石248が設けられるとともに、一方のフレーム271に磁気センサ247が設けられている。磁気センサ247が設けられる位置は、ガイド板241をフレーム271に装着したときに、ガイド板241の一端にある磁石248が近接する位置である。これにより、磁気センサ247は、磁石248が近接したこと、すなわち、ガイド板241がフレーム271に装着されたことを検知可能になっている。この磁気センサ271により、ガイド板241がガイド位置に存在するか否かを検知する。
【0043】
<制御ブロック>
図8は、上記のように構成した製本システム1の電子制御系の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、本実施形態の製本システム1は、操作パネル100、制御部110、磁気センサ247および赤外センサ284を備えている。制御部110は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0044】
操作パネル100は、製本システム1の適宜の位置に設けられており、処理選択部101、表示部102およびスタート/ストップキー103を備えている。処理選択部101は、中綴じ折り処理および端綴じ処理のどちらを行うか、ユーザの選択を受け付ける。すなわち、中綴じ折り処理を行うか端綴じ処理を行うかをユーザが操作パネル100上で任意に選択できるようになっている。表示部102は、各種のメッセージ等を表示させる。
【0045】
スタート/ストップキー103は、製本システム1の製本動作をスタートさせる操作(以下、スタート操作という)と、製本動作を停止させる操作(以下、ストップ操作という)とをユーザが行うためのものである。具体的には、スタート/ストップキー103の押下またはタッチにより製本システム1の製本動作をスタートさせ、再度の押下またはタッチにより製本動作を停止させる。
【0046】
制御部110は、処理選択部101により受け付けられたユーザの選択に従って、中綴じ折り処理または端綴じ処理の何れかを選択的に実行するように製本システム1の各部を動作させる。また、制御部110は、スタート/ストップキー103の操作と、磁気センサ247および赤外センサ284の検知結果とに基づいて、製本システム1の各部の動作を制御する。
【0047】
例えば、制御部110は、処理選択部101により中綴じ折り処理が選択されていて、ガイド板241がガイド位置に存在することが磁気センサ247により検知されている場合、製本システム1の各部の動作を禁止する。すなわち、制御部110は、スタート/ストップキー103によりスタート操作が行われても製本動作をスタートさせず、表示部102に「端綴じ用ガイドが装着されています。取り外してください」等のメッセージを表示させる。この場合、ガイド板241を取り外して改めてスタート操作を行うと、製本動作がスタートする。
【0048】
このようにすることにより、中綴じ折り処理を行いたいときに、ガイド板241をガイド位置に装着したまま処理を行うことによって、折るべき用紙束が折られずに排出されて損紙が発生することを防ぐことができる。
【0049】
また、制御部110は、処理選択部101により端綴じ処理が選択されていて、ガイド板241がガイド位置に存在することが磁気センサ247により検知されていない場合も、製本システム1の各部の動作を禁止する。すなわち、制御部110は、スタート/ストップキー103によりスタート操作が行われても製本動作をスタートさせず、表示部102に「端綴じ用ガイドが装着されていません。装着してください」等のメッセージを表示させる。
【0050】
さらに、制御部110は、処理選択部101により端綴じ処理が選択されていて、一対の折りローラ243a,243bの間隔が最大になっていることが赤外センサ284により検知されていない場合も、製本システム1の各部の動作を禁止する。すなわち、制御部110は、スタート/ストップキー103によりスタート操作が行われても製本動作をスタートさせず、表示部102に「折りローラ間隔を開けてください」等のメッセージを表示させる。
【0051】
すなわち、ユーザが端綴じ処理を選択した場合は、磁気センサ247でガイド板241の装着が検知され、かつ、赤外センサ284で折りローラ243a,243bの間隔が最大に開いていることが検知されている場合のみ、スタート操作で製本動作がスタートする。このようにすることにより、端綴じ処理を行いたいときに、綴じられた用紙束が第2の搬送路250を経由して排出されずに第1の搬送路上で紙詰まりを起したり、ガイド板241から折りローラ243a,243bの間に用紙束がスムーズに導入されずに紙詰まりを起したりすることを防ぐことができる。
【0052】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、第1の搬送路(ベルト221およびその上に配置されたガイド板221b)上で位置決めされて端綴じされた用紙束の先端を一対の折りローラ243a,243bの間に導くガイド板241を着脱可能に構成し、中綴じ折り処理または端綴じ処理の何れの処理が行われた場合も、用紙束が折りローラ243a,243bから用紙搬送方向下流側に向けて第2の搬送路250上を搬送されるようにしている。
【0053】
このように構成した本実施形態によれば、端綴じ処理を行う場合も、端綴じされた用紙束が一対の折りローラ243a,243bの間を通って第2の搬送路250上を搬送されるので、中綴じ折り処理を行う場合と端綴じ処理を行う場合とで用紙束の搬送経路を共通化させることができる。これにより、綴じ折り装置20の構成を簡素化し、小型化および低コスト化を図ることができる。また、搬送経路の共有により用紙排出路側が省スペース化されるため、綴じ折り装置20内に小口断裁部25を配置して製本システム1全体の小型化を図ることもできる。綴じ折り装置20内に小口断裁部25を配置する場合、第1の搬送路の下流側の一部と小口断裁部25の上流側の一部とが互いにオーバーラップする位置に配置されているので、小口断裁部25を含めた綴じ折り装置20全体の搬送方向のサイズを小さく構成することができる。
【0054】
なお、上記実施形態では、ガイド位置に対してガイド板241を着脱可能に設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中綴じ折り処理を行う場合に位置決め部(下流側のベルト231に設けられたストッパ231a)により位置決めされた位置に用紙束が搬送されることを許容する退避位置と、端綴じ処理を行う場合に位置決め部(端綴じストッパ224)により位置決めされた位置で綴じ処理された用紙束の先端を一対の折りローラ243a,243bの間に導くガイド位置との間で、ガイド板241を移動可能に構成してもよい。
【0055】
図9および
図10は、退避位置とガイド位置との間で移動可能に構成したガイド板241’の構成例を示す図である。
図9に示すように、ガイド板241’は、支軸249を中心として回動することにより、第1の搬送路上に進出して用紙束を折りローラ243a,243bの間に導くガイド位置(実線で示す)と、第1の搬送路から下方に退避した退避位置(点線で示す)との間を移動可能になっている。
【0056】
支軸249は、図示しないモータ(ガイド駆動部に相当)によって回転駆動される。すなわち、ユーザが中綴じ折り処理を選択した場合(
図8の処理選択部101により中綴じ折り処理が選択された場合)は、制御部110がモータを駆動してガイド板241’を退避位置に退避させる。一方、ユーザが端綴じ処理を選択した場合(処理選択部101により端綴じ処理が選択された場合)は、制御部110がモータを駆動してガイド板241’をガイド位置に進出させる。なお、モータに代えてソレノイド等を使用してもよい。
【0057】
ガイド板241’を移動可能に構成した場合も、磁石248と磁気センサ247とによって、ガイド板241’がガイド位置にあるか否かを検知する。ただし、磁気センサ247が設けられる位置は、ガイド板241’をガイド位置に進出させたときに、ガイド板241’の端にある磁石248が近接する位置である。
【0058】
なお、下流側のベルト231の位置まで用紙束を導くガイド板232’が固定された状態で、ガイド位置と退避位置との間をガイド板241’が移動できるように、ガイド板241’とガイド板232’とは
図10のように幅方向に入れ子構造になっている。また、ガイド板241’には、折りナイフ242’を通過させることが可能なスリット241bが設けられている。折りナイフ242’は、このスリット241bを通過可能な形状に構成されている。
【0059】
また、上記実施形態では、カム276を手動レバー277の操作により回転させることにより、折りローラ243a,243bの間隔を手動で調整する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カム276を駆動するモータを設けて折りローラ243a,243bの間隔を自動調整するようにしてもよい。具体的には、ユーザが中綴じ折り処理を選択した場合は、制御部110がモータを駆動して折りローラ243a,243bの間隔を用紙束の枚数に適した間隔に調整する。一方、ユーザが端綴じ処理を選択した場合は、制御部110がモータを駆動して折りローラ243a,243bの間隔を最大に開く。
【0060】
ここで、用紙束の枚数は、例えば操作パネル100を操作して別途入力する。あるいは、丁合装置10の給紙板12上に用紙が積載されているか否かを検知するセンサを設け、用紙が積載されている給紙板12の数を用紙束の枚数としてもよい。また、図示しない通信手段で外部より受信した用紙の枚数を含むジョブ情報に基づいて、折りローラ243a,243bの間隔を調整するようにしてもよい。
【0061】
なお、本実施形態の綴じ折り装置20は、用紙束の先端近傍を綴じたものを二つ折りすることも可能である。この場合は、丁合装置10から搬入した用紙束を端綴じストッパ224に当接させてステープル綴じを行った後、端綴じストッパ224を退避させて用紙束を下流側のベルト231の位置まで導入する。そして、折りナイフ242で用紙束を折りローラ243a,243bの間に突き入れて二つ折りする。したがって、この場合は、ガイド板241を取り外す(あるいは、ガイド板241’を退避させる)。
【0062】
また、本実施形態の綴じ折り装置20は、綴じ処理を行わずに折り処理だけを行うことも可能である。この場合も、ガイド板241を取り外す(あるいは、ガイド板241’を退避させる)。要するに、折りが不要な処理を行う場合には、ガイド板241をガイド位置に装着(あるいは、ガイド板241’をガイド位置に進出)すればよい。
【0063】
また、本実施形態の綴じ折り装置20は、丁合装置10に連結するものに限らず、その他の装置、例えば
図11に示すようなシートフィーダ30に連結するものであってもよい。
【0064】
図11に示すシートフィーダ30は、上下に2つの給紙部31,32を有している。上側の給紙部31には、吸引ヘッド311が設けられている。吸引ヘッド311は、2個のプーリ間に吸引吸着ベルト312が、幅方向に複数並べて巻回されており、その内側に吸引チャンバ313が設けられている。吸引チャンバ313は、図示しない吸引ファンにより内部に負圧が形成されており、その下面の吸引吸着ベルト312の間に開口を有してエアを吸引する。
【0065】
吸引吸着ベルト312の外側には吐出チャンバ314が設けられている。吐出チャンバ314は、図示しない吐出ファンにより内部に正圧が形成されており、用紙の先端部の上端部の前面にエアを送ることにより、最上位の用紙を浮き上がらせて分離させる。その状態で、最上位の用紙は吸引吸着ベルト312に吸着され、さらに吸引吸着ベルト312が駆動されて最上位の用紙だけが前進する。下側の給紙部32も同様に構成される。
【0066】
上側の給紙部31から送り出された用紙は、搬送路315を図示左方へ搬送される。一方、下側の給紙部32から送り出された用紙は、搬送路316,315を経由して搬送される。ここで、下側の給紙部32には、デジタル印刷機等で印刷され、あらかじめページ順に並べられた用紙が積載される。また、上側の給紙部31には、表紙等が積載される。下側の給紙部32からあらかじめ決められたページ数分の用紙が順次送り出され、綴じ折り装置20の綴じ位置に順次蓄積される。その後、上側の給紙部31から表紙が1枚送り出されると、1冊分の用紙束の送り出しが完了する。このように用紙束が綴じ折り装置20に蓄積されると、綴じ折り装置20において綴じ折り動作を行う。
【0067】
なお、この動作に限らず、下側の給紙部32に様々なページ数の印刷物を積載しておき、1冊分の最後のページにマークを印刷し、そのマークをセンサ317で読み取り、製本動作に入るようにしてもよい。また、上側の給紙部31から搬送される用紙は表紙に限らず、1冊分の任意の位置に挿入するものであってもよい。また、上側の給紙部31を使用せず、下側の給紙部32のみで使用してもよい。
【0068】
また、丁合装置10やシートフィーダ30に代えて、デジタル印刷機を綴じ折り装置20に直接連結したり、綴じ折り装置20に手差しで用紙を送り込んだりすることも可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、ストッパ231aおよび端綴じストッパ224の2つのストッパにより位置決め部を構成する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、中綴じ折り処理を行う場合の綴じ処理および折り処理の位置を決めるとともに、端綴じ処理を行う場合の綴じ処理の位置を決める位置決め部を、1つのストッパで構成するようにしてもよい。この場合、1つのストッパは、上流側のベルト221および下流側のベルト231の両方にわたって移動可能なように構成する。
【0070】
また、上記実施形態では、中綴じ処理を行う場合の綴じ処理および折り処理の位置をストッパ231aにより決める例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、綴じ位置と折り位置を各々別々のストッパで決めるように、位置決め部を構成してもよい。
【0071】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。