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特開2015-168619N−置換スルフォニルインドール誘導体化合物の新規用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-168619(P2015-168619A)
(43)【公開日】2015年9月28日
(54)【発明の名称】N−置換スルフォニルインドール誘導体化合物の新規用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/404 20060101AFI20150901BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20150901BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20150901BHJP
【FI】
   A61K31/404
   A61K31/4709
   A61P35/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-42178(P2014-42178)
(22)【出願日】2014年3月4日
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】上村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】川添 嘉徳
(72)【発明者】
【氏名】渡部 多恵子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 佑太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 薫
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】      (修正有)
【課題】広範な癌細胞に対する増殖抑制作用を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表されるB12メラノーマ細胞増殖阻害活性を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を含有する抗癌剤医薬組成物。

[Rは低級アルキル基、置換していてもよいアリール基、又は置換していてもよいヘテロアリール基]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物。
【化1】
(式(1)中、Rは低級アルキル基、置換していてもよいアリール基、または置換していてもよいヘテロアリール基である。)
【請求項2】
式(1)中、Rが低級アルキル基である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
低級アルキル基がメチル基である請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
式(1)中、Rが置換していてもよいアリール基である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
置換していてもよいアリール基が置換していてもよいフェニル基である請求項1または4記載の医薬組成物。
【請求項6】
置換していてもよいアリール基が置換していてもよいナフチル基である請求項1または4記載の医薬組成物。
【請求項7】
置換していてもよいアリール基における置換基が、低級アルキル基、ニトロ基、アセチルアミノ基、シアノ基またはハロゲンである請求項1、4,5または6記載の医薬組成物。
【請求項8】
置換アリール基における置換基が1〜3個置換している置換アリール基である請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
置換アリール基における置換基としての低級アルキル基がメチル基である請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
置換アリール器における置換基としてのハロゲンが、Br、I、Cl、またはFである請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
式(1)中、Rが置換していてもよいヘテロアリール基である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
置換していてもよいヘテロアリール基が窒素含有ヘテロアリール基である請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
置換していてもよい窒素含有ヘテロアリール基がキノリル基である請求項12記載の医薬組成物。
【請求項14】
式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物が抗癌剤組成物である請求項1記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の構造を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、全世界的な疾患である癌に対しては、化学療法、外科的療法、放射線療法等の様々な治療法が適用されてきているが、抗癌剤を用いる化学療法は外科的療法や放射線療法とともに癌の治療法として重要な位置を占め、種々の抗癌剤が提供されている。がん治療のための化学療法に用いられる抗癌剤の有効成分としての新規医薬分子の開発は世界中で鋭意行われている。しかしながら、これまでの抗癌剤は必ずしも満足のいくものではなく、治療成績の点や重篤な副作用の点で問題が残っているばかりか多剤耐性の問題などもあるため、より優れた抗癌剤の出現が求められている。これまでにない新規な構造を有する化合物は新たな作用機構を示し、より有効で、より副作用の少ない薬剤となる可能性が高い。またその作用機構により、抗癌剤以外の医薬としての効果も期待できるものである。
【0003】
インドール誘導体化合物の中でも、N−置換スルフォニルインドール誘導体化合物はこれまでにもさまざまな薬理効果を示すものが見出されている。
特許文献1には、新規なN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物またはその医薬として許容しうる塩が記載されるとともに、この化合物またはその医薬として許容しうる塩がテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用などの薬理活性を有することから、それらを含有してなる、人または動物における脱毛症、アクネ、前立腺症などのテストステロン5α−レダクターゼ介在性疾患の治療ないし予防に有用な医薬組成物が記載されている。
特許文献2には、新規なN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物およびこれらの薬剤学的に認容性の塩または生体内で加水分解できるエステルが記載されるとともに、この化合物およびその薬剤学的に認容性の塩または生体内で加水分解できるエステルが単球化学誘引性タンパク質―1(MCP−1)に対する阻害活性を有することから、リュウマチ様関節炎、歯槽炎、喘息を含む炎症性疾患などの単球化学誘引性タンパク質―1により媒介される疾患治療への有効性が期待されていることが記載されている。
特許文献3には、新規な薬理活性を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物および薬学的に許容される塩が記載されるとともに、この化合物および薬学的に許容される塩が17βHSDtype5選択的阻害活性を有することから、17βHSDtype5選択的阻害活性を有する医薬、特に前立腺肥大症並びに前立腺癌治療剤として有用であることが記載されている。
【0004】
非特許文献1には、新規なN−アリルスルフォニルインドール誘導体化合物の合成とインビトロでの抗真菌活性が記載されている。
非特許文献2、3には、コンピューターで設計したN−置換のインドール誘導体、ピロール誘導体、トリアリルピラゾール誘導体のフルクトースー1,6−ビスフォスファターゼ阻害活性を調べることで、高い阻害活性を示したインドール誘導体はタイプIIの糖尿病の治療薬として有用であることが記載されている。
上記のとおり、インドール誘導体化合物の中には、特定の作用機構に基づいて、特定の癌に対する有効性を見出されたものはあるが、より広範な抗癌作用を示すN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物は見出されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表平5−506010号公報
【特許文献2】特表2001−512716号公報
【特許文献3】特許第5093096号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】V.Bojinov,R.Batchvarova,Biotechnol.& Biotechnol. Eq.10/1996/I 27−31pp
【非特許文献2】Aleksandra Rundnitskaya,Dmitry A.Borkin,Ken Huynh,Bela Torok,Kimberly Stieglitz ChemMedChem 2010,5,384−389
【非特許文献3】Aleksandra Rundnitskaya,Ken Huynh,Bela Torok,Kimberly Stieglitz J.Med.Chem.2009,52,878−882
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、特定の構造を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物、特に癌治療に有効な医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、本発明に想到したものであり、特定の構造を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物がマウス由来B16メラノーマ細胞に対して強い細胞増殖阻害活性を有することから抗癌剤として有用であることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、次の式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【化1】
(式(1)中、Rは低級アルキル基、置換していてもよいアリール基、または置換していてもよいヘテロアリール基である。)
【0010】
本発明は、式(1)中、Rが低級アルキル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。さらに、本発明は該低級アルキル基がメチル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0011】
本発明は、式(1)中、Rが置換していてもよいアリール基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
さらに、本発明は該置換していてもよいアリール基が置換していてもよいフェニル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
さらに、本発明は該置換していてもよいアリール基が置換していてもよいナフチル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0012】
本発明は、置換していてもよいアリール基における置換基が、低級アルキル基、ニトロ基、アセチルアミノ基、シアノ基またはハロゲンである置換アリール基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
本発明は、置換アリール基における置換基が1〜3個置換している置換アリール基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0013】
本発明は、置換アリール基における置換基としての低級アルキル基がメチル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
本発明は、置換アリール基における置換基としてのハロゲンが、Br、I、Cl、またはFであるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0014】
本発明は、置換していてもよいヘテロアリール基が窒素含有ヘテロアリール基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
本発明は、置換していてもよい窒素含有ヘテロアリール基がキノリル基であるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0015】
本発明は、式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物が抗癌剤組成物である医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物はマウス由来B16メラノーマ細胞に対して強い細胞増殖阻害活性を示すことから、かかるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物、特に抗癌剤組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の化合物1のNMRを示す図である。
図2】本発明の化合物2のNMRを示す図である。
図3】本発明の化合物3のNMRを示す図である。
図4】本発明の化合物4のNMRを示す図である。
図5】本発明の化合物5のNMRを示す図である。
図6】本発明の化合物6のNMRを示す図である。
図7】本発明の化合物7のNMRを示す図である。
図8】本発明の化合物8のNMRを示す図である。
図9】本発明の化合物9のNMRを示す図である。
図10】本発明の化合物10のNMRを示す図である。
図11】本発明の化合物11のNMRを示す図である。
図12】本発明の化合物12のNMRを示す図である。
図13】本発明の化合物13のNMRを示す図である。
図14】本発明の化合物14のNMRを示す図である。
図15】本発明の化合物15のNMRを示す図である。
図16】本発明の化合物16のNMRを示す図である。
図17】本発明の化合物17のNMRを示す図である。
図18】本発明の化合物18のNMRを示す図である。
図19】本発明の化合物19のNMRを示す図である。
図20】本発明の化合物20のNMRを示す図である。
図21】本発明の化合物21のNMRを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0019】
式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物について詳述する。
【化2】
(式(1)中、Rは低級アルキル基、置換していてもよいアリール基、または置換していてもよいヘテロアリール基である。)
【0020】
前記式(1)におけるRは、低級アルキル基としてはメチル基またはエチル基が好ましく、特に、メチル基が好ましく、置換していてもよいアリール基としてはフェニル基またはナフチル基が好ましく、置換していてもよいヘテロアリール基としては窒素含有ヘテロアリール基が好ましく、特にキノリル基が好ましい。
【0021】
前記式(1)におけるRが置換していてもよいアリール基である場合、アリール基における置換基としては低級アルキル基、ニトロ基、アセチルアミノ基、シアノ基またはハロゲンが好ましく、特に、低級アルキル基としてはメチル基が好ましく、ハロゲンとしてはBr、I、ClまたはFが好ましい。置換基の置換位置としては、アリール基がフェニル基である場合には、オルト位、メタ位、パラ位のいずれの置換位置でもよい。また、置換基の数としては特に制限はないが、1〜3が好ましい。
【0022】
前記式(1)におけるRが置換していてもよいヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基における置換基としては特に制限はないが、置換していてもよいアリール基における置換基と同様の置換基が好ましい。
【0023】
前記式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物は、常法により製造することができ、例えば、有機溶媒中に溶解したインドールに置換アリールスルフォン酸ハライドを反応せしめ、溶媒で抽出、洗浄することで得られる。
【0024】
本発明に係る特定の構造を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物は、マウス由来のB16メラノーマ細胞に対して強い細胞増殖阻害活性を有することから、本発明に係る特定の構造を有するN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物は抗癌剤組成物として好適に使用することができる。
【0025】
以下、式(1)で表されるN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物を有効成分として含有する医薬組成物について詳述する。
本発明のN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物は治療のために経口的あるいは非経口的に投与することができる。経口投与剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤などの固形製剤あるいはシロップ剤、エリキシル剤などの液状製剤とすることができる。また、非経口投与剤として注射剤、直腸投与剤、皮膚外用剤、吸入剤とすることができる。これらの製剤は有効成分に薬学的に認容である製造助剤を加えることにより常法に従って製造される。更に公知の技術により持続性製剤とすることも可能である。
【0026】
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤例えば乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳糖カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸などとを混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するにはこれらの散剤及び顆粒剤をそのままあるいはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸、メタアクリル酸メチルコポリマーなどの腸溶性基剤で被覆して腸溶性製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆し軟カプセル剤とすることができる。
【0027】
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。
【0028】
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じ塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤とともに注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、更にマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空下凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレシチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射用乳剤とすることもできる。
【0029】
直腸投与剤を製造するには、有効成分及びカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジ及びモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの坐剤用基剤とを加湿して溶融し型に流しこんで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解したのちゼラチン膜で被覆すればよい。
【0030】
皮膚外用剤を製造するには、有効成分を白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコールなどに加えて必要ならば加湿して練合し軟膏剤とするか、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体などの粘着剤と練合したのちポリエチレンなどの不織布に展延してテープ剤とする。
吸入剤を製造するには、有効成分をフロンガスなどの噴射剤に溶解又は分散して耐圧容器に充填しエアゾール剤とする。
【0031】
上記構成を有する本発明の薬剤は、公知の製造法、例えば日本薬局方第10版製剤総則記載の方法ないし適当な改良を加えた方法によって製造することができる。
【0032】
本発明の有効成分の投与量は患者の年齢、体重及び病態によって異なるが、通常1日約1mg〜1000mgであり、1乃至数回に分けて投与することが望ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例として、製造例および試験例を挙げて本発明の実施の態様をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、実施例としての製造例および試験例に何ら限定されるものではない。
【0034】
製造例1:化合物1(1−フェニルスルフォニル―1H−インドール)の合成
200mL容の三口フラスコに、インドール(2.12g、18.1mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン20mLを加えて溶解した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.928g、38.7mmol)を加え、0℃に冷却し、15分間撹拌した。その後、ベンゼンスルフォニルクロライド(2.90mL、22.7mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、酢酸エチル40mLで3回抽出した。抽出液を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残留物をn−ヘキサン/酢酸エチル=8/1で洗浄して不純物を除去し、1−(フェニルスルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1411NOS(mw257.31)3.82gを白色固体として得た(回収率87.0%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(図1
【0035】
製造例8:化合物8(8−((1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン)の合成
100mL容の三口フラスコに、インドール(1.01g、8.62mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLを加えて溶解し、5分間撹拌した。その後0℃に冷却し、これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.444g、11.0mmol)と無水テトラヒドロフラン10mLを順次加え、10分間撹拌した。その後、キノリン―8−スルホニルクロライド(1.94mL、8.52 mmol)と無水テトラヒドロフラン5mLを順次加えて、室温で2.5時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、酢酸エチル40mLで3回抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物をn−ヘキサン/酢酸エチル=8/1により超音波抽出して除去し、残った固体を真空乾燥させて、8−(1H−インドール−1−イル)スルフォニル)キノリン(分子式:C1712S(mw308.35)2.15gを白色固体として得た(回収率80.5%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(図8
【0036】
製造例10:化合物10(1−((2−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにインドール(1.01g、8.62mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.471g、11.8mmol)と無水テトラヒドロフラン15mLを加え、15分間撹拌した。2−臭化ベンゼンスルホン酸クロライド(2.20g、8.61mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、30mLの酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を合わせて飽和塩化ナトリウム30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物をn−ヘキサンで超音波抽出・吸引ろ過により除去し、残った固体を真空乾燥させて、1−((2−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1410BrNOS(mw336.20))2.17gを淡褐色固体として得た(回収率74.8%)。得られた化合物については、NMRにより確認にした。(図10
【0037】
製造例11:化合物11(1−((3−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにインドール(0.459g、3.92mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.255g、6.38mmol)と無水テトラヒドロフラン10mLを加え、15分間撹拌した。3−臭化ベンゼンスルホン酸クロライド(1.00g、3.91mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、30mLの酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を合わせて飽和塩化ナトリウム30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物をカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=8/1)により精製して1−((3−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1410BrNOS(mw336.20))1.03gを淡褐色固体として得た(回収77.8%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(図11
【0038】
製造例12:化合物12(1−((4−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにインドール(1.02g、8.71mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.457g、11.4mmol)と無水テトラヒドロフラン15mLを加え、15分間撹拌した。4−臭化ベンゼンスルホン酸クロライド(2.18g、8.54mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、30mLの酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を合わせて飽和塩化ナトリウム30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物をn−ヘキサンで超音波抽出・吸引ろ過により除去し、残った固体を真空乾燥させて、1−((4−ブロモフェニル)スルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1410BrNOS(mw336.20))2.75gを白色固体として得た(回収率93.9%)。得られた化合物については、NMRにより確認にした。(図12
【0039】
製造例13:化合物13(1−((4−ヨウ化フェニル)スルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにインドール(1.06g、9.05mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.501g、12.5mmol)と無水テトラヒドロフラン15mLを加え、15分間撹拌した。4−ヨウ化ベンゼンスルホン酸クロライド(2.60g、8.59mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、30mLの酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を合わせて飽和塩化ナトリウム30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、1−((4−ヨウ化フェニル)スルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1410INOS(mw383.20))2.75gを黄色固体として得た(回収79.2%)。得られた化合物については、NMRにより確認した。(図13
【0040】
製造例14:化合物14(1−((4−塩化フェニル)スルフォニル)−1H−インドール)の合成
100mL容の三口フラスコにインドール(1.01g、8.62mmol)を採り、系内をアルゴン雰囲気下とした後、無水テトラヒドロフラン15mLに溶解し、0℃に冷却した。これに水素化ナトリウムの60%鉱油分散物(0.454g、11.4mmol)と無水テトラヒドロフラン15mLを加え、15分間撹拌した。4−塩化ベンゼンスルホン酸クロライド(1.84g、8.72mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に蒸留水20mLを加え、30mLの酢酸エチルで2回抽出し、抽出液を合わせて飽和塩化ナトリウム30mLで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残留物中の不純物をn−ヘキサンで超音波抽出・吸引ろ過により除去し、残った固体を真空乾燥させて、1−((4−塩化フェニル)スルフォニル)−1H−インドール(分子式:C1410ClNOS(mw291.75))1.84gを白色固体として得た(回収率73.3%)。得られた化合物については、NMRにより確認にした。(図14
【0041】
製造例2〜7、9および15〜21
それぞれの製造例に対応する下記化合物2〜7、9および15〜21については、上記製造例1、8および10〜14と同様の手順により合成した。得られた化合物については、NMRにより確認した。(図2〜7、9、15〜21)
化合物2:1−((4−メチルフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物3:1−(メチルスルフォニル)−1H−インドール
化合物4:1−((4−ニトロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物5:1−(α−ナフチルスルフォニル)−1H−インドール
化合物6:1−(β―ナフチルスルフォニル)−1H−インドール
化合物7:1−((4−アセチルアミノフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物9:1−((2、4、6−トリメチルフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物15:1−((2−シアノフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物16:1−((2−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物17:1−((4−フルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物18:1−((2、6−ジフルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物19:1−((2、4−ジフルオロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物20:1−((2−ニトロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
化合物21:1−((2、4、6−トリクロロフェニル)スルフォニル)−1H−インドール
【0042】
試験例
試験化合物として上記製造例で得られた化合物1〜21を用い、以下の腫瘍細胞増殖阻害活性試験を実施した。結果は下表のとおりである。
試験化合物としてN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物(化合物1〜21)の10mg/mlDMSO溶液を調製した。これを必要に応じてメタノールで希釈し、検体溶液とした。マウス由来メラノーマ細胞であるB16細胞を10%のFBSを添加したDMEM培地に加えて、4×10cells/mlに調製した細胞懸濁液の200μlを96穴プレートに播種し、CO培養器(CO 5%、湿度100%、37℃)で2時間培養した。上記検体溶液を所定の濃度になるように添加し、CO培養器で120時間培養した。MTT比色法により生存細胞数を計測して、対照群に対する増殖率から50%細胞増殖阻害濃度(IC50)を求めた。
【0043】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のN−置換スルフォニルインドール誘導体化合物は、B12メラノーマ細胞増殖阻害活性を有し、医薬組成物として特に抗癌剤組成物として有用である。
図1
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